(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機光電素子用化合物は、薄膜の状態で50nm〜110nmの半値幅(full width at half maximum:FWHM)を有する吸光曲線を示すことを特徴とする請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
前記半導体基板と前記有機光電素子との間に配設され、青色の波長領域の光を選択的に透過させる青色フィルターと、赤色の波長領域の光を選択的に透過させる赤色フィルターと、を有するカラーフィルター層をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載のイメージセンサー。
前記有機光電素子である緑色光電素子と、青色の波長領域の光を感知する青色光電素子と、赤色の波長領域の光を感知する赤色光電素子とが積層されることを特徴とする請求項11に記載のイメージセンサー。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る有機光電素子用化合物及びこれを含む有機光電素子、並びにイメージセンサー及び電子装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
しかし、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具現化可能である。
【0018】
図中、様々な層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張している。明細書全体に亘って同じ構成部分に対しては同じ図面符号を付する。
なお、層、膜、領域、板などの構成部分が他の構成部分の「上」にあるとした場合、それは、他の構成部分の「真上」にある場合だけではなく、これらの間に更に他の構成部分がある場合も含む。逆に、ある構成部分が他の構成部分の「直上」にあるとした場合には、これらの間に他の構成部分がないことを意味する。
図中、本発明の実施形態を明確に説明するために、本発明に関係のない部分についての説明は省略し、明細書全体に亘って同一又は類似の構成要素に対しては同じ図面符号を付する。
【0019】
また、本明細書において、別途に断わりのない限り、「置換」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、又はI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基とその塩、スルホン酸基とその塩、リン酸とその塩、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシ基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基、C6〜C30のアリール基、C7〜C30のアラルキル基、C1〜C20のヘテロアリール基、C3〜C20のヘテロアラルキル基、C3〜C30のシクロアルキル基、C3〜C15のシクロアルケニル基、C6〜C15のシクロアルキニル基、C2〜C20のヘテロシクロアルキル基、及びこれらの組み合わせから選ばれる置換基により置換されることを意味する。
【0020】
更に、本明細書において、別途に断わりのない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、P及びSiから選ばれるヘテロ原子を1〜3つ含むものを意味する。
本明細書において、アルキル基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などである。
本明細書において、「シクロアルキル基」とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などである。
本明細書において、「アリール基」とは、環状である置換基の全ての元素がp−オービタルを有し、且つ、これらのp−オービタルが共役を形成する置換基を意味し、モノシクリック、ポリシクリック又は融合環ポリシクリック(すなわち、炭素原子の隣り合う対を共有する環)官能基を含む。
【0021】
本明細書において、別途に断わりのない限り、「シアノ含有基」とは、C1〜C30のアルキル基、C2〜C30のアルケニル基又はC2〜C30のアルキニル基の少なくとも一つの水素がシアノ基により置換された1価の官能基を意味し得る。
また、シアノ含有基は、=CR
x’−(CR
xR
y)p−CR
y’(CN)
2、で表わされるジシアノアルケニル基のような2価の官能基を含み、ここで、R
x、R
y、R
x’及びR
y’は、水素又はC1〜C10のアルキル基であり、pは、0〜10の整数である。シアノ含有基の具体例としては、ジシアノメチル基(dicyanomethyl group)、ジシアノビニール基(dicyanovinyl group)、シアノエチニル基(cyanoethynyl group)などが挙げられる。
【0022】
本明細書において、別途に断わりのない限り、「組み合わせ」とは、一つの置換基が他の置換基により置換されるか、互いに融合して存在するか、あるいは、単一結合やC1〜C10のアルキレン基により互いに連結された置換基を意味する。
本明細書において5員芳香族環とは、共役構造を提供する5員サイクリック基または共役構造を提供する5員ヘテロサイクリック基を意味する。本明細書において6員芳香族環とは、共役構造を提供する6員サイクリック基または共役構造を提供する6員へテロサイクリック基を意味する。
【0023】
以下、本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物について説明する。
本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物は、下記に示す一般式1で表わされる。
【化1】
【0024】
一般式1において、
Arは、置換若しくは無置換の5員芳香族環、置換若しくは無置換の6員芳香族環、及びこれらの内の2以上の縮合環から選ばれ、
Xは、Se、Te、S(=O)、S(=O)
2、及びSiR
aR
bから選ばれ(ここで、R
a及びR
bは、水素及び置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基から選ばれる)、
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基及び置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロアリール基から選ばれ、
R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基(−CN)、シアノ含有基、及びこれらの組み合わせから選ばれる。
【0025】
Ar
1、Ar
2、Ar及びR
1〜R
3において、「置換」とは、例えば、ハロゲン(F、Cl、Br又はI)、シアノ基(−CN)、C1〜C6のアルキル基又はC1〜C6のアルコキシ基により置換されたものを意味するが、これに限定されない。
本発明の一実施形態において、ハロゲンは、クロロ基(−Cl)又はフルオロ基(−F)である。
一般式1において、R
1〜R
3は、例えば、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基、置換若しくは無置換のC6〜C12のアリール基、置換若しくは無置換のC3〜C10のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基(−CN)、及びこれらの組み合わせから選ばれる。
【0026】
本発明に係る有機光電素子用化合物内の芳香族環の数は、4〜7つ、例えば、5〜7つである。
芳香族環の数が4〜7つである場合、緑色の波長領域における選択的な吸光度が一層良好である。
ここで、「芳香族環」とは、共役構造を有する置換若しくは無置換の5員又は6員環構造を意味する。
【0027】
Ar
1及びAr
2は、芳香族環が単独で存在するか、あるいは、互いに融合される置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基又は置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロアリール基であり、好ましくは、置換若しくは無置換のC6〜C20のアリール基、例えば、置換若しくは無置換のC8〜C20のアリール基、又は置換若しくは無置換のC3〜C20のヘテロアリール基である。
すなわち、芳香族環の間に単一結合や他の連結基により連結された芳香族基は共役構造が途切れてしまうため好適な共役長さを提供することができない。
Ar
1及びAr
2は、例えば置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のフェナントレニル基、置換若しくは無置換のチエニル基、又は置換若しくは無置換のベンゾチエニル基である。一実施形態において、置換のフェニル基、置換のナフチル基、置換のアントラセニル基、置換のチエニル基又は置換のベンゾチエニル基は、シアノ基又はハロゲンにより置換される。
【0028】
Ar
1及びAr
2の内の少なくとも一方は、融合環を含む置換若しくは無置換のC10〜C30のアリール基、または融合環を含む置換若しくは無置換のC5〜C30のヘテロアリール基であり、例えば、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、又は置換若しくは無置換のフェナントレニル基である。
Ar
1及びAr
2の内の少なくとも一方が置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基又は置換若しくは無置換のフェナントレニル基である場合、分子間の相互作用を低減させて薄膜の状態で分子間の凝集が抑えられる。この場合、緑色波長の吸収選択性をなお一層向上させる。
Ar
1及びAr
2が芳香族基ではないアルキル基であるか、あるいは、互いに連結してN含有脂肪族環基を形成する場合、化合物の構造が平面性を有して吸光曲線の半値幅が広過ぎて緑色波長領域の吸収選択性が低下する虞がある。
【0029】
例えば、Ar
1及びAr
2は、同一であるか、または互いに異なる。
例えば、Ar
1及びAr
2の内のいずれか一方は、置換若しくは無置換のフェニル基であり、他方は、融合環を含む置換若しくは無置換のC10〜C30のアリール基、又は融合環を含む置換若しくは無置換のC5〜C30のヘテロアリール基である。
例えば、Ar
1及びAr
2の内のいずれか一方は、置換若しくは無置換のフェニル基であり、他方は、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、又は置換若しくは無置換のフェナントレニル基である。
【0030】
一般式1で表わされる化合物は、アリールアミンの電子供与体部分及びArで表わされる電子受容体部分を含む。
一般式1において、メチン基に結合されるArで表わされる環基は、電子受容体部分であり、少なくとも一つのカルボニル基を含む。
例えば、一般式1において、メチン基に結合されるArで表わされる環基は、一つ又は二つのカルボニル基を含む。
例えば、一般式1において、メチン基に結合されるArで表わされる環基は、少なくとも一つのカルボニル基及び少なくとも一つのシアノ含有部分を含む。
【0031】
一般式1において、メチン基に結合されるArで表わされる環基は、例えば、下記に示す一般式2で表わされる。
【化2】
【0032】
一般式2において、Ar’は、置換若しくは無置換の5員芳香族環、置換若しくは無置換の6員芳香族環及びこれらの内の2以上の縮合環から選ばれ、
Z
1は、O又はCR
cR
dであり、ここで、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基、シアノ基、又はシアノ含有基であり、R
c及びR
dの内の少なくとも一方は、シアノ基又はシアノ含有基である。
例えば、一般式1において、メチン基に結合されるArで表わされる環基は、置換若しくは無置換の5員芳香族環及び置換若しくは無置換の6員芳香族環の縮合環である。
【0033】
一般式1において、メチン基に結合されるArで表わされる環基は、例えば、下記に示す一般式(3−1)〜(3−3)の内のいずれか一つで表わされる環基である。
【化(3-1)】
【化(3-2)】
【化(3-3)】
【0034】
一般式(3−1)〜(3−3)において、
Z
1は、O又はCR
cR
dであり(ここで、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基、シアノ基、又はシアノ含有基であり、R
c及びR
dの内の少なくとも一方は、シアノ基又はシアノ含有基である)、
Y
1は、N及びCR
eから選ばれ(ここで、R
eは、水素及び置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基から選ばれる)、
Y
3は、O、S、Se及びTeから選ばれ、
Y
4は、N又はNR
18であり、
Y
5は、CR
19又はC=CR
20(CN)であり、
R
11、R
12及びR
15〜R
20は、水素、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、シアノ含有基及びこれらの組み合わせから選ばれ、
m1は、0又は1であり、
m2は、0〜4の整数であり、
nは、0又は1である。
【0035】
一般式(3−1)で表わされる環基は、例えば、下記に示す一般式(3−1−1)又は一般式(3−1−2)で表わされる環基である。
【化(3-1-1)】
【化(3-1-2)】
【0036】
一般式(3−1−1)及び一般式(3−1−2)において、Y
1、R
11、R
12、n、m
1及びm
2は、上述した通りである。
一般式(3−2)で表わされる環基は、例えば、下記に示す一般式(3−2−1)又は一般式(3−2−2)で表わされる環基である。
【化(3-2-1)-(3-2-2)】
一般式(3−2−1)及び一般式(3−2−2)において、R
15〜R
17は、上述した通りである。
【0037】
一般式(3−3)で表わされる環基は、例えば、下記に示す一般式(3−3−1)又は一般式(3−3−2)で表わされる環基である。
【化(3-3-1)-(3-3-2)】
一般式(3−3−1)及び一般式(3−3−2)において、Y
3及びR
18は、上述した通りである。
【0038】
本発明に係る有機光電素子用化合物は、例えば、下記に示す一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表わされる化合物である。
【化(4-1)】
【化(4-2)】
【化(4-3)】
【0039】
一般式(4−1)〜(4−3)において、
Xは、Se、Te、S(=O)、S(=O)
2、及びSiR
aR
bから選ばれ(ここで、R
a及びR
bは、水素及び置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基から選ばれる)、
Z
1は、O又はCR
cR
dであり(ここで、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基、シアノ基、又はシアノ含有基であり、R
c及びR
dの内の少なくとも一方は、シアノ基又はシアノ含有基である)、
Y
1は、N及びCR
eから選ばれ(ここで、R
eは、水素及び置換若しくは無置換のC1〜C10のアルキル基から選ばれる)、
Y
3は、O、S、Se及びTeから選ばれ、
Y
4は、N又はNR
18であり、
Y
5は、CR
19又はC=CR
20(CN)であり、
R
1〜R
3、R
11、R
12及びR
15〜R
20は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、シアノ含有基、及びこれらの組み合わせから選ばれ、
m1は、0又は1であり、
m2は、0〜4の整数であり、
nは、0又は1であり、
R
21〜R
23は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基(−CN)、シアノ含有基、置換若しくは無置換のC1〜C6のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C6のアルコキシ基、及びこれらの組み合わせから選ばれ、
pは、0〜3の整数であり、
qは、0〜4の整数であり、
rは、0〜5の整数である。
【0040】
一般式(4−1)で表わされる有機光電素子用化合物は、例えば、下記に示す一般式(4−1−1)又は一般式(4−1−2)で表わされる化合物である。
【化(4-1-1)】
【化(4-1-2)】
一般式(4−1−1)及び一般式(4−1−2)において、X、Y
1、R
1〜R
3、R
11、R
12、R
21〜R
23、n、m1、m2、p、q及びrは、上述した通りである。
【0041】
一般式(4−2)で表わされる有機光電素子用化合物は、例えば、下記に示す一般式(4−2−1)又は一般式(4−2−2)で表わされる化合物である。
【化(4-2-1)】
【化(4-2-2)】
一般式(4−2−1)及び一般式(4−2−2)において、X、R
1〜R
3、R
15〜R
17、R
21〜R
23、p、q及びrは、上述した通りである。
【0042】
一般式(4−3)で表わされる有機光電素子用化合物は、例えば、下記に示す一般式(4−3−1)又は一般式(4−3−2)で表わされる化合物である。
【化(4-3-1)】
【化(4-3-2)】
一般式(4−3−1)及び一般式(4−3−2)において、X、Y
3、R
1〜R
3、R
18、R
21〜R
23、p、q及びrは、上述した通りである。
【0043】
一般式1の化合物の具体例としては、下記に示す一般式(5−1)、一般式(5−2)、一般式(5−3)、一般式(5−4)及び一般式(5−5)の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【化(5-1)】
【化(5-2)】
【化(5-3)】
【化(5-4)】
【化(5-5)】
【0044】
本発明に係る有機光電素子用化合物は、緑色波長領域の光を選択的に吸収する化合物であり、約500nm〜約600nm、具体的には、約530nm超え約575nm以下、より具体的には、約532nm〜572nm、さらに具体的には、約535nm〜570nm、又は約540nm〜約560nmの波長の範囲で最大の吸収波長(λ
max)を有する。
本発明に係る有機光電素子用化合物は、薄膜の状態で約50nm〜約110nm、具体的には、約50nm〜約100nm、より具体的には、約50nm〜約90nmの半値幅(full width at half maximum:FWHM)を有する吸光曲線を示す。ここで、半値幅とは、最大の吸光地点の半分に対応する波長の幅であり、「半値幅が小さい」とは、狭い波長領域の光を選択的に吸収して波長選択性が高いことを意味する。上記範囲の半値幅を有することにより、緑色の波長領域に対する選択性を高めることができる。上記薄膜は、真空条件で蒸着された薄膜である。
【0045】
本発明に係る有機光電素子用化合物は、約280℃以上の熱分解温度(thermal decomposition temperature:T
d)を有する。
本発明に係る有機光電素子用化合物は、例えば、約280℃〜500℃の熱分解温度を有し、上記範囲内において、例えば、約285℃〜450℃の熱分解温度を有する。
ここで、熱分解温度は、化合物が分解され始める温度であり、化合物が本来の分子構造を維持できずに変形される温度である。一般に、熱分解温度以上においては、化合物を構成する分子内の原子が大気又は真空中に揮発されて消失されるため、熱分解温度は、化合物の初期重量が熱により減少し始める温度であると評価される。ここでは、熱重量分析(thermal gravimetric analysis:TGA)方法により測定する。その結果を後述で記す表1に記載する。
【0046】
本発明に係る有機光電素子用化合物は、約5.0〜約5.5eVの最高被占分子軌道(HOMO)レベルを有し、約1.7〜約2.3eVのエネルギーバンドギャップを有する。
上記範囲の最高被占分子軌道(HOMO)レベル及びエネルギーバンドギャップを有することにより、緑色の波長領域において光を効果的に吸収するp型半導体化合物に適用可能であり、その結果、高い外部量子効率(externalquantumefficiency:EQE)を有することで光電変換効率を改善することができる。
【0047】
本発明に係る有機光電素子用化合物は、約300〜約1、500、より具体的に約350〜約1、200、更に具体的に約400〜約900の分子量を有する。
上記範囲の分子量を有することにより、化合物の結晶性を防ぎながらも蒸着による薄膜の形成に際して化合物の熱分解を効果的に防ぐことができる。
【0048】
本発明に係る有機光電素子用化合物は、約200℃以上、より具体的に250℃以上、更に具体的に約280℃以上の融点を有する。
上記範囲の融点を有する場合、膜を安定的に蒸着することができ、分解物が低減して光電変換性能に優れた有機光電素子を提供することができる。
本発明に係る有機光電素子用化合物は、p型半導体化合物である。
【0049】
以下、図面を参照しながら、有機光電素子用化合物を含む本発明の一実施形態による有機光電素子について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による有機光電素子を概略的に示す断面図である。
図1を参照すると、本実施形態による有機光電素子100は、対向する第1の電極10及び第2の電極20と、第1の電極10と第2の電極20との間に配設される活性層30と、を備える。
【0050】
第1の電極10又は第2の電極20のいずれか一方はアノードであり、他方はカソードである。
第1の電極10又は第2の電極20の少なくともいずれか一方は透光電極であり、透光電極は、例えば、インジウム錫酸化物(indiumtinoxide:ITO)やインジウム亜鉛酸化物(indiumzincoxide:IZO)などの透明導電体であり、薄い厚さの単一層又は複数層の金属薄膜で製作される。
第1の電極10及び第2の電極20のうちのいずれか一方が不透光電極である場合、例えばアルミニウム(Al)などの不透明導電体で製作される。
【0051】
活性層30は、p型半導体化合物及びn型半導体化合物が含まれてpn接合を形成する層であり、外部から光を受けて励起子を生成した後、生成された励起子を正孔及び電子に分離する層である。
活性層30は、上記一般式1で表わされる化合物を含む。有機光電素子用化合物は、活性層30においてp型半導体化合物として適用される。
【0052】
有機光電素子用化合物は、緑色の波長領域の光を選択的に吸収する化合物であり、有機光電素子用化合物を含む活性層30は、約500nm〜約600nm、具体的には、約530nm超え約575nm以下、より具体的には、約532nm〜約572nm、さらに具体的には、約535nm〜約570nm、特に具体的には、約540nm〜約560nmの波長の範囲で最大の吸収波長(λ
max)を有する緑色波長の光を選択的に吸収する。
活性層30は、約50nm〜約110nm、具体的に、約50nm〜約100nm、より具体的に、約50nm〜約90nmの比較的に小さい半値幅(FWHM)を有する吸光曲線を示す。
これにより、活性層30は、緑色の波長領域の光に対して高い選択性を有する。
【0053】
活性層30は、pn接合を形成するためのn型半導体化合物を更に含む。
n型半導体化合物は、サブフタロシアニン若しくはサブフタロシアニン誘導体、フラーレン若しくはフラーレン誘導体、チオフェン若しくはチオフェン誘導体、或いはこれらの組み合わせである。
上記フラーレンの例としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレン540、これらの混合物、フラーレンナノチューブ等が挙げられる。
フラーレン誘導体とは、フラーレンに置換基を有する化合物を意味する。
【0054】
フラーレン誘導体は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基などの置換基を含むことができる。アリール基とヘテロ環基の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン(furan)環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン(indolizine)環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン(isobenzofuran)環、ベンズイミダゾール環、イミダゾピリジン(imidazopyridine)環、キノリジン(quinolizidine)環、キノリン環、フタラジン(phthalazine)環、ナフチリジン(naphthyridine)環、キノキサリン(quinoxaline)環、キノキサゾリン(quinoxazoline)環、イソキノリン(isoquinoline)環、カルバゾール(carbazole)環、フェナントリジン(phenanthridine)環、アクリジン(acridine)環、フェナントロリン(phenanthroline)環、チアントレン(thianthrene)環、クロメン(chromene)環、キサンテン(xanthene)環、フェノキサチイン(phenoxathin)環、フェノチアジン(phenothiazine)環、またはフェナジン(phenazine)環がある。
【0055】
サブフタロシアニン若しくはサブフタロシアニン誘導体は、下記に示す一般式6で表わされる。
【化6】
【0056】
一般式6において、
R
31〜R
33は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロアリール基、ハロゲン、ハロゲン含有基、及びこれらの組み合わせから選ばれ、
a、b、及びcは、1〜3の整数であり、
Zは、1価の置換基である。
例えば、Zは、ハロゲン又はハロゲン含有基であり、例えばF、Cl、F含有基又はCl含有基である。
ハロゲンとは、F、Cl、Br、又はIを意味し、ハロゲン含有基とは、アルキル基の水素のうちの少なくともいずれか一方がF、Cl、Br、又はIにより置換されたものを意味する。
【0057】
チオフェン誘導体は、例えば下記に示す一般式7又は一般式8で表わされるが、これらに限定されない。
【化7】
【化8】
【0058】
一般式7及び一般式8において、
T
1、T
2、及びT
3は、置換若しくは無置換のチオフェン部を有する芳香族環であり、
T
1、T
2、及びT
3は、それぞれ独立して存在するか、或いは融合され、
X
3〜X
8は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロ環基、シアノ基、或いはこれらの組み合わせであり、
EWG
1及びEWG
2は、それぞれ独立して、電子吸引基である。
例えば、一般式7において、X
3〜X
8のうちの少なくともいずれか一方は、電子吸引基、例えばシアノ基又はシアノ含有基である。
【0059】
活性層30は、緑色光を選択的に吸収する第2のp型半導体化合物を更に含む。
第2のp型半導体化合物としては、下記に示す一般式9の化合物が挙げられる。
【化9】
【0060】
一般式9において、
R
41〜R
43は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C30の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換のC6〜C30の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換のC1〜C30の脂肪族ヘテロ環基、置換若しくは無置換のC2〜C30の芳香族ヘテロ環基、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリーロキシ基、チオール基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリールチオ基、シアノ基、シアノ含有基、ハロゲン基、ハロゲン含有基、置換若しくは無置換のスルホニル基(例えば、置換若しくは無置換のC0〜C30のアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキルスルホニル基、或いは置換若しくは無置換のアリールスルホニル基)、或いはこれらの組み合わせであり、或いはR
41〜R
43は、隣り合う二つが連結されて融合環を形成し、
L
1〜L
3は、それぞれ独立して、単一結合、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキレン基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリーレン基、2価の置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロ環基、或いはこれらの組み合わせであり、
R
61〜R
63は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC3〜C30のヘテロ環基、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミン基(例えば、置換若しくは無置換のC1〜C30のアルキルアミン基、或いは置換若しくは無置換のC6〜C30のアリールアミン基)、置換若しくは無置換のシリル基、或いはこれらの組み合わせであり、
a〜cは、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
【0061】
緑色光を選択的に吸収する第2のp型半導体化合物は、一般式1の有機光電素子用化合物100重量部に対して約500〜約1500重量部で含まれることが好ましい。
活性層30は、単一層又は複数層である。
活性層30は、例えば、真性層(instrinsiclayer:I層)、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層、p型層/n型層などの様々な組み合わせである。
真性層(I層)は、一般式1の有機光電素子用化合物及びn型半導体化合物が約1:100〜約100:1の厚さ比で混合されて含まれる。
例えば、上記範囲内において約1:50〜50:1の厚さ比で含まれてもよく、また上記範囲内において約1:10〜10:1の厚さ比で含まれてもよく、更に上記範囲内において約1:1の厚さ比で含まれてもよい。上記範囲の組成比を有することにより、効果的な励起子の生成及びpn接合の形成に有利である。
【0062】
p型層は、一般式1の半導体化合物を含み、n型層は、n型半導体化合物を含む。
活性層30は、約1nm〜約500nmの厚さ、例えば上記範囲内において約5nm〜300nmの厚さを有する。
上記範囲の厚さを有することにより、光を効果的に吸収し、正孔及び電子を効果的に分離及び伝達することにより光電変換効率を効果的に改善することができる。
最適な膜厚は、例えば活性層30の吸収係数を考慮して決定され、少なくとも約70%以上、例えば約80%以上、例えば約90%の光を吸収する厚さを有する。
【0063】
有機光電素子100は、第1の電極10及び/又は第2の電極20側から光が入射して活性層30が所定の波長領域の光を吸収すると、内部で励起子が生成される。
励起子は活性層30において正孔及び電子に分離され、分離された正孔は第1の電極10及び第2の電極20のうちのいずれか一方であるアノード側に移動し、分離された電子は第1の電極10及び第2の電極20のうちの他方であるカソード側に移動して有機光電素子に電流が流れる。
【0064】
以下、
図2に基づき、本発明の他の実施形態による有機光電素子について説明する。
図2は、本発明の他の実施形態による有機光電素子を概略的に示す断面図である。
図2を参照すると、本実施形態による有機光電素子100は、上述した実施形態と同様に、対向する第1の電極10及び第2の電極20と、第1の電極10と第2の電極20との間に配設される活性層30と、を備える。
しかし、本実施形態による有機光電素子100は、上述した実施形態とは異なり、第1の電極10と活性層30との間、及び第2の電極20と活性層30との間にそれぞれ配設される電荷補助層40、45を更に備える。
電荷補助層40、45は、活性層30において分離された正孔及び電子を移動しやすくして効率を高める。
【0065】
電荷補助層40、45は、正孔を注入しやすくする正孔注入層(hole injecting layer:HIL)、正孔を輸送しやすくする正孔輸送層(hole transporting layer:HTL)、電子の移動を阻止する電子遮断層(electron blocking layer:EBL)、電子を注入しやすくする電子注入層(electron injecting layer:EIL)、電子を輸送しやすくする電子輸送層(electron transporting layer:ETL)、及び正孔の移動を阻止する正孔遮断層(hole blocking layer:HBL)から選ばれる少なくとも一種を備える。
電荷補助層40、45は、例えば、有機物、無機物、又は有無機物を含む。有機物は、正孔又は電子の特性を有する有機化合物であり、無機物は、例えば、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、ニッケル酸化物などの金属酸化物である。
【0066】
正孔輸送層(HTL)は、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(styrenesulfonate)、PEDOT:PSS)、ポリアリールアミン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(poly(N−vinylcarbazole)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ベンジジン(N,N,N’,N’−tetrakis(4−メトキシフェニル)−benzidine、TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(4,4’−bis[N−(1−naphthyl)−N−フェニル−アミノ]biフェニル、α−NPD)、m−MTDATA、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)−triフェニルamine、TCTA)、及びこれらの組み合わせから選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されない。
【0067】
電子遮断層(EBL)は、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(styrenesulfonate)、PEDOT:PSS)、ポリアリールアミン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(poly(N−vinylcarbazole)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ベンジジン(N,N,N’,N’−tetrakis(4−メトキシフェニル)−benzidine、TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(4,4’−bis[N−(1−naphthyl)−N−フェニル−アミノ]biフェニル、α−NPD)、m−MTDATA、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)−triフェニルamine、TCTA)、及びこれらの組み合わせから選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されない。
【0068】
電子輸送層(ETL)は、例えば、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、NTCDA)、バトクプロイン(bathocuproine、BCP)、LiF、Alq3、Gaq3、Inq3、Znq2、Zn(BTZ)2、BeBq2、及びこれらの組み合わせから選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されない。
正孔遮断層(HBL)は、例えば、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、NTCDA)、バトクプロイン(BCP)、LiF、Alq3、Gaq3、Inq3、Znq2、Zn(BTZ)2、BeBq2、及びこれらの組み合わせから選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されない。
電荷補助層40、50のうちのいずれか一方は、省略可能である。
【0069】
本発明に係る有機光電素子は、太陽電池、イメージセンサー、光検出器、光センサー、及び有機発光ダイオードなどに適用可能であるが、これらに限定されない。
以下、図面を参照しながら、本有機光電素子を適用したイメージセンサーの一例について説明する。
ここでは、イメージセンサーの一例である有機CMOSイメージセンサーについて説明する。
【0070】
図3は、本発明の一実施形態による有機CMOSイメージセンサーを概略的に示す斜視図であり、
図4は、
図3の有機CMOSイメージセンサーの部分断面図である。
図3及び
図4を参照すると、本発明の一実施形態による有機CMOSイメージセンサー300は、感光素子(50B、50R)、伝送トランジスター(図示せず)と電荷保存場所55が集積された半導体基板310、下部絶縁層60、カラーフィルター層70、上部絶縁層80、及び有機光電素子100を備える。
【0071】
半導体基板310は、シリコン基板であり、感光素子(50B、50R)、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷保存場所55が集積される。
感光素子(50R、50B)は、光ダイオードである。
感光素子(50B、50R)、伝送トランジスター、及び/又は電荷保存場所55は、画素毎に集積され、例えば
図3、4に示すのように、感光素子(50B、50R)は青色画素及び赤色画素に含まれ、電荷保存場所55は緑色画素に含まれる。
感光素子(50B、50R)は光を感知し、感知された情報は伝送トランジスターにより転送され、電荷保存場所55は後述する有機光電素子100に電気的に接続され、電荷保存場所55の情報は伝送トランジスターにより転送される。
図には、感光素子(50B、50R)が並設される構造を例示的に示すが、これに限定されるものではなく、青色感光素子50B及び赤色感光素子50Rが垂直に積層することもできる。
【0072】
半導体基板310の上には、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。
金属配線及びパッドは、信号の遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(g)、及びこれらの合金で製作されるが、これらに限定されない。また、上記構造に限定されるものではなく、金属配線及びパッドが感光素子(50B、50R)の下部に配設されてもよい。
金属配線及びパッドの上には、下部絶縁層60が形成される。
下部絶縁層60は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質、或いはSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(lowK)物質で製作される。
下部絶縁層60は、電荷保存場所55を露出させるトレンチを有する。トレンチには、充填材が詰め込まれる。
【0073】
下部絶縁膜60の上には、カラーフィルター層70が形成される。
カラーフィルター層70は、青色画素に形成される青色光を選択的に透過させるフィルター70Bと、赤色画素に形成される赤色光を選択的に透過させる赤色フィルター70Rと、を備える。
実施形態では、緑色フィルターを備えない例について説明するが、場合によって緑色フィルターを備えてもよい。
カラーフィルター層70は、場合によって省略可能であり、例えば、青色感光素子50B及び赤色感光素子50Rが垂直に積層される構造では、青色感光素子50B及び赤色感光素子50Rが積層深さに応じて各波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知することから、カラーフィルター層70を備えなくてもよい。
【0074】
カラーフィルター層70の上には、上部絶縁層80が形成される。
上部絶縁層80は、カラーフィルター層70による段差を除去して平坦化させる。
上部絶縁層80及び下部絶縁層60は、パッドを露出させるコンタクト孔(図示せず)と、緑色画素の電荷保存場所55を露出させる貫通部85と、を有する。
【0075】
上部絶縁層80の上には、上述した有機光電素子100が形成される。
有機光電素子100は、上述したように、第1の電極10、活性層30、及び第2の電極20を備える。
第1の電極10及び第2の電極20は、両方とも透明電極であり、活性層30は、上述した通りである。活性層30は、緑色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知することから、緑色画素のカラーフィルターに取って代わる。
第2の電極20側から入射した光は、活性層30において緑色の波長領域の光が主として吸収されて光電変換され、残りの波長領域の光は第1の電極10を通過して感光素子50B、50Rで感知される。
【0076】
上述したように、緑色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する有機光電素子が積層された構造を有することから、イメージセンサーを小型化させて小型化イメージセンサーを具現することができる。
また、上述したように、一般式1で表わされる化合物をp型又はn型半導体化合物として含むことにより、薄膜の状態でも化合物間の凝集が生じることを防止でき、波長による吸光特性が維持される。
これにより、緑色波長選択性がそのまま維持され、その結果、緑色以外の波長領域の光を余計に吸収して発生するクロストルクが低減され、しかも、感度が高まる。
【0077】
図4には、
図1の有機光電素子100を備える例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図2の有機光電素子200を備える場合にも同様に適用可能である。
図5は、
図2の有機光電素子200を適用した有機CMOSイメージセンサー400を示す断面図である。
【0078】
図6は、本発明の他の実施形態による有機CMOSイメージセンサーの部分断面図である。
図6を参照すると、本実施形態による有機CMOSイメージセンサー500は、緑色の波長領域の光を選択的に吸収する緑色光電素子、青色の波長領域の光を選択的に吸収する青色光電素子、及び赤色の波長領域の光を選択的に吸収する赤色光電素子が積層された構造を有する。
【0079】
本実施形態による有機CMOSイメージセンサー500は、上述した実施形態と同様に、青色感光素子50B及び赤色感光素子50R、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷保存場所55が集積された半導体基板310、絶縁層80、及び有機光電素子100を備える。
しかし、本実施形態による有機CMOSイメージセンサー500は、上述した実施形態とは異なり、青色感光素子50B及び赤色感光素子50Rが積層され、且つカラーフィルター層70が省略される。
青色感光素子50B及び赤色感光素子50Rは、電荷保存場所に電気的に接続され、伝送トランジスター(図示せず)により転送される。
青色感光素子50B及び赤色感光素子50Rは、積層深さに応じて各波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する。
【0080】
上述したように、緑色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する有機光電素子が積層された構造を有し、且つ赤色感光素子及び青色感光素子が積層された構造を有することから、イメージセンサーを更に小型化させて小型化イメージセンサーを具現することができる。
また、上述したように、有機光電素子100は、緑色の波長選択性を高めることから、緑色を除く波長領域の光を余計に吸収して発生するクロストークを減らして感度を高めることができる。
図6には、
図1の有機光電素子用化合物100を含む例を示しているが、これに限定されるものではなく、
図2の有機光電素子200を備える場合にも同様に適用される。
【0081】
図7は、本発明の他の実施形態による有機CMOSイメージセンサーを概略的に示す斜視図である。
また、
図7を参照すると、本実施形態による有機CMOSイメージセンサーは、緑色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する緑色光電素子G、青色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する青色光電素子B及び赤色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する赤色光電素子Rが積層される構造である。
図には、赤色光電素子R、青色光電素子B、及び緑色光電素子Gがこの順に積層された構造を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、積層順序は種々に変更可能である。
緑色光電素子Gは、上述した有機光電素子100であり、青色光電素子Bは、対向する電極と、これらの間に介在されて青色の波長領域の光を選択的に吸収する有機物質を含む活性層と、を備え、赤色光電素子Rは、対向する電極と、これらの間に介在されて赤色の波長領域の光を選択的に吸収する有機物質を含む活性層と、を備える。
【0082】
上述したように、緑色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する有機光電素子G、青色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する有機光電素子B及び赤色の波長領域の光を選択的に吸収及び/又は感知する有機光電素子Rが積層された構造を有することから、イメージセンサーを更に小型化させて小型化イメージセンサーを具現することができると共に、感度を高めてクロストークを低減させることができる。
本イメージセンサーは、様々な電子装置に適用可能であり、例えば、モバイル電話、デジタルカメラなどに適用されるが、これらに限定されない。
【0083】
次に、合成例及び実施例を挙げて上述した本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
但し、下記の合成例及び実施例は単に説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0084】
《合成例》
●合成例1
下記に示す一般式(1−1)で表わされる化合物(2−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-1)】
【化E1】
5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(5−(naphthalen−1−yl(phenyl)amino)selenophene−2−carbaldehyde、化合物1a、1mmol)、及び1H−インデン−1,3(2H)−ジオン(1H−indene−1,3(2H)−dione、化合物1b、1mmol)をエタノール(10mL)に混合した後に攪拌する。
攪拌溶液にピペリジンを2〜3滴添加した後、混合溶液を85℃で6時間攪拌する。
上記混合溶液を常温(24℃)まで冷却させた後、水を注いで固体として沈殿させた後、得られた固体を真空ろ過により回収する。
回収した固体はジクロロメタンに溶かした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて、ジクロロメタン及びヘキサン混合溶液に分離する。
分離された溶液から溶媒を除去した後、得られた固体をジクロロメタン及びヘキサン混合溶液で再結晶化させて一般式(1−1)で表わされる化合物を得る。
歩留まり率は、95%である。
一般式(1−1)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、600MHz)は、
図8に示す。
【0085】
●合成例2
下記に示す一般式(1−2)で表わされる化合物(2−((5−((4−メチルナフタレン−1−イル)(p−トリル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-2)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((4−メチルナフタレン−1−イル)(p−トリル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−2)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、95%である。
一般式(1−2)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図9に示す。
【0086】
●合成例3
下記に示す一般式(1−3)で表わされる化合物(2−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-3)】
合成例1において、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1H−cyclopenta[b]naphthalene−1,3(2H)−dione、1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−3)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−3)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、600MHz)は、
図10に示す。
【0087】
●合成例4
下記に示す一般式(1−4)で表わされる化合物(2−((5−((4−メチルナフタレン−1−イル)(フェニル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-4)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((4−メチルナフタレン−1−イル)(フェニル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用い、且つ、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−4)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−4)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図11に示す。
【0088】
●合成例5
下記に示す一般式(1−5)で表わされる化合物(2−((5−((3,5−ジメチルフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-5)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((3、5−ジメチルフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用い、且つ、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−5)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−5)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図12に示す。
【0089】
●合成例6
下記に示す一般式(1−6)で表わされる化合物(2−((5−((3−クロロフェニル)(ナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-6)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((3−クロロフェニル)(ナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用い、且つ、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−6)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−6)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図13に示す。
【0090】
●合成例7
下記に示す一般式(1−7)で表わされる化合物(2−((5−((3−クロロフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-7)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((3−クロロフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用い、且つ、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−7)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−7)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図14に示す。
【0091】
●合成例8
下記に示す一般式(1−8)で表わされる化合物(2−((5−((4−クロロフェニル)(ナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-8)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((4−クロロフェニル)(ナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用い、且つ、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−8)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−8)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図15に示す。
【0092】
●合成例9
下記に示す一般式(1−9)で表わされる化合物(2−((5−((4−クロロフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-9)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((4−クロロフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用い、且つ、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−9)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−9)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図16に示す。
【0093】
●合成例10
下記に示す一般式(1−10)で表わされる化合物(2−((5−((3−メトキシフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-10)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−((3−メトキシフェニル)(4−メチルナフタレン−1−イル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用い、且つ、化合物1bの代わりに、1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−10)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
一般式(1−10)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、300MHz)は、
図17に示す。
【0094】
●合成例11
下記に示す一般式(1−11)で表わされる化合物(2−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)テルロフェン−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-11)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)テルロフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−11)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、95%である。
1H−NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.32(s,1H),δ 8.07−8.02(m,2H),δ 7.92(m,2H),δ 7.60−7.53(m,5H),δ 7.38−7.20(m,3H),δ 6.98(m,1H),δ 6.81(m,1H),δ 6.70(d,1H),δ 6.29(m,2H),δ 6.15(d,1H).HRMS(ESI
+)Calculated for C
30H
20NO
2Te [M+H
+]:556.0556 Found:556.0555.
【0095】
●合成例12
下記に示す一般式(1−12)で表わされる化合物(2−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)−1−オキシドチオフェン−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-12)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)チオフェン−2−カルブアルデヒド1−オキシド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−12)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
1H−NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.32(s,1H),δ 8.07−8.02(m,2H),δ 7.92(m,2H),δ 7.60−7.53(m,5H),δ 7.38−7.20(m,3H),δ 6.98(m,1H),δ 6.81(m,1H),δ 6.70(d,1H),δ 6.29(m,2H),δ 6.15(d,1H).HRMS(ESI
+)Calculated for C
30H
20NO
3S [M+H
+]:474.1164 Found:474.1165.
【0096】
●合成例13
下記に示す一般式(1−13)で表わされる化合物(2−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)−1,1−ジオキシドチオフェン−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-13)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)チオフェン−2−カルブアルデヒド1,1−ジオキシド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−13)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、93%である。
1H−NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.32(s,1H),δ 8.07−8.02(m,2H),δ 7.92(m,2H),δ 7.60−7.53(m,5H),δ 7.43(d,1H),δ 7.38−7.20(m,3H),δ 6.98(m,1H),δ 6.88(d,1H),δ 6.81(m,1H),δ 6.29(m,2H).HRMS(ESI
+) Calculated for C
30H
20NO
4S [M+H
+]:490.1113 Found:490.1115.
【0097】
●合成例14
下記に示す一般式(1−14)で表わされる化合物(2−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)−1H−シロール−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-14)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)−1H−シロール−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−14)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、90%である。
1H−NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.32(s,1H),δ 8.07−8.02(m,2H),δ 7.92(m,2H),δ 7.60−7.53(m,5H),δ 7.38−7.20(m,3H),δ 6.98(m,1H),δ 6.81(m,1H),δ 6.70(d,1H),δ 6.29(m,2H),δ 6.15(d,1H).HRMS(ESI
+)Calculated for C
30H
22NO
2Si [M+H
+]:456.1420 Found:456.1420
【0098】
●合成例15
下記に示す一般式(1−15)で表わされる化合物(2−((1,1−ジメチル−5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)−1H−シロール−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-15)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、1,1−ジメチル−5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)−1H−シロール−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−15)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、70%である。
1H−NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.32(s,1H),δ 8.07−8.02(m,2H),δ 7.92(m,2H),δ 7.60−7.53(m,5H),δ 7.38−7.20(m,3H),δ 6.98(m,1H),δ 6.81(m,1H),δ 6.70(d,1H),δ 6.29(m,2H),δ 6.15(d,1H),δ 0.14(s,6H).HRMS(ESI
+)Calculated for C
32H
26NO
2Si [M+H
+]:484.1733 Found:484.1730.
【0099】
●合成例16
下記に示す一般式(1−16)で表わされる化合物((E)−1,4−ジメチル−5−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)セレノフェン−2−イル)メチレン)−2,6−ジオキソ−1,2,5、6−テトラヒドロピリジン−3−カルボニトリル)の合成。
【化(1-16)】
【化(E1-16)】
5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(化合物1a、1mmol)及び6−ヒドロキシ−1,4−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル(化合物2b、1mmol)を無水酢酸(Ac
2O)0.5mLに混合した後、100℃で30分間攪拌する。
常温まで冷却させた後、ヘキサンを添加して固体として沈殿させた後、得られた固体を真空ろ過により回収する。
回収された固体はジクロロメタンに溶かした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて、ジクロロメタン及びエチルアセテート混合溶液に分離する。
分離された溶液から溶媒を除去した後、得られた固体をジクロロメタン及びヘキサン混合溶液で再結晶化させて一般式(1−16)で表わされる化合物を得る。
歩留まり率は、75%である。
1H−NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.07−8.02(m,2H),δ 7.57−6.63(m,10H),δ 7.60(d,1H),δ 7.50(s,1H),δ 6.36(d,1H),δ 3.23(s,3H),δ 2.21(s,3H).
【0100】
●比較合成例1
下記に示す一般式(1−17)で表わされる化合物(2−((5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)チオフェン−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成
【化(1-17)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)チオフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−17)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、80%である。
一般式(1−17)で表わされる化合物の
1H−NMR(CD
2Cl
2、600MHz)は、
図18に示す。
【0101】
●比較合成例2
下記に示す一般式(1−18)で表わされる化合物(2−((5−(ピペリジン−1−イル)セレノフェン−2−イル)メチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)の合成。
【化(1-18)】
合成例1において、化合物1aの代わりに、5−(ピペリジン−1−イル)セレノフェン−2−カルブアルデヒド(1mmol)を用いて、合成例1の方法と同様にして一般式(1−18)で表わされる化合物を合成する。
歩留まり率は、75%である。
1H−NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.32(s,1H),δ 7.92(m,2H),δ 7.60(m,2H),δ 7.14(d,1H),δ 5.86(d,1H),δ 3.17(m,4H),δ 1.59−1.53(m,6H).
【0102】
《合成例1〜16と比較合成例1及び2による化合物の吸光特性》
合成例1〜16と比較合成例1及び2の化合物の波長による吸光特性を評価した。
吸光特性は、溶液状態及び薄膜状態で行った。
溶液状態の吸光特性は、合成例1〜16と、比較合成例1及び2において得られた化合物をそれぞれジクロロメタンに1.0x10
−5mol/Lで溶かして準備した後に評価した。
薄膜状態の吸光特性は、合成例1〜16と、比較合成例1及び2において得られた化合物を高真空(<10
−7Torr)下で0.5〜1.0Å/sの速度で熱蒸着して70nmの厚さの薄膜を準備した後、薄膜をCary5000UV分光計(バリアン社製)を用いて紫外線−可視光線(UV−Vis)を照射して評価した。
【0103】
《合成例1〜16と比較合成例1及び2による化合物の熱安定性》
合成例1〜16と比較合成例1及び2の化合物の熱安定性を熱分解温度を測定して評価した。
熱分解温度は化合物が分解され始める温度であり、化合物が本来の分子構造を維持できずに変形される温度である。
一般に、熱分解温度以上においては、化合物を構成する分子内の原子が大気又は真空中に揮発されて消失されるため、熱分解温度は、化合物の初期重量が熱により0.5%減少し始める温度であると評価される。
ここでは、熱重量分析(thermal gravimetric analysis:TGA)方法により測定した。
【0104】
上記それぞれの評価結果を下記に示す表1に記載する。
【表1】
(イメージ貼付)
【0105】
表1を参照すると、合成例1〜16の化合物が比較合成例1及び2の化合物に比べて緑色の波長領域(例えば薄膜の状態で530nm超え575nm以下)において最大の吸収波長を示し、半値幅も狭くなることが分かる。
特に、比較合成例2による化合物は、溶液状態における半値幅は狭いが、薄膜状態では構造の平面性により分子間の凝集が起きて半値幅が広くなったものと認められる。
このため、合成例1〜16の化合物が比較合成例1及び2の化合物に比べて緑色波長選択性に優れることが確認される。
【0106】
表1を参照すると、合成例1〜16の化合物と比較合成例1及び2の化合物の薄膜状態における最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーレベルと各化合物の最低被占分子軌道(LOMO)エネルギーレベルとの間の差分は約2.0eV以内であり、エネルギーバンドギャップは略同じであることが確認される。
合成例1〜16の化合物は、薄膜状態における最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーレベルが5.10eV以上であり、薄膜状態における最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーレベルが5.02eVと非常に低い比較合成例2の化合物に比べてさらに高い光電変換効率を具現することができる。
特に、合成例12及び13の化合物は、5.5eV以内の最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーレベルを有する隣り合う電荷補助層40、45に分離された正孔を伝え易くして光電変換効率を高める。
このような特性により、有機光電素子に電荷補助層40、45をさらに用いる場合、合成例12及び13の化合物はさらに高い電変換効率を具現することができる。
【0107】
また、合成例1、合成例11、合成例14及び合成例15の化合物は、薄膜状態における最低被占分子軌道(LOMO)エネルギーレベルが比較合成例1の最低被占分子軌道(LOMO)エネルギーレベルよりも低いことから、外部から印加される電子の注入が遮断され易く、その結果、暗電流特性が改善される。
更に、合成例1〜16の化合物は、比較合成例1及び2の化合物に比べて熱分解温度が高いことから、合成例1〜16の化合物が優れた熱安定性を有することが確認される。
【0108】
《実施例1》
〈有機光電素子の製作〉
ガラス基板の上にインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法により積層して約150nmの厚さのアノードを形成し、合成例1による一般式(1−1)で表わされる化合物(p型半導体化合物)とC60(n型半導体化合物)を1:1の厚さ比で共蒸着して85nmの厚さの活性層を形成する。
その上に電荷補助層としてモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)薄膜を30nmの厚さで積層する。
次いで、モリブデン酸化物薄膜の上にインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法により積層して80nm厚さのカソードを形成して有機光電素子を製作する。
【0109】
《実施例2〜16》
〈有機光電素子の製作〉
合成例1による化合物の代わりに、合成例2〜16による化合物を用いる以外は、実施例1の方法と同様にして実施例2〜16の有機光電素子を製作する。
【0110】
《実施例1〜16の有機光電素子の外部量子効率(EQE)》
実施例1〜16による有機光電素子の波長及び電圧に対する外部量子効率(EQE)を評価した。
外部量子効率は、IPCE測定システム(マックサイエンス社製、韓国)設備を用いて測定した。
先ず、Si光ダイオード(浜松ホトニクス社製、日本)を用いて設備を補正した後、実施例1〜16による有機光電素子を設備に取り付け、波長範囲約350nm〜750nmの領域において外部量子効率を測定した。
【0111】
これらのうち実施例1の有機光電素子の外部量子効率の測定結果を
図19及び
図20にそれぞれ示す。
図19は、実施例1による有機光電素子の電圧による外部量子効率を示すグラフであり、
図20は、実施例1による有機光電素子の電圧−電流の特性を示すグラフである。
図19及び
図20を参照すると、実施例1による有機光電素子は、約500nm〜600nmの緑色の波長領域において外部量子効率(EQE)に優れることが分かる。
【0112】
《実施例17〜26》
〈有機光電素子の製作〉
ガラス基板の上にインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法により積層して約150nmの厚さのアノードを形成し、その上に表2に記載の化合物(p型半導体化合物)とC60(n型半導体化合物)を1:1の厚さ比で共蒸着して表2に記載の厚さの活性層を形成する。
次いで、電荷補助層としてモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)薄膜を30nmの厚さで活性層の上に積層する。
次いで、モリブデン酸化物薄膜の上にインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法により積層して80nm厚さのカソードを形成して有機光電素子を製作する。
【0113】
《比較例1及び比較例2》
〈有機光電素子の製作〉
合成例1による一般式(1−1)で表わされる化合物の代わりに、比較合成例1及び2による一般式(1−17)及び(1−18)で表わされる化合物を用いる以外は、実施例17〜26の方法と同様にして有機光電素子を製作する。
【0114】
《実施例17〜26及び比較例1〜2による有機光電素子の外部量子効率、最大の吸収波長、暗電流、及び耐熱性》
実施例17〜26及び比較例1〜2による有機光電素子の外部量子効率、最大の吸収波長、暗電流及び耐熱性を評価してその結果を下記に示す表2に記載する。
外部量子効率、最大の吸収波長及び暗電流は、IPCE測定システム(マックサイエンス社製、韓国)設備を用いて測定した。
先ず、Si光ダイオード(浜松ホトニクス社製、日本)を用いて設備を補正した後、実施例17〜実施例26及び比較例1による有機光電素子を設備に取り付け、波長範囲約350nm〜750nmの領域において外部量子効率及び最大の吸収波長を測定した。
耐熱性は、素子を160℃で駆動して外部量子効率が初期値(100%)から95%未満に低下する時間を記載した。
【0116】
表2に示すように、実施例17〜26による有機光電素子は、比較例1による有機光電素子に比べて外部量子効率に優れ、緑色の波長領域において最大の吸収波長を示し、暗電流はかなり低減され、しかも、耐熱性に優れることが分かる。
【0117】
《有機光電素子の熱安定性》
実施例17〜26と比較例1及び2による有機光電素子を160℃で熱処理して熱処理時間による外部量子効率及び暗電流(DC)を3Vで測定した。
これらのうち実施例17及び比較例1の熱処理時間による外部量子効率及び暗電流(DC)の測定結果を
図21及び
図22に示す。
図21は、実施例17及び比較例1による有機光電素子の熱処理時間による外部量子効率の測定結果を示す図であり、
図22は、実施例17及び比較例1による有機光電素子の熱処理時間による暗電流(DC)の測定結果を示す図である。
【0118】
図21を参照すると、実施例17による有機光電素子は、外部量子効率の経時的な変化がほとんどなかったが、比較例1による有機光電素子は、30分が経過したときに外部量子効率が上がっていて、60分が経過したときに外部量子効率が急減した。
図22を参照すると、実施例17による有機光電素子は、熱処理が経過することに伴い、暗電流の変化がほとんどなかったが、比較例1による有機光電素子は、熱処理時間が経過することに伴い、暗電流の変化が多かった。
このことから、実施例17による有機光電素子の熱安定性が比較例1による有機光電素子に比べて良好であることが分かり、素子の製作工程における後続工程の熱処理工程にも有利であることが分かる。
【0119】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。