【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社マルハン 吉原店(住所:静岡県富士市八代町12番12号)において、平成28年10月12日に試用目的で設置。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る回収受皿60及びこの回収受皿60を備えた遊技媒体循環システム4について、図面を参照して説明する。ここでは、遊技媒体循環システム4を遊技ホールにおける遊技機島1に適用した場合について説明する。
【0028】
図1で示すように、この実施形態における遊技機島1は、スロットマシン2(遊技媒体使用機)とメダル貸出機3(遊技媒体使用機)が交互に複数並設される遊技媒体使用機列5が、手前側から左側に湾曲する曲線上に延在されるR島である。遊技媒体使用機列5は、左側に湾曲する曲線上に配置された複数の膳板6上に載置されており、スロットマシン2とメダル貸出機3の間に生じる隙間を台間板(図示せず)で塞いでいる。遊技媒体使用機列5の裏側には、遊技媒体循環システム4が組み込まれている。
【0029】
スロットマシン2は、
図2で示すように、遊技者がメダルを用いて遊技を行うものである。遊技者は、スロットマシン2内にメダルを投入し、レバー2a等の操作手段を操作した結果、3列のリールの図柄が予め入賞設定された組み合わせとなったときに、内蔵された貯留部2bから相応する枚数のメダルをトレイ2cに払い出す。一方で、遊技者がスロットマシン2内にメダルを投入するとメダルは貯留部2bに貯留されるが、メダルを投入し続けると貯留部2bの最大貯留量を超えオーバーフローする。オーバーフローしたメダルは、図示しない管路を介して筐体の下面の設けられた落下口(図示せず)から、スロットマシン2外に排出される。
【0030】
メダル貸出機3はスロットマシン2に隣接して配置されている。
図3で示すように、メダル貸出機3は、遊技者の所定の操作、例えば遊技者の貨幣投入口(図示せず)への貨幣の投入に応じて、内蔵された貯留部3aからノズルシュート3bを介して所定数のメダルをスロットマシン2のトレイ2c内に貸し出す。また、メダル貸出機1には、メダルを計数する計数装置(図示せず)が内蔵されており、ノズルシュート3bの計数投入口3cから投入されたメダルを計数することができる。計数装置による計数を終えたメダルは、図示しない管路を介して筐体の下面の設けられた落下口(図示せず)から、メダル貸出機3外に排出される。
【0031】
遊技媒体循環システム4は、遊技機島1内でメダルを循環するための装置であり、
図1〜3に示すように、メダルを貯留する貯留タンク7と、貯留タンク7に貯留されたメダルを遊技機島1内に搬送する遊技媒体補給装置8と、遊技媒体補給装置8とスロットマシン2(メダル貸出機3)の間に介設され、メダルを遊技媒体補給装置8からスロットマシン2(メダル貸出機3)に流下する第1の流下装置9と、メダルを回収して貯留タンク7に搬送する遊技媒体回収装置10と、スロットマシン2(メダル貸出機3)と遊技媒体回収装置10の間に介設され、メダルをスロットマシン2(メダル貸出機3)から遊技媒体回収装置10に流下する第2の流下装置11A〜11Dと、により主に構成されている。
【0032】
貯留タンク7は、
図1で示すように、遊技媒体回収装置10により回収されたメダルを貯留可能な容器であって遊技機島1の手前側に備えられた収納ボックス7A内に収容されている。収納ボックス7A内には、貯留タンク7に貯留されたメダルを遊技媒体補給装置8に揚送するリフタ装置(図示せず)、その他メダル洗浄機・脱水機(図示せず)などが収納されている。
【0033】
遊技媒体補給装置8は、
図1〜3で示すように遊技機島1の上部に配置され、貯留タンク7からリフタ装置より揚送されたメダルを遊技機島1内に搬送する装置である。遊技媒体補給装置8は、収納ボックス7Aから遊技機島1の延在方向に沿って直線状に設置される第1補給ライン8Aと、手前から2番目のメダル貸出機3付近から遊技機島1の延在方向に沿って直線状に設置される第2補給ライン8Bと、を主に備える。第1補給ライン8Aと第2補給ライン8Bは、メダルを搬送するための搬送ベルト(図示せず)と、搬送ベルトを内面側から支持する断面H形のフレーム(図示せず)と、搬送ベルトを一定方向に駆動させるドライブユニット(図示せず)と、搬送ベルトを上方から覆うカバー体(図示せず)と、を主に備える。なお、
図1における矢印の方向はメダルの搬送方向である。
【0034】
図1で示すように、第2補給ライン8Bの搬送方向対向側の端部は、第1補給ライン8Aの搬送方向側の端部の直下に配置されている。第1補給ライン8Aの端部まで搬送されたメダルは、第1補給ライン8Aの端部から第2補給ライン8Bの搬送方向対向側の端部に落下して第2補給ライン8Bにより搬送される。また、
図1で示すように、第2補給ライン8Bは、遊技機島1の延在方向に合わせて第1補給ライン8Aの搬送方向に対して左側に傾斜した向きに配置され搬送方向を変化させている。このように構成すれば、湾曲する曲線上に並設されるスロットマシン2とメダル貸出機3に対し、直線状に形成される第1補給ライン8Aと第2補給ライン8Bを近接させることができる。なお、第2補給ライン8Bの搬送方向側の端部まで搬送されたメダルは落下管(図示せず)を介して遊技媒体回収装置10の第1回収ライン10A上に落下する構成となっている。
【0035】
第1の流下装置9は、
図1〜3で示すように遊技媒体補給装置8とスロットマシン2(メダル貸出機3)の間に介設され、遊技媒体補給装置8からスロットマシン2(メダル貸出機3)に流下する装置である。第1の流下装置9は、遊技媒体補給装置8により搬送されるメダルを制御部(図示せず)の制御によりフラップ(図示せず)を降下して塞き止めて吐出口(図示せず)から流下させる分配装置9Aと、分配装置9Aの吐出口とスロットマシン2(メダル貸出機3)の背面の投入口2d(投入口3d)を連結する中空状の蛇腹管9Bと、により主に構成されている。第1の流下装置9により流下されたメダルは、スロットマシン2の貯留部2b(メダル貸出機3の貯留部3a)に貯留される。
【0036】
遊技媒体回収装置10は、
図1〜3で示すように遊技機島1の下部に配置され、第2補給ライン8Bから落下管に落下したメダル、スロットマシン2から排出されたメダル及びメダル貸出機3から排出されたメダルを回収して貯留タンク7に搬送する装置である。遊技媒体回収装置10は、収納ボックス7Aから遊技機島1の延在方向に沿って直線状に設置される第2回収ライン10Bと、2番目のメダル貸出機3付近から遊技機島1の延在方向に沿って直線状に設置される第1回収ライン10Aと、を主に備える。第1回収ライン10Aは、
図5で示すよう、メダルを搬送するための搬送ベルト10cと、搬送ベルト10cを内面側から支持する断面H形のフレーム10dと、搬送ベルト10cを一定方向に駆動させるドライブユニット(図示せず)と、搬送ベルト10cを上方から覆うカバー体(図示せず)と、を主に備える。なお、第2回収ライン10Bは、第1回収ライン10Aと同様の構成である。
図1に示す実施形態では、直線コンベアを複数組み合わせる実施形態を示したが、直線コンベアに代えて曲線コンベアを用いることもできる。
【0037】
図1で示すように、第2回収ライン10Bの搬送方向対向側の端部は、第1回収ライン10Aの搬送方向側の端部の直下に配置されている。第1回収ライン10Aの端部まで搬送されたメダルは、第1回収ライン10Aの端部から第2回収ライン10Bの搬送方向対向側の端部に落下して第2回収ライン10Bにより搬送される。また、
図1で示すように、第1回収ライン10Aは、遊技機島1の延在方向に合わせて第2回収ライン10Bの搬送方向に対して左側に傾斜した向きに配置され搬送方向を変化させている。このように構成すれば、湾曲する曲線上に並設されるスロットマシン2とメダル貸出機3に対し、直線状に形成される第1回収ライン10Aと第2回収ライン10Bを近接させることができる。第2回収ライン10Bの搬送方向側の端部まで搬送されたメダルは貯留タンク7内に落下する。
【0038】
第2の流下装置11A〜11Dは、
図1〜3で示すように、スロットマシン2(メダル貸出機3)と遊技媒体回収装置10の間に介設され、メダルをスロットマシン2(メダル貸出機3)から遊技媒体回収装置10に流下する装置である。第2の流下装置11Aは、
図2,3,10で示すように、スロットマシン2から第1回収ライン10Aに向けて流下するメダルを中継する回収シュート20と、回収シュート20を延長する延長シュート40と、延長シュート40から第1回収ライン10Aに向けて流下するメダルを中継する回収受皿60と、により主に構成される。
【0039】
回収シュート20は、
図4,6で示すように、スロットマシン2から流下するメダルを取り込む第1の取込口21aと、取り込んだメダルを流下する第1の排出口21bと、を備える上部シュート21と、第1の排出口21bから流下するメダルを取り込む第2の取込口31aと、取り込んだメダルを遊技媒体回収装置10に向けて流下する第2の排出口31bと、を備える下部シュート31と、上部シュート21に対し下部シュート31を鉛直方向に回動可能に支持して連結する軸30と、を備える。
【0040】
上部シュート21は、
図4,6で示すように、例えばポリアミド樹脂製の中空の矩形筒体22を備え、上端面の矩形状の開口が第1の取込口21aを形成し、下端面の矩形状の開口が第1の排出口21bを形成している。第1の排出口21bは、第1の取込口21aより小さい矩形状の開口であって、第1の取込口21aの下方かつ遊技機島1の後方向(以下、後方向:
図6参照)に偏った位置に形成されている。矩形筒体22を構成する4面の側壁23〜26には、第1の取込口21aを形成する上端付近に、膳板6を長方形状に切り抜いて形成された開口に装着する際にねじ止めされる膳板取付部27が形成されている。
【0041】
上部シュート21の矩形筒体22を構成する4面の側壁23〜26のうちの遊技機島1の前方向(以下、前方向:
図6参照)の側壁23は、膳板取付部27の下方から後方向に傾斜して延設されており、傾斜した側壁23の内面側に第1の排出口21bに向かうに連れて下り傾斜する傾斜底面23aが形成されている。この傾斜底面23aの表面には、メダルと傾斜底面23aとの間の摩擦を軽減するための凸条23bが流下方向に沿って形成されている。また、側壁23の外面側には、後述する下部シュート31のジョイント部37の係止片37bの上端と当接して下部シュート31の回動範囲を規制する回動係止部23cが突設されている。
【0042】
上部シュート21の矩形筒体22を構成する4面の側壁23〜26のうちの後方向の側壁25には、矩形状に切り欠いた第1の切欠き部25aが下端に形成されている。このように第1の切欠き部25aを形成することによって、メダルの排出部位を広げてメダルの流下量を増加することができるため、メダルを上部シュート21から下部シュート31に円滑に流下させることができる。また、下部シュート31の第2の取込口31aの配置位置を上げることができるので、回収受皿60(
図2、3参照)までの傾斜角度を大きくすることができ、メダルの流下を促進してメダルの滞留を抑制することができる。
【0043】
図4、6に示すように上部シュート21の第1の切欠き部25aは、前方向及び後方向に遥動自在に開閉するカバープレート27により覆われている。カバープレート27は、矩形状の板体27aと、板体27aの上端に連結される棒材27bと、棒材27bの両側端部から突設される揺動軸(図示せず)と、から主に構成され、この揺動軸が遊技機島1の延在方向(以下、延在方向)の側壁26と遊技機島1の手前方向(以下、手前方向)の側壁24に設けられた軸受穴(図示せず)に支承されている。このように構成することにより、勢い良く流下してきたメダルがカバープレート27に衝突してメダルの流下速度が減速するため、メダルの飛び出しを抑制することができる。
【0044】
上部シュート21の矩形筒体22を構成する4面の側壁23〜26のうちの延在方向の側壁26と手前方向の側壁24には、後述する下部シュート31を鉛直方向(鉛直方向又は鉛直方向を含む方向)に回動自在に軸支する軸30が延在及び手前方向に突設されている(
図6参照)。
【0045】
下部シュート31は、
図4,6で示すように、例えばポリカーボネート製の中空の矩形筒体32を備え、上端面の矩形状の開口が第2の取込口31aを形成し、下端面の矩形状の開口が第2の排出口31bを形成している。第2の取込口31aと第2の排出口31bは同じ大きさの開口であって、上述した上部シュート21の第1の排出口21bより若干大きい開口である。矩形筒体32を構成する4面の側壁33〜36のうちの下方向の側壁33と上方向の側壁35には、後述する延長シュート40を連結するための連結係合凸部33b,35bが外面側に突設されている。
【0046】
下部シュート31における矩形筒体32の第2の取込口31a側には、
図4,6で示すように、上部シュート21の下部が挿入可能なジョイント部37が配設されている。ジョイント部37は、矩形筒体32を構成する4面の側壁33〜36のうちの手前方向の側壁34と延在方向の側壁36に延設される軸受腕片37aと、下方向の側壁33に延設される係止片37bと、上方向の側壁35の第2の取込口31a側にスペースを形成するように切り欠かれて形成される第2の切欠き部37cと、により主に構成される。
【0047】
下部シュート31の軸受腕片37aは、上部シュート21の軸30に支持される軸受孔37dが穿設されている。軸受腕片37aは、外側への弾性変形が容易になるように、上流端から下流端方向に長方形状に切り欠いて形成された切欠き部37eを備える。
【0048】
下部シュート31の係止片37bの上端辺は、下部シュート31が前方向に回動した際に上部シュート21の回動係止部23cに当接し、下部シュート31の前方向への過度の回動を規制することができる。この場合に回動係止部23cは、後方向を0度として鉛直下方を90度とすると、側壁33の傾斜角度が約70度まで回動するように規制している。このように側壁33の傾斜角度を規制することによって、上部シュート21の第1の排出口21bから流下してきたメダルを必ず一旦は側壁33に接触させて、メダルの流下速度を制限することができる。このようにメダルの流下速度を制限することにより、受皿本体61等からのメダルの飛び出しを抑制するとともに、勢いよく流下してきたメダルが直接受皿本体61に衝突することに伴う受皿本体61の磨耗や損傷を抑制することができる。また、傾斜角度の増加に伴い、カバープレート27が第2の切欠き部37cを越えて側壁35の外側へ出てしまうことを防止している。係止片37bの内面側の表面は側壁33の内面側の表面と面一に形成されており、係止片37bと側壁33の内面側の表面にメダルと内面との間の摩擦を軽減するための凸条33aが流下方向に沿って形成されている。
【0049】
下部シュート31の第2の切欠き部37cは、下部シュート31が鉛直方向(上方向)に回動した際に上部シュート21との接触を回避するために形成されている。この場合に第2の切欠き部37cは、後方向を0度として鉛直下方を90度とすると、側壁33の傾斜角度が約20度を下回らないように回動を規制している。このように側壁33の最小傾斜角度を規制することによって、下部シュート31内を流れるメダルの流下を促進して、メダルの滞留を抑制することができる。また、側壁35における第2の切欠き部37c側の端縁は、上述したカバープレート27が後方向に回動した際に当接してカバープレート27が第2の切欠き部37cから側壁35の外側に飛び出すのを防止する。
【0050】
このように下部シュート31の矩形筒体32の流入側にジョイント部37が配設されることによって、下部シュート31の回動位置に関わらず上部シュート21の第1の排出口21bから流下するメダルをこぼれることなく下部シュート31の第2の取込口31aに流下させることができる。
【0051】
延長シュート40は、
図4,7で示すように、下部シュート31の第2の排出口31bから流下するメダルを取り込む第3の取込口41aと、取り込んだメダルを遊技媒体回収装置10に向けて流下する第3の排出口41bと、を備える。
【0052】
延長シュート40は、
図4,7で示すように、例えばポリカーボネート製の中空の矩形筒体41を備え、流入側端面の矩形状の開口が第3の取込口41aを形成し、排出側端面の矩形状の開口が第3の排出口41bを形成している。第3の取込口41aは、下部シュート31の第2の排出口31bと同じ大きさであって、第3の取込口41aと第3の排出口41bは同じ大きさである。
【0053】
矩形筒体41を構成する4面の側壁42〜45のうちの下方向の側壁42と上方向の側壁44には、上述した下部シュート31の連結係合凸部33b,35bを係合可能な連結係合開口42a,44aが穿設された延長シュート碗部42b,44bが流入側端部から延設されている。また、側壁42,44には、外面側に他の延長シュート40を連結するための延長シュート連結係合凸部42c,44cが形成されている。
【0054】
このように構成される延長シュート40は、
図10で示すように、他の延長シュート40の連結係合開口42a,44aを延長シュート連結係合凸部42c,44cに係合することにより他の延長シュート40と連結することができる。このため、延長シュート40と後述する回収受皿60との間の距離が離れている場合、必要な数の延長シュート40を連結して継ぎ足せば回収受皿60まで延長することができる。
【0055】
回収受皿60は、
図5,8で示すように、延長シュート40の第3の排出口41b等から流下したメダルを受けて遊技媒体回収装置10に向けて流下する受皿本体61と、受皿本体61の円筒軸70を回動可能に支持する受皿ホルダ80と、遊技媒体回収装置10に受皿ホルダ80を取り付けるための受皿ホルダ押さえ具90と、から主に構成される。受皿本体61は、受皿本体61の外周を取り囲む側壁65〜67と、受皿本体61から下方に延設される円筒軸70とが、一体に形成され、受皿本体61の外周を取り囲む側壁64が着脱可能に取り付けられている。
【0056】
受皿本体61は、例えばポリカーボネート製であって、
図5,8で示すように、上述した延長シュート40の第3の排出口41bから流下するメダルを受ける長方形板状の受皿部62と、受皿部62の最下位置に形成されメダルを遊技媒体回収装置10に向けて流下する円形の流下口63と、を備えている。この受皿部62は、流下口63に向かうに連れて下方に傾斜する傾斜面62aを備えている。傾斜面62aを備えることにより、延長シュート40から流下して受けたメダルを円滑に流下口63まで流下させることができる。この傾斜面62aの表面には、メダルと傾斜面62aとの間の摩擦を軽減するための凸条62bが流下方向に沿って形成されている。
【0057】
側壁64〜67は、
図5,8で示すように、受皿本体61の外周を取り囲むように立設された4枚の板状体で構成される。受皿本体61の外周を取り囲む側壁64〜67が立設されることにより、勢い良く流下して受皿部62と衝突して跳ね上がったメダルを跳ね返して円滑に流下口63に導くことができる。この場合、側壁65,67は受皿部62からメダルの流下方向に沿って立設され、側壁66は側壁65,67と共に流下口63を囲むように受皿部62の側端部から立設されている。このように構成される側壁65〜67は受皿本体61と一体に形成されている。
【0058】
図8で示すように、受皿部62の上り側の側端部に立設される側壁64は、受皿本体61から分離して着脱可能に形成されており、例えばポリカーボネート製である。側壁64は、側壁65及び67の内法と同等の横幅に形成される矩形板状の蓋体64aと、蓋体64aの側方の両端部に突設される矩形板状のスライダ64bと、下方向の端部に弾性変形可能に形成された係合フック64cと、により主に構成される。側壁64は、側壁65,67の内面側に形成された案内溝65a,67aにスライダ64bを上方から挿入し、受皿部62に形成された係合凹部62cに係合フック64cを係合すれば、受皿本体61に取り付けることができる。側壁64を取り付けることにより、受皿部62の上り側の側端部からのメダルの飛び出しを防止することができる。また、側壁64を取り外すことにより、受皿部62の上り側の側端部に流下ルートを構成する他の部材、例えば下部シュート31,延長シュート40を載置して連結して、メダルを流下口63に向けて流すことができる。
【0059】
受皿本体61の円筒軸70は、
図5,8で示すように、受皿本体61の流下口63から下方に延設されており、受皿本体61を水平方向に回動可能に支持する回動軸となる。円筒軸70は、流下口63と同じ大きさの断面円形を有する円柱状の中空が形成された筒状体であって、下端部外周の対向する2カ所にクリック位置決め凸部71が突設されている。このクリック位置決め凸部71は、
図8,9(b)で示すように、鉛直断面が長方形に切妻状の三角形を付加接合した形状になっており、後述する受皿ホルダ80に形成された複数のクリック位置決め凹部88に選択的に係合することができる。また、クリック位置決め凸部71の左右には下端から上端方向に切り欠く切欠き部72が形成されている。クリック位置決め凸部71の左右に切り欠き部72を形成することにより、クリック位置決め凸部71が上下に変位する弾性変形を容易にすることができる。
【0060】
受皿本体61の切欠き部72の左右には、
図8,9(b)で示すように、フランジ状に外延設部73が外周側に延設されている。外延設部73は、鉛直断面が横長の長方形状であって、高さはクリック位置決め凸部71より切妻状の三角形分低く形成されている。また、外延設部73とクリック位置決め凸部71の外周側の端面は、円形の流下口63と同心円であって流下口63より大径に形成されている。このように構成される外延設部73は、受皿ホルダ80の内延設部86の下面に形成される複数のクリック位置決め凹部88の下方に入り込んで受皿本体61の上方向の移動を規制し、受皿本体61の受け皿ホルダ80からの脱落を防止することができる。
【0061】
受皿ホルダ80は、
図5で示すように、円筒軸70を水平方向(水平面内又は水平面内を含む方向)に回動可能に支持する軸受となる。受皿ホルダ80は、例えばポリカーボネート製であって、
図5,8で示すように、矩形板状であって中心に流下口63と同一の大きさの開口であって流下口63から遊技媒体回収装置10に向けて落下するメダルが通過する落下口81aが形成される基部81と、基部81の対向する端辺から下方に延設される一対の脚部82と、を主に備える。受皿ホルダ80は、基部81と一対の脚部82により下方に開口した断面コの字形に形成され、
図5で示すように、遊技媒体回収装置10のフレーム10dに上方から跨って配設することができる。脚部82には、
図5,8で示すように、後述する受皿ホルダ押さえ具90の係合フック92aが嵌合するための嵌合孔82aと、係合フック92aを係合するための取付鍔部82bが設けられている。
【0062】
受皿ホルダ80の基部81の上面の落下口81aの周縁には、
図5,8で示すように、上述した円筒軸70における外延設部73の外周側に対応した円形状平面であって、円筒軸70の下面及び外延設部73の下面を当接して回動可能に支持する第1の摺動面83(スラスト摺動面)が形成されている。第1の摺動面83(スラスト摺動面)の外周側周縁には、凸状に形成される台座部84が形成されている。台座部84の内周側側面は、外延設部73の外周側の端面を当接して回動可能に支持する第2の摺動面85(ラジアル摺動面)となる。
【0063】
台座部84は、
図8で示すように、内周側側面の上端部の対向する2カ所に、内フランジ状の内延設部86が内周側に延設されている。内延設部86の下面には、
図9(a)で示すように、複数列設された三角条の一の谷部からなるクリック位置決め凹部88が列設されている。内延設部86の内周側の端面は、円筒軸70の外周と同一の円周上に配置されており、円筒軸70の外周と当接して回動可能に支持する第3の摺動面87(ラジアル摺動面)となる。
【0064】
受皿ホルダ押さえ具90は、
図5で示すように、受皿ホルダ80を遊技媒体回収装置10のフレーム10dに取り付けるための部材である。受皿ホルダ押さえ具90は、例えばポリアミド樹脂製であって、
図5,8で示すように、長方形板状の基部91と、基部91の対向する端辺から上方に延設される一対の腕部92と、腕部92の先端に形成される係合フック92aと、により主に構成される。基部91の上面には、
図5,8で示すように、搬送ベルト10cが垂れ下がることにより基部91の上面と接触した際に、基部91の上面と搬送ベルト10cとの間の摩擦を軽減するための凸条91aが搬送方向に沿って形成される。受皿ホルダ押さえ具90は、基部91と一対の腕部92により上方に開口した断面コの字形に形成され、
図5で示すように、遊技媒体回収装置10のフレーム10dに下方から跨って配設することができる。
【0065】
上記のように構成される第2の流下装置11Aの設置方法について説明する。最初に作業者は、回収シュート20の上部シュート21を膳板6に取り付ける(
図10参照)。スロットマシン2筐体下面に設けられた落下口の直下には、膳板6を長方形状に切り抜いて形成された開口が形成されている。作業者は、この開口に上部シュート21を嵌合した状態で膳板取付部27の内側からねじ止めして、上部シュート21と膳板6を固定する。
【0066】
次いで、回収シュート20を組み立てる。作業者は、上部シュート21の矩形筒体22の下端部を下部シュート31のジョイント部37に挿入しつつ軸受腕片37aを外側に弾性変形させて、上部シュート21の軸30を下部シュート31の軸受孔37dに挿入し、上部シュート21と下部シュート31を連結する。このようにして組み立てられた回収シュート20は、上部シュート21に対し下部シュート31を
図6の矢印の方向すなわち鉛直方向に回動することができる。
【0067】
次いで、遊技媒体回収装置10の第1回収ライン10Aに回収受皿60を取り付ける。作業者は、回収受皿60を取り付けるのに際し、最初に受皿ホルダ80を第1回収ライン10Aに取り付ける。作業者は、第1回収ライン10A上の回収シュート20の裏面側を正面に捉えられる位置に、フレーム10dの上方から跨いで受皿ホルダ80を配設する(
図5,10参照)。次いで、フレーム10dの下方から跨いで受皿ホルダ押さえ具90を配設し、受皿ホルダ80の嵌合孔82aに係合フック92aを嵌合すると共に受皿ホルダ80の取付鍔部82bに係合フック92aを係合する。受皿ホルダ80を、ねじ止め等の固定をすることなく第1回収ライン10Aに取り付けることができるので、受皿ホルダ80は、第1回収ライン10A上を摺動可能に配設される。よって、受皿ホルダ80の取り付け位置の調整が容易となる。
【0068】
次いで、回収受皿60の受皿本体61を受皿ホルダ80に取り付ける。作業者は、
図8で示すように、受皿本体61から下方に延設された円筒軸70の下端を、受皿ホルダ80の内延設部86と円筒軸70の外延設部73が衝突しないように角度を合わせて降下させて、円筒軸70の下端面と受皿ホルダ80の第1の摺動面83(スラスト摺動面)とを当接させる。円筒軸70の下端には、円筒軸70の下面及び外延設部73の下面が配置されており、これらの面が第1の摺動面83(スラスト摺動面)と当接して鉛直方向に対して回動可能に支持された状態となる。また、外延設部73の外周側端面は、第2の摺動面85に当接して支持され、更に、円筒軸70の外周は第3の摺動面87と当接して支持された状態となる。
【0069】
この状態において、円筒軸70の上端に位置する流下口63は、第1回収ライン10Aの直上に配置されており、受皿本体61は流下口63を中心として水平方向に回動可能に支持することができる。
【0070】
次いで作業者は、受皿本体61を水平方向に回動して位置決めをする。作業者は、スロットマシン2の方面、正確には膳板6に固定された回収シュート20の裏面側を正面に捉えられる方角に、受皿本体61の受皿部62の上り側の側端部が向くように受皿本体61を回動すればよい。作業者が、受皿本体61と共に円筒軸70を水平方向に回動させると、受皿ホルダ80の内延設部86と第1の摺動面83との間に形成した隙間に、円筒軸70の外延設部73を水平方向から侵入させて、受皿ホルダ80から受皿本体61が脱落することを防止する。更に円筒軸70を回動させると、
図9(b)に示すように、外延設部73に続いてクリック位置決め凸部71が隙間に侵入し、内延設部86の下面に設けられた一のクリック位置決め凹部88と係合する。クリック位置決め凸部71と一のクリック位置決め凹部88が係合している状態であっても、円筒軸70を回動する付勢力を加えれば、クリック位置決め凸部71が弾性変形して回動可能となり係合するクリック位置決め凹部88を変更することができる。作業者は、受皿本体61の受皿部62の上り側の側端部が、回収シュート20の裏面側を正面に捉えられる方角に向くまで円筒軸70を回動する付勢力を加える。
【0071】
このように、スロットマシン2と遊技媒体回収装置10の位置関係によらず受皿本体61の受皿部62をスロットマシン2方面に向けることができるため、回収コンベアの配置の自由度を高めにことができる。また、上部シュート21から受皿ホルダ80までを剛体で接続することができるので、スロットマシン2から遊技媒体回収装置10までの流下ルートに生じる水平方向の湾曲部位を減少してメダル詰まりの発生を抑制することができる。
【0072】
なお、回収シュート20から回収受皿60までのメダルの上下方向の流下角度が浅くなると予想される場合には、受皿部62の上り側の側端部に取り付けられた側壁64を受皿本体61から取り外すことができる(
図8参照)。
図10において図示した回収受皿60は、受皿本体61から側壁64を取り外している。
【0073】
次いで、回収シュート20を延長する延長シュート40を取り付ける。作業員は、回収シュート20の下部シュート31を鉛直方向に回動して回収受皿60に向け、下部シュート31の下端部から回収受皿60までの距離を測定し、必要な数(例えば3個)の延長シュート40を用意する。作業員は、延長シュート40の連結係合開口44aを他の延長シュート連結係合凸部44cに係合して3個の延長シュート40を連結する。
【0074】
次いで、
図10に示すように、連結された延長シュート40の下端部を受皿部62の上り側の側端部に載置した状態で、回収シュート20の下部シュート31を鉛直方向に回動して遊技媒体回収装置10側に向け、下部シュート31の連結係合凸部35bに延長シュート40の連結係合開口44aを係合して連結する。
【0075】
このように、スロットマシン2と遊技媒体回収装置10の位置関係によらず回収シュート20の下部シュート31を遊技媒体回収装置10方面に向けることができるため、スロットマシン2から遊技媒体回収装置10までの流下ルートに剛体を用いることができ、鉛直方向の湾曲部位を減少してメダル詰まりの発生を抑制することができる。
【0076】
以上で第2の流下装置11Aの設置は終了であるため、設置時間の大幅な短縮と設置作業の容易化を図ることができる。
【0077】
なお、第2の流下装置11Aにおいては回収シュート20を延長する延長シュート40を3個連結して取り付けた実施形態を示したが、延長シュート40は下部シュート31の下端部から回収受皿60までの距離が近い場合には、延長シュート40を取り付けることを要しない。
図1における第2の流下装置11Bは、
図11で示すように、延長シュート40を連結していない。回収シュート20の下部シュート31を鉛直方向に回動して、下端部を受皿部62の上り側の側端部に載置すればよい。なお、第2の流下装置11Cは延長シュート40を2個連結して継ぎ足し、第2の流下装置11Dは延長シュート40を4個連結して継ぎ足したものである。
【0078】
このように、この発明の回収受皿60及び遊技媒体循環システム4によれば、遊技媒体使用機(スロットマシン2,メダル貸出機3)と遊技媒体回収装置10の位置関係によらずメダルが円滑に流下する流下ルートを構築することができる。
【0079】
なお、上述した実施形態においては、受皿本体61と受皿ホルダ80の取り付け構造を、円筒軸70の下端が第1の摺動面83(ラジアル摺動面)と当接した状態で円筒軸70を回動させ、受皿ホルダ80の内延設部86と第1の摺動面83との間に生じる隙間に、外延設部73及びクリック位置決め凸部71を水平方向から侵入させて内延設部86の下面のクリック位置決め凹部88に係合するものであったが、例えば
図12で示すように、回収受皿60Aの円筒軸70Aに内周を一周する係合溝74を形成し、受け皿ホルダ80Aの落下口81aの周縁から上方に立設された係合フック81bを係合する構成であってもよい(その他の実施形態)。このように回収受皿60Aを構成しても、受皿本体61を水平方向に回動可能に支持することができる。
【0080】
また、
図13で示すように、回収受皿60Bの円筒軸70Bに、外周を一周する第1の段部75と、第1の段部75の直下かつ円筒軸70Bの下端に段差を設けた第2の段部76を形成し、受皿ホルダ80Bの落下口81aの周縁に第1の段部75を係合させ、環状部材77を第2の段部76の外周に固定する構成であってもよい(その他の実施形態)。このように回収受皿60Bを構成しても、受皿本体61を水平方向に回動可能に支持することができる。
【0081】
また、
図14で示すように、円筒軸70Cの下端部に矢印の方向、すなわち下方にスリーブ78を下降させることにより、内周側に配置された移動係脱部材79を内周側に押し出し、受皿ホルダ80Cの落下口81aの周縁から上方に立設されたスロート部81cの外周に係合させる構成であってもよい(その他の実施形態)。このように回収受皿60Cを構成しても、受皿本体61を水平方向に回動可能に支持することができる。
【0082】
なお、上述した実施形態において、第2の流下装置11Aにおいては流下するメダルを下部シュート31により中継したが、上部シュート21のみであってもよい。例えば
図15で示すように、第2の流下装置11Eにおいては、スロットマシン2から第1回収ライン10Aに向けて流下するメダルを上部シュート21で中継し、上部シュート21の第1の排出口21bから流下するメダルを回収受皿60により中継する(その他の実施形態)。このように構成すれば、スロットマシン2と遊技媒体回収装置10の位置関係が極めて近い場合であってもメダルを円滑に流下することができる。この場合、回収シュートから回収受皿までのメダルの流下角度が急になるので、受皿部62の上り側の側端部に側壁64を取り付け、受皿部62の上り側の側端部からメダルが飛び出すのを防止している。
【0083】
本発明は上記の実施形態及び実施例の例示に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。