特許第6858544号(P6858544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858544
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】センサを含む外科手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/28 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   A61B17/28
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-243392(P2016-243392)
(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-113545(P2017-113545A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2019年9月27日
(31)【優先権主張番号】62/269,223
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/370,145
(32)【優先日】2016年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ニライ ムクヘルジー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ミエス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド シー. ラセネット
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−523105(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0288386(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0054908(US,A1)
【文献】 特開2015−157066(JP,A)
【文献】 特開2006−334417(JP,A)
【文献】 特表2006−506186(JP,A)
【文献】 特表2007−525253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術器具であって、
ハンドル部分と、
前記ハンドル部分に動作可能に結合されている第1のジョー部材および第2のジョー部材であって、前記ハンドル部分の作動に応答して、相互に対して移動可能であ第1のジョー部材および第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材または前記第2のジョー部材のうちの一方関連付けられている第1のセンサであって、前記第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織内の局所潅流を測定するように構成されている第1のセンサと、
前記第1のジョー部材または前記第2のジョー部材のうちの一方関連付けられている第2のセンサであって、前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材によって前記組織に印加された圧力を測定するように構成されている第2のセンサと、
前記ハンドル部分上に配置されているディスプレイであって、前記ディスプレイは、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサと通信を行い、前記ディスプレイは、前記測定された局所潅流と、前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材によって前記組織に印加された前記測定された圧力とを表示するように構成されている、ディスプレイと
を備え
前記外科手術器具は、前記組織を通る潅流を停止させることが既知の所定の咬持圧力で組織を咬持することと、所定の率で前記咬持圧力を低減させることと、前記組織を通る潅流が再開した時点で、感知された圧力を前記ディスプレイに送信することとを行うように事前にプログラムされている、外科手術器具。
【請求項2】
前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材それぞれは、組織接触表面を含み、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサは、前記第1のジョー部材または前記第2のジョー部材のうちの一方の前記組織接触表面上に配置されている、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項3】
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材との間に握持された前記組織内の局所潅流を測定するように構成されている第3のセンサと、
前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材によって前記組織に印加された圧力を測定するように構成されている第4のセンサ
をさらに備え、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサは、前記第1のジョー部材の前記組織接触表面上に配置されており、前記第3のセンサおよび前記第4のセンサは、前記第2のジョー部材の前記組織接触表面上に配置されている、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項4】
前記第1のセンサおよび前記第3のセンサは、相互に重複し、前記第2のセンサおよび前記第4のセンサは、前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材が接近位置にあるとき、相互に重複する、請求項3に記載の外科手術器具。
【請求項5】
前記第1のジョー部材または前記第2のジョー部材のうちの少なくとも一方の前記組織接触表面は、組織を非外傷性握持するように構成されている複数の歯を画定する、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項6】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサは、前記第1のジョー部材によって画定された長手軸に沿って直線状アレイに配列されている、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項7】
前記ディスプレイは、前記ハンドル部分によって画定された長手軸に沿って直線状アレイに配置されている3つの離散ディスプレイ区分を含む、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項8】
前記ディスプレイは、伸長構成を有し、かつ、前記ハンドル部分によって画定された長手軸に沿って延在する、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項9】
前記ディスプレイは、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサを使用して測定された表面潅流圧力と全身血圧の比率を表す指数を表示するように構成されている、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項10】
前記第1のセンサは、レーザドップラー流量測定、光散乱、または光吸収のうちの少なくとも1つを使用して、前記組織内の局所潅流を測定するように構成されているドップラーフローセンサである、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項11】
前記第1のジョー部材または前記第2のジョー部材のうちの一方関連付けられている第3のセンサをさらに備え、前記第3のセンサは、前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材との間に握持された組織の厚さを測定するように構成されてい請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項12】
前記第1のジョー部材は、組織接触表面を含み、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサおよび前記第3のセンサそれぞれは、前記組織接触表面上に配置されている、請求項11に記載の外科手術器具。
【請求項13】
前記第3のセンサは、スライドポテンショメータ、回転ポテンショメータ線形可変差動変圧器から成る群から選択される、請求項11に記載の外科手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2015年12月18日に出願された米国仮特許出願番号第62/269,223号に基づく優先権および利益を主張しており、その全体の内容は本明細書によって参考として援用される。
【0002】
(1.技術分野)
本開示は、外科手術器具に関し、より具体的には、種々の外科手術手技を行うことに備えて、組織を握持し、握持された組織の特性を判定するための外科手術握持装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
結腸直腸外科手術は、時として、吻合を要求し、これは、罹患腸組織の一部を切除し、推定上2つの健康な腸区画間に新しい接続を作成することを伴う。典型的には、吻合を行う前に、切除されるべき組織の量が、腸の視覚的印を使用して推定される。目標は、同時に、罹患組織の全てを除去しながら、可能な限り多くの健康な組織を保存することである。
【0004】
吻合手技を行う際に伴うリスクは、吻合漏出であって、これは、急性の生命を脅かす状態をもたらし得る、深刻な合併症であり得る。吻合漏出は、典型的には、罹患組織の全ての切除の失敗によって生じる。吻合手技の間に切除されるべき組織の量を推定する際に使用される現在の方法は、時として、全吻合漏出を防止するのに不適正である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に、逐次的に、または同時にのいずれかにおいて、腸組織の多数のパラメータおよび因子を感知し、外科医がより成功率の高い吻合外科手術手技を行うのを補助することができる、外科手術器具の必要性が、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
本開示の一側面では、外科手術器具が、提供され、ハンドル部分と、第1および第2のジョー部材と、第1および第2のセンサとを含む。ジョー部材は、ハンドル部分に動作可能に結合され、ハンドル部分の作動に応答して、相互に対して移動可能である。第1のセンサは、第1または第2のジョー部材と関連付けられ、第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織内の局所潅流を測定するように構成される。第2のセンサは、第1または第2のジョー部材と関連付けられ、第1および第2のジョー部材によって組織に印加された圧力を測定するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1および第2のジョー部材はそれぞれ、組織接触表面を含んでもよい。第1および第2のセンサは、第1または第2のジョー部材の組織接触表面上に配置されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、外科手術器具は、第3および第4のセンサを含んでもよい。第3のセンサは、第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織内の局所潅流を測定するように構成されてもよく、第4のセンサは、第1および第2のジョー部材によって組織に印加された圧力を測定するように構成されてもよい。第1および第2のセンサは、第1のジョー部材の組織接触表面上に配置されてもよく、第3および第4のセンサは、第2のジョー部材の組織接触表面上に配置されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1および第3のセンサは、相互に重複してもよく、第2および第4のセンサは、第1および第2のジョー部材が接近位置にあるとき、相互に重複してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のジョー部材の組織接触表面は、非外傷性に組織を握持するために構成される複数の歯を画定してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1および第2のセンサは、第1のジョー部材によって画定された長手軸に沿って直線状アレイに配列されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、外科手術器具はさらに、ハンドル部分上に配置され、第1および第2のセンサと通信する、ディスプレイを含んでもよい。ディスプレイは、測定された局所潅流および測定された第1ならびに第2のジョー部材によって組織に印加された圧力を表示するように構成されてもよい。ディスプレイは、ハンドル部分によって画定された長手軸に沿って直線状アレイに配置される3つの離散ディスプレイ区分を含んでもよい。ディスプレイは、伸長構成を有してもよく、ハンドル部分によって画定された長手軸に沿って延在する。ディスプレイは、第1および第2のセンサを使用して測定された表面潅流圧力と全身血圧の比率を表す指数を表示するように構成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のセンサは、レーザドップラー流量測定、光散乱、および/または光吸収を使用して、組織内の局所潅流を測定するように構成される、ドップラーフローセンサであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、外科手術器具はさらに、第1または第2のジョー部材と関連付けられた第3のセンサを含んでもよい。第3のセンサは、第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織の厚さを測定するように構成される。第1のジョー部材は、その上に配置される第1、第2、および第3のセンサのそれぞれを有する、組織接触表面を含んでもよい。第3のセンサは、スライドポテンショメータ、回転ポテンショメータ、または線形可変差動変圧器であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、外科手術器具は、組織を通る潅流を停止させることが既知の所定の咬持圧力で組織を咬持するように事前にプログラムされてもよい。
【0016】
本開示の別の側面では、外科手術手技を行う方法が、提供される。本方法は、組織を外科手術器具の第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に位置付けるステップと、第1または第2のジョー部材と関連付けられた第1のセンサを使用して、組織の局所潅流を判定するステップと、第1または第2のジョー部材と関連付けられた第2のセンサを使用して、第1および第2のジョー部材によって組織に印加された圧力を判定するステップと、判定された局所潅流および判定された組織に印加された圧力を使用して、組織の表面潅流圧力を判定するステップと、測定された組織の表面潅流圧力を使用して、組織が生存可能であるかどうかを判定するステップとを含む。
【0017】
いくつかの方法はさらに、判定された局所潅流および判定された組織に印加された圧力を外科手術器具のディスプレイ上に表示するステップを含んでもよい。
【0018】
いくつかの方法はさらに、ディスプレイ上に、表面潅流圧力と全身血圧の比率を表す指数を表示するステップを含んでもよい。
【0019】
いくつかの方法はさらに、組織を通る潅流を停止させることが既知の所定の咬持圧力で組織を第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に咬持するステップと、咬持圧力を所定の率で低減させるステップと、組織を通る潅流が再開した瞬間、判定された圧力をディスプレイに送信するステップとを含んでもよい。
【0020】
いくつかの方法はさらに、第1または第2のジョー部材の一方と関連付けられた第3のセンサを使用して、組織の厚さを判定するステップと、測定された組織の厚さを使用して、組織をステープル留めする際に使用されるべきステープルのサイズを判定するステップとを含んでもよい。
【0021】
これらおよび他の目的は、図面の説明ならびに好ましい実施形態の詳細な説明によって以下により明確に図示される。
例えば、本発明は以下を含む構成を記載している。
(項目1)
外科手術器具であって、
ハンドル部分と、
上記ハンドル部分に動作可能に結合され、上記ハンドル部分の作動に応答して、相互に対して移動可能である、第1および第2のジョー部材と、
上記第1または第2のジョー部材の一方と関連付けられ、上記第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織内の局所潅流を測定するように構成される、第1のセンサと、
上記第1または第2のジョー部材の一方と関連付けられ、上記第1および第2のジョー部材によって上記組織に印加された圧力を測定するように構成される、第2のセンサと、
を備える、外科手術器具。
(項目2)
上記第1および第2のジョー部材はそれぞれ、組織接触表面を含み、上記第1および第2のセンサは、上記第1または第2のジョー部材の一方の上記組織接触表面上に配置される、上記項目に記載の外科手術器具。
(項目3)
上記第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織内の局所潅流を測定するように構成される、第3のセンサと、
上記第1および第2のジョー部材によって上記組織に印加された圧力を測定するように構成される、第4のセンサであって、上記第1および第2のセンサは、上記第1のジョー部材の組織接触表面上に配置され、上記第3および第4のセンサは、上記第2のジョー部材の組織接触表面上に配置される、第4のセンサと、
をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目4)
上記第1および第3のセンサは、相互に重複し、上記第2および第4のセンサは、上記第1および第2のジョー部材が接近位置にあるとき、相互に重複する、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目5)
上記第1または第2のジョー部材のうちの少なくとも一方の組織接触表面は、非外傷性に組織を握持するために構成される複数の歯を画定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目6)
上記第1および第2のセンサは、上記第1のジョー部材によって画定された長手軸に沿って直線状アレイに配列される、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目7)
上記ハンドル部分上に配置され、上記第1および第2のセンサと通信する、ディスプレイをさらに備え、上記ディスプレイは、上記測定された局所潅流および上記測定された上記第1および第2のジョー部材によって上記組織に印加された圧力を表示するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目8)
上記ディスプレイは、上記ハンドル部分によって画定された長手軸に沿って直線状アレイに配置される3つの離散ディスプレイ区分を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目9)
上記ディスプレイは、伸長構成を有し、上記ハンドル部分によって画定された長手軸に沿って延在する、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目10)
上記ディスプレイは、上記第1および第2のセンサを使用して測定された表面潅流圧力と全身血圧の比率を表す指数を表示するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目11)
上記第1のセンサは、レーザドップラー流量測定、光散乱、または光吸収のうちの少なくとも1つを使用して、上記組織内の局所潅流を測定するように構成される、ドップラーフローセンサである、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目12)
上記第1または第2のジョー部材の一方と関連付けられ、上記第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織の厚さを測定するように構成される、第3のセンサをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目13)
上記第1のジョー部材は、組織接触表面を含み、上記第1、第2、および第3のセンサはそれぞれ、上記組織接触表面上に配置される、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目14)
上記第3のセンサは、スライドポテンショメータ、回転ポテンショメータ、および線形可変差動変圧器から成る群から選択される、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目15)
上記外科手術器具は、上記組織を通る潅流を停止させることが既知の所定の咬持圧力で組織を咬持するように事前にプログラムされる、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目16)
外科手術手技を行うための外科手術器具であって、
第1のおよび第2のジョー部材であって、上記第1または第2のジョー部材は第1のセンサおよび第2のセンサを有し、組織が上記第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に位置付けられる、第1および第2のジョー部材と、
上記組織の局所潅流を測定するように構成される、第1のセンサと、を備え、
第2のセンサが、上記第1および第2のジョー部材によって上記組織に印加された圧力を測定するように構成され、
測定された局所潅流および測定された組織に印加された圧力を使用して、上記組織の表面潅流圧力を判定し、そして上記判定された組織の表面潅流圧力を使用して、上記組織が生存可能であるかどうかを判定する手段を備える、外科手術器具。
(項目17)
上記測定された局所潅流および上記測定された組織に印加された圧力を表示するためのディスプレイをさらに備える、上記項目に記載の外科手術器具。
(項目18)
上記ディスプレイは、上記表面潅流圧力と全身血圧の比率を表す指数を表示するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目19)
上記第1および第2のジョー部材が、上記組織を通る潅流を停止させることが既知の所定の咬持圧力で上記組織を上記第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に咬持するように構成され、そして上記外科手術器具がさらに、
上記咬持圧力を所定の率で低減させる手段と、
上記組織を通る潅流が再開した瞬間、上記判定された圧力を上記ディスプレイに送信する手段と、をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目20)
上記組織の厚さを測定するように構成された、上記第1または第2のジョー部材の一方と関連付けられた第3のセンサと、
上記測定された組織の厚さを使用して、上記組織をステープル留めする際に使用されるべきステープルのサイズを判定する手段と、
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目16A)
外科手術手技を行う方法であって、
組織を外科手術器具の第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に位置付けるステップであって、上記第1または第2のジョー部材は、第1のセンサおよび第2のセンサを有する、ステップと、
上記第1のセンサを使用して、上記組織の局所潅流を判定するステップと、
上記第2のセンサを使用して、上記第1および第2のジョー部材によって上記組織に印加された圧力を判定するステップと、
上記判定された局所潅流および上記判定された組織に印加された圧力を使用して、上記組織の表面潅流圧力を判定するステップと、
上記測定された組織の表面潅流圧力を使用して、上記組織が生存可能であるかどうかを判定するステップと、
を含む、方法。
(項目17A)
上記判定された局所潅流および上記判定された組織に印加された圧力を上記外科手術器具のディスプレイ上に表示するステップをさらに含む、上記項目に記載の方法。
(項目18A)
上記ディスプレイ上に、上記表面潅流圧力と全身血圧の比率を表す指数を表示するステップをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19A)
上記組織を通る潅流を停止させることが既知の所定の咬持圧力で上記組織を上記第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に咬持するステップと、
上記咬持圧力を所定の率で低減させるステップと、
上記組織を通る潅流が再開した瞬間、上記判定された圧力を上記ディスプレイに送信するステップと、
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20A)
上記第1または第2のジョー部材の一方と関連付けられた第3のセンサを使用して、上記組織の厚さを判定するステップと、
上記測定された組織の厚さを使用して、上記組織をステープル留めする際に使用されるべきステープルのサイズを判定するステップと、
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
外科手術器具は、ハンドル部分と、ハンドル部分に動作可能に結合される第1および第2のジョー部材と、第1または第2のジョー部材と関連付けられた第1および第2のセンサとを含む。第1のセンサは、第1のジョー部材と第2のジョー部材との間に握持された組織内の局所潅流を測定するように構成され、第2のセンサは、第1および第2のジョー部材によって組織に印加された圧力を測定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書内に組み込まれ、その一部を構成する、付随の図面は、本開示の実施形態を図示し、後述の実施形態の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0023】
図1A図1Aは、本開示による、センサおよびディスプレイを含む、外科手術器具の正面斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aの外科手術器具の背面斜視図である。
図2図2は、外科手術器具のディスプレイを図示する、図1Aの外科手術器具のハンドル部分の拡大図である。
図3図3は、図2のディスプレイの拡大図である。
図4図4は、その中に組み込まれるセンサを図示する、図1Aの外科手術器具のジョーアセンブリの拡大図である。
図5図5は、組織を握持するジョーアセンブリを図示する、図1Aの外科手術器具の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
ここで、本開示の外科手術器具およびシステムの実施形態が、類似参照番号が類似または同じ要素を識別する、図面を参照して、詳細に説明される。本明細書で使用されるように、かつ従来通り、用語「遠位」は、ユーザからより遠い部分を指す一方、用語「近位」は、ユーザにより近い部分を指す。
【0025】
図1Aおよび1Bを参照すると、例えば、組織握持装置10等の外科手術器具が、提供される。組織握持装置10は、本明細書に詳細に説明されるように、組織を握持し、握持された組織の多数の生物学的パラメータを感知し、外科医が外科手術手技、例えば、吻合外科手術手技を行うのを補助するように構成される。組織握持装置10は、概して、ハンドル部分12と、伸長シャフト30と、ジョーアセンブリ40とを含む。
【0026】
組織握持装置10のハンドル部分12は、定常ハンドル14と、定常ハンドル14に枢動可能に結合される、枢動式または移動可能ハンドル16とを含む。定常ハンドル14に対する枢動式ハンドル16の操作は、ジョーアセンブリ40の閉鎖をもたらし、組織を握持する。組織握持装置10のハンドル部分12は、定常ハンドル14とともに形成される、長手方向本体部分18を含む。本体部分18は、組織握持装置10の種々のセンサ42a−c、44a−cによって測定される種々の組織パラメータを表示するためのディスプレイ20、例えば、LEDディスプレイまたは液晶ディスプレイ(「LCD」)を有する。
【0027】
図2および3を参照すると、ハンドル部分12の本体部分18は、伸長シャフト30によって画定された長手軸と同軸である、長手軸「X」を画定する。本体部分18は、ディスプレイ20が据え付けられる、平面上側表面22を有する。ディスプレイ20は、本体部分18の任意の好適な場所または組織握持装置10の任意の他の構成要素上に配置されてもよいことが企図される。
【0028】
ディスプレイ20は、長手軸「X」に沿って直線状アレイに配列される、複数のディスプレイ区分、例えば、3つのディスプレイ区分20a、20b、20cを有してもよい。ディスプレイ20は、3つを上回るまたはそれより少ない離散ディスプレイ区分を含んでもよいことが企図される。ディスプレイ20の第1のディスプレイ区分20aは、組織握持装置10によって握持された組織の測定された組織潅流の視覚的インジケーションを表示するように構成される。ディスプレイ20の第2のディスプレイ区分20bは、組織握持装置10によって握持された組織に印加されている測定された圧力の量の視覚的インジケーションを表示するように構成される。ディスプレイ20の第3のディスプレイ区分20cは、組織握持装置10によって握持された測定された組織の厚さを表示するように構成される。
【0029】
ディスプレイ区分20a、20b、20cのそれぞれによって表示される視覚的インジケーションは、その近位部分から遠位部分へと輝度が増加する色の範囲を含む。例えば、近位から遠位方向に、第1および第2のディスプレイ区分20a、20bのそれぞれを視認するとき、第1および第2のディスプレイ区分20a、20bはそれぞれ、緑色、黄色、橙色、次いで、赤色であってもよく、各色部分は、隣接する色部分に徐々に混成する。第1および第2のディスプレイ区分20a、20bのための他の色および色配列も、企図される。組織握持装置10は、第1のディスプレイ区分20aの緑色が点灯されると、これが、組織握持装置10によって測定されている比較的に高い組織潅流を示し得る一方、第1のディスプレイ区分20aの赤色が点灯されると、これが、組織握持装置10によって測定されている比較的に低い組織潅流を示し得るように構成されてもよい。組織潅流に関連する情報は、以下により詳細に説明されるように、握持されている組織の生存可能性について判定を行うときに有用であり得る。
【0030】
ディスプレイ20の第2のディスプレイ区分20bを参照すると、第2のディスプレイ区分20bの緑色が点灯されると、これは、組織握持装置10によって組織に印加されている比較的に低い握持または咬持圧力を示し得る一方、第2のディスプレイ区分20bの赤色が点灯されると、これは、組織握持装置10によって組織に印加されている比較的に高い握持または咬持圧力を示し得る。組織握持装置10によって測定され、組織握持装置10の第2のディスプレイ区分20bによって表示される、咬持圧力は、組織握持装置10の第1のディスプレイ区分20aによって表示される組織潅流と併用され、握持された組織の潅流圧力を判定する。
【0031】
潅流圧力は、組織を通る潅流(すなわち、血流)がなくなるまで、十分な量の咬持圧力を対象組織に印加することによって測定され、次いで、握持された組織を通る潅流が再開するまで、咬持圧力をゆっくりと低減させる。潅流が再開する圧力は、組織潅流圧力である。表面潅流圧力を測定する方法の詳細な説明については、米国特許第7,618,376号を参照されたい(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0032】
組織握持装置10によって組織に印加されている圧力の量に関連する情報はまた、組織の過圧縮を防止し、健康な組織への損傷を防止する際に有用であり得る。
【0033】
第3のディスプレイ区分20cを近位から遠位方向に視認する際、第3のディスプレイ区分20cは、灰色、茶色、藍色、および黒色であってもよい。いくつかの実施形態では、第3のディスプレイ区分20cは、灰色、白色、青色、紫色、黄褐色、緑色、および黒色であってもよい。第3のディスプレイ区分20cのための他の色および色配列も、企図される。第3のディスプレイ区分20cの灰色(近位部分)が点灯されると、これは、組織握持装置10によって握持された組織が比較的に薄い厚さを有する(すなわち、ステープル留めに耐えるには組織が薄すぎる)ことのインジケーションであり得る一方、第3のディスプレイ区分20cの黒色(遠位部分)が点灯されると、これは、組織握持装置10によって握持された組織は、比較的に厚い厚さを有する(すなわち、ステープル留めされるには組織が厚すぎる)ことのインジケーションであり得る。組織厚に関連する情報は、外科手術吻合を握持された組織上で行うときに使用されるべきステープルのサイズに関する判定を行うために有用であり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、測定された組織パラメータ(例えば、組織潅流、組織圧縮、および組織厚)を図示するために色または輝度の範囲を利用する、ディスプレイ20の代わりに、ディスプレイ20は、数字の範囲または種々の数値出力を表示してもよい。特に、第1、第2、および第3のディスプレイ区分20a、20b、20cは、数字範囲0〜3、0〜5、0〜10、0〜100、または任意の他の好適な範囲を表示し、組織握持装置10によって握持されている組織についての情報を図示してもよい。例えば、第1のディスプレイ区分20aが数字0を表示するとき、これは、握持された組織が殆どまたは全く潅流(すなわち、血流)がないことのインジケーションであり得る一方、第1のディスプレイ区分20aが数字100を表示するとき、これは、握持された組織が高潅流(すなわち、理想的血流)を有することのインジケーションであり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ20は、任意の好適な印、例えば、不良、十分、または良好等の単語を利用して、握持された組織についての情報を図示してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、組織握持装置10は、ディスプレイ20を含まなくてもよく、代わりに、組織握持装置10は、別のタイプのディスプレイ、例えば、タブレット、携帯電話、コンピュータモニタ、ラップトップ、もしくは任意の好適なディスプレイデバイスに接続されるか、またはそれと通信するように構成されてもよい。組織握持装置10は、USBワイヤ、Wi−Fi、または同等物を介して、前述のディスプレイデバイスのいずれかに接続されてもよい。
【0037】
図1A、1B、および4を参照すると、組織握持装置10の伸長シャフト30は、ハンドル部分12から遠位に延在し、作動ロッド(明示的に図示せず)を格納する。伸長シャフト30は、ハンドル部分12に対して回転可能であって、長手軸「X」を中心としてジョーアセンブリ40を回転させてもよい。伸長シャフト30は、その遠位端30bに形成される、2つの突起物32、34を有する。枢動ピン36は、突起物32、34およびジョーアセンブリ40を通して横方向に延在し、ジョーアセンブリ40のジョー部材42、44がその周りで枢動する、点を提供する。作動ロッドは、移動可能トリガ16(図1A、1B)に動作可能に結合される、近位端(図示せず)と、突起物32、34間に延在し、ジョーアセンブリ40に動作可能に結合される、遠位端(図示せず)とを有する。
【0038】
図4および5を参照すると、ジョーアセンブリ40は、それぞれ、第1および第2の並置されたジョー部材42、44を含み、これは、同時に、ジョー部材42、44が、相互に比較的に近接する関係にある、実質的接近位置と、ジョー部材42、44が、それらの間に組織、例えば、組織「T」を受容するために少なくとも十分な距離だけ分離される、離間位置との間で移動可能である。ジョーアセンブリ40は、第1のジョー部材42から近位に延在する、第1の近位部分または第1のフランジ46と、第2のジョー部材44から近位に延在する、第2の近位部分または第2のフランジ48とを含む。フランジ46、48はそれぞれ、作動ロッドがカムスロット50、52を通して移動するにつれて、ジョー部材42、44の開放および閉鎖を駆動する、作動ロッド(明示的に図示せず)の遠位端に係合するように構成される、それを通して画定された細長い角度付けられたカムスロット50、52を含む。したがって、定常ハンドル14に対する枢動式ハンドル16(図1A、1B)の操作は、作動ロッドを作動させ、組織「T」を中心とするジョーアセンブリ40の開放または閉鎖をもたらす。
【0039】
図4および5を継続して参照すると、ジョー部材42、44はそれぞれ、ジョーアセンブリ40が閉鎖構成にあるとき、組織「T」が組織接触表面54、56間に握持されるように、組織接触表面54、56を有する。ジョー部材42、44はそれぞれ、個別の組織接触表面54、56上に配置される、第1のセンサ42a、44a、第2のセンサ42b、44b、および第3のセンサ42c、44cを有する。センサ42a−c、44a−cは、個別のジョー部材42、44によって画定された長手軸に沿って直線状アレイで個別の組織接触表面54、56上に配列される。いくつかの実施形態では、センサ42a−c、44a−cは、任意の好適な様式において個別の組織接触表面54、56上に配列されてもよい。
【0040】
ジョーアセンブリ40の第1のセンサ42a、44aは、ジョー部材42、44間に握持された組織を通る局所潅流(すなわち、血流)を測定するように構成される、潅流センサ、例えば、ドップラーフローセンサである。第1のセンサ42a、44aは、1つまたはそれを上回るLEDまたは他の光源からの光散乱を測定するか、そして/または光の吸収を測定する、レーザドップラー流量測定(「LDF」)等の公知の技法に基づいて、握持された組織の潅流を測定してもよい。LDF技術の詳細な説明については、米国特許第4,109,647号および4,862,894号を参照されたい(そのそれぞれの全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0041】
いくつかの実施形態では、ジョーアセンブリ40の組織接触表面54、56の1つのみが、潅流センサを有する。第1のセンサ42a、44aは、第1のセンサ42a、44aが握持された組織内の潅流を測定すると、第1のセンサ42a、44aが、測定データを、図2および3を参照して前述の様式(例えば、色の範囲、輝度レベル、数字、単語)のいずれにおいて測定を表示する、第1のディスプレイ区分20aに伝送するように、有線または無線接続を介して、ディスプレイ20の第1のディスプレイ区分20aと通信する。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1のセンサ42a、44aはまた、有線または無線接続を介して、第1のセンサ42a、44aによって収集された情報を処理し、組織潅流を計算する、レーザドップラーモニタ等のコンピューティングデバイスまたはプロセッサ(図示せず)と通信してもよい。コンピューティングデバイスはまた、第1のディスプレイ区分20aが、図2および3を参照して前述の様式(例えば、色、輝度レベル、数字、単語)のいずれかにおいて、組織潅流を表示し得るように、有線または無線接続を介して、第1のディスプレイ区分20aと通信し、組織潅流に関連する処理された情報を第1のディスプレイ区分20aに送信してもよい。
【0043】
図4および5を継続して参照すると、ジョーアセンブリ40の第2のセンサ42b、44bは、圧力センサまたは圧力測定デバイス、例えば、MEMSデバイスである。種々のMEMSデバイの詳細な説明については、米国特許第8,808,311号を参照されたい(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。第2のセンサ42b、44bは、組織握持装置10によって握持された組織に印加された圧力の量(すなわち、咬持圧力)を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、組織接触表面54、56の1つのみが、圧力センサを有する。第2のセンサ42b、44bは、第2のセンサ42b、44bが握持された組織に印加された咬持圧力を測定すると、第2のセンサ42b、44bが、測定データを、図2および3を参照して前述の様式(例えば、色、輝度レベル、数字、単語)のいずれかにおいて測定を表示する、第2のディスプレイ区分20bに伝送するように、有線または無線接続を介して、ディスプレイ20の第2のディスプレイ区分20bと電気通信する。加えて、または代替として、第2のセンサ42b、44bは、処理のために、測定された咬持圧力をコンピューティングデバイスに送信し、それは、次いで、情報をディスプレイ20に送信してもよい。
【0044】
ジョーアセンブリ40の第3のセンサ42c、44cは、間隙判定要素、例えば、スライドポテンショメータ、回転ポテンショメータ、接触表面54、56間のインピーダンスを測定するために使用されるデバイス、またはジョー部材42、44間の間隙距離を測定することによって、握持された組織の厚さを測定するように構成される、線形可変差動変圧器(「LVDT」)である。組織厚を測定可能な種々のセンサの詳細な説明については、米国特許第8,002,795号を参照されたい(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、組織接触表面54、56の1つのみが、間隙判定要素を有する。第3のセンサ42c、44cは、第3のセンサ42c、44cが握持された組織の組織厚を測定すると、第3のセンサ42c、44cが、測定データを、図2および3を参照して前述の様式(例えば、色、輝度レベル、数字、単語)のいずれかにおいて測定を表示する、第3のディスプレイ区分20cに伝送するように、有線または無線接続を介して、ディスプレイ20の第3のディスプレイ区分20cと電気通信する。加えて、または代替として、第3のセンサ42c、44cは、有線または無線接続を介して、組織厚測定を第3のセンサ42c、44cから受信し、測定データを処理し、次いで、情報をディスプレイ20に送信する、コンピューティングデバイスと通信してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ20は、以下に詳細に説明されるように、組織握持装置10の第1のセンサ42a、44aおよび第2のセンサ42b、44bによって測定される表面潅流圧力と、血圧カフ(図示せず)によって測定される全身血圧の比率を表す指数を表示するように構成される、第4のディスプレイ区分(図示せず)を含んでもよい。
【0046】
動作時、組織握持装置10は、外科手術手技、例えば、吻合外科手術手技に先立って、その間、またはその後、対象組織についての種々のデータを集めるために使用されてもよい。吻合外科手術手技では、非健康なまたは罹患腸組織は、切除され、腸の残りの健康な区画の端部は、ともにステープル留めされ、連続腸を再作成する。別個の腸区画の端部を相互にステープル留めするのに先立って、術後吻合漏出または他の有害転帰の可能性を予測するために、別個の腸区画の端部の生存可能性が、査定されるべきである。本生存可能性査定を行うことを補助するために、外科医は、本開示の組織握持装置10を利用してもよい。
【0047】
組織握持装置10の使用時、推定上健康な腸区画の2つの端部はそれぞれ、別個にまたはともにのいずれかにおいて、ジョーアセンブリ40の組織接触表面54、56間に握持される。組織握持装置10の第1のディスプレイ区分20a上に表示される潅流読取値(すなわち、血流)を監視しながら、枢動式ハンドル16が、潅流読取値が、無血流または事実上無血流が握持された組織を通して移動していることを示すまで、咬持圧力を徐々に増加させるように操作される。第1および第2のディスプレイ区分20a、20bの両方を継続的に監視しながら、組織握持装置10の移動可能ハンドル16は、組織に印加されている咬持圧力の量を徐々に低減させるように操作される。咬持圧力は、第1のディスプレイ区分20aが、血流が握持された組織に返されたことを示す潅流読取値を表示するまで、低減される。潅流読取値は、血流が返されたことを示した瞬間、握持された組織の局所潅流圧力である、第2のディスプレイ区分20bによって表示される咬持圧力読取値が、記録される。測定された局所潅流圧力は、握持された組織の生存可能性を査定するために使用されてもよい。加えて、または代替として、測定された局所潅流圧力は、他の測定、例えば、全身血圧読取値と組み合わせて使用され、組織の生存可能性の判定を行うのを補助してもよい。
【0048】
全身血圧は、患者の任意の好適な身体部分、例えば、患者の腕に適用された任意の好適なデバイス、例えば、血圧カフを使用して、求められてもよい。指数は、組織握持装置10によって測定される局所潅流圧力と血圧カフを使用して求められた全身血圧の比率を求めることによって計算されてもよい。指数は、コンピューティングデバイスによって計算され、組織握持装置10のディスプレイ20上に数字として表示されてもよい。計算された指数は、吻合漏出が生じ得るかどうか、および/または吻合漏出のグレードの予測である。したがって、外科医は、指数を使用して、推定上健康な腸区画の2つの端部が、ともにステープル留めされるために十分に健康であるかどうかと、より多くの組織が切除される必要があるかどうかとの判定を行うことができる。潅流指数を計算する方法の詳細な説明については、米国特許第7,618,376号を参照されたい(その全内容は、参照することによって上記に組み込まれている)。
【0049】
いくつかの実施形態では、組織握持装置10は、握持された組織を通る潅流の停止をもたらすことが既知の所定の咬持圧力で組織を咬持するように事前にプログラムされてもよい。組織握持装置10はまた、咬持圧力を所定の率で低減させ、握持された組織を通る潅流が再開した瞬間、圧力読取値をコンピューティングデバイスに自動的に送信するように事前にプログラムされてもよい。潅流圧力読取値もまた、ディスプレイ20上に表示されてもよい。本自動化されたプロセスは、外科医の代わりに、組織に印加されている咬持圧力の量を制御することによって、組織握持装置10を動作させる際の人的エラーを排除する。
【0050】
組織握持装置10はまた、腸区画をともにステープル留めする際に使用されるべきステープルのサイズを判定するために使用されてもよい。ステープルサイズは、握持された組織の厚さを示す、組織握持装置10の第3のディスプレイ区分20cを視認することによって判定されてもよい。ステープリング手技のために選択されるステープルの脚部高さは、組織の厚さに対応し得る。第3のセンサ42c、44cによって測定される組織厚は、その中に、各組織厚測定に対応するステープルサイズを含む、ルックアップテーブルを記憶したコンピューティングデバイスに送信されてもよいことが企図される。
【0051】
組織握持装置10が、組織がステープリングのための状態にあるか、またはステープリングのために容認可能であることが確実にするために使用されることに加え、組織握持装置10はまた、組織が健康である(例えば、良好な血流を有するか、適切に治癒している等)ことを確実にするために、ステープルが発射された後のチェックとして使用されてもよい。
【0052】
組織握持装置10はまた、ロボット外科手術システム(図示せず)の中に組み込まれるように構成されてもよい。ロボット外科手術システムは、ローカルまたは遠隔で給電され、コンソール内にローカル化された、またはロボット外科手術システム内もしくはその全体を通して分散される、電子制御システムを有する。ロボット外科手術システムは、外科医が、組織握持装置を遠隔で操作し、組織握持装置10のき動をより精密に制御することを可能にする。組織握持装置10は、センサ42a−c、44a−cによって集められた測定を、これらの測定が、外科医が読み取るために表示され得る、ロボット外科手術システムのインターフェースに送信するように構成されてもよい。
【0053】
本開示の例証的実施形態が本明細書に説明されたが、本開示は、それらの正確な実施形態に限定されず、種々の他の変更および修正も、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、当業者によってその中にもたらされ得ることを理解されたい。全てのそのような変更および修正は、本開示の範囲内に含まれるものと意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5