(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2床材を組み合わせて前記床下地面に敷設した状態で、前記第1床材の裏面材と前記第2床材の裏面材とが隣接する位置において、前記第1または第2床材の板材と、前記床下地面との間に間隙が形成されるように、前記第1および第2床材の前記裏面材が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床材ユニット。
前記床材ユニットの施工方法は、前記ヘリンボン状の模様が形成されるように、前記第1および第2床材を前記床下地面に敷設した状態で、前記第1床材の前記長辺に沿った縁部と、前記第2床材の前記長辺に沿った縁部と、に当接する定規を用いて、前記第1床材および第2床材を固定するものであり、
前記一方の床材を前記床下地面に固定する工程において、前記床下地面の所望の位置に前記定規を配置するとともに、前記定規に前記一方の床材の前記縁部を当接するように、前記一方の床材を敷設し、
前記他方の床材を前記床下地面に固定する工程において、前記一方の床材の前記縁部に当接した状態で、前記定規に前記他方の床材の前記縁部を当接するように、前記他方の床材を敷設することを特徴とする請求項4に記載の床材ユニットの施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示すような第1および第2床材を敷設する際には、これらの床材を床下地面に固定する場合があり、この場合には、くぎ、ステープル、ネジ等の固定具を、床材を構成する板材の縁部に打ち込んで、固定具を床下地面または根太まで貫通させて、これらの床材が床下地面に固定される。
【0007】
しかしながら、床材の縁部は、固定具が貫通するに十分な強度が無い場合が多く、これらの床材の縁部が破損するおそれがある。また、一度、第1または第2床材を床下地面または根太に固定した後、第1または第2床材が所望の配置状態にならない場合には、縁部に貫通させた固定具を取り外すことがあり、この際にも、これらの床材の縁部が破損することがある。また、床材の縁部の幅が狭い場合には、固定具を打ち込むための十分な面積が縁部に確保できないことがある。
【0008】
本発明は、前記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1および第2床材の縁部が固定具により破損することなく、ヘリンボン状の模様が形成されるように、第1および第2床材を敷設することができる床材ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を鑑みて、本発明に係る床材ユニットは、第1床材および第2床材を備え、前記第1および第2床材を組み合わせて床下地面に敷設することにより、ヘリンボン状の模様を形成するための床材ユニットであって、前記第1および第2床材は、短辺と長辺を有した矩形状の複数の板材と、前記複数の板材を、前記板材の裏面側で固定する裏面材と、を少なくとも備え、前記第1および第2床材の前記複数の板材は、前記板材の短辺の方向に隣接して並んで、かつ、隣接する前記板材を前記板材の長辺の方向に沿って、前記板材の短辺の長さ分、階段状にずらした状態で、前記裏面材によって固定され、かつ、前記第1および第2床材の相互の床材の階段状となる両側において、一方の床材の隣接する前記板材同士を階段状にずらして形成される空間に、他方の床材の前記板材が入り込んで、前記第1および第2床材の前記複数の板材により前記ヘリンボン状の模様が形成されるように、前記第1および第2床材の前記複数の板材は、前記裏面材によって固定されており、前記第1および第2床材の相互の床材の前記階段状となる両側において、前記第1および第2床材の前記裏面材は、固定具を貫通させることにより前記第1床材よび前記第2床材を前記床下地面に固定するための固定部分を、前記板材同士を階段状にずらして形成される空間に延在させていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1および第2床材の裏面材に固定部分を設け、裏面材の固定部分に固定具を打ち込むことにより、第1および第2床材を床下地面に固定することができる。これにより、第1および第2の板材の縁部に直接固定具を打ち込むことにより第1および第2床材を床下地面に固定する必要がないため、第1および第2床材の縁部が固定具により破損することを回避することができる。このような結果、第1および第2床材が損傷することなく、これらを床下地面に簡単に固定することができる。また、直線状の延在した根太に、第1および第2床材を固定する場合には、第1および第2床材から露出した固定部分を根太に沿って簡単に配置することができるため、これらの床材を固定具で根太に確実に固定することができる。さらに、床材の縁部の幅が狭い場合であっても、裏面材の固定部分に、固定具を打ち込むための十分な面積を確保することができる。
【0011】
より好ましい態様としては、前記第1および第2床材の前記板材の一方側の短辺および長辺の縁部には、雄実部が形成されており、その他方側の短辺および長辺の縁部には、前記雄実部に実接合する形状の雌実部が形成されており、前記一方の床材の隣接する板材同士を階段状にずらして形成される空間に、前記他方の床材の板材が入り込んで、前記一方の床材と前記他方の床材とが実接合した状態で、前記他方の床材の板材の裏面のうち、前記雄実部と前記雌実部とによる実接合する部分の隅部の裏面が、前記一方の床材の前記固定部分の表面に対して間隙を形成するように、前記板材が形成されている。
【0012】
この態様によれば、他方の床材の板材の裏面のうち、雄実部と前記雌実部とによる実接合する部分の隅部の裏面が、一方の床材の前記固定部分の表面に対して間隙が形成されるので、第1および第2の床材の隅部が入り易くなり、第1および第2の床材を簡単に実接合することができる。
【0013】
さらに好ましい態様としては、前記第1および第2床材には、前記一方の床材と前記他方の床材とが実接合した状態で、前記一方の床材を構成する前記裏面材の前記固定部分の表面に、前記他方の床材を構成する前記板材の裏面の一部が当接するように、前記第1および第2床材の前記裏面材と前記板材とが形成されている。
【0014】
この態様によれば、第1および第2床材を実接合させて床下地面に敷設した状態で、一方の床材の裏面材の固定部分の表面に、他方の床材を構成する板材の裏面の一部が当接する。これにより、実接合する部分の沈み込みを防止することができる。
【0015】
さらに好ましい態様としては、前記第1および第2床材を組み合わせて前記床下地面に敷設した状態で、前記第1床材の裏面材と前記第2床材の裏面材とが隣接する位置において、前記第1または第2床材の板材と、前記床下地面との間に間隙が形成されるように、前記第1および第2床材の前記裏面材が形成されている。
【0016】
この態様によれば、第1および第2床材を組み合わせた際に、前記第1および第2床材の板材と、前記床下地面との間に形成された間隙に、敷設時に床下地面と各裏面材との間に設けられた過剰な接着剤を保持することができる。これにより、第1および第2床材の表面への過剰な接着剤のはみ出しを抑えることができる。
【0017】
さらに好ましい態様としては、前記第1および第2床材の前記裏面材は、前記板材の長辺に交差する方向に沿って、分割されている。この態様によれば、たとえば、リフォーム時などに第1および第2床材を床下地面から剥がす際に、各板材を裏面材から引き剥がした後、固定具で固定された第1および第2床材の裏面材を、裏面材を分割した部分から剥がすことができる。
【0018】
以下に、上述した床材ユニットを用いて、前記第1および第2床材を組み合わせて前記床下地面に敷設することにより、前記第1および第2床材の前記複数の板材により前記ヘリンボン状の模様を形成する床材ユニットの施工方法を開示する。この施工方法では、前記第1および第2床材のうち、前記一方の床材を床下地面に敷設後、前記一方の床材の前記固定部分に前記固定具を貫通させて、前記一方の床材を前記床下地面に固定する工程と、前記固定具で固定された前記一方の床材の隣接する板材同士を階段状にずらして形成される空間に、前記他方の床材の階段状となる両側のうち一方側の板材の部分を入り込ませて、前記第1および第2床材の複数の前記板材により前記ヘリンボン状の模様を形成するように、前記他方の床材を、前記床下地面に敷設後、前記他方の床材の他方側に形成された前記固定部分に前記固定具を貫通させ、前記他方の床材を前記床下地面に固定する工程と、を少なくとも含む。この態様によれば、第1および第2の床材を、固定部分を利用して、固定具で床下地面に固定することにより、ヘリンボン状の模様に形成することができる。
【0019】
さらに好ましい態様としては、前記床材ユニットの施工方法は、前記ヘリンボン状の模様が形成されるように、前記第1および第2床材を前記床下地面に敷設した状態で、前記第1床材の前記長辺に沿った縁部と、前記第2床材の前記長辺に沿った縁部と、に当接する定規を用いて、前記第1床材および第2床材を固定するものであり、前記一方の床材を前記床下地面に固定する工程において、前記床下地面の所望の位置に前記定規を配置するとともに、前記定規に前記一方の床材の前記縁部を当接するように、前記一方の床材を敷設し、前記他方の床材を前記床下地面に固定する工程において、前記一方の床材の前記縁部に当接した状態で、前記定規に前記他方の床材の前記縁部を当接するように、前記他方の床材を敷設する。この態様によれば、後述するように、定規を用いて、第1および第2床材を位置ずれなく精度良く、床下地面に敷設することができる。特に、床下地面に根太が形成されている場合、第1および第2床材の固定部分を、根太に沿って精度良く配置することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1および第2床材の縁部が固定具により破損することなく、ヘリンボン状の模様が形成されるように、第1および第2床材を敷設することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面に基づき、本発明に係る床材ユニットおよびその施工方法の実施形態を説明する。なお、
図1(a)に示すA−A線からH−H線までの位置と、
図4(a)に示すA−A線からH−H線までの位置とは、同じ位置である。
【0023】
1:床材ユニット1について
本実施形態に係る床材ユニット1は、
図1に示すように、第1床材10および第2床材20を備えている。後述するように、床材ユニット1は、これらの第1床材10および第2床材20を組み合わせて床下地面Mに敷設することにより、床面にヘリンボン状の模様を形成する。
【0024】
図2Aに示すように、第1床材10は、短辺と長辺を有した矩形状の4枚(複数)の板材11と、これらの板材11を、板材11の裏面側で固定する裏面材12と、を備えている。本実施形態では、第1床材10の各板材11は同じ形状である。したがって、各板材11の短辺の長さは同じであり、各板材の長辺の長さは同じである。また、各板材11の対向する短辺の沿った縁部および長辺に沿った縁部には、雄実部13と、これに実接合自在となる雌実部14と、が形成されている。
【0025】
同様に、
図2Bに示すように、第2床材20は、短辺と長辺を有した矩形状の4枚(複数)の板材21と、これらの板材21を、板材21の裏面側で固定する裏面材22と、を備えている。本実施形態では、第2床材20の各板材21は同じ形状であり、各板材21の対向する短辺の沿った縁部および長辺に沿った縁部には、雄実部23と、これに実接合自在となる雌実部24と、が形成されている。これにより、第1床材10の板材11の雄実部13と、第2床材20の板材21の雌実部24とは、実接合自在となり、第1床材10の雌実部14と、第2床材20の雄実部23とは、実接合自在となる。
【0026】
第1床材10の4枚の板材11は、いわゆる雁行形状に配置されている。具体的には、
図1および
図2Aに示すように、第1床材10の4枚の板材11は、板材11の短辺の方向に隣接して並んで、かつ、隣接する板材11を板材11の長辺の方向に沿って、板材11の短辺の長さ分、階段状にずらした状態で、裏面材12によって固定されている。このようにして、第1床材10には、第1床材10の階段状となる両側において、板材11同士を階段状にずらして形成される空間16、17を設けることができる。
【0027】
ここで、本実施形態では、隣接する板材11同士の長辺の方向の雄実部13と雌実部14とが実接合された状態で、例えば接着剤または接着テープなどにより、板材11が裏面材12によって固定されている。上述した如く、各板材11の縁部には、雄実部13と雌実部14とが形成されているので、
図1、
図3A、および
図3Bに示すように、第1床材10の各縁部15a、15bにも、雄実部13と雌実部14とが形成される。
【0028】
同様に、
図1および
図2Bに示すように、第2床材20の4枚の板材21も、板材21の短辺の方向に隣接して並んで、かつ、隣接する板材21を板材21の長辺の方向に沿って、板材21の短辺の長さ分、階段状にずらした状態で、裏面材22によって固定されている。第2床材20が、第1床材10と相違する点は、板材21の長辺の方向に沿ってずらす板材21の方向が、第1床材10の板材11をずらす方向とは、反対方向になっている。このようにして、第2床材20には、第2床材20の階段状となる両側において、板材21同士を階段状にずらして形成される空間26、27を設けることができる。
【0029】
ここで、第2床材20も同様に、隣接する板材21同士の長辺の方向の雄実部23と雌実部24とが実接合された状態で、板材21が裏面材22によって固定され、
図1、
図3A、および
図3Bに示すように、第2床材20の各縁部25a、25bにも、雄実部23と雌実部24とが形成される。
【0030】
換言すると、本実施形態では、
図4(a)、(b)に示すように、第1および第2床材10、20の相互の床材の階段状となる両側において、一方の床材10(20)の隣接する板材11(21)同士を階段状にずらして形成される空間16(27)に、他方の床材20(10)の板材21(11)の階段状の部分が入り込んで、第1および第2床材10、20の複数の板材11、21によりヘリンボン状の模様が形成されるように、第1および第2床材10、20の複数の板材11、21は、裏面材12、22によって固定されることになる。
【0031】
なお、本実施形態では、第1床材10に形成された空間16と、第2床材20に形成された空間27とを、相互に埋めるように、第1床材10と第2床材20とを組み合わせて、実接合した。図示していないが、同様に、第1床材10に形成された空間17と、第2床材20に形成された空間26とを相互に埋めるように、第1床材10と第2床材20とを組み合わせて、実接合することができることは明らかである。
【0032】
ここで、
図1(a)に示すように、第1床材10の階段状となる両側において、第1床材10の裏面材12は、固定具7(たとえば
図5(a)、(b)参照)を貫通させることにより第1床材10を床下地面Mに固定するための固定部分18を、板材11同士を階段状にずらして形成される空間16、17に延在させている。本実施形態では、隣接する2つの板材11のうち、一方の板材11の短辺の方向に沿った縁部と、他方の板材11の長辺の方向に沿った縁部との間に、三角形状(直角二等辺三角形状)の固定部分18が、形成されている。本実施形態では、第1床材10では、4枚の板材11が並んで配置されていることから、3つの固定部分18が形成されている。
【0033】
同様に、
図1(a)に示すように、第2床材20の階段状となる両側において、第2床材20の裏面材22は、固定具7を貫通させることにより第2床材20を床下地面Mに固定するための固定部分28を、板材21同士を階段状にずらして形成される空間26、27に延在させている。本実施形態でも、隣接する2つの板材21のうち、一方の板材21の短辺に沿った縁部と、他方の板材21の長辺に沿った縁部との間に、3つの三角形状(直角二等辺三角形状)の固定部分28が、形成されている。
【0034】
このように、第1および第2床材10、20の裏面材12、22に固定部分18、28を設けることにより、例えば、
図5(a)および
図5(b)に示すように、裏面材12、22の固定部分18、28に、ねじ(ビス)、釘、またはステープルなどの固定具7を打ち込むことにより第1および第2床材10、20を床下地面Mに固定することができる。なお、
図5(a)は、第2床材20を床下地面Mに固定した状態を示しており、
図5(b)は、第1床材10を床下地面Mに固定した状態を示している。本実施形態では、
図1(a)に示す第1および第2床材10、20の縁部15a、25aに直接、固定具7を打ち込むことにより、第1および第2床材10、20を床下地面に固定する必要がない。このため、第1および第2床材10、20の縁部15a、25aが固定具7により破損することを回避することができる。
【0035】
また、通常、固定部分を有しない第1および第2床材に、雄実部および雌実部を設けている場合には、第1および第2床材を床下地面に固定する際に、雄実部に固定具を貫通させねばならない。しかしながら、本実施形態では、雌実部14、24が形成されている側にも、固定部分18、28を設けているので、雄実部13、23が形成されている側、および、雌実部14、24が形成されている側のいずれの側からも、固定具7で、第1および第2床材10、20を固定することができる。これにより、第1床材10および第2床材20の雄実部13、23が損傷することなく、これらを床下地面Mの所望の位置に簡単に固定することができる。
【0036】
さらに、第1および第2床材10、20の固定位置が適切でない場合、第1および第2床材10、20から固定具7を引き抜き、これらを床下地面Mの適切な固定位置に再度固定することがある。これまでは、第1および第2床材のうち、固定具が一度打ち込まれた縁部またはその近傍の脆弱な部分に、固定具を再度打ち込むことがあり、この脆弱な部分が破損することがあった。したがって、このような破損を回避するため、固定具の打ち込み位置が、脆弱な部分から外れた位置に制限されることがあった。しかしながら、本実施形態では、裏面材12、22を延在させて固定部分18、28を設けているので、固定部分18、28の同じ位置またはその近傍に固定具7を打ち込んでも、固定部分18、28は破損し難い。このため、固定具7を再度打ち込む位置が制限され難いので、固定具7を用いて第1および第2床材10、20を床下地面Mに簡単に貼り直すこともできる。
【0037】
ここで、第1床材10の板材11の裏面11aおよび第2床材20の板材21の裏面21aは、第1および第2床材10、20同士が、実接合できるのであれば、面一であってもよい。しかしながら、本実施形態では、より好ましい態様として、
図1(b)および
図4(c)に示すように、第1床材10の板材11の裏面11aの短辺の方向に沿った両端部、および第2床材20の板材21の裏面21aの短辺の方向に沿った両端部には、削り込み部(凹み部)11b、21bが形成されている。
【0038】
具体的には、
図4(a)、(b)に示すように、一方の床材10(20)の隣接する板材11(21)同士を階段状にずらして形成される空間16(27)に、他方の床材20(10)の板材21(11)が入り込んで、一方の床材10(20)と他方の床材20(10)とが実接合した状態で、各板材11、21が、以下の如く形成されている。より具体的には、
図5(a)に示すように、第1床材10の板材11の裏面11aのうち、実接合する部分の両端部(少なくとも隅部11d)の裏面11aが、第2床材20の固定部分28の表面に対して間隙S1を形成するように、板材11の削り込み部11bが形成されている。同様に、
図5(b)に示すように、第2床材20の板材21の裏面21aのうち、実接合する部分の両端部(少なくとも隅部21d)の裏面21aが、第1床材10の固定部分18の表面に対して間隙S1を形成するように、板材21の削り込み部21bが形成されている。
【0039】
これにより、
図5(a)に示す矢印方向から、第1床材10の短辺の方向に沿って形成された雄実部13を、第2床材20の長辺の方向に沿った雌実部24に挿入したとしても、間隙S1が形成されるので、第1床材10の板材11の隅部11dが入り易くなり、第1および第2床材10、20を簡単に実接合することができる。さらに、ねじ、釘などの固定具7で固定する場合、間隙S1により、第1床材10が、雄実部13の挿入時に、固定具7の頭部に接触して、第1および第2床材10、20が破損することを回避することができる。
【0040】
また、
図5(b)に示す矢印方向から、第2床材20の短辺の方向に沿って形成された雌実部24を、第1床材10の長辺の方向に沿った雄実部13に挿入したとしても、間隙S1が形成されるので、第2床材20の板材21の隅部21dが入り易くなり、第1および第2床材10、20を簡単に実接合することができる。同様に、ねじ、釘などの固定具7で固定する場合、間隙S1により、第2床材20が、雌実部24の挿入時に、固定具7の頭部に接触して、第1および第2床材10、20が破損することを回避することができる。
【0041】
ここで、間隙S1を形成した状態では、
図5(a)、(b)に示すように、第1および第2床材10、20を実接合させて床下地面Mに敷設した状態で、一方の床材10(20)の裏面材12(22)の固定部分18(28)の表面に、他方の床材20(10)を構成する板材21(11)の裏面21a(11a)の一部が当接する当接部25c(15c)を形成することが好ましい。これにより、実接合する部分の沈み込みを防止することができる。
【0042】
より具体的には、
図5(a)に示すように、第1床材10の短辺の方向に沿って形成された雄実部13を、第2床材20の長辺の方向に沿った雌実部24に挿入した際に、雄実部13の先端が、第2床材20の雌実部24の開口に位置する状態では、裏面材22に当接せず間隙S1が形成され、その後のさらなる挿入で、裏面材22に当接するように当接部15cが形成されることが好ましい。同様に、
図5(b)に示すように、第2床材20の短辺の方向に沿って形成された雌実部24を、第1床材10の長辺の方向に沿った雄実部13に挿入した際に、雌実部24の開口が、雄実部13の先端に位置する状態では、裏面材12に当接せず間隙S1のみが形成され、その後のさらなる挿入で、裏面材12に当接するように当接部25cが形成されることが好ましい。
【0043】
第1床材10の裏面材12と第2床材20の裏面材22との大きさおよび形状は、上述した固定部分18、28を形成することを前提に、第1床材10および第2床材20を組み合わせた状態で、床下地面Mに配置したときに、裏面材12、22同士が重なり合わないような大きさおよび形状であれば、特に限定されるものではない。したがって、例えば、第1床材10および第2床材20を組み合わせて床下地面Mに敷設した状態で、第1床材10の裏面材12と第2床材20の裏面材22とが隣接する位置において、当接してもよい。
【0044】
しかしながら、本実施形態では、
図5(a)および
図5(b)に示すように、第1床材10の裏面材12と第2床材20の裏面材22とが隣接する位置において、第1床材10または第2床材20の板材11(21)と、床下地面Mとの間に間隙S2が形成されるように、第1床材10の裏面材12および第2床材20の裏面材22が形成されている。
【0045】
これにより、第1床材10および第2床材20を組み合わせた際に、第1床材10の板材11または第2床材20の板材21と、床下地面Mとの間に形成された間隙S2に、敷設時に床下地面Mと各裏面材12、22との間に塗布された過剰な接着剤を保持することができる。このようにして、第1床材10および第2床材20の表面への過剰な接着剤のはみ出しを抑えることができる。
【0046】
さらに、第1床材10の裏面材12および第2床材20の裏面材22は、それぞれ1つの板材から構成されていてもよく、複数に分割されたものであってもよく、分割されている場合には、裏面材12(22)により、板材11(21)を固定し、固定部分18(28)を形成することができるのであれば、その分割される位置は特に限定されるものではない。
【0047】
しかしながら、本実施形態では、より好ましい態様として、第1床材10の裏面材12および第2床材20の裏面材22は、板材11、21の長辺に交差する方向に沿って、分割されている。具体的には、裏面材12、22は、2つの分割材12a、22aにそれぞれ分割される。これにより、たとえば、リフォーム時などに第1および第2床材10、20を床下地面Mから剥がす際に、各板材11、21を裏面材12、22から引き剥がした後、固定具7で固定された第1および第2床材10、20の裏面材12、22を、裏面材22、12を各分割材12a、22aの境界から剥がすことができる。
【0048】
2:床材ユニット1の施工方法について
以下に、
図6および
図7を参照しながら、床材ユニット1の施工方法を説明する。床材ユニット1の敷設は、合板などにより形成された平面状の床下地面Mであってもよいが、本実施形態では、床暖房システム8の表面を床下地面Mとして、これに床材ユニット1を敷設する方法を以下に説明する。
【0049】
図6(a)に示すように、床暖房システム8は、枠体81を備えており、枠体81の内部に断熱材82が配置されており、断熱材82の上部には、温水が通水される温水チューブ84がサーペインタイン状に配置されている。また、枠体81には、床暖房システム8の剛性を保つように、複数の根太83が、連結されている。さらに、これらの上には、アルミニウムシート(図示せず)が敷設されている。このアルミニウムシートを敷設することにより、温水チューブ84に通水された温水の熱を、床下地面Mに均一に伝達することができる。
【0050】
本実施形態では、床暖房システム8の上に、
図6(b)に示すように、複数の床材ユニット1を敷設する。具体的には、
図7に示すようにして、第1および第2床材10、20を組み合わせて床下地面Mに敷設することにより、第1および第2床材10、20の複数の板材11、21によりヘリンボン状の模様を形成する。
【0051】
この施工方法では、
図7(a)〜(c)に示すように、第1床材10の長辺に沿った縁部15aと、第2床材20の前記長辺に沿った縁部25aとに当接する定規9を用いて、第1床材10および第2床材20を固定する。
【0052】
具体的には、まず、
図7(a)に示すように、根太83上に、第1床材10に当接する辺92と、第2床材20に当接する辺93とにより形成される角部91が、根太83上に配置されるように、定規9を床下地面M上に配置する。より具体的には、後述する
図7(b)に示すように、第1床材10の空間16に形成された各固定部分18が、根太83上に配置されように、定規9を配置する。なお、定規9には、第1床材10の雄実部13に実接合する雌実部と、第2床材20の雌実部24に実接合する雄実部とが、形成されていてもよい。
【0053】
次に、
図7(b)に示すように、第1床材10の裏面(裏面材12)に接着剤を塗布し、定規9の辺92に、第1床材10の長辺に沿った縁部15aを当接させる。この状態で、
図7(c)に示すように、第1床材10の隣接する板材11同士を階段状にずらして形成される空間16に、第2床材20の階段状となる両側のうち一方側の板材21の部分を入り込ませ、定規9の辺93に、第2床材20の縁部25aを当接するように、第2床材20を床下地面Mに敷設する。ここで、第1および第2床材10、20の複数の板材11、21により、床面にヘリンボン状の模様が形成される。
【0054】
この状態で、第1および第2床材10、20の配置状態に問題がなければ、
図7(b)の状態に戻し、第1床材10の空間16に形成された各固定部分18に、固定具(図示せず)を貫通させて、床下地面Mの一部を構成する根太83に第1床材10を固定する。
【0055】
次に、固定具で固定された第1床材10の空間16に、第2床材20の板材21を入り込ませて、第1および第2床材10、20の複数の板材11、21によりヘリンボン状の模様を形成するように、第2床材20を、床下地面Mに敷設する。具体的には、上述したように、定規9の辺93に、第2床材20の縁部25aを当接するように、第2床材20を床下地面Mに敷設する。その後、第2床材20の他方側(空間26側)に形成された固定部分28に固定具(図示せず)を貫通させ、床下地面Mの一部を構成する隣接する根太83に固定する。
【0056】
このようにして、第1および第2床材10、20を、固定部分18、28を利用して、固定具で床下地面Mに固定することにより、ヘリンボン状の模様に形成することができる。特に、本実施形態では、第1および第2床材10、20から露出した固定部分18、28を根太83に沿って簡単に配置することができるため、これらの床材10、20を固定具で根太83に簡単に固定することができる。特に、定規9を用いることにより、第1および第2床材10、20を位置ずれなく精度良く、根太83に沿って固定することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0058】
本実施形態では、第1および第2床材に、雄実部および雌実部を設けたが、第1および第2床材を配置することにより、ヘリンボン状の模様を形成することができるのであれば、これらを省略してもよい。
【0059】
また、第1および第2床材を敷設する際に用いたが定規に、直角2等辺三角形の定規を設けたが、第1および第2床材に当接する2つの辺と、これらの辺に沿った直線が直交していれば、定規の形状は、特に限定されるものではない。