特許第6858577号(P6858577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーインスツル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000002
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000003
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000004
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000005
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000006
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000007
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000008
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000009
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000010
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000011
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000012
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000013
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000014
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000015
  • 特許6858577-時計、および時計の制御方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858577
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】時計、および時計の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/00 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   G04C3/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-14730(P2017-14730)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-124095(P2018-124095A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】井橋 朋寛
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−344578(JP,A)
【文献】 特開2015−190767(JP,A)
【文献】 特開2009−175044(JP,A)
【文献】 特開2011−163912(JP,A)
【文献】 特開2002−014181(JP,A)
【文献】 実開平05−081786(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0362893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00−99/00
G04C 1/00−99/00
G04R 20/00−60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的な通信電波により通信機器との通信を制御する通信部と、
モータにより駆動される指針の運針を制御する制御部と、
を備え、
アドバタイズ状態または前記通信機器との接続状態において、前記制御部は、前記通信電波の通信タイミングを起点とした、前記指針の運針を許可する運針許可期間を、前記通信タイミングと、前記通信タイミングの後のタイミングである他の通信タイミングと、の合間に設定する、時計。
【請求項2】
前記通信部は、前記通信電波の前記通信タイミングが完了したことを示す電波通信完了信号を出力し、
前記制御部は、前記電波通信完了信号を受け取ったとき前記運針許可期間を設定し、前記運針許可期間において前記モータを駆動する、請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記運針許可期間は、前記通信電波の前記通信タイミングが第1周期の場合に第1許可期間として設定され、前記通信電波の前記通信タイミングが前記第1周期よりも短い第2周期の場合に前記第1許可期間よりも短い第2許可期間として設定される、請求項1または請求項2に記載の時計。
【請求項4】
前記通信部は、通信状態であって、前記通信機器を探索する状態、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態、および前記通信機器とデータ通信可能な状態のうち少なくとも1つの状態を検出し、
前記制御部は、前記通信部が検出した前記通信状態に応じて、前記運針許可期間を変更する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の時計。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態において、前記運針許可期間を設定しない、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の時計。
【請求項6】
前記通信部は、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態において、前記電波通信完了信号を出力しない、請求項2に記載の時計。
【請求項7】
前記制御部は、前記指針の運針を要求する運針要求が発生したとき、前記運針許可期間であるか否かを判別し、前記運針許可期間である場合に前記運針要求に応じて前記モータを駆動するように制御し、前記運針許可期間ではない場合に前記運針要求に応じて前記モータを駆動しないように制御する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の時計。
【請求項8】
前記制御部は、前記指針の運針を要求する運針要求が発生したとき、前記運針許可期間であるか否かを判別し、前記運針許可期間である場合に前記運針要求に応じて前記モータを駆動するように制御し、前記運針許可期間ではない場合に、所定の時間経過後に前記運針許可期間であるか否かを判別する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の時計。
【請求項9】
前記運針許可期間において前記制御部が前記指針を運針させることにより、前記通信部による通信状態としての、前記通信機器を探索する状態、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態、および前記通信機器とデータ通信可能な状態のうち少なくとも1つの状態を、前記指針の挙動により報知する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の時計。
【請求項10】
前記通信機器とデータ通信可能な状態においてデータを受信したとき、前記運針許可期間において、前記制御部が前記指針を所定ステップ数運針させることにより、当該データの通信進捗を反映した当該所定ステップ数の運針により当該データの通信進捗を報知する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の時計。
【請求項11】
時刻表示機能、タイマー機能、アラーム機能、およびストップウォッチ機能の少なくとも1つの機能を選択する操作部、を備え、
前記操作部の操作によって選択された前記機能に基づき前記指針が駆動されている場合、前記運針許可期間において、前記制御部が前記指針を運針させることにより、前記指針の位置を更新し前記機能に応じた更新位置とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の時計。
【請求項12】
モータにより駆動される指針の運針を制御する制御部を有する時計の制御方法であって、
通信部が、周期的な通信電波により通信機器との通信を制御するステップと、
前記通信部が、前記通信電波の通信タイミングが完了したことを示す電波通信完了信号を出力するステップと、
制御部が、前記通信電波の通信タイミングを起点とし前記指針の運針を許可する運針許可期間を設定するステップと、
前記制御部が、前記電波通信完了信号を受け取ったとき前記運針許可期間を設定し、前記運針許可期間において前記モータを駆動するステップと、
を含み、
前記運針許可期間は、アドバタイズ状態、または前記通信機器との接続状態、において、前記通信タイミングと、前記通信タイミングの後のタイミングである他の通信タイミングと、の合間に設定される、時計の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計、および時計の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信を用いて、スマートフォン等の通信機器と通信する時計が提案されている。このような時計では、通信機器との通信に応じて指針を駆動させるものがある。ただし、腕時計では、大きさの制約があるため、電源に制約が発生し、通信とモータの駆動を同時に行うことが困難といった課題があった。
【0003】
このような課題に対して、モータ駆動中は、通信タイミングを制御し、モータの駆動と通信のタイミングが重ならないようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−33430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、時計と外部機器との通信の接続を維持するためには、所定時間毎に通信を行う必要がある。このため、特許文献1に記載の技術では、通信タイミングを調整しようとすると、通信間隔の変更処理などの煩雑な処理が必要となる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、通信中であっても指針の運針を行うことができる時計、および時計の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計(100)は、周期的な通信電波により通信機器との通信を制御する通信部(無線通信制御部111)と、モータ(122)により駆動される指針(120)の運針を制御する制御部(101)と、を備え、アドバタイズ状態または前記通信機器との接続状態において、前記制御部は、前記通信電波の通信タイミングを起点とした、前記指針の運針を許可する運針許可期間を、前記通信タイミングと、前記通信タイミングの後のタイミングである他の通信タイミングと、の合間に設定する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記通信部は、前記通信電波の前記通信タイミングが完了したことを示す電波通信完了信号を出力し、前記制御部は、前記電波通信完了信号を受け取ったとき前記運針許可期間を設定し、前記運針許可期間において前記モータを駆動するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記運針許可期間は、前記通信電波の前記通信タイミングが第1周期(例えばアドバタイズ状態の期間)の場合に第1許可期間(T1)として設定され、前記通信電波の前記通信タイミングが前記第1周期よりも短い第2周期(例えば接続状態)の場合に前記第1許可期間よりも短い第2許可期間(T2)として設定されるようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記通信部は、通信状態であって、前記通信機器を探索する状態、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態、および前記通信機器とデータ通信可能な状態のうち少なくとも1つの状態を検出し、前記制御部は、前記通信部が検出した前記通信状態に応じて、前記運針許可期間を変更するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記制御部は、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態において、前記運針許可期間を設定しないようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記通信部は、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態において、前記電波通信完了信号を出力しないようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記制御部は、前記指針の運針を要求する運針要求が発生したとき、前記運針許可期間であるか否かを判別し、前記運針許可期間である場合に前記運針要求に応じて前記モータを駆動するように制御し、前記運針許可期間ではない場合に前記運針要求に応じて前記モータを駆動しないように制御するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記制御部は、前記指針の運針を要求する運針要求が発生したとき、前記運針許可期間であるか否かを判別し、前記運針許可期間である場合に前記運針要求に応じて前記モータを駆動するように制御し、前記運針許可期間ではない場合に、所定の時間経過後に前記運針許可期間であるか否かを判別するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記運針許可期間において前記制御部が前記指針を運針させることにより、前記通信部による通信状態としての、前記通信機器を探索する状態、前記通信機器との通信接続処理を実行する状態、および前記通信機器とデータ通信可能な状態のうち少なくとも1つの状態を、前記指針の挙動により報知するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記通信機器とデータ通信可能な状態においてデータを受信したとき、前記運針許可期間において、前記制御部が前記指針を所定ステップ数運針させることにより、当該データの通信進捗を反映した当該所定ステップ数の運針により当該データの通信進捗を報知するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様に係る時計において、時刻表示機能、タイマー機能、アラーム機能、およびストップウォッチ機能の少なくとも1つの機能を選択する操作部、を備え、前記操作部の操作によって選択された前記機能に基づき前記指針が駆動されている場合、前記運針許可期間において、前記制御部が前記指針を運針させることにより、前記指針の位置を更新し前記機能に応じた更新位置とするようにしてもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計の制御方法は、モータにより駆動される指針の運針を制御する制御部を有する時計の制御方法であって、通信部が、周期的な通信電波により通信機器との通信を制御するステップと、前記通信部が、前記通信電波の通信タイミングが完了したことを示す電波通信完了信号を出力するステップと、制御部が、前記通信電波の通信タイミングを起点とし前記指針の運針を許可する運針許可期間を設定する設定ステップと、前記制御部が、前記電波通信完了信号を受け取ったとき前記運針許可期間を設定し、前記運針許可期間において前記モータを駆動するステップと、を含み、前記運針許可期間は、アドバタイズ状態、または前記通信機器との接続状態、において、前記通信タイミングと、前記通信タイミングの後のタイミングである他の通信タイミングと、の合間に設定される
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通信中であっても指針の運針を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る時計システムの構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る時計と通信機器との通信の例のタイミングチャートである。
図3】第1実施形態に係る制御部が行う処理のメインルーチンのフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る通信中の運針許可設定の処理のフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る通信中の運針処理のフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る時計と通信機器との通信を終了する処理のフローチャートである。
図7】第1実施形態に係る通信中の運針許可の解除処理のフローチャートである。
図8】本実施形態に係る通信中の運針タイミングの生成処理のフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る時計の外観の一例を示す図である。
図10】第2実施形態に係るアドバタイズ状態における秒針の駆動例を示す図である。
図11】第2実施形態に係る接続状態における秒針の駆動例を示す図である。
図12】第2実施形態に係る主制御回路が行う処理のメインルーチンのフローチャートである。
図13】第2実施形態に係るアドバタイズ状態における秒針の運針処理のフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る接続状態における運針開始処理のフローチャートである。
図15】第2実施形態に係る通信終了時の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
[第1実施形態]
<時計100の説明>
図1は、本実施形態に係る時計システム1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、時計システム1は、通信機器200と、通信機器200と通信可能な時計100とを備える。
【0023】
時計100は、制御部101、発振回路102、分周回路103、入力部104、記憶部105、太陽電池106、充放電制御回路107、二次電池109、スイッチ110、無線通信制御部111、電池電圧検出部112、秒針120A、分針120B、時針120C、輪列機構121A、輪列機構121B、輪列機構121C、ステッピングモータ122A、ステッピングモータ122B、およびステッピングモータ122Cを備える。
なお、時計100は、ケース、風防、文字盤(Dial)、ベゼル、バンド等を備えている。
【0024】
なお、秒針120A、分針120B、および時針120Cのうち1つを特定しない場合は、指針120という。輪列機構121A、輪列機構121B、および輪列機構121Cのうち1つを特定しない場合は、輪列機構121という。ステッピングモータ122A、ステッピングモータ122B、およびステッピングモータ122Cのうち1つを特定しない場合は、モータ122という。
【0025】
また、制御部101は、電源制御部1011、時刻カウント部1012、通信制御部1013、情報処理部1014、情報送受信部1015、および指針制御部1016を備える。
また、無線通信制御部111は、アンテナ1111、および近距離無線通信部1112を備える。
【0026】
時計100は、無線通信を介して通信機器200から少なくとも情報を受信し、受信した情報に基づいて、秒針120Aを駆動する。時計100は、時刻を計時し、計時した時刻を秒針120A、分針120B、および時針120Cを用いて表示する。
【0027】
太陽電池106は、例えばソーラーパネルである。太陽電池106は、光エネルギーを電力に変換して、変換した電力を充放電制御回路107に出力する。
充放電制御回路107は、太陽電池106が出力した電力を、二次電池109に充電する。充放電制御回路107は、二次電池109の電圧値が所定の電圧値以上になった場合に放電させるか充電を停止させるように放電制御する。充放電制御回路107は、二次電池109に蓄電された電力を制御部101に供給する。充放電制御回路107は、制御部101に応じて、スイッチ110がオン状態のとき二次電池109に蓄電された電力を無線通信制御部111へ供給する。
【0028】
二次電池109は、太陽電池106が発電した電気エネルギーを蓄える蓄電池である。二次電池109は、蓄えた電力を制御部101および無線通信制御部111へ供給する。
【0029】
スイッチ110は、一端が二次電池109に接続され、他端が無線通信制御部111に接続されている。スイッチ110は、電源制御部1011によって制御される。
電池電圧検出部112は、二次電池109の電圧値を検出し、検出した電圧値を示す情報を制御部101へ出力する。
【0030】
無線通信制御部111には、電源制御部1011の制御に応じて、二次電池109から電源が供給される。無線通信制御部111は、通信制御部1013が出力するデータを通信機器200と行う通信方式の送信信号に変換し、変換した送信信号を電波に変換する。無線通信制御部111は、変換した電波を通信機器200へ送信する。無線通信制御部111は、通信制御部1013の制御に応じて、通信機器200が送信した電波を受信する。無線通信制御部111は、通信制御部1013の制御に応じて、受信した電波を電気信号に変換し、変換した電気信号を受信信号として通信制御部1013へ出力する。なお、実施形態では、送信信号、受信信号を含めて通信電波という。無線通信制御部111は、データの送受信が完了したとき、データの送受信が完了したことを示す電波通信完了信号を生成し、生成した電波通信完了信号を制御部101に出力する。
【0031】
近距離無線通信部1112は、通信制御部1013が出力するデータを通信機器200と行う通信方式の送信信号に変換し、変換した送信信号をアンテナ1111に出力する。なお、時計100と通信機器200とが通信を行う通信方式は、Wi−Fi(Wireless Fidelity)規格や、Bluetooth(登録商標) LE(Low Energy)(以下、BLEという)規格の通信方式等である。以下の説明では、通信方式がBLEの例を説明する。近距離無線通信部1112は、アンテナ1111が出力した電気信号を受信信号として通信制御部1013へ出力する。近距離無線通信部1112は、データの送受信が完了したとき、データの送受信が完了したことを示す電波通信完了信号を生成し、生成した電波通信完了信号を通信制御部1013に出力する。
【0032】
アンテナ1111は、近距離無線通信部1112が出力した送信信号を電波に変換し、変換した電波を送信する。アンテナ1111は、受信した電波を電気信号に変換し、変換した電気信号を受信信号として近距離無線通信部1112へ出力する。
【0033】
発振回路102は、例えば水晶振動子を備える。水晶振動子は、水晶の圧電現象を利用し、その機械的共振から第1の周波数を発振するために用いられる受動素子である。水晶振動子の発振周波数は、例えば32kHzである。発振回路102は、水晶振動子を発振させて生成したクロック信号を分周回路103に出力する。
分周回路103は、発振回路102が出力したクロック信号の信号を所望の周波数に分周し、分周した基準信号を制御部101に出力する。基準信号の周波数は、例えば64Hzと32Hzである。
【0034】
入力部104は、例えば竜頭である。入力部104は、利用者の操作を検出し、検出した操作結果を制御部101に出力する。竜頭の検出結果は、竜頭の回転角度等である。後述するように、本実施形態の時計100では、竜頭の操作によって、動作モードが切り替わる。ここで、動作モードとは、時刻合わせモード(通常動作モード)、通信を行う通信モード等である。
【0035】
記憶部105は、時計100の制御に必要な情報、プログラムを記憶する。記憶部105は、運針許可設定開始タイミングの時刻を記憶する。記憶部105は、運針許可フラグを記憶する。記憶部105は、運針要求フラグを記憶する。
【0036】
制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、時計100が備える各部の制御を行う。制御部101は、二次電池109が出力する電力を用いて、各部を駆動する。制御部101は、時刻を計時し、計時した結果に基づいてモータ122を制御することで指針120を運針する。制御部101は、無線通信制御部111が受信した情報に応じて、秒針120Aを駆動する駆動パルスを生成する。制御部101は、入力部104が出力した検出結果に応じて、時刻、日付等を調整する駆動パルスを生成する。制御部101は、生成した駆動パルスをモータ122へ出力する。制御部101は、電池電圧検出部112が検出した電圧値が所定値より高い場合にスイッチ110をオン状態に制御し、電圧値が所定値以下である場合にスイッチ110をオフ状態に制御する。
【0037】
電源制御部1011は、無線通信制御部111の電源をオン状態またはオフ状態を制御する。具体的には、電源制御部1011は、無線通信制御部111が通信機器200と通信するときにのみスイッチ110をオン状態に切り換えて二次電池109から無線通信制御部111に電力を供給するように制御する。また、電源制御部1011は、無線通信制御部111が通信機器200と通信しないときにはスイッチ110をオフ状態に切り換えて二次電池109から無線通信制御部111に電力を供給しないように制御する。また、電源制御部1011は、電池電圧検出部112が検出した二次電池109の電圧値に応じて、各部を制御する。電源制御部1011は、例えば電圧値が閾値より低い場合、指針制御部1016に運針する間隔を変更するように制御する。
【0038】
時刻カウント部1012は、内部カウンタを備え、分周回路103から入力された基準信号に基づいて現在時刻(時分秒)を計時し、計時した時刻を示す指針位置情報を内部カウンタに保持する。
【0039】
情報処理部1014は、通信機器200へ送信するデータを生成し、生成したデータを情報送受信部1015に出力する。情報処理部1014は、情報送受信部1015が出力した受信されたデータを処理する。なお、データに対する処理とは、例えば受信したデータからコマンド等の抽出等である。
【0040】
通信制御部1013は、無線通信制御部111が出力する電波通信完了信号を受け取る。通信制御部1013は、電波通信完了信号を受信したとき、受信した時刻を記憶部105に記憶させる。通信制御部1013は、無線通信制御部111が電波通信完了信号を出力したタイミングで、運針許可期間の基点を設定する。通信制御部1013は、運針許可フラグを設定(例えば1にセット)して記憶部105に記憶させる。なお、運針許可期間とは、モータ122によって指針120の駆動を許可する期間である。通信制御部1013は、タイマー動作に応じて、記憶させた時刻から所定の時間が経過したか否かを判別し、所定の時間が経過したとき運針許可フラグをリセット(例えば0にセット)する。
【0041】
情報送受信部1015は、情報処理部1014が出力したデータを近距離無線通信部1112へ出力する。情報送受信部1015は、近距離無線通信部1112が出力した受信されたデータを情報処理部1014に出力する。
【0042】
指針制御部1016は、時刻カウント部1012のカウント値に応じて、運針要求を生成する。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされていない期間に、運針要求を生成した場合、運針要求を実行せずに運針要求フラグを設定(例えば1にセット)して記憶部105に記憶させる。指針制御部1016は、記憶部105に運針許可フラグが設定されているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針許可フラグが設定されている期間に、運針要求を生成したか否か、または記憶部105に運針要求フラグが設定されているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針要求を生成した場合、または運針要求フラグが設定されている場合に運針要求を実行し、駆動パルスを生成してモータ122に出力する。なお、駆動パルスは、指針120を1ステップ正転させる駆動信号であり、または指針120を1ステップ逆転させる駆動信号である。
【0043】
ステッピングモータ122A、ステッピングモータ122B、およびステッピングモータ122Cそれぞれは、ステッピングモータである。
ステッピングモータ122Aは、指針制御部1016が出力した駆動パルスによって、輪列機構121Aを介して秒針120Aを駆動する。ステッピングモータ122Bは、指針制御部1016が出力した駆動パルスによって、輪列機構121Bを介して分針120Bを駆動する。ステッピングモータ122Cは、指針制御部1016が出力した駆動パルスによって、輪列機構121Cを介して時針120Cを駆動する。
【0044】
輪列機構121A、輪列機構121B、および輪列機構121Cそれぞれは、少なくとも1つの歯車を含んで構成される。
【0045】
秒針120Aは、秒針である。分針120Bは、分針である。時針120Cは、時針である。
【0046】
<通信機器の説明>
次に、通信機器200について説明する。
図1に示すように、通信機器200は、制御部201、入力部202、表示部203、記憶部204、アンテナ205、および近距離無線通信部206を備えている。
【0047】
通信機器200は、通信機能を有する機器、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯ゲーム機器、コンピュータ等である。通信機器200は、例えばGPS(Global Positioning System;グローバル・ポジショニング・システム)等の衛星とのやり取りが可能な機構や外部サーバ等とのやり取りが可能な機構を備えていてもよい。
【0048】
入力部202は、利用者からの操作入力を検出し、検出した操作結果を制御部201に出力する。入力部202は、例えば表示部203上に設けられているタッチパネルセンサーである。
【0049】
制御部201は、アプリケーションが起動されたとき、アプリケーションを表示部203に表示する。制御部201は、アプリケーションの指示に応じて、ネットワークを介して、時刻を取得し、取得した現在地の時刻を送信情報として近距離無線通信部206へ出力する。なお、取得する時刻は、現在地の時刻、指定された都市や国の時刻であってもよい。
【0050】
記憶部204は、通信機器200の制御に必要な情報、プログラム、時計100に対する指示を生成するアプリケーション等を記憶する。
【0051】
表示部203は、情報を表示する装置である。表示部203は、一例として液晶表示装置(LCD)、有機EL(ElectroLuminescence)装置によって構成される。表示部203には、制御部201の制御に応じて、例えばアプリケーションの画像等が表示される。
【0052】
近距離無線通信部206は、アンテナ205を介して時計100へ情報の送信を行う。近距離無線通信部206は、制御部201が出力した送信情報に基づいて送信信号を生成し、生成した送信信号を、アンテナ205を介して時計100へ送信する。近距離無線通信部206は、時計100が送信した送信信号を、アンテナ205を介して受信し、受信した信号から情報を抽出し、抽出した情報を受信情報として制御部201へ出力する。
【0053】
アンテナ205は、近距離無線通信部206が出力した送信信号を電波に変換して、変換した電波を時計100へ送信する。
【0054】
<BLE通信の概要>
以下の例では、時計100と通信機器200は、BLEの通信方式で通信を行う例を説明する。
BLE通信では、サービスを提供する側の装置(実施形態では時計100)が、サービスを提供する側の装置で設定された周期でアドバタイジングパケットを周囲に発信する。アドバタイジングパケットには、装置が提供するサービスを示す情報、装置を識別する情報等を含むUUID(ユニバーサル固有識別番号)が含まれている。
【0055】
サービスを受ける側の装置(実施形態では通信機器200)は、アドバタイジングパケットを受信するため、サービスを受ける側の装置で設定された周期でスキャンを行う。サービスを受ける側の装置は、スキャンによりアドバタイジングパケットを受信できたとき、受信したアドバタイジングパケットを解析する。
サービスを受ける側の装置は、アドバタイジングパケットの発信元が、自装置の求めるサービスを提供し、通信を許可している装置であると判断すると、ペアリングを行って接続処理を行う。これにより、サービスを提供する側の装置と、サービスを受ける側の装置との間で接続が確立する。
【0056】
以後、サービスを受ける側の装置は、サービスを提供する側の装置から通信の切断要求を受信するまで情報を受信する。サービスを受ける側の装置は、サービスを提供する側の装置から通信の切断要求を受信したとき、サービスを提供する側の装置との通信を終了する。または、サービスを受ける側の装置が切断要求を送信し、サービスを提供する側の装置が切断要求を受信すると、通信部の電源を遮断してサービスを提供する側が通信を終了させる。
【0057】
<通信の例>
次に、本実施形態に係る時計100と通信機器200との通信の例を説明する。
図2は、本実施形態に係る時計100と通信機器200との通信の例のタイミングチャートである。
図2において、符号g1は、無線通信制御部111がデータを送受信している状態を表している。
符号g2は、通信制御部1013が、無線通信制御部111が出力する通信完了信号を受け取るタイミングと、通信完了信号を受け取ったタイミングから設定する運針許可期間の開始を表している。
符号g3は、各指針120を運針するための運針要求を表している。なお、運針要求は、指針制御部1016が、計時または受信状態に基づいて生成する。
符号g4は、指針制御部1016が、モータ122へ駆動パルスを出力するタイミング、すなわち実際に運針が行われるタイミングを表している。
【0058】
また、時刻t1〜t13の期間は、アドバタイズ期間である。この期間、時計100の通信制御部1013は、無線通信制御部111を制御して、アドバタイジングパケットの送信を開始している。また、この期間、通信機器200の制御部201は、近距離無線通信部206を制御してスキャンを行っている。
【0059】
時刻t13〜t15の期間は、接続確立処理状態の期間である。この期間、時計100と通信機器200とが、通信を確立するための情報の送受信を行う。
時刻t15以降の期間は、接続状態の期間である。この期間、時計100と通信機器200は、所定時間毎に互いに情報の送受信を行う。
【0060】
<計時の場合の動作>
まず、時刻を計時している場合の動作について、図2を参照して説明する。
利用者は、時刻t1より前の時刻に、時計100の入力部104を操作して、通信を開始する動作モードを選択する。電源制御部1011は、入力部104が検出した検出結果に応じて、無線通信制御部111に電源を供給するように制御する。また、利用者は、通信機器200の入力部202を操作して、アプリケーションを選択する。通信機器200の制御部201は、アプリケーションを起動する。
【0061】
時刻t1〜t2のとき、通信制御部1013は、無線通信制御部111を制御して、アドバタイジングパケットの送信を行う。なお、アドバタイズ状態における通信間隔(時刻t1と時刻t5)は、例えば400[msec]である。また、運針許可期間の時間T1は、例えば390[msec]である。
【0062】
時刻t2のとき、近距離無線通信部1112は、通信が完了したことを示す電波通信完了信号を通信制御部1013へ出力する。
時刻t2のとき、通信制御部1013は、近距離無線通信部1112が出力する電波通信完了信号を受信し、受信した時刻を運針許可設定開始タイミングとして記憶部105に記憶させる。続けて、通信制御部1013は、アドバタイズ中に用いる運針許可期間の時間T1を記憶部105から読み出し、タイマー動作を開始する。さらに、通信制御部1013は、運針許可フラグを記憶部105に設定(例えば1に書き換え)する。すなわち、実施形態では、アドバタイズ状態のときに通信タイミングが第1周期(例えば時刻t1〜t5)である。通信制御部1013は、この第1周期において、運針許可期間を第1許可期間T1として設定する。
【0063】
時刻t3のとき、指針制御部1016は、運針要求を生成する。なお、指針制御部1016が運針要求を発生させるタイミングは、基準信号(例えば32Hz(=約31msec))に基づくタイミングである。時針120Cの運針要求の発生間隔は、例えば90秒毎である。分針120Bの運針要求の発生間隔は、例えば7.5秒毎である。秒針120Aの運針要求の発生間隔は、例えば1秒毎である。続けて、指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされているか否かを判別する。時刻t3のとき、指針制御部1016は、運針要求のタイミングに、運針許可フラグがセットされているため駆動パルスを生成して、生成した駆動パルスをモータ122へ出力する。これにより、この駆動パルスの発生時は、指針120が駆動される。
【0064】
時刻t4のとき、通信制御部1013は、タイマー動作に応じて、運針許可期間の時間T1が終了したことを検出する。続けて、通信制御部1013は、運針許可フラグをリセットする。
【0065】
時刻t5〜t7の期間、通信制御部1013と指針制御部1016と無線通信制御部111は、時刻t1〜t4の動作を繰り返す。時刻t6〜t7の期間に、運針要求が発生しなかったため、指針120は駆動されない。
【0066】
時刻t8のとき、指針制御部1016は、運針要求を生成する。続けて、指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針要求のタイミングに、運針許可フラグがセットされていないため駆動パルスを生成せず、運針要求が発生したことを示す運針要求フラグを記憶部105に記憶させる。すなわち、本実施形態では、運針許可期間でなければ、指針制御部1016は、指針120を駆動しない。
【0067】
時刻t9〜t10の期間、通信制御部1013と指針制御部1016と無線通信制御部111は、時刻t1〜t2の動作を繰り返す。
【0068】
時刻t11のとき、指針制御部1016は、運針要求が発生しているか否か、および記憶部105に運針要求フラグがセットされているか否かを判定する。時刻t11では、時刻t8のときに運針許可フラグがセットされている。なお、時刻t11のタイミングは、運針許可期間t10〜t12の期間であり、基準信号のタイミングである。このため、指針制御部1016は、駆動パルスを生成して、生成した駆動パルスをモータ122へ出力する。すなわち、指針制御部1016は、時刻t8のときに発生した運針要求を、時刻t11のタイミングのとき実行する。このように、本実施形態では、運針許可期間外に運針要求が発生した場合、指針制御部1016は、次の運針許可期間に駆動パルスを生成して、指針120を駆動する。
【0069】
時刻t13〜t15の期間、通信制御部1013は、通信の確立処理中であるため、運針許可フラグをセットしない。なお、接続確立処理状態の期間(時刻t13〜t15の期間)、制御部101は、時刻t1〜t13の期間と比較して短い通信間隔で通信を行う。このため、運針要求が発生しても処理できないため、通信制御部1013は、運針許可フラグをセットしない。
【0070】
時刻t14のとき、指針制御部1016は、運針要求を生成する。続けて、指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされていないため駆動パルスを生成せず、運針要求が発生したことを示す運針要求フラグを記憶部105に記憶させる。
【0071】
時刻t16以降の接続状態では、通信間隔が、アドバタイズ状態より短く、例えば150[msec]である。なお、接続確立処理中に時計100が通信機器200へ送信する情報に、この通信間隔を示す情報が含まれている。すなわち、実施形態では、接続状態のときに通信タイミングが第1周期より短い第2周期(例えば時刻t17〜t19)である。通信制御部1013は、この第2周期において、運針許可期間を第2許可期間T2として設定する。
【0072】
時刻t16〜t19の期間の例は、過去に運針要求フラグがセットされている例である。
時刻t16〜t17の期間、制御部101と無線通信制御部111は、通信機器200とのデータの送受信を行う。続けて、時刻t17のとき、近距離無線通信部1112は、通信が完了したことを示す電波通信完了信号を通信制御部1013へ出力する。
時刻t18のとき、指針制御部1016は、運針要求が発生しているか否か、および記憶部105に運針要求フラグがセットされているか否かを判定する。時刻t18では、時刻t14のときに運針許可フラグがセットされている。このため、指針制御部1016は、駆動パルスを生成して、生成した駆動パルスをモータ122へ出力する。なお、時刻t18のタイミングは、運針許可期間t17〜t19の期間であり、基準信号のタイミングである。すなわち、指針制御部1016は、時刻t14のときに発生した運針要求を、時刻t18のタイミングのとき実行する。
【0073】
時刻t20〜t23の期間の例は、運針許可期間に運針要求が発生した例である。
時刻t20〜t21の期間、制御部101と無線通信制御部111は、通信機器200とのデータの送受信を行う。
時刻t21のとき、指針制御部1016は、運針要求を生成する。続けて、指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされているため駆動パルスを生成して、生成した駆動パルスをモータ122へ出力する。
時刻t23のとき、通信制御部1013は、タイマー動作に応じて、運針許可期間の時間T2が終了したことを検出する。続けて、通信制御部1013は、運針許可フラグをリセットする。
【0074】
時刻t24〜t26に示す例は、運針許可期間に運針要求が発生していない例である。
時刻t24〜t25の期間、制御部101と無線通信制御部111は、通信機器200とのデータの送受信を行う。
時刻t26のとき、通信制御部1013は、タイマー動作に応じて、運針許可期間の時間T2が終了したことを検出する。続けて、通信制御部1013は、運針許可フラグをリセットする。
【0075】
時刻t30〜t34の期間の例は、近距離無線通信部1112が通信を行っている期間に、運針要求が発生した例である。
時刻t30〜t32の期間、制御部101と無線通信制御部111は、通信機器200とのデータの送受信を行う。
時刻t31のとき、指針制御部1016は、運針要求を生成する。続けて、指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされていないため、運針要求フラグを記憶部105に記憶させる。
時刻t32のとき、近距離無線通信部1112は、通信が完了したことを示す電波通信完了信号を通信制御部1013へ出力する。
時刻t33のとき、指針制御部1016は、運針要求が発生しているか否か、および記憶部105に運針要求フラグがセットされているか否かを判定する。時刻t33では、時刻t30のときに運針許可フラグがセットされている。このため、指針制御部1016は、駆動パルスを生成して、生成した駆動パルスをモータ122へ出力する。なお、時刻t33のタイミングは、運針許可期間t32〜t34の期間であり、基準信号のタイミングである。
時刻t34のとき、通信制御部1013は、タイマー動作に応じて、運針許可期間の時間T2が終了したことを検出する。続けて、通信制御部1013は、運針許可フラグをリセットする。
すなわち、指針制御部1016は、時刻t30のときに発生した運針要求を、時刻t33のタイミングのとき実行する。
【0076】
以下、時刻t35〜t37の期間、時刻t45〜t47の期間、および時刻t53〜t55の期間に運針要求が発生していないため、制御部101と無線通信制御部111は、時刻t24〜t26の期間と同様の処理を行う。
時刻t38〜t41の期間および時刻t56〜t59の期間に運針許可期間に運針要求が発生しているため、制御部101と無線通信制御部111は、時刻t20〜t23の期間と同様の処理を行う。
時刻t48〜t52の期間、通信期間に運針要求が発生しているため、制御部101と無線通信制御部111は、時刻t30〜t34の期間と同様の処理を行う。すなわち、指針制御部1016は、時刻t49のときに発生した運針要求を、時刻t51のタイミングのとき実行する。
【0077】
<制御部101が行う処理手順の例>
次に、制御部101が行う処理手順を説明する。
図3は、本実施形態に係る制御部101が行う処理のメインルーチンのフローチャートである。
【0078】
(ステップS1)利用者は、時計100の入力部104を操作して、通信機器200と通信を行う動作モードを選択する。続けて、通信制御部1013は、入力部104の操作に基づいて、通信を開始する指示が来たか否かを判別する。または、通信制御部1013は、予め設定されている通信タイミングであるか否かを判別する。なお、予め設定されている通信タイミングとは、例えば、通信機器200が送信する時刻情報を受信して時計100が時刻を合わせるタイミングであり、例えば24時間毎である。なお、通信タイミングは、利用者が時計100または通信機器200を操作して任意に設定するようにしてもよい。通信制御部1013は、通信を開始しないと判別した場合(ステップS1;NO)、ステップS1の処理を繰り返す。通信制御部1013は、通信を開始すると判別した場合(ステップS1;YES)、ステップS2の処理に進める。
【0079】
(ステップS2)電源制御部1011は、無線通信制御部111への電力供給を開始(オン状態)に制御する。
(ステップS3)通信制御部1013は、無線通信制御部111の起動が完了したか否かを判別する。通信制御部1013は、無線通信制御部111の起動が完了していないと判別した場合(ステップS3;NO)、ステップS3の処理を繰り返す。通信制御部1013は、無線通信制御部111の起動が完了したと判別した場合(ステップS3;YES)、ステップS4の処理に進める。なお、通信制御部1013は、無線通信制御部111が起動したか否かを、例えば無線通信制御部111の所定の端子の電圧値が閾値以上であるか否かによって判別するか、無線通信制御部111へコマンドを送信し、送信したコマンドへの返答の有り無しによって判別する。
【0080】
(ステップS4)通信制御部1013は、無線通信制御部111へ通信を開始する設定を行う。続けて、通信制御部1013は、無線通信制御部111を制御して、通信機器200との通信を開始する。なお、通信確立、通信の手順は、BLE通信規格に基づく。
【0081】
(ステップS5)通信制御部1013は、通信機器200との通信が確立されたか否かを判別する。通信制御部1013は、通信機器200との通信が確立されていないと判別した場合(ステップS5;NO)、ステップS5の処理を繰り返す。通信制御部1013は、通信機器200との通信が確立されたと判別した場合(ステップS5;YES)、ステップS6の処理に進める。
【0082】
(ステップS6)通信制御部1013は、情報処理部1014と情報送受信部1015を制御して、通信開始準備が完了したことを示す情報を通信機器200へ送信する。
以下、時計100は通信機器200と、通信機器200から通信の切断要求を受信するまで情報の送受信を行う。
【0083】
次に、通信中の運針許可設定の処理手順を説明する。
図4は、本実施形態に係る通信中の運針許可設定の処理のフローチャートである。
【0084】
(ステップS11)通信制御部1013は、無線通信制御部111から電波通信完了信号を受信したか否かを判別する。通信制御部1013は、無線通信制御部111から電波通信完了信号を受信していないと判別した場合(ステップS11;NO)、ステップS11の処理を繰り返す。通信制御部1013は、無線通信制御部111から電波通信完了信号を受信したと判別した場合(ステップS11;YES)、ステップS12の処理に進める。
【0085】
(ステップS12)通信制御部1013は、現在の時刻を運針許可設定開始タイミングとして記憶部105に記憶させる。続けて、通信制御部1013は、アドバタイズ状態の場合に所定時間をT1(図2)に設定し、接続状態の場合に所定時間をT2(図2)に設定する。
(ステップS13)通信制御部1013は、運針許可フラグを設定し、記憶部105に記憶させる。
【0086】
次に、通信中の運針処理の手順を説明する。
図5は、本実施形態に係る通信中の運針処理のフローチャートである。
【0087】
(ステップS21)指針制御部1016は、運針要求が有るか否か、および未処理の運針要求が有るか否かを判別する。なお、指針制御部1016は、記憶部105に運針要求フラグがセットされている場合を未処理の運針要求が有ると判別する。指針制御部1016は、運針要求がない、および未処理の運針要求がないと判別した場合(ステップS21;NO)、ステップS21の処理を繰り返す。指針制御部1016は、運針要求が有る、または未処理の運針要求が有ると判別した場合(ステップS21;YES)、ステップS22の処理に進む。
【0088】
(ステップS22)指針制御部1016は、運針許可フラグが記憶部105にセットされているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされていないと判別した場合(ステップS22;NO)、ステップS23の処理に進める。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされていると判別した場合(ステップS22;YES)、ステップS25の処理に進める。
【0089】
(ステップS23)指針制御部1016は、運針要求が有るか否かを判別する。指針制御部1016は、運針要求が有ると判別した場合(ステップS23;YES)、ステップS24の処理に進む。指針制御部1016は、運針要求がないと判別した場合(ステップS23;NO)、ステップS26の処理に進む。
(ステップS24)指針制御部1016は、運針要求フラグをセットして、記憶部105に記憶させる。処理後、指針制御部1016は、ステップS26に処理を進める。
【0090】
(ステップS25)指針制御部1016は、指針要求に応じて駆動パルスを生成し、生成した駆動パルスをモータ122へ出力する。
(ステップS26)指針制御部1016は、運針要求処理を終了する。
【0091】
図5のステップS21〜S26に示したように、本実施形態では、運針要求が発生したときに、運針許可フラグがセットされているか否かを判別し、運針許可フラグがセットされていれば運針を行い、運針許可フラグがセットされていなければ運針を行わない。また、本実施形態では、運針許可フラグがセットされていない期間に運針要求が生成された場合、運針要求フラグをセットし、次の運針許可期間に処理を行う。
【0092】
次に、時計100と通信機器200との通信を終了する処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る時計100と通信機器200との通信を終了する処理のフローチャートである。
【0093】
(ステップS31)通信制御部1013は、通信機器200より通信の切断要求があるか否かを判別する。通信制御部1013は、通信の切断要求がないと判別した場合(ステップS31;NO)、ステップS31の処理を繰り返す。通信制御部1013は、通信の切断要求があると判別した場合(ステップS31;YES)、通信の切断要求を受け取ったことを示す情報を電源制御部1011へ出力し、ステップS32の処理に進める。
【0094】
(ステップS32)電源制御部1011は、通信制御部1013が出力する通信の切断要求を受け取ったことを示す情報に応じて、無線通信制御部111への電力供給を停止(OFF;オフ状態)になるように制御する。
以上で、通信機器200との通信を終了する。
【0095】
次に、通信中の運針許可の解除処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る通信中の運針許可の解除処理のフローチャートである。
【0096】
(ステップS41)通信制御部1013は、ステップS12(図4)で記憶させた時刻に所定時間を加算した時刻に達したか否かによって、運針許可タイミングから所定時間経過したか否かを判別する。通信制御部1013は、運針許可タイミングから所定時間経過していないと判別した場合(ステップS41;NO)、ステップS41の処理を繰り返す。通信制御部1013は、運針許可タイミングから所定時間経過したと判別した場合(ステップS41;YES)、ステップS42の処理に進める。
【0097】
(ステップS42)通信制御部1013は、記憶部105が記憶する運針許可フラグをクリアする。
【0098】
なお、上述した例では、ステップS12(図4)で現在時間を記憶し、所定時間を状態に応じて設定する例を説明したが、これに限られない。通信制御部1013は、所定時間のタイマー動作を開始し、ステップS41(図7)で、所定の時間が経過したか否かを判別するようにしてもよい。
【0099】
次に、通信中の運針タイミングの生成処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る通信中の運針タイミングの生成処理のフローチャートである。
【0100】
(ステップS51)指針制御部1016は、基準信号に基づき、運針を行うタイミングであるか否かを判別する。指針制御部1016は、運針を行うタイミングではないと判別した場合(ステップS51;NO)、ステップS51の処理を繰り返す。指針制御部1016は、運針を行うタイミングであると判別した場合(ステップS51;YES)、ステップS52の処理に進める。
(ステップS52)指針制御部1016は、基準信号に基づき、運針要求を生成する。
【0101】
以上のように、本実施形態では、安定した通信状態を確保するため設定間隔毎の通信に影響を与えないように、その通信タイミングの合間に各通信時点を起点としたモータ122を駆動してよい区間(期間)を設けた。すなわち、本実施形態では、無線通信制御部111が、通信の接続を維持もしくはデータの送受信の処理を終えたとき、電波出力完了信号を通信制御部1013へ出力する。通信制御部1013と指針制御部1016は、指針を駆動させる際に電波出力完了信号を受け取った後、運針許可フラグが設定されている所定時間のみモータ122の駆動を許可するようにした。なお、所定時間は、上述したように、通信状態、または通信間隔に応じた値である。また、本実施形態では、ステップS5(図3)に示したように、通信機器200との通信の確立中(接続処理状態)に、運針許可フラグがセットされず、モータ122の駆動を禁止している。すなわち、本実施形態では、無線通信制御部111は、接続処理中、電波出力完了信号を出力しない。
これにより、本実施形態においては、通信の合間に指針を駆動することができる。
【0102】
なお、図2のタイミングチャートでは、運針許可期間以外に運針要求が生成されても、モータ122を駆動しない例を説明した。このような処理を行った場合であっても、接続状態における通信間隔が例えば150[msec]であり、運針許可期間T2が100[msec]程度である。このため、制御部101は、1秒間に6回程度、運針要求を生成できるので、例えば2回に一回程度、運針要求を受け取ることができるため、秒針の駆動は実質的に支障がない。
【0103】
このように、本実施形態では、通信の接続インターバルが一定間隔に保たれるため、電波通信完了信号が出力されたタイミングをモータ駆動してよい運針許可期間の開始地点(起点)とした。これにより、本実施形態によれば、無線通信制御部111が通信機器200からの信号を受信しそこねた場合であっても、電波出力と、モータ駆動を同時に行ってしまうといったリスクを回避することができ、かつ、通信中にも指針の駆動を行うことができる。また、本実施形態によれば、このようにモータ駆動(指針の駆動)に支障をきたすことなく、通信の接続インターバルも所望の一定間隔に保たれるため、安定した通信状態と安定した指針駆動の両者を確保することができる。
さらに、本実施形態は、運針要求発生タイミングが頻繁に生じる場合、すなわち、通常運針時よりも駆動速度が速い(又は駆動周波数が高い)所謂早送り駆動の場合などにも効果を奏する。すなわち、本実施形態によれば、運針要求発生タイミングが頻繁に生じる場合においても、そのモータ駆動タイミングと通信タイミングとを、設定された運針許可期間により、意図通りに管理することができ、その両者の機能を適切に実行することができる。
【0104】
[第2実施形態]
第1実施形態では、運針要求が時刻の計時に関する情報の例を説明した。本実施形態では、運針要求が、通信機器200との通信状態に基づく例を説明する。
第2実施形態では、利用者が時計100の入力部104を操作して通信を行う通信動作モードを選択する。そして、時計100は、通信動作モードが選択されたことを検出し、図2に示したように、アドバタイズ状態、接続確立処理状態、接続状態それぞれの処理を行う。第2実施形態では、アドバタイズ状態、および接続状態それぞれにおいて、秒針120Aによって通信状態を表示する。
なお、本実施形態の時計100、通信機器200の構成は、第1実施形態と同様であるが、時計100の制御部101の処理が異なる。
【0105】
通信制御部1013は、第1実施形態で説明した通信制御部1013の動作に加え、通信機器200との通信状態を検出し、検出した通信状態を示す情報を指針制御部1016へ出力する。なお、通信状態とは、アドバタイズ状態、データの送受信を行っている状態等である。
【0106】
指針制御部1016は、第1実施形態で説明した指針制御部1016の動作に加え、通信制御部1013が出力する通信状態を示す情報に応じて、秒針120Aを駆動するための駆動パルスを生成する。なお、秒針120Aの駆動例については、後述する。
【0107】
<時計100の外観の説明>
次に、本実施形態に係る時計100の外観の一例を説明する、
図9は、本実施形態に係る時計100の外観の一例を示す図である。
図9に示すように、時計100は、ケース87とベルト88をさらに備える。時計100は、図1に示した時計100の入力部104を除く構成要素をケース87内に備えている。また、時計100は、表示部として文字盤72、秒針120A、分針120B、および時針120Cを備える。文字盤72には、インデックスバー(指標)73が刻印されている。時計100は、文字盤72の外周にベゼル74を備えている。
ベゼル74には、第1刻印75として“START”が刻印され、第2刻印76として“OK”が刻印され、第3刻印77として“NG”が刻印されている。
【0108】
第1刻印75の“START”は、通信機器200との通信を開始するモードが設定されたことを示す。第2刻印76の“OK”は、通信機器200との通信が成功したことを示す。第3刻印77の“NG”は、通信機器200との通信が失敗したことを示す。
【0109】
また、図9に示す例は、時計100または通信機器200が利用者によって操作され、通信が開始されたときの秒針120Aの位置を示している。図9に示すように、本実施形態では、指針制御部1016が、通信が開始されたとき秒針120Aを“START”位置まで駆動する。
【0110】
図10は、本実施形態に係るアドバタイズ状態における秒針120Aの駆動例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態では、アドバタイズ状態のとき、指針制御部1016が、“START”位置を中心に±5秒分の範囲で振動させ、例えば5秒ずつ秒針120Aを往復駆動する。指針制御部1016は、秒針120Aを、例えば“START”位置から45秒の位置に駆動し、その後、45秒の位置から“START”位置に駆動し、その後、“START”位置から35秒の位置まで移動し、その後、35秒の位置から“START”位置に移動させる。指針制御部1016は、以下、接続確立処理状態の間、同様の処理を繰り返す。なお、指針制御部1016は、秒針120Aを5秒分運針させるため、所定のステップ数運針するように駆動信号を生成する。
【0111】
図11は、本実施形態に係る接続状態における秒針120Aの駆動例を示す図である。
図11に示すように、本実施形態では、指針制御部1016が、接続状態とき“START”位置から“OK”位置の範囲で、例えば所定のデータを受信する毎に例えば5秒ずつ秒針120Aを駆動する。指針制御部1016は、秒針120Aを、例えば“START”位置から45秒の位置に駆動し、その後、45秒の位置から50秒の位置に駆動し、その後、50秒の位置から55秒の位置まで移動し、その後、55秒の位置から60秒の位置に移動させる。
【0112】
指針制御部1016は、接続中にエラーが無く、通信機器200によって通信中に接続が切断等されずに通信が成功した場合、秒針120Aを“OK”位置まで駆動する。
指針制御部1016は、接続中にエラーが発生、または通信機器200によって通信中に接続が切断等され通信が失敗した場合、秒針120Aを“NG”位置まで駆動する。
【0113】
次に、制御部101の処理手順について説明する。
図12は、本実施形態に係る制御部101が行う処理のメインルーチンのフローチャートである。
【0114】
(ステップS1)ステップS1の処理は、第1実施形態のステップS1(図3)と同様である。制御部101は、処理後、ステップS61の処理に進める。
【0115】
(ステップS61)指針制御部1016は、秒針120Aを、運針許可期間に図9に示したように、“START”の位置まで駆動する。
(ステップS62)指針制御部1016は、秒針120Aを“START”の位置まで駆動完了したか否かを判別する。指針制御部1016は、秒針120Aを“START”の位置まで駆動完了していないと判別した場合(ステップS62;NO)、ステップS62の処理を繰り返す。指針制御部1016は、秒針120Aを“START”の位置まで駆動完了したと判別した場合(ステップS62;YES)、ステップS2の処理に進める。
【0116】
(ステップS2〜S6)制御部101は、ステップS2〜S6(図3)と同様に処理を行う。
【0117】
通信中の運針許可設定処理は、第1実施形態のステップS11〜S13(図4)と同様である。
【0118】
次に、アドバタイズ状態における秒針120Aの運針処理について説明する。
図13は、本実施形態に係るアドバタイズ状態における秒針120Aの運針処理のフローチャートである。
【0119】
(ステップS71)指針制御部1016は、運針要求が有るか否かを判別する。秒針120Aは、運針要求がないと判別した場合(ステップS71;NO)、ステップS71の処理を繰り返す。指針制御部1016は、運針要求が有ると判別した場合(ステップS71;YES)、ステップS72の処理に進む。
【0120】
(ステップS72)指針制御部1016は、運針許可フラグが記憶部105にセットされているか否かを判別する。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされていると判別した場合(ステップS72;YES)、ステップS73の処理に進める。指針制御部1016は、運針許可フラグがセットされていないと判別した場合(ステップS72;NO)、運針要求フラグをセットし、ステップS72の処理を繰り返す。この場合、指針制御部1016は、例えば32Hz後(約31msec後)、運針許可フラグがセットされている期間に、運針要求を実行する。
【0121】
(ステップS73)指針制御部1016は、指針要求に応じて+5秒、駆動する駆動パルスを生成し、生成した駆動パルスをステッピングモータ122Aへ出力する。
【0122】
(ステップS74)指針制御部1016は、秒針120Aの位置が45秒位置にあるか否かを判別する。指針制御部1016は、秒針120Aの位置が45秒位置にあると判別した場合(ステップS74;YES)、ステップS75の処理に進める。指針制御部1016は、秒針120Aの位置が45秒位置にないと判別した場合(ステップS74;NO)、ステップS76の処理に進める。なお、指針制御部1016は、指針120を駆動したステップ数に基づいて、指針120それぞれの位置を示すカウント値を記憶部105に記憶させる。指針制御部1016は、例えば、1ステップ正転させた場合、1を加算し、1ステップ逆転させた場合に1を減算する。
【0123】
(ステップS75)指針制御部1016は、秒針120Aを逆転するように設定する。設定後、指針制御部1016は、ステップS82の処理に進める。
【0124】
(ステップS76)指針制御部1016は、秒針120Aの位置が35秒位置にあるか否かを判別する。指針制御部1016は、秒針120Aの位置が35秒位置にあると判別した場合(ステップS76;YES)、ステップS77の処理に進める。指針制御部1016は、秒針120Aの位置が35秒位置にないと判別した場合(ステップS76;NO)、ステップS78の処理に進める。
【0125】
(ステップS77)指針制御部1016は、秒針120Aを正転するように設定する。設定後、指針制御部1016は、ステップS82の処理に進める。
【0126】
(ステップS78)指針制御部1016は、秒針120Aの運針が正転中であるか否かを判別する。指針制御部1016は、運針が正転中であると判別した場合(ステップS78;YES)、ステップS79の処理に進める。指針制御部1016は、運針が正転中ではないと判別した場合(ステップS78;NO)、ステップS80の処理に進める。
【0127】
(ステップS79)指針制御部1016は、正転を継続するように設定する。設定後、指針制御部1016は、ステップS80の処理に進める。
【0128】
(ステップS80)指針制御部1016は、秒針120Aの運針が逆転中であるか否かを判別する。指針制御部1016は、運針が逆転中であると判別した場合(ステップS80;YES)、ステップS81の処理に進める。指針制御部1016は、運針が正転中ではないと判別した場合(ステップS80;NO)、ステップS82の処理に進める。
【0129】
(ステップS81)指針制御部1016は、逆転を継続するように設定する。設定後、指針制御部1016は、ステップS82の処理に進める。
【0130】
(ステップS82)指針制御部1016は、秒針120Aを駆動する。
(ステップS83)通信制御部1013は、アドバタイズ状態が終了したか否かを判別する。通信制御部1013は、アドバタイズ状態が終了したと判別した場合(ステップS83;YES)、ステップS84の処理に進める。通信制御部1013は、アドバタイズ状態が終了していないと判別した場合(ステップS83;NO)、ステップS72に処理を戻す。
【0131】
(ステップS84)制御部101は、運針要求処理を終了する。
ステップS71〜S84の処理によって、図10に示した運針動作が行われる。
【0132】
次に、接続状態における運針開始処理について説明する。
図14は、本実施形態に係る接続状態における運針開始処理のフローチャートである。
【0133】
(ステップS91)通信制御部1013は、情報送受信部1015が通信機器200から所定量のデータを受信したか否かを判別する。通信制御部1013は、所定量のデータを受信していない判別した場合(ステップS91;NO)、ステップS91の処理を繰り返す。通信制御部1013は、所定量のデータを受信したと判別した場合(ステップS91;YES)、ステップS92の処理に進める。
【0134】
(ステップS92)通信制御部1013は、秒針120Aの駆動目標位置を現在時刻位置+5秒の位置にセットする。
(ステップS93)通信制御部1013は、駆動パルスを生成し、通信中の早送り運針を運針許可期間において開始する。なお、早送り運針とは、秒針120Aを例えば5秒ごとに進める運針である。
【0135】
次に、通信終了時の処理について説明する。
図15は、本実施形態に係る通信終了時の処理のフローチャートである。
【0136】
(ステップS101)通信制御部1013は、情報送受信部1015が通信機器200より通信の切断要求を受信したか否か、すなわち、通信の切断要求が有るか否かを判別する。通信制御部1013は、通信の切断要求がないと判別した場合(ステップS101;NO)、ステップS101の処理を繰り返す。通信制御部1013は、通信の切断要求があると判別した場合(ステップS101;YES)、ステップS102の処理に進める。
【0137】
(ステップS102)通信制御部1013は、通信機器200との通信が完了した後、無線通信制御部111への電力供給を停止(OFF)になるように制御する。
(ステップS103)通信制御部1013は、通信機器200との通信が成功したか否かを判別する。通信制御部1013は、通信機器200との通信が成功したと判別した場合(ステップS103;YES)、ステップS104の処理に進める。通信制御部1013は、通信機器200との通信が失敗したと判別した場合(ステップS103;NO)、ステップS105の処理に進める。
【0138】
(ステップS104)指針制御部1016は、秒針120Aを通信成功位置である“OK”位置(図11)まで運針許可期間に早送り駆動する。処理後、指針制御部1016は、通信機器200との通信を終了する。
(ステップS105)指針制御部1016は、秒針120Aを通信失敗位置である“NG”位置(図11)まで運針許可期間に早送り駆動する。処理後、指針制御部1016は、通信機器200との通信を終了する。
【0139】
以上のように、本実施形態では、アドバタイズ状態、通信状態においても、運針許可期間に通信状態を、秒針120Aを駆動して表示する。これにより、利用者は、時計100と通信機器200との通信状態を、秒針120Aの動きによって知ることができる。
【0140】
なお、本実施形態では、通信状態を、秒針120Aを運針して表示する例を説明したが、これに限られない。時計100が、例えばクロノグラフ機能(ストップウォッチ機能)や世界時計機能等を有し、指針120を4本以上備えている場合、指針制御部1016は、これらの機能に対応する指針120を駆動して通信状態を表示するようにしてもよい。
【0141】
また、第1実施形態では、運針許可期間に計時に関する運針を行う例を説明し、第2実施形態では通信状態に関する運針を行う例を説明したが、これに限られない。運針許可期間に行う運針は、クロノグラフ動作に関する運針、タイマー動作に関する運針、アラーム動作に関する運針、通信機器200からの要求に応じた運針等であってもよい。
【0142】
また、第1実施形態および第2実施形態では、無線通信制御部111が、電波通信完了信号を生成し、通信制御部1013へ出力する例を説明したが、これに限られない。例えば、通信制御部1013は、無線通信制御部111を制御して通信を行うようにしてもよい。この場合、通信制御部1013は、電波通信完了信号を自部で生成するようにしてもよい。また、通信制御部1013は、通信状態を自部で判別するようにしてもよい。
【0143】
なお、本発明における制御部101または無線通信制御部111の機能の一部または全てを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御部101または無線通信制御部111が行う処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0144】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0145】
1…時計システム、72…文字盤、73…インデックスバー、74…ベゼル、75…第1刻印、76…第2刻印、77…第3刻印、100…時計、101…制御部、102…発振回路、103…分周回路、104…入力部、105…記憶部、106…太陽電池、107…充放電制御回路、109…二次電池、112…電池電圧検出部、110…スイッチ、111…無線通信制御部、120…指針、120A…秒針、120B…分針、120C…時針、121,121A,121B,121C…輪列機構、122…モータ、122A,122B,122C…ステッピングモータ、1011…電源制御部、1012…時刻カウント部、1013…通信制御部、1014…情報処理部、1015…情報送受信部、1016…指針制御部、1111…アンテナ、1112…近距離無線通信部、200…通信機器、201…制御部、202…入力部、203…表示部、204…記憶部、205…アンテナ、206…近距離無線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15