(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858580
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】自動車用サイドバイザー
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20210405BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
B60J3/00 C
B60R13/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-18733(P2017-18733)
(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公開番号】特開2018-122820(P2018-122820A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】314014184
【氏名又は名称】DNP田村プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】川橋 典生
(72)【発明者】
【氏名】堀井 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】森久 恭
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−116233(JP,A)
【文献】
特開2003−312265(JP,A)
【文献】
特開2011−116369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J3/00
B60R13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日除けや雨除けとして用いられ、自動車の窓枠に取り付け可能な自動車用サイドバイザーであって、
庇体を有しており、長尺帯状に形成されたバイザー本体と、当該バイザー本体の上端縁に沿って前記窓枠に直接的に取り付けられる装飾モールとが、別体に設けられ、
前記バイザー本体が、前記装飾モールとは別に前記窓枠に取り付けられていることを特徴とする自動車用サイドバイザー。
【請求項2】
前記バイザー本体の前方或いは後方の上端縁には、前記装飾モールの端縁を覆う被覆体が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用サイドバイザー。
【請求項3】
前記被覆体が、前記バイザー本体と別体に設けられ、前記装飾モールに貼着されたことを特徴とする請求項2に記載の自動車用サイドバイザー。
【請求項4】
前記被覆体が、前記バイザー本体に係止可能に形成した係止片を設けたものであることを特徴とする請求項3に記載の自動車用サイドバイザー。
【請求項5】
前記装飾モールが、前記バイザー本体に係止可能に形成した係止片を設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の自動車用サイドバイザー。
【請求項6】
前記装飾モールが引き抜き材からなることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の自動車用サイドバイザー。
【請求項7】
前記装飾モールの下端縁が、前記バイザー本体の上端縁に対応する形状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の自動車用サイドバイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓枠に取り付けられる自動車用サイドバイザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車用サイドバイザーのモールとしては、サイドドアバイザの表面に形成された取付部に、両面テープ等により直接貼着する構造が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかし、このような構造では、モール表面と車両表面との段差が大きくなってしまい、一体感が損なわれることから見栄えが悪くなり、意匠性が低くなるという問題があった。
【0004】
これに対し、庇部と鍔部とを個別に構成した自動車用サイドバイザーで、鍔部を金属により形成したものでは、モールを直接車両側に貼着し、段差を極力少なくすることが可能である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−284927号公報
【特許文献2】WO/2005/090107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような自動車用サイドバイザーでは、見栄えが良く意匠性が高いものの、バイザー本体を装飾モールに貼着するため、装飾モールと車両との貼着部分にかかる負担が大きくなり、貼着部分の強度が低下するという問題があった。
また、何れの自動車用サイドバイザーにおいても、製造時に装飾モールとバイザー本体とが一体化されるので、ユーザーが好みに応じて装飾モールの有無を選択することができなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来の自動車用サイドバイザーの段差の問題を解消し、意匠性を損なうことなく貼着部分にかかる負担を軽減し、且つ装飾モールの有無をユーザーが好みに応じて選択できる自動車用サイドバイザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち、請求項1に記載された発明は、日除けや雨除けとして用いられ、自動車の窓枠に取り付け可能な自動車用サイドバイザーであって、庇体を有しており、長尺帯状に形成されたバイザー本体と、当該バイザー本体の上端縁に沿って前記窓枠に直接的に取り付けられる装飾モールとが、別体に設けられ
、バイザー本体が、装飾モールとは別に窓枠に取り付けられていることを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明に加え、前記バイザー本体の前方或いは後方の上端縁に、前記装飾モールの端縁を覆う被覆体が設けられたことを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明に加え、前記被覆体が、前記バイザー本体と別体に設けられ、前記装飾モールに貼着されたことを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明に加え、前記被覆体が、前記バイザー本体に係止可能に形成した係止片を設けたものであることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1に記載の発明に加え、前記装飾モールが、前記バイザー本体に係止可能に形成した係止片を設けたものであることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の発明に加え、前記装飾モールが引き抜き材からなることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の発明に加え、前記装飾モールの下端縁が、前記バイザー本体の上端縁に対応する形状に形成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された発明は、装飾モールが窓枠に貼着されるため段差が軽減され、意匠性を損なうことがなくなる。また、バイザー本体も窓枠に貼着されるため貼着部分にかかる負担が軽減され、その結果、貼着部分の強度を高めることができる。他にも、装飾モールの有無をユーザーが好みに応じて選択することが可能である。
【0010】
請求項2,3に記載された発明は、装飾モールの端部が、被覆体によって被覆されることから、端部の露出による見栄えの悪化を防止する。
【0011】
請求項4に記載された発明は、被覆体のバイザー本体への取付が容易で、取付後は外部から目立たない構造であり、外観を損なうこともない。また、バイザー本体に装飾モールを取り付ける際の位置合わせを、容易かつ確実に行うことが可能である。
【0012】
請求項5に記載された発明は、バイザー本体への取付が容易で、取付後は外部から目立たない構造であり、外観を損なうこともない。また、バイザー本体に装飾モールを取り付ける際の位置合わせを、容易かつ確実に行うことが可能である。
【0013】
請求項6に記載された発明は、製造が容易で安価にすることができる。
【0014】
請求項7に記載された発明は、バイザー本体と装飾モールとの一体感が高まり、意匠性をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)窓枠に自動車用サイドバイザーを取り付けた後の状態の全体図を、(b)は窓枠に自動車用サイドバイザーを取り付ける前の状態の全体図を示し、(c)は(a)のA−A線断面を、(d)は(c)の一部を拡大した状態を示す説明図である。
【
図2】(a)は自動車用サイドバイザーの変更例を示し、(b)は(a)の先端部を拡大した状態を示す説明図である。
【
図3】(a)〜(d)は、
図2(b)の各断面を示す説明図である。
【
図5】(a)は被覆体の変更例を示し、(b)は(a)のF−F線断面を示す説明図である。
【
図6】装飾モールの変更例で、窓枠に自動車用サイドバイザーを取り付ける前の状態の全体図を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の自動車用サイドバイザーの取付構造の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、自動車用サイドバイザーが窓枠に取り付けられる前後の状態を示す全体図である。
【0018】
先ず初めに、
図1(a)に示すように、自動車用サイドバイザー1は、自動車30の窓枠31に沿って取り付けられるもので、窓枠31へ取り付けた後は日除けや雨除けとして機能するものである。
この自動車用サイドバイザー1は、
図1(b)(c)に示すように、バイザー本体20と、装飾モール10とで構成される。
【0019】
このうち、バイザー本体20は、合成樹脂を射出成形したものである。そして、
図1(d)に示すように、このバイザー本体20は、上端縁21が円弧状に形成され、窓枠31側に貼着面22が設けられており、下縁側には、バイザー本体20から連設される長尺帯状に形成された庇体23が一体に設けられている。
一方、装飾モール10は、塩化ビニールを溶解して押し出し成型により製造される引き抜き材で、表層に銀箔を接着したものである。この装飾モール10は、下端縁12がバイザー本体20の上端縁21の形状に対応する凹状に形成したもので、窓枠31側には貼着面11が設けられている。
【0020】
このようにして構成される自動車用サイドバイザー1の窓枠31への取り付けは、以下のように行われる。
先ず始めに、
図1(b)(c)に示すように、バイザー本体20の貼着面22に両面テープ26の一方の面を貼着した後、他方の面を窓枠31に貼着する。
次に、装飾モール10の貼着面11に、両面テープ13の一方の面を貼着した後、
図1(d)に示すように、他方の面を、装飾モール10の下端縁12をバイザー本体20の上端縁21に沿わせた状態で窓枠31に貼着する。これにより、
図1(a)に示すように、自動車用サイドバイザー1が窓枠31に取り付けられた状態となる。
【0021】
上記の如く構成される自動車用サイドバイザー1は、庇体23を有しており、長尺帯状に形成されたバイザー本体20と、このバイザー本体20の上端縁21に沿って窓枠31に直接的に取り付けられる装飾モール10とが、別体に設けられていることにより、装飾モール10が窓枠31に貼着されるため段差が軽減され、意匠性を損なうことがなくなる。また、バイザー本体20も窓枠31に貼着されるため貼着部分にかかる負担が軽減され、その結果、貼着部分の強度を高めることができる。他にも、装飾モール10の有無をユーザーが好みに応じて選択することが可能である。
【0022】
また、装飾モール10が引き抜き材からなることにより、製造が容易で安価にすることができる。
【0023】
他にも、装飾モール10の下端縁12が、バイザー本体20の上端縁21に対応する形状に形成されたことにより、バイザー本体20と装飾モール10との一体感が高まり、意匠性をより一層高めることができる。
【0024】
なお、本発明にかかる自動車用サイドバイザーは、上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、バイザー本体や装飾モールの形状や大きさ等を適宜変更することができる。
【0025】
例えば、バイザー本体20の前方或いは後方の上端縁21に、装飾モール10の端縁を覆う被覆体25,25を設けても良い。これにより、装飾モール10の端部が、被覆体25によって被覆されることから、端部の露出による見栄えの悪化を防止する。
具体的には、
図2(a)(b)に示すように、バイザー本体20の上端縁21の端部に被覆体25,25を設ける。この場合、
図3(a)に示すように、被覆体25は、円弧状に形成されていることから、
図3(b)(d)に示すように、装飾モール10の一方の端部を被覆体25内に挿入した後、
図3(c)に示すように、装飾モール10の下端縁12をバイザー本体20の上端縁21に沿わせて窓枠31に貼着する。そして、装飾モール10の他方の端部を、被覆体25内に挿入する。
他にも、
図2(b)に示す被覆体25は、この被覆体25の先端部からバイザー本体20の先端部へ向かって外形のラインが連続的となるように形成しても良い。
【0026】
また、被覆体25が、バイザー本体20と別体に設けられ、装飾モール10に貼着されるものとしても良い。これにより、装飾モール10の端部が、被覆体25によって被覆されることから、端部の露出による見栄えの悪化を防止する。
具体的には、
図1の場合と同様に、窓枠31にバイザー本体20と装飾モール10とを取り付ける。そして、
図4に示すように、装飾モール10の端部の表面に両面テープ15を貼着し、更にその上に合成樹脂部材の被覆体25を貼着することで、装飾モール10の端部が被覆体25に被覆されることとなる。
【0027】
他にも、
図5に示すように、被覆体25が、バイザー本体20に係止可能に形成した係止片27を設けたものとしても良い。これにより、被覆体25のバイザー本体20への取付が容易で、取付後は外部から目立たない構造であり、外観を損なうこともない。また、バイザー本体20に装飾モール10を取り付ける際の位置合わせを、容易かつ確実に行うことが可能である。
具体的には、
図5(a)に示すように、被覆体25の下端縁側に板状の係止片27を設け、
図5(b)に示すように、この係止片27が、バイザー本体20の窓枠31側に形成された係止突起28に係止することで、バイザー本体20と一体になる構造である。
バイザー本体20と装飾モール10との窓枠31への貼着は、以下のように行われる。
先ず始めに、被覆体25の係止片27を、バイザー本体20の係止突起28に係止してバイザー本体20と被覆体25とを一体に構成する。そして、貼着面22に両面テープ26を貼着した後、窓枠31にバイザー本体20を貼着する。
次に、装飾モール10の端部を、被覆体25内に取り付けた後、
図1(a)(c)の場合と同様に、下端縁12を上端縁21に沿わせた状態で窓枠31に貼着する。
【0028】
また、
図6に示すように、装飾モール10が、バイザー本体20に係止可能に形成した係止片27を設けたものとしても良い。これにより、被覆体25のバイザー本体20への取付が容易で、取付後は外部から目立たない構造であり、外観を損なうこともない。また、バイザー本体20に装飾モール10を取り付ける際の位置合わせを、容易かつ確実に行うことが可能である。
図6では、係止片27を、装飾モール10の下端縁12側に設けるので、この場合も
図5(a)の場合と同様に、係止片27が係止突起28に係止し、装飾モール10がバイザー本体20と一体になる構造となる。
【0029】
他にも、被覆体25は合成樹脂製に限らず、ステンレス等の金属製のものであっても良く、適宜変更可能である。
また、塩化ビニール製の装飾モール10は柔軟性を備えており、バイザー本体20の上端縁21に沿わせ易いが、塩化ビニール製である必要はなく、ステンレス等の金属製のものをバイザー本体20の上端縁21に沿った形状に形成したものであっても良く、適宜変更可能である。
【0030】
他にも、前部座席側(運転席側、助手席側)の窓枠31だけでなく、後部座席側の窓枠に取り付けられるバイザー本体に対しても、装飾モールの下端縁をバイザー本体の上端縁に沿わせた状態で窓枠に貼着する構造としても良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
1・・自動車用サイドバイザー、10・・装飾モール、11・・貼着面、12・・下端縁、13・・両面テープ、15・両面テープ、20・・バイザー本体、21・・上端縁、22・・貼着面、23・・庇体、25・・被覆体、26・・両面テープ、27・・係止片、28・・係止突起、30・・自動車、31・・窓枠。