(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記シートには、その末端がロール芯に固定された末端固定タイプのものと、末端がロール芯に固定されていない末端フリータイプものとがある。何れのタイプのシートであっても、未使用シートが無くなると供給ロールが回転しなくなるため、上記従来の装置によれば「シート切れ」を適切に検知できる。
【0007】
しかし、末端フリータイプの場合、シートが完全にロール芯から引き出されると、シート末端が遊んでしまい、例えばシートが機構部分に絡まったり噛み込んだりすることが考えられる。よって、実際に「シート切れ」が発生する前にシート交換を行えるのが望ましいが、上記特許文献1には、そのような課題や対策については開示されていない。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、スクリーン印刷装置に搭載されるクリーニング装置において、クリーニングシートにシート切れが発生する前に警告を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本願の発明者は、シートロールから一定量のクリーニン
グシートを引き出す場合でも、シート残量が少なくなると(シートロール径が小さくなると)、シート残量が多いとき(シートロール径が大きいとき)に比べてシートロールの回転量が大きくなることに着目した。そして、以下のような発明に至った。すなわち、本発明は、マスク清掃用のクリーニングシートがロール状に巻かれたシートロールを支持し、当該シートロールと共に回転するロール軸と、
前記クリーニングシートによりマスクを清掃するマスク清掃動作毎に、マスク清掃のために前記シートロールからクリーニングシートを一定量だけ引出すシート引出し機構と、前記シート引出し機構のシート引出し作動により前記シートロールからクリーニングシートが引出されるときの
前記一定量に対応する前記ロール軸の回転量を検出する検出部と、前記検出部が検出したロール軸の回転量が予め設定された閾値を超えたときに、残量警告処理を実行する制御装置と、を備えているものである。
【0010】
この構成によれば、検出部が検出したロール軸の回転量が閾値を超えると、所定の残量警告処理が実行される。そのため、完全にシートが無くなる前のロール軸の回転量に基づき閾値を設定することで、実際にシート切れが発生する前に警告を行うことが可能となる。なお、「残量警告処理」とは、シートロールの残量が少なくなったことを警告する各種処理を意味する。
【0011】
上記のクリーニング装置においては、前記シートロールのロール径に関するパラメータの入力を許容する操作部をさらに備え、前記制御装置は、前記操作部の操作により入力された前記パラメータに基づき前記閾値を設定するものであってもよい。
【0012】
例えば、シートロールが、クリーニングシートが巻かれたロール芯を有し、当該ロール芯を介して前記ロール軸に支持されるものである場合には、前記制御装置は、前記パラメータとして入力される前記ロール芯の径寸法に基づき前記閾値を設定するように構成することができる。
【0013】
この構成によれば、操作部を介してシートロールのロール径に関するパラメータ(ロール芯の径寸法等)を入力すると、そのパラメータに基づき閾値が設定される。そのため、複数種類のシートロールが使い分けられるような場合の閾値の設定を自動化することが可能となる。
【0014】
上記のクリーニング装置において、前記閾値は、シート引出し作動により前記シートロールからクリーニングシートが引出されるときの前記ロール軸の回転量であって前記シートロールがシート切れとなる直前の前記ロール軸の回転量よりも小さい値であるのが好適である。
【0015】
この構成によれば、シートロールのシート残量を少なく抑えながら、シート切れ発生前に残量警告処理を実行することが可能となる。
【0016】
この場合、前記閾値は、前記シート切れとなる直前の前記シートロールの外径と、前記シート引出し機構の一回のシート引出し作動により引き出されるクリーニングシートの引き出し量とに基づき求められた値であるのが好適である。
【0017】
この構成によれば、閾値の信頼性が高くなるため、より正確にシート切れの発生前に残量警告処理を実行することが可能となる。
【0018】
なお、前記シート引出し機構は、前記シートロールから引き出されたクリーニングシートを、ヘッド本体の上昇動作に伴いマスク下面に押し当てるクリーニングヘッドを含み、前記シート引出し機構は、前記ヘッド本体を上昇させ、この上昇動作に伴い前記シートロールからクリーニングシートを引き出すものである。
【0019】
このようなクリーニング装置の構成では、例えばシートロールが末端フリータイプのものである場合、シートが完全にロール芯から引き出されてしまうと、マスクのクリーニングが適切に行われないおそれがあり、最後のシートが引き出される前にシートロールを交換することが望ましい。よって、本発明は、このようなシート引出し機構を有するものに特に有用なものとなる。
【0020】
一方、本発明のスクリーン印刷装置は、基板に重ねられるマスクと、基板に重ねられた前記マスクに沿って相対的に移動することにより、当該マスクに沿ってペーストを移動させながら基板上に印刷するスキージと、印刷後のマスク下面にクリーニングシートを押し当てて清掃する、上述した何れかのクリーニング装置と、を備えるものである。
【0021】
このスクリーン印刷装置によれば、上述したクリーニング装置を備えているため、実際にシート切れが発生する前に警告を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、スクリーン印刷装置に搭載されるクリーニング装置において、クリーニングシートに実際にシート切れが発生する前に警告を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0025】
[スクリーン印刷装置の構成]
図1は、本発明に係るスクリーン印刷装置の一実施形態を示す平面図であり、
図2は、同スクリーン印刷装置の側面図である。図面には、方向関係を明確にするために水平面上で互いに直交するX軸方向及びY軸方向を示している。
【0026】
スクリーン印刷装置1(以下、印刷装置1と略す)は基台2を有する。この基台2上には、搬入用コンベア3aと、搬出用コンベア3bと、これら両コンベア3a、3bの間に位置する印刷ステージ4とがX軸方向に配設されており、プリント回路基板等の基板Pが、搬入用コンベア3aにより印刷ステージ4に搬入され、ここで印刷処理を受けた後、搬出用コンベア3bにより搬出される。
図1では、基板Pは、X軸方向に沿って右側から装置内に搬入されて装置左側から搬出される。
【0027】
印刷ステージ4は、図外の4軸ユニットを備えている。4軸ユニットは、基板Pを後記マスク6に対してその下側から重ねあわせるためのものであり、搬入用コンベア3aにより搬入されてきた基板Pを水平に支持し、X軸、Y軸、上下および鉛直軸回りの各方向に移動させる。具体的には、4軸ユニットは、下側から順に、基台2に対してY軸方向に移動可能なY軸テーブルと、このY軸テーブルに対してX方向に移動可能なX軸テーブルと、このX軸テーブルに対して垂直軸回りに回転可能なR軸テーブルと、このR軸テーブルに対して昇降可能な昇降テーブルとを階層的に備えている。そして、昇降テーブル上に基板Pが支持され、前記各テーブルがサーボモータ等によって駆動されることで、基板PをX軸、Y軸、上下および鉛直軸回りの各方向に移動させる。
【0028】
最上に位置する昇降テーブルには、基板Pを搬送可能に支持するコンベア5と、基板Pをクランプする図外のクランプ機構とが装備されている。すなわち、基板Pは、印刷ステージ4が搬入用コンベア3aと搬出用コンベア3bとの間に配置された状態でコンベア5により上記搬入用コンベア3aから昇降テーブル上に受け入れられ、クランプ機構により当該昇降テーブル上の所定位置にクランプされる。
【0029】
印刷ステージ4の上方には、マスク(スクリーン)6がほぼ水平に配置されている。そして、このマスク6の上方に、ペースト(クリーム半田、導電ペースト等の導電性を有する結合材)をマスク上で移動させるための印刷用ヘッド7が配設されている。
【0030】
マスク6は、印刷用の開口部が形成された、例えばステンレス製のプレート状部材であり、所定のフレーム6aに張設された上で、当該フレーム6aを介して印刷装置1に交換可能に組み込まれている。なお、マスク6の直下には、上記印刷ステージ4と共にY軸方向に移動可能なクリーナー10が配置されており、所定のタイミングでこのクリーナー10がマスク6の下面に沿って摺動することで、当該マスク6の下面や開口部に付着したペーストが除去される。このクリーナー10については、後に詳述する。
【0031】
印刷用ヘッド7(以下、単にヘッド7という)は、Y軸方向に移動可能に設けられておりサーボモータ等により駆動される。ヘッド7には、当該ヘッド7と共にY軸方向に移動するスキージ8が装備されている。スキージ8は、マスク6に沿ってペーストを移動させるものであり、例えば、X軸方向に細長い硬質ウレタン、あるいはステンレス製のプレート部材により構成されている。
【0032】
詳細図を省略するが、スキージ8は、ヘッド7に対して揺動可能に支持されており、ペーストの押圧面がX軸方向の一方側を向く状態と、他方側を向く状態とに姿勢が切り換え可能とされ、ヘッド7の往復移動に伴いその移動端で姿勢が切り換えられる。つまり、この印刷装置1では、ヘッド往動時の印刷動作とヘッド復動時の印刷動作とが共通のスキージ8を用いて行われる。
【0033】
なお、
図1中の符号9aは、基板Pのフィデューシャルマーク等を撮像するための基板カメラであり、印刷ステージ4の上方においてX軸方向に移動自在に設けられている。また、符号9bは、マスク下面のフィデューシャルマークを撮像するためのマスクカメラであり、X軸方向に移動自在に印刷ステージ4に搭載されている。なお、フィデューシャルマークとは、基板Pやマスク6の種類や位置を認識するために基板Pやマスク6に付されるマークである。
【0034】
上述した印刷装置1の印刷動作を概略的に説明すると次の通りである。
【0035】
コンベア5が基板Pを受け入れ可能となるように昇降テーブルの高さや向きが調整され、この状態で印刷ステージ4が搬入用コンベア3aと搬出用コンベア3bとの間に配置される。この状態で、基板Pが、搬入用コンベア3aから昇降テーブルのコンベア5に受け入れられ、クランプ機構により所定位置にクランプされる。
【0036】
基板Pがクランプされると、印刷ステージ4がY軸方向へ移動し、基板Pがマスク6の下方に配置される。その後、上記4軸ユニットが作動することにより、基板Pが所定の向きでマスク下面に重装され、これにより印刷準備が完了する。
【0037】
そして、マスク6上にペーストが供給された後、ヘッド7がY軸方向に往復移動することにより、ペーストが拡張されつつマスク6に沿って移動され、これによりマスク開口を介して基板Pにペーストが印刷されることとなる。
【0038】
印刷完了後は、上述した動作と逆の動作に基づき印刷ステージ4から搬出用コンベア3bに基板Pが送り出され、当該搬出用コンベア3bによって基板Pが装置外に搬出される。そして、この基板Pの搬出後、必要に応じてクリーナー10によるマスク6のクリーニング処理が実行される。
【0039】
なお、上記印刷装置1には、その全体を統括的に制御する、
図3に示すような制御ユニット50が備えられている。この制御ユニット50は、演算処理部51、記憶部52、印刷ステージ制御部53、クリーナー制御部54、表示/操作ユニット55および入出力制御部56を含む。
【0040】
演算処理部51はCPU等により構成されており、上述のような印刷処理を実行すべく記憶部52に予め記憶されている印刷プログラムにしたがって印刷装置1の各部を制御する。また、演算処理部51は記憶部52に予め記憶されているクリーニングプログラムにしたがってクリーナー制御部54を介してクリーナー10を制御し、所定のタイミング(例えば印刷処理の所定回数実行後)でマスク6に対して後述するクリーニング処理を実行する。
【0041】
表示/操作ユニット55(本発明の操作部に相当する)は、例えばタッチパネル等であり、印刷プログラムやクリーニングプログラムなどを表示したり、オペレータが制御ユニット50に対して各種データや指令などの情報を入力するものである。
【0042】
入出力制御部56は、当該制御ユニット50と各種センサおよびアクチュエータとの間で信号の入出力を制御するもので、例えばクリーナー10の後記ロール残量検出部16の光センサ48等がこの入出力制御部56に接続されている。
【0043】
[クリーニング装置の構成]
次に、クリーナー10について詳述する。なお、当例では、クリーナー10とこれを制御する上記制御ユニット50とにより本発明のクリーニング装置が構成されており、上記演算処理部51が本発明の制御装置に相当する。
【0044】
図1及び
図2に示すように、クリーナー10は、印刷ステージ4のY軸方向の一端(装置前端)に装備されている。これにより、クリーナー10は、印刷ステージ4と共にY軸方向に移動するようになっている。
【0045】
図4は、クリーナー10の全体構成を示す斜視図であり、
図5は、クリーナー10の側面図である。
【0046】
これらの図に示すように、クリーナー10は、印刷ステージ4に固定されるフレーム11と、このフレーム11に各々組み込まれた、クリーニングヘッド12、シート供給機構14、シート巻取り機構15およびロール残量検出部16とを備えている。
【0047】
前記フレーム11は、X軸方向に細長い板状のベース部材11aと、その長手方向両端に各々立設されて上下方向に延びる一対の側板11bと、これら側板11bの上端部の間でX軸方向に延びて当該側板11b同士を連結するガイドバー11cとを有している。これにより、フレーム11は、全体として中空かつ矩形に形成されている。
【0048】
このフレーム11におけるガイドバー11cの後方に前記クリーニングヘッド12が配置され、クリーニングヘッド12の下方にシート供給機構14が配置され、シート供給機構14の下方にシート巻取り機構15が配置されている。
【0049】
シート供給機構14は、クリーニングシートS(以下、シートSと略す)がロール状に巻かれたシートロールSRを支持するものである。シートSは、天然素材や人工素材からなり、可撓性と通気性を備えた布(例えばガーゼ)、紙、皮革等からなる長尺シートであり、このシートSが円筒状のロール芯RC(
図6参照)に巻回されたものが前記シートロールSRである。なお、シートSは、クリーニングガーゼやクリーニングペーパとも称される。シートSは、
図4および
図5に示すように、シート供給機構14に支持されたシートロールSRから引き出されて上記ガイドバー11cおよびクリーニングヘッド12を経由してシート巻取り機構15に案内されており、マスク6のクリーニングに伴いシート巻取り機構15により巻き取られるようになっている。
【0050】
シート供給機構14は、
図4〜
図6に示すように、フレーム11の右側の側板11bに支持された第1ロール軸21と、左側の側板11bに支持された第2ロール軸22とを有しており、これらロール軸21、22によりシートロールSRをその長手方向両側から挟み込んだ状態で支持する。
【0051】
詳しく説明すると、前記ロール軸21、22は、共にX軸方向に延びる軸であり、中心が同一軸線上に位置するように各々側板11bに支持されている。これらのロール軸21、22のうち、第1ロール軸21(本発明のロール軸に相当する)は、軸受けを兼ねる電磁クラッチ24を介して側板11bに回転可能に支持されている。第1ロール軸21の先端は、左右の側板11bの内側に突出しており、当該先端部21aは、軸後端から先端に向かって先細りの円錐台形状とされている。一方、第2ロール軸22は、回転および軸方向への変位が可能となるように軸受26を介して側板11bに支持される。第2ロール軸22の先端も、第1ロール軸21と同様に、左右の側板11bの内側に突出しており、当該先端部22aは、軸後端から先端に向かって先細りの円錐台形状とされている。そして、
図6に示すように、両ロール軸21、22の間にシートロールSRが介装され、その両側から各ロール軸21、22の先端部21a、22aの一部がロール芯RCに挿入されている。これにより、シートロールSRが、フレーム11の左右のベース部材11aの間に回転可能に支持されている。
【0052】
第2ロール軸22のうち、先端部22aに形成された鍔部と側板11bとの間にはコイルばね25が圧縮された状態で装着されており、第2ロール軸22は、このコイルばね25の弾発力により右方に向かって付勢されている。つまり、シートロールSRは、このコイルばね25の弾発力によって左右のロール軸21、22に挟み込まれている。この構成により、シートロールSRは、ロール軸21、22と共に回転可能な状態でフレーム11に支持されるとともに、第2ロール軸22を上記弾発力に抗して左方へ移動させることで、シートロールSRをクリーナー10に脱着できるようになっている。
【0053】
なお、第1ロール軸21は、上記電磁クラッチ24のオンオフにより側板11bに対して回転自在となる状態とロックされた状態(回転不能な状態)とに切り替えられる。具体的には、電磁クラッチ24がオフの間は第1ロール軸21が回転自在となり、これによりシートロールSR及びロール軸21、22が一体に回転する一方、電磁クラッチ24がオンの間は第1ロール軸21が側板11bにロックされ、これによりシートロールSR及びロール軸21、22の回転が規制されるようになっている。つまり、電磁クラッチ24がオフの間はシートロールSRからのシートSの引き出しが許容される一方、電磁クラッチ24がオンの間はシートロールSRからのシートSの引き出しが規制される。
【0054】
前記シート巻取り機構15は、使用済みのシートSを巻き取るものである。シート巻取り機構15は、上述したシート供給機構14に類似した構成を有している。すなわち、シート巻取り機構15は、フレーム11の右側の側板11bに支持された第1巻取り軸31と、左側の側板11bに支持された第2巻取り軸32とを有しており、これら巻取り軸31、32により筒状の巻取り芯MCをその長手方向両側から挟み込んだ状態で支持するように構成されている。
【0055】
第1巻取り軸31は、電磁クラッチの代わりにワンウェイクラッチ(図示略)を介して側板11bに支持されている点を除き上記第1ロール軸21と略同等の構成である。ワンウェイクラッチは、シートSの巻取り方向への第1巻取り軸31の回転を許容する一方、反巻取り方向への第1巻取り軸31の回転を規制するものであり、
図5の例では、第1巻取り軸31の時計回りの回転を許容する一方、反時計回りの回転を規制する。つまり、巻取り芯MCは、シートSの巻取り方向(
図5では時計回り)への回転のみが可能な状態でフレーム11に支持されている。
【0056】
なお、シート巻取り機構15は、シートSを巻取り芯MCに巻き取るために第1巻取り軸31を駆動する駆動機構を含む。この駆動機構は、第1巻取り軸31の末端部に装着されるリンクプレート34と、このリンクプレート34と第1巻取り軸31との間に介設されるワンウェイクラッチ35と、巻取用エアーシリンダ36とを含み、巻取用エアーシリンダ36のピストン先端がリンクプレート34に回転自在に連結された構成を有している。ワンウェイクラッチ35は、第1巻取り軸31に対してリンクプレート34が上記巻取り方向へ相対的に回転することを規制する一方、第1巻取り軸31に対してリンクプレート34が反巻取り方向へ相対的に回転することを許容する。
図5の例では、第1巻取り軸31に対するリンクプレート34の時計回りの相対回転を規制する一方、反時計回りの相対回転を許容する。
【0057】
つまり、巻取用エアーシリンダ36が作動してピストンが後退位置(
図5に示す位置)から前進位置に変位すると、第1巻取り軸31とリンクプレート34とが一体に巻取り方向に回転し、これにより巻取り芯MCが巻取り方向に回転することで、シートSが巻取り芯MCに巻取られる。そして、ピストンが前進位置から後退位置に変位する際には、第1巻取り軸31に対してリンクプレート34のみが反巻取り方向に回転することにより、巻取り芯MCの回転が阻止される。これにより、巻取り芯MCによるシートSの巻取り状態が維持され、継続的なシートSの巻取りが可能となっている。
【0058】
前記クリーニングヘッド12は、シートロールSRから引き出されたシートSをマスク6の下面に押し当てるものである。クリーニングヘッド12は、ヘッド本体41と、このヘッド本体41を昇降駆動する駆動機構とを含む。
【0059】
ヘッド本体41は、頂部にシート支持面41aを備えた左右方向に細長い箱形のユニットであり、シートロールSRから引き出されたシートSは、シート支持面上を経由してシート巻取り機構15に案内されている。
【0060】
前記駆動機構は、フレーム11の側板11bに固定された左右一対の昇降用エアーシリンダ42からなり、当該昇降用エアーシリンダ42の作動により、ヘッド本体41を
図5の実線に示す下降位置と一点鎖線に示す上昇位置との間で昇降駆動する。このようにヘッド本体41が上昇位置に配置されることにより、シートSがシート支持面41aを介してマスク6の下面に押し当てられる。なお、この場合には、シート供給機構14の上記電磁クラッチ24がオフされ、これにより、ヘッド本体41が下降位置から上昇位置に変位するのに伴い、シートロールSRから一定量のシートSが引き出されてシート支持面上に未使用のシートSが配置されることとなる。すなわち、当例では、ヘッド本体41を昇降駆動する上記駆動機構が本発明のシート引き出し機構としての機能を兼ねている。
【0061】
なお、ヘッド本体41は、吸引ホース44及び電磁バルブ等のバルブ45(
図3に示す)を介して負圧供給源に接続されており、前記バルブ45の切り替えに応じて、ヘッド本体41に負圧が供給される状態と大気圧に開放される状態とに切り替え可能に構成されている。上記シート支持面41aには多数の開口部(図示省略)が形成されており、ヘッド本体41に対して負圧が供給されることにより、マスク6の付着物(ペースト)が吸引されてシートSに補足されるようになっている。
【0062】
前記ロール残量検出部16(本発明の検出部に相当する)は、シートロールSRの残量が予め定められた残量に達したことを検出するためのものである。このロール残量検出部16は、
図4〜
図6に示すように、円盤状のスリット板46と光センサ48とを含む。スリット板46は、上記第1ロール軸21の末端部に固定されており、光センサ48は、右側の側板11bにブラケットを介して固定されている。スリット板46には、一定間隔で周方向に並ぶ多数のスリットが形成されており、光センサ48は、当該スリット板46の回転に伴い、前記スリットに対応したパルス信号を制御ユニット50に出力する。
【0063】
上記演算処理部51は、光センサ48から出力されるパルス信号に基づき第1巻取り軸31の回転量(回転角度)を検出し、この回転量に基づきシートロールSRの残量が予め定められた残量に達したか否かを判別し、達している場合には残量警告処理を実行する。
【0064】
[クリーニング動作制御]
次に、演算処理部51によるクリーニング動作制御について、
図7のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0065】
印刷装置1おいて基板Pの印刷処理が行われている間、演算処理部51は、クリーナー10を待機状態(
図5の実線に示す状態)に制御する。具体的には、演算処理部51は、シートSがマスク6から下方に離間するように、クリーニングヘッド12のヘッド本体41を下降位置に配置し、シート供給機構14の電磁クラッチ24をオンすることにより、シートロールSRからのシートSの引き出しを規制する。また、ピストンが後退位置に保持されるように巻取用エアーシリンダ36を制御する。
【0066】
そして、所定のクリーニング条件が成立するのを待ち(ステップS1)、クリーニング条件が成立すると(ステップS1でYes)、演算処理部51は、電磁クラッチ24をオフに切り替えた後、昇降用エアーシリンダ42を制御してヘッド本体41を上昇位置に移動させるとともに、第1ロール軸21の回転量(n)の検出を開始する(ステップS3)。すなわち、ヘッド本体41が上昇を開始すると、これに伴いシートロールSRからシートSが引き出されて第1ロール軸21が回転するため、演算処理部51は、ヘッド本体41を上昇させるのと同時に第1ロール軸21の回転量(n)の検出を開始する。具体的には、上記光センサ48から出力されるパルス信号のカウントを開始する。
【0067】
そして、ヘッド本体41の上昇が完了したか否かを判断し(ステップS5)、ここでYesの場合には、演算処理部51は、第1ロール軸21の回転量(n)の検出を終了する(ステップS7)。そして、電磁クラッチ24をオフからオンに切り替えた後、マスク6のクリーニングを実行する(ステップS9)。具体的には、演算処理部51は、印刷ステージ4を制御し、当該印刷ステージ4と共にクリーナー10をY軸方向に移動させるとともに、バルブ45を切り替え制御することによりヘッド本体41に対して負圧の供給を開始する。
【0068】
ヘッド本体41を上昇位置に移動させると、これに伴いシートSがシートロールSRから引き出され、未使用のシートSがシート支持面41aを介してマスク6の下面に押し当てられる。よって、クリーナー10が印刷ステージ4と共にY軸方向に移動することにより、マスク6の下面の付着物(ペースト)が除去されることとなる。
【0069】
次に、演算処理部51は、マスク6のクリーニングが終了したか否か、すなわち、クリーナー10がマスク6の所定のクリーニング終端位置まで移動したか否かを判断し(ステップS11)、ここで、Yesと判断すると、シートSの巻取り処理を実行する(ステップS13)。具体的には、昇降用エアーシリンダ42を制御してヘッド本体41を上昇位置から下降位置に移動させた後、巻取用エアーシリンダ36を制御して第1巻取り軸31を巻取り方向に回転駆動する。これにより、ヘッド本体41の下降に伴い弛んだ使用済みのシートSを巻取り芯MCに巻き取る。なお、演算処理部51は、このようなシートSの巻取り制御と共に印刷ステージ4を制御することにより、クリーナー10を印刷ステージ4と共に元の位置にリセットする。
【0070】
次に、演算処理部51は、ステップS3〜S7の間に検出した第1ロール軸21の回転量(n)が予め設定された閾値(N)を超えているか否か、すなわち、シートロールSRの残量が所定量未満になっているか否かを判断する(ステップS15)。上述した通り、このクリーナー10では、ヘッド本体41の上昇時にシートロールSRからシートSが引き出されるため、これに伴いシートロールSRと共に第1ロール軸21が回転するが、一定量のシートSが引き出されていても、
図8(a)に示すようにシート残量が少なくなると(シートロール径が小さくなると)、
図8(b)に示すようにシート残量が多いとき(シートロール径が大きいとき)に比べて第1ロール軸21の回転量が多くなる。演算処理部51は、この第1ロール軸21の回転量(n)が予め設定された閾値(N)を超えているか否かを判断する。第1ロール軸21の回転量(n)が予め設定された閾値(N)を超えていて、Yesと判断した場合(すなわち、シートロールSRの残量が所定量未満であると判断した場合)には、残量警告処理を実行し(ステップS17)、その後、処理をステップS1に移行する。
【0071】
当例では、例えば演算処理部51は、上記表示/操作ユニット55を制御し、シートロールSRの交換メッセージを表示する。この場合、実行可能な残りのクリーニング回数を併せて表示するようにしてもよい。これにより、オペレータによるシートロールSRの交換を喚起する。なお、
図7中には記載していないが、例えばシートロールSRの交換メッセージを表示した場合には、上記表示/操作ユニット55を介してシートロールSRが交換された旨の入力操作が行われるまで、印刷装置1が待機状態に維持されるようにしてもよい。
【0072】
上記閾値(N)は、当例では第1ロール軸21の回転角(θ)で規定されており、シートSの一回の引き出し量(長さ)をC、シート切れ直前の理論上のシートロールSRの外径をB、円周率をπ、調整量(マージン)をαとしたときに下記に基づき求められている。
閾値(N)=(360×C/Bπ)−α
【0073】
ここで、シート切れ直前のシートロールSRの外径Bとは、クリーニング1回分のシートSが残された状態のシートロールSRの外径である。例えば、シートロールSRの外径Bは、シートSがロール芯RCに一巻きされているときのシートロールSRの外径であり下記式で定義される。
外径B=ロール芯RCの外径+(シートSの厚み寸法)×2
【0074】
つまり、閾値(N)は、シートロールSRがシート切れとなる直前のシート引出し時の第1ロール軸21の回転量よりも若干小さい値に設定されている。
【0075】
これにより、実際にシート切れが発生するよりも適度に早い段階で上記残量警告処理を実行し、シートロールSRの交換をオペレータに対して喚起できるようになっている。
【0076】
一方、ステップS15でNoと判断した場合、すなわち、シートロールSRの残量が所定量未満でないと判断した場合には、演算処理部51は、ステップ17の残量警告処理を実行することなく、そのまま処理をステップS1にリターンする。
【0077】
[作用効果等]
以上説明した印刷装置1によれば、実際にシート切れが発生する前に、シートロールSRの交換をオペレータに対して促すことが可能となるため、実際にシート切れが発生したことを検知する従来装置(特許文献1)の課題を解決することができる。すなわち、上記印刷装置1によれば、末端フリータイプのシートロールSRを用いた場合でも、シート切れが実際に発生する前にシートロールSRの交換をオペレータに促すことができるので、ロール芯RCからシートSが完全に引き出されてその末端部分がクリーナー10の機構部分に絡まったり噛み込んだりすることを未然に防止することが可能となる。
【0078】
特に、上記印刷装置1によれば、上記閾値(N)として、シートロールSRがシート切れとなる直前のシート引出し時の第1ロール軸21の回転量よりも若干小さい値に設定されているので、シート切れ発生前にシートロールSRの交換を促すようにしながらも、当該交換により廃棄されるシートSの量を抑制することができるという利点がある。
【0079】
また、第1ロール軸21(シートロールSR)の回転量を検出するための上記ロール残量検出部16は、上記の通り、第1ロール軸21に固定されたスリット板46とその回転に伴いスリットに対応したパルス信号を出力する光センサ48とで構成されている。このようなロール残量検出部16の構成は、従来装置(特許文献1)の回転検出部の構成とほぼ共通しているため、従来装置においてクリーニングプログラムの変更等を行うことで、上記実施形態のクリーニング装置と同等の作用効果を享受することが可能となる。従って、既に生産ラインで使用されている印刷装置についても、上記のような回転検出部を備えているものであれば、ソフト的な対応で、上記印刷装置1と同様の作用効果を享受することが可能となる。
【0080】
[変形例等]
以上説明した印刷装置1は、本発明に係るクリーニング装置が適用されたスクリーン印刷装置の好ましい実施形態の例示であって、クリーナー10や印刷装置1の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成を採用することもできる。
【0081】
(1)実施形態では、クリーナー10は、クリーニングヘッド12のヘッド本体41の上昇動作に伴いシートロールSRからシートSが引き出される構成であるが、すなわち、ヘッド本体41を昇降駆動する駆動機構が本発明のシート引き出し機構としての機能を兼ねたものであるが、シートSを一定量ずつ引き出すことができれば、シート引出し機構の構成はこれに限定されるものではない。例えば、シート供給機構14の電磁クラッチ24をオフした状態で、巻取用エアーシリンダ36の作動によりシートロールSRからシートSを引き出す構成であってもよい。また、電動モータの駆動力でシートロールSRからシートSを引き出す構成であってもよい。
【0082】
同様に、使用後のシートSを回収する(引き取る)機構は、上記実施形態のようなシート巻取り機構15に限定されるものではなく、すなわち巻き取るものに限定されるものではなく、使用後のシートSを対向した2本のローラで挟み、ローラの回転により引き取りながら廃棄ボックスに収納するような機構であってもよい。
【0083】
(2)実施形態では言及してないが、使用されるシートロールSRの種類に応じて上記閾値(N)を変更できるようにしてもよい。例えばシートロールSRのロール径に関するパラメータと上記閾値(N)とを対応付けたテーブルデータを記憶させておき、オペレータが表示/操作ユニット55を操作して上記パラメータを制御ユニット50に入力すると、演算処理部51が当該パラメータに対応する閾値(N)を上記テーブルデータから特定して
図7のステップ15の処理を実行するようにしてもよい。この場合、上記パラメータは、シートロールSRのロール径(外径)やロール芯RCの径(外径)であってもよいし、シートロールSRの名称やコード等であってもよい。
【0084】
この構成によれば、使用されるペーストの種類に応じて材質や厚みの異なるシートロールSRが使い分けられるような場合でも、使用されるシートロールSR毎に、シート切れが発生する前に適切に残量警告処理を実行することが可能となる。
【0085】
(3)閾値(N)として複数の閾値(N1、N2(N1<N2))が設定され、まず、検出回転量(n)が第1閾値(N1)を超えると演算処理部51が第1残量警告処理を実行し、さらに、検出回転量(n)が第2閾値(N1)を超えると第1残量警告処理とは異なる第2残量警告処理を実行するようにしてもよい。この場合、例えば第1残量警告処理では、演算処理部51が表示/操作ユニット55を制御してシートロールSRの交換準備を示すメッセージを表示させ、第2残量警告処理では、シートロールSRの交換を強要するメッセージを表示させることが考えられる。
【0086】
なお、残量警告処理は、上記メッセージの代わりに、又は当該メッセージと共にクリーニング可能な残り回数を表示させるようにしてもよい。また、残量警告処理は、上記メッセージの代わりに、又は当該メッセージと共にランプの点灯や警告音を伴うものであってもよい。
【0087】
(4)実施形態では、マスク6のクリーニングが終了した後に残量警告処理を実行しているが、マスク6のクリーニング前又はクリーニング中に残量警告処理を実行するようにしてもよい。