【実施例】
【0047】
図1には、本発明に係る熱源装置の一実施例の要部制御構成がブロック図により示されている。本実施例の熱源装置は、
図2に示した熱源装置と同様のシステム構成を有しているが、
図1に示される特徴的な制御構成を有している。
【0048】
同図に示されるように、給湯器16の制御装置46は、燃焼制御手段47、バイパスサーボ制御手段74を有しており、燃焼制御手段47は、給湯設定温度設定操作手段45を備えたリモコン装置43に接続されている。リモコン装置43は、屋内において、リビングや、浴室、台所、洗面所等の適宜の場所に設置されている。
【0049】
また、本実施例において、タンクユニット4内の制御装置33には、ミキシング流量制御手段35、送湯温度調節手段36、メモリ部37、湯切れ検出手段34、湯切れ入水タイミング算出手段72、給湯バーナ点火指令発信手段75が設けられており、制御装置33はリモコン装置43と制御装置46とに信号接続されている。
【0050】
給湯設定温度設定操作手段45は、利用者等により給湯設定温度を設定するための操作手段であり、例えばリモコン装置43の表面側に設けられている操作ボタン等により形成されている。この給湯設定温度設定操作手段45により設定された給湯設定温度の値は、タンクユニット4の制御装置33の送湯温度調節手段36と給湯器16の制御装置46の燃焼制御手段47とに加えられる。
【0051】
燃焼制御手段47は、給湯バーナ61の燃焼開始時にガス開閉弁48を開いて給湯バーナ61の燃焼を開始させると共にその燃焼制御を行い、また、それに伴う燃焼ファン(図示せず)の制御等を行うものである。この燃焼制御方法は周知であるので、その詳細説明は省略するが、従来から知られている燃焼制御方法や、今後提案される燃焼制御方法等、適宜の燃焼制御方法が適用される。
【0052】
バイパスサーボ制御手段74は、バイパスサーボ69の制御により、給湯回路62に導入される湯水の給湯熱交換器17側への流通割合とバイパス通路68側への流通割合を制御するものであり、燃焼制御手段47の燃焼制御信号を取り込み、バイパスサーボ69を適宜制御する。
【0053】
流量検出センサ42は、給湯通路19を通って給湯される給湯流量を検出し、制御装置46の燃焼制御手段47に給湯流量の検出流量(検出値)を加える。なお、給湯熱交出側温度検出手段67の検出温度、給湯温度検出手段76の検出温度も燃焼制御手段47に加えられ、これらの検出値に基づき、燃焼制御手段47による前記給湯バーナ61(
図1には図示せず)の燃焼制御が行われる。
【0054】
給水流量センサ29は、本実施例において、給湯中に貯湯槽2側から給湯器16の給湯回路62側に送る湯水の流量を検出する流量検出手段として機能するものであり、制御装置33のミキシング流量制御手段35と送湯温度調節手段36と湯切れ入水タイミング算出手段72、給湯バーナ点火指令発信手段75に検出流量(検出値)を加える。
【0055】
送湯温度調節手段36は、貯湯槽2から出湯される湯と給水通路8bからの湯の混合により形成される混合湯水の設定温度(混合設定温度)を設定し、その設定した混合湯水温度の湯が形成されるようにミキシング流量制御手段35に指令を加える。
【0056】
ミキシング流量制御手段35は、給水流量センサ29によって給湯通路19を通って給湯される給湯流量が検出されたときにタンク側電磁弁13を開き、タンク湯水混合器12および水混合器14の制御による湯の流量と水の流量との制御により、湯水合流部10で形成される混合湯水の温度が送湯温度調節手段36により設定される混合設定温度となるようにするものである。
【0057】
ミキシング流量制御手段35は、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値より高い温度のときには混合湯水の温度が給湯設定温度(または給湯設定温度より0.5℃といった温度だけ高めの温度)となるように制御し、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値以下となったら、例えば給湯設定温度から給湯器16の最小燃焼号数で給湯流量の水を加熱したときに上昇する温度分を差し引いた値まで徐々に下げるように制御する。
【0058】
なお、給湯器16に設けられている給湯熱交換器17は、例えば銅製の顕熱熱交換器のみ、または、銅製の顕熱熱交換器にステンレス製の潜熱回収用熱交換器が付加されており、いずれの構成においても熱容量を持つ。したがって、給湯バーナ燃焼は停止した状態であっても、前記のように貯湯槽2側から給湯器16側に送る湯の湯温を徐々に下げることにより給湯熱交換器17を通過する湯温が徐々に下がると、給湯熱交換器17に蓄えられていた熱が放出されて通過する湯に伝わるので、給湯熱交換器17に入る湯の温度に対して給湯熱交換器17から出る湯の温度は若干高めとなる。そして、給湯熱交換器17を通る湯の流速の大小にかかわらず、給湯熱交換器17に導入する湯の湯温の下げ速度を一定とすると、給湯熱交換器17に蓄えられていた保有熱は通過する湯の流速が早いほど早く減るので、後述の給湯器16での給湯バーナ61の点火時加熱熱量を多めにするか、給湯バーナ61の点火タイミングを早めるか、といったことが必要となる。
【0059】
そこで、本実施例では、貯湯槽2側から給湯器16側に送る湯の湯温の下げ速度を湯の流速の大小に応じて可変させるのではなく、湯温の下げ速度を湯の流量の大小に応じて可変し、流量が大きいほど湯温の下げ速度も大きくするようにしている。なお、実際には流速の大小により給湯熱交換器17から給湯熱交換器17を通る湯への伝熱係数による差異が生じるので、流量と流速を加味して湯温の下げ速度を可変させてもよいが、給湯熱交換器17を流れる湯の流量が大きいほど(湯の流量が大きいと伝熱係数が大きい分)、早く給湯熱交換器17に蓄えていた保有熱が奪われる。
【0060】
湯切れ検出手段34は、
給湯バーナ61の燃焼停止での非燃焼の給湯中に貯湯槽2に貯湯されている湯の温度が低下して、貯湯槽2側(タンクユニット4側)から給湯器16側に給湯設定温度の湯を送水できなくなる湯切れの情報を検出するものであり、例えば貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度を時々刻々と取り込み、この検出温度が前記閾値以下となったら湯切れとなったと判断する。
【0061】
湯切れ入水タイミング算出手段72は、貯湯槽2側から給湯設定温度の湯を給湯器16側に送水している途中で前記湯切れが生じ、給湯器16内に入水する湯水温が
前記湯切れ前の前記給湯設定温度から
前記湯切れにより前記給湯設定温度未満の湯切れ温度に切り替わる湯切れ入水タイミングを、湯切れ検出手段34の湯切れ検出情報と、給水流量センサ29の検出流量と、貯湯槽2から給湯器16の給湯回路62内に至る配管容量とに基づいて求める。
【0062】
本実施例において、給湯器16は、給湯回路62に導入される湯水が給湯熱交換器17側
の通路とバイパス通路68側とに分かれて通過した後に該バイパス通路68と給湯熱交換器17側の通路との合流部70で合流して給湯回路62から導出される構成と成しており、湯切れ入水タイミング算出手段72は、湯切れによって給湯設定温度以上から給湯設定温度未満となる境界部の湯水が給湯器16内の合流部70に至るタイミングを湯切れ入水タイミングとして算出する。
【0063】
なお、貯湯槽2から給湯器16の給湯回路62
における前記湯切れ入水タイミングの判断位置(詳しくは給湯回路62の合流部70)に至る配管容量の情報はメモリ部37に格納されており、湯切れ入水タイミング算出手段72は、この情報を取り込み、貯湯槽2から給湯器16の給湯回路62の合流部70に至る配管容量を給水流量センサ29の検出流量(単位時間あたりの流量)で割ることにより、前記湯切れ入水タイミングを算出する。
【0064】
また、メモリ部37には、給湯バーナ61が点火指令を受けてから燃焼開始するまでに要する燃焼遅れ時間の情報(燃焼遅れ時間=例えば3秒)が予め与えられている。給湯バーナ点火指令発信手段75は、湯切れ検出手段34により湯切れ情報が検出されたときには、湯切れ入水タイミング算出手段72により算出される前記湯切れ入水タイミングより前記燃焼遅れ時間だけ手前の点火前倒しタイミングで給湯バーナ61の点火指令を発信し、燃焼制御手段47に加える。
【0065】
本実施例において、給湯バーナ点火指令発信手段75は、給水流量センサ29の検出流量を取り込み、貯湯槽2から給湯器16側に送水される湯水の送水時間を貯湯槽2から送水される湯水の積算流量に換算した値で求め、前記点火前倒しタイミングを、
前記湯切れ検出時に貯湯槽2から送水される湯水が貯湯槽2から給湯器16内の湯切れ入水タイミングの判断位置(ここでは合流部70)まで流れてくる
までの(合流部70に至るまでの)送水湯水の積算流量
(つまり、貯湯槽2から合流部70に至る配管容量)から前記湯切れ入水タイミングと前記点火前倒しタイミングとの間の時間(燃焼遅れ時間に対応する時間であり、例えば3秒間)に対応する積算流量を差し引いた積算流量差し引き値として求める。そして、湯切れ時点からの貯湯槽2から給湯器16への送水湯水の積算流量が前記積算流量差し引き値に達したときに、給湯バーナ16の点火指令を発信する。この発信信号は燃焼制御手段47に加えられ、燃焼制御手段47による給湯バーナ16の点火制御が行われる。
【0066】
このように、本実施例では、前記湯切れ入水タイミングの算出も前記点火前倒しタイミングの算出も、前記送水湯水の積算流量の算出に基づいて行われるので、各タイミングの算出を、容易に、かつ、的確に行うことができ、点火前倒しタイミングで行われる給湯バーナ16の点火指令発信を的確なタイミングで行うことができる。
【0067】
本実施例は以上のように構成されており、給湯流量が小さくて前記燃焼遅れ時間に対応する送水湯水の積算流量が小さい場合と、その逆に給湯流量が大きくて前記燃焼遅れ時間に対応する積算流量が大きい場合とを比較すると、給湯流量が大きい場合には、前記燃焼遅れ時間が経過する間に流れる流量が大きい分だけ燃焼遅れ時間に対応する点火前倒しタイミングも早めとなり、給湯バーナ16の点火指令発信も早めとなる。
【0068】
したがって、例えば、給湯流量が大きい場合には貯湯槽2から給湯器16側に送水される湯水が給湯器16に到達するよりもかなり前に給湯バーナ16の点火指令が発信されることがあるし、給湯流量が小さい場合には貯湯槽2から給湯器16側に送水される湯水が給湯器16内に導入されてから給湯バーナ16の点火指令が発信されることもある。
【0069】
なお、給湯熱交換器17を流れる湯の流量が大きいほど、給湯バーナ16の点火前に給湯熱交換器17に蓄えられていた保有熱が多く奪われるので、点火前倒しタイミングも早めとすることで、保有熱補充の増分に早期に対応することができ、早めに湯温が安定する。そこで、前記燃焼遅れ時間に対応する分の点火前倒しに付加して、給湯熱交換器17の保有熱の増減に対応する前記点火前倒しタイミングの制御を行ってもよい(例えば貯湯槽2から給湯器16側に送る湯の流量が大きくて給湯熱交換器17に蓄えられていた保有熱が多く奪われる場合には、より早めに給湯バーナ15の点火指令を発信してもよい)。このような制御を行う構成においては、例えばメモリ部37に、貯湯槽2から給湯器16側に送る湯の流量に基づいて点火前倒しタイミングを求める情報(例えばテーブルデータや演算式等の適宜の情報)も格納しておき、その情報に基づいて給湯バーナ点火指令発信手段75が給湯バーナ61の点火指令を発信するとよい。
【0070】
図4には、本実施例において、給湯流量が大きい場合における以下の温度特性の一例が示されている。特性線aは貯湯槽2側から給湯器16側に送られる湯水温の時間的変化を示し、特性線bは給湯バーナ16の加熱によって高められる湯水温の時間的変化を示し、特性線cは給湯温度の時間的変化を示し、図のTbが給湯バーナの点火指令発信タイミングを示している。
【0071】
同図の特性線aに示されるように、湯切れによって給湯設定温度以上から給湯設定温度未満となる境界部の湯水が給湯器16内の合流部70に至るタイミングがTgとなるのに対し、本実施例では、このタイミングよりも前記燃焼遅れ時間(時間ta)だけ早い点火前倒しタイミング(Tb)で給湯バーナ61への点火指令が発信されることにより、特性線bに示されるように、給湯バーナ16の燃焼開始による温度上昇が生じるのが前記タイミングTgとなる。つまり、前記境界部の湯水が合流部70に到達するときに、その境界部の湯の加熱が開始される。
【0072】
そして、合流部70に到達する湯水温が、特性線aに示されるように徐々に低下するのを、給湯バーナ61の燃焼に伴い、特性線bに示されるように徐々に温度が上昇することで、貯湯槽2側から到達する湯の温度低下分を給湯バーナ61の燃焼による温度上昇分で補われ、特性線cに示されるように、給湯温度が給湯設定温度となって安定的に給湯が行われる。なお、給湯流量が小さい場合は、タイミングTbとTgとの間の時間taが短くなるが、同様の動作により同様の効果を奏すことができる。
【0073】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な態様を採り得る。例えば、前記実施例では、湯切れ入水タイミング算出手段72は、湯切れによって
該湯切れ前の前記給湯設定温度以上から
前記湯切れにより前記給湯設定温度未満となる境界部の湯水が給湯器16内の合流部70に至るタイミングを湯切れ入水タイミングとして算出するようにしたが、湯切れ入水タイミング算出手段72は、前記境界部の湯水が例えば合流部70よりも少し手前側の位置に達するタイミングを湯切れ入水タイミングとして算出してもよい。つまり、湯切れ入水タイミングを検出するための判断位置
(湯切れ入水タイミングの判断位置)は前記実施例のように合流部70とすることが好ましいが、合流部70以外での給湯回路62内の適宜の位置にすることができる。
【0074】
また、本発明の熱源装置のシステム構成の詳細は必ずしも
図2に示される構成とは限らず、適宜設定されるものである。例えば、給湯器16の給湯熱交換器17は潜熱回収用熱交換器を有していないものでもよく、また、給湯熱交換器17を例えば石油燃焼式のバーナ装置により加熱するタイプの給湯器としてもよい。
【0075】
さらに、前記実施例では、貯湯槽2は燃料電池1に熱的に接続されていたが、燃料電池1の代わりに、太陽熱の集熱機やヒートポンプ等を接続してもよい。