【実施例】
【0037】
(実施例1)
上記二次電池の実施例を、図を用いて説明する。
図1に示すように、二次電池1は、複数の電極2(21、22、23)がセパレータ3を介して積層された電極組立体11と、電極2の周縁部20に配置され、電極組立体11の側周面111を覆うシール部12と、電極組立体11の積層方向における端部にそれぞれ当接し、電極組立体11を積層方向に拘束する拘束部材13とを有している。また、電極2と、当該電極2の隣の電極2と、シール部12とによって囲まれた層状空間S内には、介在部4が配置されている。介在部4は、層状空間Sに面する2つの電極2を離隔させた状態で電極2同士の間に介在し、これらの電極2のそれぞれと接合されている。
【0038】
本例の電極組立体11は、電極2として、積層方向の両端に配置された終端電極21、23と、終端電極21と終端電極23との間に配置された複数のバイポーラ電極22とを有している。
【0039】
バイポーラ電極22は、長方形状を呈する金属箔24と、金属箔24の表側面に設けられた正極活物質層25pと、裏側面に設けられた負極活物質層25nとを有している。
図1及び
図3に示すように、バイポーラ電極22の周縁部20は、シール部12により覆われている。正極活物質層25pは、金属箔24の表側面における、シール部12よりも内側の領域に設けられている。負極活物質層25nは、金属箔24の裏側面における、シール部12よりも内側の領域に設けられている。図には示さないが、本例の活物質層25(25p、25n)は、多数の活物質粒子を含む多孔質体である。
【0040】
2つの終端電極21、23のうち、積層方向の一端に配置された第1の終端電極21は、正極活物質層25pを有しない以外は、バイポーラ電極22と同様の構成を有している。また、積層方向の他端に配置された第2の終端電極23は、負極活物質層25nを有しない以外は、バイポーラ電極22と同様の構成を有している。
【0041】
終端電極21、23及びバイポーラ電極22は、正極活物質層25pと負極活物質層25nとが積層方向において交互に並ぶように配置されている。また、正極活物質層25pと負極活物質層25nとの間には、セパレータ3が介在している。これにより、金属箔24同士の間に、正極としての正極活物質層25pと負極としての負極活物質層25nとがセパレータ3を介して対面した単セルが構成されている。また、本例の電極組立体11においては、複数の単セルが金属箔24を介して電気的に直列に接続されている。
【0042】
図1に示すように、電極組立体11の側周面111は、シール部12により覆われている。また、シール部12には、各電極2の周縁部20、即ち活物質層25(25p、25n)が設けられておらず、金属箔24が露出している部分が保持されている。
【0043】
電極組立体11は、電極2と、当該電極2の隣の電極2と、シール部12とによって囲まれた複数の層状空間Sを有している。この層状空間S内にはセパレータ3及び介在部4が配置されている。
【0044】
図3に示すように、セパレータ3は、電極組立体11の積層方向から視た平面視において長方形状を呈している。本例のセパレータ3は、ポリオレフィン系樹脂の繊維から構成された不織布である。
【0045】
介在部4は、電極組立体11の積層方向から視た平面視におけるセパレータ3の中央に配置されている。
図1及び
図2に示すように、本例の介在部4は、セパレータ3を含んだ状態で固形化しており、セパレータ3に対面する正極活物質層25p及び負極活物質層25nのそれぞれに接合されている。また、
図2に示すように、介在部4は、電極組立体11の積層方向において、セパレータ3の表面31よりも電極2側に突出している。なお、本例の介在部4は、ポリプロピレンから構成されている。また、
図1においては、便宜上、介在部4がセパレータ3と同一の厚みとなるように、介在部4を簡略化して記載した。
【0046】
電極組立体11の積層方向における両端には、金属製の拘束部材13が配置されている。拘束部材13は、図示しない保持板により、終端電極21、23の金属箔24に当接した状態で保持されている。本例の二次電池1は、拘束部材13を介して電極組立体11と図示しない外部回路とを電気的に接続することができる。
【0047】
本例の二次電池1は、例えば、以下の手順により作製することができる。まず、金属箔24に活物質層25(25p、25n)を塗布し、終端電極21、23及びバイポーラ電極22を作製する。次いで、これらの電極21〜23の周縁部20にシール部12を配置する。
【0048】
また、上述した電極21〜23の準備とは別に、セパレータ3を準備し、その中央に介在部4を配置する。図には示さないが、本例においては、セパレータ3を含んだ状態で固形化しており、セパレータ3の表面31よりも電極2側に突出した形状の介在部4を形成する。このような介在部4を形成する方法としては、例えば、以下の方法がある。まず、介在部4を溶媒に溶解させた後、この溶液をセパレータ3の中央に滴下し、セパレータ3の厚み方向に溶液を浸透させる。その後、セパレータ3を乾燥させて溶媒を除去することにより、セパレータ3を含んだ状態で固形化した介在部4を形成することができる。
【0049】
また、上述した方法に代えて、予め溶融させた介在部4をセパレータ3の中央に浸透させてもよい。この場合には、溶融状態の介在部4を厚み方向に浸透させた後に、介在部4を冷却して固化させることにより、セパレータ3を含んだ状態で固形化した介在部4を形成することができる。
【0050】
上述のようにして準備した電極21〜23とセパレータ3とを交互に積層し、
図4に示す積層体110を作製する。そして、積層体110を加熱しつつ積層方向に圧縮することにより(
図4、矢印112)、シール部12同士を溶着するとともに、介在部4を溶融させつつ正極活物質層25p及び負極活物質層25nのそれぞれに圧入する。
【0051】
溶融した介在部4は、積層体110の圧縮により、多孔質体である正極活物質層25p及び負極活物質層25nの細孔内に進入する。これにより、電極組立体11の積層方向において、セパレータ3の表面31よりも電極2側に突出した形状の介在部4を形成するとともに、介在部4を各電極2(21〜23)に接合することができる。そして、終端電極21、23に拘束部材13を当接させた後、図示しない注液口から各層状空間S内に電解質を注入することにより、二次電池1を得ることができる。
【0052】
次に、本例の二次電池1の作用効果を説明する。二次電池1は、電極2と、当該電極2の隣の電極2と、シール部12とによって囲まれた層状空間S内に配置された介在部4を有している。また、介在部4は、層状空間Sに面する2つの電極2を離隔させた状態で電極2同士の間に介在しており、これらの電極2のそれぞれに接合されている。
【0053】
そのため、介在部4は、いずれかの層状空間Sにおける内圧がガスの蓄積によって上昇した際に、当該層状空間Sにおける電極2間の距離の拡大や、当該層状空間Sの隣の層状空間Sにおける電極2間の距離の縮小を規制することができる。それ故、介在部4は、内圧上昇による層状空間Sの膨張や、内圧上昇に伴う層状空間Sの圧縮を抑制することができる。
【0054】
また、介在部4は、各層状空間Sに配置されているため、いずれの層状空間Sにおいても、層状空間Sの膨張や圧縮を抑制することができる。それ故、二次電池1は、内圧上昇に伴う電極2の変形を効果的に抑制し、ひいては電極2間の距離の偏りの増大を抑制することができる。
【0055】
また、二次電池1は、いずれの層状空間Sにおいても内圧上昇による層状空間Sの膨張を抑制することができるため、内圧上昇による電極2の変形を抑制する効果を確保しつつ、拘束部材13の剛性を従来よりも低くすることができる。その結果、二次電池1の小型化や軽量化を容易に行うことができる。
【0056】
また、本例の介在部4は、電極組立体11の積層方向において、セパレータ3の表面31よりも電極2側に突出している。そのため、電極2と介在部4との接合部の面積をより広くすることができる。それ故、電極2と介在部4との接合強度をより高くすることができる。その結果、電極2からの介在部4の剥離をより効果的に抑制することができ、ひいては内圧上昇による電極2の変形をより長期間に亘って抑制することができる。
【0057】
このように、二次電池1によれば、内圧上昇による電極2の変形を抑制でき、小型化や軽量化を容易に行うことができる。また、二次電池1は、電極2間の距離の偏りの増大を抑制し、電極反応のムラや充放電特性の悪化を抑制することもできる。
【0058】
また、本例の二次電池1の電極2は、金属箔24と、金属箔24の少なくとも片面上に配置された活物質層25とを有する箔電極である。そのため、多孔質電極を使用する場合に比べて二次電池1の体積当たりの電極2の数を容易に増やすことができる。その結果、二次電池1のパワー密度やエネルギー密度を向上させることができる。
【0059】
また、本例の二次電池1は、集電体としての金属箔24と、金属箔24の表側面上に配置された正極活物質層25pと、裏側面上に配置された負極活物質層25nとを有するバイポーラ電極22を有している。そのため、バイポーラ電極22を積層するという単純な構成により、複数の単セルを直列に接続することができる。その結果、二次電池1の起電力をより高くすることができる。
【0060】
また、バイポーラ電極22を用いることにより、単極性の電極を用いる場合に比べて、電極の総数に対する単セルの数を増やすことができる。それ故、電極の総数が同じ場合には、単極性の電極を用いる場合に比べて単セルの数を多くすることができる。また、単セルの数が同じ場合には、単極性の電極を用いる場合に比べて電極の総数を少なくし、積層方向における二次電池1の寸法をより小さくすることができる。
【0061】
(実施例2)
本例は、セパレータ302の貫通穴32内に配置された介在部402を有する二次電池102の例である。なお、本実施例以降において用いる符号のうち、既出の実施例において用いた符号と同一の符号は、特に説明のない限り、既出の実施例における構成要素等と同様の構成要素等を示す。
【0062】
図5に示すように、本例の二次電池102は、電極2として、電極組立体11の積層方向の両端に配置された終端電極26、28と、終端電極26と終端電極28との間に配置されたバイポーラ電極27とを有している。
【0063】
バイポーラ電極27は、長方形状を呈する金属箔24と、金属箔24の表側面に設けられた正極活物質層25pと、裏側面に設けられた負極活物質層25nとを有している。また、バイポーラ電極27は、電極組立体11の積層方向から視た平面視における正極活物質層25p及び負極活物質層25nの中央に、金属箔24が露出した露出部241を有している。
【0064】
2つの終端電極26、28のうち、積層方向の一端に配置された第1の終端電極26は、正極活物質層25pを有しない以外は、バイポーラ電極27と同様の構成を有している。また、積層方向の他端に配置された第2の終端電極28は、負極活物質層25nを有しない以外は、バイポーラ電極27と同様の構成を有している。
【0065】
セパレータ302は、電極組立体11の積層方向から視た平面視において長方形状を呈している。また、電極組立体11の積層方向から視た平面視におけるセパレータ302の中央には、セパレータ302を厚み方向に貫通する貫通穴32が設けられている。
【0066】
介在部402は円柱状を呈しており、セパレータ302の貫通穴32に挿通されている。介在部402の端面は、それぞれ、セパレータ302に対面する電極26〜28の露出部241に接合されている。なお、本例の介在部402は、ポリプロピレンより構成されている。
【0067】
本例の二次電池102を作製するに当たっては、露出部241を備えた電極26〜28と、貫通穴32を備えたセパレータ302と、円柱状の介在部402とを準備する。電極26〜28に露出部241を形成する方法としては、例えば、金属箔24上に活物質層25(25p、25n)を形成した後、露出部241に相当する部分の活物質層25を除去する、あるいは、金属箔24上に活物質層25を形成する際に、露出部241に相当する部分に活物質層25を形成せず、それ以外の部分に活物質層25を形成する等の方法がある。
【0068】
これらの部材を準備した後、貫通穴32内に介在部402を配置しつつ電極26〜28とセパレータ302とを交互に積層して積層体を作製する。その後、積層体を加熱しつつ積層方向に圧縮することにより、電極組立体11を得ることができる。その他は実施例1と同様である。
【0069】
本例のように、電極2に金属箔24が露出した露出部241を設け、露出部241において介在部402と金属箔24とを直接接合することにより、介在部402が活物質層25に接合されている場合に比べて接合強度を高くすることができる。そのため、金属箔24からの介在部402の剥離をより効果的に抑制することができ、内圧上昇による電極の変形をより長期間に亘って抑制することができる。その他、本例の二次電池102は、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
(実施例3)
本例は、複数の介在部403、404を有する二次電池の例である。内圧上昇による電極2の変形をより効果的に抑制する観点からは、電極組立体11の積層方向から視た平面視において、介在部403、404を均等に配置することが好ましい。
【0071】
例えば
図6に示すように、各層状空間Sが2か所の介在部403を有する場合には、セパレータ303の短辺方向に延びる仮想線L1によって等分割された2つの領域R1、R2のそれぞれに介在部403を配置することが好ましい。また、この場合には、電極組立体の積層方向から視た平面視において、上述した各領域R1、R2の中央に介在部403を配置することがより好ましい。
【0072】
また、例えば
図7に示すように、各層状空間Sが5か所の介在部404を有する場合には、介在部404を、セパレータ304の短辺方向に延びる仮想線L1及び長辺方向に延びる仮想線L2によって等分割された4つの領域R1〜R4に1か所ずつ配置するとともに、セパレータ304の中央、即ち仮想線L1と仮想線L2との交点に配置することが好ましい。また、この場合には、電極組立体11の積層方向から視た平面視において、上述した各領域R1〜R4の中央と、セパレータ304の中央とに介在部404を配置することがより好ましい。
【0073】
本発明に係る二次電池の態様は、上述した実施例の態様に限定されるものではなく、その趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。例えば、実施例1及び実施例2には、バイポーラ電極22、27を備えた電極組立体11を有する二次電池1、102の例を示したが、金属箔24の両面に同極性の活物質層25を備えた単極性電極を電極組立体11に組み込むこともできる。この場合には、正極と負極とを交互に配置し、正極と負極との間にセパレータ3、302及び介在部4、402を配置すればよい。
【0074】
また、実施例1及び実施例2には、箔電極を備えた電極組立体11を有する二次電池1、102の例を示したが、多孔質電極を電極組立体11に組み込むことも可能である。