【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のビルトイン式加熱調理器は、前面部をキッチンキャビネットの前面開口に臨ませた状態に前記キッチンキャビネットの上方開口部から下方に挿入されて組み付けられる調理器本体における横端部側の前面側箇所に設けた枠体部に、矩形状の前面パネルが、横内方側端部に設けた被係止部を前記枠体部の横内方側端部に設けた係止部に前後揺動可能に係止させた状態での後方側の揺動により、前記枠体部を覆う覆い状態に装着され、
前記覆い状態の前記前面パネルの横外方側端部を前記枠体部に固定する固定部が、固定状態と固定解除状態とに切換え自在に設けられたものであって、その特徴構成は、
前記前面パネルが、矩形状のパネル本体の横内方側の端縁部から後方側に起立する内方側壁部分を備える状態に金属板にて形成され、
前記枠体部の横内方側端部に、横内方側に突出する凸状部が設けられ、
前記被係止部として、前記凸状部の先端部に嵌める挿入孔、及び、前記内方側壁部分から横外方側に向けて起立する爪状部が、前記内方側壁部分に設けられ、
前記凸状部に、前記内方側壁部分の横外方側の移動を受止め規制する壁用受止部、及び、前記爪状部の前方側への移動を受止め規制する前方側受部と前記爪状部の下方側への移動を受止め規制する下方側受部と前記爪状部の上方側への移動を規制する上方側受部とを備える溝部が設けられ、
前記係止部が、前記凸状部の先端部、前記壁用受止部、及び、前記溝部から構成されている点にある。
【0009】
すなわち、前面パネルが、矩形状のパネル本体を備える形態に金属板にて形成されるものであるから、前面を美麗にしながらも前面パネルの簡素化を図ることができる。
つまり、金属板にて形成されるパネル本体の前面は、美麗であるから、金属板にて形成される前面パネルを、特別な化粧板等を装着することなく、そのままの状態で前面パネルとして使用することができるため、前面を美麗にしながらも前面パネルの簡素化を図ることができる。
【0010】
また、枠体部の横内方側端部に、横内方側に突出する凸状部を設け、前面パネルの矩形状のパネル本体の横内方側の端縁部から後方側に起立する内方側壁部分に、凸状部の先端部に嵌める挿入孔、及び、内方側壁部分から横外方側に向けて起立する爪状部を設けて、挿入孔と爪状部とから被係止部を構成する。
【0011】
また、凸状部に、内方側壁部分の横外方側の移動を受止め規制する壁用受止部、及び、爪状部の前方側への移動を受止め規制する前方側受部と爪状部の下方側への移動を受止め規制する下方側受部と爪状部の上方側への移動を規制する上方側受部とを備える溝部を設けて、凸状部の先端部、壁用受止部及び溝部から係止部を構成する。
【0012】
そして、被係止部を係止部に係止させた状態で、前面パネルを枠体部に向けて後方側に揺動させることにより、前面パネルを覆い状態に装着することになる。
つまり、前面パネルを、枠体部の前面から離間させた状態で、横内方側端部の挿入孔を凸状部の先端部に嵌めるようにし、かつ、爪状部を溝部に係止させるようにし、その状態で、前面パネルを後方側に揺動させることにより、前面パネルを、枠体部を覆う覆い状態に装着する。
【0013】
上述の如く、被係止部を係止部に係止させるあたり、前面パネルにおける内方側壁部分の挿入孔を凸状部の先端部に嵌めるようにすれば、爪状部を溝部に係止させることができるため、被係止部を係止部に係止させることを良好に行いながら、前面パネルの装着作業の容易化を図ることができる。
つまり、目視にて存在を確認し易い挿入孔を凸状部の先端部に嵌めるようにすることにより、結果的に、爪状部を溝部に係止させることができるから、被係止部を係止部に係止させることを良好に行えるようにして、前面パネルの装着作業の容易化を図ることができる。
【0014】
ちなみに、被係止部として、爪状部を省略して挿入孔のみを設け、挿入孔を嵌める凸状部の先端部を、係止部として構成することが考えられる。
しかしながら、この場合には、前面パネルを揺動させる途中等において、被係止部が係止部から外れないようにするには、凸状部の先端部が挿入孔から大きく突出する形態に構成する必要があり、そのために、見栄えが悪くなる不利や、枠体部の横内方側箇所に、扉付受け皿を出退自在に備えたグリル部を設ける場合において、挿入孔から大きく突出する凸状部の先端部が扉付受け皿に干渉する虞がある等の不都合を招くものとなる。
【0015】
このような実状に鑑みて、本特徴構成においては、凸状部の先端部を挿入孔から大きく突出させるようにするのに代えて、爪状部と溝部とを設けて、前面パネルを揺動させる途中等において、被係止部が係止部から外れないようにするのである。
そして、爪状部と溝部とを設ける場合には、挿入孔を省略することが可能であるが、挿入孔を設けておくことにより、上述の如く、被係止部を係止部に係止させることを良好に行えるようにして、前面パネルの装着作業の容易化を図るのである。
【0016】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の特徴構成によれば、前面を美麗にしながらも前面パネルの簡素化を図り、しかも、前面パネルの装着作業の容易化を図ることができる。
【0017】
本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成は、前記爪状部が、前記挿入孔の孔縁部における後方側部分から起立する状態に形成されている点にある。
【0018】
すなわち、爪状部が、挿入孔の孔縁部における後方側部分から起立する状態に形成されているから、爪状部が後方側に折れ曲がることを適切に回避できる。
つまり、内方側壁部分から横外方側に向けて片持ち状に起立する爪状部には、上下方向に沿う姿勢の板状の前方側受部に爪状部が接当した際に、後方側に折れ曲げる力が作用することになるが、爪状部における挿入孔の孔縁部に相当する箇所に位置する折れ曲がり難い部分が、後方側に折れ曲げる力を受止めることにより、爪状部の折れ曲がりを適切に回避できることになる。
【0019】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成によれば、爪状部の折れ曲がりを適切に回避できる。
【0020】
本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成は、前記凸状部の前方側部分に、横方向に延びるリブが形成されている点にある。
【0021】
すわわち、横方向に延びるリブが、凸状部の前方側部分に形成されることにより、凸状部の強度を向上させて、前面パネルを凸状部にて適切に支持することができる。
つまり、凸状部の強度が向上することにより、前面パネルの支持強度を向上させることができる。
【0022】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成によれば、前面パネルの支持強度を向上させることができる。
【0023】
本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成は、前記前面パネルが、前記内方側壁部分に加えて、前記パネル本体の横外方側の端縁部から後方側に起立する外方側壁部分、前記パネル本体の上方側の端縁部から後方側に起立する上方側壁部分、及び、前記パネル本体の下方側の端縁部から後方側に起立する下方側壁部分を備える状態に前記金属板にて形成されている点にある。
【0024】
すなわち、矩形状のパネル本体の4つの縁部には、内方側壁部分、外方側壁部分、上方側壁部分、及び、下方側壁部分が存在するものとなり、それらの壁部分の存在により、パネル本体の保形強度を増加させることができる。
【0025】
このようにパネル本体の保形強度を増加させることができるから、金属板を薄くして低廉化を図るようにしながらも、パネル本体が撓み変形すること等を抑制して、前面パネルの前面を美麗な状態で適切に維持できる。
【0026】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成によれば、低廉化を図りながらも、前面パネルの前面を美麗な状態で適切に維持できる。
【0027】
本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成は、前記枠体部に、前記上方側壁部分に接当する上方側案内部、及び、前記下方側壁部分に接当する下方側案内部が設けられている点にある。
【0028】
すなわち、前面パネルを、被係止部を係止部に係止させた状態で後方側に揺動させる際に、上方側案内部及び下方側案内部によって、前面パネルが上下方向に不必要に移動することを抑制することができる。
【0029】
つまり、被係止部を係止部に係止させた状態で、前面パネルを後方側に揺動させる際に、揺動操作する力の入れ具合が適切でないこと等により、前面パネルが上下方向に不必要に移動して、被係止部が係止部から外れる等のトラブルを招く虞があるが、上方側案内部及び下方側案内部によって、前面パネルが上下方向に不必要に移動することを抑制することにより、被係止部が係止部から外れる等のトラブルを招くことを回避しながら、前面パネルを覆い状態に適切に装着することができる。
【0030】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成によれば、被係止部が係止部から外れる等のトラブルを招くことを回避しながら、前面パネルを覆い状態に適切に装着することができる。
【0031】
本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成は、前記固定部が、前記覆い状態の前記前面パネルにおける前記調理器本体の横外方に張り出す張出部分の背面部に上下方向にスライド自在に装備された固定作用部材を、固定位置と固定解除位置とに上下方向にスライドさせることによって、前記固定状態と前記固定解除状態とに切換え自在に構成され、
前記固定作用部材をスライド自在に支持する合成樹脂製の支持台が、前記前面パネルの背面部に装着されている点にある。
【0032】
すなわち、固定作用部材をスライド自在に支持する合成樹脂製の支持台を、前面パネルの背面部に装着して、固定作用部材を、固定位置と固定解除位置とに上下方向にスライドさせることによって、固定部を固定状態と固定解除状態とに切換えるようにする。
【0033】
そして、固定作用部材を、覆い状態の前面パネルにおける調理器本体の横外方に張り出す張出部分の背面部に上下方向にスライド自在に装備するものであるから、固定作用部材のスライド操作を良好に行うことができる。
【0034】
つまり、前面パネルにおける調理本体の横側に張り出す張出部分の後方側には、調理器本体が存在しない点に着目して、張出部分の背面部を、固定部を構成する固定作用部材の設置箇所として有効利用することによって、スライド操作を良好に行うことができる形態で固定作用部材を設置して、固定部を固定状態と固定解除状態とに良好に切換え操作できるようにするのである。
【0035】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成によれば、固定部を固定状態と固定解除状態とに良好に切換え操作できる。
【0036】
本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成は、前記支持台に、前記前面パネルの前記覆い状態において、前記枠体部に設けた位置決め用係合部に係合する位置決め用被係合部が形成されている点にある。
【0037】
すなわち、固定作用部材を支持するために設けた合成樹脂製の支持台に、位置決め用被係合部を形成して、前面パネルの覆い状態において、位置決め用被係合部を枠体部の位置決め用係合部に係合させることにより、覆い状態の前面パネルの装着姿勢の安定化を図るようにする。
【0038】
つまり、合成樹脂製の支持台には、当該支持台を成形加工する際に、凸状や凹状の位置決め用被係合部を成形加工できる点に着目して、位置決め用被係合部を支持台に形成することにより、覆い状態の前面パネルは、横内方側端部では被係止部が係止部に支持され、横外方側端部では位置決め用被係合部が位置決め用係合部に支持されることになるため、覆い状態の前面パネルが適正な装着姿勢に適切に支持されることになる。
【0039】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成によれば、覆い状態の前面パネルの装着姿勢の安定化を図ることができる。
【0040】
本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成は、前記固定作用部材に、前記固定位置において前記枠体部の横幅方向の外方側端部に設けた外方側係止部に対して前方側への移動が阻止されるように係止されかつ前記固定解除位置にて前記外方側係止部による係止が解除される固定用被係止部が設けられている点にある。
【0041】
すなわち、固定作用部材を、固定位置に位置させると、固定作用部材に設けた固定用被係止部が、枠体部の横外方側端部に設けた外方側係止部に対して前方側への移動が阻止されるように係止されることにより、前面パネルの横外方側部分が、枠体部に対して前方側への移動が阻止されるように係止されることになる。
また、固定作用部材を、固定解除位置に位置させると、固定作用部材に設けた固定用被係止部に対する枠体部に設けた外方側係止部による係止が解除されることになる。
【0042】
このように、固定作用部材を固定位置と固定解除位置とに上下方向にスライドさせて、固定作用部材に設けた固定用被係止部に対する枠体部に設けた外方側係止部による係止を、係止作用状態と係止解除状態に切換えることにより、固定部を固定状態と固定解除状態とに適切に切換えることができる。
【0043】
要するに、本発明のビルトイン式加熱調理器の更なる特徴構成によれば、固定作用部材のスライド操作により、固定部を固定状態と固定解除状態とに適切に切換えることができる。