特許第6858705号(P6858705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858705
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】改良されたイオン化のための衝突面
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/04 20060101AFI20210405BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20210405BHJP
   H01J 49/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   H01J49/04 040
   G01N27/62 G
   G01N27/62 F
   H01J49/04 630
   H01J49/04 680
   H01J49/00 270
【請求項の数】18
【全頁数】121
(21)【出願番号】特願2017-546849(P2017-546849)
(86)(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公表番号】特表2018-508964(P2018-508964A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】GB2016050614
(87)【国際公開番号】WO2016142685
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】1503879.7
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503876.3
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503864.9
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503877.1
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503867.2
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503863.1
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503878.9
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1516003.9
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1518369.2
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504142097
【氏名又は名称】マイクロマス ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】タマーシュ・カランチ
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエル・シモン
(72)【発明者】
【氏名】ラヨシュ・ゴドルハージィ
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエル・サライ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・デレク・プリングル
(72)【発明者】
【氏名】エムリス・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】イアン・トリベット
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・オブライエン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ヘス
(72)【発明者】
【氏名】マット・ヘンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】アルビン・チュア
(72)【発明者】
【氏名】ゾルターン・タカーチュ
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11-271277(JP,A)
【文献】 特開2000-180413(JP,A)
【文献】 特開2010-169454(JP,A)
【文献】 特表2015-503109(JP,A)
【文献】 特表2015-504160(JP,A)
【文献】 米国特許第4835383(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0108539(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0048255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
G01N 27/62
H01J 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析される標的からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させ、前記エアロゾル、煙、または蒸気が検体を含むように構成される、第1のデバイスと、
前記エアロゾル、煙、または蒸気を真空チャンバ内に配置された衝突アセンブリの表面に方向付け、複数の検体イオンを発生する、または解放するように、配置され適合されたデバイスと、を含み、
前記エアロゾル、煙、または蒸気が方向付けられた前記衝突アセンブリの前記表面は実質的に円筒形、管状、棒形状、コイル形状、螺旋状、または渦巻形状である、
質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項2】
前記質量および/またはイオン移動度分析計は、
マトリクス分子を前記エアロゾル、煙、または蒸気に供給し、マトリクスによって希釈されるべきまたはマトリクスに溶解されるべき前記検体を発生させるように、配置され適合されたデバイスと、をさらに含み、
前記エアロゾル、煙、または蒸気を該衝突アセンブリの前記表面に方向付けるように配置され適合されたデバイスは、
前記希釈されたまたは溶解された検体の検体液滴を前記衝突アセンブリ上に加速するように、配置され適合されたデバイスを含む、
請求項1に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項3】
前記マトリクスは、(i)前記エアロゾル、煙、または蒸気のための溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性または非極性分子、(v)水、(vi)1つまたは複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプロパノール、(x)アセトン、(xi)アセトニトリル、(xii)ジメチル・スルホキシド(DMSO)、(xiii)グリコール、(xiv)1−ブタノール、(xv)テトラヒドロフラン、(xvi)エチルアセトン、(xvii)エチレン・グリコール、(xviii)アルデヒド、(xix)ケトン、(xx)ヘキサン、(xxi)クロロホルム、および(xxii)プロパノールからなる群から選択される、
請求項2に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項4】
前記検体イオンを分析するように配置された分析計であって、前記分析計は、真空チャンバに隣接した大気インターフェースをさらに含み、検体液滴は、前記大気インターフェースの両端の圧力差により前記衝突アセンブリ上に加速される、分析計と、をさらに含む、
請求項2または3に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項5】
前記衝突アセンブリを加熱するための加熱器または加熱コイルと、をさらに含む、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項6】
前記衝突アセンブリは、(i)セラミック、(ii)非セラミック、(iii)ガラス、(iv)ガラスセラミック、(v)石英、(vi)鋼鉄もしくはニッケルなどの金属、または(vii)鉄クロムアルミニウム(FeCrAl)合金、Kanthal、Nikrothal、もしくはNichromeなどの金属合金からなる群から選択される、前記衝突アセンブリの前記表面を備える、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項7】
前記第1のデバイスはレーザーを備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項8】
前記第1のデバイスは、(i)急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源、(ii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン化源、(iii)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(iv)熱脱離イオン源、(v)レーザーダイオード熱脱離(「LDTD」)イオン源、(vi)脱離電気流集束(「DEFFI」)イオン源、(vii)誘電体バリア放電(「DBD」)プラズマイオン源、(viii)大気固体分析プローブ(「ASAP」)イオン源、(ix)超音波支援スプレーイオン化イオン源、(x)簡単な大気ソニックスプレーイオン化(「EASI」)イオン源、(xi)脱離大気圧光イオン化(「DAPPI」)イオン源、(xii)ペーパースプレー(「PS」)イオン源、(xiii)ジェット脱離イオン化(「JeDI」)イオン源、(xiv)タッチスプレー(「TS」)イオン源、(xv)ナノDESIイオン源、(xvi)レーザー切除エレクトロスプレー(「LAESI」)イオン源、(xvii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン化源、(xviii)プローブエレクトロスプレーイオン化(「PESI」)イオン源、(xix)固体プローブ支援エレクトロスプレーイオン化(「SPA−ESI」)イオン源、(xx)カビトロン超音波外科用吸引(「CUSA」)装置、(xxi)ハイブリッドCUSAジアテルミー装置、(xxii)集束または非集束超音波切除装置、(xxiii)ハイブリッド集束または非集束超音波切除およびジアテルミー装置、(xxiv)マイクロ波共振装置、(xxv)パルスプラズマRF解離装置、(xxvi)アルゴンプラズマ凝固装置、(xxvi)ハイブリッドパルスプラズマRF解離およびアルゴンプラズマ凝固装置、(xxvii)ハイブリッドパルスプラズマRF解離およびJeDI装置、(xxviii)外科用水/生理食塩水ジェット装置、(xxix)ハイブリッド・エレクトロスプレーおよびアルゴンプラズマ凝固装置、ならびに(xxx)ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固および水/生理食塩水ジェット装置からなる群から選択されたデバイスの一部、もしくはイオン源を備えるか、または形成する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項9】
前記標的は、細菌コロニー、真菌コロニー、または生物組織もしくは生体液体、例えば唾液、血液、または膿などの生物物質を備える、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項10】
前記衝突アセンブリは第1の長手方向軸を有し、前記エアロゾル、煙、または蒸気は使用時に、実質的に前記第1の長手方向軸に直交する第2の軸に沿って前記衝突アセンブリの前記表面上に方向付けるように配置され適合される、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項11】
前記衝突アセンブリを保護するために、伸張した位置で前記衝突アセンブリを少なくとも部分的に包囲する、1つまたは複数の遮蔽物をさらに備える、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項12】
前記1つまたは複数の遮蔽物は、前記伸張した位置から、前記衝突アセンブリの少なくとも一部が前記1つまたは複数の遮蔽物によって包囲されない収縮した位置に、少なくとも部分的にまたは完全に収縮可能である、
請求項11に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項13】
(i)単変量解析、(ii)多変量解析、(iii)主成分分析(PCA)、(iv)線形判別分析(LDA)、(v)最大マージン基準(MMC)、(vi)ライブラリに基づいた分析、(vii)クラス分類のためのソフト無しモデリング(SIMCA)、(viii)因子分析(FA)、(ix)再帰分割(決定木)、(x)ランダムフォレスト、(xi)独立成分分析(ICA)、(xii)部分最小二乗判別分析(PLS−DA)、(xiii)潜在構造に対する直行(部分最小二乗)射影(OPLS)、(xiv)OPLS判別分析(OPLS−DA)、(xv)サポートベクトルマシン(SVM)、(xvi)(人工)神経回路網、(xvii)多層パーセプトロン、(xviii)放射基底関数(RBF)網、(xix)ベイズ解析、(xx)クラスタ分析、(xxi)カーネル法、(xxii)部分判別分析、(xxiii)k近傍法(KNN)、(xxiv)二次判別分析(QDA)、(xxv)確立的主成分分析(PPCA)、(xxvi)非負値行列因子分解、(xxvii)k平均因子分解、(xxviii)ファジーc平均因子分解、および(xxix)判別分析(DA)のうちの1つまたは複数を使用して、前記エアゾル、煙、または蒸気を分類するように、1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析するデバイスをさらに含む、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の質量および/またはイオン移動度分析計。
【請求項14】
質量分析計および/またはイオン移動度分析計の第1のデバイスにおいて、分析される標的から、検体を含む、エアロゾル、煙、または蒸気を発生させるステップと、
前記エアロゾル、煙、または蒸気を真空チャンバ内に配置された衝突アセンブリの表面に方向付け、複数の検体イオンを発生させる、または解放するステップであって、前記エアロゾル、煙、または蒸気が方向付けられた前記衝突アセンブリの前記表面は実質的に円筒形、管状、棒形状、コイル形状、螺旋状、または渦巻形状である、前記検体イオンを発生させる、または解放するステップと、
前記検体イオンを分析するステップと、
を含む、
質量分析および/またはイオン移動度分析作動方法。
【請求項15】
前記質量分析および/またはイオン移動度分析作動方法は、
マトリクス分子を前記エアロゾル、煙、または蒸気に供給し、マトリクスによって希釈されるべきまたはマトリクスに溶解されるべき前記検体を発生させるステップと、をさらに含み、
前記検体イオンを発生させる、または解放するステップは、前記希釈されたまたは溶解された検体の検体液滴を前記衝突アセンブリの前記表面上に加速するステップを含む、
請求項14に記載の質量分析および/またはイオン移動度分析の作動方法。
【請求項16】
前記検体イオンを分析するステップにおいて、このとき、前記検体液滴、大気インターフェースの両端の圧力差により前記衝突アセンブリの前記表面上に加速さ
求項15に記載の質量分析および/またはイオン移動度分析作動方法。
【請求項17】
前記衝突アセンブリを加熱するステップと、をさらに含む、
請求項14、15または16に記載の質量分析および/またはイオン移動度分析作動方法。
【請求項18】
前記エアロゾル、煙、または蒸気を発生させるステップは、人体外において行われる、
請求項14〜17のいずれか1項に記載の質量分析および/またはイオン移動度分析作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503876.3号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503864.9号、2015年10月16日に出願された英国特許出願第1518369.2号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503877.1号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503876.2号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503863.1号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503878.9号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503879.7号、および2015年9月9日に出願された英国特許出願第1516003.9号からの優先権および利益を主張する。これらの出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に質量および/またはイオン移動度分析に関し、詳細にはサンプルのイオン化を向上させるための装置に関する。実施形態は、急速蒸発イオン化質量および/またはイオン移動度分析、質量および/またはイオン移動度分析、分離器または分析器、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法、質量および/またはイオン移動度分析の方法、電気手術の方法、ならびに電気手術装置に関する。
【背景技術】
【0003】
急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)は、物質のリアルタイム同定のため、例えば外科的介入中に生物組織の同定のために最近開発されている技術である。生物組織のREIMS分析は、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)、二次イオン質量分析(「SIMS」)、および脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)撮像と同様の、高い組織学および病理組織学の特異性を有するリン脂質のプロファイルを得るように示されてきた。
【0004】
REIMS技術を携帯サンプリング装置と結合することにより、iKnifeサンプリング技術をもたらし、これは術中組織同定を提供することができる。この技術により、執刀医は、腫瘍などを手術中に執刀医が除去する健常組織の量を最小にする支援をできるが、標的組織を切除する役に立つ情報を提供することにより、標的組織をより効果的に切除できる。またiKnifeサンプリング技術は、標的物体を試験管内の基板から分離するために非外科的方法で非外科的作業者が使用することができる。
【0005】
公知のiKnifeサンプリングシステムでは、質量分析信号は、基板が交流電流を無線周波数で受けることによって獲得され、これによりジュール熱を局所化し、細胞を荷電粒子および中性粒子の脱離とともに粉砕する。得られるエアロゾル(例えば「手術煙」)は、オンラインの質量分光分析に対して大気圧イオン化質量分析器計の大気インターフェースに直接導入される。エアロゾルは、質量分析が生物組織を直接フィンガープリントできるように十分な数のイオン化分子を含有する。
【0006】
蒸発後にイオン化したサンプル内の中性分子を使用して、イオン収量を増進させてもよい。このことに関して、エレクトロスプレーおよびコロナ放電ポストイオン化法を試験した。二次エレクトロスプレーイオン化、溶融液滴エレクトロスプレーイオン化、および抽出エレクトロスプレーイオン化は、イオン収量を増加させるために使用されてきた。これらの3つの技法は、帯電した溶媒液滴が気相内でエアロゾル粒子と溶融され、得られる溶融液滴はエレクトロスプレー様のイオン化工程を受けるという意味で類似している。しかしこれらの技法は、エレクトロスプレーの設置の脆さ、DESI様現象、溶媒型のエレクトロスプレーに関する制約、および流量によってもたらされたサンプルの持ち越し効果、ならびにこれらの技法に関与した高圧に起因する人間介在の環境における患者の安全性の配慮に煩わされる。
【0007】
またエアロゾル粒子の、質量分析計の真空領域内の衝突面との衝突を促進することにより、イオン化を高めることも可能である。衝突イオン発生方法が開発され、国際公開第2013/098642号(Medimass)(特許文献1)に開示されており、この開示では、エアロゾル粒子が大気インターフェースで分析器に入り、自由噴流型の分析器の真空領域に加速される。自由噴流によって加速されたエアロゾル粒子は、次いで衝突面に方向付けられ、イオン収量を増進させる。
【0008】
しかしこの増進にもかかわらず、多数の問題が依然として残っている。例えばこの技法に対するイオン化収量は比較的低いままである。また電気手術ジアテルミーを凝固式で使用すると、イオン化が欠如する、または検体イオン形成が抑制されることがある。また高いトリグリセリドの含有を有する組織が切断される際(例えば乳癌の場合)、イオン化が欠如することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2013/098642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
改良された装置および方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様から、本発明は、周囲イオン化質量分析および/またはイオン移動度分析を実行するための装置であって、
実質的に円筒形、管状、棒形状、コイル形状、螺旋状、または渦巻形状の衝突アセンブリと、
検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該衝突アセンブリに方向付けるように配置され適合された第1のデバイスとを備える、装置が提供される。
【0012】
煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気は検体を備える。
【0013】
特に曲面を有する円筒の管状の衝突アセンブリは、比較的大きい検体の激突面積を提供する一方で、比較的高いイオン信号を維持することが見出された。コイル形状、螺旋状、または渦巻形状の衝突アセンブリも比較的高いイオン信号を提供することが見出された。さらにこれらの細長い衝突面は、電気抵抗性加熱コイルの上に比較的容易に形成される、または電気抵抗性加熱コイルによって比較的容易に形成され得るので、加熱が望ましい場合は容易に加熱できる。
【0014】
しかし他の形状の衝突面も使用してよい。したがって別の態様から、本発明は、周囲イオン化質量分析および/またはイオン移動度分析を実行するための装置であって、
衝突アセンブリと、
検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該衝突アセンブリに方向付けるように配置され適合された第1のデバイスとを備える、装置が提供される
【0015】
衝突面は、金網などのメッシュであってもよい。
【0016】
衝突面は、球形、半球形、涙滴形状、板形状、凹形、皿形状、または円錐形であってもよい。
【0017】
衝突アセンブリは第1の長手方向軸を有してもよく、第1のデバイスは、検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を実質的に該第1の軸に直交する第2の軸に沿って該衝突アセンブリに方向付けるように配置され適合されてもよい。
【0018】
別法として、衝突アセンブリは第1の長手方向軸を有してもよく、第1のデバイスは、検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該第1の軸に沿って該衝突アセンブリに方向付けるように配置され適合されてもよい。
【0019】
また本発明は、エアロゾル、煙、または蒸気をイオン化するための装置であって、
流入口および流出口を有する中空衝突アセンブリを備え、該衝突アセンブリの内断面積は、(i)実質的に一定である、または(ii)該流入口から該流出口の方向に低減する、または(iii)該流入口から該流出口の方向に増加する、いずれかである、装置も提供する。
【0020】
中空漏斗形状の衝突アセンブリまたは中空円筒形の衝突アセンブリに関する実施形態も、信号対雑音比における著しい改善と相まって高いイオン収量(または改善されたイオン化効率)をもたらすことも見出された。さらにこれらの実施形態は、分析の関心対象ではない背景クラスタにより、衝突アセンブリおよび下流イオン光学の汚染をもたらすことが少ないことがある。
【0021】
流入口は該エアロゾルを受領するように配置されてもよい。
【0022】
エアロゾルは、該衝突アセンブリの内面に激突するように配置されてもよい。
【0023】
エアロゾルは、検体イオンを形成するまたは解放するように該内面に激突するように配置されてもよい。
【0024】
検体イオンは、該衝突アセンブリから該流出口を介して出現するように配置されてもよい。
【0025】
衝突アセンブリは、漏斗形状の衝突アセンブリを備えてもよい。
【0026】
別法として、衝突アセンブリは、管状または円筒形の衝突アセンブリを備えてもよい。
【0027】
装置は、該エアロゾルを該衝突アセンブリの長手方向軸と実質的に同軸である軸に沿って該衝突アセンブリの中に方向付けるように配置され適合された、第1のデバイスを備えてもよい。
【0028】
衝突アセンブリは、コイル構造から、または連続した管もしくは円錐構造から形成されてもよい。
【0029】
本明細書に説明された様々な装置は、該衝突アセンブリを加熱するために加熱器または加熱コイルを備えてもよい。
【0030】
加熱器または該加熱コイルは衝突アセンブリであってもよく、衝突アセンブリの上に検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気が方向付けられてもよい。衝突面としての加熱コイルの使用は、特に安定した熱分配を有することが見出された。
【0031】
加熱器または該加熱コイルは、衝突アセンブリによって包囲されるか、または衝突アセンブリ内に埋め込まれてもよい。
【0032】
衝突アセンブリはその中に開口を備えてもよいので、加熱器または加熱コイルは、開口により煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気に曝されてもよい。
【0033】
装置は、電力を該加熱器または該加熱コイルに供給するために1つまたは複数の電極を備えてもよい。
【0034】
装置は、衝突アセンブリを加熱するために電流を加熱器または加熱コイルに供給するように構成されてもよく、電流は、約≧0.5A、約≧1A、約≧1.5A、約≧2A、約≧2.5A、約≧3A、約≧3.5A、約≧4A、約≧4.5A、および約≧5Aからなる群から選択される。
【0035】
加熱器または加熱コイルは、(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、および(xii)約>1100℃からなる群から選択された温度に該衝突アセンブリを加熱するように配置されてもよい。
【0036】
加熱器または加熱コイルは、分析されるサンプルから衝突アセンブリ上に堆積された汚染物質を焼き払うように配置され構成されてもよい。
【0037】
衝突アセンブリは、セラミック、非セラミック、ガラス、ガラスセラミック、石英、鋼鉄もしくはニッケルなどの金属、または鉄クロムアルミニウム(FeCrAl)合金、Kanthal、Nikrothal、もしくはNichromeなどの金属合金である、外側衝突面であってもよく、または外側衝突面を備えてもよい。検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気は、約≧1mm、約≧2mm、約≧3mm、約≧4mm、約≧5mm、約≧6mm、約≧7mm、および約≧8mmからなる群から選択された軸に直交する最大または最小寸法を有する、および/または約≦8、約≦7、約≦6、約≦5、約≦4、および約≦3からなる群から選択された軸に直交する最大または最小寸法を有する、衝突アセンブリの領域上の軸に沿って方向付けられてもよい。
【0038】
装置は、衝突アセンブリの周囲に配置されたシース管を備えてもよく、それを通って使用時に煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気が移動してもよい。
【0039】
シース管は、衝突アセンブリの上流および/または下流に伸張してもよい。
【0040】
装置は、衝突アセンブリとシース管との間の電位差を維持するために1つまたは複数の電圧源を備えてもよい。
【0041】
装置は、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該衝突アセンブリ上に送達するために毛細管またはサンプル管を備えてもよい。
【0042】
毛細管またはサンプル管の出口オリフィスは、約0mm、約≦1mm、約1〜2mm、約2〜3mm、約3〜4mm、約4〜5mm、約5〜6mm、約6〜7mm、約7〜8mm、約8〜9mm、約9〜10mm、および約≧10mmからなる群から選択された距離だけ衝突アセンブリの衝突面の上流に配置されてもよい。別法としてまたは追加として、毛細管またはサンプル管は穴部の中に受領されてもよく、それに取り付けられ、毛細管またはサンプル管の出口を衝突面から所定の固定距離に配置するために、毛細管またはサンプル管の移動の範囲を穴部の中に制限するように、装置の別の部分を係合するためにその外面から半径方向外方に伸張する移動制限部材を備えてもよい。例えば移動制限部材は、毛細管またはサンプル管の周囲に配置された円盤を備えてもよい。
【0043】
移動制限部材は毛細管もしくはサンプル管に例えば溶接によってしっかりと固定されてもよく、または毛細管もしくはサンプル管の出口と衝突面との間の距離を選択するように、毛細管もしくはサンプル管に沿って選択的に移動可能であってもよい。
【0044】
装置は、毛細管またはサンプル管を加熱するために加熱器を備えてもよい。
【0045】
加熱器は、(i)約<100℃、(ii)約100〜150℃、(iii)約150〜200℃、(iv)約200〜250℃、(v)約250〜300℃、(vi)約300〜350℃、(vii)約>350℃からなる群から選択された温度に毛細管またはサンプル管を加熱するように構成されてもよい。
【0046】
装置は、該衝突アセンブリを支持するために第1の容器を備えてもよい。
【0047】
第1の容器は、セラミックまたは非セラミックから形成されてもよい。
【0048】
該加熱器または加熱コイルに電力を供給するための1つまたは複数の電極は、該第1の容器を通過してもよい。
【0049】
装置は、主加熱アセンブリまたはユニット筐体を備えてもよい。
【0050】
第1の容器は、該主加熱アセンブリまたはユニット筐体に取り外し可能に装着されてもよい。
【0051】
主加熱アセンブリまたはユニット筐体は、それを通って走る穴部、および該穴部を選択的に閉じるための第1の遮断弁を備えてもよく、恣意的に該第1の遮断弁はボール弁を備える。
【0052】
第1の遮断弁は、1つまたは複数の毛細管またはサンプル管が該穴部に挿入されると、開くように配置され構成されてもよい。
【0053】
第1の遮断弁は、該1つまたは複数の毛細管またはサンプル管が該穴部から少なくとも部分的にまたは完全に取り除かれると、閉じるように配置されてもよい。
【0054】
装置は、検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、もしくは蒸気を該衝突アセンブリ上に供給するために、使用時に該穴部を通って伸張する、または位置付けられる該1つもしくは複数の毛細管もしくはサンプル管を備えてもよい。
【0055】
1つまたは複数の毛細管またはサンプル管は、使用時に該第1の容器を通って伸張してもよい。
【0056】
1つまたは複数の毛細管またはサンプル管は、使用時に実質的に該衝突アセンブリに隣接しまたは該衝突アセンブリに面して配置される出口を有してもよい。
【0057】
装置は、該衝突アセンブリを保護するために、伸張した位置で該衝突アセンブリを少なくとも部分的に包囲する、1つまたは複数の遮蔽を備えてもよい。
【0058】
遮蔽は、例えば該主加熱アセンブリが源筐体内に挿入される、または別法として源筐体に連結される際に(すなわち完全に連結する前に)、伸張した位置にあってもよい。
【0059】
1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置から、衝突アセンブリの少なくとも一部が1つまたは複数の遮蔽によって包囲されない収縮した位置に、少なくとも部分的にまたは完全に収縮可能であってもよい。
【0060】
遮蔽は、例えば一旦主加熱アセンブリが該源筐体内に挿入されるか、または別法として該源筐体に連結されると収縮した位置にあってもよい。
【0061】
1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置に向かって付勢されてもよい。
【0062】
装置は源筐体を備えてもよい。
【0063】
源筐体は第2の遮断弁を備えてもよい。
【0064】
主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体アセンブリは、該第2の源筐体内に挿入可能であるか、または該源筐体に連結可能であってもよく、次いで使用時に該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体は、第1の回転位置から第2の回転位置にさらに回転可能であってもよい。
【0065】
該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体の、該第1の位置から該第2の位置への回転は、使用時に該第2の遮断弁が第1の作動位置から第2の作動位置に動くように配置され適合されてもよい。
【0066】
該第2の遮断弁の第1の作動位置は、実質的に閉じていてもよい。
【0067】
該第2の遮断弁の第2の作動位置は実質的に開いていてもよい。
【0068】
該装置の第1のデバイスは、周囲イオンもしくはイオン化源の一部を備えるか、もしくは形成してもよく、または該第1のデバイスもしくは装置は、分析される標的からエアロゾル、煙、もしくは蒸気を発生させるように構成されてもよく、該第1のデバイスもしくは装置は、イオンを含有し、または続いて周囲イオンもしくはイオン化源もしくは他のイオン化源によってイオン化される。
【0069】
例えば第1のデバイスまたは装置は、標的から検体および/または検体イオンを備えるエアロゾル、煙、もしくは蒸気を発生させるように構成されてもよく、エアロゾル、煙、もしくは蒸気は、検体イオンを形成するかまたは解放するために衝突アセンブリと衝突されてもよい。
【0070】
標的は、自然のまたは未修正の標的材料を備えてもよい。
【0071】
自然のまたは未修正の標的は、マトリクスまたは試薬の追加によって未修正であってもよい(すなわちマトリクスまたは試薬が追加されない)。
【0072】
第1のデバイスまたは装置は、調合前に該標的を必要とすることなく、該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させるように配置され適合されてもよい。
【0073】
第1のデバイスまたは装置は、(i)急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源、(ii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン化源、(iii)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(iv)熱脱離イオン源、(v)レーザーダイオード熱脱離(「LDTD」)イオン源、(vi)脱離電気流集束(「DEFFI」)イオン源、(vii)誘電体バリア放電(「DBD」)プラズマイオン源、(viii)大気固体分析プローブ(「ASAP」)イオン源、(ix)超音波支援スプレーイオン化イオン源、(x)簡単な大気ソニックスプレーイオン化(「EASI」)イオン源、(xi)脱離大気圧光イオン化(「DAPPI」)イオン源、(xii)ペーパースプレー(「PS」)イオン源、(xiii)ジェット脱離イオン化(「JeDI」)イオン源、(xiv)タッチスプレー(「TS」)イオン源、(xv)ナノDISIイオン源、(xvi)レーザー切除エレクトロスプレー(「LAESI」)イオン源、(xvii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン化源、(xviii)プローブエレクトロスプレーイオン化(「PESI」)イオン源、(xix)固体プローブ支援エレクトロスプレーイオン化(「SPA−ESI」)イオン源、(xx)カビトロン超音波外科用吸引(「CUSA」)装置、(xxi)ハイブリッドCUSAジアテルミー装置、(xxii)集束または非集束超音波切除装置、(xxiii)ハイブリッド集束または非集束超音波切除およびジアテルミー装置、(xxiv)マイクロ波共振装置、(xxv)パルスプラズマRF解離装置、(xxvi)アルゴンプラズマ凝固装置、(xxvi)ハイブリッドパルスプラズマRF解離およびアルゴンプラズマ凝固装置、(xxvii)ハイブリッドパルスプラズマRF解離およびJeDI装置、(xxviii)外科用水/生理食塩水ジェット装置、(xxix)ハイブリッド・エレクトロスプレーおよびアルゴンプラズマ凝固装置、ならびに(xxx)ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固および水/生理食塩水ジェット装置からなる群から選択されたデバイスの一部、もしくはイオン源を備えるか、または形成してもよい。
【0074】
第1のデバイスまたは装置は、1つまたは複数の電極を備えてもよく、該標的を該1つまたは複数の電極と接触させることにより、該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させるように配置し適合されてもよい。
【0075】
1つまたは複数の電極は、(i)恣意的に別個の対極が提供される単極装置、(ii)双極装置、または(iii)恣意的に別個の少なくとも1つの対極が提供される多相RF装置のいずれかを備えてもよい。
【0076】
1つまたは複数の電極は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)デバイスを備えてもよい。
【0077】
装置は、該エアロゾル、煙、または蒸気を発生させるために、交流電圧または直流電圧を該1つまたは複数の電極に印加するように配置され適合されたデバイスを備えてもよい。
【0078】
該交流電圧または直流電圧を該1つまたは複数の電極に印加するためのデバイスは、該交流電圧または直流電圧の1つまたは複数のパルスを該1つまたは複数の電極に印加するように配置されてもよい。
【0079】
該交流電圧または直流電圧を該1つまたは複数の電極に印加することより、熱を該標的の中に消散させてもよい。
【0080】
第1のデバイスまたは装置は、該標的を照射するためのレーザーを備えてもよい。
【0081】
第1のデバイスまたは装置は、ジュール熱またはジアテルミーにより該標的から標的材料を直接蒸発または気化させることにより、該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾルを発生させるように配置され適合されてもよい。
【0082】
第1のデバイスまたは装置は、超音波エネルギーを該標的に方向付けるように配置され適合されてもよい。
【0083】
エアロゾルは、荷電されていない水性液滴を備えてもよく、恣意的には細胞物質を備える。
【0084】
該第1のデバイスまたは装置によって発生され、該エアロゾルを形成する質量または物質の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%は、液滴の形であってもよい。
【0085】
第1のデバイスは、エアロゾルを発生させるように配置され適合されてもよく、該エアロゾルのザウター平均粒径(「SMD」、d32)は、(i)<5μm、(ii)5〜10μm、(iii)10〜15μm、(iv)15〜20μm、(v)20〜25μm、または(vi)>25μmの範囲内である。
【0086】
エアロゾルは、(i)<2000、(ii)2000〜2500、(iii)2500〜3000、(iv)3000〜3500、(v)3500〜4000、または(vi)>4000の範囲のレイノルズ数(Re)の流域を横切ってもよい。
【0087】
実質的に該エアロゾルを発生する点では、該エアロゾルは、(i)<50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されたウェーバー数(We)を有する液滴を備えてもよい。
【0088】
実質的に該エアロゾルを発生する点では、該エアロゾルは、(i)1〜5、(ii)5〜10、(iii)10〜15、(iv)15〜20、(v)20〜25、(vi)25〜30、(vii)30〜35、(viii)35〜40、(ix)40〜45、(x)45〜50、および(xi)>50の範囲のストークス数(S)を有する液滴を備えてもよい。
【0089】
実質的に該エアロゾルを発生する点では、該エアロゾルは、(i)<20m/s、(ii)20〜30m/s、(iii)30〜40m/s、(iv)40〜50m/s、(v)50〜60m/s、(vi)60〜70m/s、(vii)70〜80m/s、(viii)80〜90m/s、(ix)90〜100m/s、(x)100〜110m/s、(xi)110〜120m/s、(xii)120〜130m/s、(xiii)130〜140m/s、(xiv)140〜150m/s、および(xv)>150m/sからなる群から選択された平均軸流速度を有する液滴を備えてもよい。
【0090】
標的は、生物組織、生物物質、細菌コロニー、または真菌コロニーを備えてもよい。
【0091】
生物組織は、人間組織または非人間の動物組織を備えてもよい。
【0092】
生物組織は、体内の生物組織を備えてもよい。
【0093】
生物組織は、体外の生物組織を備えてもよい。
【0094】
生物組織は、試験管内の生物組織を備えてもよい。
【0095】
生物組織は、副腎組織、虫垂組織、膀胱組織、骨、腸組織、脳組織、乳房組織、気管支、冠状組織、耳組織、食道組織、眼組織、胆嚢組織、生殖器組織、心臓組織、視床下部組織、腎臓組織、大腸組織、腸組織、咽頭組織、肝臓組織、肺組織、リンパ節、口腔組織、鼻組織、膵臓組織、副甲状腺組織、下垂体組織、前立腺組織、直腸組織、唾液腺組織、骨格筋組織、皮膚組織、小腸組織、脊髄組織、脾臓組織、胃組織、胸腺組織、気管組織、甲状腺組織、軟組織、結合組織、腹膜組織、血管組織、脂肪組織、尿管組織、尿道組織、段階I、段階II、段階IIIもしくは段階IVの癌組織、転移性癌の組織、混合段階の癌組織、副段階の癌組織、健常もしくは正常組織、または癌もしくは異常組織を備えてもよい。
【0096】
第1のデバイスまたは装置は、ポイントオブケア(「POC」)、診断、または外科装置を備えてもよい。
【0097】
検体、または煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気は、複数の検体イオンを発生する、または解放するように、該衝突アセンブリに方向付けられてもよい。
【0098】
本発明は、上文に説明されたような装置を備える質量および/またはイオン移動度分析計も提供する。
【0099】
質量および/またはイオン移動度分析計は、分析計の主筐体またはアセンブリを備えてもよく、源筐体は、使用時に該分析計の主筐体に連結されてもよい。
【0100】
質量および/またはイオン移動度分析計は、イオントラップ、イオン移動度分離(IMS)デバイス(例えばドリフト管およびIMS進行波デバイス)、ならびに/または質量分析器もしくはフィルタの1つまたは複数を備えてもよい。1つまたは複数の分析器は、四重極質量分析器および/または飛行時間型(TOF)質量分析器を備えてもよい。
【0101】
分析計は、イオントラップおよび/またはイオンガイドを備えてもよい。恣意的にイオンガイドは、イオンを中性種から分離する電界に加えるように構成されてもよい。
【0102】
分析計は、該イオントラップ内で検体イオンを捕捉し、かつ/または該イオンガイドを使用して検体イオンを案内するように配置され適合されるデバイスを備えてもよい。
【0103】
分析計は、検体イオンを分析するための分析器を備えてもよい。
【0104】
分析器は、(i)該検体イオンを質量分析するための質量分析器、(ii)イオン移動度もしくは異なるイオン移動度分析器、(iii)該検体イオンのイオン断面もしくは衝突断面を分析するための分析器、(iv)該検体イオンをそれらのイオン移動度もしくは異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、(v)該検体イオンを質量分析する前に、該検体イオンをそれらのイオン移動度または異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、または(vi)検体イオンをそれらのイオン移動度もしくは異なるイオン移動度に基づいて排除するもしくは廃棄するように配置され適合されたデバイスを備えてもよい。
【0105】
マトリクスは、使用時に該検体、エアロゾル、煙、蒸気、または液体に供給されてもよいが、該検体、エアロゾル、煙、蒸気、または液体は、気相内にある、蒸気の形である、エアロゾルの形である、または液相内にある。検体、エアロゾル、煙、蒸気、もしくは液体、またはエアロゾル、煙、蒸気、もしくは液体内の少なくとも検体は、マトリクスによって希釈されてもよく、またはマトリクスでクラスタを形成されてもよい。
【0106】
上に説明されたように、検体はマトリクスによって希釈されるか、またはマトリクスに溶解されてもよい。例えば検体は液滴、エアロゾル、または液体の形で提供されてもよく、マトリクスと溶融もしくは合体されてもよく、またはマトリクスに溶解されてもよい。マトリクスは、検体と接触する際に、液滴、固体、エアロゾル、または液体の形であってもよい。検体をマトリクス内で希釈すること、または溶解することは、検体分子の間の分子間結合を実質的に除去する、または低減することがある。したがって希釈された、または溶解された検体液滴が続いて衝突面と衝突すると、検体液滴はより小さい液滴に砕け、あらゆる所与のより小さい液滴は、マトリクスが存在していない場合に含有するはずである検体分子より少ない検体分子を含有する傾向がある。これにより検体イオンの生成がより効率的になる。
【0107】
検体の大部分のイオン化は、分析されるサンプル内に存在する対イオンとの相互作用に起因する、溶液相内の検体のイオン解離に起因して起こると考えられる。マトリクス内で検体を希釈すること、または溶解することにより、各液滴内の検体の濃度が下がり、溶液相内のイオン解離が促進され、最終的にはイオン化される検体の比率がより大きくなる。したがって検体を溶解する、または希釈するあらゆるマトリクスを使用してよい。分析計は、マトリクス分子を該検体、エアロゾル、煙、または蒸気に供給し、該マトリクス分子を該検体、エアロゾル、煙、または蒸気と相互混合するように配置され適合されたデバイスを備えてもよいが、該マトリクスは気相内にある。
【0108】
分析計は、該気相マトリクスが冷却し、液体に凝結するように、混合物を高圧領域から低圧領域に移送するように配置され適合されたデバイスを備えてもよく、該エアロゾル、煙、または蒸気の少なくとも一部は、溶解された検体液滴を形成するように該液体マトリクス内で溶解する。
【0109】
マトリクスは、(i)該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気のための溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性または非極性分子、(v)水、(vi)1つまたは複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプロパノール、(x)アセトン、(xi)アセトニトリル、(xii)ジメチル・スルホキシド(DMSO)、(xiii)グリコール、(xiv)1−ブタノール、(xv)テトラヒドロフラン、(xvi)エチルアセトン、(xvii)エチレン・グリコール、(xviii)アルデヒド、(xix)ケトン、(xx)ヘキサン、(xxi)クロロホルム、および(xxii)プロパノールからなる群から選択されてもよい。
【0110】
マトリクスは、まず固体、例えば粉末として供給され、昇華され、または融解され、マトリクスを次いで検体と相互混合される蒸気もしくは気相に形成するように蒸発されてもよい。例えば固体マトリクスを検体と混合してもよい。検体が液体の形で混合される場合、混合物を乾燥させても差し支えなく、例えば結晶を形成してもよい。次いで混合物を加熱してマトリクスおよび/または検体を昇華するかつ/または蒸発させてもよい。適切なマトリクスの例には、MALDIマトリクスおよび他のマトリクス、例えばクマリン、9−アミノアクリジン、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、THAP、CHCA、およびクェルセチンなどが含まれる。
【0111】
マトリクスは、マトリクス内で検体の溶媒化を高めるため、または検体のイオン化を高めるために、1つまたは複数の添加剤でドープされてもよい。
【0112】
例として、極性脂質を備える検体に対して、低分子量アルコールは、マトリクス(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール)またはケトン(例えばアセトン)として使用されてもよい。これらのマトリクスは、種のイオン化を高めることが示され、そうでなければ低強度でマトリクスの蒸気がないことが検出されてきた。
【0113】
プロトンマトリクス溶媒は、例えば脂質またはトリグリセリドの分析のために使用されてもよい。別法として、無プロトンまたは非プロトンマトリクスの溶媒は、例えばタンパク質の分析のために使用されてもよい。
【0114】
マトリクスは、酸性または塩基性添加剤でドープされてもよい。例えばマトリクスはギ酸、ジエチルアミンでドープされてもよい。
【0115】
マトリクスは検体の誘導体化を引き起こしてもよい。例えばマトリクスは、検体内でコレステロールまたはステロイドの誘導体化を引き起こしてもよい。これは検体をより容易にイオン化させることがある。
【0116】
分析計は、検体液滴を該衝突アセンブリ上に加速させるように配置され適合されたデバイスを備えてもよい。
【0117】
分析計は、検体液滴を該衝突面に加速させるために、圧力差を維持するよう配置され適合されたデバイスを備えてもよい。
【0118】
衝突アセンブリと衝突後、マトリクスは、該マトリクスから分離された検体イオンを提供するように、液滴からマトリクスを蒸発させてもよい。検体イオンは、次いで衝突面の下流で分析されてもよい。
【0119】
方法は、検体または検体イオンが該衝突面の下流でイオン化されることを含んでもよい。恣意的には、イオン化は、衝突面の使用以外にイオン化源によって実行される。分析計は、該衝突アセンブリと衝突する(かつ/または衝突アセンブリの下流でイオン化される)該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気がもたらす、検体イオンを分析するように配置された分析器を備えてもよく、該分析計は、真空チャンバに隣接した大気インターフェースをさらに備えてもよく、検体液滴は、該大気インターフェースの両端の圧力差により該衝突アセンブリ上に加速されてもよい。
【0120】
分析計は、該マトリクスを該エアロゾル、煙、蒸気、または液体に供給するためのマトリクス導管を備えてもよい。
【0121】
分析計は、検体イオンを分析するためのイオン分析器を備えてもよく、該イオン分析器は、該マトリクス導管の流出口の下流に配置される。
【0122】
該マトリクス導管の該流出口と該イオン分析器の流入口との間の距離xは、(i)約0.1〜0.5mm、(ii)約0.5〜1.0mm、(iii)約1.0〜1.5mm、(iv)約1.5〜2.0mm、(v)約2.0〜2.5mm、(vi)約2.5〜3.0mm、(vii)約3.0〜3.5mm、(viii)約3.5〜4.0mm、(ix)約4.0〜4.5mm、(x)約4.5〜5.0mm、(xi)約5.0〜5.5mm、(xii)約5.5〜6.0mm、(xiii)約6.0〜6.5mm、(xiv)約6.5〜7.0mm、(xv)約7.0〜7.5mm、(xvi)約7.5〜8.0mm、(xvii)約8.0〜8.5mm、(xviii)約8.5〜9.0mm、(xix)約9.0〜9.5mm、(xx)9.5〜10.0mm、(xxi)約0.1〜10mm、(xxii)約0.1〜7.5mm、(xxiii)約0.1〜5.1mm、(xxiv)約0.5〜5.1mm、および(xxv)約0.5〜5.0mmからなる群から選択されてもよい。
【0123】
分析計は、(i)約5〜10μl/min、(ii)約10〜25μl/min、(iii)約25〜50μl/min、(iv)約50〜100μl/min、(v)約100〜150μl/min、(vi)約150〜200μl/min、(vii)約200〜250μl/min、(viii)約250〜300μl/min、(ix)約300〜350μl/min、(x)約350〜400μl/min、(xi)約400〜450μl/min、(xii)約450〜500μl/min、(xiii)約500〜550μl/min、(xiv)約550〜600μl/min、(xv)約600〜650μl/min、(xvi)約650〜700μl/min、(xvii)700〜750μl/min、(xviii)約750〜800μl/min、(xix)約800〜850μl/min、(xx)約850〜900μl/min、(xxi)約900〜950μl/min、(xxii)約950〜1000μl/min、(xxiii)約50μl/min〜1ml/min、(xxiv)約100〜800μl/min、(xxv)約150〜600μl/min、および(xxvi)約200〜400μl/minからなる群から選択された流量で、マトリクス導管を介して該マトリクスを供給するためのポンプを備えてもよい。
【0124】
該マトリクス導管の流出口は、イオン分析器の流入口の反対側にあってもよく、またはイオン分析器の流入口と同軸であってもよい。
【0125】
分析計は、検体イオンデータを獲得するために検体イオンを分析するための質量および/またはイオン移動度分析器を備えてもよく、該質量および/またはイオン移動度分析器は、ロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析し、該ロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析することから獲得されたデータに基づいて、該イオン分析器を校正する、または検体イオンデータを調節するようにさらに配置される。
【0126】
本発明の第1の態様は、質量および/またはイオン移動度分析の方法であって、
実質的に円筒形、管状、棒形状、コイル形状、螺旋状、または渦巻形状の衝突アセンブリを提供することと、
検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該衝突アセンブリに方向付けるために第1のデバイスを使用することと含む、方法も提供する。
【0127】
本発明の別の態様は、質量および/またはイオン移動度分析の方法であって、
衝突アセンブリを提供することと、
検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該衝突アセンブリに方向付けるために第1のデバイスを使用することと含む、方法も提供する。
【0128】
衝突アセンブリは第1の長手方向軸を有してもよく、第1のデバイスは検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿って該衝突アセンブリに方向付ける。
【0129】
別法として、衝突アセンブリは第1の長手方向軸を有してもよく、第1のデバイスは検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該第1の軸に沿って該衝突アセンブリに方向付ける。
【0130】
本発明の別の態様は、エアロゾル、煙、または蒸気をイオン化する方法であって、
流入口および流出口を有する中空衝突アセンブリの内面に激突させるように、該エアロゾル、煙、または蒸気を方向付けるために第1のデバイスを使用することを含み、該衝突アセンブリの内断面積は、(i)実質的に一定である、または(ii)該流入口から該流出口に向かって低減する、または(iii)該流入口から該流出口に向かって増加する、いずれかである方法を提供する。
【0131】
方法は、該流入口を介して該エアロゾル、煙、または蒸気を受領することを含んでもよい。
【0132】
方法は、検体イオンを形成するように該エアロゾル、煙、または蒸気を該内面に激突させることを含んでもよい。
【0133】
方法は、検体イオンを該衝突アセンブリから該流出口を介して出現させることを含んでもよい。
【0134】
衝突アセンブリは、漏斗形状の衝突アセンブリを備えてもよい。
【0135】
別法として、衝突アセンブリは、管状または円筒形の衝突アセンブリを備えてもよい。
【0136】
方法は、該エアロゾル、煙、または蒸気を、該衝突アセンブリの長手方向軸と実質的に同軸である軸に沿って該衝突アセンブリの中に方向付けることを含んでもよい。
【0137】
衝突アセンブリは、コイル構造から、または連続した管状もしくは円錐構造から形成されてもよい。
【0138】
本明細書に説明された様々な方法は、加熱器または加熱コイルを使用して該衝突アセンブリを加熱することを含んでもよい。
【0139】
加熱器または加熱コイルは、衝突アセンブリの衝突面であってもよい。
【0140】
加熱器または加熱コイルは、衝突アセンブリによって包囲されるか、または衝突アセンブリ内に埋め込まれてもよい。
【0141】
衝突アセンブリは、加熱器または加熱コイルが開口により煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気に曝されるように、その中に開口を備えてもよい。
【0142】
方法は、電力を1つまたは複数の電極を介して該加熱器または該加熱コイルに供給することを含んでもよい。
【0143】
方法は、衝突アセンブリを加熱するように電流を加熱器または加熱コイルに供給することを含んでもよく、電流は、約≧0.5A、約≧1A、約≧1.5A、約≧2A、約≧2.5A、約≧3A、約≧3.5A、約≧4A、約≧4.5A、および約≧5Aからなる群から選択される。
【0144】
方法は、(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、および(xii)約>1100℃からなる群から選択された温度に該衝突アセンブリを加熱することを含んでもよい。
【0145】
加熱器または加熱コイルは、分析されるサンプルから衝突アセンブリ上に堆積された汚染物質を焼き払ってもよい。
【0146】
衝突アセンブリは、セラミック、非セラミック、ガラス、ガラスセラミック、石英、鋼鉄もしくはニッケルなどの金属、または鉄クロムアルミニウム(FeCrAl)合金などの金属合金である、外側衝突面であってもよく、または外側衝突面を備えてもよい。
【0147】
検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気は、約≧1mm、約≧2mm、約≧3mm、約≧4mm、約≧5mm、約≧6mm、約≧7mm、および約≧8mmからなる群から選択された軸に直交する最大または最小寸法を有する、および/または約≦8、約≦7、約≦6、約≦5、約≦4、および約≦3からなる群から選択された軸に直交する最大または最小寸法を有する、衝突アセンブリの領域上の軸に沿って方向付けられてもよい。
【0148】
方法は、衝突アセンブリの周囲に配置されたシース管を提供することを含んでもよく、それを通って煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気が移動してもよいい。
【0149】
シース管は衝突アセンブリの上流および/または下流に伸張してもよい。
【0150】
方法は、衝突アセンブリとシース管との間の電位差を維持することを含んでもよい。
【0151】
方法は、該煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該衝突アセンブリ上に送達するための毛細管またはサンプル管を提供することを含んでもよい。
【0152】
毛細管またはサンプル管の出口オリフィスは、約0mm、約≦1mm、約1〜2mm、約2〜3mm、約3〜4mm、約4〜5mm、約5〜6mm、約6〜7mm、約7〜8mm、約8〜9mm、約9〜10mm、および約≧10mmからなる群から選択された距離だけ衝突面の上流に配置されてもよい。
【0153】
方法は、毛細管またはサンプル管を加熱することを含んでもよい。
【0154】
加熱器は、(i)約<100℃、(ii)約100〜150℃、(iii)約150〜200℃、(iv)約200〜250℃、(v)約250〜300℃、(vi)約300〜350℃、(vii)約>350℃からなる群から選択された温度に毛細管またはサンプル管を加熱してもよい。
【0155】
方法は、該衝突アセンブリを支持するために第1の容器を使用することを含んでもよい。
【0156】
方法は、第1の容器をセラミックまたは非セラミックから形成することを含んでもよい。
【0157】
方法は、該第1の容器を通って該加熱コイルに電力を供給するための該1つまたは複数の電極を提供することを含んでもよい。
【0158】
方法は、主加熱器または取り外し可能なユニット筐体アセンブリを提供することを含んでもよい。
【0159】
方法は、該第1の容器を該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体に取り外し可能に装着することを含んでもよい。
【0160】
方法は、該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体内の穴部を選択的に閉じるために該穴部内に第1の遮断弁を提供することを含んでもよく、恣意的に該第1の遮断弁はボール弁を備える。
【0161】
方法は、該穴部を通って1つまたは複数の毛細管またはサンプル管を挿入することにより、該第1の遮断弁を開くことを含んでもよい。
【0162】
方法は、該穴部から該1つまたは複数の毛細管またはサンプル管を少なくとも部分的に取り除くことにより、該第1の遮断弁を閉じることを含んでもよい。
【0163】
方法は、該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気を該衝突アセンブリ上に供給するために、該穴部を通って伸張するように該1つまたは複数の毛細管またはサンプル管を配置することを含んでもよい。
【0164】
方法は、該第1の容器を通って伸張するように該1つまたは複数の毛細管またはサンプル管を配置することを含んでもよい。
【0165】
方法は、該1つまたは複数の毛細管またはサンプル管の出口を実質的に該衝突アセンブリに隣接してまたは面して配置することを含んでもよい。
【0166】
方法は、該衝突アセンブリを保護するために、伸張した位置で該衝突アセンブリを少なくとも部分的に包囲する1つまたは複数の遮蔽を提供することを含んでもよい。
【0167】
方法は、該1つまたは複数の遮蔽を該伸張した位置から、衝突アセンブリの少なくとも一部が1つまたは複数の遮蔽によって包囲されない収縮した位置に、少なくとも部分的にまたは完全に収縮することを含んでもよく、恣意的に該1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置に向かって付勢される。
【0168】
方法は、源筐体を提供することを含んでもよい。
【0169】
源筐体は第2の遮断弁を備えてもよい。
【0170】
方法は、該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体を該源筐体内に挿入すること、または別法により該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体を該源筐体に連結すること、および該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体をその中で第1の回転位置から第2の回転位置に回転させることを含んでもよい。
【0171】
該主加熱アセンブリまたは取り外し可能なユニット筐体を該第1の位置から該第2の位置に回転させるステップは、該第2の遮断弁を第1の作動位置から第2の作動位置に移動させてもよい。
【0172】
第1の作動位置では、該第2の遮断弁は実質的に閉じていてもよい。
【0173】
第2の作動位置では、該第2の遮断弁は実質的に開いていてもよい。
【0174】
方法は、分析計の主筐体またはアセンブリを提供することを含んでもよく、該源筐体は該分析計の主筐体に連結される。
【0175】
方法は、イオントラップおよび/またはイオンガイドを提供することを含んでもよく、恣意的にイオンガイドは、イオンを中性種から分離する電気を印加する。
【0176】
方法は、該イオントラップ内に該エアロゾル、煙、または蒸気から引き出した検体イオンを捕捉すること、かつ/または該イオンガイドを使用して検体イオンを案内することを含んでもよい。
【0177】
方法は、分析器を使用して該エアロゾル、煙、または蒸気から引き出した検体イオンを分析することを含んでもよい。
【0178】
分析器は、(i)該検体イオンを質量分析するための質量分析器、(ii)イオン移動度または異なるイオン移動度分析器、(iii)該検体イオンのイオン断面または衝突断面を分析するための分析器、(iv)該検体イオンをそれらのイオン移動度または異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、(v)該検体イオンを質量分析する前に、該検体イオンをそれらのイオン移動度または異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、または(vi)検体イオンをそれらのイオン移動度または異なるイオン移動度に基づいて排除するまたは廃棄するように配置され適合されたデバイスを備えてもよい。
【0179】
方法は、マトリクスを該エアロゾル、煙、蒸気または液体に供給することを含んでもよいが、該エアロゾル、煙、蒸気または液体は、気相内にある、蒸気の形である、エアロゾルの形である、または液相内にある。
【0180】
方法は、マトリクス分子を該エアロゾル、煙、蒸気または液体に供給すること、および該マトリクス分子を該エアロゾル、煙、または蒸気と相互混合することを含んでもよいが、該マトリクスは気相内にある。
【0181】
方法は、該気相マトリクスが冷却し、液体に凝結するように、混合物を高圧領域から低圧領域に移送することを含んでもよく、該エアロゾル、煙、蒸気、または液体の少なくとも一部は、溶解された検体液滴を形成するように該液体マトリクス内で溶解する。
【0182】
マトリクスは、(i)該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアロゾル、または蒸気のための溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性または非極性分子、(v)水、(vi)1つまたは複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプロパノール、(x)アセトン、(xi)アセトニトリル、(xii)ジメチル・スルホキシド(DMSO)、(xiii)グリコール、(xiv)1−ブタノール、(xv)テトラヒドロフラン、(xvi)エチルアセトン、(xvii)エチレン・グリコール、(xviii)アルデヒド、(xix)ケトン、(xx)ヘキサン、(xxi)クロロホルム、および(xxii)プロパノールからなる群から選択されてもよい。
【0183】
方法は、検体液滴を該衝突アセンブリ上に加速させることを含んでもよい。
【0184】
方法は、検体液滴を該衝突アセンブリ上に加速させるように電位差を維持することを含んでもよい。
【0185】
方法は、大気インターフェースの両端の圧力差により検体液滴を該衝突アセンブリ上に加速させること、および該衝突アセンブリと衝突する該検体液滴によってもたらされる検体イオンを分析することを含んでもよい。
【0186】
方法は、マトリクス導管を介してマトリクスを供給すること、およびイオン分析器を使用して該検体イオンを分析することを含んでもよく、該イオン分析器はマトリクス導管の流出口の下流に配置される。
【0187】
該マトリクス導管の該流出口と該イオン分析器の流入口との間の距離xは、(i)約0.1〜0.5mm、(ii)約0.5〜1.0mm、(iii)約1.0〜1.5mm、(iv)約1.5〜2.0mm、(v)約2.0〜2.5mm、(vi)約2.5〜3.0mm、(vii)約3.0〜3.5mm、(viii)約3.5〜4.0mm、(ix)約4.0〜4.5mm、(x)約4.5〜5.0mm、(xi)約5.0〜5.5mm、(xii)約5.5〜6.0mm、(xiii)約6.0〜6.5mm、(xiv)約6.5〜7.0mm、(xv)約7.0〜7.5mm、(xvi)約7.5〜8.0mm、(xvii)約8.0〜8.5mm、(xviii)約8.5〜9.0mm、(xix)約9.0〜9.5mm、(xx)9.5〜10.0mm、(xxi)約0.1〜10mm、(xxii)約0.1〜7.5mm、(xxiii)約0.1〜5.1mm、(xxiv)約0.5〜5.1mm、および(xxv)約0.5〜5.0mmからなる群から選択されてもよい。
【0188】
方法は、(i)約50〜100μl/min、(ii)約100〜150μl/min、(iii)約150〜200μl/min、(iv)約200〜250μl/min、(v)約250〜300μl/min、(vi)約300〜350μl/min、(vii)約350〜400μl/min、(viii)約400〜450μl/min、(ix)約450〜500μl/min、(x)約500〜550μl/min、(xi)約550〜600μl/min、(xii)約600〜650μl/min、(xiii)約650〜700μl/min、(xiv)700〜750μl/min、(xv)約750〜800μl/min、(xvi)約800〜850μl/min、(xvii)約850〜900μl/min、(xviii)約900〜950μl/min、(xix)約950〜1000μl/min、(xx)約50μl/min〜1ml/min、(xxi)約100〜800μl/min、(xxii)約150〜600μl/min、および(xxiii)約200〜400μl/minからなる群から選択された流量でマトリクス導管を介して該マトリクスを該検体に供給することを含んでもよい。
【0189】
方法は、イオン分析器の流入口の反対側またはイオン分析器の流入口と同軸にマトリクス導管の流出口を配置することを含んでもよい。
【0190】
マトリクス導管の端部および/もしくはサンプル移送管流出端部は、下流方向に寸法が小さい先細であってもよく、またはPicotip(ピコチップ)を備えてもよい。
【0191】
マトリクス導管および/またはサンプル移送管は、金属(例えばステンレス鋼もしくは銅)、石英、またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの高分子から作成されてもよい。
【0192】
方法は、検体イオンデータを獲得するために該エアロゾル、煙、または蒸気から引き出された検体イオンを質量および/またはイオン移動度分析すること、ロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析すること、ならびに該ロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析することから獲得されたデータに基づいて、検体イオンデータを調節することを含んでもよい。
【0193】
第1のデバイスは、周囲イオンもしくはイオン化源の一部を備えるか、または形成してもよく、あるいは該第1のデバイスは、分析される標的から前記エアロゾル、煙もしくは蒸気を発生してもよく、該第1のデバイスは、イオンを含有し、または続いて周囲イオンもしくはイオン化源もしくは他のイオン化源によってイオン化されてもよい。
【0194】
標的は、自然のまたは未修正の標的材料を備えてもよい。
【0195】
自然のまたは未修正の標的材料は、マトリクスまたは試薬の追加によって未修正であってもよい(すなわち修正されなくてもよい)。
【0196】
第1のデバイスは、調合前に必要な該標的なしに、該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させるように配置され適合されてもよい。
【0197】
第1のデバイスは、(i)急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源、(ii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン化源、(iii)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(iv)熱脱離イオン源、(v)レーザーダイオード熱脱離(「LDTD」)イオン源、(vi)脱離電気流集束(「DEFFI」)イオン源、(vii)誘電体バリア放電(「DBD」)プラズマイオン源、(viii)大気固体分析プローブ(「ASAP」)イオン源、(ix)超音波支援スプレーイオン化イオン源、(x)簡単な大気ソニックスプレーイオン化(「EASI」)イオン源、(xi)脱離大気圧光イオン化(「DAPPI」)イオン源、(xii)ペーパースプレー(「PS」)イオン源、(xiii)ジェット脱離イオン化(「JeDI」)イオン源、(xiv)タッチスプレー(「TS」)イオン源、(xv)ナノDISIイオン源、(xvi)レーザー切除エレクトロスプレー(「LAESI」)イオン源、(xvii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン化源、(xviii)プローブエレクトロスプレーイオン化(「PESI」)イオン源、(xix)固体プローブ支援エレクトロスプレーイオン化(「SPA−ESI」)イオン源、(xx)カビトロン超音波外科用吸引(「CUSA」)装置、(xxi)ハイブリッドCUSAジアテルミー装置、(xxii)集束または非集束超音波切除装置、(xxiii)ハイブリッド集束または非集束超音波切除およびジアテルミー装置、(xxiv)マイクロ波共振装置、(xxv)パルスプラズマRF解離装置、(xxvi)アルゴンプラズマ凝固装置、(xxvi)ハイブリッドパルスプラズマRF解離およびアルゴンプラズマ凝固装置、(xxvii)ハイブリッドパルスプラズマRF解離およびJeDI装置、(xxviii)外科用水/生理食塩水ジェット装置、(xxix)ハイブリッド・エレクトロスプレーおよびアルゴンプラズマ凝固装置、ならびに(xxx)ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固および水/生理食塩水ジェット装置からなる群から選択されたイオン源を備えてもよい。
【0198】
該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させるために該第1のデバイスを使用するステップは、該標的を1つまたは複数の電極と接触させることをさらに含んでもよい。
【0199】
1つまたは複数の電極は、(i)その中で該方法が恣意的に別個の対を提供することをさらに含む単極装置、(ii)双極装置、または(iii)その中で該方法が恣意的に別個の1つまたは複数の対極を提供することをさらに含む多相RF装置のいずれかを備えてもよい。
【0200】
1つまたは複数の電極は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)デバイスを備えてもよい。
【0201】
方法は、該エアロゾル、煙、または蒸気を発生させるために、交流電圧または直流電圧を該1つまたは複数の電極に印加することを含んでもよい。
【0202】
該交流電圧または直流電圧を該1つまたは複数の電極に印加するステップは、該交流電圧または直流電圧の1つまたは複数のパルスを該1つまたは複数の電極に印加することを含んでもよい。
【0203】
該交流電圧または直流電圧を該1つまたは複数の電極に印加するステップにより、熱を該標的の中に消散させてもよい。
【0204】
該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させるために該第1のデバイスを使用するステップは、該標的をレーザーで照射することを含んでもよい。
【0205】
第1のデバイスは、ジュール熱またはジアテルミーにより該標的から標的材料を直接蒸発または気化させることにより、該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾルを発生させるように配置され適合されてもよい。
【0206】
該標的の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させるために該第1のデバイスを使用するステップは、超音波エネルギーを該標的に方向付けることを含んでもよい。
【0207】
エアロゾルは、荷電されていない水性液滴を備えてもよく、恣意的には細胞物質を備える。
【0208】
該第1のデバイスによって発生され、該エアロゾルを形成する質量または物質の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%は、液滴の形であってもよい。
【0209】
第1のデバイスは、エアロゾルを発生させるように配置され適合されてもよく、該エアロゾルのザウター平均粒径(「SMD」、d32)は、(i)<5μm、(ii)5〜10μm、(iii)10〜15μm、(iv)15〜20μm、(v)20〜25μm、または(vi)>25μmの範囲内である。
【0210】
エアロゾルは、(i)<2000、(ii)2000〜2500、(iii)2500〜3000、(iv)3000〜3500、(v)3500〜4000、または(vi)>4000の範囲のレイノルズ数(Re)の流域を横断してもよい。
【0211】
実質的に該エアロゾルを発生する点では、該エアロゾルは、(i)<50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されたウェーバー数(We)を有する液滴を備えてもよい。
【0212】
実質的に該エアロゾルを発生する点では、該エアロゾルは、(i)1〜5、(ii)5〜10、(iii)10〜15、(iv)15〜20、(v)20〜25、(vi)25〜30、(vii)30〜35、(viii)35〜40、(ix)40〜45、(x)45〜50、および(xi)>50の範囲のストークス数(S)を有する液滴を備えてもよい。
【0213】
実質的に該エアロゾルを発生する点では、該エアロゾルは、(i)<20m/s、(ii)20〜30m/s、(iii)30〜40m/s、(iv)40〜50m/s、(v)50〜60m/s、(vi)60〜70m/s、(vii)70〜80m/s、(viii)80〜90m/s、(ix)90〜100m/s、(x)100〜110m/s、(xi)110〜120m/s、(xii)120〜130m/s、(xiii)130〜140m/s、(xiv)140〜150m/s、および(xv)>150m/sからなる群から選択された平均軸流速度を有する液滴を備えてもよい。
【0214】
標的は、細菌コロニー、真菌コロニー、または生物組織もしくは生体液体、例えば唾液、血液、または膿などの生物物質を備てもよい。
【0215】
生物組織は、人間組織または非人間の動物組織を備えてもよい。
【0216】
生物組織は、体内の生物組織を備えてもよい。
【0217】
生物組織は、体外の生物組織を備えてもよい。
【0218】
生物組織は、試験管内の生物組織を備えてもよい。
【0219】
生物組織は、副腎組織、虫垂組織、膀胱組織、骨、腸組織、脳組織、乳房組織、気管支、冠状組織、耳組織、食道組織、眼組織、胆嚢組織、生殖器組織、心臓組織、視床下部組織、腎臓組織、大腸組織、腸組織、咽頭組織、肝臓組織、肺組織、リンパ節、口腔組織、鼻組織、膵臓組織、副甲状腺組織、下垂体組織、前立腺組織、直腸組織、唾液腺組織、骨格筋組織、皮膚組織、小腸組織、脊髄組織、脾臓組織、胃組織、胸腺組織、気管組織、甲状腺組織、軟組織、結合組織、腹膜組織、血管組織、脂肪組織、尿管組織、尿道組織、段階I、段階II、段階IIIもしくは段階IVの癌組織、転移性癌の組織、混合段階の癌組織、副段階の癌組織、健常もしくは正常組織、または癌もしくは異常組織を備えてもよい。
【0220】
第1のデバイスは、ポイントオブケア(「POC」)、診断、または外科装置を備えてもよい。
【0221】
方法は、検体イオンを発生させるために該エアロゾル、煙、または蒸気の少なくとも一部をイオン化することを含んでもよい。
【0222】
方法は、該エアロゾル、煙、または蒸気の少なくとも一部を質量および/またはイオン移動度分析計の真空チャンバの中に方向付けること、または吸引することを含んでもよい。
【0223】
方法は、複数の検体イオンを発生させるように、該質量および/またはイオン移動度分析計の1つまたは該真空チャンバ内の該エアゾル、煙、または蒸気の少なくとも一部をイオン化することを含んでもよい。
【0224】
方法は、複数の検体イオンを発生させるように、該エアゾル、煙、または蒸気を恣意的に該分析計の真空チャンバ内に配置された衝突面に激突させることを含んでもよい。
【0225】
方法は、分析データ、例えば質量および/またはイオン移動度分析データを獲得するために、該エアゾル、煙、または蒸気から引き出された該検体イオンまたはイオンを分析することを含んでもよい。
【0226】
方法は、(i)健常組織と病変組織とを区別するため、(ii)潜在的な癌組織と非癌組織とを区別するため、(iii)癌組織の異なる型または程度を区別するため、(iv)標的材料の異なる型またはクラスを区別するため、(v)該標的内に1つまたは複数の望ましい、または望ましくない物質が存在するか否かを判定するため、(vi)該標的の同定または信頼性を確認するため、(vii)該標的内に1つまたは複数の不純物、不法物質、または望ましくない物質が存在するか否かを判定するため、(viii)人間または動物の患者が有害転帰を受ける危険性が増加したか否かを判定するため、(ix)診断または予後の診断を作成するため、または作成を支援するため、および(x)執刀医、看護師、医師、またはロボットに医療、手術、または診断結果を通知するための、いずれかのために該分析データを分析することを含んでもよい。
【0227】
分析データを分析するステップは、エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように、1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することを含んでもよい。
【0228】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように、1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、1つまたは複数のサンプルスペクトルの目的変数なしの分析(例えば次元縮退のため)、および/または1つまたは複数のサンプルスペクトルの目的変数ありの分析(例えば分類のため)を含んでもよい。
【0229】
1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、目的変数なしの分析(例えば次元縮退のため)に続いて目的変数ありの分析(例えば分類のため)を含んでもよい。
【0230】
1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、(i)単変量解析、(ii)多変量解析、(iii)主成分分析(PCA)、(iv)線形判別分析(LDA)、(v)最大マージン基準(MMC)、(vi)ライブラリに基づいた分析、(vii)クラス分類のためのソフト無しモデリング(SIMCA)、(viii)因子分析(FA)、(ix)再帰分割(決定木)、(x)ランダムフォレスト、(xi)独立成分分析(ICA)、(xii)部分最小二乗判別分析(PLS−DA)、(xiii)潜在構造に対する直行(部分最小二乗)射影(OPLS)、(xiv)OPLS判別分析(OPLS−DA)、(xv)サポートベクトルマシン(SVM)、(xvi)(人工)神経回路網、(xvii)多層パーセプトロン、(xviii)放射基底関数(RBF)網、(xix)ベイズ解析、(xx)クラスタ分析、(xxi)カーネル法、(xxii)部分判別分析、(xxiii)k近傍法(KNN)、(xxiv)二次判別分析(QDA)、(xxv)確立的主成分分析(PPCA)、(xxvi)非負値行列因子分解、(xxvii)k平均因子分解、(xxviii)ファジーc平均因子分解、および(xxix)判別分析(DA)のうちの1つまたは複数を使用することを含んでもよい。
【0231】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、1つまたは複数の標準サンプルスペクトルを使用して分類モデルまたはライブラリを開発することを含んでもよい。
【0232】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、(例えば次元縮退のために)主成分分析(PCA)を実行した後、(例えば分類のために)線形判別分析(LDA)を実行することを含んでもよい。
【0233】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、(例えば次元縮退のために)主成分分析(PCA)を実行した後、(例えば分類のために)最大マージン基準(MMC)を実行することを含んでもよい。
【0234】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、分類モデルまたはライブラリ内で1つまたは複数のクラスを画定することを含んでもよい。
【0235】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、1つもしくは複数のクラスまたはクラスタ基準に従って、分類モデルまたはライブラリ内の1つまたは複数のクラスを手動的または自動的に画定することを含んでもよい。
【0236】
各クラスに対する1つもしくは複数のクラスまたはクラスタ基準は、モデル空間内の標準サンプルスペクトルに対する1つまたは複数の対の基準点間の距離、モデル空間内の標準サンプルスペクトルに対する基準点の群の間の分散値、ならびにモデル空間内の標準サンプルスペクトルに対する基準点の群内の分散値のうちの1つまたは複数に基づいてもよい。
【0237】
1つまたは複数のクラスは、それぞれが1つまたは複数のクラス定義によって画定されてもよい。
【0238】
1つまたは複数のクラス定義は、モデル空間内の標準サンプルスペクトル、値、境界、線、面、超平面、分散、容積、ボロノイ細胞、および/もしくは位置に対する1つもしくは複数の基準点の1組、ならびにクラス階層内の1つもしくは複数の位置の1つまたは複数を含んでもよい。
【0239】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、1つまたは複数の未知のサンプルスペクトルを分類するために分類モデルまたはライブラリを使用することを含んでもよい。
【0240】
エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するように1つまたは複数のサンプルスペクトルを分析することは、1つまたは複数の分類基準に従って、1つまたは複数のサンプルスペクトルを手動的または自動的に分類することを含んでもよい。
【0241】
1つまたは複数の分類基準は、
モデル空間内の1つまたは複数のサンプルスペクトルに対する1つまたは複数の投影されたサンプル点と、距離閾値より低い、もしくはこのような最低距離であるモデル空間内の標準サンプルスペクトル、値、境界、線、面、超平面、容積、ボロノイ細胞、または位置に対する1つまたは複数の基準点の1組との間の距離、
モデル空間内の1つまたは複数の標準サンプルスペクトル、値、境界、線、面、超平面、または位置に対する1つまたは複数の基準点の一方の側面または他方の側面であるモデル空間内の、1つまたは複数のサンプルスペクトルのための1つまたは複数の投影されたサンプル点に対する位置、
モデル空間内の1つまたは複数の容積またはボロノイ細胞内にあるモデル空間内の1つまたは複数のサンプルスペクトルに対する1つまたは複数の投影されたサンプル点のための位置、
確率もしくは分類スコア閾値より高い、またはこのような最高の確率もしくは分類スコアである確率または分類スコアのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0242】
衝突アセンブリまたは衝突面は、毛細管またはサンプル管に対して第1の電位で維持されてもよい。
【0243】
別法としてまたは追加として、衝突アセンブリまたは衝突面は、イオン分析器の流入口に対して第2の電位で維持される。
【0244】
別法としてまたは追加として、衝突アセンブリまたは衝突面は、分析計のグランドシャーシに対して第3の電位で維持される。
【0245】
別法としてまたは追加として、衝突アセンブリまたは衝突面は、イオンガイドまたはイオントラップに対して第4の電位で維持される。
【0246】
別法としてまたは追加として、イオン分析器の流入口は、分析計のグランドシャーシに対して第5の電位で維持される。
【0247】
第1、第2、第3、第4、および第5の電位のいずれか1つまたはあらゆる組合せは、≧2V、2〜3V、3〜4V、4〜5V、5〜10V、10〜15V、15〜20V、20〜25V、25〜30V、30〜35V、35〜40V、40〜45V、45〜50V、50〜60V、60〜70V、70〜80V、80〜90V、90〜100V、100〜120V、120〜140V、140〜160V、160〜180V、180〜200V、200〜220V、220〜240V、240〜260V、260〜280V、280〜300V、および≧300Vからなる群から選択された陽電位であってもよい。
【0248】
別法としてまたは追加として、第1、第2、第3、第4、および第5の電位のいずれか1つまたはあらゆる組合せは、≧2V、2〜3V、3〜4V、4〜5V、5〜10V、10〜15V、15〜20V、20〜25V、25〜30V、30〜35V、35〜40V、40〜45V、45〜50V、50〜60V、60〜70V、70〜80V、80〜90V、90〜100V、100〜120V、120〜140V、140〜160V、160〜180V、180〜200V、200〜220V、220〜240V、240〜260V、260〜280V、280〜300V、および≧300Vからなる群から選択された負電位であってもよい。
【0249】
本発明は、本明細書に説明されたあらゆる方法を含む手術または電気手術の方法も提供し、この方法は、
生物組織を手術または電気手術用具と接触させること、および該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を発生させるように該用具を活性化させることと、
該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を吸引することと、
検体イオンを形成するために、該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を該衝突アセンブリに方向付けることと、
該検体イオンを質量および/またはイオン移動度分析することとを含む。
【0250】
本発明は、本明細書に説明されたような装置を備える手術または電気手術の装置も提供し、この手術または電気手術の装置は、
1つまたは複数の電極を含む手術用具または電気手術用具と、
該用具が使用時に生物組織と衝突すると、該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を発生させるために、該用具を活性化させるように配置され適合されたデバイスと、
該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を吸引するように配置され適合されたデバイスと、
(i)該衝突アセンブリ、(ii)検体イオンを形成するために、該検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を該衝突アセンブリに方向付けるように配置され適合された該デバイス、ならびに(iii)該検体イオンを質量および/またはイオン移動度分析するための質量および/またはイオン移動度分析計を備える、質量および/またはイオン移動度分析計とを備える。
【0251】
本発明は、検体源を質量および/またはイオン移動度分析計の真空チャンバと相互接合するための装置も提供し、
検体を穴部の第1の端部で受領し、検体を穴部の第2の端部を通り真空チャンバに搬送するためにそれを通る穴部を有する筐体と、
穴部内の遮断弁とを備え、遮断弁は、毛細管またはサンプル管が穴部を通って挿入されて遮断弁と接触するときに開くように構成され、毛細管またはサンプル管が穴部から引き抜かれると閉じるように構成される。
【0252】
装置は、該毛細管またはサンプル管を備えてもよい。
【0253】
装置は、該穴部から出る該検体または他のサンプルをその上に激突させるために、穴部の第2の端部に配置された衝突アセンブリを備えてもよい。
【0254】
衝突アセンブリは、筐体に取り外し可能に装着されてもよい。
【0255】
装置は、衝突アセンブリを加熱するための加熱器を備えてもよい。
【0256】
装置は、該衝突アセンブリを保護するために、伸張した位置で該衝突アセンブリを少なくとも部分的に包囲する1つまたは複数の遮蔽を備えてもよい。
【0257】
1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置から、衝突アセンブリの少なくとも一部が1つまたは複数の遮蔽によって包囲されない収縮した位置に、少なくとも部分的に収縮可能であってもよい。
【0258】
1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置に向かって付勢されてもよい。
【0259】
本発明は、上に説明されたような装置を備える質量および/またはイオン移動度分析計も提供し、穴部は、第1の圧力で維持されるように構成された真空チャンバを連結するように、また遮断弁が開くとより高圧な領域を連結するように配置される。
【0260】
装置は、本発明の第1の態様に関連して説明された特徴のいずれか1つまたは組合せを含んでもよい。
【0261】
本発明は、検体源を質量および/またはイオン移動度分析計の真空チャンバと相互接合するための装置も提供し、
検体を穴部の第1の端部で受領し、検体を穴部の第2の端部を通り真空チャンバに搬送するためにそれを通る穴部を有する筐体と、
該穴部から出る該検体または他のサンプルをその上に激突させるために、穴部の第2の端部に隣接して配置された、または穴部の第2の端部の下流に配置された衝突アセンブリとを備え、衝突アセンブリは筐体に取り外し可能に装着される。
【0262】
装置は、衝突アセンブリを加熱するための加熱器を備えてもよい。
【0263】
衝突アセンブリは、実質的に円筒形、管状、棒形状、コイル形状、螺旋状もしくは渦巻形状、球形、半球形、涙滴形状、板形状、凹形状、皿形状、または円錐形状であってもよい。
【0264】
筐体は、該衝突アセンブリを保護するために、伸張した位置で該衝突アセンブリを少なくとも部分的に包囲する1つまたは複数の遮蔽を備えてもよい。
【0265】
1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置から、衝突アセンブリの少なくとも一部が1つまたは複数の遮蔽によって包囲されない収縮した位置に、少なくとも部分的に収縮可能であってもよい。
【0266】
1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置に向かって付勢されてもよい。
【0267】
本発明は、上に説明されたような装置を備える質量および/またはイオン移動度分析計も提供し、筐体は、穴部の第2の端部で真空チャンバに連結される。
【0268】
装置は、本発明の第1の態様に関連して説明された特徴のいずれか1つまたは組合せを含んでもよい。
【0269】
本発明は、検体源を質量および/またはイオン移動度分析計の真空チャンバと相互接合するための装置も提供し、
検体を穴部の第1の端部で受領し、検体を穴部の第2の端部を通り真空チャンバに搬送するためにそれを通る穴部を有する筐体と、
該穴部から出る該検体または他のサンプルをその上に激突させるために、穴部の第2の端部に隣接して配置される、または穴部の第2の端部の下流に配置されるように、筐体に装着された衝突アセンブリとを備え、
筐体は、筐体が少なくとも部分的に該衝突アセンブリを包囲する伸張した位置、および衝突アセンブリの少なくとも一部が1つまたは複数の遮蔽によって包囲されない収縮した位置から、移動可能であるように構成された1つまたは複数の遮蔽を備える。
【0270】
1つまたは複数の遮蔽は、該伸張した位置に向かって付勢されてもよい。
【0271】
本発明は、上に説明されたような装置を備える質量および/またはイオン移動度分析計も提供し、筐体は、穴部の第2の端部で真空チャンバに連結される。
【0272】
装置は、本発明の第1の態様に関連して説明された特徴のいずれか1つまたは組合せを含んでもよい。
【0273】
本発明は、検体源を質量および/またはイオン移動度分析計の真空チャンバと相互接合するための装置も提供し、
検体を穴部の第1の端部で受領し、検体を穴部の第2の端部を通り真空チャンバに搬送するためにそれを通る穴部を有する筐体と、
穴部または穴部と連通する経路を選択的に閉じるための遮断弁とを備え、遮断弁は、その長手軸を中心とした筐体の回転により、遮断弁が開位置と閉位置との間を動くように、筐体に結合される。
【0274】
遮断弁は、遮断弁が開位置と閉位置との間を動く際に、穴部または穴部と連通する経路内の開口を横切って摺動するように構成されたカム部材を備えてもよい。
【0275】
装置は、該穴部から出る該検体または他のサンプルをその上に激突させるために、穴部の第2の端部に配置された衝突アセンブリを備えてもよい。
【0276】
衝突アセンブリは、筐体に取り外し可能に装着されてもよい。
【0277】
装置は、衝突アセンブリを加熱するための加熱器を備えてもよい。
【0278】
本発明は、上に説明されたような装置を備える質量および/またはイオン移動度分析計も提供し、穴部は、第1の圧力で維持されるように構成された真空チャンバを連結するように、また遮断弁が開くとより高圧な領域を連結するように配置される。
【0279】
装置は、本発明の第1の態様に関連して説明された特徴のいずれか1つまたは組合せを含んでもよい。
【0280】
本明細書の様々な実施形態は、プラスイオンモードのみで、マイナスイオンモードのみで、またはプラスイオンモードおよびマイナスイオンモードの両方で作動してもよい。
【0281】
様々な実施形態は、標的で著しいイオン化を発生しなくてもよい。むしろ標的で発生された煙、エアロゾル、または蒸気内の検体が、標的の下流でイオン化されてもよい。例えば煙、エアロゾル、または蒸気を標的上の1点で発生するために、標的上の該点と接触させる、または標的上の該点に方向付ける用具が提供されてもよく、用具により該点で発生されるイオンは実質的になくてもよい。別法として、実質的に多数のイオンが該標的で発生されてもよいことも本明細書に企図される。
【0282】
急速蒸発イオン化質量分析を実行するための装置、質量および/またはイオン移動度分析を実行するための装置、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法、質量および/またはイオン移動度分析の方法、電気手術の方法ならびに電気手術デバイスが本明細書に提供される。
【0283】
1態様は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)を実行するための装置を提供する。例示的実施形態では、装置は、第1の長手方向軸を有する実質的に円筒形の衝突アセンブリ、衝突アセンブリを加熱するための加熱器、および検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を、第1の長手方向軸に実質的に直交する第2の軸に沿って加熱された衝突アセンブリに方向付けるように配置され適合された第1のデバイスを含む。
【0284】
国際公開第2013/098642号(Medimass)(特許文献1)に開示されたような、公知の衝突イオン発生器のREIMS技法は、電極脂質で覆われた水性液滴からなる水性液滴のサンプルを発生するものである。水性液滴は、高速液滴が衝突面、または極性脂質分子の気体イオンを生成する他の気体粒子に激突するように、質量分析計の大気流入口内における自由噴流の拡張によって加速される。しかしこの技法のイオン化収量は比較的低い。
【0285】
従来の方法のイオン収量は、主に検体分子間の強力な分子間結合が原因で液滴が個々の分子種に変換する率が劣ることに起因して比較的低いと認識されている。
【0286】
例示的実施形態による配置には、高いイオン収量をもたらす点から特に有利であることが見出されてきた、エアロゾルまたは検体液滴の激突の方向に実質的に直行して位置合わせされた円筒形の衝突面が含まれる。
【0287】
例示的実施形態では、衝突アセンブリはセラミック円筒または非セラミック円筒を含む。
【0288】
衝突アセンブリは、加熱器または加熱コイルをさらに備えてもよい。
【0289】
加熱器または加熱コイルは、衝突アセンブリ内に配置されてもよい。
【0290】
装置は、電力を加熱器または加熱コイルに供給するために1つまたは複数の電極をさらに含んでもよい。
【0291】
加熱器または加熱コイルは、(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、および(xii)約>1100℃からなる群から選択された温度に衝突アセンブリを加熱するように配置されてもよい。
【0292】
装置は、衝突アセンブリを支持するために第1の容器をさらに含んでもよい。
【0293】
第1の容器は、セラミックまたは非セラミックから形成されてもよい。
【0294】
電力を加熱器または加熱コイルに供給するための1つまたは複数の電極は、第1の容器を通過してもよい。
【0295】
例示的実施形態における装置は、主加熱アセンブリをさらに含む。
【0296】
第1の容器は、主加熱アセンブリに取り外し可能に装着されてもよい。
【0297】
主加熱アセンブリは、第1の遮断弁をさらに含んでもよい。
【0298】
第1の遮断弁は、1つまたは複数の毛細管またはサンプル管が主加熱アセンブリ内に位置付けられると開くように配置されてもよい。
【0299】
第1の遮断弁は、1つまたは複数の毛細管またはサンプル管が主加熱アセンブリから少なくとも部分的にまたは完全に取り除かれると閉じるように配置されてもよい。
【0300】
装置は、使用時に主加熱アセンブリを通って伸張する、または位置付けられる1つまたは複数の毛細管またはサンプル管をさらに含んでもよい。
【0301】
1つまたは複数の毛細管またはサンプル管は、使用時に第1の容器を通って伸張してもよい。
【0302】
1つまたは複数の毛細管またはサンプル管は、使用時に衝突アセンブリに実質的に隣接して配置される出口を有してもよい。
【0303】
例示的実施形態によれば、装置は、主加熱アセンブリが源筐体内に挿入されるか、または別法として源筐体に連結されると、衝突アセンブリを保護するために1つまたは複数の遮蔽をさらに含んでもよい。
【0304】
1つまたは複数の遮蔽は、主加熱アセンブリが源筐体内に挿入されるか、または別法として源筐体に連結されると、少なくとも部分的にまたは完全に収縮するように配置されてもよい。
【0305】
装置は、源筐体をさらに含んでもよい。
【0306】
源筐体は第2の遮断弁をさらに含んでもよい。
【0307】
例示的実施形態によれば、主加熱アセンブリは、源筐体内に挿入可能であるか、または源筐体に連結可能であり、使用時に主加熱アセンブリは、第1の回転位置から第2の回転位置にさらに回転可能である。
【0308】
主加熱アセンブリが第1の位置から第2の位置に回転することにより、使用時に第2の遮断弁が第1の作動位置から第2の作動位置に動くように配置され適合されてもよい。
【0309】
第1の作動位置では、第2の遮断弁は実質的に閉じる。
【0310】
第2の作動位置では、第2の遮断弁は実質的に開く。
【0311】
別の態様は、上に説明されたような装置を備える質量および/またはイオン移動度分析計を提供する。
【0312】
分析計は、主筐体またはアセンブリをさらに含んでもよく、源筐体は使用時に主筐体に連結される。
【0313】
分析計は、イオントラップおよび/またはイオンガイドをさらに含んでもよい。
【0314】
分析計は、検体イオンをイオントラップ内で捕捉するように配置され適合され、かつ/またはイオンガイドを使用して検体イオンを案内するデバイスをさらに含んでもよい。
【0315】
例示的実施形態によれば、分析計は、検体イオンを分析するための分析器をさらに含む。
【0316】
分析器は、(i)検体イオンを質量分析するための質量分析器、(ii)イオン移動度または異なるイオン移動度分析器、(iii)検体イオンのイオン断面または衝突断面を分析するための分析器、(iv)検体イオンをそれらのイオン移動度または異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、(v)検体イオンを質量分析する前に、検体イオンをそれらのイオン移動度または異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、または(vi)検体イオンをそれらのイオン移動度または異なるイオン移動度に基づいて排除するまたは廃棄するように配置され適合されたデバイスをさらに備えてもよい。
【0317】
マトリクスは、使用時に検体に供給されてもよいが、検体は気相内にある、蒸気の形である、エアロゾルの形である、または液相内にある。
【0318】
分析計は、マトリクス分子を検体に供給し、マトリクス分子を検体と相互混合するように配置され適合されたデバイスをさらに含んでもよいが、マトリクスは気相内にある。
【0319】
分析計は、気相マトリクスが冷却し、液体に凝結するように、検体とマトリクスの混合物を高圧領域から低圧領域に移送させるように配置され適合されたデバイスをさらに含んでもよく、検体は溶解された検体液滴を形成するように液体マトリクス内に溶解する。
【0320】
マトリクスは、(i)検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気のための溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性分子、(v)水、(vi)1つまたは複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプラパノール、(x)アセトン、および(xi)アセトニトリルからなる群から選択されてもよい。
【0321】
分析計は、検体液滴を衝突アセンブリ上に加速させるように配置され適合されたデバイスをさらに含んでもよい。
【0322】
分析計は、検体液滴を衝突アセンブリ上に加速させるために圧力差を保持するように配置され適合されたデバイスをさらに含んでもよい。
【0323】
分析計は、衝突アセンブリと衝突する検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気からもたらされる検体イオンを分析するように配置される分析器をさらに含んでもよく、分析計は、真空チャンバに隣接した大気インターフェースをさらに含み、検体液滴は、大気インターフェースの両端の圧力差により衝突アセンブリ上に加速される。
【0324】
分析計は、マトリクスを検体に供給するためのマトリクス導管をさらに含んでもよい。
【0325】
分析計は、検体イオンを分析するためのイオン分析器をさらに含んでもよく、イオン分析器は、マトリクス導管の流出口の下流に配置される。
【0326】
マトリクス導管の流出口とイオン分析器の流入口との間の距離xは、(i)約0.1〜0.5mm、(ii)約0.5〜1.0mm、(iii)約1.0〜1.5mm、(iv)約1.5〜2.0mm、(v)約2.0〜2.5mm、(vi)約2.5〜3.0mm、(vii)約3.0〜3.5mm、(viii)約3.5〜4.0mm、(ix)約4.0〜4.5mm、(x)約4.5〜5.0mm、(xi)約5.0〜5.5mm、(xii)約5.5〜6.0mm、(xiii)約6.0〜6.5mm、(xiv)約6.5〜7.0mm、(xv)約7.0〜7.5mm、(xvi)約7.5〜8.0mm、(xvii)約8.0〜8.5mm、(xviii)約8.5〜9.0mm、(xix)約9.0〜9.5mm、(xx)約9.5〜10.0mm、(xxi)約0.1〜10mm、(xxii)約0.1〜7.5mm、(xxiii)約0.1〜5.1mm、(xxiv)約0.5〜5.1mm、および(xxv)約0.5〜5.0mmからなる群から選択されてもよい。
【0327】
分析計は、(i)約50〜100μl/min、(ii)約100〜150μl/min、(iii)約150〜200μl/min、(iv)約200〜250μl/min、(v)約250〜300μl/min、(vi)約300〜350μl/min、(vii)約350〜400μl/min、(viii)約400〜450μl/min、(ix)約450〜500μl/min、(x)約500〜550μl/min、(xi)約550〜600μl/min、(xii)約600〜650μl/min、(xiii)約650〜700μl/min、(xiv)700〜750μl/min、(xv)約750〜800μl/min、(xvi)約800〜850μl/min、(xvii)約850〜900μl/min、(xviii)約900〜950μl/min、(xix)約950〜1000μl/min、(xx)約50μl/min〜1ml/min、(xxi)約100〜800μl/min、(xxii)約150〜600μl/min、および(xxiii)約200〜400μl/minからなる群から選択された流量でマトリクス導管を介してマトリクスを検体に供給するためのポンプをさらに備えてもよい。
【0328】
マトリクス導管の流出口は、イオン分析器の流入口の反対側にあってもよく、またはイオン分析器の流入口と同軸であってもよい。
【0329】
分析計は、検体イオンデータを獲得するために検体イオンを分析するための質量および/またはイオン移動度分析器をさらに含んでもよく、分析器は、ロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析し、ロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析することから獲得されたデータに基づいてイオン分析器を校正し、または検体イオンデータを調節するようにさらに配置される。
【0330】
別の態様は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法を提供する。例示的実施形態では、この方法は、第1の長手方向軸を有する実質的に円筒形の衝突アセンブリを提供すること、衝突アセンブリを加熱すること、および検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿って加熱された衝突アセンブリに方向付けることを含む。
【0331】
衝突アセンブリは、セラミック円筒または非セラミック円筒を含んでもよい。
【0332】
衝突アセンブリは、加熱器または加熱コイルをさらに含んでもよい。
【0333】
方法は、加熱器または加熱コイルを衝突アセンブリ内に配置することをさらに含んでもよい。
【0334】
方法は、1つまたは複数の電極を介して加熱器または加熱コイルに電力を供給することを含んでもよい。
【0335】
方法は、(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、および(xii)約>1100℃からなる群から選択された温度に衝突アセンブリを加熱することを含んでもよい。
【0336】
方法は、衝突アセンブリを支持するために第1の容器を使用することをさらに含んでもよい。
【0337】
第1の容器は、セラミックまたは非セラミックから形成されてもよい。
【0338】
方法は、加熱コイルが第1の容器を通過するように電力を供給するための1つまたは複数の電極を通ることをさらに含んでもよい。
【0339】
方法は、主加熱アセンブリを提供することをさらに含んでもよい。
【0340】
方法は、第1の容器を主加熱アセンブリに取り外し可能に装着することをさらに含んでもよい。
【0341】
方法は、第1の遮断弁を主加熱アセンブリ内に提出することをさらに含んでもよい。
【0342】
方法は、1つまたは複数の毛細管またはサンプル管が主加熱アセンブリを通過すると、第1の遮断弁を開くことをさらに含んでもよい。
【0343】
方法は、1つまたは複数の毛細管またはサンプル管が主加熱アセンブリから少なくとも部分的にまたは完全に取り除かれると、第1の遮断弁を閉じることをさらに含んでもよい。
【0344】
方法は、主加熱アセンブリを通って伸張するように、1つまたは複数の毛細管またはサンプルを配置することをさらに含んでもよい。
【0345】
方法は、第1の容器を通って伸張するように1つまたは複数の毛細管またはサンプル管を配置することをさらに含んでもよい。
【0346】
方法は、1つまたは複数の毛細管またはサンプル管の出口を衝突アセンブリに実質的に隣接して配置することをさらに含んでもよい。
【0347】
方法は、主加熱アセンブリが源筐体内に挿入されるか、または別法として源筐体に連結されると、衝突アセンブリを保護するために1つまたは複数の遮蔽を提供することをさらに含んでもよい。
【0348】
方法は、主加熱アセンブリが源筐体内に挿入されるか、または別法として源筐体に連結されると、1つまたは複数の遮蔽を少なくとも部分的にまたは完全に収縮することをさらに含んでもよい。
【0349】
方法は、源筐体を提供することをさらに含んでもよい。
【0350】
源筐体は第2の遮断弁をさらに備えてもよい。
【0351】
方法は、主加熱アセンブリを源筐体内に挿入すること、または別法として主加熱アセンブリを源筐体に連結すること、および主加熱アセンブリを第1の回転位置から第2の回転位置に回転させることをさらに含んでもよい。
【0352】
主加熱アセンブリを第1の回転位置から第2の回転位置に回転させるステップは、第2の遮断弁を第1の作動位置から第2の作動位置に移動させてもよい。
【0353】
第1の作動位置では、第2の遮断弁は実質的に閉じている。
【0354】
第2の作動位置では、第2の遮断弁は実質的に開いている。
【0355】
方法は、主筐体またはアセンブリを提供することをさらに含んでもよく、源筐体は主筐体に連結される。
【0356】
方法は、イオントラップおよび/またはイオンガイドを提供することをさらに含んでもよい。
【0357】
方法は、イオントラップ内で検体イオンを捕捉すること、かつ/またはイオンガイドを使用して検体イオンを案内することをさらに含んでもよい。
【0358】
方法は、分析器を使用して検体イオンを分析することをさらに含んでもよい。
【0359】
分析器は、(i)検体イオンを質量分析するための質量分析器、(ii)イオン移動度もしくは異なるイオン移動度分析器、(iii)検体イオンのイオン断面もしくは衝突断面を分析するための分析器、(iv)検体イオンをそれらのイオン移動度もしくは異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、(v)検体イオンを質量分析する前に、検体イオンをそれらのイオン移動度もしくは異なるイオン移動度に従って分離するための分離器、または(vi)検体イオンをそれらのイオン移動度もしくは異なるイオン移動度に基づいて排除するもしくは廃棄するように配置され適合されたデバイスを備えてもよい。
【0360】
方法は、マトリクスを検体に供給することをさらに含んでもよいが、検体は、気相内にある、蒸気の形である、エアロゾルの形である、または液相内にある。
【0361】
方法は、マトリクス分子を検体に供給すること、およびマトリクス分子を検体と相互混合することをさらに含んでもよいが、マトリクスは気相内にある。
【0362】
方法は、気相マトリクスが冷却し、液体に凝結するように、検体とマトリクスとの混合物を高圧領域から低圧領域に移送することをさらに含んでもよく、検体は、溶解された検体液滴を形成するように液体マトリクス内で溶解する。
【0363】
マトリクスは、(i)検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気のための溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性分子、(v)水、(vi)1つまたは複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプラパノール、(x)アセトン、および(xi)アセトニトリルからなる群から選択されてもよい。
【0364】
方法は、検体液滴を衝突アセンブリ上に加速させることをさらに含んでもよい。
【0365】
方法は、検体液滴を衝突アセンブリ上に加速させるように電位差を維持することをさらに含んでもよい。
【0366】
方法は、衝突アセンブリと衝突する検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気からもたらされる検体イオンを分析すること、および大気インターフェースの両端の圧力差により、検体液滴を衝突アセンブリ上に加速させることをさらに含んでもよい。
【0367】
方法は、マトリクスを検体に供給することをさらに含んでもよい。
【0368】
方法は、イオン分析器を使用して検体イオンを分析することをさらに含んでもよく、イオン分析器は、マトリクス導管の流出口の下流に配置される。
【0369】
マトリクス導管の流出口とイオン分析器の流入口との間の距離xは、(i)約0.1〜0.5mm、(ii)約0.5〜1.0mm、(iii)約1.0〜1.5mm、(iv)約1.5〜2.0mm、(v)約2.0〜2.5mm、(vi)約2.5〜3.0mm、(vii)約3.0〜3.5mm、(viii)約3.5〜4.0mm、(ix)約4.0〜4.5mm、(x)約4.5〜5.0mm、(xi)約5.0〜5.5mm、(xii)約5.5〜6.0mm、(xiii)約6.0〜6.5mm、(xiv)約6.5〜7.0mm、(xv)約7.0〜7.5mm、(xvi)約7.5〜8.0mm、(xvii)約8.0〜8.5mm、(xviii)約8.5〜9.0mm、(xix)約9.0〜9.5mm、(xx)約9.5〜10.0mm、(xxi)約0.1〜10mm、(xxii)約0.1〜7.5mm、(xxiii)約0.1〜5.1mm、(xxiv)約0.5〜5.1mm、および(xxv)約0.5〜5.0mmからなる群から選択されてもよい。
【0370】
方法は、(i)約50〜100μl/min、(ii)約100〜150μl/min、(iii)約150〜200μl/min、(iv)約200〜250μl/min、(v)約250〜300μl/min、(vi)約300〜350μl/min、(vii)約350〜400μl/min、(viii)約400〜450μl/min、(ix)約450〜500μl/min、(x)約500〜550μl/min、(xi)約550〜600μl/min、(xii)約600〜650μl/min、(xiii)約650〜700μl/min、(xiv)700〜750μl/min、(xv)約750〜800μl/min、(xvi)約800〜850μl/min、(xvii)約850〜900μl/min、(xviii)約900〜950μl/min、(xix)約950〜1000μl/min、(xx)約50μl/min〜1ml/min、(xxi)約100〜800μl/min、(xxii)約150〜600μl/min、および(xxiii)約200〜400μl/minからなる群から選択された流量でマトリクス導管を介してマトリクスを検体に供給することをさらに含んでもよい。
【0371】
方法は、イオン分析器の流入口の反対側またはイオン分析器の流入口と同軸にマトリクス導管の流出口を配置することをさらに含んでもよい。
【0372】
方法は、検体イオンデータを獲得するために検体イオンを質量および/またはイオン移動度分析すること、ロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析すること、ならびにロックマス、ロック移動度、または校正イオンを分析することから獲得されたデータに基づいて、検体イオンデータを調節することをさらに含んでもよい。
【0373】
さらなる態様は、電気手術の方法を提供する。例示的実施形態では、方法は、生物組織を急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)電気手術用具と接触させること、および検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を発生させるように電気手術用具を活性化させることと、検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を吸引することと、第1の長手方向軸を有する実質的に円筒形の衝突アセンブリを提供することと、衝突アセンブリを加熱することと、検体イオンを形成するために検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を第1の長手方向軸に実質的に直交する第2の軸に沿って、加熱された衝突アセンブリに方向付けることと、検体イオンを質量および/またはイオン移動度分析することとを含む。
【0374】
さらなる態様は、電気手術の装置を提供する。例示的実施形態では、装置は、1つまたは複数の電極を備える急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)電気手術用具と、検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を発生させるように、電気手術用具が、使用時に生物組織と接触すると、電気手術用具を活性化させるように配置され適合されたデバイスと、検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を吸引するように配置され適合されたデバイスと、(i)第1の長手方向軸を有する実質的に円筒形の衝突アセンブリ、(ii)衝突アセンブリを加熱するための加熱器、(iii)検体イオンを形成するために検体、煙、噴霧、液体、気体、手術煙、エアゾル、または蒸気を、第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿って、該加熱された衝突アセンブリに方向付けるように配置され適合された第1のデバイス、ならびに(iv)該検体イオンを質量および/またはイオン移動度分析するための質量および/またはイオン移動度分析器を備える、質量および/またはイオン移動度分析計とを含む。
【0375】
検体をマトリクス内で溶解することにより、検体分子の間の分子間結合を実質的に除去し、性能が改善されることも見出されてきた。溶解された検体を続いて液滴に砕くように加熱された(円筒形の)衝突面と衝突させると、あらゆる所与の液滴は、マトリクスが存在していない場合に含有するはずである検体分子より少ない検体分子を含有する傾向がある。
【0376】
したがって例示的実施形態による手法により、各液滴内のマトリクスが蒸発するとイオンの発生がより有効になる。
【0377】
溶解された検体液滴を(円筒形の)衝突面と衝突させるステップは、検体およびマトリクスの運動エネルギーを熱に変質させることにより、検体からマトリクスを蒸発させるステップをもたらしてもよい。
【0378】
検体液滴を衝突させるステップにより、発生される溶解された検体液滴がより小さくなることがあり、その少なくとも一部は、その中に単一の検体分子のみを有する。これによりイオン化工程が向上する。
【0379】
検体は、例えば極性脂質を含んでもよく、蒸気またはエアロゾルは、極性脂質で覆われた水性液滴を含んでもよい。
【0380】
検体はトリグリセリドを含んでもよい。
【0381】
マトリクスが供給される検体は、イオン化された検体分子を含んでもよい。
【0382】
方法は、分析されるサンプルから気相検体、蒸気検体、エアゾル、または液体を発生させるステップをさらに含んでもよい。
【0383】
気相検体、蒸気検体、またはエアロゾルは、検体を含有するサンプルを加熱することによって、例えばサンプルのジアテルミー蒸発によって発生されてもよい。
【0384】
方法は、手術方法または非手術方法のいずれの一部であってもよい。例えば方法は、サンプルが検体を含有する人間または動物の組織であってもよい手術方法であってもよい。サンプルは、気相検体、蒸気検体、もしくはエアゾルを形成するために、電気手術ジアテルミー蒸発、または急速蒸発の他の形を受けてもよい。例のみとして、デバイスおよび方法は、乳癌手術において人間細胞を同定するために使用されてもよい。検体イオンを分析することにより、組織が癌であるか否かを判定することができる。
【0385】
別法として、方法は、非手術方法を含んでもよい。例えば、人間または動物の身体の一部でない(すなわち予め摘出した、堆積された、もしくは除去された)人間または動物組織を分析してもよく、あるいは人間もしくは動物組織以外のサンプルまたは生物組織を分析してもよい。やはり検体イオンを分析することにより、サンプルが癌組織を含有するか否かなどの、サンプルの特性または成分を判定することができる。
【0386】
開示された方法は、原産国識別、薬剤試験、食品安全試験(例えば乳製品)、化粧品試験、軍事的利用、大気汚染試験、事後分析、微生物識別(例えば細菌)、および自動サンプリングなどの他の非手術方法に使用されてもよい。
【0387】
上に開示された様々な方法は、非生物サンプルおよび化合物を分析するために使用されてもよい。
【0388】
サンプルから形成される検体は、部分的に荷電されてもよく、かつ/または比較的高い有機含有量を有してもよい。
【0389】
装置は、実質的にマトリクスから分離した検体イオンを提供するように、第2のより小さい溶解された検体液滴内の検体からマトリクスを蒸発させることをさらに含んでもよい。
【0390】
検体からマトリクスを蒸発させるステップは、検体イオンを形成するために検体をイオン化するように、検体にまたは検体から電荷移動をもたらしてもよい。
【0391】
マトリクスを検体から蒸発させるステップの後、方法は、イオントラップ内で検体イオンを捕捉すること、および/またはイオンガイドを使用して検体イオンを案内することをさらに含んでもよい。
【0392】
マトリクスは、まず固体、例えば粉末として供給され、昇華され、または融解され、検体と相互混合される蒸気または気相内でマトリクスを形成するように蒸発されてもよい。
【0393】
別法として、マトリクスは、液体、エアロゾル、または蒸気として検体に供給されてもよく、または検体と相互混合されてもよい。検体および/またはマトリクスが液体の形である場合は、検体とマトリクスの混合物は、続いて例えば噴射することにより第1の溶解された検体液滴に変換される必要があることがある。
【0394】
マトリクスの誘電率は、検体の溶媒化がイオン溶解に関わることにより、凝縮相内に検体の溶媒和イオンが存在するように非常に高いことがある。これらの場合、衝突面への激突は、気相内に溶媒和イオンを生成する可能性がより高く、これは最終的に(マイナスイオンモード、すなわち[M−H]で)脱プロトン化によって形成されたイオン、(プラスイオンモード、すなわち[M+H]で)プロトン化によって形成されたイオン、および/または分子イオンを生じることがある。
【0395】
イソプラパノールは、例えば脂質種のために使用する特に好都合なマトリクスであることが見出された。
【0396】
例として、極性脂質を備える検体に対して、マトリクスは、低分子量アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール)またはケトン(例えばアセトン)であってもよく、または低分子量アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール)またはケトン(例えばアセトン)を含んでもよい。これらのマトリクスは、そうでなければ低強度ではマトリクスの蒸気が検出されない、すべてのまたはある特定の種のイオン化を高めることが示されてきた。
【0397】
検体とマトリクスの混合物は、均一混合物であっても、または不均一混合物であってもよい。
【0398】
イオンをそれぞれが捕捉するまたは案内するように、イオントラップまたはイオンガイドに電圧が印加されてもよい。次いでイオンは、イオンの質量および/またはイオン移動度を分析するために、イオントラップまたはイオンガイドからイオン分析器に送達されてもよい。
【0399】
イオンは、質量分析される前にイオン移動度に従って分離されてもよい。イオンは、次いでそれらのイオン移動度に基づいて排除されてもよく、または廃棄されてもよい。
【0400】
上記の範囲のいずれも、距離xに対する範囲の一覧におけるいずれと組み合わされてもよい。
【0401】
イオン分析器の流入口は、イオン分析器の真空チャンバをイオン分析器の上流のより高い圧力領域から分離させる開口またはオリフィスを含んでもよい。例えば流入口は大気圧インターフェースであってもよい。
【0402】
代替手段では、マトリクス導管は、検体を提供するステップを実行するサンプル移送管の中にマトリクスを送達してもよい。
【0403】
別法として、検体を提供するステップを実行するサンプル移送管が提供されもよく、マトリクス導管の流出口は、サンプル移送管の周囲の場所に配置されてもよい。気体流は、流出口からイオンを分析するイオン分析器の流入口までマトリクスを一掃するように配置されてもよい。
【0404】
サンプルを蒸発させるためのデバイスは、ジアテルミーデバイスなどの電気手術用具を備えてもよい。
【0405】
装置は、サンプルを蒸発させるためにサンプル上に挿入するための端部、点または領域を有してもよく、検体流入口は端部、点または領域に隣接する。
【0406】
装置は、マトリクス化合物を導管に供給するためのマトリクス化合物の源を含んでもよい。
【0407】
加速する手段は、第1の領域と第2の領域との間の第1の溶解された検体液滴を衝突面に加速するために、2つの領域の間に圧力差を生成するための真空ポンプを含んでもよい。
【0408】
装置は、第1の領域と第2の領域との間に配置された大気インターフェースを有する質量および/またはイオン移動度分析計を含んでもよく、第2の領域は、真空ポンプに連結され、衝突面を収納する真空チャンバを含んでもよい。
【0409】
装置は、検体イオンを捕捉するまたは案内するために、イオントラップまたはイオンガイドを含んでもよい。
【0410】
イオン分析器は、質量および分析器もしくは分析計、ならびに/またはイオン移動度分析器もしくは分析計を含んでもよい。
【0411】
装置は、本明細書に説明されたあらゆる方法を実行するように配置され構成されてもよい。
【0412】
混合領域は、イオン分析器の流入口の上流に提供されてもよく、または混合領域は、イオン分析器の下流の少なくとも一部に提供されてもよい。
【0413】
イオン分析器の流入口は、イオン分析器の上流のより高い圧力領域からイオン分析器の真空チャンバを分離する開口またはオリフィスを含んでもよい。例えば流入口は大気圧インターフェースを含んでもよい。
【0414】
マトリクス導管は、検体を提供するステップを実行する、サンプル移送管にマトリクスを直接送達してもよい。
【0415】
別法として、検体を提供するステップを実行するサンプル移送管が提供されてもよく、マトリクス導管の流出口は、サンプル移送管の周囲の場所に提供されてもよい。気体流は、流出口からイオンを分析するイオン分析器の流入口までマトリクスを一掃するように配置されてもよい。
【0416】
装置は、ロックマス、ロック移動度、または校正化合物イオンもしくはイオンの源を含んでもよい。
【0417】
ロックマス、ロック移動度または校正化合物/イオンは、マトリクス導管、検体導管の中に導入されてもよく、または分離管の中に供給されてもよい。
【0418】
検体(または気相検体分子)を含有するエアロゾル粒子は、揮発性マトリクス化合物と一緒に質量および/またはイオン移動度分析計の中に導入されてもよく、揮発性マトリクス化合物は有機溶媒を含んでもよい。揮発性マトリクス化合物は、固体(例えば粉末)、液体、エアロゾル、または蒸気として検体に導入されてもよい。検体とマトリクスの混合物は、流入口から分析計に亘る圧力差により分析計の中に吸引されてもよい。分析計の内側の圧力が低いことにより、拡大する検体およびマトリクスを混入する気体をもたらし、自由噴流領域内の温度が降下する。これにより、気体もしくは蒸発された検体および/またはマトリクスが凝結するので、検体がマトリクス内に溶解する。マトリクス化合物の役割は、検体分子を超えるマトリクスを含有し、溶媒の形で検体分子を組み込むエアロゾル粒子を生成することであってもよい。溶媒化は、それぞれの溶解された検体分子がマトリクス分子によって完全に包囲されるので、検体分子の間の分子間二次結合力を実質的に取り除く。凝結相内で検体分子を分離することにより、エアロゾル粒子が衝突面に激突する際、エアロゾル粒子が単一の検体分子のみをそれぞれが含有するクラスタを形成する確率が増加する。マトリクス分子は高い誘電率および/または高い蒸気圧を有しても、有さなくてもよい。
【0419】
次に例示のみとして、添付図面を参照に、本発明の様々な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0420】
図1】直流電圧がエアロゾルまたは手術の噴煙の生成をもたらす双極鉗子に印加され、これは双極鉗子の洗浄部を通して捉えられ、次いでイオン化ならびに質量および/またはイオン移動度分析のための質量および/またはイオン移動度分析計に移送される、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法を示す図である。
図2】検体およびマトリクスが気相または蒸気相内に提供されてもよい、一実装形態を示す図である。
図3】検体およびマトリクスが液相に提供されてもよい、別の実施形態を示す図である。
図4A】マトリクスを使用することなく獲得される質量スペクトルを示す図である。
図4B】マトリクスを使用して獲得される質量スペクトルを示す図である。
図5A】検体エアロゾルおよびマトリクスを質量分析計の中に導入するためのベンチュリデバイスを備える、質量分析計インターフェースの一実施形態を示す図である。
図5B図5Bの拡大図である。
図5C】インターフェース内のサンプリングデバイスの近接図である。
図6A】取り外し可能な衝突面アセンブリを備える実施形態の異なる図である。
図6B】取り外し可能な衝突面アセンブリを備える実施形態の異なる図である。
図7A図6A図6Bに示されたアセンブリの断面図である。
図7B図7Aにおける断面の一部の拡大図である。
図8A】伸張した位置において収縮可能な遮蔽を備えた図6A図6Bの装置を示す図である。
図8B】収縮した位置における収縮可能な遮蔽を示す図である。
図9A】衝突面アセンブリを示す図である。
図9B】衝突面アセンブリの断面図である。
図10】衝突面アセンブリおよび関連したセラミック容器を示す図である。
図11A】閉位置において回転可能な遮断弁を備えたREIMS源アセンブリを示す図である。
図11B】開位置において真空遮断弁を備えたREIMS源アセンブリを示す図である。
図12A】遮断弁の構成要素を示す図である。
図12B】遮断弁の構成要素を示す図である。
図12C】遮断弁の構成要素を示す図である。
図12D】遮断弁の構成要素を示す図である。
図12E】遮断弁の構成要素を示す図である。
図13A】カム弁シールを含むREIMS源アセンブリの拡大図である。
図13B】シールの斜視図である。
図13C】シールの側断面図である。
図13D図13Cにおけるシールの一部の拡大図である。
図14】一実施形態による質量分析器の主加熱アセンブリ、REIMS源筐体、および主アセンブリを示す図である。
図15】漏斗形状の衝突アセンブリが提供され、エアロゾルが検体イオンを形成するために衝突アセンブリの内面に激突するように配置された、さらなる実施形態を示す図である。
図16】中空円筒形の衝突アセンブリが提供され、エアロゾルが検体イオンを形成するために衝突アセンブリの内面に激突するように配置された、別の実施形態を示す図である。
図17A】衝突面が球形である配置を示す図である。
図17B】衝突面がコイル形状である実施形態を示す図である。
図18A】加熱されていない衝突面を使用して獲得した質量スペクトルを示す図である。
図18B】加熱された衝突面を使用して獲得した質量スペクトルを示す図である。
図19A】マイナスイオンモードにおけるロイシン・エンケファリンに対する衝突面の最大直径の関数として獲得されたイオン信号強度を示す図である。
図19B】プラスイオンモードにおけるロイシン・エンケファリンに対して獲得されたイオン信号強度を示す図である。
図20A】マイナスイオンモードにおける脂質に対して獲得されたイオン信号強度を示す図である。
図20B】プラスイオンモードにおける脂質に対して獲得されたイオン信号強度を示す図である。
図21】非加熱の球形衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図22】非加熱の円筒形の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図23】加熱されたkathal(登録商標)のコイル形状の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図24】円筒内に配置されたコイルによって加熱された、石英の円筒形の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図25】円筒内に配置されたコイルによって加熱された、ガラスセラミックのMACOR(登録商標)の円筒形の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図26A】その中に埋め込まれた加熱コイルによって加熱されたセラミックの衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図26B】600〜900の質量範囲内の図26Aの質量スペクトルを示す図である。
図27A】加熱されたニッケルのコイル形状の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図27B】600〜900の質量範囲内の図27Aの質量スペクトルを示す図である。
図28A】サンプル移送毛細管の出口とkathalコイルの衝突面との間の異なる距離に対して検出されたイオン信号強度を示す図である。
図28B】3mmの距離における質量スペクトルを示す図である。
図28C】5mmの距離における質量スペクトルを示す図である。
図29A】衝突面として錐体を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図29B】円錐面が円筒形部に外方に先細であるときに獲得された質量スペクトルを示す図である。
図30A】円盤形状の衝突部材を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図30B】円盤形状の衝突部材を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図31A】半球の平面が上流に面する、半球である衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図31B】半球の平面が下流に面する、半球である衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図31C】平坦な上流面および円錐の下流面を有する衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図32A】5mmの外径を有する衝突アセンブリを使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図32B】3.5mmの外径を有する衝突アセンブリを使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図32C】2mmの外径を有する衝突アセンブリを使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図33A】異なる外径の球形の衝突アセンブリを使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図33B】球形の衝突面の外径の関数として総イオン電流を示す図である。
図34A】衝突アセンブリの周囲に円筒形のシース管を配置することからもたらされる総イオン電流への効果を示す図である。
図34B】この構成を使用して獲得された質量スペクトルを示す図である。
図35A】衝突面とシース管との間の異なる相対電圧の効果を示す図である。
図35B】衝突面とシース管との間の異なる電圧差で獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図35C】衝突面とシース管との間の異なる電圧差で獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図35D】衝突面とシース管との間の異なる電圧差で獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図36A】異なる温度でサンプル送達毛細管を維持する間に獲得されたスペクトルを示す図である。
図36B】異なる温度でサンプル送達毛細管を維持する間に獲得されたスペクトルを示す図である。
図36C】異なる温度でサンプル送達毛細管を維持する間に獲得されたスペクトルを示す図である。
図36D】異なる温度でサンプル送達毛細管を維持する間に獲得されたスペクトルを示す図である。
図36E】異なる温度でサンプル送達毛細管を維持する間に獲得されたスペクトルを示す図である。
図36F】異なる温度でサンプル送達毛細管を維持する間に獲得されたスペクトルを示す図である。
図37A】サンプル毛細管出口と衝突面との間の異なる距離で獲得されたスペクトルを示す図である。
図37B】これらの距離の一部に対するスペクトルの詳細を示す図である。
図37C】これらの距離の一部に対するスペクトルの詳細を示す図である。
図37D】これらの距離の一部に対するスペクトルの詳細を示す図である。
図38A】様々な異なる電流を使用してコイルを加熱する間に、Kathal−Dコイルの衝突面を使用してサンプルを分析する際に検出されたイオン信号を示す図である。
図38B】様々な異なる電流を使用してコイルを加熱する間に、ニクロタルコイルの衝突面を使用してサンプルを分析する際に検出されたイオン信号を示す図である。
図38C】様々な異なる電流を使用してコイルを加熱する間に、別のコイルの衝突面を使用してサンプルを分析する際に検出されたイオン信号を示す図である。
図39】衝突アセンブリが、その中に開口を有する実質的に円球ボール内に覆われたKathalコイルを備える、別の実施形態を示す図である。
図40A】衝突面がコイルの内面である、別の実施形態を示す図である。
図40B】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して、図40Aの衝突アセンブリを使用して測定されたイオン信号を示す図である。
図40C】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40D】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40E】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40F】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40G】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40H】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40I】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40J】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40K】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40L】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図40M】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図41A】異なる加熱コイル電流に対して、図40Aの実施形態を使用して獲得された総イオン電流を示す図である。
図41B図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41C図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41D図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41E図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41F図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41G図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41H図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41I図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41J図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41K図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41L図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図41M図41Aにおいて、それぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図42A】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して別の衝突コイルを使用して測定されたイオン信号を示す図である。
図42B】様々な異なる場所に対して衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図42C】様々な異なる場所に対して衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図42D】様々な異なる場所に対して衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図42E】様々な異なる場所に対して衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図42F】様々な異なる場所に対して衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図42G】様々な異なる場所に対して衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図42H】異なる加熱コイル電流に対して獲得された総イオン電流を示す図である。
図42I図42Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図42J図42Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図42K図42Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図42L図42Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図42M図42Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図42N図42Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図42O図42Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図43A】コイルに対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して、別の衝突コイルを使用して測定されたイオン信号を示す図である。
図43B】様々な異なる場所に対して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図43C】様々な異なる場所に対して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図43D】様々な異なる場所に対して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図43E】様々な異なる場所に対して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図43F】様々な異なる場所に対して獲得されたスペクトルの詳細を示す図である。
図43G】異なる加熱コイル電流に対して獲得された総イオン電流を示す図である。
図43H図43Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図43I図43Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図43J図43Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図43K図43Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図43L図43Hにおいてそれぞれのコイル電流で獲得されたスペクトルを示す図である。
図44A】衝突面に対する毛細管出口の様々な異なる場所に対して、サンプル毛細管出口と同軸に配置された管状の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す図である。
図44B】衝突アセンブリを使用して異なる質量範囲に亘るスペクトルの詳細を示す図である。
図44C】衝突アセンブリを使用して異なる質量範囲に亘るスペクトルの詳細を示す図である。
図44D】異なる加熱コイル電流に対して獲得された総イオン電流を示す図である。
図45A】衝突面に対する毛細管出口の様々な異なる場所に対して、サンプル毛細管出口と同軸に配置された別の管状の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す図である。
図45B】衝突アセンブリを使用して獲得されたフルスペクトルを示す図である。
図45C図45Bにおけるスペクトルの一部の詳細を示す図である。
図45D】異なる加熱コイル電流に対して獲得された総イオン電流を示す図である。
図46A】衝突面に対するサンプル毛細管出口の様々な異なる場所に対して、毛細管出口と同軸に配置された別の管状の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す図である。
図46B】衝突アセンブリを使用して獲得されたフルスペクトルを示す図である。
図46C図46Bにおけるスペクトルの一部の詳細を示す図である。
図46D】異なる加熱コイル電流に対して獲得された総イオン電流を示す図である。
図47A】衝突面に対する毛細管出口の様々な異なる場所に対して、サンプル毛細管出口と同軸に配置された円錐状の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す図である。
図47B】衝突アセンブリを使用して獲得されたフルスペクトルを示す図である。
図47C図47Bにおけるスペクトルの一部の詳細を示す図である。
図47D】異なる加熱コイル電流に対して獲得された総イオン電流を示す図である。
図48】様々な実施形態による分類モデルを構築することを含む、分析方法を示す図である。
図49】公知の基準サンプルの2つのクラスから獲得された、1組の基準サンプルスペクトルを示す図である。
図50】強度軸によって画定された三次元を有する多変量空間を示す図であり、多変量空間は複数の基準点を備え、各基準点は標準サンプルスペクトルから引き出した1組の3つのピーク強度値に対応する。
図51】累積分散とPCAモデルの成分数との間の一般的関係を示す図である。
図52】主成分軸によって画定された二次元を有するPCA空間を示す図であり、PCA空間は複数の変換された基準点またはスコアを含み、それぞれの変換された基準点またはスコアは図50の基準点に対応する。
図53】一次元または軸を有するPCA−LDA空間を示す図であり、LDAは図52のPCA空間に基づいて実行され、PCA−LDA空間は複数のさらに変換された基準点またはクラススコアを含み、それぞれのさらに変換された基準点またはクラススコアは図52の変換された基準点またはスコアに対応する。
図54】様々な実施形態による分類モデルを使用することを含む、分析方法を示す図である。
図55】未知のサンプルから獲得されたサンプルスペクトルを示す図である。
図56図53のPCA−LDA空間を示す図であり、PCA−LDA空間は、図55のサンプルスペクトルのピーク強度値から引き出したPCA−LDAの投影されたサンプル点をさらに備える。
図57】様々な実施形態による分類ライブラリを構築することを含む、分析方法を示す図である。
図58】様々な実施形態による分類ライブラリを使用することを含む、分析方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0421】
次に周囲イオン化イオン源を使用して標的(例えば体内の組織)の1つまたは複数の領域からエアロゾル、手術煙、または蒸気を発生することに概して関する、様々な実施形態についてより詳細に以下に説明する。
【0422】
エアロゾル、手術煙、または蒸気は、次いで質量および/またはイオン移動度質量分析計の真空チャンバの中に吸引され、衝突面に激突することにより、エアロゾル、煙、または蒸気が激突イオン化によってイオン化され、検体イオンの発生を引き起こす。
【0423】
得られる検体イオン(または検体イオンから引き出された破片もしくは生成イオン)は、次いで質量および/またはイオン移動度を分析され、得られる質量および/またはイオン移動度分析データは、次いでリアルタイムで標的の1つまたは複数の特性を決定するために、多変量解析を受けてもよい。
【0424】
例えば多変量解析は、現在切除されている組織の一部が癌であるか否かに関して判定することができることがある。
【0425】
周囲イオン化イオン源
様々な実施形態によれば、デバイスは、標的(例えば体内の組織)の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生させるために使用される。デバイスは、例えば自然のまたは未修正の標的から検体のエアロゾル、煙、または蒸気を発生する機能によって特徴付けられる、周囲イオン化イオン源を備えてもよい。エアロゾル、煙、または蒸気は、次いでマトリクスと混合され、質量および/またはイオン移動度分析計の真空チャンバの中に吸引されてもよい。混合物は、衝突面に激突されることにより、エアロゾル、煙、または蒸気が激突イオン化によってイオン化され、検体イオンの発生を引き起こす。得られる検体イオン(または検体イオンから引き出された破片もしくは生成イオン)は、次いで質量および/またはイオン移動度を分析されてもよく、得られる質量および/またはイオン移動度分析データは、例えばリアルタイムで標的の1つまたは複数の特性を決定するために、多変量解析または他の数理処理を受けてもよい。例えば多変量解析は、現在切除されている組織の一部が癌であるか否かに関して判定することができることがある。
【0426】
マトリクスまたは試薬を直接サンプルに加えることが必要であることにより、組織の分析を体内で実行することができなくなり、またより一般的に標的材料の迅速で単純な分析を提供することができなくなることが理解されよう。
【0427】
したがって逆に、周囲イオン化技法が特に好都合であるのは、第1に周囲イオン化技法は、マトリクスまたは試薬を追加する必要がなく(またそれゆえ体内の組織の分析に適する)、第2に周囲イオン化技法は、標的材料の迅速で単純な分析を実行することができるからである。例えばマトリクス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源などの他の型のイオン化イオン源は、イオン化する前にマトリクスまたは試薬をサンプルに加える必要がある。
【0428】
多数の異なる周囲イオン化技法が公知であり、本発明の範囲内に収まることが意図される。歴史的記録として、脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)が開発された最初の周囲イオン化技法であり、2004年に開示された。2004年以来、多数の他の周囲イオン化技法が開発されてきた。これらの周囲イオン化技法はそれらの厳密なイオン化方法において異なるが、それらの技法は自然の(すなわち未処理のまたは未修正の)サンプルから直接気相イオンを発生する能力と同じ一般能力を共有する。本発明の範囲内に収まることが意図される様々な周囲イオン化技法の特別な利点は、様々な周囲イオン化技法がいかなる事前のサンプルの調合も必要としないことである。その結果、様々な周囲イオン化技法は、体内の組織および体外の組織サンプルのどちらも、マトリクスまたは試薬を組織サンプルまたは他の標的材料に追加する時間および出費を必要とすることなく、分析することができる。
【0429】
本発明の範囲内に収まることが意図される周囲イオン化技法の一覧が、以下の表に提供されている。
【0430】
【表1】


【0431】
一実施形態によれば、周囲イオン化イオン源は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源を含んでもよく、ジュール熱によりエアロゾルまたは手術煙の噴煙を発生させるために、1つまたは複数の電極に電圧が印加される。
【0432】
しかし上に言及されたものを含む他の周囲イオン源も利用してよいことが理解されよう。例えば別の実施形態によれば、周囲イオン化イオン源は、レーザーアブレーションイオン源を備えてもよい。一実施形態によれば、レーザーイオン化イオン源は、中赤外レーザーイオン化イオン源を備えてもよい。例えば吸水スペクトル内のピークと対応する、2.94μmまたはその付近に放射線を放出する、いくつかのレーザーが存在する。様々な実施形態によれば、周囲イオン化イオン源は、2.94μmで水の高い吸水係数に基づいて2.94μmに近い波長を有する、レーザーアブレーションイオン源を備えてもよい。一実施形態によれば、レーザーアブレーションイオン源は、2.94μmで放射線を放出するEr:YAGレーザーを備えてもよい。
【0433】
他の実施形態は、中赤外光パラメトリック発振器(「OPO」)を使用して、2.94μmより長い波長を有するレーザーアブレーションイオン源を生成してもよいことが企図される。例えばEr:YAGでポンピングされるZGP−OPOを使用して、例えば6.1μm、6.45μm、または6.73μmの波長を有するレーザー照射線を生成してもよい。一部の状況では、表層のみが切断され、熱損傷を生じることが少ないので、2.94μmより短い、または長い波長を有するレーザーアブレーションイオン源を使用することが有利であることがある。一実施形態によれば、Co:MgFレーザーをレーザーアブレーションイオン源として使用してもよく、レーザーは1.75〜2.5μmに調整されてもよい。別の実施形態によれば、Nd:YAGレーザーによってポンピングされた光パラメトリック発振器(「OPO」)システムを使用して、2.9〜3.1μmの波長を有するレーザーアブレーションイオン源を生成してもよい。別の実施形態によれば、10.6μmの波長を有するCO2レーザーを使用して、エアロゾル、煙、または蒸気を発生してもよい。
【0434】
レーザーイオン化イオン源は、水の高い吸収係数に近くない波長、すなわち水と共鳴しない波長で放射線を放出してもよい。このようなレーザーは、分析のために標的から煙、エアロゾル、または蒸気を依然として発生させることがあるが、水と共鳴するレーザー波長より標的に損傷を与えることが少ないことがある。例えば共鳴しないレーザーは、標的の表層(複数可)を除去するのみであることがある。
【0435】
他の実施形態によれば、周囲イオン化イオン源は、超音波アブレーションイオン源、またはハイブリッド電気手術、すなわち超音波アブレーション源を備えてもよく、超音波アブレーション源は液体サンプルを生成し、液体サンプルは次いでエアロゾルとして吸引される。超音波アブレーションイオン源は、集中または非集中超音波を備えてもよい。
【0436】
一実施形態によれば、標的の1つまたは複数の領域からエアロゾル、煙、または蒸気を発生するための第1のデバイスは、連続したRF波形などの直流電圧を利用する用具を備えてもよい。他の実施形態によれば、パルスプラズマRFエネルギーを器具に供給するように配置された、無線周波数の組織解剖システムを使用してもよい。用具は、例えばPlasmaBlade(登録商標)を備えてもよい。パルスプラズマRF用具は、従来の電気手術用具より低い温度(例えば40〜170℃に対して200〜350℃)で作動し、それによって熱傷の深さが低減する。パルス波形およびデューティサイクルは、薄い絶縁体電極の刃先(複数可)に沿って電気プラズマを誘起することにより、切断および作動の凝固モードの両方に使用されてもよい。一実施形態によれば、第1のデバイスは、切除デバイス、本明細書のあらゆる他のデバイスと合成したこのようなデバイス、電気手術アルゴンプラズマ凝固デバイス、ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固および水/生理食塩水ジェットデバイスなどの、手術水/生理食塩水ジェットデバイスを備える。
【0437】
他の実施形態は、標的からエアロゾル、煙、または蒸気を発生するための第1のデバイスが、アルゴンプラズマ凝固(「APC」)デバイスを備えてもよいことが企図される。アルゴンプラズマ凝固デバイスは、プローブを通って方向付けられるイオン化アルゴンガス(プラズマ)のジェットを使用するものである。プローブは内視鏡を通過してもよい。アルゴンプラズマ凝固は、プローブが標的から少し離れて置かれるので基本的に非接触工程である。アルゴンガスはプローブから放出され、次いで高圧放電(例えば6kV)でイオン化される。次いで高周波電流が気体のジェットを通して伝えられ、ジェットの他端に標的の凝固がもたらされる。凝固の深さは通常数ミリメートルに過ぎない。
【0438】
第1のデバイス、手術もしくは電気手術用具、本明細書のあらゆる態様あるいは実施形態に開示されたデバイスまたはプローブまたは他のサンプリングデバイスもしくはプローブは、1つまたは複数の水力手術デバイス、手術水ジェットデバイス、アルゴンプラズマ凝固デバイス、ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固デバイス、水ジェットデバイス、およびレーザーデバイスなどの非接触手術デバイスを備えてもよい。
【0439】
非接触手術デバイスは、組織に物理的に接触することなく、切断する、砕く、液化する、吸引する、放電する、または別法として生物組織を破壊するように配置され適合された手術デバイスと定義されてもよい。例には、レーザーデバイス、水力手術デバイス、アルゴンプラズマ凝固デバイス、およびハイブリッドアルゴンプラズマ凝固デバイスが含まれる。
【0440】
非接触デバイスは組織と物理的に接触しなくてもよいので、治療は比較的安全であると見られることがあり、皮膚または脂肪などの細胞間の接着が低い繊細な組織を処置するために使用できる。
【0441】
急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)
図1は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法を示し、双極鉗子1を患者3の体内の組織2と接触させてもよい。図1に示された例では、双極鉗子1を、患者の脳における外科手術の課程の間に患者3の脳組織2と接触させてもよい。直流電圧発生器4から直流電圧を双極鉗子1に印加してもよく、双極鉗子1は組織2のジュール熱またはジアテルミー熱を局所化させる。結果として、エアロゾルまたは手術煙5が発生する。エアロゾルまたは手術煙5は、次いで捕捉され、または別法として双極鉗子1の洗浄ポートを通って吸引されてもよい。したがって双極鉗子1の洗浄ポートは、吸引ポートとして再利用される。次いでエアロゾルまたは手術煙5を、双極鉗子1の洗浄(吸引)ポートから管6(例えば1/8インチすなわち3.2mmの直径のテフロン(Teflon)(登録商標)管)に通過させてもよい。管6は、エアロゾルまたは手術煙5を質量分析計8の大気圧インターフェース7に移送するように配置される。
【0442】
様々な実施形態によれば、イソプラパノールなどの有機溶媒を備えるマトリクスは、大気圧インターフェース7でエアロゾルまたは手術煙5に追加されてもよい。次いでエアゾル3と有機溶媒の混合物は、質量分析計8の真空チャンバ内で衝突面に激突するように配置されてもよい。一実施形態によれば、衝突面は加熱されてもよい。エアロゾルは衝突面に激突するときにイオン化され、検体イオンの発生をもたらす。検体イオンを発生するイオン化効率は、有機溶媒の追加によって向上されることがある。しかし有機溶媒の追加は必須ではない。
【0443】
エアゾル、煙、または蒸気5を衝突面に激突させることにより発生する検体イオンは、次いで質量分析計の次の段階に通過され、質量分析器内で質量分析を受ける。質量分析器は、例えば四重極質量分析器または飛行時間型質量分析器を備えてもよい。
【0444】
図2は、例えば標的から発生されたエアロゾル、手術煙、または蒸気を分析するために使用してもよい、一実施形態の概略図を示す。デバイスは、流入口206、真空領域208、固体の衝突面209、および真空領域208内に配置されたStepwave(登録商標)イオンガイドなどのイオン光学212を有する、イオン分析器または質量分析計207を備えてもよい。またデバイスは、サンプル移送管202およびマトリクス導管203も含んでもよい。サンプル移送管202は、調査されるサンプルからエアロゾルサンプル201(これは図1に関して説明された手術煙、蒸気、またはエアロゾルに対応してもよい)を受領するための流入口、およびイオン分析器207の流入口206に連結された流出口を有する。マトリクス導管203は、マトリクス化合物を受領するための流入口、およびマトリクス204がサンプル移送管202内でエアロゾルサンプル201と相互混合できるようにサンプル移送管202と交差する流出口を有する。
【0445】
次に図2のデバイスの操作方法について説明する。生物サンプルなどのサンプルは、REIMS技法を受ける。例えばジアテルミーデバイスを使用して、例えば図1に関して上に説明したように、エアロゾルを形成するようにサンプルから生物組織を蒸発させてもよい。次いでエアロゾル粒子201は、サンプル移送管202の流入口の中に導入される。マトリクス化合物204は、マトリクス導管203の流入口の中に導入される。エアロゾル粒子201およびマトリクス化合物204は、管202、203に流入口より低圧である真空チャンバ208によってもたらされる圧力差により、イオン分析器207の流入口206に向かって引き寄せられる。エアロゾル粒子201は、サンプル移送管202がマトリクス導管203と交差する領域の中、およびサンプル移送管202がマトリクス導管203と交差する領域の下流でマトリクス化合物204の分子に遭遇してもよい。エアロゾル粒子201は、エアロゾルサンプル201およびマトリクス化合物204の両方の分子成分が存在する、マトリクス分子205を含有するエアロゾル粒子を形成するように、マトリクス204と相互混合する。マトリクス分子204は、エアロゾルサンプル201の分子成分に比べて過剰であってもよい。
【0446】
粒子205はサンプル移送管202から出て、イオン分析器207の流入口206に入ってもよい。次いで粒子205は低減した圧力領域208の中に入り、サンプル移送管202から真空領域208に入る気体の断熱膨張に起因して、また関連した自由噴流形成に起因して、実質的な線速度を取得する。加速された粒子205は固体の衝突面209に激突してもよく、激突事象により粒子205を砕き、最終的にエアロゾルサンプル201の分子成分の気相イオン210の形成およびマトリクス分子211の形成をもたらす。固体の衝突面209は制御され、周辺温度より実質的に高い温度に維持されてもよい。
【0447】
マトリクス204は、検体201がマトリクス204によって溶解するように検体201のための溶媒を含み、それによって検体分子201の間の分子内の接着を除去する。したがって溶解された検体205が次いで衝突面209と衝突すると、溶解された検体205は液滴に砕け、あらゆる所与の液滴は、マトリクスが存在していなかったら含有していたはずである検体分子より少ない検体分子を含有する傾向がある。これにより、次に各液滴内のマトリクスが蒸発すると、検体イオン210の発生がより効率的になる。マトリクスは、有機溶媒および/または揮発性化合物を含んでもよい。マトリクスは、極性分子、水、1つまたは複数のアルコール、メタノール、エタノール、イソプラパノール、アセトン、またはアセトニトリルを含んでもよい。イソプラパノールは特に興味深い。
【0448】
マトリクス分子211は真空内に自由に拡散してもよい。逆にエアロゾルサンプル201の分子成分の気相イオン210は、イオン光学212によりイオン分析器207の分析領域(図示せず)に移送されてもよい。イオン210は、電圧をイオン光学212に印加することにより分析領域に案内されてもよい。次いでイオンはイオン分析器207によって分析されてもよく、イオン分析器207は、質量分析計もしくはイオン移動度分析計、またはその2つの組合せを備えてもよい。分析の結果として、サンプル201についての化学情報が獲得されることがある。
【0449】
図2は、流入口206と同軸のサンプル移送管202を示すが、別法としてマトリクス導管203が流入口206と同軸であってもよく、サンプル移送管202が流入口206と直交してもよいことが企図される。図3は、図2に関して示され説明された実施形態と実質的に同様の実施形態の概略図を示す。但しサンプル201は流体/液体移送ポンプまたはベンチュリポンプ240によって送達され、マトリクス204は液体の形で送達されてもよい。これによりマトリクス化合物204を、イオン分析器207の中に導入する前に水蒸気として、または液体としてエアロゾル201の中に混合することができる。
【0450】
ベンチュリポンプ240は流入管242を備えてもよく、流入管242はデバイスまたはプローブ(例えばREIMSデバイスまたは本明細書に説明されたようなプローブ)に連結されてもよく、エアロゾル粒子または液体をサンプル(例えば生物組織)からベンチュリポンプ240に移送するように構成されてもよい。
【0451】
ベンチュリポンプ240は気体流入口244を備えてもよく、気体流入口244は、気体(例えば窒素または標準医療用空気)をエアロゾル粒子201または流入管242によりベンチュリポンプ240に移送される液体の流路の中に導入されるように配置され適合されてもよい。したがってベンチュリポンプ240は、エアロゾル粒子201または別法として検体を含有する他の気体サンプルの吸引を促進してもよい。またベンチュリポンプ240は、ベンチュリガスが分析計207の真空チャンバ208の中に方向付けられないように、ベンチュリガスをシステムから排出するための排出部246を備えてもよい。
【0452】
ベンチュリポンプ240は、サンプル移送部または毛細管202を備えてもよく、サンプル移送部または毛細管202は、ベンチュリポンプ240によって生成されたサンプルと気体の混合物を接点248に方向付けるように配置され適合されてもよい。マトリクス導管203はマトリクス化合物204を接点248の中に導入し、マトリクス化合物204の流れを流入管206に方向付けるように配置され適合される。
【0453】
エアロゾル粒子201およびマトリクス204は、接点248で内部混合してもよく、得られるエアロゾル粒子205は、真空チャンバ208から呼気により流入管206の中に運ばれてもよい。より大きいエアロゾル粒子201は重過ぎるので流入管206の中に運ばれないことがあり、接点248を通過し排出部246を介して装置から出ることがある。
【0454】
図3では連続しているように示されているが、サンプル移送部202は、接点248および流入管206から分離した構成要素であってもよい。接点248は、個別のサンプル移送部202を連結するための連結具または連結部(図示せず)を備えてもよい。接点248とサンプル移送部206との間の連結は流体で封止されてもよく、かつ/またはリングクランプを備えてもよい。
【0455】
上に説明したように、重要な態様は元の検体エアロゾル成分201およびマトリクス化合物204を含有する分子クラスタ205の形成に続いて、これらのクラスタ205の表面誘起解離である。
【0456】
マトリクスを使用する恩恵は、図4Aおよび図4Bから見ることができる。
【0457】
図4は、サンプルがREIMS技法を受けることによって獲得された質量スペクトルを示す。このREIMS技法で、エアロゾルが標的から発生し、エアロゾルは加熱した衝突面と衝突し、そこから発生した得られたイオンが質量分析された。図4Bの質量スペクトルは、同じサンプルが同じ分析技法を受けることによって獲得された。但しエアロゾルは、衝突面に衝突する前にマトリクス(イソプラパノール)と混合され、次いで質量分析された。マトリクスの使用は検出されたイオン強度を実質的に高めたことが、図4Aおよび図4Bの2つの質量スペクトルから見ることができる。
【0458】
図5Aは、検体エアロゾルおよびマトリクスを質量分析計の中に導入するための質量分析計インターフェースの別の実施形態を示す。この器具はベンチュリポンプ501を備える。ベンチュリポンプ501は管502を備え、管502は、デバイスまたはプローブ(例えば本明細書に説明されたようなREIMSデバイスまたはプローブ)に連結されてもよく、エアロゾル粒子をサンプル(例えば生物組織)からベンチュリポンプ501に移送するように構成されてもよい。ベンチュリポンプ501は気体流入口503を備えてもよく、気体流入口503は、気体(例えばベンチュリガス)を管502によりベンチュリポンプ501の中に移送されるエアロゾル粒子の流路の中に導入するように配置され適合されてもよい。ベンチュリポンプ501は、拡大されたサンプル移送管504を備えてもよく、サンプル移送管504は、サンプルと気体の混合物を管502からサンプル移送管504の流出口端部506を介してサンプリングデバイス510上に移送するように配置され適合されてもよい。
【0459】
サンプリングデバイス510は、中空管またはホイッスル512、マトリクス導管530、および流入管540を広く備えてもよい。マトリクス導管530は、マトリクス導管530内のチャネル534(図5B)を通ってマトリクスを液体または気体の形で導入するように配置され適合されてもよい。マトリクスはホイッスル512内に配置されまたは置かれた端部534を通ってマトリクス導管530から離れ、マトリクスは流入管540の中に引き寄せられる気体によって噴霧されてもよい。マトリクスの噴霧化の品質は、以下により詳細に説明されるように、サンプリングデバイス510の様々な部分の間の寸法および/または相対距離によって制御され影響されてもよい。
【0460】
流入管540はイオン分析器または質量分析計に繋がり、サンプルと気体とマトリクスの混合物が、ホイッスル512内に配置され、または置かれた流入管540の端部542を通過し、イオン分析器または質量分析計に移送される通路544を通過するように配置され適合されてもよい。これらの配置において、衝突面209は流入管540の下流に配置される。
【0461】
図5Cは、(その中にマトリクス導管530がない)サンプリングデバイス510の近接図を示す。
【0462】
ホイッスル12は、サンプル移送管504の流出口端部506に面するように配置されてもよい第1の側面522、およびサンプル移送管504の流出口端部506から恣意的に逸れる第2の反対側面524を恣意的に有する、中空管の形で提供されてもよい。
【0463】
ホイッスル512は第1の端部518を備えてもよく、第1の端部518は、流入管540を中心に同軸に配置されてもよく、それと封止係合されてもよい。ホイッスル512は、第2の端部520を備えてもよく、第2の端部520は、マトリクス導管530を中心に同軸に配置されてもよく、それと封止係合されてもよい。
【0464】
窪み、開口、または切欠き514が、ホイッスル512の第2の側面524上に提供されてもよく、切欠き514は、サンプル移送管504の流出口端部506からホイッスル512を通って流れるサンプルと気体の混合物が、ホイッスル512の内部に移送され得るように流入口を形成してもよい。
【0465】
サンプル移送管504の流出口端部506から出るサンプルと気体の混合物は、ホイッスル512の第1の側面522に衝突し、次いで外側面の周囲を移送され、切欠き514の中に入ってもよい。サンプルと気体の混合物が一旦ホイッスル512の内部に入ると、サンプルと気体の混合物が恣意的に流入管540の端部542を通って流入管540の中に移送される前に、サンプルと気体の混合物は、マトリクス導管530から出現する霧状のマトリクスと混合されてもよい。サンプルと気体とマトリクスの混合物は、次いで通路544を介してイオン分析器または質量分析計に移送されてもよい。
【0466】
切欠き514をホイッスル512の第2の側面524上に位置付けることは、サンプルと気体の混合物の最初の激突が、質量分析計の真空に直接曝されない表面上であることを意味する。したがって様々な実施形態では、サンプリングデバイス510は、サンプルと気体の混合物の最初の激突が、質量分析計の真空に直接曝されない表面上であるように配置され適合される。
【0467】
切欠き514は、ホイッスル512が(例えば図5Aおよび図5Bに示されたように)断面内に見られるときに実質的に半円輪郭を有してもよい。これは、ホイッスル512の第2の側面524に面する方向から見ると、切欠き514の縁部517は長円形であることを意味する(図5C参照)。別法として、切欠き514は、ホイッスル512が断面において例えば正方形、三角形、または不規則な形状輪郭に見えるときは、異なる形状の輪郭を有することがある。切欠き514の縁部517も、ホイッスル512がホイッスル512の第2の側面524に面する方向から見たときに、正方形、三角形、または不規則であることがある(図5C参照)。
【0468】
ホイッスル512の位置および配向は、質量分析計の中に移送されるサンプルの量および質に影響を与えることができる。切欠き514は中心点516を備えてもよく、中心点516はサンプル移送管504の長手方向中心線508と一致してもよい。図5Cはホイッスル512(ホイッスル512は図5Cに切り離して示されている)の第2の側面524の図を示し、中心点516は長円形の中心点として見ることができる。
【0469】
ホイッスル512は、ホイッスル512の長手軸526が切欠き514の対称軸と一致して位置するように配向されてもよい。中心点516は、ホイッスル512の長手方向軸526および/または切欠き514の対称軸上に位置してもよい。切欠き514の対称軸は、長手方向の対称軸を備えてもよく、長手方向は長手方向軸526に沿った方向と定義されてもよい。
【0470】
またサンプリングデバイス510の様々な部分の位置も、質量分析計の中に移送されるサンプルの量および質に影響を与えることができる。
【0471】
次に図5Bを参照すると、距離xは、マトリクス導管530の端部532と流入管540の端部542との距離(例えば最短距離)と定義される。
【0472】
距離yは、切欠き514の中心点516と流入管540の端部542との距離(例えば最短距離)と定義される。
【0473】
距離zは、サンプル移送管504の流出口端部506とホイッスル512(例えばホイッスル512の第1の側面522)との距離(例えば最短距離)と定義される。
【0474】
マトリクス導管530の直径aは、質量分析計によって検出されたスペクトルの質およびスペクトルのピーク強度に影響を与えることができ、またマトリクスがマトリクス導管530の端部から出る際に、(液体状態で送達される場合)マトリクスの噴霧化に影響を与えることもできる。
【0475】
流入管540の直径bおよびサンプル移送管504の直径cも、質量分析計によって検出されたスペクトルの質およびスペクトルのピーク強度に影響を与えることができる。流入管540の直径は、そこを通る最大流を提供するために調整されてもよく、これは真空チャンバの下流にポンピング系を受容することができる。
【0476】
直径a、b、およびcは、マトリクス導管530の端部532、流入管540の端部542、およびサンプル移送管504の流出口端部506のそれぞれの直径に対応してもよい。
【0477】
あらゆるまたはすべての直径a、b、およびcは、0.005mm、0.010mm、0.025mm、0.050mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2mm、2.2mm、2.4mm、2.6mm、2.8mm、3mm、3,2mm、3,4mm、3.6mm、3.8mm、4mm、4.2mm、4.4mm、4.6mm、4.8mm、または5mmより長い、短い、または実質的に等しくてもよい。
【0478】
あらゆるまたはすべての直径/距離a、b、c、x、y、およびzは、質量分光計の中に移送されるサンプルの量および質、および/または質量分析計によって獲得されたスペクトルの質を最適化するように変更されてもよい。
【0479】
マトリクス導管530の端部532および/または流入管540の端部542および/またはサンプル移送管504の流出端部506は、下流方向に小さい寸法になる先細であってもよい。本開示の態様は、サンプリングデバイス510および/または質量分析計と関連付けられた1つまたは複数のパラメータ(例えばイオン存在度、イオン信号強度、もしくは質量分析応答)を同定すること、ならびに1つまたは複数のパラメータが最適化される、最大化される、または最小化されるまで1つまたは複数の距離a、b、c、x、y、およびzを変えることを含む、サンプリングデバイス510を最適化する方法に及んでもよい。
【0480】
ベンチュリポンプ501は、エアロゾル粒子をサンプル移送管504の中に導入するためのものであってもよい。サンプリングデバイス510は、エアロゾルをサンプリングするために提供されてもよい。マトリクス導管530は、マトリクス(イソプロパノールなど)をサンプリングデバイス510の中に導入するように配置されてもよく、流入管540は、エアロゾル粒子とマトリクスの混合物をイオン分析器または質量分析計に向かって前方に方向付けるように配置されてもよい。
【0481】
ベンチュリポンプ501は、エアロゾルまたは検体を含有する他の気体サンプルの吸引を促進してもよく、窒素または標準医療用空気によって駆動されてもよい。エアロゾルサンプリングは、図5Aおよび図5Bから示されたようにベンチュリポンプ501の流出口端部506に直交して起きるように配置されてもよい。マトリクス導管530の流出口532は、流入管540からイオン分析器または質量分析計に距離xだけ離間されてもよい。距離xは、例えばリン脂質などの分析される範囲内で最適なイオン強度を達成するために必要に応じて修正されることが可能である。
【0482】
距離xの値を変えることにより、流入管540の中に引き寄せられる気体の速度を変えることができ、噴霧化条件に影響を与えることができる。噴霧化条件があまり好ましくない場合は、マトリクス液滴は検体エアロゾルと相互作用するための適正な大きさからならなくてもよく、かつ/またはエアロゾルが衝突面と衝突するときに効果的に砕けなくてもよい。
【0483】
マトリクスがイオン分析器への流入口の反対に、サンプル移送管の下流に導入されるように図5に説明されてきたが、マトリクスは別法としてサンプル移送管504の中に導入されてもよい。
【0484】
別法として、マトリクスは、イオン分析器に流入口と同軸に導入されてもよい。
【0485】
別法として、マトリクスは、移送管の周囲の場所で導入されてもよく、気体流によりイオン分析器の流入口に向かって、また流入口の中に一掃されてもよい。
【0486】
校正、ロックマスまたはロック移動度化合物は、イオン分析器を校正する、または基準質量をイオン分析器に提供するために、本明細書に説明された様々な技法に使用されてもよい。校正、ロックマス、またはロック移動度化合物は、マトリクス導管を介して、サンプル移送管を介して、または別の場所に導入されてもよい。
【0487】
流入口またはサンプル管および衝突面209または衝突アセンブリ215は、筐体内に装着されてもよく、これは以下にさらに説明されるように、質量分析器またはREIMS源の筐体から取り除かれてもよい。
【0488】
図6Aおよび図6Bは、取り外し可能な加熱された衝突面アセンブリ215および毛細管もしくはサンプル管206を備える、一実施形態の異なる角度からの概略的3D図を示す。ユニット全体は自己充足型であり、用具を使用することなく、また真空を破壊することなく、質量分析計の筐体から、またはREIMS源筐体から取り除かれてもよい。ユニットは、サンプル管206をその一端で受領し、他端に配置された衝突面またはアセンブリ215を有する、本体214を備える。ユニット筐体214は、PEEKから形成されてもよく、主加熱アセンブリを備えてもよい。サンプル管206は質量分析計207への流入口206に対応してもよく、衝突面アセンブリ215は、図2および図3に関連して説明された衝突面209を備えてもよい。サンプル管206は、エアロゾルを衝突面209に送達するために、ユニットを通って衝突面アセンブリ215に隣接した領域に走る。収縮可能な遮蔽217は、ユニットが質量分析計またはREIMS源から取り除かれたときは、衝突面アセンブリ215を遮蔽し保護するために提供されてもよい。遮蔽217は、収縮した位置、すなわちユニットが質量分析計またはREIMS源に挿入されたときに遮蔽217がある位置に示されている。しかしユニットが取り除かれたとき、遮蔽は、衝突面アセンブリ215を包囲し保護するように自動的に伸張してもよい。遮蔽217は金属であってもよく、以下にさらにより詳しく説明する。図6Bは衝突面アセンブリ215をより詳細に示し、衝突面アセンブリ215はセラミック容器229を備えるアセンブリによりユニット内に装着されてもよい。これについては以下にさらにより詳細に説明する。
【0489】
毛細管またはサンプル管206は、毛細管またはサンプル管206を筐体214から単に出すことによりユニット筐体214から取り除かれてもよい。また衝突面アセンブリ215はユニット筐体214から取り除くことができてもよく、用具を使用することなく速やかに交換されてもよい。次にこれらの機能が可能な構造について説明する。
【0490】
図7Aおよび図7Bは、図6Bに示された取り外し可能なユニットを通る断面図を示す。ユニット筐体214は、流入毛細管206がユニット筐体214の第1の端部に挿入され、ユニット筐体214を通過し、流入毛細管206の出口端部が衝突面アセンブリ215に隣接して配置されるように、ユニット筐体214の対向する第2の端部から出ることができるように、その中心軸に沿った穴部271を備える。穴部271の一部はユニット筐体214の第1の端部で、固定した場所に毛細管206を固定させるように構成されてもよい。例えば穴部271の一部は第1の端部で、軸方向に固定された場所で毛細管206を保持するように毛細管206上にネジで螺合された連結具(図示せず)と係合するように構成されてもよい。
【0491】
毛細管206がユニット筐体214内に配置されていないときに、穴部271を封止することが望ましい。例えばユニットは、衝突面アセンブリ215を備えるユニットの第2の端部が、質量分析器207また質量分析計102の真空領域にあり、毛細管206を受領するユニットの第1の端部が高圧領域にあるように、質量分析器207または質量分析計102に連結されてもよい。このような配置では、ユニット筐体214から毛細管206を取り除くことによって、望ましくない気体流がユニット筐体214を通り、分析計の真空領域に入ることがある。したがってユニットは、毛細管またはサンプル管206が取り除かれると、自動的に作動できる(第1の)真空遮断機構を有してもよい。真空遮断機構はボール弁を備えてもよい。ボール弁は、遮断ボール216を備えてもよく、外気から質量分析計の真空チャンバを遮断するために閉じた穴部271を封止するように、毛細管206が穴部271内にないときに、遮断ボール216がユニット筐体214を通って穴部271の中に移動するように配置され構成されてもよい。遮断ボール216は、穴部271と相互連結された導管または凹部272内に提供されてもよく、ボール216は、重力、バネ、または何らなの他の機構により穴部271の中に移動するように付勢されてもよい。別法としてまたは追加として、ボール216は、質量分析計の真空圧力からの吸引により穴部271の中に付勢されてもよい。
【0492】
毛細管またはサンプル管206がユニットの中に挿入されると、弁は自動的に開いてもよい。例えば遮断弁は、毛細管またはサンプル管206の挿入により、遮断ボール216を押すか、または別法としてずらし、穴部271を開き、毛細管またはサンプル管206を正しい位置にさらに押し戻すことができるように構成されてもよい。
【0493】
図7Bは、毛細管またはサンプル管206、遮蔽217、衝突面アセンブリ215、およびボール216を備える真空遮断機構なしに、ユニット筐体214を通る断面図を示す。ユニット筐体214内の穴部271の寸法Yは、一旦毛細管またはサンプル管206が筐体214に挿入されると、次いで気体漏れは最小または実質的にゼロになるように、毛細管またはサンプル管206の外径と実質的に同様であってもよい。
【0494】
上に説明され、図7Aに示されたように、衝突面アセンブリ215は、収縮可能な遮蔽217によって保護されてもよい。収縮可能な遮蔽217は、以下により詳細に説明する衝突面アセンブリ215に対して、比較的脆弱な支持機構および関連した電線を包囲し保護する伸張した位置に遮蔽217を付勢する、1つまたは複数のバネなどの付勢機構273によりユニット筐体214に装着されてもよい。ユニットがまず質量分析器もしくは分析計の主筐体と係合されるか、またはREIMS源アセンブリ(図示せず)に挿入されると、収縮可能な遮蔽217は、自動的に図7Aに示された位置まで完全に収縮され、それによって衝突面アセンブリ215が露出する。
【0495】
図8Aおよび図8Bは、それぞれ遮蔽217が伸張した位置および収縮した位置にある、図6A図6B図7A、および図7Bの取り外し可能なユニットを示す。図8Aでは、遮蔽217は、衝突面または衝突面アセンブリ215を完全に保護するように伸張している。図8Bでは、遮蔽217は、例えばユニットがREIMS源アセンブリに1回挿入され、完全に収縮している。
【0496】
図9Aおよび図9Bは、衝突アセンブリ215の斜視図および断面図を示す。衝突アセンブリ215は加熱された激突面209を備え、加熱された激突面209はアルミナ(セラミック)円筒部226から形成されてもよい。円筒部226は、使用時に円筒部226および衝突面を加熱するために加熱コイル227の周囲に装着されてもよい。コイル227に熱を発生させるように2つの電極228を介して加熱コイル227に電力が供給されてもよい。コイル227は、Kanthal(登録商標)などの材料から形成されてもよく、ほぼ10W程度の電力が供給されてもよい。衝突面は作動中に700〜1100℃の範囲の温度に加熱されてもよい。
【0497】
図10は衝突アセンブリ215の概略を示し、衝突アセンブリ215はユニット筐体214から取り外してもよい。アセンブリ215は、加熱された激突面円筒部226、コイルアセンブリ227、電極228、2つの導体管、および機械的安定性をアセンブリに加えるための容器229を備える。容器229により、焼けたまたは汚染された衝突面を容易に交換できる。容器229はセラミックでもよい。
【0498】
上に説明されたように、衝突アセンブリ215を備える取り外し可能なユニットは、質量分析器または分析計またはREIMS源の筐体に挿入されても、または除去されてもよい。
【0499】
図11Aおよび図11Bは、REIMS源筐体219に連結されたときのユニット筐体214および衝突アセンブリ215を備えるユニットの断面図を示す。REIMS源筐体219はそれを通る軸導管を備える。軸導管の第1の端部は、取り外し可能なユニットを受領するために開いている。(第2の)遮断弁は、導管を通る気体流を選択的に塞ぐために導管の第2の端部に配置される。図11Aは、遮断弁220が閉じているときの器具を示す一方で、図11Bは遮断弁220が開いているときの器具を示す。またREIMS源筐体219は、導管内に配置され、弁220を作動させるために遮断弁220に連結された遮断弁作動バレル218も備える。
【0500】
使用時に、取り外し可能なユニット筐体214は、衝突面アセンブリ215が遮断弁220に隣接して配置されるように、REIMS源筐体219の導管の中に挿入される。取り外し可能なユニットを挿入中に、遮蔽217は、衝突面アセンブリ215を曝すように収縮する。示されていないが、流入毛細管206は、遮断ボール216を移動させ、その出口オリフィスが衝突面アセンブリ215に隣接するまで伸張されるように、取り外し可能なユニット内で穴部271の中に挿入される。取り外し可能なユニットをREIMS源筐体219の中に挿入中に、ユニット筐体214は、遮断弁作動バレル218と相互連結している。
【0501】
図11Aは待機構成の器具を示す。このモードでは、質量分析計の真空は遮断弁220を介して大気から隔離され、遮断弁220はREIMS源筐体219内で導管を横切って閉じたカム220aを備える。取り外し可能なユニット筐体214と作動バレル218との間の相互連結、および作動バレル218と弁カム220aとの間の相互連結は、取り外し可能なユニットがその長手方向軸を中心に回転することにより弁220が開くように構成される。取り外し可能なユニット筐体214の回転により、作動バレル218がその長手方向軸を中心に回転してもよく、これにより導管を塞がないようにカム220aがその長手方向軸を中心に回転してもよい。例えば取り外し可能なユニットは、弁220を開くために270度だけ回転されてもよい。
【0502】
図12A図12Eは、REIMS源筐体219および弁220の斜視図を示す。図12Aは、遮断弁220およびREIMS源筐体219の構成要素の分解図を示す。より具体的には、図12Aは、遮断弁220がREIMS源筐体219の中に挿入中の作動バレル218を示し、取付け前の遮断弁220のカム220aを示す。例えばステンレス鋼から作成された熱遮蔽260は、カム220aと遮断弁220との間に提供されてもよい。熱遮蔽260が確実に筐体219と同じ電位に維持されるために、電気接点262を熱遮蔽260と接触させてもよい。電気接点262は、作動バレル218(これは筐体219に電気的に接続される)に提供されてもよく、熱遮蔽260と接触するように例えばバネによって付勢されてもよい。図12Bは、遮断弁220の挿入後のREIMS源筐体219を示し、REIMS源筐体219を通る導管を閉じるように閉位置にある、すなわち待機モードにあるカム220aを示す。図12Cは、待機モードにある作動バレル218およびカム220aの位置を示す。図12Dは、遮断弁220の挿入後のREIMS源筐体219を示し、REIMS源筐体219を通る導管を開くように開位置にある、すなわち作動モードにあるカム220aを示す。図12Eは、作動モードにある作動バレル218およびカム220aの位置を示す。
【0503】
図13A図13Dは、遮断弁220のカム220aを封止するために使用されてもよいカムシール230を示す。より具体的には、図13Aは、取り外し可能なユニット筐体214をREIMS源筐体219に挿入前の装置の分解図を示す。また衝突面209を加熱する電気フィードスルー232も示されている。カムシール230は、REIMS源筐体219上のカム220aと接合板234との間に配置され、カム220aが開閉時にREIMS源筐体219内で開く導管の周囲に封止を提供する役目を果たす。図13Bおよび図13Cは、シール230の斜視図および側断面図を示す。図13Dは、図13Cにおけるシール230の一部の拡大図を示す。シール230の輪郭により、追加の固定具を含む必要なしに、遮断弁220および真空系によって加えられる力に起因して圧縮を引き起こすことができる。図13Dに示されたような弁シール230の特定の輪郭により、標準Oリングに対する場合にシールの確保を維持できるはずであるものと同じOリング溝を使用できる。REIMS源筐体219に接触するシール230の表面は、軸から導管を通って半径方向外方に移動するとき、REIMS源筐体219から離れて湾曲する。これにより、カム220aは、そうでなければシール230の損傷または移動をもたらすことがある著しい摩擦力なしに、シール230を超えて摺動することができる。これは標準Oリングを使用してはできない。
【0504】
図14は、図11Aおよび図11BのREIMS源筐体219および筐体214を備える取り外し可能なユニットを示し、毛細管206は取り外し可能なユニットの穴部271の中に挿入されている。REIMS源筐体219は、遮断弁220を介して質量分析器207に連結されている。毛細管206の流入端部は、ベンチュリポンプ223から検体およびマトリクスを受領し、これは図5A図5Dに関して示され説明されたのと同じ配置である。器具は、例えば図2図3、および図5に関して本明細書で上に説明したような方式で操作されてもよい。
【0505】
上に説明したように、検体サンプルとマトリクスの混合物は、流入毛細管206から通過して移送されてもよく、流入毛細管206から出現し、衝突面215に激突してもよい。衝突面215は、例えば誘導加熱器によって加熱されてもよい。サンプルとマトリクスの混合物が流入毛細管206に沿って移動する際に、サンプルとマトリクスの混合物を加熱するためにさらに加熱器が提供されてもよい。この加熱器は誘導加熱器であってもよく、流入毛細管206の周囲を包む誘導性金属(例えばタングステン)を備えてもよい。
【0506】
検体とマトリクスの混合成分は、衝突面215に激突することによってイオン化されるように配置されてもよい。このステップは、動力学的イオン化、さらに二次化学イオン化も実行するように配置されてもよい。上に説明したように、混合物は加熱されてもよく、混合物は、熱イオン化も引き起こす程度に加熱されてもよい。得られる検体イオンは、次いでイオンガイド225の中に通されてもよい。イオンガイド225は、公知の手法、例えば電界を使用してイオンを操作することにより、検体イオンを中性フラックスまたは背景ガスから分離するように配置されてもよい。
【0507】
様々な実施形態は、質量分析計または他の気相イオン分析様式を使用して、検体を含有するエアロゾルおよび気体サンプルの化学分析のための装置および関連方法を提供する。この方法は、閉囲空間の中に検体を含有するエアロゾルまたは他の気体サンプル201を導入することで開始し、閉囲空間内で、サンプルは低分子量のマトリクス化合物204と混合される。この同質または異質の混合物は、次いで流入毛細管206を介して質量分析計またはイオン移動度分析計の大気インターフェースの中に導入される。マトリクスを分析器具の低圧領域の中に導入時に、サンプルとマトリクス化合物の分子成分を含有するエアロゾル粒子が形成され、これは自由噴流の拡散によって加速される。混合された成分のエアロゾル粒子205は、続いて固体の衝突面209、215の衝突を介して溶解される。溶解事象は、サンプル210の化学成分の分子イオンを含む、中性および荷電種を生成する。イオン210は、イオン210を中性種と異なる経路に案内するように電界を使用することにより、例えばStepwave(登録商標)イオンガイドなどのイオンガイド212、225を使用することにより、中性種から分離されてもよい。分子イオン210は、次いで質量または移動度分析を受ける。これは、高い電圧またはレーザーを印加することなく、オンライン様式でエアロゾルの分性成分の分析のために単純な解決策を提供する。
【0508】
上に開示された方法およびデバイスは、気相またはエアロゾル型サンプルのオンラインの質量分析計およびイオン移動度分光分析器のための解決策を提供する。
【0509】
様々なさらなる実施形態によれば、マトリクス化合物は、サンプルがイオン分析器デバイスの中に導入される前に、あらゆる点で蒸気としてまたは液体としてサンプルエアロゾルに混合されてもよい。
【0510】
クラスタの表面誘起解離を実行するための特定の固体の衝突面形状が、上に説明されたが、他の形状を企図することができる(クラスタが溶解を誘起するために十分な高速で衝突面に激突すると仮定して)ことが理解されよう。
【0511】
図15は、衝突面209または衝突アセンブリ215が中空衝突アセンブリ350によって置換される、一実施形態の単純化された概略図を示す。毛細管206は毛細管354によって表されている。中空衝突アセンブリ350は、比較的大きい流入口352および比較的小さい流出口353を有する漏斗形状のアセンブリ351を備えてもよい。漏斗形状の衝突アセンブリ350は、流入端部352から流出端部353に向かって、すなわちエアロゾル粒子および得られる検体イオンの流れる方向にアセンブリの軸に沿って内径が次第に先細になるか、または低減する。
【0512】
エアロゾル粒子または分子は、エアロゾル粒子または分子が次いで衝突アセンブリ350の流入口352に向かって方向付けられるので、次いでエアロゾルの少なくとも一部が衝突アセンブリ350の縁部および/または内面355に激突するように、毛細管354の出口または他のエアロゾルの導入部から出現するように配置される一実施形態に従ってもよい。衝突アセンブリ350の縁部および/または内面355に激突するエアロゾルにより、激突時にイオン化されることがあり、それによって検体イオンが発生する。得られる検体イオンは、次いで例えば気体流により衝突アセンブリ350の流出口353から出現するように配置される。この実施形態は、望ましくないまたは非検体クラスタがイオン化されるのを低減させることができ、それゆえ不要な背景イオンが発生するのを低減させることができる。具体的には、比較的大きい質量背景クラスタは、比較的大きい質量背景クラスタが中空衝突アセンブリ350に入って通過する際に、軸上に留まることがあり、それによって衝突アセンブリ350の縁部または内面355に激突することを避ける。結果として、大きい質量の背景クラスタは衝突アセンブリ350の縁部または内面355に激突しないことがあり、それゆえ衝突アセンブリ350の縁部または内面355に激突することによってイオン化しないことがある。
【0513】
衝突アセンブリ350の流出口353から(衝突アセンブリ350の縁部または内面355に激突することなく)出現する非イオン化または中性の(不要な)背景クラスタを、次いで電界を使用することにより関心対象の電荷された検体イオンから有効に分離することができる。例えば衝突アセンブリ350の流出口353から(衝突アセンブリ350の縁部または内面355に激突することなく)出現する、非イオン化または中性の(不要な)背景クラスタを、(例えば図14に示されたような)StepWave(登録商標)イオンガイド212、2225を通る検体イオンおよび望ましくない中性の背景クラスタの両方を通すことにより、関心対象の電荷された検体イオンから分離してもよい。上に説明したように、StepWave(登録商標)イオンガイドは、結合されたリング電極から形成されたイオンガイドを備える。(不要な背景クラスタなどの)中性粒子または分子および検体イオンは、どちらもイオンガイドの第1の部分内に受領されてもよい。イオンガイドの第1の部分内のリング電極は、比較的大きい内径を有するように配置されてもよい。過渡直流電圧または電位は、イオンガイドの長さに沿って検体を付勢する効果を有する電極に印加されてもよい。一定の半径方向の直流電圧勾配は、イオンガイドの次の部分を横切って、例えばイオンガイドの中心部を横切って維持されてもよい。一定の半径方向の直流電圧勾配は、検体イオンをイオンガイドの1つの部分からイオンガイドの別の部分に方向付ける効果を有する。例えば検体イオンを、結合されたリング電極が比較的小さい直径を有してもよいイオンガイドの第2の部分に方向付けてもよい。半径方向の直流電圧勾配は、中性の(不要な)粒子または分子に影響を及ぼさないことが理解されよう。結果として、不要な中性の背景クラスタは、イオンガイドを通ってまっすぐに連続し、ポンプを介して排出されることが可能である。同時に、検体イオンを、イオンガイドの第2の部分内で半径方向に制限することができる。第2の部分のリング電極が比較的小さい直径を有するように配置される場合は、検体イオンを狭い直径に制限することができ、続くビームを前方に、例えば差動ポンピング開口を通ってまたは比較的狭い許容角度を有するイオンガイドの中に伝送する助けとなる。最終的に検体イオンまたは検体イオンから引き出された断片イオン、生成イオン、もしくは娘イオンを、StepWave(登録商標)イオンガイドの下流に配置された質量分析器207によって質量分析することができる。
【0514】
図15に関して上に示され説明された実施形態は、信号対雑音比を向上させることを含む複数の恩恵を有する。さらに、中空衝突アセンブリ350の利用は、エアロゾルのイオン化効率を向上させることが見出された。
【0515】
図15を参照に上に示され説明された実施形態の別の恩恵は、中空衝突アセンブリ350が、中空衝突アセンブリ350への望ましくない粒子または分子の激突に起因する汚染を被ることが少ないことである。結果として、中空衝突アセンブリ350は洗浄または他の保守を必要とする頻度が少ない。さらに不要な粒子または分子の衝突アセンブリ350への激突、および望ましくない背景クラスタを排出部に方向付けるために中空衝突アセンブリ350の下流でのStepWave(登録商標)イオンガイドの使用が低減することにより、中空衝突アセンブリ350および/またはStepWave(登録商標)イオンガイドの下流に配置された、イオンガイド、四重極質量フィルタ、イオントラップ、イオン移動度分析デバイス、ならびに差動ポンピング開口などのイオン光学の汚染が大幅に低減する。
【0516】
衝突アセンブリ350は、例えばアセンブリ351の周囲を包んだ電気抵抗性加熱コイルによって加熱されてもよい。強いイオン信号は、≧2.5A、恣意的に≧3A、および恣意的に≧4Aの加熱コイルの電流を使用することによって獲得されてもよい。強いイオン信号は、毛細管354の出口から2〜3mmにアセンブリ351を配置することによって獲得されてもよい。
【0517】
別の実施形態によれば、図15に示された漏斗形状の衝突アセンブリ351は、図16に示されたような中空円筒形状の衝突アセンブリ361に置換されてもよい。この実施形態によれば、衝突アセンブリ360の内径は、衝突アセンブリ360の長手方向の長さに沿って基本的に一定のままである。中空円筒形状の衝突アセンブリは流入口362および流出口363を有する。エアロゾル粒子または分子は、エアロゾル粒子または分子が次いで衝突アセンブリ360の流入口362に向かって方向付けられるように、毛細管364または他のエアロゾル導管の出口から出現するように配置されてもよい。エアロゾルは、衝突アセンブリ361の縁部および/または内面365に激突するように配置される。またこの実施形態も、中空漏斗形状の衝突アセンブリ351の恩恵と同じ恩恵を示す、すなわちイオン化効率を向上させ、信号対雑音比を向上させ、イオン光学の汚染を低減することが見出された。
【0518】
衝突アセンブリ361は、例えば衝突アセンブリ361の周囲を包んだ電気抵抗性加熱コイルによって加熱されてもよい。イオン信号は、≧3.5A、恣意的に≧4A、および恣意的に≧5Aの加熱コイルの電流を使用することによって最適化されることが見出された。最適なイオン信号は、毛細管354の出口から3〜4mmにアセンブリ351を配置することによって獲得されてもよい。
【0519】
したがって中空漏斗形状の衝突アセンブリ351および中空円筒形状の衝突アセンブリ361は、どちらも特に有益であり、国際公開第2013/098642号(Medimass)(特許文献1)に開示された公知の配置より著しい改善を表すことは明らかである。
【0520】
衝突面は球形、円筒形、または漏斗形状であるように説明されたが、他の構成も企図される。
【0521】
図17Aおよび図17Bは、あり得る衝突面の例示的構成の概略図を示す。図17Aは、図2および図3に示された衝突面209に対応する。例えば衝突面209は球形のステンレス鋼の衝突面209aであってもよく、流入毛細管206の端部から分析器207の中に約6mm装着されてもよい。図17Bは、コイル形状の衝突面209bの形で使用してもよい一実施形態による衝突面209を示す。イオンは、イオン光学212によりイオン分析器207の分析領域(図示せず)に移送されてもよい。上に論じたように、イオン光学212はStepwave(登録商標)イオンガイドを備えてもよい。
【0522】
REIMS機構は、正電荷および負電荷を帯びたイオンの発生を実質的に等しく生じ得ることが認識されており、正電荷および負電荷を帯びたイオンは、その後中性電荷の比較的大きい分子クラスタを形成することがある。これらの中性クラスタは、分析器または分析計内の電界によってあまり良好に操作されず、それゆえ例えば器具イオン光学212によって除去されることがある。本明細書に説明された衝突面209、215は、分子クラスタ205を分裂させる働きをし、イオンを解放するので、イオンが分析器または分析計内の電界によって案内されてもよい。しかし衝突面209、215の提供により、異なるサンプルの測定結果の間の二次汚染を誘発することがあることも認識されている。例えばある特定の細菌代謝産物、例えばバクテロイデ属によって生成されたある特定のスフィンゴ脂質またはある特定のバチルス属によって生成されたサーファクチンおよびリチェニシンなどのリポポリペプチドは、わずかな反復測定のみの後で、比較的強い記憶効果を誘発することが見出された。この二次汚染は、各分析の前に大気圧インターフェースを洗浄することによって軽減させることができた。しかしこれは特に自動器具には望ましくない。衝突面209、215の汚染を阻止するために、表面を例えば数百℃に加熱してもよい。例えば衝突面209、215を加熱することにより、衝突面209上の炭素質堆積物が流入毛細管206を通って導入される酸素と反応することがある。次いで炭素質堆積物はCOガスに変換され、COガスは衝突面209、215から離れることができ、それゆえ次の分析中に器具を汚染しない。図17Bのコイル形状の衝突面209bは、特に再現可能な熱分配を提供する。
【0523】
衝突要素または衝突面209、215は、例えば図17Bにおいて電圧Vを印加することにより、衝突面209、215を通って電流を通すことによって加熱されることがある材料から構成されてもよく、分析中に衝突面を容易に加熱できる。例えば衝突面209、215は、kanthalなどの耐熱鉄クロムアルミニウム(FeCrAl)合金から製造されてもよい。このような加熱された衝突面209、215を使用することにより記憶効果が著しく低減し、したがって器具を洗浄する頻度は大幅に低減されることがある。例えば何千ものデータベースのエントリを、いかなる記憶効果なしに記録することができ、リポポリペプチドへの露出が延長されても、いかなる持ち越しも見られなかった。
【0524】
球形、コイル形状、または他の形状の衝突面が使用されてもよい。例えば円筒形または管状の衝突面が使用されてもよく、これらは例えば円筒形または管の内側から加熱されてもよい。円筒形または管状構造は、石英、セラミック、ガラス、ガラスセラミック(例えばMACOR(登録商標))を備えてもよく、または石英、セラミック、ガラス、ガラスセラミック(例えばMACOR(登録商標))から形成されてもよい。
【0525】
加熱された衝突面209、215を使用して獲得されたスペクトルプロファイルは、場合によって例えば図18Aおよび図18Bに示されたように加熱されていない衝突面209、215を使用して獲得されたスペクトルプロファイルと異なってもよい。
【0526】
図18Aおよび図18Bは、加熱されていない衝突面および加熱された衝突面それぞれを使用して、バクテロイデス・フラギリスの分析から生じるスペクトルプロファイルを示す。これは、この型の加熱面技法を使用して分析されるスペクトル成分のすべてが十分に熱的に安定しているわけではないことを示す。例えば加熱面の効果は、ホスファチジン酸(これは例えばカンジダ・アルビカンスなどの菌類によく見られる)およびスフィンゴ脂質(これは例えばバクテロイデス菌によく見られる)に特に強いように思われる一方で、ホスファチジルグリセロールおよびホスファチジルエタノールアミン(これらは例えばミラビリス変形菌内の主なリン脂質種である)に見られるスペクトル外観への効果は少ない。
【0527】
上に説明されたように、衝突面209、215の上流にイソプロピル・アルコール(IPA)などのマトリクス化合物204を導入することにより、検体イオン化および器具の感度を向上させることが見出された。またマトリクス化合物204の導入により、そうでなければ非加熱衝突面より加熱衝突面を使用することによって損なうはずである、スペクトル特性を回復することがあることも見出された。例えば図18Aおよび図18Bは、加熱衝突面の使用により、バクテロイデス・フラギリス内のセラミドなどのスペクトル特性が除去されることが見出されたことを実証する。イソプラパノールを質量分析器207または分析計の中に導入する前に、サンプルエアロゾル201の中に導入することにより、これらのスペクトル特性を回復させ、非加熱衝突面を有する大気圧インターフェースのフィンガープリントと同様の質量スペクトルのフィンガープリントを生成することが見出された。さらにサンプルエアロゾル201へのマトリクス204(例えばイソプラパノール)の追加により、エアロゾルの直接導入に比べて同様またはより高い信号強度をもたらしたので、エアロゾル輸送のためにベンチュリポンプ213を使用することができる。
【0528】
衝突面209、215は様々な形状において説明されたが、他の形状も企図される。例えば衝突面は円錐形でもよい。実験データは、様々な最大直径の衝突面に対して収集された。
【0529】
図19A図19Bおよび図20A図20Bは、球形、円錐形、およびコイル形状の衝突面に対する衝突面209、215の最大直径の関数として獲得されたイオン信号強度を示す。データは、超音波ネブライザー内でロイシン・エンケファリン(IPA:水が3:1の25ng/μl)と脂質PC14:0およびPG14:0(IPA:水が3:1の25ng/μl)の混合物を蒸発されること、次いで衝突面209、215を備える質量分析計の中に噴霧化された材料を導入することによって獲得された。監視されたピーク強度は、質量対電荷比554を有するロイシン・エンケファリン[M−H]−、質量対電荷比556を有するロイシン・エンケファリン[M+H]+、質量対電荷比665を有するPG14:0[M−H]−、ならびに質量対電荷比701を有するPC14:0[M+Na]+であった。図19Aおよび図19Bは、マイナスイオンモードおよびプラスイオンモードのそれぞれで異なる形状および異なる直径の衝突面209、215に対して、ロイシン・エンケファリンに対して収集されたデータを示す。図20Aおよび図20Bは、マイナスイオンモードおよびプラスイオンモードのそれぞれで異なる形状および異なる直径の衝突面209、215に対して、脂質に対して収集されたデータを示す。
【0530】
概して、信号強度は、衝突面209、215の直径の増加とともに増加する。コイルが加熱されると、ロイシン・エンケファリンおよび脂質の混合物のどちらも強度は降下したのと対照的に、組織の分析に対しては、コイルが加熱されると強度は大きくなった。
【0531】
図21は、非加熱球形の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。衝突面は3.5mmの直径を有し、毛細管流出口206から2mmに配置された。
【0532】
図22は、非加熱円筒形の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。衝突面は3.5mmの直径を有し、毛細管流出口206から2mmに配置された。
【0533】
図23は、加熱されたkathal(登録商標)コイル形状の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。コイルは2.9Aの電流および40Vのオフセットを使用して加熱された。このコイル構成は、サンプルの分析中に衝突面の汚染を避けるために特に有効であった。
【0534】
図24は、円筒内に配置されたコイルによって加熱された、石英円筒形の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。コイルは電流2.9Aで加熱された。この構成は、衝突面の比較的低い汚染をもたらす良好なスペクトルを生成した(黒色汚染点が観察された)が、スペクトルは露出したコイルを衝突面として使用したときより高さが低い。
【0535】
図25は、円筒内に配置されたコイルによって加熱された、ガラスセラミックのMACOR(登録商標)円筒形の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。コイルは電流1.2Aで加熱された。この構成により石英円筒形の衝突より汚染が高くなり、スペクトルは、露出したコイルを衝突面として使用したときより高さが低い。
【0536】
図26Aは、その中に埋め込まれた加熱コイルによって加熱された、セラミックの衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。コイルは電流2.9Aで加熱された。この構成は、低い質量で特に強い強度を生成し、実質的に衝突面の汚染をもたらさなかった。図26Bは、600〜900の質量範囲内の図26Aの質量スペクトルを示す。
【0537】
図27Aは、加熱されたニッケルのコイル形状の衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。コイルは電流2.25Aで加熱され40Vのオフセットを使用した。この構成は、使用中に緑色を取得し、kanthal(登録商標)コイルより雑音が多いスペクトルを生成した。図27Bは、600〜900の質量範囲内の図27Aの質量スペクトルを示す。
【0538】
図28Aは、毛細管206の出口とkathalコイルの衝突面209との間の距離の差に対して検出されたイオン信号強度を示す。コイルは電流3.6Aで加熱され40Vのオフセットを使用した。分析後にコイルの汚染は観察されなかった。図28Bは3mm離れた質量スペクトルを示し、図28Cは5mm離れた質量スペクトルを示す。距離が約3mmに増加されるとスペクトルが表れ始め、距離が約5mmに増加されるとピークが表れ始めることが観察された。
【0539】
器具の感度およびスペクトルを最適化するために、異なる衝突面の形状を検査した。分析は、REIMS分析を使用してブタの肝臓で実行した。サンプルエアロゾルを衝突面に搬送するために装置にはステンレス鋼の毛細管が備えられた。毛細管は、長さ49.65mm、内径0.02インチ(0.05cm)、および外径1.16インチ(2.9cm)であった。衝突面は、毛細管の端部から2mmに位置付けられた。円錐形、平面、円筒形、および球形の4つの型の衝突面を試験した。
【0540】
円錐の頂点を毛細管の流出口に向かって配置し、円錐面が毛細管の下流方向に直径が大きくなるように先細であるように、円錐形の衝突面を検査した。図29Aは、衝突面として円錐形を使用して獲得された質量スペクトルを示し、図29Bは、円錐面が長さ6.9mmおよび直径3.5mmの円筒形部に外方に先細であるときに獲得された質量スペクトルを示す。円錐形の衝突面は、気体分子の比較的高い破砕を生成し、この例では、脂肪酸が独占的に存在する質量スペクトルをもたらす。
【0541】
多数の平坦な衝突面を検査した。
【0542】
図30Aおよび図30Bは、円盤形状の衝突部材、すなわち上流側部および下流側部が平坦である部材を使用して獲得された質量スペクトルを示す。図30Aのスペクトルを獲得するために使用した衝突部材は直径5mmであり、図30Bのスペクトルを獲得するために使用した衝突部材は直径3mmであった。これらの衝突面のそれぞれに対して観察された総イオン電流は、比較的低かったので(約7.5E4カウント)、質量スペクトル内のイオンに対する感度も低かった。
【0543】
また毛細管の流出口に向かって上流に面する平面、および下流に面する非平面を有する衝突アセンブリも検査した。
【0544】
図31Aは、半球の平面が毛細管の出口に面する半球である、衝突部材を使用して獲得された質量スペクトルを示す。半球の直径は3.5mmであった。図31Bは、平坦な上流面が毛細管の出口に面し、半球の下流面が円筒形部により上流面から離間された、衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。半球面は直径が35mmであり、円筒形部は長さが7mmであった。図31Cは、平坦な上流面が毛細管の流出口に面し、円錐の下流面が円筒形部(長さが7mm、直径が35mm)により上流面から離間された、衝突面を使用して獲得された質量スペクトルを示す。円錐部は下流方向に直径が低減する。これらの形状も総イオン電流が比較的低く(<7E4カウント)、感度も比較的低かった。
【0545】
また毛細管の出口を通る軸に垂直な円筒形の長手方向軸を有する、円筒形の衝突面も検査した。異なる外径の円筒形の衝突アセンブリを検査した。各円筒は、長さが8.7mmであり、毛細管の出口の2mm下流に配置したが、円筒の中心部のみが器具に通気後に堆積を示したので、円筒の中心部のみが気体分子の衝突に加わった。
【0546】
図32Aは、外径5mmを有する衝突アセンブリを使用して獲得された質量スペクトルを示し、図32Bは、外径3.5mmを有する衝突アセンブリを使用して獲得された質量スペクトルを示し、図32Cは、外径2mmを有する衝突アセンブリを使用して獲得された質量スペクトルを示す。2つの複製を超える3つの衝突面に対する平均の総イオン電流は、直径2mmを有する円筒に対して2.6E5、直径3.5mmを有する円筒に対して2.8E5、および直径5mmを有する円筒に対して7.5E4であった。これらの円筒形の衝突アセンブリは、平面の衝突アセンブリより1桁高い良好な結果を示した。
【0547】
異なる外径を有する球形の衝突アセンブリを検査した。球形は、それぞれ毛細管の出口の2mm下流に配置された。球形の衝突アセンブリは、外径が1.5mm、2.5mm、3.5mm、および4mmであった。4つの球形の衝突面は、図33Aに示された質量スペクトルと同じ質量スペクトルを示したが、強度は異なった。図33Bは、球形の衝突面の外径の関数として総イオン電流を示す。
【0548】
また湾曲面を毛細管の出口に向かって方向付け、平面を毛細管の出口の反対に方向付けた半球の衝突アセンブリも検査した。この構成により、総イオン電流が比較的低くなり、質量スペクトルが乏しくなった。
【0549】
円筒形および球形などの丸みを帯びた衝突面は、良好な衝突面を提供することが見出された。約3.5mmの直径を有する球形の衝突面は、高い総イオン電流および良好な質量スペクトルを提供することが見出された。
【0550】
例えば衝突面の周囲の動力学および総イオン電流および質量スペクトルを修正するために、シース管を衝突面の周囲に配置させてもよい。異なる長さ、例えば1cm、1.5cm、および2cmを有する円筒管を含む、シース管の様々な構成を調査した。これらの管は、3.5mmの直径を有し、毛細管の端部から2mmに配置された球形の衝突面の周囲に配置された。異なる長さを有する円筒形シース管の総イオン電流への影響が図34Aに示されている。これから、この例における最適な遮蔽の長さは、ブタの肝臓の分析に対して1.5cmであることがわかる。図34Bは、1.5cmのシース管を有する構成を使用して獲得された質量スペクトルを示す。シース管の使用に起因して質量スペクトルに二量体がないことが注目に値する。約10分間、質量スペクトルに二量体がないことが観察され、この設置がREIMSを使用する動物組織の分析を有益にさせた。
【0551】
またメタノールを流してベンチュリポンプおよび流入毛細管を洗浄することは、質量スペクトル内に存在する二量体を低減させる役に立つことも見出された。
【0552】
質量スペクトルを向上させるために、衝突面とシース管との間の電圧差は維持されてもよい。図35Aは、衝突面とシース管との間の相対電圧差の効果を示す。スペクトルは、毛細管の流出口の2mm下流に配置された直径3.5mmの球形の衝突面を使用して獲得された。球面とシース管との間の距離は2mmであった。
【0553】
図35B図35Dは、衝突面とシース管との間の異なる電圧差で獲得されたスペクトルの詳細を示す。図35Bは、シース管を30Vに維持し、衝突面を15Vに維持して獲得されたスペクトルを示す。図35Cは、シース管を30Vに維持し、衝突面を20Vに維持して獲得されたスペクトルを示す。図35Dは、シース管を30Vに維持し、衝突面を25Vに維持して獲得されたスペクトルを示す。衝突面をシース管より約5V高い電圧に維持することにより、スペクトルを向上させることが見出された。
【0554】
サンプルを衝突面に送達する毛細管は加熱されてもよい。これは、特に衝突面が加熱されないときに、検出されたイオン強度を向上させることがある。図36A図36Fは、それぞれ毛細管を100℃、150℃、200℃、250℃、300℃、および350℃に維持している間に獲得されたスペクトルを示す。約200℃の温度の毛細管は、毛細管の閉塞に関連した許容量の問題を一緒に最適信号に提供する。衝突面が加熱されると、毛細管を加熱する必要はないことがあり、望ましくないことさえある。
【0555】
また毛細管の出口と衝突面との間の距離も調査した。図37Aは、毛細管の出口と衝突面との間の距離が(温度を200℃に維持した毛細管に対して)2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、および5mmで獲得されたスペクトルを示す。図37B図37Dは、それぞれ3mm、4mm、および5mmの距離に対するスペクトルをより詳細に示す。その結果は、毛細管の出口と衝突面との最適距離が、特に非加熱の衝突面に対して2mm〜3mmであることを示す。
【0556】
説明したように、衝突面はコイルであってもよく、コイルは衝突面を加熱するために衝突アセンブリ内で使用されてもよい。コイルは電流がコイルを通過する際に加熱されるように、コイルは電気抵抗性である材料から作成されてもよい。コイルのための例示的材料は、kanthal、kathal−D、ニッケルおよびNiCrothalである。
【0557】
図38Aは、2.9A〜3.5Aの様々な異なる電流を使用してコイルを加熱する間に、Kathal−Dコイルの衝突面を使用してサンプルを分析するときに検出されたイオン信号を示す。最適な加熱電流は約3.5Aであることがわかる。図38Bは、2.9A〜3.5Aの様々な異なる電流を使用してコイルを加熱する間に、NiCrothalコイルの衝突面を使用してサンプルを分析するときに検出されたイオン信号を示す。図38Cは、3.8A〜4.4Aの様々な異なる電流を使用してコイルを加熱する間に、別のコイルの衝突面を使用してサンプルを分析するときに検出されたイオン信号を示す。最適な加熱電流は約4.2Aであることがわかる。
【0558】
図39は、衝突アセンブリが実質的に円球ボール390内に覆われたKathalコイルを備える、別の実施形態を示す。円球ボール被覆390は、ガラス、セラミック、または本明細書に説明された他のコイル被覆の1つであってもよい。イオン信号は、コイルを通る≧5A、恣意的に≧5.5A(2.3V)の加熱電流を使用して最適化された。この電流はネイキッドコイルより高い。しかしこの実施形態は、ネイキッドコイルより比較的多い強度であったスペクトルを生成した。またこの実施形態の衝突アセンブリは、例えば0.1%の低い信号対雑音比を生成した。コイルを露出するために、被覆はその中に開口392を有してもよい。開口392、またひいては露出したコイルは、サンプルを衝突面に送達するために毛細管396の出口に面してもよい。
【0559】
図40Aは、中空衝突アセンブリ361がコイルによって形成されることを除いて、図16に示された実施形態と同様の別の実施形態を示す。エアロゾル粒子または分子は、エアロゾル粒子または分子が次いでコイルの衝突アセンブリの流入口に向かって方向付けられるように、毛細管の出口または他のエアロゾル導管から出現するように配置されてもよい。エアロゾルはコイルの衝突アセンブリの内面に激突するように配置される。コイルは電気抵抗性ワイヤであってもよく、コイルを通る電流を通すことによって加熱されてもよい。
【0560】
図40Bは、コイルに関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、図40Aの衝突アセンブリを使用して測定されたイオン信号を示す。距離は、コイルの出口端部に対して上流の方向に測定された。この例では、コイルは8mmの長さであり、それゆえ毛細管の出口端部は、8mm未満の距離でコイル内に配置される。コイルの内半径は3mmである。8mmを超える距離では、毛細管の出口端部はコイルの入口の上流に配置される。図に示すように、毛細管の出口端部がコイルの上流に離間されたときに、より高い強度の信号が獲得された。この例では、コイルは3Aの電流を使用して加熱された。
【0561】
図40C図40Mは、コイルに関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、図40Aの衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す。図40C図40Mは、それぞれコイルの出口端部から上流に0mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、および10mmの距離に配置された毛細管の出口を使用して獲得されたスペクトルを示す。図に示すように、最適なスペクトルは、9〜10mmの距離、すなわち毛細管の出口がコイルの1〜2mm上流に離間されて獲得された。
【0562】
この例では、コイルは3Aの電流を使用して加熱された。しかし他の電流を使用してコイルを加熱してもよい。
【0563】
図41Aは、異なる加熱コイル電流に対して、毛細管の出口がコイルの2mm上流に配置されたときに、図40Aの実施形態を使用して獲得された総イオン電流を示す。図41Aに示されたように、2.4A〜4.6Aの間で12個の異なる加熱コイル電流を試験した。総イオン電流は、コイルを通る加熱電流の増加に応答して実質的に直線的に増加する。総イオン電流は、4.6Aを超えて増加する電流に応答して増加し続ける。これは、毛細管の出口の軸に直交する軸を有するコイルの衝突面を使用するのとは対照的に、総イオン電流は、加熱電流が増加したときに、ある特定点を越えると向上し続けなかった。
【0564】
図40Aに示された毛細管の出口および衝突コイルの同軸配置は、イオン化を向上させる、例えば毛細管の出口に直交する長手方向軸を有する衝突コイルを越えることがある。例えば図40Aに示された配置では、毛細管から出るエアロゾルは、コイルの内側の数個のコイル縁部と衝突してもよく、コイルが加熱される場合、もはや熱激突がないことがある一方で、エアロゾル粒子は加熱されたコイルの内側にある。対照的に、コイルの長手方向軸が毛細管の出口を通る軸に直交して配置されると、これらの効果は存在しないことがある。むしろ衝突面と1回の衝突後に、粒子はコイルからさらに徐々に移動してもよく、これは激突および熱効果を使用して、液滴/エアロゾル粒子からイオン化された分子を解放する有効性を制限することがある。しかし上に説明したように、マトリクス自体が液滴からイオンのより有効な解放を可能にするので、マトリクスを使用してこれを克服することがある。
【0565】
図41B図41Mは、図41Aにおける各コイル電流で獲得されたスペクトルを示す。スペクトルは、コイル電流の増加とともに強度および信号対雑音比の安定した増加を示す。上に説明したように、マトリクスを使用してイオン化を助けてもよい。マトリクスの使用により、使用された加熱電流へのイオン信号の依存が低減することが見出された。
【0566】
また他の長さおよび内半径のコイルも使用してもよい。
【0567】
図42Aは、コイルに関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、4mmの長さ、3mmの内径を有する衝突コイルを使用して測定されたイオン信号を示す。距離は、コイルの出口端部に対して上流方向に測定された。この例では、毛細管の出口端部は、コイル内で4mm未満の距離に配置されている。4mmを超える距離では、毛細管の出口端部はコイルの入口の上流に配置されている。図に示すように、イオン信号が獲得されたのは、毛細管の出口端部がコイルの上流から離間されたときであった。この例では、イオン信号は、6mm以上の距離、すなわち毛細管の出口はコイルの2mm以上上流に置かれたときに、急速に上昇し始めた。
【0568】
図42B図42Gは、コイルに関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す。図42B図42Gは、それぞれコイルの出口端部から上流に2mm、4mm、5mm、6mm、7mm、および8mmの距離に配置された毛細管の出口を使用して獲得されたスペクトルを示す。図に示すように、信号対雑音比は距離の増加とともに増加する。
【0569】
この例では、コイルは2.9Aの電流を使用して加熱された。しかし他の電流を使用してコイルを加熱してもよい。
【0570】
図42Hは、異なる加熱コイル電流に対して、毛細管の出口がコイルの3mm上流に配置されたときに獲得された総イオン電流を示す。図42Hに示されたように、2.5A〜4.7Aの間で7個の異なる加熱コイル電流を試験した。総イオン電流は、コイルを通る加熱電流の増加に応答して実質的に直線的に増加する。
【0571】
図42I図42Oは、図42Hにおける各コイル電流で獲得されたスペクトルを示す。図42I図42Oのスペクトルは、それぞれが2.5A、2.9A、3.3A、3.7A、4.1A、4.3A、および4.7Aのコイル電流に対応する。スペクトルは、コイル電流の増加とともに強度および信号対雑音比の着実な増加を示す。
【0572】
図43Aは、コイルに関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、8mmの長さ、6mmの内径を有する衝突コイルを使用して測定されたイオン信号を示す。距離は、コイルの出口端部に対して上流方向に測定された。この例では、毛細管の出口端部は、コイル内で8mm未満の距離に配置されている。8mmを超える距離では、毛細管の出口端部はコイルの入口の上流に配置されている。図に示すように、より良好なイオン信号が獲得されたのは、毛細管の出口端部がコイルの上流から離間されたときであった。この例では、イオン信号は、14mm以上の距離、すなわち毛細管の出口がコイルの6mm以上上流に置かれたときが最適であった。
【0573】
図43B図43Fは、コイルに関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、衝突アセンブリを使用して獲得されたスペクトルの詳細を示す。図43B図43Fは、コイルの出口端部から上流に9mm、11mm、13mm、17mm、および19mmの距離に配置された毛細管の出口を使用して獲得されたスペクトルを示す。図に示すように、最良のスペクトルは、13mm、すなわち毛細管の出口がコイルの5mm上流で獲得された。
【0574】
この例では、コイルは3Aの電流を使用して加熱された。しかし他の電流を使用してコイルを加熱してもよい。
【0575】
図43Gは、異なる加熱コイル電流に対して、毛細管の出口がコイルの7mm上流に配置されたときに獲得された総イオン電流を示す。図43Gに示されたように、2.5A〜4.5Aの間で5個の異なる加熱コイル電流を試験した。総イオン電流は、コイルを通る加熱電流の増加に応答して実質的に直線的に増加する。
【0576】
図43H図43Lは、図43Gにおける各コイル電流で獲得されたスペクトルを示す。スペクトルは、コイル電流の増加とともに強度および信号対雑音比の着実な増加を示す。
【0577】
コイルの長手方向軸を毛細管の出口軸と実質的に平行に配置することは、コイルの長手方向軸を毛細管の出口軸に直交して配置するより、高温のコイルで良好なスペクトルを提供することが見出された。特に、これらの配置はより高温でより高い強度を提供することがある。最適な信号は、毛細管の出口がコイルの入口の例えば2〜3mm上流に離間されたときに獲得された。コイルの軸を毛細管の出口軸と実質的に平行に配置することは、器具の汚染も低減する、例えば下流のStepwaveイオンガイドの汚染を低減するように見えた。
【0578】
図44Aは、衝突面に関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、毛細管の出口軸と同軸に配置され、1mmの長さ、3mmの内径を有する管状の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す。この例では、イオン信号は、毛細管の出口がコイル面から7mmだけ離間されたときが最適であった。
【0579】
図44Bおよび図44Cは、図44Aに関して説明されたコイルアセンブリを使用してブタの肝臓を分析したときに獲得された、異なる質量範囲に亘るスペクトルの詳細を示す。このとき、毛細管の出口は衝突面の入口の7mm上流に配置された。
【0580】
図44Dは、異なる加熱コイル電流に対して、毛細管の出口が衝突面の入口の7mm上流に配置されたときに獲得された総イオン電流を示す。図44Dに示されたように、0A〜4.7Aの間で9個の異なる加熱コイル電流を試験した。総イオン電流は、約4.5Aが最適である。
【0581】
図45Aは、衝突面に関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、毛細管の出口軸と同軸に配置され、8mmの長さ、6mmの内径を有する管状の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す。この例では、イオン信号は、毛細管の出口が衝突面から6mmの距離だけ離間されたときに最適であった。設置は、大気インターフェースが異なることを除いて、図43に使用された設置と同様であった。
【0582】
図45Bは、毛細管の出口が衝突面の入口の6mm上流に配置され、3.4Aのコイル加熱電流を使用したときの図45Aに関して説明された衝突アセンブリを使用して、ブタの肝臓を分析したときに獲得されたフルスペクトルを示す。
【0583】
図45C図45Bにおけるスペクトルの一部の詳細を示す。
【0584】
図45Dは、異なる加熱コイル電流に対して、毛細管の出口が衝突面の入口の5mm上流に配置されたときに獲得された総イオン電流を示す。図45Dに示されたように、3A〜3.8Aの間で5個の異なる加熱コイル電流を試験した。総イオン電流は、約3.4Aが最適である。
【0585】
図46Aは、衝突面に関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、毛細管の出口軸と同軸に配置され、8mmの長さ、3mmの内径を有する管状の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す。この例では、イオン信号は、毛細管の出口が衝突面から6mmの距離だけ離間されたときに最適であった。設置は、大気インターフェースが異なることを除いて、図40に使用された設置と同様であった。
【0586】
図46Bは、毛細管の出口が衝突面の入口の6mm上流に配置され、3.2Aのコイル加熱電流を使用したときの図46Aに関して説明された衝突アセンブリを使用して獲得されたフルスペクトルを示す。
【0587】
図46C図46Bにおけるスペクトルの一部の詳細を示す。
【0588】
図46Dは、異なる加熱コイル電流に対して、毛細管の出口が衝突面の入口の5mm上流に配置されたときに獲得された総イオン電流を示す。図46Dに示されたように、2.6A〜3.6Aの間で6個の異なる加熱コイル電流を試験した。総イオン電流は、約3.4Aが最適である。
【0589】
図47Aは、衝突面に関して毛細管の出口の様々な異なる場所に対して、毛細管の出口軸と同軸に配置され、8mmの長さを有する円錐形の衝突面を使用して測定されたイオン信号を示す。円錐形の衝突面は、内径が6mmの入口から3mmの出口端部まで先細であった。この例では、イオン信号は、毛細管の出口が入口で衝突面(すなわち0mm)に配置されたときに最適であった。
【0590】
図47Bは、3.4Aのコイル加熱電流を使用して図47Aの衝突アセンブリを使用して、ブタの肝臓を分析することによって獲得されたフルスペクトルを示す。
【0591】
図47C図47Bにおけるスペクトルの一部の詳細を示す。
【0592】
図47Dは、異なる加熱コイル電流に対して獲得された総イオン電流を示す。図47Dに示されたように、2.6A〜3.8Aの間で7個の異なる加熱コイル電流を試験した。総イオン電流は、約3.4Aが最適である。
【0593】
実施形態は、質量および/またはイオン移動度分析計または他の気相イオン分析様式を使用して、検体を含有するエアロゾルおよび気体のサンプルの化学分析の装置および関連した方法を提供する。方法は、検体を含有するエアロゾルまたは他の気体のサンプル201を包囲された空間の中に導入して開始する。包囲された空間の中でサンプル201は低い分子重量のマトリクス化合物204と混合される。次いでこの同質の混合物または異質の混合物が、流入口206を介して質量および/またはイオン移動度分析計102の大気インターフェースの中に導入される。混合物を分析器具の低圧領域の中に導入する際に、サンプルおよびマトリクス化合物の分子成分を含有するエアロゾル粒子が形成され、エアロゾル粒子は自由噴流の拡張によって加速される。混合組成のエアロゾル粒子205は、続いて固体の衝突面209との衝突を介して溶解される。溶解事象により、サンプルの化学成分の分子イオン210を含む中性種および荷電種が生成される。イオン210は、異なる経路上のイオン210を中性種に案内するように電界を使用することにより、例えばStepwave(登録商標)イオンガイドなどのイオンガイド212を使用することにより、中性種から分離されてもよい。次いで分子イオン210は、質量および/またはイオン移動度分析を受ける。これにより、高い電圧またはレーザーを印加することなく、オンライン方式でエアゾルの分子成分の分析のための単純な解決策が提供される。
【0594】
この方法およびデバイスは、気相またはエアゾル型サンプルのオンライン質量および/またはイオン移動分光分析のための解決策を提供する。
【0595】
様々なさらなる実施形態によれば、マトリクス化合物204は、サンプルをイオン分析デバイス207の中に導入する前に、あらゆる点で蒸気として、または液体としてサンプルエアロゾル201の中に混合されてもよい。
【0596】
上に説明された実施形態は、クラスタの表面誘起解離を実行するために、特に固体衝突面形状に関連するが、(クラスタが、解離を誘発するために衝突面209に非常に高速で激突することを条件として)他の形状を実装することができることが理解されよう。
【0597】
サンプルスペクトルの分析
本発明の範囲内に収まることが意図される分析技法の一覧が以下の表に提供される。
【0598】
【表2】
【0599】
PCA−LDA、PCA−MMC、PLS−LDAなどの前述の分析手法を組み合わせて使用することができる。
【0600】
サンプルスペクトルを分析することにより、次元縮退のための目的変数なしの分析に続いて、分類のための目的変数ありの分析を含むことができる。
【0601】
次に例として、多数の異なる分析技法についてより詳細に説明する。
【0602】
分類のためにモデルを開発する、多変量解析
次に例として、複数の標準サンプルスペクトルの多変量解析を使用して分類モデルを構築する方法について説明する。
【0603】
図48は、多変量解析を使用して分類モデルを構築する方法1500を示す。この例では、方法は、標準サンプルスペクトルに対して複数の組の強度値を獲得するステップ1502を含む。次いで方法は、目的変数なしの主成分分析(PCA)のステップ1504に続いて、目的変数ありの線形判別分析(LDA)のステップ1506を含む。この手法は、本明細書ではPCA−LDAと呼ばれることがある。PCA−MMCなどの他の多変量解析の手法を使用してもよい。次いでステップ1508でPCA−LDAモデルを例えば保管するために出力する。
【0604】
このステップのような多変量解析は、エアロゾル、煙、または蒸気サンプルから獲得された1つまたは複数のサンプルスペクトルを使用してエアロゾル、煙、または蒸気サンプルを分類することができる、分類モデルを提供することができる。次に多変量解析について、単純な例に関連してより詳細に説明する。
【0605】
図49は、公知の標準サンプルの2つのクラスから獲得された1組の標準サンプルスペクトルを示す。クラスは、本明細書に説明された標的のあらゆる1つまたは複数のクラスであってもよい。しかしわかりやすくするために、この例では2つのクラスを左側のクラスおよび右側のクラスと呼ぶ。
【0606】
それぞれの標準サンプルスペクトルは、標準サンプルスペクトルという点においてそれぞれの質量対電荷比に対して1組の3つの標準ピーク強度値を引き出すために、前処理をされている。3つの標準ピーク強度値のみが示されているが、より多くの標準ピーク強度値(例えば約100個の標準ピーク強度値)が、各標準サンプルスペクトル内で対応する数の質量対電荷比に対して引き出されてもよいことが理解されよう。他の実施形態では、標準ピーク強度値は、質量、質量対電荷比、イオン移動度(ドリフト時間)、および/または操作パラメータに対応してもよい。
【0607】
図50は、強度軸によって画定された三次元を有する多変量空間を示す。各次元または強度軸は、特に質量対電荷比でのピーク強度に対応する。やはり、多変量空間内により多くの次元または強度軸(例えば約100個の次元または強度軸)があってもよいことが理解されよう。多変量空間は複数の基準点を備え、各基準点は標準サンプルスペクトルに対応する、すなわち各標準サンプルスペクトルのピーク強度値は、多変量空間内の基準点に対する座標を提供する。
【0608】
標準サンプルスペクトルの組は、それぞれの標準サンプルスペクトルに関連した行、それぞれの質量対電荷比に関連した列、およびそれぞれの標準サンプルスペクトルのそれぞれの質量対電荷比に対するピーク強度値であるマトリクスの要素を有する、基準マトリクスDによって表されてもよい。
【0609】
多くの場合、多変量空間内の次元およびマトリクスDが多いことにより、標準サンプルスペクトルをクラスにグループ化することが困難になる可能性がある。PCAは、主成分軸によって画定された1つまたは複数の次元の数が低減された、PCA空間を画定するPCAモデルを計算するために、それに従ってマトリクスDを実行してもよい。主成分は、マトリクスD内の最大分散を含む、または「説明する」、またマトリクスD内の分散の閾値を累積的に説明する主成分であるように選択されてもよい。
【0610】
図51は、累積分散がPCAモデル内の主成分の数nの関数としてどのように増加し得るかを示す。分散の閾値は要望通りに選択されてもよい。
【0611】
PCAモデルは、非線形反復偏最小二乗(NIPALS)アルゴリズムまたは特異値分解を使用してマトリクスDから計算されてもよく、非線形反復偏最小二乗(NIPALS)アルゴリズムまたは特異値分解の詳細は当業者に公知であるので、本明細書では詳細には説明しない。PCAモデルを計算する他の方法を使用してもよい。
【0612】
得られるPCAモデルは、PCAのスコア行列SおよびPCAの付加行列Lによって画定されてもよい。またPCAは誤差行列Eを生成してもよく、誤差行列EはPCAモデルによって説明されない分散を含有する。DとSとLとEとの間の関係は以下のようであってもよい。
D=SL+E (1)
【0613】
図52は、図49および図50の標準サンプルスペクトルに対して得られるPCA空間を示す。この例では、PCAモデルは2つの主成分PCおよびPCを有し、したがってPCA空間は、2つの主成分軸によって画定された二次元を有する。しかしより少ないまたはより多い数の主成分が、所望通りにPCAモデル内に含まれてもよい。主成分の数は、多変量空間内の次元数より少なくとも1つ少ないことが概して望ましい。
【0614】
PCA空間は、複数の変換された基準点またはPCAのスコアを含み、それぞれの変換された基準点またはPCAのスコアは、図49の標準サンプルスペクトルに対応し、したがって図50の基準点に対応する。
【0615】
図52に示されたように、PCA空間の次元が低減されることにより、標準サンプルスペクトルを2つのクラスにグループ化することがより容易になる。またあらゆる外れ値が同定されてもよく、この段階で分類モデルから取り除かれてもよい。
【0616】
次いでクラスを画定するように、また恣意的に次元をさらに低減するように、PCA空間内のマルチクラスのLDAまたは最大マージン基準(MMC)などのさらに目的変数ありの多変量解析が実行されてもよい。
【0617】
当業者には理解されるように、マルチクラスのLDAは、クラス内の分散に対してクラス間の分散の割合を最大化(すなわち可能な最も小さいクラスの間に可能な最大の距離を与えるように)しようとする。LDAの詳細は当業者には公知であるので、本明細書では詳細には説明しない。
【0618】
得られるPCA−LDAモデルは、変換行列Uによって画定されてもよく、変換行列Uは、PCAのスコア行列Sおよび一般化された固有値問題を解くことにより、その中に含有された変換されたスペクトルのそれぞれに対するクラス課題から引き出されてもよい。
【0619】
次いで元のPCA空間から新しいLDA空間へのスコアSの変換は、以下によって与えられてもよい。
Z=SU (2)
上式で、行列ZはLDA空間に変換されたスコアを含有する。
【0620】
図53は、一次元または軸を有するPCA−LDA空間を示し、LDAは図52のPCA空間内で実行される。図53に示されたように、LDA空間は複数のさらに変換された基準点またはPCA−LDAスコアを含み、それぞれのさらに変換された基準点は、図52の変換された基準点またはPCAスコアに対応する。
【0621】
この例では、PCA−LDA空間の次元がさらに低減されることにより、標準サンプルスペクトルを2つのクラスにグループ化することさえもより容易にする。PCA−LDAモデル内の各クラスは、その変換されたクラスの平均および共分散行列またはPCA−LDA空間内の1つもしくは複数の超平面(点、線、面、もしくはより高い次元の超平面を含む)または超曲面またはボロノイ細胞によって画定されてもよい。
【0622】
PCA負荷行列L、LDA行列U、ならびに変換されたクラスの平均および共分散行列または超平面または超曲面またはボロノイ細胞は、後にエアロゾル、煙、または水蒸気サンプルを分類する際に使用するために、データベースに出力されてもよい。
【0623】
クラスgに対するLDA空間V’g内の変換された共分散行列は、以下によって与えられてもよい。
V’=VU (3)
上式で、VはPCA空間内のクラス共分散行列である。
【0624】
クラスgに対する変換されたクラスの平均位置Zは、以下によって与えられてもよい。
U=z (4)
上式で、sはPCA空間内のクラスの平均位置である。
【0625】
分類のためにモデルを使用する、多変量解析
次に例として、エアロゾル、煙、または蒸気サンプルを分類するために分類モデルを使用する方法について説明する。
【0626】
図54は、分類モデルを使用する方法2100を示す。この例では、方法は、サンプルスペクトルに対して1組の強度値を取得するステップ2102を含む。次いで方法は、サンプルスペクトルに対する強度値の組をPCA−LDAモデル空間に投影するステップ2104を含む。PCA−MMCなどの他の分類モデル空間を使用してもよい。サンプルスペクトルは、次いでステップ2106で投影位置に基づいて分類され、次いでステップ2108で分類が出力される。
【0627】
次にエアロゾル、煙、または蒸気サンプルの分類について、上に説明した単純なPCA−LDAモデルに関してより詳細に説明する。
【0628】
図55は、未知のエアロゾル、煙、または蒸気サンプルから獲得されたサンプルスペクトルを示す。サンプルスペクトルは、それぞれの質量対電荷比に対して1組の3つのサンプルピーク強度値を引き出すために、前処理されている。上記のように、3つのサンプルピーク強度値のみが示されているが、サンプルスペクトルに対してより多くの対応する質量対電荷比においてより多くのサンプルピーク強度値(例えば約100個のサンプルピーク強度値)が引き出されてもよいことが理解されよう。また上記のように、他の実施形態では、サンプルピーク強度値は、質量、質量対電荷比、イオン移動度(ドリフト時間)、および/または操作パラメータに対応してもよい。
【0629】
サンプルスペクトルはサンプルベクトルdによって代表されてもよく、ベクトルの要素は、それぞれの質量対電荷比に対するピーク強度値である。サンプルスペクトルに対して変換されたPCAベクトルsは、以下の通りに獲得することができる。
L=s (5)
【0630】
次いでサンプルスペクトルに対して変換されたPCA−LDAベクトルzは、以下の通りに獲得することができる。
U=z (6)
【0631】
図56もやはり図53のPCA−LDA空間を示す。しかし図56のPCA−LDA空間は、図55のサンプルスペクトルのピーク強度値から引き出された、変換されたPCA−LDAベクトルzに対応する、投影されたサンプル点をさらに含む。
【0632】
この例では、投影されたサンプル点は、右側のクラスに関するクラス間の超平面の1側面に対するので、エアロゾル、煙、または蒸気サンプルは、右側のクラスに属するように分類されてもよい。
【0633】
別法として、LDA空間内のクラス中央からのマハラノビス距離を使用してもよく、この場合クラスgの中央から点zのマハラノビス距離は、以下の平方根によって与えられてもよく、
(z−z(V’−1(z−z) (8)
データベクトルdは、この距離が最小であるクラスに割り当てられてもよい。
【0634】
加えて、多変量ガウスとして各クラスを処理すると、各クラスへのデータベクトルの構成員の確率が計算されてもよい。
【0635】
分類のためにライブラリを開発する、ライブラリに基づいた分析
次に例として、複数の入力標準サンプルスペクトルを使用して分類ライブラリを構築する方法について説明する。
【0636】
図57は、分類ライブラリを構築する方法2400を示す。この例では、方法は、複数の入力標準サンプルスペクトルを獲得するステップ2402、およびサンプルの各クラスに対する複数の入力標準サンプルスペクトルからメタデータを引き出すステップ2404を含む。次いで方法は、個別のライブラリ登録としてサンプルの各クラスに対してメタデータを記憶するステップ2406を含む。次いで分類ライブラリは、ステップ2408で例えば電子記憶装置に出力される。
【0637】
このような分類ライブラリは、エアロゾル、煙、または蒸気サンプルを、エアロゾル、煙、または蒸気サンプルから獲得された1つまたは複数のサンプルスペクトルを使用して分類することができる。次にライブラリに基づいた分析について、一例を参照してより詳細に説明する。
【0638】
この例では、分類ライブラリにおける各登録は、クラスを代表する複数の前処理された標準サンプルスペクトルから生成される。この例では、クラスに対する標準サンプルスペクトルを以下の手順に従って前処理する。
【0639】
まず再ビニング処理が実行される。この実施形態では、データは横座標で対数格子上に再サンプリングされる。
【0640】
【数1】
上式で、Nchanは選択された値であり、
【0641】
【数2】
は、xより下の最も近い整数を表す。一例では、Nchanは212すなわち4096である。
【0642】
次いで背景差分処理が実行される。この実施形態では、次いで各対のノット間のデータのp%が曲線の下にあるように、k個のノットを備える三次スプラインが構成される。ついでこの曲線はデータから減算される。一例では、kは32である。一例では、pは5である。次いで強度を減算したデータのq%の分位値に対応する定値は、各強度から減算される。正の値および負の値が維持される。一例では、qは45である。
【0643】
次いで正規化処理が実行される。この実施形態では、データは、
【0644】
【数3】
の平均値を有するように正規化される。一例では、
【0645】
【数4】
である。
【0646】
次いでライブラリの登録は、スペクトル内の各Nchan点に対して中央スペクトル値μおよび偏差値Dの形のメタデータからなる。
【0647】
第iのチャネルに対する尤度は以下によって与えられる。
【0648】
【数5】
上式で、1/2≦C<∞であり、I’(C)はガンマ関数である。
【0649】
上の方程式は、C=1に対して標準コーシー分布に低減し、C→∞としてガウス(標準)分布になる、一般化されたコーシー分布である。パラメータDは分布の幅を制御する(ガウス極限においてD=σは単に標準偏差である)一方で、大域値Cは尾部の大きさを制御する。
【0650】
一例では、Cは3/2であり、これはコーシーとガウスとの間にあるので、尤度は以下の通りになる。
【0651】
【数6】
【0652】
各ライブラリ登録に対して、パラメータμは入力標準サンプルスペクトルの第iのチャネル内の値の一覧の中央値に設定される一方で、偏差Dは√2で割ったこれらの値の四分位範囲に取られる。この選択により、第iのチャネルに対する尤度が入力データと同じ四分位範囲を確実に有することができ、四分位の使用により範囲外データからある程度保護される。
【0653】
分類のためにライブラリを使用する、ライブラリに基づいた分析
次に例として、エアロゾル、煙、または蒸気サンプルを分類するために分類ライブラリを使用する方法について説明する。
【0654】
図58は分類ライブラリを使用する方法2500を示す。この例では、方法は、1組の複数のサンプルスペクトルを獲得するステップ2502を含む。次いで方法は、分類ライブラリ内にクラス登録するために、メタデータを使用してサンプルのクラス毎に1組の複数のサンプルスペクトルに対する確率または分類スコアを計算するステップ2504を含む。次いでステップ2506でサンプルスペクトルが分類され、次いでステップ2508で分類が出力される。
【0655】
次に上記の分類ライブラリを参照してエアロゾル、煙、または蒸気サンプルの分類についてより詳細に説明する。
【0656】
この例では、未知のサンプルスペクトルyは1組の複数のサンプルスペクトルの中央値スペクトルである。中央値スペクトルyを取ることにより、チャネル毎に範囲外データから保護することができる。
【0657】
次いでライブラリの登録に提供された入力データに対する尤度Lが、以下によって提供される。
【0658】
【数7】
上式で、μおよびDは、それぞれチャネルiに対するライブラリ中央値および偏差値である。尤度Lは数的安全性に対するログ尤度として計算されてもよい。
【0659】
次いで尤度Lは、クラスに亘って事前確率が均一であると仮定して、確率を与えるためにすべての候補のクラスのS’に亘って正規化される。クラス
【0660】
【数8】
に対して得られる確率が以下によって与えられる。
【0661】
【数9】
【0662】
指数(1/F)は、そうでなければ限定的過ぎることがある確率を緩和することができる。一例ではF=100である。これらの確率は、例えばユーザインタフェースにおいて百分率として表してもよい。
【0663】
別法として、RMS分類スコアRは、ライブラリと同じ中央サンプル値およびライブラリからの微分値を使用して計算されてもよい。
【0664】
【数10】
【0665】
やはりスコアRsは、すべての候補のクラスのS’に亘って正規化される。
【0666】
次いでエアロゾル、煙、または蒸気サンプルは、最高確率および/または最高RMS分類スコアを有するクラスに属するとして分類されてもよい。
【0667】
治療、手術および診断の方法、ならびに非医療方法
様々な異なる実施形態が企図される。一部の実施形態によれば、上に開示された方法は、体内の組織、体外の組織、または試験管内の組織上で実行されてもよい。組織は人間または非人間の動物組織を備えてもよい。
【0668】
様々な手術法、治療法、医療法、および診断法が企図される。
【0669】
しかし、体内の組織上で実行されない質量および/またはイオン移動度分析計の非手術法および非治療法に関連する、他の実施形態が企図される。人体または動物体の外側で実行されるように体外方法で実行される、他の関連した実施形態が企図される。
【0670】
さらなる実施形態は、方法が、例えば剖検手技の一部として非生存の人間または動物上で実行されることが企図される。
【0671】
本明細書に説明した質量および/またはイオン移動度分析は、マイナスイオンモードのみで、プラスイオンモードのみで、またはプラスイオンモードおよびマイナスイオンモードの両方でデータを獲得してもよい。プラスイオンモード分析データは、マイナスイオンモード分析データと組み合わせるか、または連結されてもよい。マイナスイオンモードは、脂質を備える標的からのエアゾル、煙、または蒸気のサンプルなどの、エアゾル、煙、または蒸気のサンプルを分類するために特に有益なスペクトルを提供することができる。
【0672】
イオン移動度分析データは、異なるイオン移動度のドリフトガスを使用して獲得されてもよく、または1つもしくは複数の種のドリフト時間の変化を誘発するためにドーパントをドリフトガスに加えてもよい。このデータは次いで組み合わせるか、または連結されてもよい。
【0673】
本発明は好ましい実施形態を参照して説明されたが、添付の特許請求の範囲に表記されたように本発明の範囲から逸脱することなく、形および詳細に様々な変更を行ってもよいことが当業者には理解されよう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
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図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図31C
図32A
図32B
図32C
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
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図35C
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図36B
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図36F
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図37C
図37D
図38A
図38B
図38C
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図44B
図44C
図44D
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図45B
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図45D
図46A
図46B
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図58