(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858719
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】検索エリアの特定方法、特定装置及び特定用プログラム。
(51)【国際特許分類】
G06F 16/29 20190101AFI20210405BHJP
G06F 16/909 20190101ALI20210405BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20210405BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
G06F16/29
G06F16/909
G09B29/10 A
G01C21/36
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-545(P2018-545)
(22)【出願日】2018年1月5日
(65)【公開番号】特開2019-121177(P2019-121177A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100179202
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 誠司
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋介
【審査官】
吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−117925(JP,A)
【文献】
特開2002−269100(JP,A)
【文献】
特開2011−174755(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/105063(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00−16/958
G01C 21/36
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存部と、データ入力部と、交差点特定部と、方角特定部と、検索エリア特定部と、を含む検索エリアの特定装置を用いる検索エリアの特定方法であって、
前記データ入力部により、検索対象に関するデータを入力するステップと、
前記交差点特定部により、該データに基づき前記保存部に保存された地図データ上の交差点を特定するステップと、
前記方角特定部により、前記データに基づき前記交差点からの方角を特定するステップと、
前記検索エリア特定部により、前記交差点から前記特定された方角へのびる第1の道路に接する検索エリアを前記地図データ上に特定するステップと、
を含む検索エリアの特定方法。
【請求項2】
前記検索エリアは前記交差点から離れるにつれて幅が狭くなる、請求項1に記載の特定方法。
【請求項3】
前記検索エリア特定部により、前記交差点に交差する第2の道路の道路属性を特定し、該道路属性に基づいて前記検索エリアを変形する、請求項1に記載の特定方法。
【請求項4】
前記検索エリアは前記第1の道路若しくは前記交差点に交差する第2の道路と共通の地理的名称を持つ区画である、請求項1に記載の特定方法。
【請求項5】
前記データは前記第1の道路の名称と前記第2の道路の名称とのセットからなる交差点特定データセットと、前記交差点から前記第1の道路若しくは前記第2の道路がのびる方角を特定する方角特定データとを含む、請求項3又は請求項4に記載の特定方法。
【請求項6】
地図データを保存する保存部と、
検索対象に関するデータの入力を許容するデータ入力部と、
入力されたデータに基づき前記地図データ上の交差点を特定する交差点特定部、
前記データに基づき前記交差点からの方角を特定する方角特定部と、
前記交差点から前記特定された方角へのびる第1の道路に接する検索エリアを前記地図データ上に特定する検索エリア特定部と、
を含む検索エリアの特定装置。
【請求項7】
前記検索エリアは前記交差点から離れるにつれて幅が狭くなる、請求項6に記載の特定装置。
【請求項8】
前記交差点に交差する第2の道路の道路属性を特定し、該道路属性に基づいて前記検索エリアを変形する、請求項6に記載の特定装置。
【請求項9】
前記検索エリアは前記第1の道路若しくは前記交差点に交差する第2の道路と共通の地理的名称を持つ区画である、請求項6に記載の特定装置。
【請求項10】
前記データは前記第1の道路の名称と前記第2の道路の名称とのセットからなる交差点特定データセットと、前記交差点から前記第1の道路若しくは前記第2の道路がのびる方角を特定する方角特定データとを含む、請求項8又は請求項9に記載の特定装置。
【請求項11】
コンピュータに、
検索対象に関するデータを入力するステップと、
該データに基づき地図データ上の交差点を特定するステップと、
前記データに基づき前記交差点からの方角を特定するステップと、
前記交差点から前記特定された方角へのびる第1の道路に接する検索エリアを前記地図データ上に特定するステップと、
を実行させる検索エリア特定用プログラム。
【請求項12】
前記検索エリアは前記交差点から離れるにつれて幅が狭くなる、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記交差点に交差する第2の道路の道路属性を特定し、該道路属性に基づいて前記検索エリアを変形する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記検索エリアは前記第1の道路若しくは前記交差点に交差する第2の道路と共通の地理的名称を持つ区画である、請求項11に記載のプログラム。
【請求項15】
前記データは前記第1の道路の名称と前記交差点に交差する第2の道路の名称とのセットからなる交差点特定データセットと、前記交差点から前記第1の道路若しくは前記第2の道路がのびる方角を特定する方角特定データとを含む、請求項13又は請求項14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーションシステムにおいて、検索対象が存在する検索エリアを特定する方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のナビゲーションシステムはそのハード構成の進歩に伴い、膨大な量の地図データを利用できるようになった。地図データには、道路や交差点を特定する道路データやその道路の属性を規定する道路属性データはもとより、道路に付随する建物、店舗の住所及び電話番号等が含まれる。
住所検索機能を備えるナビゲーションシステムでは、検索対象(目的地)である地物(建物や店舗等)を検索するために、公共機関が定める住所を用いている。
この発明に関連する技術を紹介する先行文献として特許文献1〜特許文献3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−226688号公報
【特許文献2】特開2005−099279号公報
【特許文献3】特開2002−202977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公共機関が定める住所には座標が付されているので、その住所を指定すれば地図上の座標が特定される。よって、ナビゲーションシステム用の地図データへ好適に組み込まれる。
ナビゲーションシステムの利用者が、常に、検索対象(目的地)の住所を正確に入力できるわけではない。また、通り名称など通称名称が広く用いられる地域では(例えば京都)、公共の提供する住所よりも通称名称の方が汎用される場合がある。
住所検索時に、通称名称が入力されても、地図データには当該通称名称が登録されていないので、検索を実行することができない。
勿論、通称名称を地図データに登録すれば、住所検索時における上記のストレスは発生しない。しかしながら、通称名称は特定の、即ち座標が決められた地域を指し示すものではなく、一般的には、これが指し示す地域には曖昧さがある。例えば、京都の町の通称名称として使用される、「上る」はどの程度北上すればよいか何ら定義されていない。よって、通称名称を地図データに登録することは現実的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、この発明の第1の局面は次のように規定される。即ち、
検索対象に関するデータを入力するステップと、
該データに基づき地図データ上の交差点を特定するステップと、
前記データに基づき前記交差点からの方角を特定するステップと、
前記交差点から前記特定された方角へのびる第1の道路に接する検索エリアを前記地図データ上に特定するステップと、
を含む検索エリアの特定方法。
【0006】
このように規定される第1の局面の検索エリアの特定方法によれば、検索対象に関するデータとして、例えば通称名称などの地図データに保存されていないデータが入力されたとき、このデータに基づき、まずは交差点を特定する。京都の例をとれば、例えば「烏丸通四条上ル」と入力されたとき、先ずは「烏丸通四条」という2つの道路名称のセットから交差点が特定される。次に、入力されたデータに含まれる方角特定データに基づき、特定された交差点を中心にして検索対象が存在すると予想される方角を特定する。上記の例では「上ル」が方角特定データであって、北上する方角が示される。これにより、烏丸通四条交差点から北上する道路(第1の道路)が特定される。そして、検索対象(目的地)はこの道路に接していることが推定されるので、当該道路に接する検索エリアを特定して、これを表示できるようにする。この検索エリアは任意に定義できるが、例えば、全国町字ファイルに対応して整備された住所領域ポリゴンであって、当該第1の道路に接するものを採用できる。
このように、住所検索モードにおいて地図データに保存されていないデータが入力された場合においても、交差点を特定して、この交差点を含むエリアをナビゲーションシステムのディスプレイに表示することにより、使用者は目的地の概略の位置を把握できることとなる。更には、交差点に基づき検索エリアを特定してそれをディスプレイ上に明示することにより、使用者は目的地の位置をより早く、より簡易に把握可能となる。
使用者の把握をアシストするため、検索エリアに含まれる施設名称のリストをディスプレイに表示することができる。
【0007】
この発明の第2の局面は次のように規定される、即ち、第1の局面に規定の特定方法において、前記検索エリアは前記交差点から離れるにつれて幅が狭くなる。
検索エリアを特定するのに住所領域ポリゴンを利用したとき、特定された検索エリアは、第1の道路と同方向の他の道路にも接することがある。かかる検索エリアに存在する地物であって、当該他の道路に近いものは、他の道路が交わる交差点を基準に「上ル」等の通称名称で記述されることが多い。
そこで、この局面で規定するように、区画の幅を交差点から離れるにつれて幅狭とする。
これにより、他の道路が交わる交差点を基準とした通称名称が付されるべき地物、即ちノイズ、が特定した検索エリアにできる限り含まれないようにする。よって、ナビゲーションシステムのディスプレイに表示された検索エリア内を目視する利用者がその検索対象(目的地)をより迅速に特定可能となる。
【0008】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面に規定の特定方法において、前記交差点に交差する第2の道路の道路属性を特定し、該道路属性に基づいて前記検索エリアを変形する。
第2の道路が有名ないし格式が高い場合、その影響力が大きい。従って、通称名称にもその影響力が及ぶ。この場合、特定すべき検索エリアの幅を、標準的な場合に比べて、当該第2の道路を基準により広くする。
【0009】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面に規定の特定方法において、前記検索エリアは前記第1の道路若しくは第2の道路と共通の地理的名称を持つ区画である。検索エリアの特定に住所領域ポリゴンを用いたとき、このポリゴンが複数の道路に跨る大きなものであったり、また、飛び地であったりすることがある。かかるポリゴンをナビゲーションシステムのディスプレイにそのまま表示すると利用者にとって煩雑になるので、かかるポリゴンは利用者に表示する「検索エリア」から省くべきである。そこで、この局面では、住所領域ポリゴンの中で第1の道路若しくは第2の道路と共通の地理的名称(例えば「通り名」)を有する地図データ上の区画を抽出する。
【0010】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、第1〜第4の局面の何れかに規定の特定方法であって、前記データは前記第1の道路名と前記第2の道路名とのセットからなる交差点特定データセットと、前記交差点から前記第1の道路若しくは前記第2の道路がのびる方角を特定する方角特定データとを含む。
この局面では、検索対象に関するデータをより具体的に規定する。特に、京都の通称名称を想定したものである。例えば「烏丸通四条上ル」には2つの道路名「烏丸通」と「四条」が含まれる。これは第1及び第2の道路名のセットからなる交差点特定データセットを指す。また、「上ル」は、北上するという方角特定データである。勿論、「下ル」は南下するという方角特定データとなり、西入ル、東入ルは文字通りの方角を示す方角特定データである。
なお、検索対象に関するデータとしては、既述のデータセット(第1の道路名+第2の道路名+方角データ)に限られない。例えば、交差点の名称が直接的に表現される場合には、交差点名+方角データというデータセットを検索対象に関するデータとすることもできる。
【0011】
この発明の第6〜第10の局面に規定の特定装置は、それぞれ既述した第1〜第5の局面に規定の特定方法に対応し、同様の作用及び特異な効果を有する。また、この発明の第11〜第15の局面に規定のプログラムも既述した第1〜第5の局面に規定の特定方法に対応し、同様の作用及び特異な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態の検索エリア特定装置1の機能に対応したブロック図である。
【
図2】
図2は検索エリア特定装置1を組み込んだナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は検索エリア特定装置1の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は
図3のフローチャートにおけるステップ5のサブルーチンのフローチャートである。
【
図5】
図5は
図3のフローチャートにおけるステップ11のサブルーチンのフローチャートである。
【
図6】
図6は検索エリア特定装置1による検索エリアを特定する手順を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態の検索エリアの特定装置1について図を参照しながら説明する。
図1は特定装置1の機能をブロック図化したものであり、
図2は特定装置1を組み込んだナビゲーションシステムのブロック図である。
図3は特定装置1の動作を示すフローチャートである。
この特定装置1はナビゲーションシステムに組み込まれており、住所検索モードにおいて、地図データに登録されていない通称名称が検索対象(目的地)として入力されたときに動作する。そして、検索対象が存在すると予想される検索エリアをナビゲーションシステムのディスプレイに表示する。このように表示された検索エリアの中から、利用者は、その検索対象を探し出すことができる。
【0014】
(検索対象データの入力、
図3:ステップ1)
タッチパネル等の入力装置3を用いて、利用者が検索対象データを入力する。音声認識によるデータ入力方式では、マイクが入力装置としてヒトとの間のインターフェースとなる。
【0015】
(入力データの比較(前処理)、ステップ3)
次に、入力された検索対象データを入力データ比較部4において前処理する。検索対象データは住所検索モードにおいて入力されたものである。従って、先ず、入力データ比較部4は住所データ保存部5に登録されている住所データと入力された検索対象データとを比較する。比較の結果、入力された検索対象データが住所データ保存部5に存在したとき、ナビゲーションシステムは、住所検索モードの一般的な手順に従って、その住所をピンポイントで表示する。
【0016】
(入力データの解析、ステップ5、
図4)
他方、比較の結果、入力された検索対象データが住所データ保存部5に存在しないとき、
当該検索対象データは入力データ解析部6で解析処理される。
この解析では、内蔵する辞書に照らし合わせて、入力されたデータを意味ある単語に分解する。分解された単語はそれぞれ、交差点特定部7と方角特定部10に送られる。
交差点特定部7は送られてきた単語のデータを道路名称保存部8に保存されている道路名称(通り名など)と比較し、そこに2つの道路名称が存在すれば両者の交差点が特定できる(ステップ52:Y)。
方角特定部10は送られてきた単語のデータを方角特定用語保存部11に保存されている方角を特定する用語と比較し、そこに方角を特定する単語が存在すれば、交差点特定部7で特定された交差点からの方角が特定される(ステップ55:Y)。
ここに、交差点特定部7において交差点が特定できない場合(ステップ52:N)は住所検索ができない旨のガイダンスを表示する(ステップ57)。交差点は特定できたものの方角特定部10において交差点からの方角が特定できない場合(ステップ53:N)は、特定された交差点の周囲を検索エリアとして特定する(ステップ59)。交差点の周囲の如何なるエリアを当該検索エリアとするかは任意に設定可能であるが、例えば、当該交差点が含まれる住所領域ポリゴンとすることができる(
図6Bの一点鎖線のエリア参照)。
【0017】
(検索エリアの特定、
図3:ステップ7)
交差点特定部7で特定された交差点と、方角特定部10で特定された当該交差点からの方角は検索エリア特定部16へ送られる。
この検索エリア特定部16では、道路データ保存部12に保存されている道路データに基づき、先ずは交差点が特定される(
図6A)。次に、特定された交差点から特定された方角にのびる第1の道路を特定し、この第1の道路に接する住所領域ポリゴンを住所領域ポリゴン保存部14から読みだす。読みだされたポリゴンは、例えば、
図6Bの一点鎖線で示すように、特定された交差点100からみて第1の道路と反対側へ広がることがある。
【0018】
(検索エリアの修正、
図3:ステップ11、
図5))
検索エリア補正部17は、交差点100を中心にして、読みだされたポリゴンにおいて第1の道路(北側)と反対側(南側)の部分104を省き(ステップ1103)、墨付きエリア103のみを表示する。この墨付きエリアが検索エリアであり、このエリアに検索対象が存在する可能性が高い。
【0019】
図7Aでは、
図6と同じようにして選択した検索エリア203が、第1の道路と異なる道路にも接している(ステップ1105)。
他の道路に接する部分に存在する地物の位置は、当該他の道路が交差する交差点を基準にした通称名称で表されることが多い。そこで、他の道路へ接しないように検索エリア203を縮小する。
図7Bの例では、交差点100から離れるにつれて順次検索エリアの幅を狭くした(ステップ1107)。
図7Cの例では、
図7Aの検索エリア203の外縁の一定幅を除去する(検索エリア203S)。
図7Dの例では、
図7Bの検索エリア204の外縁の一定幅を除去した(検索エリア204S)。
このように検索エリアを絞りこむことにより、利用者は検索対象(目的地)を容易に探すことができる。
【0020】
次に、交差点を特定する道路の1つが有名若しくは格式が高いときの例を示す(ステップ1109)。一般に地物の通称名称は有名な道路を基準に記述されることが多い。そこで、
図8に、第2の道路が有名であるときの例を示す。
図8A及び
図8Bは
図7A及び
図7Cと同じ処理である。
この
図8の例では、第2の道路が有名であることを考慮して、検索エリア203Sを変形する(ステップ1111)。例えば、
図8Cに示すように、第2の道路から離れる方向へ検索エリアを拡張する(
図8C)。
他方、第2の道路が有名でないとき、若しくは第2の道路に平行する道路が有名なときは、検索エリア203Sをその幅が第2の道路側へ近づくように縮小する。
【0021】
図9の例は検索エリア補正部17による他の修正例を示す。検索エリア特定部16で特定された住所領域ポリゴンがいびつな形を取っており、部分的に他の道路と接している。この例では、符号208で示される区画には第2の道路の道路名称と同じ名称の字を持ち、符号209ではそれがない。そこで、
図9Bに示すように、第2の道路の道路名称と同じ名称の字を持つ区画208のみを選択して検索エリアとする。
【0022】
上記のように特定された検索エリアはナビゲーションシステムに備えられたディスプレイに表示されているマップに重ねて表示される。利用者は、ピンポイント表示されない通称名称からなる検索対象(目的地)をマップの中から探し出す際に、検索エリアで指示された領域に専ら注意を集中すれば、素早くかつ高い確率で当該検索対象(目的地)にアドレスできる。
検索エリアを特定してこれを表示するともに、検索エリアに含まれる建物、店舗名等の情報をリストとしてディスプレイに表示することもできる。これらの情報はナビゲーション装置に標準装備される地図データベースから抽出できる。
【0023】
この例のナビゲーションシステムは、
図2に示すとおり、演算部30を備える。この演算部30はCPU31、ROM33及びRAM34を備え、システム全体の制御をつかさどる。ROM33は、演算部30を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリを含む。RAM34は、入力装置を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU31に対してワーキングエリアを提供したりする。演算部30を制御する制御プログラムはROM33に限らずRAM34や第1記憶装置40及び第2記憶装置50に格納されていてもよい。
【0024】
第1記憶装置40にはナビゲーションシステムの基本動作を実行するために必要な各種のデータが格納されている。道路データ保存部12には道路を描くために必要なリンクやノードなど所謂マップデータが保存される。道路属性データ保存部43には制限速度、一方通行の有無、車線などの属性がリンクやノードに関連付けて保存される。地物データ保存部45は道路に沿って、若しくは道路から離れて建てられた建物や公園などがその外郭形状とともに保存される。住所データ保存部5には、地物に関連付けて、若しくは地物とは無関係に道路脇の土地の住所が保存される。なお、この住所データ保存部5には通称名称は保存されていない。
【0025】
第2記憶装置50には道路名称保存部8、方角特定用語保存部11及び住所領域ポリゴン14がある。
ここに、住所データ保存部5が全国町字ファイルを備えるときは、この保存部14は省略可能である。
道路名称保存部8には、道路(若しくは通り)の名称が保存される。道路によっては複数の名称が付されることがある。方角特定用語保存部11には交差点を基準にして道路が伸びる方向を示す用語、例えば、上ル、下ル、西入ル、東入ルなどがその示す方角とともに保存される。
【0026】
本発明は、上記実施形態、実施例、変形例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
3 データ入力部
7 交差点特定部
10 方角特定部
12 道路データ保存部
16 検索エリア特定部
17 検索エリア補正部