特許第6858785号(P6858785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6858785股関節表面再建用インプラントを取り付けるために大腿骨を成形するための回転カッター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858785
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】股関節表面再建用インプラントを取り付けるために大腿骨を成形するための回転カッター
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20210405BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   A61B17/16
   A61B17/56
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-543464(P2018-543464)
(86)(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公表番号】特表2018-535809(P2018-535809A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】GB2016053478
(87)【国際公開番号】WO2017077344
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】1519630.6
(32)【優先日】2015年11月6日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518158994
【氏名又は名称】エンボディ オーソピーディック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EMBODY ORTHOPAEDIC LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウォズンクロフト
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−000518(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102014203456(DE,A1)
【文献】 特表2014−519893(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/071252(WO,A1)
【文献】 特表2007−530119(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0300600(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/158917(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/092215(WO,A1)
【文献】 特表2016−537086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の切削手段を含む少なくとも1つの部分を有する本体を備える回転カッターであって、前記カッターが、積層造形法によって製造された単一の金属部品で構成されており、前記カッターの前記本体は、前記カッターの遠位部を画定する略円筒形の領域を有しており、
異なる寸法を有する2個以上のカッターが、製造時に及び/又は保管時に、互いに入れ子状に重なり合っており、また、前記入れ子部において、前記カッターのそれぞれをホルダに固定するための部分のそれぞれは、ほぼ同一の直径を有し、前記カッターのそれぞれが互いに入れ子状に重なり合っているときに、前記固定部分により、略円筒形の領域が形成される回転カッター。
【請求項2】
請求項1に記載の回転カッターであって、該略円筒形の領域は、1つ以上の開口を有する回転カッター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転カッターであって、前記カッターの前記本体は、前記カッターをホルダに固定するための部分を更に有し、該固定部分は、前記カッターの近位部を画定している回転カッター。
【請求項4】
請求項3に記載の回転カッターであって、前記カッターをホルダに固定するための前記部分の断面は、前記遠位部を画定する前記円筒形の領域よりも小径であり、または、前記遠位部を画定する前記略円筒形の領域を、前記近位部を画定する前記固定領域に接続するテーパ領域が設けられている回転カッター。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記少なくとも1個の切削手段は、前記本体の遠位端部にて周方向に配置された切削歯を有する回転カッター。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記少なくとも1個の切削手段が、前記カッターの前記本体における内面に配置された切削歯を有する回転カッター。
【請求項7】
請求項6に記載の回転カッターであって、前記切削歯の形状は、軸線方向に傾斜しており、また、前記切削歯が、前記テーパ領域の少なくとも一部に配置されている回転カッター。
【請求項8】
請求項6に記載の回転カッターであって、前記切削歯の形状は、前記カッターの軸線に対して実質的に垂直である回転カッター。
【請求項9】
請求項3又は請求項3に従属する請求項4〜8の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記カッターをホルダに固定するための前記部分は、少なくとも1個の脚部を有しており、また、前記少なくとも1個の脚部は、前記ホルダにスナップフィット接続されるように構成された突起を更に有する回転カッター。
【請求項10】
請求項1〜の何れか一項に記載の回転カッターであって、使い捨て式である回転カッター。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記カッターは、ステンレス鋼等の鋼、チタン、又はコバルトクロム等のコバルト合金等の、金属で構成されている回転カッター。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の回転カッターを保持するためのホルダ。
【請求項13】
請求項12に記載のホルダであって、前記回転カッターの前記固定部分を収容するための収容手段を備えるホルダ。
【請求項14】
請求項13に記載のホルダであって、前記収容手段は、前記カッターの前記固定部分における、少なくとも1個の脚部に設けられた任意の突起と相補的な凹部を有するホルダ。
【請求項15】
請求項1214の何れか一項に記載のホルダであって、積層造形法で製造されると共に、好適にはナイロン等のプラスチックで構成されているホルダ。
【請求項16】
請求項1215の何れか一項に記載のホルダであって、切削時において、骨屑を収集するための開口を更に備えるホルダ。
【請求項17】
請求項1216の何れか一項に記載のホルダであって、使用時に、前記カッターをガイドするためのガイドロッドに係合する孔、及び/又は、外科用パワードリルに取り付けられる駆動部を更に備え、該駆動部は、前記ホルダと一体化されているか、又は、着脱可能な別箇の部品として構成されているホルダ。
【請求項18】
請求項1〜11の何れか一項に記載のカッター、及び/又は、請求項1217の何れか一項に記載のホルダを、3Dプリンタに印刷させるコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
請求項1〜11の何れか一項に記載の回転カッターと、請求項1217の何れか一項に記載のホルダを備える切削システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節表面再建用インプラントを取り付けるために大腿骨を成形するための回転カッターに関する。
【背景技術】
【0002】
股関節表面再建術を行う間、大腿骨頭は、保持されると共に、生体関節と同様の大きさの球状支持面を有する骨頭インプラントで覆われる。大腿骨頭は、回転カッター、場合によっては、鋸で平坦に整形されるため、表面再建用骨頭インプラントの内側輪郭は大腿骨に正確に合わさる。骨頭インプラントがセメントで固定される場合、骨は僅かに小さく加工されるため、インプラントと骨との間に骨セメントの均一な層が形成される多孔質コーティングが施された、セメントフリーの表面再建用骨頭インプラントの場合、僅かな締まり嵌め固定が必要である。この場合、骨頭インプラントは、骨が多孔質表面に入り込んで固定がより強固になるまで骨に密接にフィットする。締まり嵌め固定をしないか又は締まり嵌め固定が不十分である場合、骨頭インプラントが初期的には十分に安定せず、インプラントが損傷する可能性がある。締まり嵌め固定が過度であれば、骨頭インプラントをフィットさせるのが極めて困難になる。従って、回転カッターは、僅かな隙間嵌めか、又はより重要とされる僅かな締まり嵌めを可能にする精度を有する必要がある。既存の表面再建用骨頭インプラントは、平坦な端面と、面取りされた側面又はドーム状側面を有する実質的に円筒孔を有する。典型的には、回転カッターは、これらの形状に対応するよう大腿骨頭を段階的に成形するために、円筒カッター、平面カッター、並びに面取りカッターを含む。ただし、幾つかのシステムは、平面切削をするための鋸ガイド部を有し、また他の幾つかのシステムは、成形工程を組み合わせるため、例えば、組み合わせた円筒カッター及び面取りカッター、又は組み合わせた面取りカッター及び平面カッターを有する。カッターは、使用時に、大腿骨に正確な角度および向きで予め配置された中央ガイドロッドによってガイドされる。このように、回転カッターは、切削端部、ガイドロッド上にフィットする孔、並びに外科用パワードリルに取り付けるための標準的な駆動部を含む。回転カッターによっては、使用時に発生する骨切削屑を収集するためのプラスチック製の付属品も含む。
【0003】
既存の表面再建用器具は再利用可能であるため、使用前や使用毎に洗浄や滅菌が行われなければならない。洗浄には数日を要する場合があるため、病院に十分な数のリーマがなければ、患者を治療する頻度が低下する可能性がある。なぜならこの場合、外科医は、次の患者を治療する前に、リーマの洗浄が完了するのを待たなくてはならないからである。一般的に、再利用可能な器具は、十分に洗浄されないか又は正しく滅菌されない可能性があるため、患者に対する感染リスクを増加させる。骨切削機能を有する器具は、使用時に、骨及び組織片で高度に汚染され、洗浄が特に困難である。また、再利用可能な器具の切削エッジは鋭いため、取り扱いや洗浄を実施するスタッフにとって危険である。更に、再利用なカッターにおいては再処理の危険性や困難さのみならず、数回に亘る使用や洗浄サイクルに伴い鋭利さが損なわれるため、交換するか又は研ぐ必要がある。回転カッターは、構造が複雑であるだけでなく、典型的には複数の製造工程で形成される鋭利な切削歯を必要とするため製造コストが大きい。これに加えて、一連のカッターは、骨頭インプラントの寸法範囲に対応するために寸法に関して多くの変形を含むため、製造コストが大きいのみならず、手術室で占めるスペースも大きい。上述した問題点により、再処理コスト及び維持コストも大きい。
【発明の概要】
【0004】
上述した問題点を克服するため、本発明は、積層造形法(AM)によって製造された単一の金属部品で構成された切削手段を備える使い捨て式回転カッターを提供する。
【0005】
本発明の一実施形態においては、好適には、股関節再建術時に大腿骨を成形するよう構成された回転カッターが提供される。本発明に係る回転カッターは、少なくとも1個の切削手段を含む少なくとも1つの部分を有する本体を備え、当該カッターは、積層造形法によって製造された単一の金属部品で構成される。
【0006】
当業者にとっては、多くの積層造形法が既知である。積層造形法の1つには、直接金属レーザ焼結法(DMLS)があり、他の積層造形法には、電子ビーム溶解法(EBM)がある。前記カッターは、任意の適切な金属、例えば、ステンレス鋼等の鋼、チタン、又はコバルトクロム等のコバルト合金で構成することができる。
【0007】
前記カッターは、典型的には、遠位端部及び近位端部を有する略円筒形の本体によって画定される。説明を容易にするため、本明細書において、遠位端部とは、カッターを使用する外科医から離れた側の端部を指す。換言すれば、骨に先に接近する側の端部を指す。この遠位端部は、典型的には、略円筒形の領域を有する。前記円筒形は、前記カッターの壁によって画定されると共に、内部が中空である。前記円筒形の(外壁から外壁まで、又は、代替的に内壁から内壁までのいずれかで測定される)直径は、切削すべき骨の大きさに応じて選択される。前記円筒形部内の空洞は、前記カッターが骨上に押し付けられたときに骨を収容する。
【0008】
前記略円筒形の領域は、場合により、1つ以上の開口を有することができる。これら開口は、骨片を前記カッターから排出するのに役立つ。
【0009】
前記カッターの前記本体はまた、典型的には、前記カッターをホルダに固定するための部分を有する(この点については、以下により詳細に説明する)。理解を容易にするために述べると、前記固定部分は、前記カッターの近位部(即ち、ホルダ及び外科医に近い側の部分)を画定している。
【0010】
カッターをホルダに固定するための前記部分の断面は、典型的には、遠位部を画定する前記円筒形の領域よりも小径である。好適な実施形態においては、前記遠位部を画定する前記略円筒形の領域を、前記近位部を画定する前記固定領域に接続するテーパ領域が設けられる。
【0011】
前記カッターの用途に応じて、前記カッター上の異なる位置に配置された、歯の配列は様々に異ならせることができる。
【0012】
大腿骨に対して円筒切削を行うため、前記本体における前記円筒形の領域の遠位端部にて周方向に切削歯を配置することができる。配置される歯の数は任意の個数とすることができるが、典型的には1個以上である。例えば、1〜8個の歯が配置可能であり、好適には8個の歯が配置可能である。これら歯は、基本的には、回転カッターが骨上に押し付けられたときに、前記円筒部の内径を越えて延在する骨の任意の部分が歯に係合し、骨を切削するような輪郭を有する。歯は、基本的には、切削を効率的にするために当該歯に対して僅かな角度を有する。
【0013】
上述した歯の配置に加えて、歯の他の配置においては、前記切削歯は、前記カッターにおける前記本体の内面に配置される。
【0014】
これら歯は、軸線方向に傾斜し、例えば、前記円筒遠位部を、前記近位固定部分に接続するテーパ領域の少なくとも一部に配置されていれば、その後、使用中、前記カッターが前記テーパ領域において前記骨と係合するよう押し付けられたときに、大腿骨に対して、面取り切削を行うことができる。
【0015】
これら歯も、骨を均一に切削するのに適した任意の輪郭を有することができる。本明細書に記載の切削歯の何れかと同様、これら歯も単一かつ平坦な切削エッジを有する必要はない。その代りに、これら歯は、効率的な切削を助長するセレーション等を構成してもよい。更に、2個以上の傾斜歯(例えば、2〜8個、好適には4個)が設けられた回転カッターにおいては、各歯に存在するセレーションは、互いにオフセットされているため、セレーションに起因するギャップの経路内に骨が落ちることにより、適切に切削されない周方向領域が骨上にある可能性はない。
【0016】
前記カッターが骨上に平面切削をすることも望まれる場合、前記カッターはまた、当該カッターの軸線に対して実質的に垂直に配置されるように、当該カッター本体内の内側に配置された歯を有する。前記カッター本体における、これら切削歯が配置された内部領域は、場合により、前記固定部分の開始部を形成することもできる。この場合、前記カッターの固定手段は、この平坦部から近位側に向けて延在している。
【0017】
前記カッターをホルダに固定するための、当該カッターの前記部分は、場合により、少なくとも1個の脚部を有する。この場合、前記脚部の個数は、1〜6個のいずれか、好適には4個とすることができる。これら脚部は、前記ホルダにおいて対応する収容手段に適合するよう構成される。前記少なくとも1個の脚部は、場合により、突起を更に有する。前記突起は、前記ホルダにスナップフィット接続されるように構成され、前記ホルダは、前記突起を収容するための相補的な凹部を有する。言うまでもなく、前記凹部が少なくとも1個の脚部に設けられ、前記突起が前記ホルダ内に設けられる構成としてもよい。
【0018】
製造工程時の、寸法上の利点を得るため(それにより、コスト及び材料を節約するため)、本発明の好適な実施形態においては、(前記遠位部を画定する略円筒形の領域における)、異なる直径を有する複数個の回転カッターによる入れ子部が提供される。積層造形法工程においては、各カッター間に僅かなギャップを残留させることが可能であるため、各カッターを入れ子部から取り外すことができる。これにより、各カッターの保管も容易になる。
【0019】
前記入れ子部において、前記カッターのそれぞれをホルダに固定するための前記部分のそれぞれは、ほぼ同一の直径を有し、前記カッターのそれぞれが互いに入れ子状に重なり合っているときに、前記固定部分により、略円筒形の領域が形成される。これにより、標準的な寸法を有する収容部を、ホルダに設けることが可能となる。
【0020】
本発明に係るホルダは、一端に本発明に係る回転カッターを保持し、他端に駆動手段を接続するよう構成される。これにより、前記駆動手段は、前記カッターを回転させることができる。
【0021】
前記ホルダは、前記回転カッターの前記固定部分を収容するための収容手段を備える。前記収容手段は、場合により、前記カッターの前記固定部分における、少なくとも1個の脚部に設けられた任意の突起と相補的な凹部を備える。
【0022】
前記ホルダは、好適には、積層造形法で製造されると共に、好適にはナイロン等のプラスチックで構成される。
【0023】
前記ホルダは、切削時において、骨屑を収集するための1つ以上の開口を更に備える。当業者にとって、これら開口を配置できる適切な位置については自明のことであろう。
【0024】
前記ホルダは、使用時に、前記カッターをガイドするためのガイドロッドに係合する孔、及び/又は、外科用パワードリルに取り付けられる駆動部を更に備えることができる。前記駆動部は、前記ホルダと一体化可能か、又は、前記ホルダに着脱可能な別箇の部品として構成可能である。前記駆動部は、トルクを前記ホルダにより均一に伝達するためのクロスバーを有することができる。
【0025】
更に、本発明はまた、本明細書に記載のカッター、及び/又は、ホルダを、3Dプリンタに印刷させるコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体を提供する。
【0026】
更に、本発明はまた、本明細書に記載の、回転カッターと、ホルダとを備える切削システムを提供する。本発明に係る切削システムは、場合により、予め組み付けることができる。
【0027】
更に、本発明はまた、股関節再建術時に大腿骨を成形するための方法を提供する。前記方法は、本発明に係る回転カッターを、典型的には、本明細書に記載のホルダと共に使用する。
【0028】
使用時に、前記カッターは、前記カッター本体の内面に、遠位歯及び傾斜歯を有する場合、そのとき、前記回転カッターは、大腿骨に対して、円筒切削及び面取り切削を同時に行うことができる。
【0029】
前記回転カッターが遠位歯のみを備える場合、大腿骨に対して、円筒切削を行うことができる。
【0030】
回転カッターが内面に傾斜歯のみを備える場合、大腿骨に対して、面取り切削を行うことができる。
【0031】
前記回転カッターが遠位歯及び傾斜歯を内面に備えると共に、軸線に対して垂直な内面に設けられた平坦歯を備える場合、そのとき、大腿骨に対して、一度の運動で円筒切削、面取り切削、及び、平面切削を行うことができる。
【0032】
積層造形法の利点は、従来の製造で必要とされる多数の複雑な製造工程の欠点を伴うことなく、単一の回転カッター又は組み合わせた回転カッターにおける複雑な形状を製造できることである。
【0033】
前記回転カッターは、好適には、円筒カッター及び面取りカッターの組み合わせとして構成されるが、代替的には以下の構成、即ち、
a)個別の円筒カッター
b)個別の面取りカッター
c)組み合わされた、面取りカッター及び平面カッター
d)組み合わされた、円筒カッター、面取りカッター、及び、平面カッター
も想定可能である。
【0034】
前記回転カッターは、別箇の平面カッター又は鋸切削によって、より早期の段階で形成された平面切削部において、切削を停止するのが好適である。好適な実施形態においては、異なる寸法を有する複数個のカッターを互いに入れ子状に重ね合わせる選択肢を提供し、これは、積層造形法による低コストの製造にとって有利である。従って、個別にカッターを製造する場合に比べて、限られた機械製造能力の範囲内でより多く(約4〜5倍)のカッターを製造することができる。また、自己組立用のカッターの全セットが提供される場合、予め組み付けられた部品に関して省スペース化が可能となるのみならず、手術室でも省スペース化が可能となる。更に、これら利点を享受するため、上記に列挙されたカッターの代替的な構成(a〜d)についても、やはり互いに入れ子状に重ね合わせることが好適である。本発明に係る使い捨てカッターは、好適には、滅菌包装された状態で供給され、使用後に再処理されるのではなく処分される。前記切削部は、十分に正確かつ鋭利に構成され、再利用される従来のカッターとは異なり、再利用されないから鋭利さが損なわれることがない。前記カッターは、好適には、ガイドロッドを追従するために適切な大きさを有する孔、切削時において、骨屑を収集するための開口、及び、外科用パワードリルに取り付けられる標準的な駆動部を備えるプラスチックホルダ内に予め組み付けられる。代替的に、前記金属カッターは、表面再建術中に、前記ホルダに自己組み付けするために、個別的又はセットとして、手術スタッフによって提供されてもよい。前記回転カッターは、骨を円滑に切削するための多数の切削歯を有し、好適ではあるが限定されるものではないとして、例えば、円筒切削をするための8個の切削歯と、面取り切削をするための4つの切削歯を備える。
【0035】
製造において、切削精度(例えば、寸法及び真円度)、特に、前記カッターの円筒切削部の切削精度を改善し、これにより、インプラントとの僅かな締まり嵌め固定に関して、大腿骨頭の切削された円筒部がより正確に加工されるのが望ましい場合がある。従って、孔の研削、即ち±50ミクロン又は50ミクロン未満の公差を実現可能な、極めて正確な加工が望ましい場合がある。更に、全切削刃の切削有効性を向上させることが望ましい場合があるため、本発明に係るカッターの構成では、適切な工具(例えば、手動やすり、自動やすり、又は、小さな砥石車)を使用して全切削刃を研ぐことが可能である。
【0036】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】予め成形された大腿骨及び表面再建用骨頭インプラントを示す分解図である。
図2】大腿骨に取り付けられた状態の表面再建用骨頭インプラントを示す断面図である。
図3】完全に組み付けられた状態の回転カッターを示す説明図である。
図4】回転カッターの分解図である。
図5】回転カッターの正投影図である。
図6】回転カッターの側面図である。
図7図6における回転カッターの断面図である。
図8図7における回転カッターの拡大詳細図である。
図9】大腿骨を切削する直前の回転カッターを示す説明図である。
図10】大腿骨を切削した後の回転カッターを示す説明図である。
図11】回転カッターにおける金属カッター部分を示す説明図である。
図12】製造時に互いに入れ子状に接続された複数個の金属カッター部分を示す説明図である。
図13図12における入れ子式カッターを示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
上述したように、股関節表面再建術は、表面再建用骨頭インプラント(1)を正確に嵌合させるため、大腿骨頭(2)の成形を含む(図1及び図2参照)。図2の断面図に示すように、表面再建用骨頭インプラント(1)の内側輪郭は、平坦な端部(3)及び面取り部(5)が設けられた円筒孔(4)を有し、また大腿骨頭(2)は、インプラント(1)に適合するよう成形されている。図3図13に示す回転カッター(8)により、円筒切削及び面取り切削の両方が大腿骨に対して行われる。図3及び図4に示すように、回転カッター(8)は、3つの部分、即ち、金属カッター(9)と、好適にはプラスチックで構成されたホルダ(7)と、外科用パワードリル(図示せず)に取り付けられる好適には金属製の駆動部(6)を備える。前記駆動部は、ホルダに圧入されると共に、ねじり力をホルダに伝達するための別箇のピン(10)を有することができる。図5は、円筒切削をするための切削歯(12)と、面取り切削をするための切削歯(14)を示す。図5は更に、面取り切削をするための切削歯に隣接すると共に、切削時に発生する骨屑を収集するための開口(11)と共に、図9及び図10におけるガイドロッド(16)を追従する孔(13)を示す。図7に示すように、孔(13)は、ホルダ(7)の長さの大部分に亘って延在している。図8は、金属カッター(9)をホルダ(7)内に固定するためのスナップフィット部(15)を示す。前記回転カッターは、使用時に、外科用パワードリル(図示せず)に組み付けられると共に、図9及び図10に示すように、大腿骨頭(2)に予め配置されたガイドロッド(16)上を前進する。前記回転カッターは、制御状態で切削をするために低速回転させる(図9は骨切削前の状態を示し、図10は、骨切削後の状態を示す)。
【0039】
図11は、分離状態の金属カッター(9)を示す。図示のカッター(9)は、円筒切削をするための切削歯(12)と、面取り切削をするための切削歯(14)と、円筒本体(17)と、ホルダ(7)内に挿入するための脚部(18)と、を有する。雄スナップフィット部(19)により、カッター(9)がホルダに固定される。図12は、異なる寸法を有するカッター(この場合は4個)が、どのように、積層造形法製造工程及び保管において、互いに入れ子状に重なり合っているかを示す。図13では、わかり易くするため、4つの寸法を有する入れ子式カッターが分解された状態で示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13