(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の層が、シリコーン、ワックス、ポリエチレン、ホットエンド、パリレンおよびダイヤモンド様コーティング調合物からなる群の1つ以上を含むコーティングである、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記第2の層が、酸化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、六方晶系窒化ホウ素およびホウ化アルミニウムマグネシウムからなる群から選択される材料を含むコーティングである、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記第2の層が、酸化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、六方晶系窒化ホウ素およびホウ化アルミニウムマグネシウムからなる群から選択される添加剤を含むコーティングである、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記ガラス層が、アルカリを含まないか、またはアルカリ含有アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートまたはシリケートガラス組成物を含む、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記圧縮応力領域が、複数のイオン交換可能な金属イオンおよび複数のイオンを交換された金属イオンを含み、該イオンを交換された金属イオンが、前記イオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きい原子半径を有する、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記ガラス層が端縁をさらに含み、かつガラス素子が、前記端縁から前記ガラス層の端縁深さまで延在する端縁圧縮応力領域をさらに含み、該端縁圧縮応力領域が、前記端縁における少なくとも100MPaの圧縮応力によって画定される、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記ガラス層が、コア領域と、該コア領域上に配置された第1および第2のクラッド領域とをさらに含み、かつさらに、前記コア領域の熱膨張係数が、前記クラッド領域の熱膨張係数より大きい、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記コア領域がコア厚さを有し、前記第1および第2のクラッド領域が、第1および第2のクラッド厚さを有し、かつ厚さの比率が、前記第1および第2のクラッド厚さの合計によって割られた前記コア厚さによって与えられ、かつさらに、前記厚さの比率が3以上である、請求項13記載のスタックアセンブリ。
前記ガラス素子の厚さより厚い厚さと、2つの実質的に平行な端縁表面とを有するガラス構造をさらに含み、該ガラス構造が、前記実質的に平行な端縁表面の間で前記ガラス構造の中心領域において配置される前記ガラス素子を含む、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記ガラス素子の第1の主面がビッカーズインデンターから1kgf(9.8N)の負荷を受ける時、前記第1の主面において100マイクロメートル以下の欠陥が導入される、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記ガラス素子の第1の主面がビッカーズインデンターから2kgf(19.6N)の負荷を受ける時、前記第1の主面において100マイクロメートル以下の欠陥が導入される、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
前記ガラス素子が、10gf(0.098N)によって負荷を受けたキューブコーナーダイヤモンドインデンターとの接触後、800MPaより大きい維持されたB10曲げ強度を有する、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
F/w≦0.076N/mm(式中、Fは、対象曲げ半径に前記ガラス素子を配置する閉鎖力であり、かつwは、ガラスが曲げられる際のその曲げの軸と平行な方向における前記ガラス素子のmm単位の幅である)を含む、請求項1または2記載のスタックアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本発明の好ましい実施形態が詳細に参照され、その実施例は添付の図面において例示される。可能な場合は常に、同一参照番号が、同一または同様の部品を参照するために図面全体で使用される。範囲は、本明細書中、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値まで表示されることができる。そのような範囲が表示される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表示される場合、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。それぞれの範囲の終点が他の終点に関して、および他の終点から独立しての両方で有意であることがさらに理解される。
【0026】
他の特徴および利益の中でも、本開示のスタックアセンブリ、ガラス素子およびガラス物品(ならびにそれらの製造方法)は、小さい曲げ半径において機械的信頼性(例えば、静的引張および疲労)、ならびに大きい貫入抵抗を提供する。小さい曲げ半径および貫入抵抗は、スタックアセンブリ、ガラス素子および/またはガラス物品が、折り畳み可能なディスプレイ、例えば、ディスプレイの一部分がディスプレイの別の部分上で折り畳まれるものにおいて使用される場合に有利である。例えば、スタックアセンブリ、ガラス素子および/またはガラス物品は、貫入抵抗が特に重要である位置の、折り畳み可能なディスプレイの使用者に面する部分上のカバー;その上に電子部品が配置される、デバイス自体内に内部的に配置される基材;または折り畳み可能なディスプレイデバイスにおける他の箇所の1つ以上として使用されてもよい。あるいはスタックアセンブリ、ガラス素子、および/またはガラス物品は、ディスプレイを有さないが、ガラス層がその有利な特性のため使用され、かつ密接した曲げ半径まで、折り畳み可能なディスプレイの場合と同様の方法で折り畳まれるデバイスにおいて使用されてもよい。スタックアセンブリ、ガラス素子および/またはガラス物品が、使用者がそれと相互作用するデバイスの外部上で使用される場合、貫入抵抗は特に有利である。
【0027】
図1および1Bを参照すると、ガラス素子50を含むスタックアセンブリ100が示される。ガラス素子50は、ガラス素子厚さ52、第1の主面54および第2の主面56を有する。厚さ52は、いくつかの態様において、約25μm〜約125μmの範囲であることができる。他の態様において、厚さ52は、約50μm〜約100μm、または約60μm〜約80μmの範囲であることができる。厚さ52は、上記の範囲の間の他の厚さに設定することもできる。
【0028】
ガラス素子50は、ガラス層の第1の主面54aおよびガラス層の第2の主面56aを有するガラス層50aを含む。加えて、ガラス層50aは、一般に主面54aおよび56aに対して直角に構成される端縁58bを含む。ガラス層50aは、ガラス層厚さ52aによってさらに画定される。
図1および1Bで示されるスタックアセンブリ100の態様において、ガラス素子50は、1つのガラス層50aを含む。結果として、ガラス層厚さ52aは、スタックアセンブリ100に関してガラス素子厚さ52に相当する。他の態様において、ガラス素子50は、2層以上のガラス層50aを含むことができる(
図2および相当する記載においてスタックアセンブリ100c参照)。したがって、ガラス層50aの厚さ52aは、約1μm〜約125μmの範囲であることができる。例えば、ガラス素子50は、それぞれ、約8μmの厚さ52aを有する、3層のガラス層50aを含むことができる。本実施例において、ガラス素子50の厚さ52は、約24μmであってよい。しかしながら、ガラス素子50が、1つ以上のガラス層50aに加えて、他の非ガラス層(例えば、対応するポリマー層)を含むことができるであろうことも理解されなければならい。
【0029】
図1および1Bにおいて、ガラス層50aは、アルカリを含まないアルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートおよびシリケートガラス組成物から製造することができる。ガラス層50aは、アルカリ含有アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートおよびシリケートガラス組成物から製造することもできる。特定の態様において、アルカリ土属変性剤は、ガラス層50aの上記の組成物のいずれにも添加することができる。1つの例示的な態様において、以下のガラス組成:(モル%で)64〜69%のSiO
2;5〜12%のAl
2O
3;8〜23%のB
2O
3;0.5〜2.5%のMgO;1〜9%のCaO;0〜5%のSrO;0〜5%のBaO;0.1〜0.4%のSnO
2;0〜0.1%のZrO
2;および0〜1%のNa
2Oがガラス層50aのために適切である。別の例示的な態様において、以下の組成:(モル%で)約67.4%のSiO
2;約12.7%のAl
2O
3;約3.7%のB
2O
3;約2.4%のMgO;0%のCaO;0%のSrO;約0.1%のSnO
2;および約13.7%のNa
2Oがガラス層50aのために適切である。さらなる例示的な態様において、以下の組成:(モル%で)68.9%のSiO
2;10.3%のAl
2O
3;15.2%のNa
2O;5.4%のMgO;および0.2%のSnO
2もガラス層50aのために適切である。いくつかの態様において、ガラス層50aのための組成物は、(他のガラスと比較して)比較的低い弾性率によって選択される。ガラス層50aのより低い弾性率は、曲げの間、層50aにおける引張応力を低下させることができる。限定されないが、欠陥の組み込みを最小化しながら、低い厚さレベルまで製造することの容易さ、曲げの間に生じた引張応力を相殺する圧縮応力領域の生じ易さ、光学透明度および腐食抵抗を含む、ガラス層50aのための組成を選択するための他の基準を使用することができる。
【0030】
ガラス素子50およびガラス層50aは、様々な物理的形態を採用することができる。断面の観点から、素子50および(1つまたは複数の)層50aは、平坦または平面であることができる。いくつかの態様において、素子50および層50aは、最終用途次第で非直線形のシート様の形態で製造することができる。一例として、楕円ディスプレイおよびベゼルを有する移動式ディスプレイデバイスは、一般に楕円のシート様形態を有するガラス素子50および層50aを必要とすることができる。
【0031】
さらに
図1および1Bを参照すると、スタックアセンブリ100のガラス素子50は、ガラス層50の第1の主面54aからガラス層50の第1の深さ62まで延在する圧縮応力領域60をさらに含む。他の利点の中でも、圧縮応力領域60は、ガラス層50aの範囲内で、曲げにおいてガラス層50aに生じた引張応力、特に第1の主面54a付近で最大に達する引張応力を相殺するために利用することができる。圧縮応力領域60は、層の第1の主面54aにおいて少なくとも約100MPaの圧縮応力を含むことができる。いくつかの態様において、第1の主面54aの圧縮応力は、約600MPa〜約1000MPaである。他の態様において、ガラス層50aにおいて圧縮応力を生じるために利用されるプロセス次第で、圧縮応力は、第1の主面54aにおいて1000MPaより高く、2000MPaまでであることができる。圧縮応力は、本開示の他の態様において、第1の主面54aにおいて約100MPa〜約600MPaの範囲であることもできる。
【0032】
圧縮応力領域60内で、圧縮応力は、ガラス層の第1の主面54aから第1の深さ62までの深さの関数として、ガラス層50aの範囲内で一定の状態を保つことができ、減少または増加することもできる。したがって、様々な圧縮応力プロフィールは、圧縮応力領域60で利用されることができる。さらに、深さ62を、ガラス層の第1の主面54aから約15μm以下に設定することができる。他の態様において、深さ62を、ガラス層の第1の主面54aから、ガラス層50aの厚さ52aの約1/3以下、またはガラス層50aの厚さ52aの20%以下であるように設定することができる。
【0033】
図1および1Aを参照すると、ガラス素子50は、素子が、約60分間にわたり約25℃および約50%相対湿度で、約3mm〜約20mmの曲げ半径40で保持される時の破損の不在によって特徴づけられる。本明細書で使用される場合、「故障」、「破損」などの用語は、破損、破壊、層間剥離、亀裂伝播、または本開示のスタックアセンブリ、ガラス物品およびガラス素子をそれらの意図された目的に不適当にさせる他の機構を指す。ガラス素子50がこれらの条件下で曲げ半径40に保持される場合、曲げ力42は素子50の末端に適用される。一般には、曲げ力42の適用の間、引張応力は素子50の第1の主面54で生じ、および圧縮応力は第2の主面56で生じる。他の態様において、ガラス素子50は、約3mm〜約10mmの範囲の曲げ半径に対する破損を回避するために構成することができる。いくつかの態様において、曲げ半径40は、約1mm〜約5mmの範囲に設定することができる。曲げ半径40は、スタックアセンブリ100の他の態様によるガラス素子50において破損を引き起こすことのない、約5mm〜7mmの範囲に設定することもできる。いくつかの態様において、ガラス素子50は、素子が、少なくとも120時間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で約3mm〜約20mmの曲げ半径40で保持される時の破損の不在によって特徴づけることもできる。曲げ試験結果は、上記とは異なる温度および/または湿度レベルを有する試験条件下で変動可能である。例えば、より小さい曲げ半径40(例えば<3mm)を有するガラス素子50は、50%相対湿度より有意に低い湿度レベルで実行される曲げ試験において、破損の不在によって特徴づけられてもよい。
【0034】
またガラス素子50は、素子50の第2の主面56が、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmの感圧接着剤(「PSA」)、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート層(「PET」)によって担持され、および素子50の第1の主面54が、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗によって特徴づけられる。典型例として、本開示の態様による貫入試験は、0.5mm/分のクロスヘッド速度の移動制御下で実行される。特定の態様において、金属ピンの変形から生じるおそれのある、より高い弾性率を有する材料(例えば、ガラス素子50)の試験に関連する偏りを回避するために、ステンレス鋼ピンは、特定の試験量(例えば10回の試験)の後、新しいピンに置き換えられる。いくつかの態様において、ガラス素子50は、ワイブルプロット内で5%以上の破損確率において、約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗によって特徴づけられる。ガラス素子50は、ワイブル特性強度(すなわち、63.2%以上)において約3kgf(29.4N)より大きい貫入抵抗によって特徴づけることもできる。特定の態様において、スタックアセンブリ100のガラス素子50は、約2kgf(19.6N)以上、2.5kgf(24.5N)以上、3kgf(29.4N)以上、3.5kgf(34.3N)以上、4kgf(39.2N)以上、およびより高い範囲において貫入に抵抗することができる。ガラス素子50は、8H以上の鉛筆硬度によっても特徴づけられる。
【0035】
再び
図1および1Bを参照すると、スタックアセンブリ100のいくつかの態様は、第2の層コーティング厚さ72を有する、低い摩擦係数を有する第2の層70を含む。これらの構成において、第2の層70は、ガラス素子50の第1の主面54上に配置される。特定の用途のスタックアセンブリ100において利用される場合、第2の層70は、摩擦を減少させ、かつ/または摩耗からの表面損傷を低下させるために有用となることができる。第2の層70は、素子および/または層が、破損の原因となるその設計限界を超過する応力を受けた時のガラス素子50および/または層50aの断片および破片の保持において安全対策を提供することもできる。第2の層70の厚さ72は、いくつかの態様において、1マイクロメートル(μm)以下に設定することができる。他の態様において、第2の層70は、特定の組成物に関して、500nm以下または10nm以下に設定することができる。さらに、スタックアセンブリ100のいくつかの態様において、その設計限界を超過する応力から生じたガラス素子50および/または層50aの破片の保持において安全性の利益を提供するために、追加的な層70を主面56上で利用することができる。
【0036】
第2の層70には、熱可塑性物質、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、フッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)、フッ化ポリビニリデン(「PVDF」)、ならびに非晶質フルオロカーボン(例えば、DuPont(登録商標)Teflon(登録商標)AFおよびAsahi(登録商標)Cytop(登録商標)コーティング)を含む、低い表面エネルギーを有することが既知である様々なフルオロカーボン材料を利用することができる。これらは典型的に、接着に関する機械的連動機構に依存する。第2の層70は、シラン含有調合物、例えば、Dow Corning(登録商標)2634コーティング、または他のフルオロ−もしくはペルフルオロシラン(例えば、アルキルシラン)から製造することもできる。これは単層または多層フィルムとして堆積することができる。いくつかの態様において、第2の層70は、単独で、もしくはホットエンドコーティング、例えば、酸化スズ、または蒸着されたコーティング、例えば、パリレンおよびダイヤモンド様コーティング(「DLC」)と組み合わせて使用される、シリコーン樹脂、ワックス、ポリエチレン(酸化物)を含むことができる。第2の層70は、酸化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、六方晶系窒化ホウ素またはホウ化アルミニウムマグネシウムを含むこともでき、これらは、単独で、または上記コーティング組成物および調合物における添加剤として使用することができる。
【0037】
上記の代わりに、または上記に加えて、第2の層70は、様々な他の特性、例えば、抗菌性、抗破片性、抗汚れ性および抗指紋性を含んでもよい。
【0038】
いくつかの態様において、スタックアセンブリ100は、ガラス層50の第1の主面54aにおいて5μm以下の最大欠陥径を有する圧縮応力領域60を有するガラス素子50を含むことができる。最大欠陥径は、2.5μm以下、2μm以下、1.5μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下またはより小さい欠陥径範囲に保持される。ガラス素子50、1つおよび/または複数の層50aの圧縮応力領域における欠陥径を低下させることによって、曲げ力、例えば、曲げ力42(
図1Aを参照のこと)による引張応力の適用時に、これらの素子および/または層が亀裂伝播によって故障する傾向をさらに低下させることができる。加えて、スタックアセンブリ100のいくつかの態様は、圧縮応力領域における重複も欠如する制御された欠陥径分布(例えば、ガラス層50aの第1の主面54aにおいて0.5μm以下の欠陥径)を有する表面領域を含むことができる。
【0039】
再び
図1Aを参照すると、スタックアセンブリ100に適用される曲げ力42は、ガラス素子50の第1の主面54における引張応力をもたらす。より密接した曲げ半径40によって、より高い引張応力が導かれる。以下の式(1)を使用して、特に、一定の曲げ半径40で曲げられたガラス素子50の第1の主面54における、スタックアセンブリ100における最大引張応力を推定することができる。式(1)は、
【0041】
によって表わされる。上記式中、Eは、ガラス素子50のヤング率であり、νは、ガラス素子50のポアソン比であり(典型的に、νは、ほとんどのガラスの組成物に関して約0.2〜0.3である)、hは、ガラス素子の厚さ52を反映し、かつRは、湾曲の曲げ半径である(曲げ半径40と比較できる)。式(1)を使用すると、最大曲げ応力は、ガラス素子の厚さ52および弾性率に比例して依存し、かつガラス素子の湾曲の曲げ半径40に反比例して依存することが明らかである。
【0042】
スタックアセンブリ100に適用される曲げ力42も、即時またはより低速の疲労破損機構を導く亀裂伝播の可能性をもたらす可能性がある。第1の主面54における、または表面の直下における欠陥の存在は、素子50のこれらの潜在的破損モードに寄付するおそれがある。下記の式(2)を使用して、曲げ力42を受けたガラス素子50における応力強度因子を推定することが可能である。式(2)は、
【0044】
によって表わされる。上記式中、aは欠陥径であり、Yは、幾何学的因子であり(一般に、典型的な破損モードでガラス端縁から生じる亀裂に関して1.12であると仮定)、かつσは、式(1)を使用して推定された曲げ力42と関連する曲げ応力である。式(2)は、亀裂顔に沿った応力が一定であると仮定し、これは、欠陥径が小さい場合(例えば、<1μm)に適切な仮定である。応力強度因子Kがガラス素子50の破壊靱性K
ICに達する時、瞬間破損が生じる。ガラス素子50のために適切なほとんどの組成物に関して、K
ICは約0.7MPa√mである。同様に、Kが疲労閾値K
閾値以上のレベルに達成する時、低速の周期的疲労負荷条件を通して破損が生じる可能性がある。K
閾値のための適切な仮定は、約0.2MPa√mである。しかしながら、K
閾値を実験的に決定することができ、全体的な適用必要条件次第である(例えば、所与の用途のためのより高い疲労寿命は、K
閾値を増加させることができる)。式(2)を考慮して、全体的な引張応力レベルおよび/またはガラス素子50の表面における欠陥径を低下させることによって、応力強度因子を低下させることができる。
【0045】
スタックアセンブリ100のいくつかの態様によると、式(1)および(2)によって推定される引張応力および応力強度因子は、ガラス素子50の第1の主面54における応力分布の制御によって最小化することができる。特に、第1の主面54以下の圧縮応力プロフィール(例えば、圧縮応力領域60)は、式(1)で算出された曲げ応力から差し引かれる。したがって、全体的な曲げ応力レベルは低下し、次に、式(2)を通して推定することができる応力強度因子も低下する。
【0046】
いくつかの実装形態において、折り畳み可能な特徴を有する折り畳み可能な電子デバイスは、スタックアセンブリ100を含むことができる。折り畳み可能な特徴は、例えば、ディスプレイ、プリント基板、ハウジングまたは電子デバイスと関連する他の特徴であることができる。折り畳み可能な特徴がディスプレイである場合、例えば、スタックアセンブリ100は実質的に透明であることが可能である。さらに、スタックアセンブリ100は、上記で記載されるような鉛筆硬度、曲げ半径および/または貫入抵抗能力を有することができる。1つの例示的な実装形態において、折り畳み可能な電子デバイスは、上記によって記載されるスタックアセンブリ100を含むか、またはその他の方法で組み込むウォッチ、ウォレットまたはブレスレットなどの装着型電子デバイスである。本明細書に定義されるように、「折り畳み可能」には、完全な折り畳み、部分的な折り畳み、屈曲、湾曲および多重折り畳み能力が含まれる。
【0047】
図1Cを参照すると、圧縮応力領域60aを生じさせるためにイオン交換プロセスに依存するスタックアセンブリ100aの断面図が示される。スタックアセンブリ100aは、
図1〜1Bに示されるスタックアセンブリ100と同様であり、同様に番号をつけられた素子は、比較できる構造および機能を有する。しかしながら、スタックアセンブリ100aにおいては、ガラス素子50の圧縮応力領域60aは、イオン交換プロセスによって生じることができる。すなわち、圧縮応力領域60aは、複数のイオン交換可能な金属イオンと、領域60aにおいて圧縮応力を生じるように選択される複数のイオン交換された金属イオンとを含むことができる。スタックアセンブリ100aのいくつかの態様において、イオン交換された金属イオンは、イオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きい原子半径を有する。イオン交換可能なイオン(例えば、Na
+イオン)は、イオン交換プロセスを受ける前にガラス素子50および層50aに存在する。イオン交換するイオン(例えば、K
+イオン)は、ガラス素子50および層50aに組み込まれることができ、イオン交換可能なイオンのいくつかを置き換える。ガラス素子50および層50aへのイオン交換するイオン(例えば、K
+イオン)の組み込みは、イオン交換するイオン(例えば、溶融KNO
3塩)を含有する溶融塩浴に、素子または層を浸漬することによって生じることができる。この例において、K
+イオンはNa
+イオンより大きい原子半径を有し、存在する場合は常に、ガラスにおいて局所的圧縮応力を生じる傾向がある。
【0048】
利用されるイオン交換プロセス条件次第で、イオン交換するイオンは、第1の主面54aから第1のイオン交換深さ62aまで付与することができ、圧縮応力領域60aのイオン交換層深さ(「DOL」)が確立される。同様に、
図1C中に示されるように、第2の圧縮応力領域60aは、第2の主面56aから第2のイオン交換深さ63aまで生じることができる。100MPaをはるかに超えるDOLの範囲内の圧縮応力レベルは、そのようなイオン交換プロセスによって、2000MPa程度の高さまで達成することができる。上記で述べたように、圧縮応力領域60a(および存在する場合、第2の領域60a)における圧縮応力レベルは、曲げ力42から生じた、スタックアセンブリ100a、ガラス素子50およびガラス層50aにおいて生じた引張応力を相殺するために有用となることが可能である。
【0049】
再び
図1Cを参照すると、スタックアセンブリ100aのいくつかの態様は、それぞれ少なくとも100MPaの圧縮応力によって画定される1つ以上の端縁圧縮応力領域59aを含むことができる。ガラス素子50における端縁圧縮応力領域59aは、端縁58bから端縁深さ59bまで確立することができる。端縁圧縮応力領域59aを生じるために、圧縮応力領域60aを生じるために利用されるものと本質的に同様のイオン交換プロセスを配置することができる。より詳しくは、端縁圧縮応力領域59aを使用して、例えば、端縁58bの正面を横切ってガラス素子50を曲げることによって、端縁58bで生じた引張応力を相殺することができる。あるいは、またはそれに加えて、理論によって束縛されることなく、圧縮応力領域59aは、端縁58bにおける、または端縁58bへの衝撃または摩耗事象からの悪影響を相殺し得る。
【0050】
図1Dにおいて、圧縮応力領域60bを生じさせるガラス層50aの領域間の熱膨張係数(「CTE」)のずれに依存するスタックアセンブリ100bが示される。スタックアセンブリ100bは、
図1〜1Bに示されるスタックアセンブリ100と同様であり、同様に番号をつけられた素子は、比較できる構造および機能を有する。しかしながら、スタックアセンブリ100bにおいては、ガラス素子50の圧縮応力領域60bは、層50a自体内のCTEの差異に依存するガラス層50aの調整された構造によって生じることができる。特に、ガラス層50aは、コア領域55aと、コア領域55aに配置される第1および第2のクラッド領域57aを含む。特に、コア領域55aのCTEは、クラッド領域57aのCTEより大きい。ガラス層50aが製造の間に冷却された後、コア領域55aおよびクラッド領域57aの間のCTEの差異が冷却時に不均等な体積収縮を生じ、
図1Dに示すように、それぞれ、第1および第2の主面54aおよび56aの下のクラッド領域57aにおける圧縮応力領域60bを生じさせる。言い換えると、コア領域55aおよびクラッド領域57aは、高温で互いに密接に接触し、次いで、領域55aおよび57aは低温まで冷却され、低CTEクラッド領域57aと比較して高CTEのコア領域55aのより大きい体積変化によって、クラッド領域57aにおいて圧縮応力領域60bが作成される。
【0051】
再び
図1Dを参照すると、CTEによって生じた圧縮応力領域60bは、ガラス層の第1の主面54aからCTE領域深さ62bまで、および第2の主面56aからCTE領域深さ63bまで達し、したがって、CTE関連DOLが確立される。いくつかの態様において、圧縮応力領域60bの圧縮応力レベルは、150MPaを超えることができる。コア領域55aとクラッド領域57aとの間のCTE値の差異を最大化することによって、製造後の素子50の冷却時に圧縮応力領域60bにおいて生じた圧縮応力の大きさを増加させることができる。
【0052】
スタックアセンブリ100bのいくつかの態様において、
図1Dに示すように、コア領域55aはコア領域厚さ55bを有し、およびクラッド領域57aはクラッド厚さ57bを有する。これらの態様において、クラッド領域厚さ57bの合計によって割られたコア領域厚さ55bに関して3以上の厚さ比率を設定することが好ましい。したがって、コア領域55aの径および/または径と関連するそのCTEおよび/またはクラッド領域57aのCTEを最大化することは、スタックアセンブリ100bの圧縮応力領域60bで観察される圧縮応力レベルの大きさを増加させるために有用となることができる。
【0053】
別の態様によると、
図2は、複数のガラス層50a(例えば、2層の層50a、3層の層50a、4層の層50aなど)を有するガラス素子50を有するスタックアセンブリ100cを示す。
図2に示すように、一緒に積み重なった3層のガラス層50aがガラス素子50を構成する。圧縮応力領域60は、
図2に示すようにそれぞれの層50aで存在することができる。層50aは一緒に直接に積み重なることができるか、またはいくつかの態様において、対応する中間層をそれらの間に配置することができる。さらに、スタックアセンブリ100cのいくつかの態様において、圧縮応力領域60が、ガラス素子50の範囲内の全ての層50aで必要とされるというわけではない。好ましくは、圧縮応力領域60は、素子50の一番上の層50aに存在する。加えて、いくつかの態様において、1つ以上の層50aにおいて、端縁圧縮応力領域59a(
図1Cおよび相当する記載を参照のこと)、圧縮応力領域60a(
図1Cおよび相当する記載を参照のこと)、および/または圧縮応力領域60b(
図1Cおよび相当する記載を参照のこと)を含むことも好ましい。
【0054】
一般には、スタックアセンブリ100cの層50aは、ガラス素子50の曲げの時の互いに関する運動を可能にするように構成されるか(
図2Aを参照のこと)、または層50aは互いにゆるやかに連結する。層50aの積み重ねによって得られるガラス素子50の集合的な厚さによって、それぞれの層50aがそれより上に層を担持する場合、素子50の貫入に対する抵抗を増加させることができる。さらに、曲げの間に互いに対して移動するガラス層50aの能力は、曲げ半径40まで曲がる時にそれぞれの層50aで生じる引張応力の量を低下させる。これは、(素子50の厚さではなく)それぞれの層50aの厚さが、式(1)によって推定されるように、引張応力を生じることに寄与する因子であるためである。曲げ応力を生じる観点から、その隣接している層50aから、それぞれの層50aが一般に分離されるため、スタックアセンブリ100cのいくつかの態様は、スタックアセンブリに存在するそれぞれの層50a内の圧縮応力領域60を組み込む。スタックアセンブリ100cの特定の態様において、第2の層70は、ガラス素子50の第1の主面54上に(すなわち、一番上の層50aの第1の主面上に)配置されることができる。この目的のために利用される第2の層70は、スタックアセンブリ100と関連して上記で概説される第2の層70と比較できる構造および機能を有する。あるいは、またはそれに加えて、第2の層70は、最低層50aの第2の主面上で、および/またはスタックアセンブリ100cのいずれかの層50aの一方または両方の主面上で利用されてもよい。
【0055】
図3および3Bを参照すると、スタックアセンブリ(またはガラス物品)100dが、本開示の追加的な態様によって示される。スタックアセンブリ100dは、そのガラス層50aの厚さ52aより大きい厚さ92を有するガラス構造90を含む。ガラス層50aは、第1の主面54aおよび第2の主面56aを含む。第1の主面54aは、ガラス構造90の第1の主面まで延在することができる(
図3および3Bを参照のこと)。いくつかの態様において、ガラス構造90は、125μm以上の厚さ92を有する。例示的な実施形態によると、ガラス層の厚さ52aは、約20μm〜約125μmに設定することができる。スタックアセンブリ100dの特定の態様において、第2の層70は、ガラス層50aおよびガラス構造90の第1の主面54a上に配置されることができる。この目的のためにスタックアセンブリ100dで利用される第2の層70は、スタックアセンブリ100と関連して上記で概説される第2の層70と比較できる構造および機能を有する。
【0056】
図3および3Bに示すように、スタックアセンブリ/ガラス物品100dのガラス構造90およびガラス層50aは、互いに対してモノリシックである。しかしながら、いくつかの態様において、ガラス構造90は、接着されたか、その他の方法でガラス層50aに接合される別々の素子であることができる。さらに、スタックアセンブリ100dにおいて、ガラス層50aは、ガラス構造の実質的に平行な端縁98の間で、ガラス構造90の中心領域96に配置される。いくつかの態様において、かつ
図3および3Bに示すように、ガラス層50aおよび中心領域96は、それぞれの平行な端縁98からいくらかの距離で間隔を置いて配置される。他の態様において、ガラス層50aおよび中心領域96は、他の実質的に平行な端縁98よりも、1つの端縁98に近くなるように間隔をあけることができる。
【0057】
図3および3Bに示したスタックアセンブリ(またはガラス物品)100dにおいて、ガラス構造90に組み込まれたガラス層50aは、スタックアセンブリ100、100aおよび100bと関連して上記で記載されるガラス層50aと本質的に同一である。したがって、スタックアセンブリ100dで利用されるガラス層50aは、ガラス層50aの第1の主面54aから第1の深さ62aまで及ぶ圧縮応力領域60、60aまたは60bを含む。スタックアセンブリ100dのいくつかの態様によると、ガラス層50aの範囲内の圧縮応力領域60、60aまたは60bは、ガラスに横に構造90に及ぶこともできる。全ての態様で必要とされるというわけではないが、ガラス層50aおよびガラス構造90を通して圧縮応力領域60、60aまたは60bの含有は、製造性の利点を提供することができる。例えば、イオン交換プロセスは、1回の浸漬ステップでガラス層50aおよびガラス構造90の両方において圧縮応力領域60または60aを生じさせるために利用することができる。
【0058】
図3Aに示すように、スタックアセンブリ100d(またはガラス物品)は、一定の曲げ半径40でガラス層50aを曲げる曲げ力42を受けることができる。ガラス層50aの厚さ52aがガラス構造90の厚さ92より一般に小さいため、曲げ力42は、ガラス層50aにおいて曲げ変位を引き起こす傾向があり、かつガラス構造90の隣接部分における曲げがほとんどないか、または全くない。したがって、曲げ応力および応力強度レベルは、厚さ52aをガラス構造90の厚さ92以下のレベルまで最小化することによって、ガラス層50aの第1の主面54aにおいて低下する。それにもかかわらず、ガラス構造90の厚さ92の増加によって、大部分のスタックアセンブリ100dに追加的な貫入抵抗(すなわち、ガラス層50aを含有する中心領域96のものを超えて)が提供される。
【0059】
スタックアセンブリ100dのいくつかの追加的な態様において、ガラス層50aおよび第2の主面56aの下の中心領域96は、一般に不適合ポリマー層によって、さらに強化されることができる。この強化は、ガラス構造90の貫入抵抗と比較してガラス層50aのいずれかの貫入抵抗の低下を相殺する傾向があり得る。さらに、スタックアセンブリ100dのガラス層50aで利用される圧縮応力領域60、60aまたは60bは、スタックアセンブリ100aおよび100bと関連して上記で概説されたイオン交換プロセスおよび/またはCTEずれ概念(
図1Cおよび1D、ならびに相当する記載を参照のこと)によって生じ得る。
【0060】
図4、4Aおよび4Bで示すように、厚さ52eを有するガラス層50e、第1の主面54eおよび第2の主面56eを含むガラスの物品またはスタックアセンブリ100eが提供される。第1の主面54eも、ガラス構造90の第1の主面まで延在することができる(
図4および4Bを参照のこと)。いくつかの態様において、ガラス構造90は、125μm以上の厚さ92を有する。例示的な実施形態によると、ガラス層50eの厚さ52eは、約20μm〜約125μmに設定することができる。スタックアセンブリ100eの特定の態様において、第2の層70は、ガラス層50eの第1の主面54eにおいて、および/またはガラス構造90の一方または両方の主面において配置されることができる。スタックアセンブリ100eにおいてこの目的のために利用される第2の層70は、スタックアセンブリ100と関連して上記で概説される第2の層70と比較できる構造および機能を有する。第2の層70は、第2の主面56eにおいて配置されてもよい。
【0061】
図4および4Bに示されるスタックアセンブリ(またはガラス物品)100eにおいて、ガラス構造90に組み込まれたガラス層50eは、スタックアセンブリ100、100aおよび100bと関連して上記で記載されるガラス層50aと本質的に同一である。さらにまた、スタックアセンブリ100eの構造および配置は、
図3、3Aおよび3Bと関連して上記で記載されるスタックアセンブリ100dと同様である。しかしながら、スタックアセンブリ100eにおいて利用されるガラス層50eは、圧縮応力領域60を含まない。
【0062】
図4Aに示すように、スタックアセンブリ100e(またはガラス物品)は、一定の曲げ半径40でガラス層50eを曲げる曲げ力42を受けることができる。ガラス層50eの厚さ52eがガラス構造90の厚さ92より一般に小さいため、曲げ力42は、ガラス層50eにおいて曲げ変位を引き起こす傾向があり、かつガラス構造90の隣接部分における曲げがほとんどないか、または全くない。したがって、曲げ応力および応力強度レベルは、厚さ52eをガラス構造90の厚さ92未満のレベルまで最小化することによって、ガラス層50eの第1の主面54eにおいて低下する。
【0063】
しかしながら、スタックアセンブリ100e(またはガラス物品)においては、ガラス構造90の厚さ92の増加によって、大部分のアセンブリに追加的な貫入抵抗が提供される(すなわち、ガラス層50eを含有する中心領域96のものを超えて)。
図5に示される結果によって実証されるように、貫入抵抗およびガラス厚さは相関することが可能である。
図5の結果は、116、102、87、71、60、49、33および25μmを含む厚さを有する様々なガラス試料の貫入抵抗を測定することによって生じた。これらのガラス試料は、15体積%のHFおよび15体積%のHClを有するエッチング溶液を使用して、上記の厚さレベルまで厚さ130μmのガラス試料にエッチングすることによって調製された。貫入抵抗試験は、可撓性ディスプレイデバイスの構造をシミュレーションするために375μmの適合層スタックにラミネートされたそれぞれのガラス試料上で実行された。厚さ375μmの適合層スタックは、以下の層:(a)厚さ50μmのPSA層、(b)厚さ100μmのPET層、および(c)厚さ100μmのPSA層、および(d)厚さ125μmのPET層からなった。それぞれのガラス試料(例えば、厚さ116μmのガラス、厚さ102μmのガラスなど)が厚さ375μmの適合層スタックにラミネートされたら、直径200μmのステンレス鋼端を有する平坦なチッププローブを、適合層スタックと反対側のガラス試料の主面に押し込んだ。次いで、破損(光学顕微鏡を用いて視覚による観察によって確認される)までチップを試料中に前進させ、破損力を測定した(kgfの単位で)。この試験からの結果を
図5中にプロットした。
【0064】
図5からの結果が実証するように、ガラス試料の貫入抵抗は、それぞれ、約116μmから約25μmまでガラス層の厚さを減少させることで約2.5kgf(24.5N)から約0.4kgf(3.9N)まで減少した。したがって、これらのガラス試料の貫入抵抗は、ガラスの厚さに非常に依存した。加えて、
図5は、約116μmの厚さを有する試験されたガラス基板試料の貫入抵抗が約2.5kgf(24.5N)であることを実証する。3kgf(29.4N)より高い貫入抵抗レベルは、130μmの厚さを有するガラス基板を用いることによって得ることができることは、推定を通して明白である。したがって、スタックアセンブリ100eの1つの態様(
図4、4Aおよび4Bを参照のこと)は、3kgf(29.4N)の貫入抵抗(スタックアセンブリ100eの領域において、より薄いガラス層50eを含有する中心領域96付近のものを超えて)を得るために、約130μm以上の厚さを有するガラス構造90を利用する。スタックアセンブリ100eのいくつかの追加的な態様において、ガラス層50eおよび第2の主面56eの下の中心領域96は、一般に不適合ポリマー層でさらに強化されることができる。この強化は、ガラス構造90の貫入抵抗の増加と比較して、ガラス層50eにおけるいずれかの貫入抵抗の低下を相殺する傾向があり得る。
【0065】
スタックアセンブリ100eにおいて、ガラス層50eの厚さ52eは、ガラス構造90の厚さ92より一般に薄い。スタックアセンブリの一実装形態において、スタックアセンブリ100eの≦2mmの曲げ半径は、約20〜25μmの厚さ52eで実行可能である。厚さ52eに関してそのような厚さレベルを得るために、貫入抵抗を維持するためにより高い値で厚さ92を保持しながら、選択的エッチングプロセスをスタックアセンブリ100e上で実行することができる。
【0066】
選択的エッチングプロセスの一例において、1つのステップは、ガラス構造90の厚さ92と等しい実質的に一定の厚さを有するガラス構造を提供することである。次いで、コーティング材料は、ガラス構造90の意図された中心領域96(すなわち、厚さ52eまでエッチングされる領域)に隣接する領域においてガラス構造90の第2の主面56eにおいて適用され、その後のエッチングステップの間、これらの領域を保護するか、またはその他にマスクする。例えば、これらの材料は、ラミネーションまたはスクリーン印刷プロセスによって、ガラス構造90上にコーティングすることができるフィルムまたはインクでもよい。当業者は、スタックアセンブリ100eのための選択的エッチングプロセスのために選択される特定のエッチング液組成物に対して、いずれの種類のコーティング材料が適切であるか容易に理解するであろう。これらのコーティング材料などを中心領域96に隣接して適用することによって、中心領域96のみが、その後のエッチングステップで利用される酸に暴露される。その後のエッチングステップにおいて、上記のエッチング溶液(例えば、15体積%のHFおよび15体積%のHCl)を、マスクされたガラス構造に、ガラス層50eにおいて所望の厚さ52eを達成するために適切な時間で適用することができる。選択的エッチングが完成した後(例えば、脱イオン水によるエッチング溶液の洗浄を含む)、選択的エッチングプロセスに利用される特定のマスキング材料次第で、適切な剥離溶液を使用して、マスキング材料を剥離、または他の方法で除去することができる。
【0067】
スタックアセンブリ100eを生じるために利用される選択的エッチングプロセスを再び参照すると、端縁98は、エッチングステップの間にコーティングされないままであることが可能である。その結果、ガラス層50eが厚さ52eで形成されて、これらの端縁98にライトエッチングを受けさせる。端縁98へのこのライトエッチングは、それらの強度を有益に改善することができる。特に、選択的エッチングプロセスが利用される前にガラス構造を区分するために利用される切断またはシングリングプロセスによって、ガラス構造90の表面内に傷および他の欠陥が生じるおそれがある。これらの欠陥および欠陥は、適用環境および使用から、スタックアセンブリ100eへの応力の適用の間に、ガラス破損を伝播し、その原因となるおそれがある。選択的酸エッチングプロセスは、これらの端縁98にライトエッチングすることによって、少なくともこれらの欠陥のいくらかを除去することができ、それによって、スタックアセンブリ100eの端縁の強度および/または破断抵抗を増加することができる。
【0068】
スタックアセンブリ(またはガラス物品)100eにおいて、ガラス層50eは、(a)層50eが、約1mm〜約5mmの曲げ半径において、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で保持される時の破損の不在;(b)層50eの第2の主面56eが、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmの感圧接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート層によって担持され、および層50eの第1の主面54eが、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗;ならびに(c)8H以上の鉛筆硬度によって特徴づけることができる。いくつかの態様において、ガラス構造90の厚さ92は125μm以上であってよい。追加的な態様において、ガラス層50eの厚さ52eは、曲げ半径を達成するために、約20μm〜約125μmに設定されてもよい。例示的な実施形態によると、ガラス層50eの厚さ52eは、約1mm〜約5mmの曲げ半径を達成するために、約20μm〜約30μmに設定することができる。いくつかの態様において、(例えば、アルカリを含まないアルミノボロシリケートガラス組成物を有すること)ガラス層50eの厚さ52eは、いくつかの追加的なライトエッチングによって、約2mmの曲げ半径および約1mmの曲げ半径を得るために約25μm以下であることができる。
【0069】
図1〜4Bに示されるスタックアセンブリ100〜100eは、第1の主面54a、54eと、ガラス層50aの第1の主面54aからガラス層50aの第1の深さ62、62a、62bまで延在する圧縮応力領域60、60a、60b(すなわち、スタックアセンブリ100〜100dに関して)と、最終厚さ52a、52eとを有する第1のガラス層50a、50eを形成するステップを含む方法によって製造することができる。スタックアセンブリ100〜100d(
図1〜3Bを参照のこと)に関連するため、圧縮応力領域60、60a、60bは、層50aの第1の主面54aにおいて、少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される。
【0070】
図1〜4Bに示されるスタックアセンブリ100〜100eを形成するための方法は、約25μm〜約125μmの厚さ52を有するガラス素子50を形成するステップも含むことができる。ここでは、素子50は、ガラス層50a、50e、第1の主面54、および第2の主面56をさらに含む。これらの態様において、ガラス素子50またはガラス層50a、50eは、(a)素子50またはガラス層50a、50eが、約3mm〜約20mmの曲げ半径40において、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で保持される時の破損の不在;(b)素子50の第2の主面56が、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmのPSA、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのPET層によって担持され、および素子50またはガラス層50a、50eの第1の主面54、54a、54eが、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗;ならびに(c)8H以上の鉛筆硬度によって特徴づけることができる。方法の他の態様において、ガラス素子50またはガラス層50a、50eは、約3mm〜約10mmの範囲の曲げ半径に対する破損を回避するように構成されることができる。いくつかの態様において、曲げ半径40は、約1mm〜約5mmの範囲に設定することができる。方法の他の態様によると、ガラス素子50またはガラス層50a、50における破損を引き起こすことなく、曲げ半径40を約5mm〜7mmの範囲に設定することもできる。
【0071】
上記の方法のいくつかの態様において、第1のガラス層50a、50eを形成するステップは、以下の形成プロセス:フュージョン、スロットドローイング、ローリング、リドローイングまたはフロートの1つ以上を利用する。他の形成プロセスは、ガラス層50a、50eの最終形状因子および/または最終ガラス層50a、50eに使用されるガラス前駆体の中間寸法次第で利用することができる。
【0072】
形成プロセスは、さらに、最終厚さ52a、52eまでガラス層50a、50eを形成するように構成され、したがって、最終厚さ52a、52eを得るためのサブプロセスステップを含んでもよい。第1のガラス層50a、50eを形成するステップは、最終厚さ52a、52eを達成するためにガラス層50a、50eから材料を除去するように構成される材料除去プロセスを含むことができる。当業者によって理解されるように、様々な既知の酸エッチング/酸薄化プロセスをこの目的のために利用することができる。例えば、適切なエッチング溶液は、15体積%のHFおよび15体積%のHClを含むことができる。エッチング時間および/またはエッチング溶液濃度を制御することによって、ガラス層50a、50eにおいて所望の最終厚さ52a、52eを得ることができる。この溶液を使用するエッチング速度の一例は、1分あたり約1.1μmである。方法のいくつかの態様において、最終厚さ52a、52eを達成するために利用される材料除去プロセスは、さらに、第1の主面54aの付近で最大欠陥径を、例えば、5μm以下、2.5μm以下、0.5μm以下、またはさらに低くまで低下させるように構成されることができる。
【0073】
図1〜3Bに示されるスタックアセンブリ100〜100dの製造方法のさらなる態様によって、圧縮応力領域60aを生じるためにイオン交換プロセスを利用することができる。上記で概説されるように、ガラス層50aの第1の主面54aから第1の深さ62aまで延在する圧縮応力領域60aを形成するステップは、以下:イオン交換可能な金属イオンを含有するガラス層50aにおいて圧縮応力を生じるように選択された複数のイオン交換する金属イオンを含む強化浴を提供するステップと;ガラス層50a中の複数のイオン交換可能な金属イオンの一部を、強化浴中の複数のイオン交換する金属イオンの一部と交換して、第1の主面54aからガラス層50aの第1の深さ62aまで延在する圧縮応力領域60aを形成するためにガラス層50aを強化浴に浸漬するステップとの追加的なサブプロセスステップを含むことができる。方法のいくつかの態様において、イオン交換する金属イオンは、ガラス層50aに含有されるイオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きい原子半径を有する。方法の他の態様において、浸漬ステップは、圧縮応力領域60aを生じさせるために、約400℃〜約450℃で、約15分〜約180分間にわたりガラス層50aを強化浴に浸漬するステップを含む。
【0074】
一態様によると、Corning(登録商標)Gorilla Glass(登録商標)2.0と整合した組成を有する厚さ75μmのガラス試料は、30分間にわたり430℃におけるKNO
3浴浸水を含むイオン交換プロセスを受けた。次いで、圧縮応力(MPa)をガラス層深さ(μm)の関数として測定し、結果を
図6Aに示す。図示のとおり、このイオン交換プロセスはガラスの表面で約889MPaの圧縮応力を生じ、および測定可能な圧縮応力レベルは、約11.4μmの深さまで測定された(すなわち、DOL=11.4μm)。
【0075】
方法のいくつかの態様において、ガラス層50aの表面から材料を除去するためのイオン交換後のプロセスは、欠陥径低下に関して利益を提供することができる。特に、そのような除去プロセスは、圧縮応力領域60aの形成後の第1の主面54aにおいて、ガラス層52aの最終厚さから約1μm〜約5μmを除去するためのライトエッチングステップを利用することができる。例えば、除去ステップは、950ppmのF
−イオン(例えば、HF酸)、0.1Mクエン酸エッチング溶液を、この目的のために約128分間にわたり利用することができる。式(2)と関連して上記で概説されるように、特にそれらの表面付近でのガラス層50aおよび/またはガラス素子50における最大欠陥径の低下は、層および/または素子の曲げから生じる応力強度因子を低下させるために有用となる。
【0076】
図6Bを参照すると、イオン交換およびイオン交換後の材料除去プロセスの両方を受けるガラス層の圧縮応力に対する影響を観察することができる。特に、
図6Bは、
図6Aに従って調製され、かつ追加的に表面から約1〜2μmの材料を除去するためにライトエッチングプロセスを受けたガラス層試料のガラス層深さ(μm)の関数として圧縮応力を示す。これらの試料は、ガラスの表面において約772MPaの圧縮応力によって測定され、測定可能な圧縮応力レベルは、約9.6μmの深さまで測定された(すなわち、DOL=9.6μm)。実質的に
図6Bは、
図6Aに示すように深さ関係の関数として同様の圧縮応力を有するが、
図6Bは効果的に
図6Aの短縮版であり、除去された第1の部分は、ライトエッチンプロセスからの材料の実際の除去と整合することは明白である。したがって、イオン交換後の材料除去プロセスは、イオン交換プロセスから得られるDOLおよび最大圧縮応力をいくらか低下させることができるが、同時に欠陥径低下に関して利益を提供する。より高い圧縮応力レベルおよび/またはDOLレベルが所与の用途のために必要である範囲内において、イオン交換後の材料除去プロセスから予想される影響を考慮して、目標とされたレベルよりいくらか高い圧縮応力およびDOLレベルを生じるように、イオン交換プロセスを調整することができる。
【0077】
いくつかの態様によると、除去プロセスは、ガラス層50aの第1の主面54aにおいての5μm以下の最大欠陥径まで、圧縮応力領域60、60aおよび/または60bにおける欠陥分布を制御するために実行することができる。除去ステップは、圧縮応力領域60、60aおよび/または60bが、ガラス層50aの第1の主面54aにおいて、2.5μm以下またはさらに低く0.4μm以下の最大欠陥径を含むように実行することもできる。方法のいくつかの追加的な態様によると、除去ステップは、圧縮応力領域60、60aまたは60bの重複が欠如するガラス層50aの領域内の欠陥径分布を制御するために実行することもできる。さらに、端縁において、および存在する場合、端縁圧縮応力領域59a内で欠陥径分布を制御するために、様々な除去プロセスをガラス素子50の端縁58bにおいて実行することができる(
図1および1Cを参照のこと)。
【0078】
一実施形態によると、第1の主面54aと、ガラス層50aの第1の主面54aからガラス層50aの第1の深さ62まで延在し、層50aの第1の主面54aにおいて少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域60と、最終厚さ52aとを有する第1のガラス層50aを形成するステップと;約25μm〜約125μmの厚さ52を有し、ガラス層50aと、第1の主面54と、第2の主面56をさらに含むガラス素子50を形成するステップとを含む、スタックアセンブリ100〜100dの製造法が提供される。いくつかの態様において、素子50は、1層のガラス層50aを含む。
【0079】
例示的な実施形態において、第1のガラス層50aおよび素子50を形成するステップは、フュージョン、スロットドローイング、ローリング、リドローイング、フロートまたは他の直接的なガラス形成プロセスを使用して、ガラス層50aの最終厚さ52a(および素子50の厚さ52)より厚い暫定的な厚さ(例えば、約200μm)を形成するステップを含むことができる。暫定的なガラス層50a(および素子50)は、次いで、既知の切断プロセス(例えば、水切断、レーザー切断など)を使用して、分離、切断および/または他の方法で最終に近い部品寸法まで形成することができる。この時点で、暫定的なガラス層50a(および素子50)を、次いで、上記のプロセスステップによる最終厚さ52a(例えば、約75μm)までエッチングすることができる。このプロセス段階における最終厚さへのエッチングによって、事前のガラス形成および分離/切断ステップから導入される欠陥および他の欠陥を除去する際の利益を提供することができる。次に、ガラス層50aおよび素子50は、限定されないが、上記イオン交換プロセスを含む、圧縮応力領域60を形成するプロセスステップを受けることができる。上記プロセスによって、圧縮応力領域60を含有するガラス層50aおよび素子50において最終のライトエッチングを実行することができる。このような最終ライトエッチングは、次いで、事前のイオン交換プロセスから生じたガラス層50aおよび素子50の表面のいずれの測定可能な傷および欠陥も除去することができる。方法によって製造されたガラス素子50またはガラス層50aは、(a)素子50またはガラス層50aが、約3mm〜約20mmの曲げ半径において、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で保持される時の破損の不在;(b)素子50またはガラス層50aの第2の主面56、56aが、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmの感圧接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート層によって担持され、および素子50またはガラス層50aの第1の主面54、54aが、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗;ならびに(c)8H以上の鉛筆硬度によって特徴づけることができる。
【0080】
さらなる例示的な実施形態において、第1のガラス層50aおよび素子50を、それぞれ、最終厚さ52aおよび厚さ52まで形成するステップは、フュージョン、スロットドローイング、ローリング、リドローイング、フロートまたは他の直接的なガラス形成プロセスを利用することによって実行することができる。ガラス層50a(および素子50)は、次いで、既知の切断プロセス(例えば、水切断、レーザー切断など)を使用して、分離、切断および/または他の方法で最終に近い部品寸法まで形成することができる。この時点で、次いで、ガラス層50a(および素子50)は、限定されないが、上記イオン交換プロセスを含む、圧縮応力領域60を形成するプロセスステップを受けることができる。上記プロセスによって、圧縮応力領域60を含有するガラス層50aおよび素子50において最終のライトエッチングを実行することができる。このような最終ライトエッチングは、次いで、事前のイオン交換プロセスから生じたガラス層50aおよび素子50の表面のいずれの測定可能な傷および欠陥も除去することができる。
【0081】
方法によって製造されたガラス素子50またはガラス層50aは、(a)素子50またはガラス層50aが、約3mm〜約20mmの曲げ半径において、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で保持される時の破損の不在;(b)素子50またはガラス層50aの第2の主面56、56aが、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmの感圧接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート層によって担持され、および素子50またはガラス層50aの第1の主面54、54aが、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗;ならびに(c)8H以上の鉛筆硬度によって特徴づけることができる。
【0082】
図7Aを参照すると、3つの組成「A」、「B」および「C」のガラス層に関する推定された応力強度因子の箱髭図が提供される。A群の組成は、(モル%で)67.1%のSiO
2;6.3%のAl
2O
3;19.9%のB
2O
3;0.5%のMgO;4.8%のCaO;0.5%のSrO;0%のSnO
2;および0.9%のNa
2Oである。B群の組成は、(モル%で)66.7%のSiO
2;10.9%のAl
2O
3;9.7%のB
2O
3;2.2%のMgO;9.1%のCaO;0.5%のSrO;0.1%のSnO
2;および0%のNa
2Oである。C群の組成は、(モル%で)67.4%のSiO
2;12.7%のAl
2O
3;3.7%のB
2O
3;2.4%のMgO;0%のCaO;0%のSrO;0.1%のSnO
2;および13.7%のNa
2Oである。式(2)は、
図7Aに示される推定を生じるために利用された。ガラス層「A」、「B」および「C」は、それぞれ、57.4、69.3および73.6GPaの弾性率を有する。さらに、ガラス層「A」、「B」および「C」は、それぞれ、0.22、0.22および0.23のポアソン比を有する。加えて、応力強度因子推定は、25、50および100μmの厚さおよび3、5および7mmの曲げ半径を有するガラス層「A」、「B」および「C」に対して実行された。それがフュージョン形成されたガラス表面の典型的な最大欠陥径であるため、全ての事例に関して、400ナノメートル(nm)の欠陥径が仮定された。圧縮応力領域は、これらのガラス層のいずれにも存在しないことが仮定された。
【0083】
図7Aにおいて、領域I、IIおよびIIIは、それぞれ、瞬間破損、低速疲労破損および無破損領域を指す。推定が示すように、曲げ半径の増加およびガラス層の厚さの減少は、それぞれ応力強度因子を低下させる傾向があるステップである。曲げ半径が25μm以下およびガラス層の厚さが5mm以上に保持される場合、
図7Aの推定された応力強度因子は、静的張力または疲労で破損が生じないことを示唆する(例えば、領域IIIに関して<0.2MPa√mにおけるK)。
図7Aに示されるこれらの特定のガラス層(すなわち、5mm以上の曲げ半径および25μm以下の厚さを有するガラス層)は、本開示の特定の態様による比較的適度の貫入抵抗必要条件によるスタックアセンブリおよびガラス物品に適切であり得るであろう。
【0084】
図7Bを参照すると、3つの組成「A」、「B」および「C」のガラス層に関する推定された応力強度因子の箱髭図が提供される(すなわち、
図7Aに示されるガラス層に利用されるものと同じ組成)。
図7Bに示される推定に利用されるそれぞれのガラス層は、50μmの厚さおよび5mmの曲げ半径を有することが仮定された。さらに、「対照」(これもA、BおよびCによって示される)群は、重複した圧縮応力領域が欠如することが仮定され、および「IOX」群(これもA’’、B’’およびC’’によって示される)群は、本開示の態様によって約700MPaの表面圧縮を有するイオン交換プロセスによって生じた圧縮応力領域を有することが仮定された。2000nm(2μm)のより控え目な欠陥径は、本開示の態様によるスタックアセンブリ、ガラス素子またはガラス物品を含有するデバイスの製造後、十分に経過したところでユーザーによって使用段階で導入されるより大きい欠陥の最悪のシナリオを反映して、これらの推定を生じる目的で仮定された。
【0085】
図7Bの推定が示すように、イオン交換プロセスによってガラス層において生じた圧縮応力領域は、曲げ時に観察されるガラス層における応力強度レベルを有意に相殺することができる。領域III閾値より十分に低い応力強度レベル(例えば、領域IIIに関して、<0MPa√mにおけるK)は、曲げの間に生じる引張応力において重複した追加的な圧縮応力によって、50μmの厚さおよび5mmの曲げ半径を有する「IOX」ガラス層に関して観察された。対照的に対照群は、圧縮応力領域がなく、領域I内で応力強度レベルを有することが推定された。
【0086】
図8を参照すると、1つの特定の組成、
図7Aおよび7Bに示されるC群の組成物と比較できるガラス組成のガラス層の表面における推定された応力レベルの箱髭図が提供される。
図8に示される応力推定を生じるために利用されるそれぞれのガラス層は、25、50、75および100μmの厚さおよび5mmの曲げ半径を有することが仮定された。さらに、これらのガラス層のいくつかは、圧縮応力領域が欠如することが仮定され(すなわち「対照」群)、および残りのガラス層は、例えば、本開示のさらなる態様によってイオン交換プロセスによって生じた約700MPaの表面圧縮を有する圧縮応力領域を所有することが仮定された(すなわち「IOX」群)。それがフュージョン形成されたガラス表面の典型的な最大欠陥径であるため、全ての事例に関して、400ナノメートル(nm)の欠陥径が仮定された。さらに、安全地帯(すなわち、領域III)は、K<0.2MPa√mの応力強度安全係数に設定された。
【0087】
図8における推定が示すように、イオン交換プロセスによってガラス層において生じた圧縮応力領域は、曲げ時に観察されるガラス層における応力強度レベルを有意に低下させることができる。領域III閾値より十分に低い応力強度レベル(例えば、領域IIIに関して、<0.2MPa√mにおけるK)は、曲げの間に生じる引張応力において重複した追加的な圧縮応力によって、25、50、75および100μmの厚さおよび5mmの曲げ半径を有する全ての「IOX」ガラス層に関して観察された。対照的に対照群は、圧縮応力領域がなく、全ての厚さに関して領域Iにおいて応力強度レベルを有することが推定された。
【0088】
図9を参照すると、本開示の態様による、75μmの厚さおよびイオン交換プロセスによって生じた圧縮応力領域を有する1つの組成のガラス層に関する破損貫入負荷データのプロットが提供される。特に、
図9において試験される試料に関するガラス組成は、(モル%で)68.9%のSiO
2;10.3%のAl
2O
3;15.2%のNa
2O;5.4%のMgO;および0.2%のSnO
2であった。
図9のデータを生じるために使用される実験において試験されたガラス層の全ては、約772MPaの表面における圧縮応力および9.6μmのDOLを有する圧縮応力領域を生じるために、イオン交換プロセスを受けた。試験の目的のために、ガラス層は、25μmのPSA層(約1GPa未満の弾性率を有する)によって(約10GPa未満の弾性率を有する)50μmのPET層にラミネートされた。貫入試験は、外部ガラス表面で実行した。
【0089】
図9に示すように、貫入試験データを生じるために4つの群の試料を試験した。それぞれの群は、異なる貫入デバイスに相当した:直径200μm、平底ステンレス鋼パンチ;0.5mmの炭化タングステン球;1.0mmの炭化タングステン球;および1.5mmの炭化タングステン球。
図9のデータは、試験において利用される特定の貫入デバイスに対する貫入破損負荷データの感度を実証する。一般に、結果の可変性は、利用されるそれぞれのデバイスに関して同様に見える。
図9に示されるように、イオン交換プロセスによって生じた圧縮応力領域を有する75μmの厚さを有するガラス層は、直径200μmの平底ステンレス鋼パンチで試験した場合、4kgf(39.2N)を十分に超過する貫入破損負荷を有した。
【0090】
別の例において、
図9で試験されるガラス層と比較できる組成を有するガラス層は、本開示の態様によって調製され、イオン交換プロセスによって生じた圧縮応力領域を有し、2点静的疲労曲げ試験を受けた。特に、試験されたガラス層は75μmの厚さを有し、その圧縮応力領域は、30分、430℃でのKNO
3溶融塩浴における浸漬によって生じた。さらに、ガラス層は、約128分間の950ppmのF
−イオン、0.1Mクエン酸エッチング溶液における酸エッチングを含むイオン交換後の材料除去プロセスを受けた。試験時、ガラス層は、120時間約5mmの曲げ半径を受けた後に破損しなかった。
【0091】
さらなる実施例において、
図9において試験される試料の組成およびイオン交換プロセスステップによって厚さ75μmのガラス層試料を調製した。これらの試料は、いずれかの適応層によってラミネートされなかった。調製された時、これらの試料は105×20×0.075mmであった。次いで、10個の試料は、10mmプレート分離(Teflon(登録商標)材料から製造されるプレート)による静的試験装内で曲げられた構成で配置された。次いで、試料は、85%の相対湿度において85℃で装置内に保持された。10個の試料のうちの9個は、装置中で2ヵ月超の試験の後、いずれの破損モードも経験しなかった。1つの試料は、試験の最初の日に破損した。これらの結果および他の分析を考慮して、プロセス後に残る破損を誘導する表面欠陥を有するいずれの試料も、プループ試験によって除去することができると考えられている。
【0092】
追加的な実施例において、50μmのPET層に対する25μmのPSA層のラミネーションを含め、
図9において試験される試料の組成およびイオン交換プロセスステップによって厚さ75μmのガラス層試料を調製した。調製された時、これらの試料は105×20×0.075mmであった(PET/PSA層を含まない)。次いで、5個の試料に、クラムシェル周期的疲労試験を受けさせた。クラムシェル周期的疲労試験装置は、周囲温度および湿度条件下で10mmプレート分離によって試料を保持した。それぞれの周期は、10mmプレート分離を維持しながらクラムシェル装置を閉鎖するステップと、次いで、試料が均一に曲げがないように装置を完全に開放するステップとが関与した。5個の試料のそれぞれは、45,000回を超えるそのような周期に耐えた。
【0093】
ここで
図10を参照すると、
図7Aおよび7Bで与えられる推定のために利用される試料の群と同一組成を有する、3つの組成「A」、「B」および「C」群のガラス層に関する推定された応力強度因子の箱髭図が、本開示のさらなる態様によって提供される。
図10における推定に利用されるそれぞれの試料は、25、50、75または100μmの厚さおよび10または20mmの曲げ半径を有した。ここで、それぞれの試験された試料は、加熱およびその後の冷却によって生じた圧縮応力領域、密接に接触するガラス層のコアおよびクラッディング領域を所有し、コア領域はクラッド領域のCTEより高いCTEを有した。
図10で利用される推定は、それぞれの試料のガラス層の表面における約2μmの欠陥径を仮定した。さらに、約150MPaの圧縮応力が、コアおよびクラッディング領域の間のCTEのずれによって、これらのガラス層の圧縮応力領域において生じたと仮定された。
【0094】
図10の推定が示すように、そのコアおよびクラッディング領域の間のCTEのずれによってガラス層において生じた圧縮応力領域は、曲げ時に観察されるガラス層における応力強度レベルを有意に低下させることができる。領域III閾値より十分に低い応力強度レベル(例えば、領域IIIに関して、<0.2MPa√mにおけるK)は、曲げの間に生じる引張応力において重複した追加的な圧縮応力によって、25、50、75および100μmの厚さおよび20mmの曲げ半径を有する全てのガラス層に関して観察された。加えて、25および50μmの厚さおよび10mmの曲げ半径を有するガラス層も、領域III閾値未満の応力強度レベルを有した。したがって、CTEずれアプローチを利用するこれらの特定のガラス層は、10mm以上の曲げ半径必要条件を有するスタックアセンブリおよびガラス物品の範囲内で、本開示の態様によって利用されることができる(例えば、
図1Dのスタックアセンブリ100bおよび相当する記載を参照のこと)。
【0095】
図11中、本開示の態様による、75μmの厚さ、およびイオン交換プロセスによって生じた圧縮応力領域を有する1つの組成のガラス層の破損確率対貫入負荷データのワイブルプロットが提供される。特に、試験された試料のガラス組成は、
図9において試験されるものと比較できた。
図11のデータを生じるために使用される実験において試験されるガラス層の全ては、表面において約772MPaの圧縮応力および9.6μmのDOLを有する圧縮応力領域を生じるためにイオン交換プロセスを受けさせた。
図11中白丸記号によって示されるガラス層の「B」群は、25μmのPSA層によって50μmのPET層にラミネートされたガラス試料から構成された。全ての貫入試験は、PET/PSA層スタックの外の、これらの試料の外部ガラス表面上で実行された。
図11で黒丸記号によって示されるガラス層の「A」群は、PET/PSA層スタックにラミネートされなかったガラス試料から構成された。
図11に示される貫入試験結果は、直径200μmの平底ステンレス鋼パンチを使用して得られた。
【0096】
図11に示すように、試料のラミネートされない「A」群およびラミネートされた「B」群は、それぞれ4.3kgf(42.1N)および3.3kgf(32.3N)のワイブル特性強度値を示した(すなわち、63.2%以上の破損確率において)。さらに、両群の全ての試料は、5.5kgf(53.9N)以上で破損した。ラミネートされた「B」群のワイブル率は、ラミネートされていない「A」群のワイブル率より高く、破損性能における可変性は、試料をラミネートすることによって低下することができることを示す。他方では、ラミネートされていない「A」群は、ラミネートされた「B」群と比較して、より高い平均貫入破損負荷およびワイブル特性強度を実証し、ラミネーションは、貫入試験端の付近のガラス付近の適合層と関連する、おそらく上昇した局所的応力濃度に起因して、貫入試験性能をいくらか低下させることができることを示唆する。したがって、本開示の態様によるスタックアセンブリのラミネートに関連する選択は、貫入抵抗可変性の潜在的最適化および貫入抵抗の全体的最大化を注意することができる。
【0097】
全応力プロフィール
ガラスにおける引張応力は、欠陥を伝播させる傾向があるが、ガラスにおける圧縮応力は、欠陥の伝播を抑制する傾向がある。欠陥は、それが製造されたか、取り扱われたか、または加工される性質からガラスに存在し得る。したがって、圧縮において、おそらく欠陥を有するか、または受け取るガラスの部分(すなわち、主面、およびそれらの表面から亀裂が貫入し得る深さまで)を有することが望ましい。ガラスの曲げ断片に関して、応力プロフィールは、2つの主要な成分を含み、第1のσIは、本来的にガラスにおいてそれが製造および/または処理された方法に起因するものであり、かつ第2のσBは、ガラスの曲げから誘導されるものである。
【0098】
第1の成分σIの一例の本来的にガラス自体における応力は、
図12に示される。線1202は、756MPaの圧縮応力および9.1マイクロメートルのDOLを有する、Corning Code 2319(Gorilla(登録商標)Glass 2)から製造された厚さ75マイクロメートルのガラス素子の応力プロフィールである。本明細書で使用される場合、正応力は引張であり、圧縮応力は負である。ガラスの固有の応力プロフィールは、ガラス製造時の種々のIOX条件、ガラス組成、および/または種々のプロセス条件に基づいて変動し得る(ガラスの外部層において圧縮応力を与え得る上記のガラスラミネートの事例の場合など)。いずれにしても、ガラス自体は固有の応力プロフィールを有する。
【0099】
ガラス素子50が曲げられた場合、曲げによって、ガラス内の応力プロフィールに第2の応力成分σBが誘導される。例えば、ガラス素子50が、
図1Aで示される方向で曲げられた場合、曲げによって誘導される引張応力は、上記の式(1)によって与えられ、かつ外部表面、例えば、ガラス素子50の第1の主面54において最大である。第2の主面56は圧縮において最大である。曲げによって誘導された応力の例は、線1302として
図13に示される。線1302は、Corning Code 2319(Gorilla(登録商標)Glass 2)から製造される厚さ75マイクロメートルのガラス素子のための曲げ応力プロットであるが、さしあたり、IOXによるガラスにおける固有の応力プロフィールは無視される。この種類のガラスに関して、式(1)のパラメーターは、プロットされるように、弾性率E=71.3GPa、ポアソン比ν=0.205、厚さ=75マイクロメートルおよび曲げ半径=4.5mmである。
【0100】
したがって、ガラスの全応力プロフィールは、再び、2つの上記の成分の合計、またはσI+σBである。全応力は、実線1402として
図14に示され、これは、短い破線で示される線1202の固有応力σIおよび長い破線で示される線1302の曲げによって誘導された応力σBの合計である。ガラス素子50の外部表面、例えば、
図1Aに示す主面54の応力はプロットの左側で示されるが、内部主面56の応力はプロットの右側で示される。線1402から分かるように、内部の第2の主面56における応力は圧縮であり、欠陥の伝播を制限する。また、外部または第1の主面54における応力も圧縮であり、欠陥の伝播を制限する。示されるとおり、上記の条件に関して、圧縮応力は、第1の主面54から数マイクロメートルの深さまで延在する。外部主面における圧縮応力の量、および圧縮応力が延在する外部主面の下の深さは、多数の方法において増加させることができる。最初に、曲げによって誘導された引張応力は、より小さくされてもよい。式(1)から分かるように、曲げによって誘導された応力σBは、より薄いガラス、および/またはより大きい曲げ半径、および/またはより低い弾性率Eを有するガラス、および/またはより高いポアソン比νを有するガラスを使用することにより小さくすることができる。第2に、外部主面の圧縮応力の量は、
図12の考察と関連して上記したように、例えば、種々のIOX条件、ガラス組成および/または種々のプロセス条件を使用することによって、所望の位置においてより大きい固有の圧縮応力σIを有するガラスを選択することによって増加させることができる。
【0101】
本開示の重要な態様は、曲げ半径が≦20mmである折り畳み可能またはロール可能なディスプレイのためのガラス素子50の曲げ部分の外部主面、すなわち、外側の主面、例えば、
図1Aに示す第1の主面54において、固有の応力σIおよび曲げ応力σBの合計は、以下の式(3)で示すように0未満であることである。
【0103】
追加的に、いくつかの実施例において主面54の少なくとも1マイクロメートル下の深さまで、他の実施例において主面54の少なくとも2マイクロメートル下の深さまで、およびさらに他の実施例において主面54の少なくとも3マイクロメートル下の深さまで、式(3)が満たされるように、ガラス素子における応力プロフィールを定義することは、さらに有利である。主面の下で式(3)が満たされる深さが深いほど、デバイスはより耐久性となる。すなわち、欠陥(例えば、製造または使用の間、デバイスを取り扱うことによる擦傷)が、式(3)の関係によって満たされるよりも大きい程度まで主面の下に延在する場合、欠陥は時間とともに伝播し、ガラス素子は破損する。換言すると、破損を最小化するために、曲げによって誘導された応力が、領域1403に含まれるように、すなわち、線1402がY軸を遮断する点以下になるように、IOXプロフィールは管理されなければならない。追加的に、さらなる実施例において、欠陥が領域1403に含まれるように欠陥数は管理されなければならない。すなわち、ガラス表面からの最大欠陥深さは、線1402がX軸を遮断する点を越えず、それによって、欠陥はガラスの圧縮領域で含有され、伝播しない。したがって、領域1403を最大化することによって、破損が最小化されながら、より小さい曲げ半径およびより深い欠陥が耐えられ得る。
【0104】
上記の考察において第1の主面54として外部主面は示されたが、いくつかの実施例において、第2の主面56が、第1の主面54の代わりに外部主面であってもよい。他の実施例において、例えば、三つ折り配置において、第1の主面54および第2の主面56の両方が、外部主面である部分を有してもよく、すなわち、ガラス素子50の曲げ部分の外側にある。
【0105】
IOX後のライトエッチングステップの利益
IOX強化ステップの後にエッチングステップを実行する利点は、様々な2点曲げ強度分布を示す
図15および16に示される。これらの図中の2点曲げ値は、以下のとおりに試料を試験することで測定された。試料は、250MPa/秒の一定速度で応力を加えられた。2点曲げプロトコルに関しては、S.T.Gulati,J.Westbrook,S.Carley,H.VepakommaおよびT.Ono,“45.2:Two point bending of thin glass substrates,”SID Conf.,2011,652〜654頁を参照のこと。環境は、50%の相対湿度および25℃で制御された。データセットは破損における最大応力を示し、破損が最小半径位置で生じると仮定する。線1501は、厚さ200マイクロメートルから厚さ75マイクロメートルまでディープエッチングされたガラス試料の強度に関するワイブル分布を示す(IOXまたはその後のエッチングは、これらの試料上で実行されなかった)。試料のこの組合せは、B10破損確率において約850MPaの強度を示す。線1502は、厚さ200マイクロメートルから厚さ75マイクロメートルまでディープエッチングされ、次いでIOXを受けたガラス試料の強度のワイブル分布を示す(エッチングは実行されなかった)。これらの試料は、線1501のディープエッチングのみの試料に関する値から、B10破損確率における約700MPaのわずかに低下した強度を示す。理論によって束縛されることを望まないが、IOXプロセスは、欠陥の延長によって強度を低下させるように見える。線1503は、厚さ200マイクロメートルから厚さ75マイクロメートルまでディープエッチングされ、線1502の試料と同じ条件でIOXを受け、次いで、その後のライトエッチングを受けて、それぞれの表面から<2マイクロメートルの厚さが除去されたガラス試料の強度のワイブル分布を示す。これらの試料は、線1501および1502のそれぞれの試料組合せに関して、B10破損確率における約1500MPaの増加した強度を示す。したがって、
図15は、IOXの後にライトエッチングを実行する利点を示す。再び、理論によって束縛されることを望まないが、IOX後のライトエッチングは、欠陥深さを低下させて、IOXプロセスによって導入される亀裂端を弱め、したがって、試料の強度を増加させると考えられる。
【0106】
(
図15で見られるように)IOXが、ディープエッチングされた試料における強度を低下させるように見えるが、
図16は、(
図12〜14と関連して上記で検討されるものに加えて)折り畳み可能および/またはロール可能なディスプレイのためのガラスの主面を強化する別の利益を示す。特に、IOXされていないガラスは、圧縮においてその(曲げの)外部表面を有さないことによって疲労を受ける。したがって、IOXされていないガラス試料は、時間遅延破損がより見られる。線1601は、厚さ200マイクロメートルから厚さ75マイクロメートルまでディープエッチングのみされ(これらはIOXされていない)、2点曲げ強度試験を行い、それに続いて、キューブコーナーダイヤモンドインデンターと非常に低い負荷10gf(0.098N)で接触させたガラス試料の強度のワイブル分布を示す。キューブコーナー試験は、キューブコーナーダイヤモンドインデンターチップを用い、Mitutoyo HM−200硬度試験機で実施した。試験は、装置の試料段階に配置された無処理のガラス上で実行された。10重量グラム(gf)(0.098N)の負荷が適用されて、10秒の滞留時間で保持された。押込みは、50%の相対湿度および25℃で実行された。2点曲げ試験によって試験される時に、これが最大応力(最小半径)の位置であるように、インデントは試験試料の中心にある。押込みに続いて、試料は、上記2点曲げ試験の前に24時間同一環境で保持された。線1601は、B10破損確率における約150MPaの強度を示す。線1603は、厚さ200マイクロメートルから厚さ75マイクロメートルまでディープエッチングされ、IOXされ、その後、エッチングされて、各側面から2マイクロメートルの厚さが除去され、次いで、2点曲げ強度試験を行い、それに続いて、キューブコーナーダイヤモンドインデンターと非常に低い負荷10gf(0.098N)で接触させたガラス試料の強度のワイブル分布を示す。線1603は、B10破損確率における約800MPaの強度を示す。線1601を線1501と比較することによって、かつ線1603を線1503と比較することによって、いずれの接触も、強化されていない部品の強度を非常に低下させることがわかる。しかしながら、線1603を線1601と比較することによって、ダメージは、IOXされた部分に関して圧縮深さ内に含有され、線1603の強化された部分に関して、線1601の強化されていない部分よりも大きい強度を与えることがわかる。したがって、例えば、IOXによる強化は、10gf(0.098N)の比較的低い負荷に起因する接触損傷でさえ、接触ダメージの影響を低下させる有利な方法である。
【0107】
ビッカーズ亀裂開始
本開示によるガラス素子の実施例は、強度制限欠陥の形成に対する抵抗を提供することも可能でもある。ガラス素子がカバーグラスとして使用され、使用者からのような接触または他の接触事象を受ける場合、これは有利である。理論によって束縛されることを望まないが、IOXも強度制限欠陥の形成に対する抵抗を提供する。2kgf(19.6N)より高い力は、上記のとおり、ディープエッチングされ、IOXされ、次いでライトエッチングされたガラス試料において>100マイクロメートルの亀裂を生じる/開始するために必要である。
図17〜20は、IOXされた(上記のとおり、ディープエッチング、IOX、次いで、ライトエッチングを受けた)
図17および18の試料と、IOXされなかった(ただし、単にディープエッチングされた)
図19および20の試料との比較を示す。
図17は、ビッカーズダイヤモンドインデンターによる1kgf(9.8N)負荷を受けたIOXされた試料を示す。ビッカーズ亀裂開始試験は、Leco Vickers Hardness Tester LV800ATで実行された。試験は、押込み装置の試料段階に配置された無処理のガラスにおいて実行された。ガラスは、所与の負荷において作成された10のインデントの50%より多くが強度制限欠陥の存在を示すまで、負荷を増加させて押込まれた。押込みは、10秒のインデント滞留時間で、周囲条件で実行された。
図17で見られるように、インデンターは100マイクロメートル未満の欠陥を生じた。
図18は、ビッカーズインデンターによって2kgf(19.6N)負荷を受けたIOXされた試料を示す。
図17と同様に、インデンターは100マイクロメートル未満の欠陥を生じた。したがって、本開示の実施例が、強度制限欠陥、すなわち100マイクロメートルより大きい欠陥を受けることなく2kgf(19.6N)負荷に耐えることができることがわかる。
図19は、ビッカーズインデンターによって1kgf(9.8N)負荷を受けたIOXされていないガラス試料を示す。
図19で見られるように、インデンターは100マイクロメートルより大きい欠陥を生じた。
図20は、ビッカーズインデンターによって2kgf(19.6N)負荷を受けたIOXされていないガラス試料を示す。
図20で見られるように、インデンターは100マイクロメートルよりも非常に大きい欠陥を生じた。
図17と
図19との比較、および
図18と
図20との比較によって、IOXされたガラス部分は、強度制限欠陥、すなわち100マイクロメートルより大きい欠陥の形成に対する抵抗を提供することができる。
図18と20との比較からわかるように、ビッカーズインデンター上の力の非常に小さい増加(すなわち、1kgf(9.8N)から2kgf(19.6N)まで)は、強化されていない部分において非常により大きい欠陥を生じる。理論によって束縛されることを望まないが、ビッカーズインデンターがキューブコーナーインデンターよりも非常に広い角度を有するため、ビッカーズインデンターは、強度制限欠陥を生じるために、(キューブコーナーよりも)非常に多くの力を必要とすると考えられる。
【0108】
ビッカーズ硬度
ガラス素子は、550〜650kgf/mm
2(5393〜6374N/mm
2)のビッカーズ硬度を有する。ビッカーズ硬度は、Mitutoyo HM−114 Hardness Testing Machineで測定された。硬度は、200重量グラム(gf)(1.96N)において押込まれ、得られた押印の2つの主要対角線長さの平均を測定することによって測定された。硬度は、以下の式によって算出された:VHN=(P
*1.8544)/d2。式中、VHNはビッカーズ硬度数であり、Pは200gf(1.96N)の適用された負荷であり、かつdは平均主要対角線長さである。典型的に、平均VHNを決定するために10回のVHN測定がされる。押込みは、50%相対湿度および25℃で実行される。試験は、押込み装置の試料段階に配置された無処理のガラスにおいて実行される。押込みの滞留時間は10秒である。ビッカーズ硬度を含む硬度は、材料の永久歪みの尺度である。より高いビッカーズ硬度数によって明示されるように、材料がより硬質であるほど、材料の永久歪みはより少ない。したがって、硬度は、例えば、鍵、および材料と接触し得る同等またはより低い硬度のものに対する材料の擦傷および他の損傷抵抗の尺度である。550〜650kgf/mm
2(5393〜6374N/mm
2)のビッカーズ硬度は、鍵、およびデバイスカバーと一緒に使用者のポケットまたはバックパックに見出され得る他のものに対するデバイスカバーの適切な擦傷および他の損傷抵抗を提供する。
【0109】
閉鎖力
折り畳み可能であるか屈曲可能なディスプレイの別の考慮すべき問題は、デバイスを折り畳むか、または曲げるための力である。デバイスを閉鎖するために必要な力は、閉鎖する時に使用者が不快になるほど高くてはならない。追加的に、力は、それが閉鎖して保持されることが意図される場合に、デバイスが開放する傾向があるような高さではならない。したがって、2点曲げ閉鎖力は限定されなければならない。しかしながら、2点曲げ閉鎖力は、本明細書では幅と呼ばれる折り目線の方向に沿って延在するガラス素子の寸法次第でもあるため、力は幅に基づいて正規化されなければならない。2点曲げ閉鎖力は、下記の式(4)によって与えられる。これによって、ガラスが2つの平行なプレートの間で配置され、すなわち、それが一定の曲げ半径を有しないように作用することが仮定される。弾性率における(1−ν
2)項は、ガラスなどの材料に関して、一方向の応力/曲げが別の方向における縮小を生じることを考慮する。これは、典型的にプレート形の対象に関する事例である。
【0111】
式中、tは、試料の厚さ(mm)であり、wは、折り目線に沿ったガラス素子の幅(mm)であり、Eは、ガラス材料の弾性率(GPa)であり、νは材料のポアソン比であり、σ最大は、平行プレート2点曲げ法を使用する場合、以下の式(5)によって与えられる。
【0113】
式中、Eは、材料の弾性率(GPa)であり、νは材料のポアソン比であり、tは、材料の厚さ(mm)であり、かつDは平行プレート間の分離距離(mm)である。式(5)は、平行プレート曲げ装置の最大応力であり、試験装置において、試料が、(式(1)に関して仮定されるような)均一な一定の曲げ半径を達成しないが、より小さい最小半径を有するという事実を考慮したため、式(1)のものとは異なる。最小半径(R)はD−h=2.396R(hがガラス厚さ(mm)であり、tと同一である)と定義される。所与のプレート分離に関して決定される最小半径Rは、最大応力を決定するために式(1)において使用することができる。
【0114】
w、すなわち、折り目線に沿ったガラス素子の幅で式(4)のそれぞれの側面を分割することによって、F/wの値が導かれる。特に有利な閉鎖力−厚さt=.075mm、プレート分離距離D=10mm(プレート分離距離は、周期試験と関連して以下に記載される平行プレートによる2点曲げ法におけるものである)、71GPaの弾性率E、0.205のポアソン比νを有するように、本発明者らによって見出されたガラス試料の値を当てはめて、本発明者らは、0.076N/mm以下のF/wの値が容認できる閉鎖力、すなわち、使用者に不快でない力、およびその折り畳まれた状態で、デバイスを開放する傾向がない力を導くことを見出した。一例として、本発明者らは、105.2mmの幅で、7.99Nの閉鎖力が容認できることを発見した。および20mmの幅で、1.52Nの力が容認できた。したがって、再び、幅に対して正規化して、値F/w=0.076N/mm以下は容認できることが発見された。
【0115】
周期試験
ディスプレイまたは他のデバイスでの使用の間、ガラス素子50は、繰り返しの曲げ周期を受けてもよい。例えば、ディスプレイデバイスは繰り返し折り畳まれて、展開されてもよい。したがって、デバイスの適切な寿命を決定するために、ガラス素子が折り畳まれ、展開されてもよい周期の数を特徴づけることは有利である。ガラス素子50の周期的曲げ耐久性を試験するために、ガラス素子50を、30mmの初期分離距離Dを有する2つの平行プレート2102および2104の間で曲線形状で配置した(
図21を参照のこと)。プレートを次いで、対象距離までの分離距離を減少させるように平行に保持しながら移動し、約1秒間にわたりその対象距離で保持し、次いで、30mmの初期分離距離に戻し、約1秒間にわたり初期分離距離で保持し、したがって、周期を終える。プレートを38mm/秒の速度で移動した。次いで、周期を繰り返す。次いで、周期の数をガラス素子破損まで計数してもよい。30mmの初期分離距離Dが選択されたが、他の試験では、初期分離距離は30mmより大きいか、またはそれ未満でもよい。ガラス素子50上に有意な負荷がない距離として、30mmの値が選択された。対象距離は、試験に望ましい対象曲げ半径を達成するために変更することができる。対象曲げ半径(試験されているガラス素子によって達成される最も密接な半径である)は、平行プレート2102、2104の分離距離Dの0.414倍に等しい。これは、関心のガラス厚さが、プレート分離距離Dより典型的に非常に小さいため、式(5)による考察における最小曲げ半径Rの計算から本質的にガラス厚さh(またはt)を無視する単純化された計算である。しかしながら、必要な範囲まで、ガラス厚さは、上記式(5)による考察における最小曲げ半径Rのための計算を使用することにより、説明されることができる。ガラス素子が試験装置で完全な半円を形成しないため、曲げ半径は単にDの半分でない。したがって、異なる対象曲げ半径を試験するために、異なる平行プレート距離を適切に算出することができる。示されるとおり、第1の主面54は、曲げの外部表面を生じ、かつ平行プレートの内部表面と接触するが、第2の主面56は、曲げの内部表面を形成する。第2の層70が第1の主面54に存在する場合、それは平行プレートと接触する。第2の層70の厚さは典型的に最小である(1マイクロメートル以下の範囲である)ため、プレート分離距離Dから第1の主面54の曲げ半径(
図21に示すように)を算出する時、その厚さは無視されてもよい。しかしながら、第2の層70がいずれかの有意な厚さを有する範囲まで、プレート分離距離Dは、試験される主面において所望の対象曲げ半径を達成するために、第2の層厚さの2倍まで増加させてもよい(
図21中、第1の主面54で示すように)。第1の主面54は、素子50の曲げ構成の外部主面であるものとして示されるが、ガラス素子50が末端デバイスに取り込まれる構成に適切であるように、曲げの外部表面として第2の主面56を用いて、同様の方法が、曲げ半径およびサイクルを試験するために使用されてもよい。
【0116】
本開示の一実施例によるガラス素子は、上記のとおり、厚さ75マイクロメートルであり、775MPaのIOX圧縮応力を有し、かつ10マイクロメートルのDOLを有し、および9mmの対象プレート分離距離Dにおいて、200,000回超の曲げ周期に耐えた。本開示の別の実施例による別のガラス素子は、上記のとおり、厚さ75マイクロメートルであり、775MPaのIOX圧縮応力を有し、かつ10マイクロメートルのDOLを有し、および8mmの対象プレート分離距離Dにおいて、200,000回超の曲げ周期に耐えた。典型的なディスプレイデバイスのために、200,000回の曲げ周期を合格することは適切な寿命として考慮される。
【0117】
またさらに、動的曲げ試験が上記されるが、同様の平行プレート試験装置は静的曲げ半径を試験するために使用されてもよい。この場合、プレート分離距離の0.414倍が試験される所望の静的曲げ半径に等しいように、平行プレート2102、2104は所望の分離距離Dに設定される。一旦平行プレート2102、2104が必要な分離距離Dに設定されたら、ガラス素子は、
図21に示すような曲げ構成を達成するように、平行プレート間で配置される。
【0118】
結論
特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく様々な修正形態および変更形態がなされ得ることは、当業者に明白である。例えば、スタックアセンブリ100の圧縮応力領域60(
図1、1Aを参照のこと)が、第1の主面54aからガラス層50aまで延在するものとして示され、記載されるが、同様の圧縮応力領域が、第2の主面56aからガラス層50aに延在して含まれてもよい。また、例えば、曲げ半径の中心が、第2の主面56aと同一側面のスタックアセンブリ100上にあるものとして示されたが、必ずしもそうである必要はない。その代わりに、あるいはそれに加えて、曲げ半径の中心は、第1の主面54aと同一側面のスタックアセンブリ100上に配置されてもよい。曲げ半径の中心は、スタックが、例えば、三つ折り構成でされるように、スタックアセンブリ100のそれぞれの側面上に配置されてもよい。さらに例えば、スタックアセンブリを折り畳む他の方法によって、スタックアセンブリの1つの側面上に配置される曲げ半径の2つ以上の中心が配置されてもよい。なおさらに例えば、1つのみの曲げ半径がいずれか1つの特定の実施例において示されたが、いずれかの適切な、および/または実際的な数の曲げ半径がスタックアセンブリに存在してもよい。
【0119】
第1の例示的な態様によると、約25μm〜約125μmの厚さを有するガラス素子と、第1の主面と、第2の主面とを含むスタックアセンブリであって、ガラス素子が、(a)第1の主面を有する第1のガラス層と、(b)ガラス層の第1の主面からガラス層の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、層の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域とをさらに含む、スタックアセンブリが提供される。ガラス素子は、(a)素子が、約3mm〜約20mmの曲げ半径において、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で保持される時の破損の不在;(b)素子の第2の主面が、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmの感圧接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート層によって担持され、および素子の第1の主面が、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗;ならびに(c)8Hより高い鉛筆硬度によって特徴づけられる。
【0120】
ガラス層が、アルカリを含まないか、またはアルカリ含有アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートまたはシリケートガラス組成物を含む、第1の例示的な態様のアセンブリ。
【0121】
素子の厚さが約50μm〜約100μmである、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0122】
素子の厚さが約60μm〜約80μmである、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0123】
素子の曲げ半径が約3mm〜約10mmである、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0124】
素子の曲げ半径が約5mm〜約7mmである、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0125】
ガラス層の第1の主面の圧縮応力が約600MPa〜1000MPaである、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0126】
第1の深さが、ガラス層の第1の主面からのガラス層の厚さの約3分の1以下に設定される、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0127】
第1の深さが、ガラス層の第1の主面からのガラス層の厚さの約20%以下に設定される、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0128】
第2の例示的な態様によると、ガラス素子の第1の主面上に配置される低い摩擦係数を有する第2の層をさらに含む、第1の例示的な態様によるスタックアセンブリが提供される。
【0129】
第2の層が、熱可塑性物質および非晶質フルオロカーボンからなる群から選択されるフルオロカーボン材料を含むコーティングである、第2の例示的な態様によるアセンブリ。
【0130】
第2の層が、シリコーン、ワックス、ポリエチレン、ホットエンド、パリレンおよびダイヤモンド様コーティング調合物からなる群の1つ以上を含むコーティングである、第2の例示的な態様によるアセンブリ。
【0131】
第2の層が、酸化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、六方晶系窒化ホウ素およびホウ化アルミニウムマグネシウムからなる群から選択される材料を含むコーティングである、第2の例示的な態様によるアセンブリ。
【0132】
第2の層が、酸化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、六方晶系窒化ホウ素およびホウ化アルミニウムマグネシウムからなる群から選択される添加剤を含むコーティングである、第2の例示的な態様によるアセンブリ。
【0133】
圧縮応力領域が、ガラス層の第1の主面において5μm以下の最大欠陥径を含む、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0134】
圧縮応力領域が、ガラス層の第1の主面において2.5μm以下の最大欠陥径を含む、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0135】
圧縮応力領域が、ガラス層の第1の主要な表面において0.4μm以下の最大欠陥径を含む、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0136】
素子が約3mm〜約20mmの曲げ半径で、少なくとも120時間にわたり約25℃および約50%の相対湿度において保持される時にガラス素子が破損の不在によってさらに特徴づけられる、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0137】
ガラス素子および低い摩擦係数を有する第2の層がディスプレイデバイス用に構成される、第1および第2の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0138】
圧縮応力領域が、複数のイオン交換可能な金属イオンおよび複数のイオンを交換された金属イオンを含み、イオンを交換された金属イオンが、イオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きい原子半径を有する、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0139】
ガラス層が端縁をさらに含み、かつガラス素子が、端縁からガラス層の端縁深さまで延在する端縁圧縮応力領域をさらに含み、端縁圧縮応力領域が、端縁における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0140】
第3の例示的な態様によると、ガラス層が、コア領域と、コア領域上に配置された第1および第2のクラッド領域とをさらに含み、かつさらに、コア領域の熱膨張係数が、クラッド領域の熱膨張係数より大きい、第1の例示的な態様によるスタックアセンブリが提供される。
【0141】
コア領域がコア厚さを有し、第1および第2のクラッド領域が、第1および第2のクラッド厚さを有し、かつ厚さの比率が、第1および第2のクラッド厚さの合計によって割られたコア厚さによって与えられ、かつさらに、厚さの比率が3以上である、第3の例示的な態様によるアセンブリ。
【0142】
ガラス素子が、第1のガラス層の下に配置される1つ以上の追加的なガラス層をさらに含む、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0143】
ガラス素子が、第1のガラス層の下に配置される2層の追加的なガラス層をさらに含む、第1の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0144】
第4の例示的な態様によると、ガラス素子の厚さより厚い厚さと、2つの実質的に平行な端縁表面とを有するガラス構造をさらに含み、構造が、実質的に平行な端縁表面の間で構造の中心領域において配置されるガラス素子を含む、第1の例示的な態様によるスタックアセンブリが提供される。
【0145】
第5の例示的な態様によると、約25μm〜約125μmの厚さを有するガラス層を含むガラス物品であって、層が、(a)第1の主面と、(b)第2の主面と、(c)ガラス層の第1の主面からガラス層の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、層の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域とをさらに含む、ガラス物品が提供される。ガラス層は、(a)層が、約3mm〜約20mmの曲げ半径において、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で保持される時の破損の不在;(b)層の第2の主面が、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmの感圧接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート層によって担持され、および層の第1の主面が、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗;ならびに(c)8Hより高い鉛筆硬度によって特徴づけられる。
【0146】
ガラス層が、アルカリを含まないか、またはアルカリ含有アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートまたはシリケートガラス組成物を含む、第5の例示的な態様のアセンブリ。
【0147】
層の厚さが約50μm〜約100μmである、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0148】
層の曲げ半径が約3mm〜約10mmである、第5の第2の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0149】
ガラス層の第1の主面の圧縮応力が約600MPa〜1000MPaである、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0150】
第1の深さが、ガラス層の第1の主面からのガラス層の厚さの約3分の1以下に設定される、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0151】
第6の例示的な態様によると、ガラス層の第1の主面上に配置される低い摩擦係数を有する第2の層をさらに含む、第5の例示的な態様によるスタックアセンブリが提供される。
【0152】
圧縮応力領域が、ガラス層の第1の主面において5μm以下の最大欠陥径を含む、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0153】
ガラス層が、約3mm〜約20mmの曲げ半径で、少なくとも120時間にわたり約25℃および約50%の相対湿度において保持される時の破損の不在によってさらに特徴づけられる、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0154】
ガラス層および低い摩擦係数を有する第2の層がディスプレイデバイス用に構成される、第5の例示的な態様および第6の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0155】
圧縮応力領域が、複数のイオン交換可能な金属イオンおよび複数のイオンを交換された金属イオンを含み、イオンを交換された金属イオンが、イオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きい原子半径を有する、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0156】
ガラス層が、端縁と、端縁からガラス層の端縁深さまで延在する端縁圧縮応力領域とをさらに含み、端縁圧縮応力領域が、端縁における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0157】
ガラス層が、コア領域と、コア領域上に配置された第1および第2のクラッド領域とをさらに含み、かつさらに、コア領域の熱膨張係数が、クラッド領域の熱膨張係数より大きい、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0158】
コア領域がコア厚さを有し、第1および第2のクラッド領域が、第1および第2のクラッド厚さを有し、かつ厚さの比率が、第1および第2のクラッド厚さの合計によって割られたコア厚さによって与えられ、かつさらに、厚さの比率が3以上である、第5の例示的な態様のいずれか1つのアセンブリ。
【0159】
第7の例示的な態様によると、ガラス層の厚さより厚い厚さと、2つの実質的に平行な端縁表面とを有するガラス構造をさらに含み、構造が、実質的に平行な端縁表面の間で構造の中心領域において配置されるガラス層を含む、第5の例示的な態様によるスタックアセンブリが提供される。
【0160】
第8の例示的な態様によると、第1の主面と、ガラス層の第1の主面からガラス層の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、層の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域と、最終厚さとを有する第1のガラス層を形成するステップと;約25μm〜約125μmの厚さを有し、ガラス層と、第1の主面と、第2の主面をさらに含むガラス素子を形成するステップとを含む、スタックアセンブリの製造法が提供される。ガラス素子は、(a)素子が、約3mm〜約20mmの曲げ半径において、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度で保持される時の破損の不在;(b)素子の第2の主面が、(i)約1GPa未満の弾性率を有する厚さ約25μmの感圧接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有する厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート層によって担持され、および素子の第1の主面が、直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗;ならびに(c)8Hより高い鉛筆硬度によって特徴づけられる。
【0161】
第1のガラス層を形成するステップが、フュージョン、スロットドローイング、ローリング、リドローイングおよびフロートプロセスからなる群から選択される形成プロセスを含み、形成プロセスが、ガラス層を最終厚さまで形成するようにさらに構成される、第8の例示的な態様による方法。
【0162】
第1のガラス層を形成するステップが、フュージョン、スロットドローイング、ローリング、リドローイングおよびフロートプロセス、ならびにガラス層から材料を除去して最終厚さを達成するように構成される材料除去プロセスからなる群から選択される形成プロセスを含む、第8の例示的な態様のいずれかによる方法。
【0163】
ガラス層が、アルカリを含まないか、またはアルカリ含有アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートまたはシリケートガラス組成物を含む、第8の例示的な態様のいずれかによるアセンブリ。
【0164】
第9の例示的な態様によると、ガラス層の第1の主面からガラス層の第1の深さまで延在する圧縮応力領域を形成するステップが、ガラス層に含有される複数のイオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きいサイズの原子半径を有する、複数のイオン交換する金属イオンを含む強化浴を提供するステップと;ガラス層中の複数のイオン交換可能な金属イオンの一部を、強化浴中の複数のイオン交換する金属イオンの一部と交換して、第1の主面からガラス層の第1の深さまで延在する圧縮応力領域を形成するためにガラス層を強化浴に浸漬するステップとを含む、第8の例示的な態様による方法が提供される。
【0165】
浸漬ステップが、約400℃〜約450℃で、約15分〜約180分間にわたりガラス層を強化浴に浸漬するステップを含む、第9の例示的な態様による方法。
【0166】
第10の例示的な態様によると、圧縮応力領域を形成するステップの後、第1の主面においてガラス層の最終厚さから約1μm〜約5μmを除去するステップをさらに含む、第8の例示的な態様による方法が提供される。
【0167】
最終厚さが約50μm〜約100μmである、第8の例示的な態様のいずれかによるアセンブリ。
【0168】
曲げ半径が約3mm〜約10mmである、第8の例示的な態様のいずれかによるアセンブリ。
【0169】
圧縮応力が約600MPa〜1000MPaである、第8の例示的な態様のいずれかによるアセンブリ。
【0170】
第1の深さが、ガラス層の第1の主面からのガラス層の最終厚さの約3分の1以下に設定される、第8の例示的な態様のいずれかによるアセンブリ。
【0171】
第11の例示的な態様によると、第1のガラス層を形成するステップが、コア領域を形成するステップと;コア領域上に配置される第1および第2のクラッド領域を形成するステップとをさらに含み、かつさらに、コア領域の熱膨張係数が、クラッド領域の熱膨張係数より大きい、第8の例示的な態様による方法が提供される。
【0172】
コア領域がコア厚さを有し、第1および第2のクラッド領域が、第1および第2のクラッド厚さを有し、かつ厚さの比率が、第1および第2のクラッド厚さの合計によって割られたコア厚さによって与えられ、かつさらに、厚さの比率が3以上である、第11の例示的な態様による方法。
【0173】
ガラス層の第1の主面において配置される低い摩擦係数を有する第2の層を形成するステップをさらに含む、第8の例示的な態様のいずれかによる方法。
【0174】
圧縮応力領域が、ガラス層の第1の主面において5μm以下の最大欠陥径を含むように除去ステップが実行される、第10の例示的な態様による方法。
【0175】
圧縮応力領域が、ガラス層の第1の主面において2.5μm以下の最大欠陥径を含むように除去ステップが実行される、第10の例示的な態様による方法。
【0176】
ガラス層が、約3mm〜約20mmの曲げ半径で、少なくとも120時間にわたり約25℃および約50%の相対湿度において保持される時に破損の不在によってさらに特徴づけられる、第8の例示的な態様のいずれかによる方法。
【0177】
第12の態様によると、少なくとも3重量kg(29.4N)の貫入抵抗を提供する第1の厚さと;5mmの曲げ半径を達成する能力を基材に提供する第2の厚さとを含むガラス基板が提供される。
【0178】
第13の態様によると、第2の厚さが、2mmの曲げ半径を達成する能力を基材に提供する、態様12のガラス基板が提供される。
【0179】
第14の態様によると、第2の厚さが、1mmの曲げ半径を達成する能力を基材に提供する、態様12のガラス基板が提供される。
【0180】
第15の態様によると、第2の厚さが≦30マイクロメートルである、態様12〜14のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0181】
第16の態様によると、第2の厚さが≦25マイクロメートルである、態様12〜14のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0182】
第17の態様によると、長さをさらに含み、かつ第2の厚さが、全体の長さにわたって連続的に提供される、態様12〜16のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0183】
第18の態様によると、第2の厚さを有する基材の一部分を被覆するように配置される保護部材をさらに含む、態様12〜17のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0184】
第19の態様によると、第1の厚さが≧130マイクロメートルである、態様12〜18のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0185】
第20の態様によると、ガラス基板が、アルカリを含まないアルミノボロシリケートガラスである組成物を含む、態様12〜19のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0186】
第21の態様によると、破損の前に5mmの半径までの曲げの少なくとも100回の周期が可能である、態様12〜20のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0187】
第22の態様によると、>50GPaのヤング率をさらに含む、態様12〜21のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0188】
第23の態様によると、少なくとも8Hの鉛筆硬度を有する、態様12〜22のいずれか1つのガラス基板が提供される。
【0189】
第24の態様によると、本体と、態様12〜23のいずれか1つのガラス基板を含むカバーグラスとを含むディスプレイデバイスが提供される。
【0190】
第25の態様によると、少なくとも3kgf(29.4N)の力の貫入抵抗を有する基材を提供する第1の厚さを有する基材を得るステップと;第1の厚さ未満であり、5mmの曲げ半径を達成する能力を基材に提供する第2の厚さを達成するために基材の一部を除去するステップとを含み、除去後、基材が第1の厚さを有する部分を維持する、ガラスをエッチングする方法が提供される。
【0191】
第26の態様によると、除去するステップがエッチングによって実行される、態様25の方法が提供される。
【0192】
第27の態様によると、第2の厚さが、2mmの曲げ半径を達成する能力を基材に提供する、態様25または態様26の方法が提供される。
【0193】
第28の態様によると、第2の厚さが、1mmの曲げ半径を達成する能力を基材に提供する、態様25または態様26の方法が提供される。
【0194】
第29の態様によると、第2の厚さが≦30マイクロメートルである、態様25〜28のいずれか1つの方法が提供される。
【0195】
第30の態様によると、第2の厚さが≦25マイクロメートルである、態様25〜28のいずれか1つの方法が提供される。
【0196】
第31の態様によると、基材が長さを含み、かつ除去するステップによって、全体の長さにわたって連続的な第2の厚さが提供される、態様25〜30のいずれか1つの方法が提供される。
【0197】
第32の態様によると、第2の厚さを有する基材の一部分を被覆するように保護部材が配置されるステップをさらに含む、態様25〜31のいずれか1つの方法が提供される。
【0198】
第33の態様によると、第1の厚さが≧130マイクロメートルである、態様25〜32のいずれか1つの方法が提供される。
【0199】
第34の態様によると、ガラス基板が、アルカリを含まないアルミノボロシリケートガラスである組成物を含む、態様25〜33のいずれか1つの方法が提供される。
【0200】
第35の態様によると、基材が端縁を含み、かつ端縁をエッチングするステップをさらに含む、態様25〜34のいずれか1つの方法が提供される。
【0201】
第36の態様によると、端縁をエッチングするステップが除去するステップと同時に実行される、態様35の方法が提供される。
【0202】
第37の態様によると、ガラス基板が>50GPaのヤング率を含む、態様25〜36のいずれか1つの方法が提供される。
【0203】
第38の態様によると、ガラス基板が少なくとも8Hの鉛筆硬度を含む、態様25〜37のいずれか1つの方法が提供される。
【0204】
第39の態様によると、約25μm〜約125μmの厚さを有するガラス素子を含むガラス物品であって、ガラス素子が、
(a)第1の主面と、
(b)第2の主面と、
(c)ガラス素子の第1の主面からガラス素子の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、ガラス素子の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力σIによって画定される圧縮応力領域と
をさらに含み、ガラス素子が、
(a)第1の主面において曲げ応力σBを誘導するために、曲率中心が第2の主面の側にあるように、ガラス素子が1mm〜20mmの対象曲げ半径に曲げられる時、σI+σB<0であるような応力プロフィール;
(b)ガラス素子の第1の主面が1.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗
によって特徴づけられる、ガラス物品が提供される。
【0205】
第40の態様によると、第1の主面の少なくとも1マイクロメートル下の深さまでσI+σB<0である、態様39のガラス物品が提供される。
【0206】
第41の態様によると、第1の主面の少なくとも2マイクロメートル下の深さまでσI+σB<0である、態様39のガラス物品が提供される。
【0207】
第42の態様によると、第1の主面の少なくとも3マイクロメートル下の深さまでσI+σB<0である、態様39のガラス物品が提供される。
【0208】
第43の態様によると、約25μm〜約125μmの厚さを有するガラス素子を含むガラス物品であって、ガラス素子が、
(a)第1の主面と、
(b)第2の主面と、
(c)ガラス素子の第1の主面からガラス素子の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、ガラス素子の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域と
をさらに含み、ガラス素子が、
(a)ガラス素子が、平行プレート法によって、1mm〜20mmの対象曲げ半径までの曲げの200,000回の周期を受ける時の破損の不在;
(b)ガラス素子の第1の主面が、1.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗
によって特徴づけられる、ガラス物品が提供される。
【0209】
第44の態様によると、約25μm〜約125μmの厚さを有するガラス素子を含むガラス物品であって、ガラス素子が、
(a)第1の主面と、
(b)第2の主面と、
(c)ガラス素子の第1の主面からガラス素子の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、ガラス素子の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域と
をさらに含み、ガラス素子が、
(a)ガラス素子が、約1mm〜約20mmの曲げ半径で、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度において保持される時の破損の不在;
(b)ガラス素子の第1の主面が1.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗
によって特徴づけられる、ガラス物品が提供される。
【0210】
第45の態様によると、ガラス素子が(c)8H以上の鉛筆硬度を含む、態様39〜44のいずれか1つの物品が提供される。
【0211】
第46の態様によると、ガラス素子が複数の層を含む、態様39〜45のいずれか1つの物品が提供される。
【0212】
第47の態様によると、複数の層のそれぞれが同一構成を有する、態様46の物品が提供される。
【0213】
第48の態様によると、ガラス素子が、ガラス素子の第1の主面が直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗を含む、態様39〜47のいずれか1つの物品が提供される。
【0214】
第49の態様によると、ガラス素子が、ガラス素子の第1の主面が1.0mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗を含む、態様39〜48のいずれか1つの物品が提供される。
【0215】
第50の態様によると、ガラス素子が、ガラス素子の第1の主面が0.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1kgf(9.8N)より大きい貫入抵抗を含む、態様39〜49のいずれか1つの物品が提供される。
【0216】
第51の態様によると、ガラス素子の第1の主面がビッカーズインデンターから1kgf(9.8N)の負荷を受ける時、第1の主面において≦100マイクロメートルの欠陥が導入される、態様39〜50のいずれか1つの物品が提供される。
【0217】
第52の態様によると、ガラス素子の第1の主面がビッカーズインデンターから2kgf(19.6N)の負荷を受ける時、第1の主面において≦100マイクロメートルの欠陥が導入される、態様39〜50のいずれか1つの物品が提供される。
【0218】
第53の態様によると、ガラス素子が550〜650kgf/mm
2(5393〜6374N/mm
2)のビッカーズ硬度を有する、態様39〜52のいずれか1つの物品が提供される。
【0219】
第54の態様によると、ガラス素子が、10gf(0.098N)によって負荷を受けたキューブコーナーダイヤモンドインデンターとの接触後、800MPaより大きい維持されたB10曲げ強度を有する、態様39〜53のいずれか1つの物品が提供される。
【0220】
第55の態様によると、F/w≦0.076N/mm(式中、Fは、対象曲げ半径にガラス素子を配置する閉鎖力であり、かつwは、ガラスが曲げられる軸と平行な方向におけるガラス素子の寸法である)を含む、態様39〜54のいずれか1つの物品が提供される。
【0221】
第56の態様によると、ガラス素子が、アルカリを含まないか、またはアルカリ含有アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートまたはシリケートガラス組成物を含む、態様39〜55のいずれか1つの物品が提供される。
【0222】
第57の態様によると、ガラス素子の厚さが約50μm〜約100μmである、態様39〜56のいずれか1つの物品が提供される。
【0223】
第58の態様によると、ガラス素子の曲げ半径が約3mm〜約10mmである、態様39〜57のいずれか1つの物品が提供される。
【0224】
第59の態様によると、ガラス素子の第1の主面の圧縮応力が約600MPa〜1000MPaである、態様39〜58のいずれか1つの物品が提供される。
【0225】
第60の態様によると、第1の深さが、ガラス素子の第1の主面からのガラス素子の厚さの約3分の1以下に設定される、態様39〜59のいずれか1つの物品が提供される。
【0226】
第61の態様によると、ガラス素子の第1の主面上に配置される低い摩擦係数を有する第2の層をさらに含む、態様39〜60のいずれか1つの物品が提供される。
【0227】
第62の態様によると、圧縮応力領域が、ガラス素子の第1の主面において5μm以下の最大欠陥径を含む、態様39〜61のいずれか1つの物品が提供される。
【0228】
第63の態様によると、圧縮応力領域が、複数のイオン交換可能な金属イオンおよび複数のイオンを交換された金属イオンを含み、イオンを交換された金属イオンが、イオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きい原子半径を有する、態様39〜62のいずれか1つの物品が提供される。
【0229】
第64の態様によると、ガラス素子が、端縁と、端縁からガラス素子の端縁深さまで延在する端縁圧縮応力領域とをさらに含み、端縁圧縮応力領域が、端縁における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される、態様63の物品が提供される。
【0230】
第65の態様によると、折り畳み可能な特徴を有する電子デバイスを含む、折り畳み可能な電子デバイスであって、折り畳み可能な特徴が、態様39〜64によるスタックアセンブリを含む、折り畳み可能な電子デバイスが提供される。
【0231】
第66の態様によると、約25μm〜約125μmの厚さを有するガラス素子を形成するステップを含む、スタックアセンブリの製造方法であって、ガラス素子が、
(a)第1の主面と、
(b)第2の主面と、
(c)ガラス素子の第1の主面からガラス素子の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、ガラス素子の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力σIによって画定される圧縮応力領域と
をさらに含み、ガラス素子が、
(a)第1の主面において曲げ応力σBを誘導するために、曲率中心が第2の主面の側面上にあるように、ガラス素子が1mm〜20mmの対象曲げ半径に曲げられる時、σI+σB<0であるような応力プロフィール;および
(b)ガラス素子の第1の主面が1.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗
によって特徴づけられる、方法が提供される。
【0232】
第67の態様によると、第1の主面の少なくとも1マイクロメートル下の深さまでσI+σB<0である、態様66のガラス物品が提供される。
【0233】
第68の態様によると、第1の主面の少なくとも2マイクロメートル下の深さまでσI+σB<0である、態様66のガラス物品が提供される。
【0234】
第69の態様によると、第1の主面の少なくとも3マイクロメートル下の深さまでσI+σB<0である、態様66のガラス物品が提供される。
【0235】
第70の態様によると、約25μm〜約125μmの厚さを有するガラス素子を形成するステップを含む、スタックアセンブリの製造方法であって、ガラス素子が、
(a)第1の主面と、
(b)第2の主面と、
(c)ガラス素子の第1の主面からガラス素子の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、ガラス素子の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域と
をさらに含み、ガラス素子が、
(a)ガラス素子が、平行プレート法によって、1mm〜20mmの対象曲げ半径までの曲げの200,000回の周期を受ける時の破損の不在;
(b)ガラス素子の第1の主面が1.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗
によって特徴づけられる、方法が提供される。
【0236】
第71の態様によると、第1の主面と、ガラス素子の第1の主面からガラス素子の第1の深さまで延在する圧縮応力領域であって、ガラス素子の第1の主面において少なくとも約100MPaの圧縮応力によって画定される圧縮応力領域と、最終厚さとを有する、第1のガラス素子を形成するステップを含む、スタックアセンブリの製造方法であって、ガラス素子が、
(a)ガラス素子が、約1mm〜約20mmの曲げ半径で、少なくとも60分間にわたり約25℃および約50%の相対湿度において保持される時の破損の不在;
(b)ガラス素子の第1の主面が1.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗
によって特徴づけられる、方法が提供される。
【0237】
第72の態様によると、第1のガラス層を形成するステップが、フュージョン、スロットドローイング、ローリング、リドローイングおよびフロートプロセスからなる群から選択される形成プロセスを含み、形成プロセスが、ガラス層を最終厚さまで形成するようにさらに構成される、態様66〜71のいずれか1つの方法が提供される。
【0238】
第73の態様によると、第1のガラス層を形成するステップが、フュージョン、スロットドローイング、ローリング、リドローイングおよびフロートプロセス、ならびにガラス層から材料を除去して最終厚さを達成する材料除去プロセスからなる群から選択される形成プロセスを含む、態様66〜71のいずれか1つの方法が提供される。
【0239】
第74の態様によると、ガラス層が、アルカリを含まないか、またはアルカリ含有アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートまたはシリケートガラス組成物を含む、態様66〜73のいずれか1つの方法が提供される。
【0240】
第75の態様によると、ガラス層の第1の主面からガラス層の第1の深さまで延在する圧縮応力領域を形成するステップが、
ガラス層に含有される複数のイオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きいサイズの原子半径を有する、複数のイオン交換する金属イオンを含む強化浴を提供するステップと;
ガラス層中の複数のイオン交換可能な金属イオンの一部を、強化浴中の複数のイオン交換する金属イオンの一部と交換して、第1の主面からガラス層の第1の深さまで延在する圧縮応力領域を形成するためにガラス層を強化浴に浸漬するステップと
を含む、態様66〜74のいずれか1つの方法が提供される。
【0241】
第76の態様によると、浸漬ステップが、約400℃〜約450℃で、約15分〜約180分間にわたりガラス層を強化浴に浸漬するステップを含む、態様75の方法が提供される。
【0242】
第77の態様によると、圧縮応力領域を形成するステップの後、第1の主面においてガラス層の最終厚さから約1μm〜約5μmを除去するステップをさらに含む、態様66〜76のいずれか1つの方法が提供される。
【0243】
第78の態様によると、圧縮応力領域を形成するステップの後、第1の主面においてガラス層の最終厚さから約1μm〜約5μmを除去するステップをさらに含み、除去するステップが、ガラス層の浸漬ステップの後に実行される、態様75または76の方法が提供される。
【0244】
第79の態様によると、圧縮応力が約600MPa〜1000MPaである、態様66〜78のいずれか1つの方法が提供される。
【0245】
第80の態様によると、ガラス素子が8H以上の鉛筆硬度を含む、態様66〜79のいずれか1つの方法が提供される。
【0246】
第81の態様によると、ガラス素子が複数の層を含む、態様66〜80のいずれか1つの方法が提供される。
【0247】
第82の態様によると、複数の層のそれぞれが同一構成を有する、態様81の方法が提供される。
【0248】
第83の態様によると、ガラス素子が、ガラス素子の第1の主面が直径200μmの平底を有するステンレス鋼ピンによって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗を含む、態様66〜82のいずれか1つの方法が提供される。
【0249】
第84の態様によると、ガラス素子が、ガラス素子の第1の主面が1.0mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1.5kgf(14.7N)より大きい貫入抵抗を含む、態様66〜83のいずれか1つの方法が提供される。
【0250】
第85の態様によると、ガラス素子が、ガラス素子の第1の主面が0.5mmの直径を有する炭化タングステン球によって負荷を受ける時の約1kgf(9.8N)より大きい貫入抵抗を含む、態様66〜84のいずれか1つの方法が提供される。
【0251】
第86の態様によると、ガラス素子の第1の主面がビッカーズインデンターから1kgf(9.8N)の負荷を受ける時、第1の主面において≦100マイクロメートルの欠陥が導入される、態様66〜85のいずれか1つの方法が提供される。
【0252】
第87の態様によると、ガラス素子の第1の主面がビッカーズインデンターから2kgf(19.6N)の負荷を受ける時、第1の主面において≦100マイクロメートルの欠陥が導入される、85の方法が提供される。
【0253】
第88の態様によると、ガラス素子が550〜650kgf/mm
2(5393〜6374N/mm
2)のビッカーズ硬度を有する、態様66〜87のいずれか1つの方法が提供される。
【0254】
第89の態様によると、ガラス素子が、10gf(0.098N)によって負荷を受けたキューブコーナーダイヤモンドインデンターとの接触後、800MPaより大きい維持されたB10曲げ強度を有する、態様66〜88のいずれか1つの方法が提供される。
【0255】
第90の態様によると、F/w≦0.076N/mm(式中、Fは、対象曲げ半径にガラス素子を配置する閉鎖力であり、かつwは、ガラスが曲げられる軸と平行な方向におけるガラス素子の寸法である)を含む、態様66〜89のいずれか1つの方法が提供される。