(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858813
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ネジ方式で固定されるタイヤ用センサ及びそれを適用したタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20210405BHJP
B60C 23/04 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C23/04
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-148520(P2019-148520)
(22)【出願日】2019年8月13日
(65)【公開番号】特開2020-26268(P2020-26268A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年8月13日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0094637
(32)【優先日】2018年8月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、イン ギ
【審査官】
増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−511286(JP,A)
【文献】
特開2014−118078(JP,A)
【文献】
特開2009−198505(JP,A)
【文献】
特表2003−511287(JP,A)
【文献】
特表2018−508397(JP,A)
【文献】
特表2018−500242(JP,A)
【文献】
特開平11−278021(JP,A)
【文献】
特表2014−532006(JP,A)
【文献】
特開2007−024696(JP,A)
【文献】
特開2007−113957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド部の内面に取り付けられてタイヤの状態を検出するセンサモジュール部と、
前記センサモジュール部を囲むように形成されたセンサケース部と、
前記タイヤのトレッド部の内面に前記センサケース部を取り付けるように固定用ネジを備えたセンサ固定部と、を含み、
前記固定用ネジは、ネジ方式で回転することにより、前記センサケース部を前記タイヤのトレッド部の内面に固定して取り付け、
前記固定用ネジのネジ本体が前記タイヤのトレッド部の部位を完全に貫通するように形成された
ことを特徴とするネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項2】
前記センサ固定部は、前記タイヤのトレッド部の外面にネジ固定用雌ネジをさらに含み、
前記ネジ固定用雌ネジは、前記トレッド部を貫通して突出した前記固定用ネジのネジ本体の部分と締結されるように形成された
請求項1に記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項3】
タイヤのトレッド部の内面に取り付けられてタイヤの状態を検出するセンサモジュール部と、
前記センサモジュール部を囲むように形成されたセンサケース部と、
前記タイヤのトレッド部の内面に前記センサケース部を取り付けるように固定用ネジを備えたセンサ固定部と、を含み、
前記固定用ネジは、ネジ方式で回転することにより、前記センサケース部を前記タイヤのトレッド部の内面に固定して取り付け、
前記タイヤのトレッド部に前記固定用ネジを挿入または除去する場合に、
前記センサケース部と前記固定用ネジが空回らないように、前記固定用ネジのネジ頭の形状は、円形、楕円形、多角形、星形、及び鋸歯形のいずれかである
ことを特徴とするネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項4】
タイヤのトレッド部の内面に取り付けられてタイヤの状態を検出するセンサモジュール部と、
前記センサモジュール部を囲むように形成されたセンサケース部と、
前記タイヤのトレッド部の内面に前記センサケース部を取り付けるように固定用ネジを備えたセンサ固定部と、を含み、
前記固定用ネジは、ネジ方式で回転することにより、前記センサケース部を前記タイヤのトレッド部の内面に固定して取り付け、
タイヤのトレッド部の内面に固定ネジ支持部をさらに含み、
前記固定ネジ支持部がタイヤのトレッドの内面に予め取り付けられた後に、前記センサケース部が前記センサ固定部の前記固定ネジを介して前記固定ネジ支持部に固定して取り付けられ、
前記固定ネジ支持部が前記センサケース部の側面に2つ以上形成された
ことを特徴とするネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項5】
前記固定ネジ支持部は、粘着剤、接着剤、及びシーラント物質のいずれかを用いて前記タイヤのトレッド部の内面に取り付けられた
請求項4に記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項6】
前記固定ネジ支持部は、ゴム加温硬化工程を使用して、前記タイヤのトレッド部の内面に取り付けられた
請求項4に記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項7】
前記固定用ネジのネジ頭が前記センサケース部の下部面に取り付けられた
請求項1ないし6のいずれかに記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項8】
前記固定用ネジのネジ頭が前記センサケース部に挿入されて、前記センサケース部と前記固定用ネジが一体型で製造された
請求項1ないし6のいずれかに記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項9】
前記センサケース部の下部面及び前記センサ固定部の表面に粘着剤、接着剤、及びシーラント物質のいずれかがさらにコーティングされた
請求項1ないし6のいずれかに記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項10】
前記センサ固定部の材質が金属または高硬度のプラスチックである
請求項1ないし6のいずれかに記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項11】
前記固定用ネジの厚さが、1mm以上5mm以下の寸法である
請求項1ないし6のいずれかに記載のネジ方式で固定されるタイヤ用センサ。
【請求項12】
タイヤの状態を検出するためにタイヤ用センサが内部に取り付けられたタイヤであって、
前記タイヤ用センサは、請求項1ないし11のいずれかに記載のタイヤ用センサである
ことを特徴とするネジ方式で固定されるタイヤ用センサが適用されたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの内面に取り付けられるタイヤ用センサ及びそれを適用したタイヤに関し、さらに詳しくは、強い取り付け耐久性を保障するために、タイヤの内面にネジ方式で固定される固定用ネジを備えたタイヤ用センサ及びそれを適用したタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
来たる自律走行の時代には、運転者が車両を直接運転せずに、車両が自ら道路を走行することになる。したがって、自動車の走行中に発生するタイヤの挙動や道路面の状態を運転者ではなくセンサが直接検出し、警告信号を提供するか、あるいは車両制御装置及び道路管制システムに持続して情報を提供しなければならない。
【0003】
これによって、未来のタイヤには、温度、空気圧、加速度等を検出するセンサが必ず固定されなければならないが、車両の走行中に、タイヤでは繰り返される激しい変形と昇温現象が発生することになるため、タイヤに対するセンサの固定に耐久性を持たせ続けるのが非常に難しいという問題がある。したがって、これを解決するために、センサの取り付け耐久性を確保するための技術が、未来のタイヤに関連した核心的な技術になることが考えられる。
【0004】
従来に使用されるタイヤの内面のセンサ取り付け方式は、センサの底面を広く製造した後、接着剤または粘着剤を適用してセンサを固定させる方式が主となっている。しかしながら、このような取り付け方式による場合には、タイヤの発熱と反復的なねじれ等により、センサが意図せずに脱着されるおそれが高くなり、特に車両の高速走行時にさらに問題となる。
【0005】
センサがタイヤの内面から脱着される場合、センサ自体の機能喪失の問題だけではなく、タイヤの加減速中に脱着されたセンサの動きにより、タイヤの内面が摩耗されてタイヤの内部に損傷が発生し、これによってパンク等による2次事故につながるおそれがある。したがって、これを防止するための強い取り付け耐久性が保障されるセンサの固定方式の技術が必要とされている。
【0006】
特許文献2(名称:TYRE SENSOR DEVICE)は、空気圧バルブが取り付けられるタイヤの空気圧警報装置であるTPMSセンサをタイヤの内面に取り付け、機能を追加して空気圧、圧力、加速度信号を計測しようとする技術が開示されている。
【0007】
特許文献1(名称:タイヤ取り付け型のタイヤセンサ)には、コンパクトな構造を有し、タイヤに直接取り付けられるタイヤ取り付け型のタイヤセンサを提供し、外部の端末機と通信が可能であり、端末機を介して、タイヤセンシング情報を受信できる技術が開示されている。
【0008】
前記特許技術は、タイヤの状態センサをタイヤの内面に取り付け、温度、空気圧、加速度等を検出する技術が開示されているが、センサの取り付け耐久性を確保してセンサの脱着を防止できる技術は、開示されていない。
【0009】
したがって、本発明は、車両の走行において必須制御要素であるタイヤの状態モニタリングのためのセンサ自体の技術的な重要性と、前記センサの脱着によって生じる可能性がある2次事故の防止による安定性とを考慮し、固定用ネジを備えたタイヤ用取り付けセンサ技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−1846207号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2017−001483号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような問題を解決するために、本発明は、タイヤの内面に回転してネジ方式で固定させることにより、ネジ取り付け耐久性を高めることができるように固定用ネジを備えたタイヤ用センサを提供することを目的とする。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明は、タイヤのトレッド部の内面に取り付けられてタイヤの状態を検出するセンサモジュール部と、前記センサモジュール部を囲むように形成されたセンサケース部と、前記タイヤのトレッド部の内面に前記センサケース部を取り付けるように固定用ネジを備えたセンサ固定部と、を含み、前記固定用ネジは、ネジ方式で回転することにより、前記センサケース部を前記タイヤのトレッド部の内面に固定して取り付けることを特徴とする、ネジ方式で固定されるタイヤ用センサを提供する。
【0014】
本発明の実施形態において、前記固定用ネジのネジ頭が前記センサケース部の下部面に取り付けられることを特徴とする。
【0015】
本発明の実施形態において、前記固定用ネジのネジ頭が前記センサケース部に挿入されて、前記センサケース部と前記固定用ネジが一体型で製造されることを特徴とする。
【0016】
本発明の実施形態において、前記センサケース部の下部面及び前記センサ固定部の表面に粘着剤、接着剤、及びシーラント物質のいずれかがさらにコーティングされることを特徴とする。
【0017】
本発明の実施形態において、前記固定用ネジのネジ本体が前記タイヤのトレッド部の部位を完全に貫通するように形成されることを特徴とする。
【0018】
本発明の実施形態において、前記センサ固定部は、前記タイヤのトレッド部の外面にネジ固定用雌ネジをさらに含み、前記ネジ固定用雌ネジは、前記トレッド部を貫通して突出した前記固定用ネジのネジ本体の部分と締結されるように形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態において、前記タイヤのトレッド部に前記固定用ネジを挿入または除去する場合に、前記センサケース部と前記固定用ネジが空回らないように、前記固定用ネジのネジ頭の形状は、円形、楕円形、多角形、星形、及び鋸歯形のいずれかであることを特徴とする。
【0020】
本発明の実施形態において、前記センサ固定部の材質が金属または高硬度のプラスチックであることを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態において、前記固定用ネジの厚さが、1mm以上5mm以下の寸法であることを特徴とする。
【0022】
本発明の実施形態において、タイヤのトレッド部の内面に固定ネジ支持部をさらに含み、前記固定ネジ支持部がタイヤのトレッドの内面に予め取り付けられた後に、前記センサケース部が前記センサ固定部の前記固定ネジを介して前記固定ネジ支持部に固定して取り付けられることを特徴とする。
【0023】
本発明の実施形態において、前記固定ネジ支持部が前記センサケース部の側面に2つ以上形成されることを特徴とする。
【0024】
本発明の実施形態において、前記固定ネジ支持部は、粘着剤、接着剤、及びシーラント物質のいずれかを用いて前記タイヤのトレッド部の内面に取り付けられることを特徴とする。
【0025】
本発明の実施形態において、前記固定ネジ支持部は、ゴム加温硬化工程を使用して、前記タイヤのトレッド部の内面に取り付けられることを特徴とする。
【0026】
前記のような目的を達成するために、本発明のもう一つの構成は、タイヤの状態を検出するためにタイヤ用センサが内部に取り付けられたタイヤであって、前記タイヤ用センサは、前記本発明の一実施形態によるネジ方式で固定されるタイヤ用センサのいずれかであることを特徴とする、ネジ方式で固定されるタイヤ用センサが適用されたタイヤを提供する。
【発明の効果】
【0027】
前記のような構成を有する本発明は、ネジ方式で固定されるタイヤ用センサを提供することにより、タイヤに固定されたセンサの強固な耐久性を保障することにより、車両の走行中においてタイヤ用センサ自体の機能を担保する第1の効果と、センサの脱着によって生じる可能性がある車両の2次事故を未然に防止する第2の効果とを奏する。
【0028】
本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載されている発明の構成から推論可能なあらゆる効果が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来のセンサの底面に接着剤または粘着剤を適用するタイヤの内面にセンサを取り付ける方式の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるタイヤのトレッド部の内面に取り付けられたタイヤ用センサの模式図
【
図3】本発明の一実施形態による固定用ネジがセンサケース部の下部に取り付けられたタイヤ用センサの断面図
【
図4】本発明の一実施形態による固定用ネジがセンサケース部と一体型で形成されたタイヤ用センサの断面図
【
図5】本発明の一実施形態による固定用ネジのネジ本体がタイヤのトレッド部を貫通してネジ固定用雌ネジに締結されたタイヤ用センサの断面図
【
図6】本発明の一実施形態によるセンサケース部が固定ネジ支持部によって固定して取り付けられたタイヤ用センサの断面図
【
図7】本発明の一実施形態によるセンサケース部が2つ以上の固定ネジ支持部によって固定して取り付けられたタイヤ用センサの断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現され得るので、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために説明に関係のない部分は省略し、明細書全体を通して類似の部分には類似の符号を付した。
【0031】
明細書全体を通して、ある一部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているという場合、それには「直接連結」されているものだけでなく、その間にさらに他の部材を介して「間接的に連結」されているものも含まれる。また、ある一部分がある構成要素を「含む」という場合、それは特に断らない限り他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えてもよいことを意味するものである。
【0032】
本発明に用いられる用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いられるものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現には、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本発明における「含む」、「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせが存在することを示すためのものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除するものではない。
【0033】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0034】
未来の自律走行の時代には、自動車の走行中にタイヤや路面の状態をタイヤのセンサが直接検出し、車両及びタイヤを制御するか、あるいは道路管制システムに持続して情報を提供しなければならない。
【0035】
したがって、未来のタイヤには、温度、空気圧、加速度等を検出するセンサが必ず取り付けられなければならない。但し、車両の走行中には、タイヤに激しい変形が繰り返され、また昇温現象が発生することになるため、前記センサが強固な耐久性を有して取り付けられることが非常に困難であるという問題が存在する。
【0036】
これを解決するために、従来のセンサ取り付け方式では、
図1に示すように、センサの下部面を広く製造した後に、接着剤または粘着剤等を適用して、タイヤの内面に固定させる方式を利用してきた。
【0037】
しかしながら、従来技術を適用するとき、特に車両が高速走行をしている場合には、タイヤの発熱と繰り返しのねじれ等により前記センサが脱着されるおそれがある。前記センサが脱着された場合、センサ自体の機能の喪失だけでなく、タイヤの加減速中に脱着されたセンサの動きによってタイヤの内部に損傷が発生し、パンク等の2次事故につながるため、さらに問題となる。
【0038】
したがって、本発明は、タイヤの内面にセンサを固定させる際に、より強固に耐久性を高めるために、固定用ネジを備えたタイヤ用センサ技術を提案する。
【0039】
図2ないし
図5は、本発明の一実施形態によるネジ方式で固定されるタイヤ用センサがタイヤのトレッド部10の内面に取り付けられた様子を示している。
【0040】
タイヤの基本構造は、
図2に示すように、路面と直接接触するトレッド部10、タイヤの骨格に該当するカーカスを保護する役割を果たし、車両に乗り心地を与えるサイドウォール部20、及びタイヤをホイールに結合して固定させる役割を果たすビード部30から構成される。
【0041】
本発明の一実施形態による構成は、タイヤのトレッド部10の内面に取り付けられてタイヤ及び路面の状態を検出するセンサモジュール部100と、前記センサモジュール部100を囲むように形成されて前記センサモジュール部100を保護するセンサケース部200と、固定用ネジ310を含み、前記センサケース部200を前記タイヤのトレッド部10の内面にネジ方式で回転することで固定して取り付ける役割を果たすセンサ固定部300とを含む。
【0042】
前記固定用ネジ310は、前記センサケース部200を固定させる役割を果たすネジ頭311と、前記トレッド部10に挿入されるネジ本体312とから構成されており、前記ネジ本体312は、前記トレッド部10への挿入に適するようにネジ山が形成されている。
【0043】
前記センサモジュール部100は、内部にPCB基板、送受信アンテナ、電気エネルギー供給部等を含む。これによって、前記センサモジュール部100は、タイヤの空気圧、温度、加速度を計測し、それによるデータの集散及び無線送受信の役割を果たすことができる。また、エネルギー供給のために、エネルギー供給素子を含むか、あるいは、別途のエネルギー供給素子と有線で接続するように構成され得る。
【0044】
前記センサモジュール部100が、車両の前輪と後輪に該当するそれぞれのタイヤの内部に直接挿入され、走行中の車両の空気圧の状態及び温度変化を検出し、情報を集散して、これを視聴覚的に運転者に提供する。
【0045】
前記固定用ネジ310の厚さは、装着する際にタイヤ補強ベルト部の鉄線が切断されないように、適切な寸法が定められなければならない。タイヤの補強ベルトは、タイヤのトレッド部に最も大きな影響を及ぼす構成の中で、路面のグリップ(Grip)力を決定し、車両のハンドリング性能及び乗り心地を決定する要素である。
【0046】
したがって、センサの取り付け耐久性を確保しながらも、タイヤ補強ベルト部の鉄線が切断されることを防止するためには、前記ネジ本体312を1mm以上5mm以下の厚さ寸法を有するように構成することが好ましい。
【0047】
但し、前記センサをタイヤの内面に取り付けまたは脱着するために、前記固定用ネジ310を前記トレッド部10に挿入するか、または除去する場合に、前記センサケース部200と前記固定用ネジ310が空回りする副作用が生じる可能性がある。
【0048】
これらの問題を解決するために、本発明の一実施形態によって、前記ネジ頭の形状を円形、楕円形、多角形、星形、鋸歯形等で製造してもよい。ネジ頭とは、形態と溝が様々なネジの広い端部を意味する。
【0049】
この場合、前記トレッド部10に前記固定用ネジ310を挿入するか、または除去する過程においても、前記センサケース部200と前記固定用ネジ310の結合力が増大して空回りする問題が生じることを防止できる。
【0050】
図3に示すように、本発明の一実施形態によって、前記ネジ頭は、前記センサケース部200の下部面に接着剤または粘着剤を用いて取り付けられることを特徴とする。
【0051】
または
図4に示すように、本発明の一実施形態によって、前記ネジ頭は、前記センサケース部200の下部の製造時に、前記ネジ頭311を挿入して射出成形されるか、あるいはダイカスト等の型成形で前記センサケース部200と一体型で製造されることを特徴とする。
【0052】
射出成形は、熱可塑性樹脂を成形する方法の中心をなしているプラスチックの成形加工法で加熱によって溶かしたプラスチック材料を金型の中に射出させて固化または硬化させて成形品を作製する加工方法である。圧縮成形法によって生産速度が速くなり、大量生産に有利だろう。
【0053】
ダイカストとは、ダイ鋳造とも呼ばれ、必要な鋳造形状に完全に一致するように正確に機械加工された鋼製の金型に溶融金属を注入して、金型と全く同じである精密鋳造法である。寸法が正確なので、仕上げをする必要がほとんどなく、大量生産が可能であるというのが特徴である。
【0054】
前記のような成形方法により、前記センサケース部200に挿入されるように、前記ネジ頭311を一体型で製造することにより、本発明によるタイヤ用センサの取り付け力と耐久性の強化を図ることができる。
【0055】
また、本発明の一実施形態によって、前記固定用ネジ310と前記タイヤのトレッド部の内面の接触面で空気の流出を防止するために、前記センサケース部200の下部面と前記固定用ネジ310の表面に接着剤、粘着剤、またはシーラント(Sealant)物質をさらにコーティングすることを特徴とする。
【0056】
シーラントは、部材相互間の窓枠等の接合部の隙間に用いられて気密、水密の機能のほかに、部材相互間の伸縮、振動、変形を吸収緩和するためのゴム状の物質または高粘度の液状ゴム組成物である。
【0057】
このような接着剤、粘着剤、またはシーラント物質を追加コーティングする場合に、本発明の一実施形態による回転ネジ方式の適用を通じた耐久性の強化に加えて、センサ取り付け固定の耐久性をさらに強固にする効果が期待できる。
【0058】
図5に示すように、本発明の一実施形態によって、前記固定用ネジ310は、前記ネジ本体312が前記トレッド部10の部位を完全に貫通できるように形成されることにより、タイヤ用センサの取り付け耐久性をさらに高めることを特徴とする。
【0059】
この場合に、より信頼性のある取り付け耐久性を確保するために、前記センサ固定部300は、前記トレッド部10の外面にネジ固定用雌ネジ320をさらに含んでもよい。前記ネジ固定用雌ネジ320は、前記ネジ本体312の前記トレッド部10を貫通した後、突出した部分と締結されることを特徴とする。
【0060】
前記固定用ネジ310と前記ネジ固定用雌ネジ320の材質は、金属であってもよく、また、金属ではなくても、高いレベルの硬度を有するプラスチックを適用して製造してもよい。
【0061】
前述の本発明の一実施形態とは異なり、
図6は、本発明の一実施形態によって固定ネジ支持部400をさらに含むネジ方式で固定されるタイヤ用センサを示す。この場合、前記固定ネジ支持部400を予め前記トレッド部の内面に取り付けた後に、前記センサモジュール部100及び前記センサケース部200を、前記センサ固定部300を介して前記固定ネジ支持部400に固定して取り付ける。
【0062】
前記固定ネジ支持部400は、
図7に示すように、1つのみで構成するのではなく、2つ以上で構成して発明の効果をさらに増大させてもよい。前記固定ネジ支持部400の材質は、必要に応じて、ゴム、プラスチック、金属等を必要に応じて選択して使用してもよい。
【0063】
前記固定ネジ支持部400の前記タイヤのトレッド部の内面の取り付けは、接着剤、粘着剤、またはシーラント物質等で接着するか、またはゴム高温硬化工程(curling)を用いてもよい。
【0064】
硬化工程とは、高温を使用し、硫黄を加えてゴムを硬化させる工程である。自然状態のゴムは、粘着性があり、暖かいところでは変形され、寒いところでは簡単に壊れる。しかしながら、ゴムのポリマー分子を硫黄原子の橋状結合で連結すると、ゴムがさらに硬くなり、粘着性が減少すると、抵抗力と耐久性も増加する。
【0065】
これによって硬化されたゴムは、様々な範疇で応用が可能であり、特に可動部品間の隙間を封じることがその一つであって、産業機械の開発において重要な役割を果たすので、前記固定ネジ支持部400をタイヤのトレッド部の内面に取り付ける際に最適な方法となりうる。
【0066】
前記固定ネジ支持部400を予め取り付け、これにより、センサを取り付ける場合、製造工程が追加されるという短所がある。但し、前記固定ネジ支持部400を介してセンサを取り付ける場合、前記固定用ネジ310を前記トレッド部に直接挿入する場合に比べて、タイヤ補強ベルトの鉄線が損傷するリスクが発生しないという効果がある。
【0067】
本発明のさらに他の一実施形態は、タイヤの状態をリアルタイムで検出するためにタイヤ用センサを備えたタイヤであって、前記タイヤ用センサは、前述の本発明の一実施形態によるネジ方式で固定されるタイヤ用センサのいずれかであることを特徴とする。
【0068】
前述のように、本発明の一実施形態を適用する場合、従来のタイヤの内面に対する取り付け方式とは異なり、ネジ方式によってタイヤ用センサがタイヤの内面に固定して取り付けられ、センサの固定取り付けの耐久性を確保することにより、センサの脱着を未然に防止する効果がある。
【0069】
これによって、タイヤ用センサとしてタイヤの空気圧等を検出するそれ自体の機能を安定的に果たすことができ、センサの脱着により発生する可能性がある2次事故を未然に防止して、センサが固定されたタイヤの安全性と信頼性を有する技術を実現することができる。
【0070】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形できる。よって、前述の実施形態はあくまで例示的なものであり、限定的なものでない。例えば、単一型で説明された各構成要素を分散して実施してもよく、同様に分散したものと説明された構成要素を結合された形態に実施してもよい。
【0071】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 トレッド部
20 サイドウォール部
30 ビード部
100 センサモジュール部
200 センサケース部
300 センサ固定部
310 固定用ネジ
311 ネジ頭
312 ネジ本体
320 ネジ固定用雌ネジ
400 固定ネジ支持部