特許第6858873号(P6858873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6858873-セレコキシブを含む錠剤 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858873
(24)【登録日】2021年3月26日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】セレコキシブを含む錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/415 20060101AFI20210405BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20210405BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20210405BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210405BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20210405BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20210405BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210405BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210405BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20210405BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210405BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   A61K31/415
   A61K47/38
   A61K47/04
   A61K47/26
   A61K47/20
   A61K47/32
   A61K47/10
   A61K47/12
   A61K9/24
   A61P29/00
   A61P19/02
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-542338(P2019-542338)
(86)(22)【出願日】2017年10月16日
(65)【公表番号】特表2019-530755(P2019-530755A)
(43)【公表日】2019年10月24日
(86)【国際出願番号】KR2017011400
(87)【国際公開番号】WO2018074792
(87)【国際公開日】20180426
【審査請求日】2019年4月16日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0134859
(32)【優先日】2016年10月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519138575
【氏名又は名称】キョン ドン ファーム. カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KYUNG DONG PHARM. CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】イ, ビョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ギル, ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ミョン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ユン サン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ウ ユル
【審査官】 古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−531403(JP,A)
【文献】 特開平07−324101(JP,A)
【文献】 特開2000−178190(JP,A)
【文献】 特表2001−512451(JP,A)
【文献】 特表2003−518061(JP,A)
【文献】 JPRHC,2010年,Vol.2, No.1,p.15-22
【文献】 Int. J. Chem. Sci.,2008年,Vol.6, No.3,p.1270-1275
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコキシブ;
微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素、乳糖水和物・微結晶セルロース、および乳糖水和物・粉末セルロースらなる群より選ばれたセルロース系賦形剤
水溶性賦形剤としての乳糖水和物;
界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム;
結合剤としてのポビドン;
崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム;および
滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム
からなる錠剤であって、
セルロース系賦形剤は、顆粒外賦形剤であり、
水溶性賦形剤は、顆粒内賦形剤であり、
微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素は、コロイド性二酸化ケイ素粒子が微結晶セルロースの表面に薄く分布して単粒子をなした、ケイ素化した微結晶セルロースであり、および、微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素は、98重量%の微結晶セルロースと2重量%のコロイド性二酸化ケイ素を含有し、
乳糖水和物・微結晶セルロースは、乳糖水和物と微結晶セルロースを噴霧乾燥して単粒子をなすことにより得られ、および、75重量%の乳糖水和物と25重量%の微結晶セルロースを含有し、ならびに
乳糖水和物・粉末セルロースは、乳糖水和物と粉末セルロースを噴霧乾燥して単粒子をなすことにより得られ、および、乳糖水和物・粉末セルロースは、75重量%の乳糖水和物と25重量%の粉末セルロースを含有し、
錠剤の総重量は、300mgであり、ならびに
300mgの錠剤は、セレコキシブ200mg、乳糖水和物43mg、ラウリル硫酸ナトリウム9mg、ポビドン7.5mg、クロスカルメロースナトリウム9mg、ステアリン酸マグネシウム6mg、およびセルロース系賦形剤25.5mgを含む、
前記錠剤。
【請求項2】
セレコキシブ錠剤の製造方法であって、
(a)セレコキシブ、界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム、結合剤としてのポビドン、崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、および水溶性賦形剤を含む混合物から顆粒を製造する段階と、
(b)前記顆粒、崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム、およびセルロース系賦形剤を含む混合物を打錠する段階と、
を含み、
前記セルロース系賦形剤は、顆粒外賦形剤であって、微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素、乳糖水和物・微結晶セルロース、および乳糖水和物・粉末セルロースからなる群より選ばれたものであり、
微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素は、コロイド性二酸化ケイ素粒子が微結晶セルロースの表面に薄く分布して単粒子をなした、ケイ素化した微結晶セルロースであり、および、微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素は、98重量%の微結晶セルロースと2重量%のコロイド性二酸化ケイ素を含有し、
乳糖水和物・微結晶セルロースは、乳糖水和物と微結晶セルロースを噴霧乾燥して単粒子をなすことにより得られ、および、75重量%の乳糖水和物と25重量%の微結晶セルロースを含有し、ならびに
乳糖水和物・粉末セルロースは、乳糖水和物と粉末セルロースを噴霧乾燥して単粒子をなすことにより得られ、および、乳糖水和物・粉末セルロースは、75重量%の乳糖水和物と25重量%の粉末セルロースを含有し、
前記水溶性賦形剤は、顆粒内賦形剤としての乳糖水和物
段階(b)において得られる錠剤の総重量は、300mgであり、ならびに
300mgの錠剤は、セレコキシブ200mg、乳糖水和物43mg、ラウリル硫酸ナトリウム9mg、ポビドン7.5mg、クロスカルメロースナトリウム9mg、ステアリン酸マグネシウム6mg、およびセルロース系賦形剤25.5mgを含む、
前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セレコキシブを含む錠剤に係り、具体的には、既存のセレコキシブ経口用製剤に比べてサイズが小さく、服用の便宜性に優れ、長期間保存しても溶出率の変化がなく、均等な治療効果を期待することができ、錠剤形態に製造されて、生産性が高く、最高血中薬物濃度に早く到達して、薬効発現の早い錠剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セレコキシブ(Celecoxib)は、化学名である4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミドの一般名であって、下記一般式1の構造を有する。
【0003】
【化1】
【0004】
選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の抑制剤であるセレコキシブを有効成分として含み、カプセル剤の形態で販売されているセレブレックス(登録商標)(ファイザー)は、現在、胃腸障害がない関節炎治療剤市場において最も高い占有率を有している。
【0005】
セレコキシブは、多量(100〜400mg)を含有する剤形で投与されてもよい。しかし、セレコキシブ特有の物理的・化学的性質のため、服用し易いように充分に小さな錠剤を製造することは難しいという問題点があった。例えば、セレコキシブは、静電気的な特性、低い圧縮性と凝集性、低い密度を有する物質である。このような特性により、好適な特性を有する錠剤に製造することは難しい。また、錠剤の質量を小さくするためには、迅速な薬物放出を促進させるための賦形剤を制限された量で使用しなければならなかった。このため、セレコキシブの溶解度が低いことも問題となる。
【0006】
セレコキシブは、このような物理的・化学的性質により、従来、カプセル剤として開発されたことがある。しかし、このようなカプセル剤の場合、嵩高いだけでなく、製造単価も高い。また、その特性上、崩壊及び溶出速度が、カプセル剤を構成しているゼラチンの溶解程度に左右され、保管時、水分や温度のような外部環境の影響により、崩壊及び溶出速度がさらに遅延され、またはそのパターンが変わるという問題点があった。
【0007】
一方、大韓民国登録特許第0501034号公報(特許文献1)には、セレコキシブを活性成分として含有する経口投与可能な薬学的組成物が開示されている。しかし、前記大韓民国登録特許第0501034号公報により錠剤を製造する場合、完成した錠剤の体積が大き過ぎ、服用の便宜性に劣るという問題点があった。
【0008】
それで、本発明の発明者らは、従来技術の問題点を改善するために、研究を重ねた結果、従来の組成物に比べてサイズが小さく、服用の便宜性に優れ、長期間保存しても溶出率の変化がなく、均等な治療効果を期待することができ、錠剤形態に製造されて、生産性が高く、最高血中薬物濃度に早く到達して、薬効発現の早い錠剤に関する本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国登録特許第0501034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、服用の便宜性と安定性が改善され、生産性の高いセレコキシブ錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明は、(1)最小量の賦形剤を用いて、投与ボリュームを減らし、服用の便宜性を改善し、(2)安定性が改善され、迅速な薬物放出特性を有し、(3)製造が容易であり、経済性及び効率性を増加させ、(4)好適な錠剤特性を有する錠剤及びその製造方法を提供する。以下、本発明について詳述する。
【0012】
セレコキシブを高含量で含む錠剤
【0013】
本発明は、治療的有効量のセレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩50〜70重量%と、セルロース系賦形剤5〜20重量%と、を含む錠剤を提供する。
【0014】
本発明において、セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩は、セレコキシブ遊離塩基(free base)またはその薬学的に許容可能な塩でもよい。好ましくは、セレコキシブ遊離塩基が用いられる。セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩は、公知の製造方法で直接合成しまたは市中で購入して使用できる。
【0015】
本発明において、セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩は、薬理学的有効量で含まれ、その量は、治療対象の患者の状態、体重等により異なる。具体的に、セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩は、約10〜1000mgで投与され、好ましくは、100〜400mgで投与され、より好ましくは、100〜200mgで投与されてもよい。
【0016】
本発明において、セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩は、錠剤の総重量を基準として50〜70重量%で含有され、好ましくは、60〜70重量%で含有されてもよい。有効成分であるセレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩が、錠剤中に高含量で含まれ、いろいろな賦形剤を最小量で入れてもよい。したがって、本発明の錠剤は、既存のセレコキシブ経口用製剤(カプセル剤)よりも小さいサイズで製造され、これにより、患者の服用の便宜性を大いに増大させることができる。
【0017】
本発明の錠剤に含まれる前記「セルロース系賦形剤」は、打錠時、打錠障害を克服するとともに、錠剤の崩壊速度を促進させることができる。好適なセルロース系賦形剤は、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素(例:プロソルブ)、乳糖水和物・微結晶セルロース(例:マイクロセラック)、乳糖水和物・セルロース(例:セラクトース)、及びその混合物から選ばれたものであってもよい。
【0018】
前記「粉末セルロース」は、無定形セルロースを含むものであって、例えば、結晶形45重量%、無定形55重量%からなるものを用いてもよい。また、前記粉末セルロースの平均粒径は30〜180μmであることが好ましく、40〜80μmであることがさらに好ましい。
【0019】
前記「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」は、置換度が約0.2であることが好ましい。前記置換度は、セルロースの無水グルコース環当たりのヒドロキシプロピル基の平均数を意味する。また、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、ヒドロキシプロポキシ基の含有量が約5〜16重量%であってもよく、9〜13重量%であることが好ましい。また、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒径は、35〜75μmであることが好ましく、50〜60μmであることがさらに好ましい。
【0020】
前記「微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素」は、コロイド性二酸化ケイ素粒子が微結晶セルロースの表面に薄く分布し、単粒子(monoparticle)をなしたケイ素化した微結晶セルロースを意味する。好ましくは、98重量%の微結晶セルロースと2重量%のコロイド性二酸化ケイ素からなるものを用いてもよい。また、前記微結晶セルロース・コロイド性二酸化ケイ素の平均粒径は、40〜130μmであることが好ましく、90〜130μmであることがさらに好ましい。
【0021】
前記「乳糖水和物・微結晶セルロース」は、乳糖水和物と微結晶セルロースを噴霧乾燥して、75重量%の乳糖水和物と25重量%の微結晶セルロースを含有する単粒子をなした賦形剤を意味する。
【0022】
前記「乳糖水和物・セルロース」は、乳糖水和物と粉末セルロースを噴霧乾燥して、75重量%の乳糖水和物と25重量%の粉末セルロースを含有する単粒子をなした賦形剤を意味する。
【0023】
本発明において、前記セルロース系賦形剤は、錠剤の総重量を基準として5〜20重量%で含有され、好ましくは、6〜12重量%で含有されてもよい。上記数値範囲を外れると、打錠障害が生じ、またはセレコキシブの溶出率に問題を生じ得る。
【0024】
また、前記セルロース系賦形剤は、セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩を含む顆粒物と混合される、顆粒外賦形剤として用いられてもよい。
【0025】
本発明の錠剤は、水溶性賦形剤をさらに含んでもよい。本発明において用いられる前記「水溶性賦形剤」は、水に可溶性である希釈剤を意味する。水溶性賦形剤は、目的とする錠剤の質量を得るように錠剤の密度を増加させ、静電気及び凝集性を改善することのできる1種以上の化合物である。好適な水溶性賦形剤としては、乳糖水和物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、及びその混合物から選ばれたものであってもよい。
【0026】
本発明において、前記水溶性賦形剤は、錠剤の総重量を基準として8〜30重量%で含有されてもよく、好ましくは、10〜16重量%で含有されてもよい。
【0027】
本発明の錠剤は、当業界において一般に用いられる界面活性剤、崩壊剤、結合剤、及び滑沢剤をさらに含んでもよい。
【0028】
本発明の錠剤に用いられる前記「界面活性剤」は、セレコキシブの湿潤性及び溶解度を増加させることのできる1種以上の化合物であってもよい。好適な界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリエチレンオキシド、及びその混合物から選ばれたものであってもよい。但し、これに限定されない。本発明において、前記界面活性剤は、錠剤の総重量を基準として1〜5重量%で含有されてもよい。
【0029】
本発明の錠剤に用いられる前記「崩壊剤」は、水分と接触すると、膨張して胃腸管内において錠剤を崩壊させる効果がある。好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びその混合物から選ばれたものであってもよい。但し、これに限定されない。本発明において、前記崩壊剤は、錠剤の総重量を基準として2〜12重量%で含有されてもよい。
【0030】
本発明の錠剤に用いられる前記「結合剤」は、顆粒の密度を増加させ、さらに流動性のある顆粒粒子への顆粒化を増加させることのできる1種以上の化合物である。好適な結合剤として、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン化した澱粉、及びその混合物から選ばれたものであってもよい。但し、これに限定されない。本発明において、前記結合剤は、錠剤の総重量を基準として1〜6重量%で含有されてもよい。
【0031】
本発明の組成物に用いられる「滑沢剤」は、打錠機ダイからの流動性改善、パンチやダイへの付着防止、打錠機から錠剤を排出するときの抵抗減少のような効果がある。好適な滑沢剤としては、タルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、コロイド性二酸化ケイ素、及びその混合物から選ばれたものであってもよい。但し、これに限定されない。本発明において、前記滑沢剤は、錠剤の総重量を基準として1〜5重量%で含有されてもよい。
【0032】
本発明の錠剤は、セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩を50〜70重量%の高含量で含み、いろいろな賦形剤を低含量で含むことにより、小さいサイズの錠剤を製造し、これにより、患者の服用の便宜性を大きいに増大させることができる。また、本発明の錠剤は、打錠障害を最小化し、既存のセレコキシブカプセル剤(セレブレックス)と比較して等しい溶出パターンを示す。
【0033】
本発明の錠剤は、セレコキシブを有効成分として含み、選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の抑制用として用いられ、具体的には、関節炎の予防または治療用、抗炎症用、鎮痛用として用いられてもよい。
【0034】
セレコキシブを高含量で含む錠剤の製造方法
【0035】
本発明の製造方法は、湿式顆粒法によりセレコキシブ錠剤を製造することができる。具体的に、本発明の製造方法は、(a)治療的有効量のセレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩及び水溶性賦形剤を含む混合物から顆粒を製造する段階と、(b)前記顆粒及びセルロース系賦形剤を含む混合物を打錠する段階と、を含む。
【0036】
前記(a)段階は、湿式顆粒物を製造する段階であって、界面活性剤、結合剤、崩壊剤をさらに加えて行ってもよい。このとき、錠剤の総重量を基準として、セレコキシブまたはその薬学的に許容可能な塩の約50〜約70重量%、水溶性賦形剤の約8〜30重量%、界面活性剤の約1〜5重量%、結合剤の約1〜6重量%、崩壊剤の約1〜6重量%を混合して、粉末状の混合物を得る。また、前記混合物を再混合した後、これを水または界面活性剤水溶液と顆粒化して顆粒を形成することができる。前記顆粒を乾燥して粉砕し、以降の段階で使用する。
【0037】
前記(b)段階は、前記顆粒にセルロース系賦形剤をさらに加えた後、錠剤を製造する段階として、崩壊剤及び滑沢剤をさらに加えてもよい。このとき、錠剤の総重量を基準としてセルロース系賦形剤の約5〜20重量%、崩壊剤の約1〜6重量%、滑沢剤の約1〜5重量%を用いてもよい。
【0038】
本発明の製造方法において用いられたセルロース系賦形剤、水溶性賦形剤、界面活性剤、崩壊剤、結合剤、及び滑沢剤は、本明細書において言及した通りである。
【0039】
また、本発明の錠剤は、フィルムコートしてもよく、前記フィルム組成物は、錠剤の総重量を基準として1〜5重量%で含有されてもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、既存のセレコキシブ経口用製剤に比べてサイズが小さく、服用の便宜性に優れ、長期間保存しても溶出率の変化がなく、均等な治療効果を期待することができ、錠剤形態に製造されて、生産性が高く、最高血中薬物濃度に早く到達して、薬効発現の早い錠剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】セレブレックスカプセルと本発明の錠剤(実施例6)の外観サイズを比較した写真である。
図2】セレブレックスカプセルと本発明の錠剤(実施例6)のセレコキシブ溶出率を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例及び実験例により本発明を具体的に説明する。但し、これらの実施例及び実験例は、本発明の理解を助けるために、例示の目的で提供されるものであって、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0043】
実施例及び比較例
【0044】
<比較例1乃至3>
下記表1に記載の処方により、セレコキシブ、乳糖水和物、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムを混合し、ラウリル硫酸ナトリウムを水に溶かして製造した練合液を混合粉に均一に噴霧し、湿式顆粒を製造した。製造された顆粒を60℃のオーブンで充分に乾燥した後、30メッシュの篩を通過させ、顆粒外混合により、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムをさらに混合して、セレコキシブを含有する錠剤を打錠して製造した。
【0045】
【表1】
(比較例1:上記特許文献1における実施例4)
【0046】
<実施例1乃至5、比較例4乃至6>
セレコキシブ錠剤の迅速な薬物放出及び打錠性を改善するために、下記表2及び3に記載の処方により、比較例1乃至3と同一の製造方法で、錠剤を打錠して製造した。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
<実施例6及び比較例7>
実施例1及び比較例3で製造した裸錠を、フィルムコーティング剤としてヒドロキシプロピルセルロース、遮光剤として酸化チタン、可塑剤としてポリエチレングリコール6000を用いてフィルムコートを行った。それぞれ実施例6及び比較例7とした。
【0050】
実験例
【0051】
<実験例1>顆粒の物性及び打錠性の確認
実施例1乃至5及び比較例1乃至6で製造した顆粒の体積密度、流動性、打錠性、及び崩壊時間を確認し、従来の同一容量のカプセル剤(セレブレックス(登録商標)カプセル、ファイザー)のカプセル中の顆粒物に対して、体積密度、流動性、及び打錠性を測定した。体積密度は、3回ずつ測定した後、その値を平均し、流動性は、下記のCarrの圧縮率(Carr’s compressibility)(%)を用いて測定した。
【0052】
【数1】
【0053】
【表4】
【0054】
その結果を下記の表5及び6に示した。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
上記表5及び6から分かるように、実施例1乃至5の顆粒は、比較例1乃至6の顆粒とは異なり、顆粒の流動性を確保し、打錠障害を克服することができる。これに対して、セレブレックスカプセルの顆粒は、錠剤化するには流動性が充分ではなく、打錠時、バインディング(錠剤とダイの壁面との摩擦により錠剤がダイから排出され難く、やり過ぎると錠剤の側面が破壊される現象)とスティッキング(パンチの表面に粉末が付着し、錠剤の表面がきれいでなく、時によっては一部が損傷する現象)の打錠障害が生じた。
【0058】
<実験例2>実施例1及び比較例1の錠剤の体積感の比較
【0059】
実施例1及び比較例1の顆粒を、同一の長方形パンチにより、11KNの打錠圧力で打錠するとき、錠剤の体積を測定した。その結果を下記表7に示した。
【0060】
【表7】
【0061】
上記結果から、実施例1の錠剤の体積が顕著に小さく、服用の便宜性が改善したことが確認された。
【0062】
<実験例3>市販のカプセルとのサイズの比較
【0063】
実施例6の錠剤と、市販しているセレブレックス(登録商標)カプセル200mg(ファイザー)のサイズを観察した。その結果を表8及び図1に示した。
【0064】
【表8】
【0065】
その結果、本発明による実施例6は、市販のカプセル剤に比べて顕著にサイズが小さく、服用の便宜性に優れているということが分かる。
【0066】
<実験例4>溶出率の測定
【0067】
実施例6、比較例7、及び従来のカプセル剤のセレブレックス(登録商標)カプセルを、それぞれ6つずつ溶出試験を行った。溶出試験は、大韓薬典の一般試験法のうち、溶出試験法、第2法(パドル法)を用いて試験しており、溶出液としては、1%ラウリル硫酸ナトリウムが含まれたpH12のリン酸塩緩衝液を1000mL使用し、溶出液を37℃に維持しながら、65rpmの速度で、5、10、15、30、45、60分にサンプル1mLを取り、高性能液体クロマトグラムで分析した。下記表9にその結果を示した。
【0068】
【表9】
【0069】
上記結果から、実施例6は、錠剤にもかかわらず、セレブレックス(登録商標)カプセルと等しい溶出率を示すことが確認された。セレブレックスカプセルの場合、カプセルをなすゼラチンの溶解速度によって薬物が放出され、溶出率偏差が、実施例6よりも極めて大きいことが確認された。また、比較例7の場合は、錠剤が崩壊した後、溶出機の底面に崩壊された混合物が積もっており、薬物の放出を妨害し、溶出率の偏差が大きいことが確認された。
【0070】
<実験例5>生物学的同等性試験
【0071】
2×2ラテン方陣による交差試験法により、健康な成人支援者40名を対象として、実施例6の錠剤とセレブレックス(登録商標)カプセル200mg(ファイザー)に対する生物学的同等性試験を行った。
【0072】
その結果、本発明による実施例6の錠剤は、市販のカプセル剤と生物学的に同等であることが分かり、市販のカプセル剤は、Tmax3.23±1.13、実施例6の錠剤は、Tmax2.12±1.34であるので、さらに早い速効性発現が可能であると期待される。その結果を図2に示した。
【0073】
<実験例6>過酷条件下の経時安定性の評価
【0074】
実施例6の錠剤と従来のカプセル剤であるセレブレックス(登録商標)カプセル(ファイザー)を、過酷条件下で、経時安定性を溶出率測定により評価した。40℃、RH75%の条件下で、オープン保管して、1ヶ月後、溶出率を評価した。その結果を下記表10に示した。
【0075】
【表10】
【0076】
上記結果から、セレブレックスカプセルは、過酷条件下で、カプセルの硬化により、溶出速度が遅延するのに対して、実施例6の錠剤は、過酷条件下でも溶出速度が一定であるので、市販のカプセル剤に比べて安定的に溶出することが確認された。
【0077】
本明細書は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者が充分に認識して類推可能な内容については、その詳細な記載を省略し、本明細書に記載された具体的な例示以外に、本発明の技術的思想や必須的構成を変更しない範囲内で、さらに多様な変形が可能である。したがって、本発明は、本明細書において具体的に説明して例示したものとは異なる方式で実施されてもよく、これは、本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、理解できる事項である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の錠剤は、セレコキシブを有効成分として含み、選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の抑制用として用いられる。
【0079】
本発明の錠剤は、既存のセレコキシブ経口用製剤に比べてサイズが小さく、服用の便宜性に優れ、長期間保存しても溶出率の変化がなく、均等な治療効果を期待することができ、錠剤形態に製造されて、生産性が高く、最高血中薬物濃度に早く到達して、薬効発現の早い錠剤を提供することができる。
図1
図2