(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハイブリダイゼーション工程が増幅生成物をドナー蛍光部分および対応するアクセプター部分で標識されたプローブと接触させることを含み;検出工程がプローブのドナー蛍光部分とアクセプター部分の間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の存在または非存在を検出することを含み、その際、蛍光の存在または非存在は試料中におけるBKウイルスの存在または非存在の指標となる、請求項1に記載の方法。
1以上の他の微生物が、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、西ナイルウイルス(WNV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、ジカウイルス、デング熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス(SLEV)、および/またはチクングニヤウイルスからなる群から選択されるウイルスである、請求項5に記載の方法。
1セット以上のプライマー;および1以上の蛍光検出可能な状態に標識されたプローブを含み、その際、蛍光検出可能な状態に標識されたプローブは少なくとも2つのプライマーにより生成したアンプリコンにハイブリダイズするように構成されている、BKウイルスの核酸を検出するためのキットであって、その際
(i)1セット以上のプライマーにおける1セットはSEQ ID NO:4および5を含む2つのプライマーを含み、1以上のプローブはSEQ ID NO:3またはその相補体を含むプローブを含むか;
(ii)1セット以上のプライマーにおける1セットはSEQ ID NO:6および7を含む2つのプライマーを含み、1以上のプローブはSEQ ID NO:8またはその相補体を含むプローブを含むか;
(iii)1セット以上のプライマーにおける1セットはSEQ ID NO:1および2を含む2つのプライマーを含み、1以上のプローブはSEQ ID NO:3またはその相補体を含むプローブを含むか;あるいは
(iv)1セット以上のプライマーにおける1セットはSEQ ID NO:9および10を含む2つのプライマーを含み、1以上のプローブはSEQ ID NO:11またはその相補体を含むプローブを含む、
キット。
検出可能な状態に標識されたオリゴヌクレオチド配列がドナー蛍光部分および対応するアクセプター部分を含み、アクセプター部分がクエンチャーのBlackHole Quencher(登録商標)−2(BHQ−2)であり、ドナー蛍光部分がHEXである、請求項7または8に記載のキット。
試料をプライマーのセットと接触させることを含む増幅工程を実施して、試料中にターゲット核酸が存在すれば増幅生成物を生成させる;その増幅生成物を1以上のプローブと接触させることを含むハイブリダイゼーション工程を実施する;そして増幅生成物の存在または非存在を検出し、その際、増幅生成物の存在は試料中にBKウイルスが存在することの指標となり、増幅生成物の非存在は試料中にBKウイルスが存在しないことの指標となる、請求項10に記載の反応混合物。
ハイブリダイゼーション工程が増幅生成物をドナー蛍光部分および対応するアクセプター部分で標識されたプローブと接触させることを含み;検出工程がプローブのドナー蛍光部分とアクセプター部分の間のFRETの存在または非存在を検出することを含み、その際、蛍光の存在または非存在は試料中におけるBKウイルスの存在または非存在の指標となり、アクセプター部分がクエンチャーのBlackHole Quencher(登録商標)−2(BHQ−2)であり、ドナー蛍光部分がHEXである、請求項11に記載の反応混合物。
【発明を実施するための形態】
【0023】
核酸増幅によるBKウイルス感染症の診断は、BKウイルス感染症を迅速、精確に、信頼性をもって、特異的に、高感度で検出および/または定量するための方法を提供する。非生体試料または生体試料中のBKウイルスを検出および/または定量するためのリアルタイムPCRアッセイを本明細書に記載する。BKウイルスを検出および/または定量するためのプライマーおよびプローブを提供し、そのようなプライマーおよびプローブを収容した製品またはキットも提供する。他の方法と比較して向上したBKウイルス検出のためのリアルタイムPCRの特異度および感度、ならびに試料の封じ込め(containment)ならびに増幅生成物のリアルタイム検出および定量を含めて改善されたリアルタイムPCRの特徴により、この技術を臨床検査室におけるBKウイルス感染症のルーティン診断のために実施することが可能になる。さらに、この技術は血液スクリーニングおよび予後判定に使用できる。このBKウイルス検出アッセイを、他の核酸、たとえば他の細菌および/またはウイルスの検出のための他のアッセイと並行してマルチプレックス化することもできる。
【0024】
本開示は、たとえばTaqMan(登録商標)増幅および検出技術を用いてBKウイルスを特異的に同定するための、BKウイルスゲノムにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーおよび蛍光標識した加水分解プローブを含む。
【0025】
開示した方法は、1対以上のプライマーを用いて試料に由来する核酸分子遺伝子ターゲットの1以上の部分を増幅することを含む少なくとも1サイクルの工程の実施を含むことができる。本明細書中で用いる“BKプライマー(単数または複数)”は、BKウイルスゲノム中にある核酸配列に特異的にアニールし、適切な条件下でそれからDNA合成を開始してそれぞれの増幅生成物を生成する、オリゴヌクレオチドプライマーを表わす。BKウイルスゲノム中にある核酸配列の例には、BKウイルスゲノムのウイルスキャプシドタンパク質領域、たとえばVP2領域内の核酸が含まれる。考察したBKウイルスプライマーはそれぞれターゲットにアニールし、したがってそれぞれの増幅生成物の少なくとも一部はターゲットに対応する核酸配列を含む。試料中に1以上の核酸が存在する限り1以上の増幅生成物が生成し、よって1以上の増幅生成物の存在は試料中にBKウイルスが存在することの指標となる。増幅生成物は、BKウイルスについて1以上の検出可能なプローブに相補的な核酸配列を含むはずである。本明細書中で用いる“BKウイルスプローブ(単数または複数)”は、BKウイルスゲノム中にある核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを表わす。各サイクル工程は増幅工程、ハイブリダイゼーション工程、および検出工程を含み、その際、試料中のBKウイルスの存在または非存在を検出するために、試料を1以上の検出可能なBKウイルスプローブと接触させる。
【0026】
本明細書中で用いる用語“増幅させる”は、鋳型核酸分子(たとえば、BKウイルスゲノムに由来する核酸分子)の一方または両方の鎖に相補的である核酸分子を合成するプロセスを表わす。核酸分子の増幅は一般に、鋳型核酸を変性させ、プライマーの融解温度より低い温度でプライマーを鋳型核酸にアニールさせ、そしてプライマーから酵素によって伸長させて増幅生成物を生成させることを含む。増幅には一般に、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、DNAポリメラーゼ酵素(たとえば、Platinum(登録商標) Taq)、ならびにポリメラーゼ酵素の最適活性を得るために適切な緩衝液および/または補因子(たとえば、MgCl
2および/またはKCl)の存在が必要である。
【0027】
本明細書中で用いる用語“プライマー”は当業者に知られており、鋳型依存性DNAポリメラーゼによりDNA合成を“プライムする(prime)”ことができるオリゴマー化合物、主にオリゴヌクレオチドを表わすが、修飾オリゴヌクレオチドをも表わす;すなわち、たとえばオリゴヌクレオチドの3’末端が遊離3’−OH基を備えており、そこに鋳型依存性DNAポリメラーゼによりさらに“ヌクレオチド”が結合して、3’−5’ホスホジエステル結合が樹立し、それによりデオキシヌクレオシド三リン酸が使われ、それによりピロリン酸が放出される。
【0028】
用語“ハイブリダイズする”は、1以上のプローブが増幅生成物にアニールすることを表わす。“ハイブリダイゼーション条件”には、一般にプローブの融解温度より低いけれどもプローブの非特異的ハイブリダイゼーションが避けられる温度が含まれる。
【0029】
用語“5’→3’ヌクレアーゼ活性”は、一般に核酸鎖合成に関連する核酸ポリメラーゼの活性であって、それによりヌクレオチドが核酸鎖の5’末端から除去されるものを表わす。
【0030】
用語“熱安定ポリメラーゼ”は、熱安定性であるポリメラーゼ酵素を表わし、すなわち、その酵素は鋳型に相補的なプライマー伸長生成物の形成を触媒し、二本鎖鋳型核酸の変性を行なわせるのに必要な時間、高い温度に曝されても不可逆的に変性することはない。一般に、合成は各プライマーの3’末端で開始し、鋳型鎖に沿って5’→3’方向に進行する。熱安定ポリメラーゼは、サーマス・フラバス(Thermus flavus)、サーマス・ルベル(T. ruber)、サーマス・サーモフィルス(T. thermophilus)、サーマス・アクアティカス(T. aquaticus)、サーマス・ラクテウス(T. lacteus)、サーマス・ルーベンス(T. rubens)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、およびメタノサーマス・フェルビダス(Methanothermus fervidus)から分離された。しかしながら、必要であれば熱安定性ではないポリメラーゼも、その酵素が補充される限りPCRアッセイに使用できる。
【0031】
用語“その相補体”は、特定の核酸と同じ長さであり、かつそれに対して厳密に相補的である核酸を表わす。
用語“伸長(extension)”または“延長(elongation)”は、核酸に関して用いられる場合、追加ヌクレオチド(または他の類似分子)がその核酸に取り込まれる場合を表わす。たとえば、核酸は、場合により、ヌクレオチドを取り込む生体触媒、たとえば、一般にヌクレオチドを核酸の3’末端に付加するポリメラーゼによって伸長する。
【0032】
2以上の核酸配列に関して用語“同一(identical)”または“同一性(identity)”パーセントは、たとえば当業者が利用できる配列比較アルゴリズムの1つを用いるかあるいは視覚精査により判定して最大一致が得られるように比較およびアラインした際に、同一であるかあるいは特定したパーセントの同じヌクレオチドをもつ、2以上の配列またはサブ配列を表わす。配列同一性および配列類似性のパーセントを決定するのに適した代表的なアルゴリズムはBLASTプログラムであり、それらはたとえば下記に記載されている:Altschul et al. (1990) “Basic local alignment search tool” J. Mol. Biol. 215:403-410、Gish et al. (1993) “Identification of protein coding regions by database similarity search” Nature Genet. 3:266-272、Madden et al. (1996) “Applications of network BLAST server” Meth. Enzymol. 266:131-141、Altschul et al. (1997) “Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs” Nucleic Acids Res. 25:3389-3402、およびZhang et al. (1997) “PowerBLAST: A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation” Genome Res. 7:649-656。
【0033】
オリゴヌクレオチドに関して“修飾ヌクレオチド”は、オリゴヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチドが、希望する特性をそのオリゴヌクレオチドに付与する異なるヌクレオチドで置き換えられた変更を表わす。本明細書に記載するオリゴヌクレオチドにおいて置換できる代表的な修飾ヌクレオチドには、たとえば下記のものが含まれる:t−ブチルベンジル、C5−メチル−dC、C5−エチル−dC、C5−メチル−dU、C5−エチル−dU、2,6−ジアミノプリン、C5−プロピニル−dC、C5−プロピニル−dU、C7−プロピニル−dA、C7−プロピニル−dG、C5−プロパルギルアミノ−dC、C5−プロパルギルアミノ−dU、C7−プロパルギルアミノ−dA、C7−プロパルギルアミノ−dG、7−デアザ−2−デオキシキサントシン、ピラゾロピリミジンアナログ、シュード−dU、ニトロピロール、ニトロインドール、2’−0−メチル リボ−U、2’−0−メチル リボ−C、N4−エチル−dC、N6−メチル−dA、5−プロピニル dU、5−プロピニル dC、7−デアザ−デオキシグアノシン(デアザG(u−デアザ))など。オリゴヌクレオチドにおいて置換できる他の多数の修飾ヌクレオチドが本明細書に述べられており、あるいは当技術分野で知られている。特定の態様において、修飾ヌクレオチド置換は、対応する非修飾オリゴヌクレオチドの融解温度に対比してオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)を改変する。さらに説明すると、ある態様において、特定の修飾ヌクレオチド置換は非特異的な核酸増幅を低減する(たとえば、プライマーダイマー形成を最小限に抑えるなど)、意図するターゲットアンプリコンの収率を増大させる、および/または同様なことが可能である。これらのタイプの核酸修飾の例は、たとえばU.S. Patent No. 6,001,611に記載されている。他の修飾ヌクレオチド置換は、オリゴヌクレオチドの安定性を変更し、あるいは他の望ましい特徴をもたらすことができる。
【0034】
BKウイルスターゲット核酸の検出/定量
本開示は、たとえばBKウイルス核酸配列の一部を増幅することによりBKウイルスを検出する方法を提供する。具体的には、BKウイルス核酸分子ターゲットを増幅および検出および/または定量するためのプライマーおよびプローブを本開示における態様により提供する。
【0035】
BKウイルスの検出および/または定量のために、BKウイルスを増幅および検出/定量するためのプライマーおよびプローブを提供する。本明細書に例示するもの以外のBKウイルス核酸を用いて試料中のBKウイルスを検出することもできる。たとえば、当業者はルーティン方法を用いて機能性バリアントを特異度および/または感度について評価することができる。代表的な機能性バリアントには、たとえば本明細書に開示するBKウイルス核酸における1以上の欠失、挿入、および/または置換を含めることができる。
【0036】
より具体的には、オリゴヌクレオチドの態様はそれぞれ、SEQ ID NO:1〜11から選択される配列をもつ核酸、その実質的同一バリアントであって少なくともたとえばSEQ ID NO:1〜11の1つに対して80%、90%または95%の配列同一性をもつもの、あるいはSEQ ID NO:1〜11およびそのバリアントの相補体を含む。
【0039】
一態様において、前記のBKウイルスプライマーおよびプローブのセットは、BKウイルスを含有する疑いがある生体試料中のBKウイルスの検出を提供するために用いられる(表1)。プライマーおよびプローブのセットは、SEQ ID NO:1〜11の核酸配列を含むかあるいはそれらからなる、BKウイルス核酸配列に対して特異的なプライマーおよびプローブを含むかあるいはそれらからなることができる。他の態様において、BKウイルスターゲットに対するプライマーおよびプローブは、SEQ ID NO:1〜11のプライマーおよびプローブのいずれかの機能活性バリアントを含むかあるいはそれらからなる。
【0040】
SEQ ID NO:1〜11のプライマーおよび/またはプローブのいずれかの機能活性バリアントは、開示した方法にそれらのプライマーおよび/またはプローブを使用することにより同定できる。SEQ ID NO:1〜11のプライマーおよび/またはプローブのいずれかの機能活性バリアントは、記載した方法またはキットにおいて、SEQ ID NO:1〜11のそれぞれの配列と比較して類似するかまたはより高い特異度および感度をもたらすプライマーおよび/またはプローブに関係する。
【0041】
バリアントは、たとえば1以上のヌクレオチドの付加、欠失または置換、たとえばSEQ ID NO:1〜11のそれぞれの配列の5’末端および/または3’末端における1以上のヌクレオチドの付加、欠失または置換によって、SEQ ID NO:1〜11の配列と異なる可能性がある。前記のように、プライマーおよび/またはプローブを化学的に修飾することができ、すなわちプライマーおよび/またはプローブは修飾されたヌクレオチドまたは非ヌクレオチド化合物を含むことができる。その場合、プローブ(またはプライマー)は修飾オリゴヌクレオチドである。“修飾ヌクレオチド”(または“ヌクレオチドアナログ”)はある修飾によって天然“ヌクレオチド”と異なるが、それでもなお、塩基もしくは塩基様の化合物、ペントフラノシル糖もしくはペントフラノシル糖様の化合物、ホスフェート部分もしくはホスフェート様の部分、またはその組合せからなる。たとえば、“標識”を“ヌクレオチド”の塩基部分に結合させることができ、それにより“修飾ヌクレオチド”が得られる。“ヌクレオチド”中の天然塩基をたとえば7−デアザプリンにより置き換えることもでき、それによっても“修飾ヌクレオチド”が得られる。用語“修飾ヌクレオチド”または“ヌクレオチドアナログ”は、本出願において互換性をもって用いられる。“修飾ヌクレオシド”(または“ヌクレオシドアナログ”)は、“修飾ヌクレオチド”(または“ヌクレオチドアナログ”)について上記に概説したように、ある修飾によって天然ヌクレオシドと異なる。
【0042】
BKウイルスターゲットをコードする核酸分子(たとえば、BKウイルスの選択的(alternative)部分をコードする核酸)を増幅する、修飾オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログを含めたオリゴヌクレオチドは、たとえばコンピュータープログラム、たとえばOLIGO(Molecular Biology Insights Inc.,コロラド州カスケード)を用いて設計することができる。増幅プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドを設計する際に重要な特徴には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:検出(たとえば、電気泳動による)を容易にするのに適したサイズの増幅生成物、プライマー対のメンバーについて類似する融解温度、および各プライマーの長さ(すなわち、プライマーは配列特異的にアニールして合成を開始するのに十分なほど長い必要があるが、オリゴヌクレオチド合成中に適合度(fidelity)が低減するほど長くはない)。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーは8〜50ヌクレオチドの長さ(たとえば、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50ヌクレオチドの長さ)である。
【0043】
さらに、プライマーのセットのほかに、本方法はBKウイルスの存在または非存在を検出するために1以上のプローブを使用できる。用語“プローブ”は、合成または生体により生成した核酸(DNAまたはRNA)を表わし、それらは設計または選択によって、特定の前決定された緊縮条件下でそれらを特異的に(すなわち、優先的に)“ターゲット核酸”に、本発明の場合にはBKウイルス(ターゲット)核酸に、ハイブリダイズさせることができる特異的ヌクレオチド配列を含む。“プローブ”は“検出プローブ”とも呼ぶこともでき、これはそれがターゲット核酸を検出することを意味する。
【0044】
ある態様において、記載したBKウイルスプローブを少なくとも1つの蛍光標識で標識することができる。一態様において、BKウイルスプローブをドナー蛍光部分、たとえば蛍光色素、および対応するアクセプター部分、たとえばクエンチャーで標識することができる。一態様において、プローブは蛍光部分を含むかまたはそれからなり、核酸配列はSEQ ID NO:3、8、および11を含むかまたはそれからなる。
【0045】
プローブとして用いるオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と同様な方法で実施できる。態様には、単一プローブまたは一対のプローブを増幅生成物の検出のために使用できる。その態様に応じて、プローブ(単数または複数)の使用は少なくとも1つの標識部分および/または少なくとも1つのクエンチャー部分を含むことができる。プライマーと同様に、プローブ類は通常は類似の融解温度をもち、各プローブの長さは配列特異的ハイブリダイゼーションが起きるのに十分でなければならないが、合成中に適合度が低減するほど長くはない。オリゴヌクレオチドプローブは、一般に15〜40(たとえば、16、18、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチドの長さである。
【0046】
構築体には、それぞれ1つのBKウイルスプライマーおよびプローブ核酸分子(たとえば、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、および11)を含有するベクターを含めることができる。構築体を、たとえば対照鋳型核酸分子として使用できる。使用するのに適したベクターは市販されており、および/または当技術分野でルーティンな組換え核酸技術による方法によって製造される。BKウイルス核酸分子は、たとえば化学合成、BKウイルスからの直接クローニング、または核酸増幅により得ることができる。
【0047】
本方法に使用するのに適した構築体は、一般にBKウイルス核酸分子(たとえば、SEQ ID NO:1〜11のうち1以上の配列を含む核酸分子)のほかに、目的とする構築体および/または形質転換体を選択するための選択マーカーをコードする配列(たとえば、抗生物質耐性遺伝子)、ならびに複製起点を含有する。ベクター系の選択は、通常は宿主細胞の選択、複製効率、選択性、誘導性、および回収の容易さを含めた幾つかの要因(これらに限定されない)に依存する。
【0048】
BKウイルス核酸分子を含有する構築体を宿主細胞において発現させることができる。本明細書中で用いる宿主細胞という用語には、原核細胞、ならびに真核細胞、たとえば酵母、植物および動物の細胞が含まれるものとする。原核細胞には、大腸菌(E. coli)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、枯草菌(Bacillus subtilis)を含めることができる。真核細胞宿主には、酵母、たとえばサッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)、分裂酵母(S. pombe)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、哺乳動物細胞、たとえばCOS細胞またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、昆虫細胞、ならびに植物細胞、たとえばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)およびタバコ(Nicotiana tabacum)が含まれる。当業者に一般的に知られているいずれかの手法を用いて、構築体を宿主細胞に導入することができる。たとえば、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、ヒートショック、リポフェクション、マイクロインジェクション、およびウイルス仲介核酸伝達が、核酸を宿主細胞に導入するための一般的方法である。さらに、裸のDNAを細胞に直接送達することができる(参照:たとえば、U.S. Patent No. 5,580,859および5,589,466)。
【0049】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
U.S. Patent No. 4,683,202、4,683,195、4,800,159、および4,965,188には、一般的なPCR手法が開示されている。PCRは、一般に選択した核酸鋳型(たとえば、DNAまたはRNA)に結合する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。ある態様に有用なプライマーには、記載したBKウイルス核酸配列内で核酸合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドが含まれる(たとえば、SEQ ID NO:1、2、4、5、6、7、9、および10)。プライマーは制限消化物から常法により精製でき、あるいはそれは合成により製造できる。プライマーは最大効率を得るために好ましくは一本鎖であるが、プライマーは二本鎖であってもよい。二本鎖プライマーはまず変性され、すなわち鎖を分離するために処理される。二本鎖核酸を変性させる方法の1つは加熱によるものである。
【0050】
鋳型核酸が二本鎖であれば、それをPCRに鋳型として使用できるにはその前に2つの鎖を分離する必要がある。鎖の分離は、物理的、化学的または酵素による手段を含めたいずれか適切な変性方法により達成できる。核酸鎖を分離する1方法は、その大半が変性する(たとえば、50%、60%、70%、80%、90%または95%より多くが変性する)まで核酸を加熱することを伴う。鋳型核酸を変性させるのに必要な加熱条件は、たとえば緩衝塩濃度ならびに変性される核酸の長さおよびヌクレオチド組成に依存するであろうが、一般的には約90℃から約105℃までの範囲で、その反応の特徴、たとえば温度および核酸の長さに応じた時間である。変性は一般に約30秒〜4分(たとえば、1分〜2分30秒、または1.5分)実施される。
【0051】
二本鎖鋳型核酸を熱によって変性させる場合、各プライマーがそれのターゲット配列にアニールするのを推進する温度にまで反応混合物を放冷する。アニーリングのための温度は、通常は約35℃から約65℃まで(たとえば、約40℃〜約60℃;約45℃〜約50℃)である。アニーリング時間は約10秒から約1分まで(たとえば、約20秒〜約50秒;約30秒〜約40秒)であってよい。次いで反応混合物をポリメラーゼの活性が増強または最適化される温度、すなわちアニールしたプライマーから伸長が起きて鋳型核酸に相補的な生成物が生成するのに十分な温度に調整する。その温度は、核酸鋳型にアニールしている各プライマーから伸長生成物を合成するのに十分でなくてはならないが、伸長生成物をそれの相補的鋳型から変性させるほど高くてはならない(たとえば、伸長のための温度は一般に約40℃から約80℃までの範囲(たとえば、約50℃〜約70℃;約60℃)である。伸長時間は約10秒から約5分まで(たとえば、約30秒〜約4分;約1分〜約3分;約1分30秒〜約分)であってよい。
【0052】
レトロウイルスまたはRNAウイルスのゲノムは、リボ核酸、すなわちRNAから構成されている。そのような場合、鋳型核酸であるRNAをまず酵素である逆転写酵素の作用により相補的DNA(cDNA)に転写しなければならない。逆転写酵素は、RNA鋳型およびそのRNAの3’末端に対して相補的な短いプライマーを使って第1鎖cDNAの合成を指令し、それを次いでポリメラーゼ連鎖反応のための鋳型として直接使用できる。
【0053】
PCRアッセイにはBKウイルス核酸、たとえばRNAまたはDNA(cDNA)を使用できる。鋳型核酸を精製する必要はない;それは、複雑な混合物の小画分、たとえばヒト細胞に内包されたBKウイルス核酸であってもよい。BKウイルス核酸分子を、ルーティン手法、たとえばDiagnostic Molecular Microbiology: Principles and Applications (Persing et al. (eds), 1993, American Society for Microbiology, Washington D.C.)に記載された手法により生体試料から抽出してもよい。核酸は多数の供給源のいずれか、たとえばプラスミド、あるいは細菌、酵母、ウイルス、細胞小器官、または高等生物、たとえば植物もしくは動物を含めた天然供給源から得ることができる。
【0054】
オリゴヌクレオチドプライマー(たとえば、SEQ ID NO:1、2、4、5、6、7、9、および10)を、プライマー伸長を誘発する反応条件下でPCR試薬と混和する。たとえば、鎖伸長反応物は一般に50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH8.3)、15mMのMgCl
2、0.001%(w/v)のゼラチン、0.5〜1.0μgの変性した鋳型DNA、50pmoleの各オリゴヌクレオチドプライマー、2.5UのTaqポリメラーゼ、および10%のDMSOを含有する。反応物は通常はそれぞれ150〜320μMのdATP、dCTP、dTTP、dGTP、またはその1以上のアナログを含有する。
【0055】
新たに合成された鎖は二本鎖分子を形成し、それを後続反応工程に使用できる。連鎖分離、アニーリング、および伸長の工程を、ターゲットBKウイルス核酸分子に対応する目的量の増幅生成物を製造するのに必要な回数、反復することができる。反応の律速因子は、反応物中に存在するプライマー、熱安定酵素、およびヌクレオシド三リン酸の量である。サイクリング工程(すなわち、変性、アニーリング、および伸長)を、好ましくは少なくとも1回反復する。検出に使用するためには、サイクリング工程の回数はたとえば試料の性質に依存するであろう。試料が複雑な核酸混合物であれば、ターゲット配列を検出に十分なほど増幅するためにはより多くのサイクリング工程が必要であろう。一般に、サイクリング工程を少なくとも約20回反復するが、40回、60回、または100回すら反復することができる。
【0056】
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
FRET技術(参照:たとえば、U.S. Patent No. 4,996,143、5,565,322、5,849,489、および6,162,603)は、ドナー蛍光部分と対応するアクセプター蛍光部分が互いに一定の距離以内に位置した際にそれら2つの蛍光部分間でエネルギー移動が起き、それを視覚化するか、あるいは他の形で検出および/または定量することができるという概念に基づく。ドナーが適切な波長の光線によって励起されると、ドナーは一般にアクセプターへエネルギーを移動させる。アクセプターは一般にその移動したエネルギーを異なる波長の光線の形で再放出する。特定の系においては、実質的に非蛍光性のドナー部分を含む生体分子により、非蛍光エネルギーをドナー部分とアクセプター部分の間で移動させることができる(参照:たとえば、US Patent No. 7,741,467)。
【0057】
一例において、オリゴヌクレオチドプローブはドナー蛍光部分(たとえば、HEX)および対応するクエンチャー(たとえば、BlackHole Quencher(商標) (BHQ)(たとえば、BHQ−2))を含むことができ、クエンチャーは蛍光性であってもなくてもよく、移動したエネルギーを光以外の形で散逸させる。プローブが無傷であれば、一般にドナー部分とアクセプター部分の間でエネルギー移動が起き、したがってドナー蛍光部分からの蛍光放出はアクセプター部分によって消光している。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長工程中に、増幅生成物に結合したプローブはたとえばTaqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性によって開裂し、したがってもはやドナー蛍光部分の蛍光放出が消光することはない。この目的のための代表的なプローブは、たとえばU.S. Patent No. 5,210,015、5,994,056、および6,171,785に記載されている。一般的に用いられるドナー-アクセプター対には、FAM−TAMRA対が含まれる。一般的に用いられるクエンチャーはDABCYLおよびTAMRAである。一般的に用いられるダーククエンチャー(dark quencher)には、BlackHole Quencher(商標) (BHQ)、たとえばBHQ2(Biosearch Technologies,Inc.,カリフォルニア州ノバート)、Iowa Black(商標)(Integrated DNA Tech.,Inc.,アイオワ州コーラルビル)、BlackBerry(商標) Quencher 650(BBQ−650(Berry & Assoc.,ミシガン州デクスター)が含まれる。
【0058】
他の例において、それぞれ蛍光部分を含む2つのオリゴヌクレオチドプローブを、BKウイルスターゲット核酸配列に対するそれらのオリゴヌクレオチドプローブの相補性により決定される特定の位置で増幅生成物にハイブリダイズさせることができる。それらのオリゴヌクレオチドプローブが増幅生成物核酸に適切な位置でハイブリダイズすると、FRET信号が発生する。ハイブリダイゼーション温度は約35℃から約65℃の範囲で、約10秒〜約1分であってもよい。
【0059】
蛍光分析は、たとえば光子計数落射蛍光顕微鏡システム(photon counting epifluorescent microscope system)(適宜なダイクロイックミラー(dichroic mirror)、および特定範囲の蛍光発光をモニターするためのフィルターを収容)、光子計数光電子増倍管システム、または蛍光光度計を用いて実施することができる。エネルギー移動を開始するための、または発蛍光団の直接検出を可能にするための励起は、希望する範囲での励起のためにフィルター処理したアルゴンイオンレーザー、高強度水銀(Hg)アークランプ、キセノンランプ、光ファイバー光源、または他の高強度光源を用いて実施することができる。
【0060】
本明細書中でドナー部分および対応するアクセプター部分に関して用いる“対応する”は、ドナー蛍光部分の発光スペクトルとオーバーラップする吸光スペクトルをもつアクセプター蛍光部分またはダーククエンチャーを表わす。アクセプター蛍光部分の発光スペクトルの波長最大値は、ドナー蛍光部分の励起スペクトルの波長最大値より少なくとも100nm大きくなければならない。それによって、効果的な非放射エネルギー移動がそれらの間で生じることができる。
【0061】
蛍光ドナー部分および対応するアクセプター部分は、一般に下記のことが得られるように選択される:(a)高効率のフェルスター(Foerster)エネルギー移動;(b)大きな最終ストークス(Stokes)シフト(>100nm);(c)可能な限り可視スペクトルの赤部分(>600nm)内への発光のシフト;および(d)ドナー励起波長における励起により生じる水ラマン(Raman)蛍光発光より高い波長への発光のシフト。たとえば、レーザー線付近(たとえば、ヘリウム−カドミウム442nmまたはアルゴン488nm)にそれの励起最大をもち、高い吸光係数、高い量子収量、およびそれの蛍光発光と対応するアクセプター蛍光部分の励起スペクトルとの良好なオーバーラップをもつ、ドナー蛍光部分を選択できる。高い吸光係数、高い量子収量、それの励起とドナー蛍光部分の発光との良好なオーバーラップ、および可視スペクトルの赤部分(>600nm)における発光をもつ、対応するアクセプター蛍光部分を選択できる。
【0062】
FRET技術において種々のアクセプター蛍光部分と共に使用できる代表的なドナー蛍光部分には、下記のものが含まれる:フルオレセイン、ルシファーイエロー(Lucifer Yellow)、B−フィコエリトリン、9−アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4−アセトアミド−4’−イソチオ−シアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン、スクシンイミジル 1−ピレンブチレート、および4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸誘導体。代表的なアクセプター蛍光部分には、用いるドナー蛍光部分に応じて下記のものが含まれる:LC Red 640、LC Red 705、Cy5、Cy5.5、リサミン ローダミンBスルホニルクロリド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリスロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミン五酢酸、またはランタニドイオン(たとえば、ユーロピウムまたはテルビウム)の他のキレート。ドナー蛍光部分およびアクセプター蛍光部分は、たとえばMolecular Probes(オレゴン州ジャンクションシティー)またはSigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から入手できる。
【0063】
ドナーおよびアクセプター蛍光部分は、リンカーアームを介して適宜なプローブオリゴヌクレオチドに結合させることができる。リンカーアームはドナー蛍光部分とアクセプター蛍光部分の距離に影響を及ぼすであろうから、各リンカーアームの長さは重要である。リンカーアームの長さはヌクレオチド塩基から蛍光部分までの距離オングストローム(Å)である。一般に、リンカーアームは約10Åから約25Åまでである。リンカーアームはWO 84/03285に記載された種類のものであってもよい。WO 84/03285には、リンカーアームを特定のヌクレオチド塩基に結合させるための方法、および蛍光部分をリンカーアームに結合させるための方法も開示されている。
【0064】
アクセプター蛍光部分、たとえばLC Red 640を、アミノリンカー(たとえば、C6−アミノホスホルアミダイト:ABI(カリフォルニア州フォスターシティー)またはGlen Research(バージニア州スターリング)から入手できる)を含むオリゴヌクレオチドと結合させて、たとえばLC Red 640標識オリゴヌクレオチドを得ることができる。ドナー蛍光部分、たとえばフルオレセインをオリゴヌクレオチドにカップリングさせるためにしばしば用いられるリンカーには、チオ尿素リンカー(FITCから誘導されたもの、たとえばフルオレセイン−CPG類,Glen ResearchまたはChemGene(マサチューセッツ州アッシュランド)から)、アミドリンカー(フルオレセイン−NHS−エステルから誘導されたもの、たとえばCX−フルオレセイン−CPG,BioGenex(カリフォルニア州サン・ラモン)から)、またはオリゴヌクレオチド合成後にフルオレセイン−NHSエステルのカップリングを必要とする3’−アミノ−CPGが含まれる。
【0065】
BKウイルス増幅生成物(アンプリコン)の検出
本開示は、生体試料または非生体試料中のBKウイルスの存在または非存在を検出するための方法を提供する。提供する方法により、試料汚染、偽陰性、および偽陽性の問題が回避される。本方法には、1以上のBKウイルスプライマー対を用いて試料からのBKウイルスターゲット核酸分子の一部を増幅することを含む少なくとも1つのサイクリング工程、およびFRET検出工程を実施することが含まれる。多重サイクリング工程は、好ましくはサーモサイクラーで実施される。BKウイルスプライマーおよびプローブを用いてBKウイルスの存在を検出する方法を実施することができ、BKウイルスの検出は試料中にBKウイルスが存在することの指標となる。
【0066】
本明細書に記載するように、増幅生成物はFRET技術を利用する標識されたハイブリダイゼーションプローブを用いて検出できる。あるFRETフォーマットはTaqMan(登録商標)技術を用いて、増幅生成物の存在または非存在、したがってBKウイルスの存在または非存在を検出する。TaqMan(登録商標)技術は、たとえば1つの蛍光色素(たとえば、HEX)および蛍光性であってもなくてもよい1つのクエンチャー(たとえば、BHQ−2)で標識した、1つの一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを用いる。第1蛍光部分が適切な波長の光で励起されると、吸収されたエネルギーはFRETの原理に従って第2蛍光部分またはダーククエンチャーへ移動する。第2部分は一般にクエンチャー分子である。PCR反応のアニーリング工程中に、標識されたハイブリダイゼーションプローブはターゲットDNA(すなわち、増幅生成物)に結合し、後続の伸長期にたとえばTaqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により分解される。その結果、蛍光部分とクエンチャー部分は互いに空間的に離れた状態になる。その結果、第1蛍光部分がクエンチャーの非存在下で励起されると、第1蛍光部分からの蛍光発光を検出できる。たとえば、ABI PRISM(登録商標) 7700配列検出システム(Applied Biosystems)はTaqMan(登録商標)技術を用いており、試料中のBKウイルスの存在または非存在を検出するための本明細書に記載する方法を実施するのに適している。
【0067】
FRETと組み合わせたモレキュラービーコン(molecular beacon)も、リアルタイムPCR法を用いて増幅生成物の存在を検出するために使用できる。モレキュラービーコン技術は、第1蛍光部分および第2蛍光部分で標識されたハイブリダイゼーションプローブを用いる。第2蛍光部分は一般にクエンチャーであり、それらの蛍光標識は一般にプローブのそれぞれの末端に位置する。モレキュラービーコン技術は、二次構造(たとえば、ヘアピン)を形成できる配列をもつプローブオリゴヌクレオチドを用いる。プローブ内での二次構造形成の結果、プローブが溶解した状態では両方の蛍光部分が空間的に近接している。ターゲット核酸(すなわち、増幅生成物)にハイブリダイズした後にプローブの二次構造は崩壊し、蛍光部分が互いに離れた状態になり、それによって適切な波長の光で励起した後に第1蛍光部分の発光を検出できる。
【0068】
他の一般的フォーマットのFRET技術は、2つのハイブリダイゼーションプローブを用いる。各プローブを異なる蛍光部分で標識することができ、一般にターゲットDNA分子(たとえば、増幅生成物)において互いに近接してハイブリダイズするように設計する。ドナー蛍光部分、たとえばフルオレセインを、LightCycler(登録商標)機器の光源により470nmで励起する。FRETに際して、フルオレセインはそれのエネルギーをアクセプター蛍光部分、たとえばLightCycler(登録商標)−Red 640(LC Red 640)またはLightCycler(登録商標)−Red 705(LC Red 705)へ移動させる。次いでアクセプター蛍光部分はより長い波長の光を発生し、それがLightCycler(登録商標)機器の光検出システムにより検出される。効果的なFRETは、それらの蛍光部分が近接した位置にありかつドナー蛍光部分の発光スペクトルがアクセプター蛍光部分の吸光スペクトルとオーバーラップしている場合にのみ起きる可能性がある。発光信号の強度を、元のターゲットDNA分子の数(たとえば、BKウイルスゲノムの数)と相関させることができる。BKウイルスターゲット核酸の増幅が起きて増幅生成物が生成すれば、ハイブリダイゼーション工程の結果、プローブ対のメンバー間でのFRETに基づく検出可能な信号が生じる。
【0069】
一般に、FRETの存在は試料中にBKウイルスが存在することの指標となり、FRETの非存在は試料中にBKウイルスが存在しないことの指標となる。ただし、不適切な検体採集、輸送の遅れ、不適当な輸送条件、またはある種の採集スワブ(アルギン酸カルシウムまたはアルミニウムシャフト)の使用はすべて、試験結果の成功および/または精度に影響を及ぼす可能性がある条件である。
【0070】
本方法の実施に使用できる代表的な生体試料には、呼吸器検体、尿、糞便検体、血液検体、血漿、皮膚スワブ、鼻腔スワブ、創傷スワブ、血液培養物、皮膚、および軟組織感染体が含まれるが、これらに限定されない。生体試料の採集および貯蔵の方法は当業者に知られている。生体試料を処理して(たとえば、当技術分野で知られている核酸抽出法および/またはキットにより)BKウイルス核酸を放出させることができ、あるいは場合により生体試料をそのままPCR反応成分および適宜なオリゴヌクレオチドと接触させることができる。
【0071】
融解曲線分析は、サイクリングプロフィールに含めることができる追加工程である。融解曲線分析は、DNAが融解温度(Tm)と呼ばれる特徴的な温度で融解するという事実に基づく;それは、DNAデュプレックスの半分が分離して一本鎖になった温度と定義される。DNAの融解温度は、主にそれのヌクレオチド組成に依存する。たとえば、GおよびCヌクレオチドに富むDNA分子は、AおよびTヌクレオチドを多量に含むものより高いTmをもつ。信号が消失する温度を検出することにより、プローブの融解温度を決定できる。同様に、信号が発生する温度を検出することにより、プローブのアニーリング温度を決定できる。BKウイルス増幅生成物からのBKウイルスプローブの融解温度(単数または複数)により、試料中におけるBKウイルスの存在または非存在を確認できる。
【0072】
各サーモサイクラー操作内で、対照試料をイクリングさせることもできる。陽性対照試料は、たとえば対照プライマーおよび対照プローブを用いてターゲット核酸対照鋳型(記載するターゲット遺伝子の増幅生成物以外のもの)を増幅することができる。陽性対照試料は、たとえばターゲット核酸分子を含有するプラスミド構築体をも増幅することができる。そのようなプラスミド対照を、内部で(たとえば、試料内で)、または患者の試料と並行して操作される別個の試料内で、意図するターゲットの検出に用いたものと同じプライマーおよびプローブを用いて増幅させることができる。そのような対照は、増幅、ハイブリダイゼーション、および/またはFRET反応の成否の指標である。各サーモサイクラー操作は、たとえばターゲット鋳型DNAを欠如する陰性対照をも含むことができる。陰性対照により汚染を判断することができる。これによって、その系および試薬が偽陽性信号を生じないことが確認される。したがって、対照反応によって、たとえばプライマーが配列特異的にアニールして伸長を開始する能力、およびプローブが配列特異的にハイブリダイズしてFRETを起こさせる能力を容易に判定できる。
【0073】
ある態様において、本方法は汚染を避けるための工程を含む。たとえば、サーモサイクラー操作間での汚染を低減または排除するためにウラシル−DNAグリコシラーゼを用いる酵素法がU.S. Patent No. 5,035,996、5,683,896および5,945,313に記載されている。
【0074】
一般的なPCR法をFRET技術と組み合わせて本方法の実施に使用できる。一態様において、LightCycler(登録商標)機器を用いる。LightCycler(登録商標)技術に用いられるリアルタイムPCRが下記の特許出願に記載されている: WO 97/46707、WO 97/46714、およびWO 97/46712。
【0075】
LightCycler(登録商標)はPCワークステーションを用いて操作することができ、Windows NTオペレーティングシステムを利用できる。機械がキャピラリーを光学ユニット上に逐次配置するのに伴って、試料からの信号が得られる。ソフトウェアは蛍光信号をそれぞれの測定の直後にリアルタイムでディスプレイすることができる。蛍光取得時間は10〜100ミリ秒(msec)である。各サイクリング工程の後、蛍光−対−サイクルの定量的ディスプレイをすべての試料について連続的に更新することができる。作成されたデータをさらなる分析のために保存することができる。
【0076】
FRETに代わるものとして、二本鎖DNA結合色素、たとえば蛍光性のDNA結合色素(たとえば、SYBR(登録商標)グリーンまたはSYBR(登録商標)ゴールド(Molecular Probes))を用いて増幅生成物を検出することができる。そのような蛍光性のDNA結合色素は、二本鎖核酸と相互作用すると適切な波長の光で励起された後に蛍光信号を発生する。核酸インターカレーション色素のような二本鎖DNA結合色素も使用できる。二本鎖DNA結合色素を用いる場合、増幅生成物の存在を確認するために通常は融解曲線解析を実施する。
【0077】
他の核酸−または信号−増幅方法も使用できることを当業者は認識しているであろう。そのような方法の例には、限定ではなく、分枝DNA信号増幅、ループ仲介等温増幅(loop-mediated isothermal amplification)(LAMP)、核酸配列ベースの増幅(nucleic acid sequence-based amplification)(NASBA)、自立配列複製(self-sustained sequence replication)(3SR)、連鎖置換増幅(strand displacement amplification)(SDA)、またはスマート増幅プロセス バージョン2(smart amplification process version 2)(SMAP 2)が含まれる。
【0078】
本開示の態様は1以上の市販機器の構造によって制限されないと解釈される。
製品/キット
本開示の態様は、さらにBKウイルスを検出するための製品またはキットを提供する。製品には、BKウイルス遺伝子ターゲットを検出するために用いるプライマーおよびプローブを、適切なパッケージング材料と一緒に収容することができる。BKウイルスを検出するための代表的なプライマーおよびプローブは、BKウイルスターゲット核酸分子にハイブリダイズすることができる。さらに、キットには、DNAの固定化、ハイブリダイゼーション、および検出に必要な適切にパッケージングされた試薬および材料、たとえば固体支持体、緩衝液、酵素、およびDNA標準品も収容することができる。プライマーおよびプローブを設計する方法を本明細書に開示し、BKウイルスターゲット核酸分子を増幅する、およびそれらにハイブリダイズする、プライマーおよびプローブの代表例を提示する。
【0079】
製品にはプローブを標識するための1以上の蛍光部分も収容することができ、あるいはキットと共に供給されるプローブが標識されていてもよい。たとえば、製品にはBKウイルスプローブを標識するためのドナーおよび/またはアクセプター蛍光部分を収容することができる。適切なFRETドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分の例は前記に提示されている。
【0080】
製品には、BKウイルスプライマーおよびプローブを用いて試料中のBKウイルスを検出するための指示が施されたパッケージ挿入物またはパッケージラベルも収容することができる。製品にはさらに、本明細書に開示する方法を実施するための試薬(たとえば、緩衝液、ポリメラーゼ酵素、補因子、または汚染を防止するための薬剤)を収容することができる。そのような試薬は、本明細書に記載する市販機器の1つに特異的である可能性がある。
【0081】
本開示の態様は、試料中のBKウイルスを検出するためのプライマーのセットおよび1以上の検出可能なプローブをも提供する。
本開示の態様をさらに以下の例に記載する。
【実施例】
【0082】
以下の実施例および図面は、本発明の対象を理解するのを補助するために提示され、その真の範囲は特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく本発明を改変できると解釈される。
【0083】
BKウイルスゲノムのターゲット領域はBKウイルスゲノムのVP2領域であった。すべての核酸配列をアラインさせ、すべてのプライマーおよびプローブを、すべての既知BKウイルス分離株に対するそれらの予測包括性および他の特性について考慮および採点した。
【0084】
実施例1:リアルタイムBKウイルスPCRの特異度
BKウイルスゲノムDNA試料を4.0×10
5 BKウイルスゲノム/μlの濃度でシングルプレックス(singleplex)リアルタイムPCRアッセイに用いた。用いた試薬にはcobas(登録商標) 6800/8800ジェネリックPCRマスターミックスが含まれ、それはcobas(登録商標) 6800/8800に使用するための、TaqMan(登録商標)増幅および検出技術に使用するプロフィールおよび条件を備えている。マスターミックス中のオリゴヌクレオチドの最終濃度は0.10〜0.40μMの範囲であった。用いたcobas(登録商標) 6800/8800 PCRプロフィールを下記の表2に示す:
【0085】
【表2】
【0086】
リアルタイムPCRアッセイに用いた、BKウイルス特異的なオリゴヌクレオチドは、フォワードプライマーについてはSEQ ID NO:4、リバースプライマーについてはSEQ ID NO:5、プローブについてはSEQ ID NO:3であった。これらの例に用いたプローブはTaqMan(登録商標)プローブである。
【0087】
このリアルタイムBKウイルスアッセイの結果は、リアルタイムPCR増幅曲線を示す
図1に示される。さらに、BKウイルスに特異的であり、交差反応性が無いことを確認するために、他のウイルスに由来するゲノムDNAの存在下でリアルタイムPCR試験を実施した。
図2に示す結果は、BKウイルスプライマー(SEQ ID NO:4および5)およびプローブ(SEQ ID NO:3)がBKウイルスに特異的であり、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、単純ヘルペスウイルス−1(HSV−1)、HSV−2、またはサイトメガロウイルス(CMV)からの他のウイルス試料に由来するゲノムDNA(1×10
8コピー/μlで試験)と交差反応しないことを立証する。BKウイルス以外のゲノムDNA試料については信号がみられなかった。
【0088】
よって、これらの結果は、リアルタイムPCRアッセイにおいてこれらのプライマーおよびプローブ(SEQ ID NO:3〜5)が特異的に増幅してBKウイルスの存在を検出することを立証する。
【0089】
実施例2:リアルタイムBKウイルスPCRの感度
BKウイルスゲノムDNA試料を、1×10
1ゲノム/μl、1×10
2ゲノム/μl、1×10
3ゲノム/μl、1×10
4ゲノム/μl、1×10
5ゲノム/μl、および4×10
5ゲノム/μlを含む希釈パネルで種々の濃度においてリアルタイムPCRアッセイに用いた。用いた試薬にはcobas(登録商標) 6800/8800ジェネリックPCRマスターミックスが含まれ、それはcobas(登録商標) 6800/8800に使用するための、TaqMan(登録商標)増幅および検出技術に使用するプロフィールおよび条件を備えている。マスターミックス中のオリゴヌクレオチドの最終濃度は0.10〜0.40μMの範囲であった。用いたcobas(登録商標) 6800/8800 PCRプロフィールを前記の表2に示す。
【0090】
このリアルタイムPCRアッセイに用いた、BKウイルスに特異的なプライマーは、実施例1に用いたものと異なっていた。この場合、オリゴヌクレオチドはフォワードプライマーについてはSEQ ID NO:1、リバースプライマーについてはSEQ ID NO:2、プローブについてはSEQ ID NO:3であった。これらの例に用いたプローブはTaqMan(登録商標)プローブである。
【0091】
このリアルタイムBKウイルスアッセイの結果は、希釈パネルのリアルタイムPCR増幅曲線を示す
図3に示される。これらの結果は、プライマー(SEQ ID NO:1および2)およびプローブ(SEQ ID NO:3)がBKウイルスを用量依存性様式で増幅および検出することを示す。
【0092】
よって、これらの結果は、リアルタイムPCRアッセイで増幅してBKウイルスの存在を検出する際のこれらのプライマーおよびプローブ(SEQ ID NO:1〜3)の感度を立証する。これらの結果は、プライマー(SEQ ID NO:1および2)およびプローブ(SEQ ID NO:3)が1×10
1ゲノム/μlに低下しても感度を達成できることを示す。
【0093】
実施例3:リアルタイムBKウイルスPCR(SEQ ID NO:6〜8)の感度
BKウイルスゲノムDNA試料を、1×10
1ゲノム/μl、1×10
2ゲノム/μl、および1×10
3ゲノム/μlを含む希釈パネルで種々の濃度においてリアルタイムPCRアッセイに用いた。用いた試薬にはcobas(登録商標) 6800/8800ジェネリックPCRマスターミックスが含まれ、それはcobas(登録商標) 6800/8800に使用するための、TaqMan(登録商標)増幅および検出技術に使用するプロフィールおよび条件を備えている。マスターミックス中のオリゴヌクレオチドの最終濃度は0.10〜0.40μMの範囲であった。用いたcobas(登録商標) 6800/8800 PCRプロフィールを前記の表2に示す。
【0094】
このリアルタイムPCRアッセイに用いた、BKウイルスに特異的なオリゴヌクレオチドは、フォワードプライマーについてはSEQ ID NO:6、リバースプライマーについてはSEQ ID NO:7、プローブについてはSEQ ID NO:8であった。これらのオリゴヌクレオチドは、BKウイルスゲノムのスモールt−抗原領域をターゲティングする。これらの例に用いたプローブはTaqMan(登録商標)プローブである。
【0095】
このリアルタイムBKウイルスアッセイの結果は、希釈パネルのリアルタイムPCR増幅曲線を示す
図4に示される。これらの結果は、プライマー(SEQ ID NO:6および7)およびプローブ(SEQ ID NO:8)がBKウイルスを用量依存性様式で増幅および検出することを示す。
【0096】
よって、これらの結果は、リアルタイムPCRアッセイで増幅してBKウイルスの存在を検出する際のこれらのプライマーおよびプローブ(SEQ ID NO:6〜8)の感度を立証する。これらの結果は、プライマー(SEQ ID NO:6および7)およびプローブ(SEQ ID NO:8)が1×10
1ゲノム/μlに低下しても感度を達成できることを示す。
【0097】
実施例4:リアルタイムBKウイルスPCR(SEQ ID NO:9〜11)の感度
BKウイルスゲノムDNA試料を、1×10
1ゲノム/μl、1×10
2ゲノム/μl、および1×10
3ゲノム/μlを含む希釈パネルで種々の濃度においてリアルタイムPCRアッセイに用いた。用いた試薬にはcobas(登録商標) 6800/8800ジェネリックPCRマスターミックスが含まれ、それはcobas(登録商標) 6800/8800に使用するための、TaqMan(登録商標)増幅および検出技術に使用するプロフィールおよび条件を備えている。マスターミックス中のオリゴヌクレオチドの最終濃度は0.10〜0.40μMの範囲であった。用いたcobas(登録商標) 6800/8800 PCRプロフィールを前記の表2に示す。
【0098】
このリアルタイムPCRアッセイに用いた、BKウイルスに特異的なオリゴヌクレオチドは、フォワードプライマーについてはSEQ ID NO:9、リバースプライマーについてはSEQ ID NO:10、プローブについてはSEQ ID NO:11であった。これらのオリゴヌクレオチドは、BKウイルスゲノムのスモールt−抗原領域をターゲティングする。これらの例に用いたプローブはTaqMan(登録商標)プローブである。
【0099】
このリアルタイムBKウイルスアッセイの結果は、希釈パネルのリアルタイムPCR増幅曲線を示す
図5に示される。これらの結果は、プライマー(SEQ ID NO:9および10)およびプローブ(SEQ ID NO:11)がBKウイルスを用量依存性様式で増幅および検出することを示す。
【0100】
実施例5:二重ターゲット マルチプレックス リアルタイムBKウイルスPCR(SEQ ID NO:3〜5およびSEQ ID NO:6〜8)
オリゴヌクレオチドをマルチプレックス リアルタイムPCRアッセイで試験し、それにより2つのターゲット(すなわち、“二重ターゲット”)を試験した(すなわち、VP2およびスモールt−抗原)。この試験において、BKウイルス標準品をExact Diagnostics BKV Verification Panel(Exact Diagnostics(EDX),カタログ番号BKVP100)から入手した。EDX BKV Verification Panelは多数の分子アッセイに有用な基準を、BKウイルスについての1
st WHO International Standardに対して較正したものである。EDX BKV Verification Panelには無傷全ウイルスが含まれ、ポリオーマウイルス属BKウイルスDNAの存在を判定する(定量および定性)ために用いられる。これらの標準品を陰性ヒト血漿中に配合し、検体希釈液中へスパイクし、cobas(登録商標) 6800/8800試料調製ワークフローを用いて抽出した。溶出液をLightCycler(登録商標) 480 Instrument II上で走行させ、二重ターゲットマスターミックスで試験した。BKウイルス標準品は0.2IU/反応(rxn)から2×10
4IU/反応(rxn)までの範囲の濃度であった。
【0101】
このマルチプレックス リアルタイムPCRアッセイに用いた、BKウイルスに特異的なオリゴヌクレオチドは、VP2領域をターゲティングする1セットのオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:3〜5)およびスモールt−抗原をターゲティングする1セットのオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:6〜8)であった。これらの例に用いたプローブはTaqMan(登録商標)プローブである。
【0102】
このリアルタイムBKウイルスアッセイの結果は、希釈パネルのリアルタイムPCR増幅曲線を示す
図6に示される。これらの結果は、2セットのオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:3〜5およびSEQ ID NO:6〜8)がマルチプレックス設定において用量依存性様式でBKウイルスを増幅および検出できることを示す。
【0103】
実施例6:二重ターゲット マルチプレックス リアルタイムBKウイルスPCR(SEQ ID NO:3〜5およびSEQ ID NO:9〜11)
オリゴヌクレオチドをマルチプレックス リアルタイムPCRアッセイで試験し、それにより2つのターゲット(すなわち、“二重ターゲット”)を試験した(すなわち、VP2およびスモールt−抗原)。この試験において、BKウイルス標準品をExact Diagnostics BKV Verification Panel(Exact Diagnostics(EDX),カタログ番号BKVP100)から入手した。EDX BKV Verification Panelは多数の分子アッセイに有用な基準を、BKウイルスについての1
st WHO International Standardに対して較正したものである。EDX BKV Verification Panelには無傷全ウイルスが含まれ、ポリオーマウイルス属BKウイルスDNAの存在を判定する(定量および定性)ために用いられる。これらの標準品を陰性ヒト血漿中に配合し、検体希釈液中へスパイクし、cobas(登録商標) 6800/8800試料調製ワークフローを用いて抽出した。溶出液をLightCycler(登録商標) 480 Instrument II上で走行させ、二重ターゲットマスターミックスで試験した。BKウイルス標準品は0.2IU/rxnから2×10
4IU/rxnまでの範囲の濃度であった。
【0104】
このマルチプレックス リアルタイムPCRアッセイに用いた、BKウイルスに特異的なオリゴヌクレオチドは、VP2領域をターゲティングする1セットのオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:3〜5)およびスモールt−抗原をターゲティングする1セットのオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:9〜11)であった。これらの例に用いたプローブはTaqMan(登録商標)プローブである。
【0105】
このリアルタイムBKウイルスアッセイの結果は、希釈パネルのリアルタイムPCR増幅曲線を示す
図7に示される。これらの結果は、2セットのオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:3〜5およびSEQ ID NO:9〜11)がマルチプレックス設定において用量依存性様式でBKウイルスを増幅および検出できることを示す。
【0106】
以上の本発明は明確化および理解の目的で、ある程度詳細に記載されているが、この開示内容を読むことによって本発明の範囲から逸脱することなく形式および詳細事項の種々の変更をなしうることが当業者には明らかであろう。たとえば、前記のすべての手法および詳細装置を種々の組合せで使用できる。