【文献】
Natalia B. Shustova et al.,Turn-On Fluorescence in Tetraphenylethylene-Based Metal-Organic Frameworks: an Alternative to Aggregation-Induced Emission,Journal of the American Chemical Society,2011年11月10日,Vol.133/Iss.50,PP.20126-20129
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アミン化合物と共存することにより凝集して蛍光特性が変化する凝集蛍光体及び溶媒を含む組成物は、保持媒体に保持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のアミン化合物検知マーカー。
【背景技術】
【0002】
我々の生活している自然環境の中では、人工的あるいは自然発生的に人体の健康面に影響を与える化合物がさまざまに存在する。人工的なものは、工業製品の製造過程で発生する場合や製品そのものの中に含まれる場合があり、また自然発生的なものは、動植物そのものから発生する場合や細菌などの菌類、微生物などの増殖過程において発生する場合がある。当然、これらに対して量的な制限を設ける措置が取られる。
【0003】
このような人体の健康面に影響を与える化合物にアミン化合物がある。例えばゴム製品におけるN−ニトロソアミン類は、ゴム製造時に添加される加硫促進剤が分解して生成する第二級アミンの一部が環境中、生体中あるいは製造時に使用される亜硝酸塩などの窒素酸化物と反応することにより生成する。N−ニトロソアミン類は、発がん性物質に含まれるものがあり、欧州では哺乳用乳首およびおしゃぶりからのN−ニトロソアミン類溶出量を規定している。
【0004】
また、樹脂製品におけるメラミンは、メラミン樹脂の原料であり、欧州では樹脂製品からのメラミン溶出量を規定している。また、トリエチルアミンおよびトリブチルアミンは、ポリカーボネート製造時に使用される触媒であり、食品衛生法ではポリカーボネート製品中のアミン類含有量を規定している。
【0005】
これらの他にも例えば水質の汚染に関係する無機窒素NH
3-N(アンモニア性窒素)、NO
2-N(亜硝酸性窒素)、NO
3-N(硝酸性窒素)、あるいは有機窒素、タンパク質、アミノ酸、ポリペプチドなどの動物性組織成分とそれらの分解過程に含まれる尿素窒素などや染料などの色素成分から分解されて生じる発がん性のある芳香族アミンなどもある。
【0006】
アミン化合物は、様々な場面で分析対象となり得る化合物であり、その中でも食品中に発生するアミン化合物は、食品の鮮度指標になり得る可能性があり、簡便な検出方法が望まれる化合物でもある。
【0007】
このような食品中に発生するアミン化合物を簡易的、且つ迅速に検出する方法としては、凝集蛍光体を用いる方法が知られている。この方法は、凝集蛍光体である1,2−ジ(4−カルボキシフェニル)−1,2−ジフェニルエテンに、アミン化合物を溶液中で接触させ、これらの相互作用による蛍光強度の増大をもってアミン化合物を検出するというものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係るアミン化合物検知マーカー(以下、単に「検知マーカー」とも称する。)は、検体の抽出液にアミン化合物と共存することにより凝集して蛍光特性が変化する凝集蛍光体及び溶媒を含む組成物を接触させて、上記検体の抽出液に含まれるアミン化合物を検知するものである。上記凝集蛍光体は、下記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物である。
【0017】
本実施形態に係るアミン化合物検知マーカーによれば、簡便かつ高感度にアミン化合物を検知することができる。このため、食品腐敗により発生する生体アミンを検知することで食品の鮮度あるいは食品の腐敗状態を確認(判定)するマーカーとして有用である。特に、本実施形態に係るアミン化合物検知マーカーは、ヒスタミンに対する感度に優れているため、例えばヒスタミンが多く産生される鮮魚の鮮度確認などに効果を発揮する。
【0018】
(生体アミン)
一般に、食品を放置しておくと、時間の経過とともに、匂い、外観、テクスチャー、味などに何らかの変化を生じ、ついには食用に適さなくなる。このような食品の悪変を劣化、変敗、あるいは変質と称し、通俗的には“たべものが腐る”という。食品の劣化は、微生物原因のほか、昆虫、自己消化、化学的原因(脂質の酸化、褐変)あるいは物理的原因(傷、つぶれなどの損傷)によっても起こるが、微生物(腐敗細菌)の増殖によって変質し、食べられなくなる場合が多く、これを広義の腐敗という。
【0019】
食品の蛋白質が微生物の作用を受けて分解されて有害物質や悪臭を生じる過程を腐敗、これに対して炭水化物や油脂が微生物の作用を受けて分解して、風味が悪くなり食用に適さない状態を変敗もしくは変質と区別することもある。そして、腐敗臭の成分の主なものはアンモニア、トリメチルアミン等の各種の生体アミンと呼ばれるアミン成分である。
【0020】
このため、肉や魚のような蛋白質に富んだ食品の腐敗の程度を知るために、この生体を定量することは有用である。生体アミンの定量分析方法としては、液体高速クロマトグラフィーなどによる検出が一般的であるが、試料の複雑な前処理や測定時間など判定に時間を要し、コストもかかる。
【0021】
また、食品中の窒素化合物は、主に蛋白質であり、微生物の酵素や食品の酵素によって加水分解されてポリペプチド、簡単なペプチドあるいはアミノ酸になる。そして、アミノ酸が、脱アミノ反応、トランスアミネーション、脱炭酸反応などにより分解されて、生体アミンが生成する。
【0022】
アミノ酸から生成する生体アミンとしては、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、スペルミジン、スペルミン、ヒスタミン、トリプタミンなどが挙げられる。
【0023】
(凝集蛍光体)
本実施形態に係る凝集蛍光体は、下記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物である。
【0025】
上記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物は、溶媒に溶解した状態では紫外線などの励起光を照射しても蛍光を発しないが、凝集あるいは結晶析出した状態では励起光を照射すると蛍光を発するという特性を有する。これは、上記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物のカルボキシル基がアミン化合物との水素結合や静電相互作用(以下、「反応」とも称する。)によって溶液中での溶解性が低下し凝集あるいは結晶析出することで、蛍光スペクトル、励起スペクトルの形状や強度、蛍光寿命などの蛍光特性が変化するためである。上記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物は、アミン化合物との凝集反応性に優れ、アミン化合物を高感度に検知することができる。
【0026】
本実施形態では、上記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物と溶媒を含む組成物(蛍光液)において、未反応の上記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物が凝集、析出しない濃度、即ち、飽和にならない濃度となるよう調製される。
【0027】
(溶媒)
本実施形態に係る溶媒は、凝集蛍光体を溶解することができるもので、且つ、アミン成分(アミン化合物)を溶解することができるものであれば特に制限されないが、検出したいアミン成分が容易に溶解する溶媒を選択するのが好ましい。また、後述するラベル形態の検知マーカーとする場合は、雰囲気下において、ある一定期間中に揮発減量しない溶媒であることが好ましい。また、このような形態の検知マーカーを食品に添付あるいは食品の近傍に設置する場合には、さらに人体に対して安全性が高い溶媒を選択することが好ましい。
【0028】
このような溶媒としては、沸点が高く毒性の少ないグリコール系溶媒を挙げることができる。具体的には、例えばポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル等のエチレングリコール系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶媒などを挙げることができる。これらの中でも、両末端がアルキル基を有するジアルキルエチレングリコール系溶媒が特にアミン成分との反応性が高いため、好ましい。これらの溶媒は、2種以上を割合を変えて混合するなどして使用することができる。
【0029】
これらの市販品としては、例えばハイモールPM、ハイソルブMPM、ハイソルブBTM、ハイソルブBDB、ハイソルブMTEM、ハイソルブMDM、ハイソルブMP、ハイソルブBDM(いずれも東邦化学工業社製)などを挙げることができる。
【0030】
食品などの検体からアミン成分を抽出する際に用いる抽出溶媒は、アミン成分が容易に溶解するものであれば特に制限されず、上記した溶媒の他、純水などを使用してもよい。もっとも、凝集蛍光体の凝集形態は溶媒種により変化することから、抽出溶媒として蛍光液に用いる溶媒と異なる溶媒を用いた場合、用いる溶媒によっては凝集蛍光体が凝集する際に凝集蛍光体の凝集形態が変わりアミン成分に対する感度が低下する虞がある。このため、抽出溶媒には蛍光液に用いる溶媒と同一の溶媒を用いるのが望ましい。
蛍光液に用いる溶媒と異なる抽出溶媒を用いる場合は、できるだけ抽出した検液量を少なくすることが望ましく、全体量(反応液量)に対して3重量%以下にするとよい。
【0031】
検知方法としては、食品からアミン成分を抽出した抽出液(検液)に蛍光液を添加し、得られた反応液の蛍光状態を観察する。具体的には、先ず、対象とする食品をホモジナイズした後、溶媒を加え、超音波処理などをすることにより、食品中に含まれるアミン成分を抽出した抽出液を得る。次に、得られた抽出液の上澄み液をディスポシリンジやフィルタなどを用いて濾過を行うことで検液を得る。
【0032】
得られた検液に、凝集蛍光体が溶解した蛍光液、必要に応じて希釈溶媒を加え、凝集蛍光体の濃度が10μM〜100μMの範囲となる反応液を調製する。凝集蛍光体の濃度が10μMより薄くなると、得られる蛍光強度の絶対量が低くアミン成分検出の判別が難しくなる。一方、100μMより濃くなると、生じる凝集体の大きさが大きくなりすぎて逆に蛍光強度の低下が生じる。より好ましくは、25μM〜50μMの範囲である。
得られた反応液の蛍光状態を蛍光観察手段によって観察しアミン成分を検知する。
【0033】
また、上記の方法の他、凝集蛍光体を溶媒に溶解した蛍光液に、食品からアミン成分を抽出した抽出液(検液)を添加し、得られた反応液の蛍光状態を観察する方法などを挙げることができる。
【0034】
本実施形態に係る検知マーカーの蛍光観察手段としては、反応液に対して紫外線光源部による紫外光(UV光)を照射し、反応液が発した蛍光を発光検出部により確認することで、食品鮮度など検体の状態を判定する。ここで発光検出部とは、肉眼による目視、デジタルカメラなどの画像化デバイスを言う。
【0035】
発光検出部として肉眼による目視で判定する場合は、できるだけ可視光下を避けた暗闇中の方が好ましい。また、蛍光光度計を用いることで、より精度の高い判定が可能となる。さらに、デジタルカメラなどのCCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーを介して画像化されたもの(画像パターン)を確認することで、より精度の高い判定が可能となる。
【0036】
このようなデジタルカメラなどの電子処理された画像は、微弱な蛍光画像をより大きなコントラストを持った画像に変換することが可能で、微妙な蛍光強度の差などを判別したい場合、すなわちアミン化合物量の僅かな違いを判別する場合に、より有効な方法となる。さらに、カメラ付きのスマートフォン等に画像処理による比色機能を持たせることで、自動判別機能を付加した鮮度判定が可能になる。
【0037】
また、本実施形態に係るアミン化合物検知マーカーは、凝集蛍光体を溶解した蛍光液を保持媒体に保持したシート状のラベル形態にして使用することもできる。
【0038】
本実施形態に係る保持媒体としては、蛍光液を保持できるものであれば特に制限されないが、蛍光液の保持性を考慮すると、空隙率が一定以上あるものが好ましく、例えば多孔質基板、網目(メッシュ)構造体などを挙げることができる。このような保持媒体としては、例えばセルロース繊維、紙、布、スポンジなどを挙げることができる。
【0039】
また、ガラス繊維で加工されてなるフィルタを使用してもよい。ガラス繊維で加工されてなるフィルタは、ガラス繊維の線径、親水疎水処理の違いやバインダーの有無など、さまざまな種類が使用可能である。その中でも有機バインダーとしてアクリル樹脂を含むガラス繊維濾紙が好ましい。
【0040】
本実施形態に係る検知マーカーは、必要に応じて、保持媒体を支持する基材を使用してもよい。使用される基材は、凝集蛍光体を溶解する溶媒に対する耐溶剤性を有するものであり、また、基材自体が蛍光を発しないものを選択することが好ましく、凝集蛍光体が蛍光を発する際の蛍光波長と近似しない材質のものであれば特に限定されない。
【0041】
このような基材としては、例えばテフロン(登録商標)シート、ポリイミドシート、ポリエステルフィルム、ポリアセタールシート、ナイロンシート、ポリカーボネートシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンシート、PETフィルム、塩化ビニルシートなどのプラスチックシート、ガラスプレート等を挙げることができる。
【0042】
図1は、ラベル形態とした検知マーカーの一例を示す図である。
図1(a)に示すように、ラベル形態とした検知マーカー10は、シート状の基材1と、基材1上に支持された保持媒体2を備えている。保持媒体2には、凝集蛍光体が溶媒に溶解した蛍光液3が含浸されている。言い換えると、検知マーカー10は、蛍光液3を保持した保持媒体層と、この保持媒体層を支持する基材層を備える。
【0043】
このようなラベル形態とした検知マーカーを用いた検知方法としては、
図1(b)に示すように、蛍光液3が含浸している保持媒体2に検液XをピペットPにより滴下して、蛍光液3の蛍光状態を観察する。具体的には、先ず、対象とする食品をホモジナイズした後、溶媒を加え、超音波処理などをすることにより、食品中に含まれるアミン成分を抽出した抽出液を得る。次に、得られた抽出液の上澄み液をディスポシリンジやフィルタなどを用いて濾過を行うことで検液を得る。得られた検液Xの一部を、ピペットPを用いて検知マーカーの保持媒体2に滴下し、蛍光液3の蛍光状態を蛍光観察手段によって観察しアミン成分を検知する。
【0044】
また、上記の方法に加え、蛍光液3が含浸している保持媒体2を検知したい食材に直接貼り付ける、あるいは、食材の一部をサンプリングして蛍光液3が含浸している保持媒体2に接触させて蛍光液3の蛍光状態を蛍光観察手段により観察する方法などを挙げることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0046】
(評価試験1)
本実施形態に係る凝集蛍光体である上記式(1)で表されるテトラアリールエテン化合物(以下、「TPE−COOH4」と称す。)を実施例、下記に示す凝集蛍光体TPE−COOH2及びTPE−EG2−COOH2を比較例とし、アミン成分との反応性を以下の手順に従って評価した。
【0047】
【化4】
【0048】
先ず、特許文献1を参考にして合成したTPE−COOH4、TPE−COOH2及びTPE−EG2−COOH2について、それぞれ溶媒としてポリエチレングリコールジメチルエーテル(ハイソルブMPM、東邦化学工業製)を用い、凝集蛍光体の濃度(重量モル濃度)が25μMとなる蛍光液を調製した。
【0049】
次に、調製した蛍光液をそれぞれ6つに分割し、アミン成分としてヒスタミンとスペルミジンを用いて、それぞれ50μM、100μM及び200μMとなるよう混合した。その後、アミン成分を混合した蛍光液に対し、分光放射輝度計CS-1000(ミノルタ社製)を用いて蛍光強度を測定した。評価結果を
図2に示す。
【0050】
図2は、ヒスタミン及びスペルミジンの各濃度における各蛍光液の蛍光強度を示したものである。なお、横軸はヒスタミン及びスペルミジンの濃度(μM)、縦軸は蛍光液の蛍光強度(cd/m
2)である。
【0051】
図2に示すように、TPE−COOH4の蛍光強度は、ヒスタミン及びスペルミジンの何れの濃度においてもTPE−COOH2及びTPE−EG2−COOH2に比べて優れていることがわかる。また、TPE−COOH4の蛍光強度は、ヒスタミン及びスペルミジンの濃度の増加に伴って増大しているのに対し、TPE−COOH2及びTPE−EG2−COOH2ではほとんど変化していないことが分かる。
【0052】
また、特にヒスタミンに対しては、TPE−COOH2及びTPE−EG2−COOH2がほとんど蛍光強度を示していないのに対して、TPE−COOH4は優れた蛍光強度を示しており、ヒスタミンに対し優れた反応特性があることが分かる。
【0053】
(評価試験2)
市販されている鮮魚(さば)を用いた評価試験を以下の手順に従って行った。
【0054】
先ず、冷蔵保存期間を1日とした鮮魚(さば)の白身部分を、ホモジナイズした後、純水を加え、超音波処理を10分間行なった。その後、上澄み液をろ過し検液とした。ろ過にはディスポシリンジを使用した。冷蔵保存期間を4日、6日及び7日とした鮮魚(さば)の白身部分についても、同様の手順により検液を得た。
【0055】
次に、冷蔵保存期間1日、4日、6日及び7日とした各々の検液に、希釈溶媒、TPE−COOH4を含む蛍光液を加え、TPE−COOH4の濃度が25μMとなる反応液を調製した。希釈溶媒及び蛍光液に用いた溶媒には、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(ハイソルブMPM、東邦化学工業製)を用いた。得られた反応液について分光放射輝度計CS-1000(ミノルタ社製)を用いて蛍光強度を評価した。評価結果を
図3に示す。
【0056】
また、比較例として、TPE−COOH4を含む蛍光液に代えてTPE−COOH2を含む蛍光液としたこと以外は、上記と同様の手順で鮮魚(さば)白身部分の冷蔵保存期間を1日、4日、6日及び7日とした各々の反応液を調製し、各々の反応液の蛍光強度を評価した。評価結果を
図3に示す。
【0057】
図3は、鮮魚(さば)の各冷蔵保存期間における各反応液の蛍光強度を示したものである。なお、横軸は鮮魚の冷蔵保存期間(日数)、縦軸は反応液の蛍光強度(cd/m
2)である。また、図中△は、鮮魚(さば)の各冷蔵保存期間におけるチェックカラーヒスタミン(キッコーマン社製)により測定したヒスタミン濃度(ppm)である。
【0058】
図3に示すように、凝集蛍光体としてTPE−COOH2を用いた場合には、鮮魚(さば)の経時保存において発生するアミン成分に対して蛍光強度に殆ど変化がない。一方、TPE−COOH4を用いた場合では、冷蔵保存期間の経過により蛍光強度が変化しており、アミン成分に対する反応性に優れていることが分かる。また、各冷蔵保存期間におけるTPE−COOH4の蛍光強度は、チェックカラーヒスタミン(キッコーマン社製)によるヒスタミン濃度と相関関係が確認でき、アミン成分の検出方法として有効であることが分かる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。