特許第6859059号(P6859059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6859059リチウムイオン二次電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859059
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20210405BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20210405BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20210405BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20210405BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M2/26 A
   H01M10/052
   H01M2/22 E
   H01M4/70 A
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-194459(P2016-194459)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-69207(P2017-69207A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2019年9月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-195354(P2015-195354)
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】松島 和司
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−027602(JP,A)
【文献】 特開2011−077025(JP,A)
【文献】 特開2008−311011(JP,A)
【文献】 特開2002−216740(JP,A)
【文献】 特開2011−048967(JP,A)
【文献】 特開2007−087842(JP,A)
【文献】 特開2015−118772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/00−4/62
H01M 50/50−50/598
H01M 4/64−4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体の表面に活物質未塗布部を残して活物質が塗布されて電極活物質層が形成されてなる正極と負極とを絶縁体を介して交互に積層してなる電極積層体を備えたリチウムイオン二次電池であって、
前記正極と負極からなる電極は、
前記活物質未塗布部が、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に位置し、かつ平面視で前記長さ方向に直交する幅方向の一部に設けられ、
前記活物質未塗布部が端子用タブをなし、
前記集電体は、前記活物質未塗布部と、該活物質未塗布部の前記幅方向の両側に位置する活物質塗布部と、の間の境界線に沿って切断部が形成され、前記切断部によって切り出された前記活物質未塗布部が端子用タブをなすことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記活物質未塗布部が、前記長さ方向の両端に位置することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記端子用タブに、更に延長用タブが重なった状態で接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記活物質未塗布部は、平面視で前記幅方向の中央部分に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記活物質未塗布部は、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に位置し、
前記集電体における前記長さ方向の他端側には、前記幅方向の一部に切欠き凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記切欠き凹部は、前記幅方向の中央部分に形成されていることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
前記集電体における前記長さ方向の一端側には、前記活物質未塗布部と、前記集電体を切り欠いた切欠き凹部とが前記幅方向に間隔をあけて形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項8】
集電体の表面に活物質未塗布部を残して活物質が塗布されて電極活物質層が形成されてなる正極と負極とを絶縁体を介して交互に積層してなる電極積層体を備えたリチウムイオン二次電池であって、
前記正極と負極からなる電極のうち一方の電極は、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に位置し、平面視で前記長さ方向に直交する幅方向の一部に前記活物質未塗布部が設けられ、
他方の電極は、前記一端側に隣り合う前記幅方向の一端縁に位置し、平面視で前記長さ方向の一部に前記活物質未塗布部が設けられ、
前記活物質未塗布部が端子用タブをなし、
前記一方の電極は、前記集電体における前記一端側に隣り合う前記幅方向の一端縁に前記集電体を切り欠いた切欠き凹部が形成され、
前記他方の電極は、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に前記集電体を切り欠いた切欠き凹部が形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項9】
請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池が複数接続されており、前記正極と負極のうちいずれか一方の第1電極の前記切欠き凹部は、当該第1電極に対して積層される前記正極と負極のうち他方の第2電極の前記端子用タブに重なる領域に形成され、
積層方向に重なる前記第1電極の前記端子用タブ同士、及び前記第2電極の前記端子用タブ同士がそれぞれ接続されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項10】
積層される前記電極に形成される電極活物質層の前記長さ方向の長さ寸法は、前記電極積層体を構成する全ての電極で一致していることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項11】
集電体の表面に活物質未塗布部を残して活物質が塗布されて電極活物質層が形成されてなる正極と負極とを絶縁体を介して交互に積層してなる電極積層体を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側の位置で、かつ平面視で前記長さ方向に直交する幅方向の中央部分に活物質未塗布部を残した状態で集電体の表面に活物質を塗布する工程と、
前記集電体の前記長さ方向の他端側において、前記幅方向の中央部分に切欠き凹部を形成する工程と、
前記集電体において、前記活物質未塗布部と、該活物質未塗布部の前記幅方向で両側に位置する活物質塗布部と、の間の境界線に沿って切断部を形成し、該切断部によって切り出された前記活物質未塗布部を端子用タブとして形成する工程と、
積層方向に重なる前記正極と負極のうちいずれか一方の第1電極の前記端子用タブ同士、及び前記第1電極に対して積層される前記正極と負極のうち他方の第2電極の前記端子用タブ同士をそれぞれ接続する工程と、
を有し、
前記第1電極の前記切欠き凹部は、前記第2電極の前記端子用タブに重なる領域に形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池は、鉛蓄電池やニッケル水素電池に比べてエネルギー密度及び起電力が高いという特徴を有するため、小型化及び軽量化が要求される各種の携帯機器やノートパソコン等の電源として広く使用されている。リチウムイオン二次電池は、通常、正極活物質が正極集電体に塗布された正極板と、負極活物質が負極集電体に塗布された負極板とを、これらの間にセパレータ及び電解質を介装させて積層し、正極板、セパレータ及び負極板を積層させた積層体を外装体内に密封することで製造されている(例えば、特許文献1参照)。この際、電解質としては、液体又は固体の電解質の他、ゲル状の電解質が用いられている。
【0003】
そして、図9に示すように、リチウムイオン二次電池100では、正極および負極の電極から電気を取り出すために、集電体101の一方向に延びる長さ方向の一端には活物質塗布部102のように活物質が塗布されていない活物質未塗布部103が形成され、その活物質未塗布部103に端子用タブ104を集電体101から突出させるように溶着させて設けられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−88394号公報
【特許文献2】国際公開第2012/127563号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示されるような積層型構造のリチウムイオン二次電池では、以下のような問題があった。
すなわち、図9に示すリチウム二次電池では、活物質塗布部は、二次電池にした際に電池の容量に寄与する部分となるが、端子用タブの溶着が可能な面積を確保した活物質未塗布部を設けることで、セルサイズよりも電極の有効範囲が小さくなってしまう。つまり、活物質未塗布部の領域だけ活物質塗布部の割合が小さくなって体積エネルギー密度が小さくなり、電極としての有効範囲が狭くなることから、この点で改善の余地があった。
【0006】
なお、リチウムイオン二次電池は限られたスペースの中で設置される採用される場合も多く、電池全体の大きさ(面積)には制限がある。そのため、活物質塗布部の面積を大きくして、活物質未塗布部の面積を狭くすることで体積エネルギー密度を増大することが実現できるが、端子用タブの取り付けが困難になり、溶着部分の固定強度の低下を招き、端子用タブがずれたり、外れ易くなったりするおそれがあり、電池内の内部抵抗が増大するといった導通の信頼性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、電極活物質層による有効範囲を増大させることで、電池性能を向上させることができるリチウムイオン二次電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、集電体の表面に活物質未塗布部を残して活物質が塗布されて電極活物質層が形成されてなる正極と負極とを絶縁体を介して交互に積層してなる電極積層体を備えたリチウムイオン二次電池であって、 前記正極と負極からなる電極は、前記活物質未塗布部が、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に位置し、かつ平面視で前記長さ方向に直交する幅方向の一部に設けられ、前記活物質未塗布部が端子用タブをなすことを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上述したリチウムイオン二次電池が複数接続されており、前記正極と負極のうちいずれか一方の第1電極の前記切欠き凹部は、当該第1電極に対して積層される前記正極と負極のうち他方の第2電極の前記端子用タブに重なる領域に形成され、積層方向に重なる前記第1電極の前記端子用タブ同士、及び前記第2電極の前記端子用タブ同士がそれぞれ接続されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池の製造方法は、集電体の表面に活物質未塗布部を残して活物質が塗布されて電極活物質層が形成されてなる正極と負極とを絶縁体を介して交互に積層してなる電極積層体を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側の位置で、かつ平面視で前記長さ方向に直交する幅方向の中央部分に活物質未塗布部を残した状態で集電体の表面に活物質を塗布する工程と、前記集電体の前記長さ方向の他端側において、前記幅方向の中央部分に切欠き凹部を形成する工程と、前記集電体において、前記活物質未塗布部と、該活物質未塗布部の前記幅方向で両側に位置する活物質塗布部と、の間の境界線に沿って切断部を形成し、該切断部によって切り出された前記活物質未塗布部を端子用タブとして形成する工程と、積層方向に重なる前記正極と負極のうちいずれか一方の第1電極の前記端子用タブ同士、及び前記第1電極に対して積層される前記正極と負極のうち他方の第2電極の前記端子用タブ同士をそれぞれ接続する工程と、を有し、前記第1電極の前記切欠き凹部は、前記第2電極の前記端子用タブに重なる領域に形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明では、正極及び負極に形成される電極活物質層が長さ方向でリチウムイオン二次電池の長さ寸法の両端までの範囲に設けることが可能となることから、従来のようにリチウムイオン二次電池の長さ方向の両端縁に沿って端子用タブを設けるための活物質未塗布部を設ける構成に比べて、体積エネルギー密度が大きくなり、電極活物質層による有効範囲を増大することができ、電池効率を向上させることができる。さらに、電極の活物質未塗布部が幅方向の一部に設けられ、その活物質未塗布部が端子用タブとして形成されるので、従来通りに端子用タブの機能をもたせつつ、電極活物質層の有効範囲を増大させることをバランスよく達成することができる。
【0012】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記活物質未塗布部が、前記長さ方向の両端に位置してもよい。
【0013】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記集電体は、前記活物質未塗布部と、該活物質未塗布部の前記幅方向の両側に位置する活物質塗布部と、の間の境界線に沿って切断部が形成され、前記切断部によって切り出された前記活物質未塗布部が端子用タブをなすことが好ましい。
【0014】
この場合には、活物質未塗布部と、その活物質未塗布部の幅方向で両側に位置する活物質塗布部と、の間の境界線に沿って切断部が形成されているため、集電体のみで形成される活物質未塗布部の端子用タブがその幅方向の両側の活物質塗布部に対して分離した状態となる。そのため、端子用タブを、長さ方向の活物質塗布部と接続する部分を基端にして湾曲させることができ、端子用タブ同士を溶着等によって確実に接続することができる。
【0015】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記端子用タブに、更に延長用タブが重なった状態で接続されていることが好ましい。
【0016】
この場合には、集電体の活物質未塗布部に位置する端子用タブを介して延長用タブを設けることができる。
【0017】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記活物質未塗布部は、平面視で前記幅方向の中央部分に設けられていることが好ましい。
【0018】
この場合には、活物質未塗布部の幅方向の両側に活物質塗布部が形成され、端子用タブがその活物質塗布部によって挟まれた状態により確実に保持することができる。
【0019】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記活物質未塗布部は、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に位置し、前記集電体における前記長さ方向の他端側には、前記幅方向の一部に切欠き凹部が形成されていることが好ましい。
【0020】
この場合には、電極には、長さ方向で端子用タブが形成される一端側とは反対の他端側には幅方向の中央部分に切欠き凹部が形成されているので、正極と負極が互いに積層される構成において、各端子用タブの積層方向に集電体が配置されることがなく、正極の端子用タブ同士、および負極の端子用タブ同士を積層方向に重ねて接続することができる。
【0021】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記切欠き凹部は、前記幅方向の中央部分に形成されていてもよい。
【0022】
この場合には、切欠き凹部に介在される端子用タブが切欠き凹部の幅方向の両側に位置する活物質塗布部を形成した集電体によって挟まれる空間が形成されるため、端子用タブをコンパクトに収容することができる。
【0023】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記集電体における前記長さ方向の一端側には、前記活物質未塗布部と、前記集電体を切り欠いた切欠き凹部とが前記幅方向に間隔をあけて形成されていてもよい。
【0024】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、集電体の表面に活物質未塗布部を残して活物質が塗布されて電極活物質層が形成されてなる正極と負極とを絶縁体を介して交互に積層してなる電極積層体を備えたリチウムイオン二次電池であって、前記正極と負極からなる電極のうち一方の電極は、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に位置し、平面視で前記長さ方向に直交する幅方向の一部に前記活物質未塗布部が設けられ、他方の電極は、前記一端側に隣り合う前記幅方向の一端縁に位置し、平面視で前記長さ方向の一部に前記活物質未塗布部が設けられ、前記活物質未塗布部が端子用タブをなすことを特徴としている。
【0025】
本発明では、正極及び負極に形成される電極活物質層が長さ方向でリチウムイオン二次電池の長さ寸法の両端までの範囲に設けることが可能となることから、従来のようにリチウムイオン二次電池の長さ方向の両端縁に沿って端子用タブを設けるための活物質未塗布部を設ける構成に比べて、体積エネルギー密度が大きくなり、電極活物質層による有効範囲を増大することができ、電池効率を向上させることができる。さらに、電極の活物質未塗布部が長さ方向の一端側の一部、又は幅方向の一端縁の一部に設けられ、その活物質未塗布部が端子用タブとして形成されるので、従来通りに端子用タブの機能をもたせつつ、電極活物質層の有効範囲を増大させることをバランスよく達成することができる。
【0026】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記一方の電極は、前記集電体における前記一端側に隣り合う前記幅方向の一端縁に前記集電体を切り欠いた切欠き凹部が形成され、前記他方の電極は、前記集電体の一方向に延びる長さ方向の一端側に前記集電体を切り欠いた切欠き凹部が形成されていることが好ましい。
【0027】
この場合には、各端子用タブの積層方向に集電体が配置されることがなく、正極の端子用タブ同士、および負極の端子用タブ同士を積層方向に重ねて接続することができる。
【0028】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、積層される前記電極に形成される電極活物質層の前記長さ方向の長さ寸法は、前記電極積層体を構成する全ての電極で一致していることが好ましい。
【0029】
この場合には、各電極の電極活物質層をリチウムイオン二次電池の長さ方向の全長の範囲に形成することができ、電極活物質層による有効範囲を効果的に増大することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のリチウムイオン二次電池及びその製造方法によれば、電極活物質層による有効範囲を増大させることで、電池性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池における正極板と負極板を積層させた一端側の構成を示す要部斜視図である。
図2図1に示すリチウムイオン二次電池を構成する負極板の平面図である。
図3図1に示すリチウムイオン二次電池を構成する正極板の平面図である。
図4】第1変形例による正極板と負極板を積層させた一端側の構成を示す要部斜視図であって、図1に対応する図である。
図5】従来のリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示した縦断面図である。
図6】第2変形例による正極板と負極板を積層させた一端側の構成を示す要部斜視図であって、図1に対応する図である。
図7】第2変形例によるリチウムイオン二次電池を構成する電極の平面図である。
図8】第3変形例によるリチウムイオン二次電池を構成する電極の平面図である。
図9】従来のリチウムイオン二次電池における正極板と負極板を積層させた一端側の構成を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池及びその製造方法について、図面に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態によるリチウムイオン二次電池1は、電極板である正極板2(正極)と負極板3(負極)とを、半固体又は固体状の電解質層及び図5に示すセパレータ6(絶縁体)を介挿して積層させ、正極板2および負極板3のそれぞれの端部に端子用タブ4、5を形成させた電極積層体10と、を備えて概略構成されている。
なお、この電極積層体10は、シート状の外装体(図示省略)の内部に収容されて封止される。
【0034】
電極積層体10は、正極板2または負極板3の少なくとも何れか一方の板面上にゲル状電解液が塗布されることで、ゲル状の電解質層及びセパレータ6(図5参照)が形成されてなる。
【0035】
リチウムイオン二次電池1は、複数の電極積層体10が、例えば、アルミニウム材料やポリマーフィルム等からなる外装体(図示省略)によって包装されるとともに、複数の正極板2に形成された端子用タブ4、4、…同士、及び複数の負極板3に形成された端子用タブ5、5、…同士を接続して外部に突出させた状態で、外装体の外周部が封止されて構成されている。
【0036】
正極板2は、図3に示すように、例えば平面視で長方形状に形成されたアルミニウム箔からなる正極集電体21において、その長さ方向X(一方向に延びる長さ方向)の一端側(図3で紙面右側)に位置し、かつ平面視で長さ方向Xに直交する幅方向Yの中央部分に活物質未塗布部2Aを形成し、その活物質未塗布部2Aを除いた部分に活物質が塗布されてなる正極活物質層22(電極活物質層)が形成されたものである。活物質未塗布部2Aは、接合代となる正極板2の端子用タブ4を構成している。
正極集電体21は、導電性金属箔が用いられ、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などが採用される。
【0037】
また、正極集電体21の長さ方向Xの他端側(図3で紙面左側)において、幅方向Yの中央部分に正極切欠き凹部23が形成されている。この正極切欠き凹部23は、正極板2に対して積層される負極板3の端子用タブ5(図5参照)に重なる領域に形成されている。
なお、正極集電体21は、活物質未塗布部2Aと、活物質未塗布部2Aの幅方向Yで両側に位置する活物質塗布部22a、22bと、の間の境界線に沿って正極切断部24が形成されていてもよい。この正極切断部24によって切り出された活物質未塗布部2Aは、上述した正極板2の端子用タブ4を構成している。
【0038】
正極活物質層22は、例えば、正極活物質、導電助剤、及び、バインダーとなる結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを正極集電体21に塗布することで形成されるものであり、例えば正極集電体21の幅方向Yの両端部間の領域において、両面に塗布される。
正極活物質としては、特に制限されず、例えば、一般式LiMxOy(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物を用いることができる。具体的には、金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムや、これらの三元系(ニッケル・マンガン・コバルト系)の他、リン酸鉄リチウム等が用いられる。
正極活物質層22における導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンナノファイバー等が用いられ、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン等が用いられる。
【0039】
負極板3は、図2に示すように、正極板2と同様、例えば、平面視で長方形状に形成された銅(Cu)からなる負極集電体31において、その長さ方向Xの一端部の一端側(図2で紙面左側)に位置し、かつ平面視で長さ方向Xに直交する幅方向Yの中央部分に活物質未塗布部3Aを形成し、その活物質未塗布部3Aを除いた部分に活物質が塗布されてなる負極活物質層32(電極活物質層)が形成されたものである。活物質未塗布部3Aは、接合代となる負極板3の端子用タブ5を構成している。
負極集電体31は、導電性金属箔が用いられ、例えば銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金が採用される。
【0040】
また、負極集電体31の長さ方向Xの他端側(図2で紙面右側)において、幅方向Yの中央部分に負極切欠き凹部33が形成されている。この負極切欠き凹部33は、負極板3に対して積層される上述した正極板2の端子用タブ4(図5参照)に重なる領域に形成されている。
なお、負極集電体31は、正極集電体21と同様に、活物質未塗布部3Aと、活物質未塗布部3Aの幅方向Yで両側に位置する活物質塗布部33a、33bと、の間の境界線に沿って負極切断部34が形成されていてもよい(図4参照)。この負極切断部34によって切り出された活物質未塗布部3Aは、上述した負極板3の端子用タブ5を構成している。
【0041】
負極活物質層32は、例えば、負極活物質、バインダーとなる結着剤、及び、必要に応じて加えられた導電助剤を溶媒に分散させてなる負極用スラリーを負極集電体31に塗布することで形成されるものであり、例えば負極集電体31の幅方向Yの両端部間の領域において、両面に塗布される。
負極活物質としては、特に制限されず、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等からなる炭素材料やチタン酸リチウム等の金属酸化物を用いることができるが、より高容量のリチウムイオン二次電池1が実現できる観点から、シリコン系活物質を用いることが好ましい。
結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができ、導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等を用いることができる。
【0042】
そして、リチウムイオン二次電池1は、図5に示すように、積層方向に重なる複数の正極板2の端子用タブ4、4、…同士、及び複数の負極板3の端子用タブ5、5、…同士がそれぞれ圧着又は接着により接続されている。このとき、正極板2の端子用タブ4、4、…、及び負極板3の端子用タブ5、5、…は、それぞれ適宜曲げることにより一体的に設けられている。
【0043】
電解質層は、例えば、帯状の負極板3の板面上に、液状、半固体(ゲル状)の電解質が塗布されて形成されるか、あるいは、固体状の電解質が積層されてなる。図示例においては、電解質層を、セパレータと同じ位置で示している。
この電解質層としては、帯状の正極板2または負極板3の何れかの面に設けられていればよいが、例えば、正極板2及び負極板3の両板面に設けられていてもよい。
前記電解質層は、セパレータ機能を有する構成であってもよい。例えば、絶縁性多孔質体の空隙に電解質が含浸されている構成を例示できる。
なお、電解質は、電解質層以外に、正極板2および負極板3の電極活物質層の空隙にも存在することが好ましい。
【0044】
電解質層を半固定であるゲル状電解質から形成する場合には、例えば、高分子マトリックス及び非水電解質液(即ち、非水溶媒及び電解質塩)からなり、ゲル化されて表面に粘着性を生じるものを電極板上に塗布することで電解質層を形成できる。あるいは、後述するように、ゲル状電解質として、高分子マトリックス及び非水溶媒からなり、塗布後に固体化することで固体電解質となるものを用いることも可能である。
なお、本実施の形態においては、半固定又は固定の何れの電解質を用いてもよいが、半固定のゲル状電解質を用いる場合には、正極板2または負極板3に塗布された際に粘着性を有するものが用いられ、また、正極板2または負極板3の板面から分離しない自立膜を形成するものを用いることが好ましい。
【0045】
高分子マトリックスとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のアルキレンエーテルをはじめ、ポリエステル、ポリアミン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン等を用いることができる。
【0046】
非水溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン化合物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の炭酸エステル化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル化合物;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;スルホラン等のスルホン化合物、ジメチルホルムアミド等のアミド化合物等を、単独または2種類以上を混合して調製されたものを用いることができる。
【0047】
なお、ゲル状の電解質を塗布後に固体化させ、固体電解質層として形成することも可能であり、この場合には、ゲル状電解液として、例えば、アセトニトリル等のニトリル化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル化合物:ジメチルホルムアミド等のアミド系化合物を単独または2種類以上を混合して調製されたものを用いることができる。
電解質塩としては、特に限定されないが、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩等を使用することができる。
【0048】
なお、セパレータの材質としては、特に限定されないが、例えば、オレフィン系のポリエチレン、ポリプロピレンやセルロース系の材料からなるものを用いることができる。そして、これらの材料からなる不織布等をセパレータに採用することができる。
【0049】
外装体は、シート状の金属材料からなる基材と、この基材の表面側の少なくとも一部に設けられる接着層とから構成される。外装体の基材としては、例えば、可撓性を有するラミネート樹脂フィルム、アルミニウム材料、ステンレス鋼材料等、この分野で従来から用いられている公知の材料を用いることができる。
【0050】
次に、上述したリチウムイオン二次電池1の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。ここでは、上述した図4に示す正極板2及び負極板3に切断部24、34が設けられた一例により説明する。
図1乃至図3に示すように、リチウムイオン二次電池1の製造方法は、先ず、正極集電体21及び負極集電体31において、それぞれ一方向に延びる長さ方向Xの一端側の位置で、かつ平面視で幅方向Yの中央部分に活物質未塗布部2A、3Aを残した状態で正極集電体21、負極集電体31の表面に活物質を塗布する。つまり活物質未塗布部2A、3Aは、それぞれ正極集電体21、負極集電体31のままである。
さらに、集電体21の長さ方向Xの他端側において、幅方向Yの中央部分に切欠き凹部23、33を形成する。
【0051】
次いで、図3に示すように、正極集電体21において、活物質未塗布部2Aと、活物質未塗布部2Aの幅方向Yで両側に位置する活物質塗布部22a、22bと、の間の境界線に沿って正極切断部24を形成し、正極切断部24によって切り出された活物質未塗布部2Aを端子用タブ4として形成する。同様に、負極集電体31において、活物質未塗布部3Aと、活物質未塗布部3Aの幅方向Yで両側に位置する活物質塗布部32a,32bと、の間の境界線に沿って負極切断部34を形成し、負極切断部34によって切り出された活物質未塗布部3Aを端子用タブ5として形成する。
【0052】
次に、図5に示すように、電極積層体10を形成する。この際、例えば、帯状に形成された正極板2、負極板3、セパレータ6を、予めセル単位に切断した後に、これらを、負極板3、セパレータ6及び正極板2の順で積層する方法とすることができる。あるいは、帯状の正極板2、負極板3及びセパレータ6を、これらを巻回したロールから連続的に繰り出して順次積層した後、この積層体をセル単位に分割する方法を採用できる。
また、半固定又は固定の電解質層を形成する方法としては、例えば、積層前に、正極板2又は負極板3の少なくとも一方の板面状、あるいは、セパレータ6の両面上に予め形成しておく方法を採用することができる。
【0053】
その後、図1に示すように、積層方向に重なる正極板2の端子用タブ4、4、…同士、及び負極板3の端子用タブ5、5、…同士をそれぞれ接続する。
【0054】
なお、リチウムイオン二次電池1に備えられる電極積層体10は、各電極板2、3、セパレータ6及びゲル状電解質層が各1層ずつ設けられた構成とされているが、これに限定されるものではない。例えば、詳細な図示を省略するが、電極積層体として、上記構成の膜電極接合体をさらに複数重ね合わせた構成とすることもでき、このような場合、セル単位に分割した電極積層体を複数積層してもよいし、帯状とされた電極積層体を、正極板が内側に位置するように巻回した構成としてもよい。この際、例えば、正極板を9層、負極板を10層で積層し、両最外層が負極板とされた多層の電極積層体を形成することも可能であり、このような構成の電極積層体を備えるリチウムイオン二次電池を製造するケースにおいても、本発明を何ら制限無く適用することが可能である。
なお、多層の電極積層体を形成するにあたっては、正極活物質層が多層の電極積層体の最下層の外方を向く板面、又は、最上層の外方を向く板面とはならないように形成し、デンドライトの発生を防止できる構成とすることが好ましい。
【0055】
そして、電極積層体10を形成する工程においては、溶接等の接合手段により、正極板2及び負極板3の端部となる活物質未塗布部2A、3Aに、端子用タブ4、5を接合する。
具体的には、不図示の溶接電極を電極積層体10の上下に配置し、正極板2と端子用タブ4とを、下方に負極板3、セパレータ6及び電解質層を介した状態で上下から溶接電極で狭持し、溶接を行なう方法とすることができる。同様に、負極板3と端子用タブ5とを、上方にセパレータ6、ゲル状電解質層及び正極板2を介した状態で上下から溶接電極で狭持し、溶接を行なう方法とすることができる。
【0056】
次に、上述したリチウムイオン二次電池及びその製造方法の作用について図面を用いて詳細に説明する。
図1図3、及び図5に示すように、本実施の形態では、正極板2及び負極板3に形成される活物質層22、32が長さ方向Xでリチウムイオン二次電池1の長さ寸法の両端までの範囲に設けられることから、従来のようにリチウムイオン二次電池の長さ方向の両端縁に沿って端子用タブを設けるための活物質未塗布部を設ける構成に比べて、体積エネルギー密度が大きくなり、電極活物質層による有効範囲を増大することができ、電池効率を向上させることができる。
【0057】
さらに、正極板2の活物質未塗布部2Aが幅方向Yの両側に位置する活物質塗布部22a、22bとの間に設けられ、また負極板3の活物質未塗布部3Aが幅方向Yの両側に位置する活物質塗布部32a、32bとの間に設けられ、これら活物質未塗布部2A、3Aがそれぞれ端子用タブ4、5として形成されるので、従来通り端子用タブの機能をもたせつつ、電極活物質層の有効範囲を増大させることをバランスよく達成することができる。
【0058】
また、正極板2の活物質未塗布部2Aと、その活物質未塗布部2Aの幅方向Yで両側に位置する活物質塗布部22a、22bとの間の境界線に沿って正極切断部24が形成され、また負極板3の活物質未塗布部3Aと、その活物質未塗布部3Aの幅方向Yで両側に位置する活物質塗布部32a、32bとの間の境界線に沿って負極切断部34が形成されているため、集電体21、31のみで形成される活物質未塗布部2A,3Aの端子用タブ4、5がその幅方向Yの両側の活物質塗布部22a、22b、32a、32bに対して分離した状態となる。そのため、端子用タブ4、5を、長さ方向Xの活物質塗布部と接続する部分を基端21a、31aにして湾曲させることができ、積層方向に重なる端子用タブ4、4、…(5、5、…)同士を溶着等によって確実に接続することができる。
【0059】
さらに、正極板2及び負極板3には、長さ方向Xで端子用タブ4、5が形成される一端側とは反対の他端側には幅方向Yの中央部分に切欠き凹部23、33が形成されているので、正極板2と負極板3が互いに積層される構成において、各端子用タブ4、5の積層方向に集電体21、31が配置されることがなく、正極板2の端子用タブ4、4、…同士、および負極板3の端子用タブ5、5、…同士を積層方向に重ねて接続することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、活物質未塗布部2A(3A)が平面視で幅方向Yの中央部分に設けられ、活物質未塗布部2A(3A)の幅方向Yの両側に活物質塗布部22a、22b(32a、32b)が形成され、端子用タブ4(5)がその活物質塗布部22a、22b(32a、32b)によって挟まれた状態で保持することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、切欠き凹部23、33に介在される端子用タブ4、5が切欠き凹部23、33の幅方向Yの両側に位置する活物質塗布部22a、22b(32a、32b)を形成した集電体21、31によって挟まれる空間が形成されるため、端子用タブ4、5をコンパクトに収容することができる。また、後述する延長用タブを接続した場合も同様である。
【0062】
また、本実施の形態では、正極板2および負極板3の電極活物質層22、32をリチウムイオン二次電池1の長さ方向Xの全長の範囲に形成することができ、電極活物質層22、32による有効範囲を効果的に増大することができる。
【0063】
上述のように本実施の形態によるリチウムイオン二次電池の製造方法では、電極活物質層22、32による有効範囲を増大させることで、電池性能を向上させることができる。
【0064】
以上、本発明によるリチウムイオン二次電池の製造方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0065】
例えば、図6に示す第2変形例のように、上述した実施の形態の図2及び図3に示す端子用タブ4(5)の表面に、更に延長用タブ7が重なった状態で溶着等により接続された構成のリチウムイオン二次電池1Aであってもよい。この場合、図5に示すように、タブの長さ寸法を長くとることができるので、積層された複数の正極板2の端子用タグ4に接続された延長用タブ7A、7A、…同士を1つに接続し、および積層された複数の負極板3の端子用タグ5に接続された延長用タブ7B、7B、…同士を1つに接続する接続構造を容易に実現することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、正極板2および負極板3のそれぞれの長さ方向Xの他端に切欠き凹部23、33が形成されているが、この切欠き凹部23、33を省略することも可能である。そして、切欠き凹部23、33の位置として、幅方向Yの中央部分の位置であることに限定されることもない。
【0067】
さらに、上述した実施の形態では、正極板2および負極板3の活物質未塗布部2A、3A(端子用タブ4、5)が平面視で幅方向Yの中央部分に設けられているが、幅方向Yの位置が中央部分であることに制限されることはなく、例えば幅方向Yのうちいずれか一方に寄った位置であってもかまわない。要は、前記活物質未塗布部が、平面視で幅方向Yの一部に設けられていればよいのである。
【0068】
また、図7に示す第3変形例のように、正極板2及び負極板3のそれぞれの集電体21、31における長さ方向Xの一端側に、活物質未塗布部2A、3Aと、集電体21、31を切り欠いた切欠き凹部23、33と、が幅方向Yに間隔をあけて形成された構成であってもよい。そして、この場合にも活物質未塗布部2A、3Aの幅方向Yで両側に位置する活物質塗布部との間の境界線に沿って切断部24、34が形成されている。
【0069】
さらに、図8に示す第4変形例では、正極板2及び負極板3からなる電極のうち一方の電極は、集電体21、31の長さ方向Xの一端側に位置し、平面視で幅方向Yの一部に活物質未塗布部2A、3Aが設けられるとともに、集電体21、31における一端側に隣り合う幅方向Yの一端縁21c、31cに集電体21、31を切り欠いた切欠き凹部23、33が形成された構成となっている。そして、図示しないが、図8を参考にすると、正極板2及び負極板3からなる電極のうち他方の電極は、前記一端縁21c、31cに位置し、平面視で長さ方向Xの一部に活物質未塗布部2A、3Aが設けられ、集電体21、31の長さ方向Xの一端側に集電体21、31を切り欠いた切欠き凹部23、33が形成されている。そして、活物質未塗布部2A、3Aが端子用タブをなす。
【0070】
さらにまた、電極積層体10の形状、積層構造、材質、活物質未塗布部2A、3Aの幅方向Yの幅寸法、電極活物質層22、32の厚さ等の構成についても上述した実施の形態に限定されることはなく、適宜、設定することが可能である。
【0071】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0072】
1、1A リチウムイオン二次電池
2 正極板(正極)
2A 活物質未塗布部
3 負極板(負極)
3A 活物質未塗布部
4 正極板側の端子用タブ
5 負極板側の端子用タブ
6 セパレータ
7、7A、7B 延長用タブ
10 電極積層体
21 正極集電体
22 正極活物質層(電極活物質層)
22a,22b 活物質塗布部
23 正極切欠き凹部
24 正極切断部
31 負極集電体
32 負極活物質層(電極活物質層)
32a,32b 活物質塗布部
33 負極切欠き凹部
34 負極切断部
X 長さ方向
Y 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9