【文献】
Crystal Duo Lipstick,ID 5137761 ,Mintel GNPD[online],2017年9月,[検索日2020.11.19],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のスティック状油性固形化粧料は油性固形組成物(内層部)と油性固形組成物(外層部)を組み合わせてなる。内層部と外層部は互いに接し、スティックの長軸方向に連続した内層部を外層部が覆うように成型されていれば、内層部及び外層部の形状は特に限定されず、例えば、短軸方向の横断面が円形、四角形、星形等でも良い。
【0013】
本発明における外層部に関する説明を以下に示す。
【0014】
本発明に用いられる成分(A)のアミノ酸系ゲル化剤は、分子中にアミド結合を有し、油剤を固化するものである。本発明に用いられる成分(A)は、通常化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず使用することができる。具体的には、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ジブチルラウロイルグルタミド、(ビスジアルキル(C14−18)アミド(エチレンジアミン/水添ダイマージリノール酸)コポリマー等から選ばれる一種または二種以上が好適に用いられる。市販品としては、アミノ酸系油ゲル化剤EB−21(味の素社製、融点183〜196℃)、アミノ酸系油ゲル化剤GP−1(味の素社製、融点150〜161℃)等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる成分(A)の外層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは1〜30質量%(以下%と略す)、より好ましくは5〜20%である。この範囲であると、内層部が外から透けて見える透明性と油剤を固化する成形性の点からより好ましい。
【0016】
本発明に用いられる成分(B)炭素数20〜26の分岐状高級アルコールは、通常化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず使用することができ、25℃で液状のものが望ましい。具体的には、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等が好適に用いられる。市販品としては、リソノール20SP、リソノール24SP(高級アルコール工業社製)、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A(新日本理化社製)等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる成分(B)の外層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%である。この範囲であると、滑らかな使用感の観点からより好ましい。また、本発明の成分(A)と成分(B)を組み合わせることで混合物の溶解温度を下げることができるという知見を得ており、製造時の操作性を向上させることに利用できる。
【0018】
本発明の外層部は成分(A)と成分(B)を必須成分とし、さらに成分(C)を含有することができ、成分(C)を含有することで滑らかな使用感により優れ好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(C)グリセリンの重合度が6〜12であり、脂肪酸が炭素数8〜22の分岐脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず使用することができる。具体的には、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカエチルヘキサン酸ポリグリセリル−10、 ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ジステアリン酸ポリグリセリル−10、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6等が挙げられる。市販品としては、IS−1005P、IS−1009P、CR−1001(阪本薬品工業社製)、NIKKOL Decaglyn 10−ISV(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いられる成分(C)の外層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%である。この範囲であると、滑らかな使用感の観点から好ましい。
【0021】
本発明の外層部は前記成分(A)〜(C)の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)〜(C)以外の油性成分、粉体、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、色素、香料等の通常公知の成分を含有することができる。
【0022】
成分(A)〜(C)以外の油性成分としては動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸オレイル、乳酸ステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシ変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0023】
粉体としては、化粧料に一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、黒色401号、褐色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、黄色4号、黄色5号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色231号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等を用いて、公知の方法により表面処理を施したり、さらに複合化したものを用いても良い。
【0024】
界面活性剤としては、化粧料に一般に用いられている界面活性剤であれば、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0025】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0026】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0027】
本発明における透明とは、12.5×12.5×45mmガラスセルにサンプルを溶融充填したものを、1.5ポイント太さの黒線を書いた白い紙の上に置き、厚さ12.5mmの上から黒線が見えるものを指す。本発明の外層部は、ガラスセルの上から黒線が見えるものである。
【0028】
本発明における内層部に関する説明を以下に示す。
【0029】
本発明の内層部は着色剤を必須成分とし、不透明であるとより好ましい。着色剤としては着色顔料や染料等が挙げられ、一般に化粧料に用いられるものであれば特に制限はなく、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わずいずれのものも使用することができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、黒色401号、褐色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、黄色4号、黄色5号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色231号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体等が挙げられ、これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができる。必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等を用いて、公知の方法により表面処理を施したり、さらに複合化したものを用いても良い。
【0030】
本発明において、着色した内層部は、特に限定されないが油剤を固形化剤で固めたものを用いることができる。固形化剤としては、ワックスやゲル化剤を含み、通常化粧料で用いられるものであれば特に限定されず用いることができる。具体的には、固体パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、フィッシャートロプシュワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、ライスワックス、シリコーンワックス等のワックス類、蔗糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸、ビスジオクタデシルアミド(ダイマージリノール酸/エチレンジアミン)コポリマー等が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いることができる。
【0031】
本発明の内層部は、着色剤、固形化剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、固形化剤以外の油性成分、着色剤以外の粉体、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、色素、香料等の通常公知の成分を含有することができる。
【0032】
固形化剤以外の油性成分としては動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸オレイル、乳酸ステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシ変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0033】
着色剤以外の粉体としては、化粧料に一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、有機粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体等が挙げられ、これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等を用いて、公知の方法により表面処理を施したり、さらに複合化したものを用いても良い。
【0034】
界面活性剤としては、化粧料に一般に用いられている界面活性剤であれば、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0035】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0036】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0037】
本発明における溶解温度は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)社製DSC6200)を用い、測定温度10〜150℃、昇温速度5℃/minで測定して得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを溶解温度とする。
【0038】
内層部の溶解温度が外層部の溶解温度より10℃以上低いと、外層部の後に内層部を充填する際に外層部が溶け出さないため、境界面が明瞭になる点で望ましい。
【0039】
本発明のスティック状油性固形化粧料としては、特に限定されないが、口紅、リップクリーム、頬紅、アイカラー、コンシーラー、ファンデーション、美白スティック等とすることができ、より好ましい用途はメーキャップ化粧料である。
【0040】
本発明のスティック状油性固形化粧料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば次のようにして得ることができる。
油性固形組成物(外層部)は、成分(A)、成分(B)および成分(C)を130℃以上に加温し溶解させ、必要に応じて有機色素や顔料、パール光沢剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料等を添加して得る。油性固形組成物(内層部)は有機色素や顔料、固形化剤、及び必要に応じて油剤、パール光沢剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料を加熱、混練して得る。スティック型に内層部用の型(以下、内層型と称す)を固定し、130℃で加熱溶解した外層部をスティック型に充填する。室温(0〜30℃)まで冷却した後、内層型を外し、空隙部分に冷却した外層部の上方より、90℃で加熱溶解した内層部を充填し、内層部を室温まで冷却する。
【0041】
本発明のスティック状油性固形化粧料は、好ましくは直径が9〜30mmであり、より好ましくは11〜20mmであると、使用性が良く好ましい。また、内層部は、好ましくは直径が4〜20mmであり、より好ましくは5〜10mmであると、審美性に優れ好ましい。本発明のスティック状油性固形化粧料は、その大きさや形状にもよって異なるが、内層部の断面積が、スティック状油性固形化粧料の断面面積中の10〜50%が好ましく、さらには20〜40%であると、審美性および使用性において好ましい。
【実施例】
【0042】
以下に実施例1〜
4、参考例5、実施例6、参考例7、比較例1のスティック状口紅をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0043】
[油性固形組成物の製造]
表1に示した成分、含有量の処方の油性固形組成物(外層部)と、表2に示した成分、含有量の処方の油性固形組成物(内層部)を以下の方法で製造した。
【0044】
【表1】
【0045】
得られた油性固形組成物(外層部)1は透明であり、溶解温度は125℃であった。
【0046】
【表2】
【0047】
得られた油性固形組成物(内層部)1は赤色で不透明であり、溶解温度は80℃であった。
【0048】
(製造方法)
油性固形組成物(外層部)
A.成分(1)〜(7)を、135℃にて均一に溶解する。
B.Aに(8)を加え、均一に混合した。
油性固形組成物(内層部)
A.成分(1)〜(7)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(8)を加え、均一に混合した。
【0049】
*1:アミノ酸系油ゲル化剤GP−1(味の素社製)
*2:リソノール24SP(高級アルコール工業社製)
*3:IS−1009P(阪本薬品工業社製)
*4:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
*5:EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*6:CIREBELLE 109L(CIREBELLE社製)
*7:PLANDOOL−S(日本精化社製)
【0050】
[スティック状油性固形化粧料の製造]
表1と表2の組成物を組み合わせて、以下の方法で表3に示す実施例1〜
4、参考例5、実施例6、参考例7、比較例1を得た。直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、油性固形組成物(外層部)を130℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。油性固形組成物(外層部)が固化した後、内層型を外し、90℃以上の温度で溶解した油性固形組成物(内層部)を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状油性固形化粧料を得た。
【0051】
実施例1〜
4、参考例5、実施例6、参考例7、比較例1のスティック状口紅について、下記評価方法により評価し、その評価結果を表3に示した。
【0052】
【表3】
【0053】
(評価方法)
イ.滑らかな使用感
専門パネル10名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記階判定基準により判定した。
【0054】
(評価項目)
実施例1〜
4、参考例5、実施例6、参考例7、比較例1に関して、使用時に内層部と外層部が均一に付着し、均等に使用できるかどうかを評価した。
【0055】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0056】
ロ.境界面の明瞭さ
(評価項目)
実施例1〜
4、参考例5、実施例6、参考例7、比較例1に関して、外層部と内層部に明瞭な境界があるかどうかを目視で評価した。
【0057】
判定基準
(判定):(評価)
◎ :境界面が明瞭である
○ :境界面がやや明瞭である
△ :境界面がやや不明瞭である
× :境界面が不明瞭である
【0058】
表3の結果より明らかなように、実施例の口紅は、滑らかな使用感と、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、審美性に優れる口紅であった。一方、成分(B)を含有しない比較例1は、脆く崩れやすく滑らかな使用感について満足のいくものが得られなかった。また、比較例1に用いた油性固形組成物(外層部)8は溶解温度が160℃であり、製造時の操作性において好ましくない結果となった。
【0059】
参考例8:スティックチーク
油性固形組成物(外層部)
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド 15
(2)リンゴ酸ジイソステアリル※8 50
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)デシルテトラデカノール 20
(5)フェノキシエタノール 0.2
油性固形組成物(内層部)
成 分 (%)
(1)ポリエチレン※9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル※8 50
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)ポリブテン※10 20
(5)フェノキシエタノール 0.1
(6)赤色201 0.1
(7)酸化チタン 0.1
(8)ラズベリーエキス 0.1
(9)香料 0.2
※8:コスモール222(日清オイリオ社製)
※9:PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)
※10:日石ポリブテン1900F(JX日鉱日石エネルギー社製)
【0060】
(製造方法)
油性固形組成物(外層部)
A.成分(1)〜(5)を、130℃にて均一に溶解する。
油性固形組成物(内層部)
A.成分(1)〜(4)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(5)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、油性固形組成物(外層部)を130℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。油性固形組成物(外層部)が固化した後、内層型を外し、90℃以上の温度で溶解した油性固形組成物(内層部)を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティックチークを得た。
【0061】
得られたスティックチークは、外層部が透明であり、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0062】
参考例9:リップクリーム
油性固形組成物(外層部)
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル※8 40
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)デシルテトラデカノール 20
(5)オクチル酸ポリグリセリル−10 20
(6)メチルフェニルポリシロキサン 5
油性固形組成物(内層部)
成 分 (%)
(1)マイクロクリスタリンワックス※11 15
(2)ワセリン 30
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル 20
(5)ポリエチレン※9 5
(6)赤色202 0.2
(7)黄色4 0.1
(8)酢酸DL−α−トコフェロール 0.5
(9)香料 0.1
※11:LUVAX2191(日本精蝋社製)
【0063】
(製造方法)
油性固形組成物(外層部)
A.成分(1)〜(6)を、130℃にて均一に溶解する。
油性固形組成物(内層部)
A.成分(1)〜(5)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(6)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、油性固形組成物(外層部)を130℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。油性固形組成物(外層部)が固化した後、内層型を外し、90℃以上の温度で溶解した油性固形組成物(内層部)を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するリップクリームを得た。
【0064】
得られたリップクリームは、外層部が透明であり、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0065】
実施例10:スティックコンシーラー
油性固形組成物(外層部)
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド 20
(2)イソステアリン酸ポリグリセリル−10 30
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)オクチルドデカノール 30
(5)フェノキシエタノール 0.2
油性固形組成物(内層部)
成 分 (%)
(1)ポリエチレン※9 10
(2)エチレン・プロピレンコポリマー 10
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)ポリブテン※10 20
(5)酸化鉄 0.9
(6)ベンガラ 0.5
(7)酸化チタン(平均粒子径250nm) 5
(8)赤色226 0.1
(9)香料 0.1
【0066】
(製造方法)
油性固形組成物(外層部)
A.成分(1)〜(5)を、130℃にて均一に溶解する。
油性固形組成物(内層部)
A.成分(1)〜(4)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(5)〜(9)を加え、均一に混合した。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、油性固形組成物(外層部)を130℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。油性固形組成物(外層部)が固化した後、内層型を外し、90℃以上の温度で溶解した油性固形組成物(内層部)を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティックコンシーラーを得た。
【0067】
得られたスティックコンシーラーは、外層部が透明であり、内層部が肌色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0068】
実施例11:スティックアイカラー
油性固形組成物(外層部)
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド 5
(2)ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 20
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)デシルテトラデカノール 10
(5)ミネラルオイル 50
(6)ポリエチレンテレフタレート
・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末 3
油性固形組成物(内層部)
成 分 (%)
(1)ポリエチレン※9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル※8 10
(3)トリエチルヘキサノイン※12 残量
(4)ホウケイ酸(Ca/Al) 10
(5)ポリメチルシルセスキオキサン※13 10
(6)赤色202 3
(7)酸化チタン 1
(8)酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ 30
(9)ジメチルポリシロキサン(20CS) 4
※12:MYRITOL GTEH(BASF社製)
※13:トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
【0069】
(製造方法)
油性固形組成物(外層部)
A.成分(1)〜(5)を、130℃にて均一に溶解する。
B.Aに(6)を加え、均一に混合した。
油性固形組成物(内層部)
A.成分(1)〜(3)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(4)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、油性固形組成物(外層部)を130℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。油性固形組成物(外層部)が固化した後、内層型を外し、90℃以上の温度で溶解した油性固形組成物(内層部)を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティックアイカラーを得た。
【0070】
得られたスティックアイカラーは、外層部が透明であり、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。