(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859112
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】柔軟な器具用グリップ
(51)【国際特許分類】
A63B 60/06 20150101AFI20210405BHJP
A63B 60/42 20150101ALI20210405BHJP
A63B 53/14 20150101ALI20210405BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20210405BHJP
A63B 102/02 20150101ALN20210405BHJP
【FI】
A63B60/06
A63B60/42
A63B53/14 Z
A63B102:32
A63B102:02
【請求項の数】29
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-7589(P2017-7589)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-140382(P2017-140382A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2020年1月17日
(31)【優先権主張番号】15/018,890
(32)【優先日】2016年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェームズ デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ビリー ディー. ウッド
【審査官】
槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−004065(JP,U)
【文献】
特開昭59−017373(JP,A)
【文献】
特開2013−226318(JP,A)
【文献】
特開2012−223483(JP,A)
【文献】
実開平07−007666(JP,U)
【文献】
特表2009−524477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/14
A63B 60/06
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
速度及び力を伴って手で動かされる器具のためのグリップアセンブリであって、
(a)器具の操作部を受け入れるように機能する開いた端部、及び開いた端部から遠位に位置する実質的に閉じた端部を有する柔軟な管状部材と、
(b)実質的に閉じた端部内に形成された開いた空洞部と、を含み、開いた空洞部は、該空洞部の一部上を内方に延びる少なくとも1つの柔軟で離散的な部分を備えた周縁のリム部を有しており、さらに、
(c)速度及び加速度のうちの1つを検知するように動作するセンサー、及び、開いた空洞部内に配置される装飾用品のうちの1つを含む挿入体を含み、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分が挿入体の一部上を延びることによって、挿入体が空洞部内に保持され、該少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、結合されて開いた空洞部の一部上を延びる架橋部を構成する複数の柔軟で離散的な部分を含む、ことを特徴とするグリップアセンブリ。
【請求項2】
開いた端部は、ゴルフクラブの管状の操作部を受け入れるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項3】
少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、周方向に間隔を置いた複数のアーム部を含むことを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項4】
閉じた端部は、管状部材の硬度よりも有意に大きな硬度を有するエラストマー材料及びプラスチック材料のうちの1つからなる横部材を含み、該横部材は、開いた空洞部の床部を構成し、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、柔軟な管状部材と一体に構成されることを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項5】
少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、周縁部から内方に延びかつ周方向に円弧の中心角で30°〜300°の範囲に広がる複数の柔軟で離散的な部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項6】
開いた空洞部は、床部を有し、該床部は、グリップ上の挿入体の方向を定めるために挿入体の一部を受け入れるために適している凹部及び開口部のうちの1つを有することを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項7】
開いた空洞部は、センサーの一部が見えるように露出させるための開口部を備えた側壁を有することを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項8】
挿入体は、トランスデューサー、RFIDタグ、追跡装置、センサー、または装飾用品のうちの1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項9】
少なくとも1つの離散的な部分は、結合されて前記挿入体を保持するための前記架橋部を構成する一対の間隔を置いたアーム部を含むことを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項10】
周縁部の少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、管状部材とは異なる色の材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項11】
少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、柔軟な管状部材と1つの部品として一体に構成されることを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項12】
柔軟な管状部材は、38〜55の範囲のショアA硬度を有するエラストマー材料から構成され、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、65〜100の範囲のショアA硬度を有することを特徴とする請求項11に記載のグリップアセンブリ。
【請求項13】
少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、一対のアーム部を含み、該一対のアーム部のそれぞれは、10°〜90°の範囲に弧状に広がることを特徴とする請求項1に記載のグリップアセンブリ。
【請求項14】
速度及び力を伴って手で動かされる器具の操作部のための柔軟なグリップであって、
(a)操作部を受け入れるために適した開いた端部、及び実質的に閉じた端部を有する柔軟な管状部材と、
(b)実質的に閉じた端部に形成された空洞部と、を含み、該空洞部は、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分を備えた周縁部を有し、該少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、空洞部の一部上を周縁部から内方に延び、柔軟な管状部材と少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、1つの部材として一体に構成され、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、管状部材の硬度よりも有意に大きい硬度を有するエラストマー材料からなり、開いた空洞部は、挿入体を受け入れるために適している、ことを特徴とする柔軟なグリップ。
【請求項15】
少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、周方向に間隔を置いた複数のアーム部を含むことを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項16】
少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、開いた空洞部の一部上の架橋部を構成するように延びることを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項17】
柔軟な管状部材は、38〜55の範囲のショアA硬度を有し、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、65〜100の範囲のショアA硬度を有することを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項18】
少なくとも1つの離散的な部分は、周縁部から半径方向内方に延び、周方向には、円弧の中心角で30°〜300°の範囲に広がることを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項19】
開いた端部に挿入体が配置され、該挿入体は、装飾的なメダル並びに速度及び加速度のうちの1つを検知するように機能するセンサーのうちの1つであり、少なくとも1つの柔軟な部分は、挿入体の一部上を延び、挿入体を開いた空洞部内に保持することを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項20】
開いた空洞部は、挿入体の一部に係合して空洞部内の挿入体の方向を定めるための凹部または開口部のうちの1つを備えた床部を有することを特徴とする請求項19に記載の柔軟なグリップ。
【請求項21】
実質的に閉じた端部は、65〜100の範囲のショアA硬度を有するエラストマー材料からなる横部材を含むことを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項22】
横部材は、柔軟な管状部材と1つの部品をなす一体の成形体であることを特徴とする請求項21に記載の柔軟なグリップ。
【請求項23】
横部材は、柔軟な管状部材に接着固定された、完全に事前硬化されたエラストマー材料からなることを特徴とする請求項21に記載の柔軟なグリップ。
【請求項24】
横部材は、柔軟な管状部材に接着固定された、プラスチック材料からなることを特徴とする請求項21に記載の柔軟なグリップ。
【請求項25】
柔軟な管状部材は、38〜55の範囲のショアA硬度を有することを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項26】
少なくとも1つの離散的な部分は、円弧の中心角で10°〜90°の範囲に広がる一対の間隔をおいたアーム部を含むことを特徴とする請求項14に記載の柔軟なグリップ。
【請求項27】
速度及び力を伴って手で動かされる器具の操作部のための柔軟なグリップを製造する方法であって、
(a)操作部を受け入れるために適した開いた端部及び実質的に閉じた端部を有し、エラストマー材料からなる管状部材と、
(b)実質的に閉じた端部に形成される開いた空洞部と、を1つの部品として形成するステップを含み、該空洞部は、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分を備えた周縁部を有し、該少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、空洞部の一部上を周縁部から内方に延び、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分は、管状部材の硬度よりも有意に大きい硬度を有するエラストマー材料から形成され、開いた空洞部は、挿入体を受け入れるために適している、ことを特徴とする方法。
【請求項28】
1つの部品として形成するステップは、圧縮成形及び射出成形のうちの1つによって成形するステップを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
管状部材を形成することは、38〜55の範囲のショアA硬度を備えるように形成することを含み、少なくとも1つの柔軟で離散的な部分を形成することは、65〜100の範囲のショアA硬度を備えるように形成することを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、速度及び力を伴いつつ手で動かされる器具とともに使用される種類の柔軟な器具用グリップに関する。このような器具は、例えばゴルフグラブ、テニスラケット、または同様のスポーツ用具、あるいは、例えばハンマーまたは斧のような他の種類の道具である。
【背景技術】
【0002】
このような器具は、典型的には管状に成形されたゴムまたはエラストマーから構成されるグリップを有している。グリップは、実質的に閉じた端部と、閉じた端部の反対側の、内部に器具の操作部を受け入れるために開いたままの端部とを有する。操作部は、管状に構成されるものであってもよく、または、金属または木材のような固体材料から形成されるものであってもよい。典型的には、柔軟なグリップは、スイングの間にユーザが握りやすいように、十分に低い相対硬度を有する材料から形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ゴルフクラブで使用される柔軟なグリップにおいて、近年、器具に関するユーザの技能を向上させるために、グリップの実質的に閉じた端部にセンサーを使用し、使用の間の器具の速度及び加速度の情報を提供することが望ましいことが分かった。マイクロエレクトロニクスの登場に伴って、ゴルフクラブのグリップに配置するために十分に小さいながらも、所望の検知機能を提供するセンサーが利用できるようになった。また、市場性及び美観のために、柔軟なグリップの端部に挿入体を備え、この挿入体が、色付きの意匠またはロゴを標示できることが望ましい。
【0004】
したがって、例えば、柔軟なゴルフグリップ、特に、器具の操作部に組み付けられる1つの部品として射出成形または圧縮成形されるグリップのような器具の操作部上に、装飾的な挿入体または上述した種類のセンサーを配置する方法または手段を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ユーザによって手で握られている間に速度及び力を伴ってスイングされる器具のための柔軟なグリップを述べるものである。このグリップは、特に、ゴルフクラブのシャフトに組み付けられる一体の部材としてエラストマー材料から成形される、ゴルフクラブ用の柔軟なグリップであってもよい。一形態において、本開示に係る柔軟なグリップは、成形されたグリップの実質的に閉じた端部内に受け入れられる開いた空洞部を有する。この開いた空洞部は、開いた空洞部内に組み付けられる挿入体を保持するための、内方に延びるリム部または周縁のリップ部を有する。
【0006】
別の形態において、開いた空洞部は、空洞部内に受け入れられた挿入体を保持するために、少なくとも1つのまたは複数の内方に延びる離散的な部分、または空洞部内を部分的に延びるアーム部を有する。
【0007】
別の形態において、内方に延びる離散的な部分は結合され、それによって、空洞部内に受け入れられた挿入体を保持するために空洞部の一部上を延びる架橋部が形成される。
【0008】
本形態において、実質的に閉じた端部、及び、挿入体を保持するために内方に延びる離散的な部分は、柔軟なグリップの残りの部分の硬度よりも有意に大きい硬度を有するエラストマー材料から形成するのが良いことが分かった。
【0009】
実際例において、器具の操作部を受け入れるグリップの柔軟な管状部分は、38〜55の範囲のショアA硬度を有するエラストマー材料から形成するのが良く、また、空洞部上を内方に延びる離散的な部分は、65〜100の範囲のショアA硬度を有するエラストマー材料から形成するのが良いことが分かった。
【0010】
実際例において、開いた空洞部上を内方に延びる離散的な部分は、30°〜300°の範囲の中心角に対する円弧で定められるように形成することが良いことも分かった。
【0011】
実際例において、グリップの実質的に閉じた端部または空洞部の床部は、開口部を有しており、これによって、器具の操作部を組み付けている間に空気が逃げやすくなるとともに、空気の循環が可能となる。床部は、挿入体の方向を定めるために挿入体の一部を受け入れる別の開口部または凹部を含むものであってもよい。
【0012】
別の形態において、グリップの空洞部を構成する部分は、その側壁中に空所または開口部を有し、それによって、挿入体の露出または視認が可能となる。
【0013】
本開示に係るグリップアセンブリの一形態において、実質的に閉じた端部は、柔軟なグリップの管状部材と1つの部品として一体に成形される。別の形態において、実質的に閉じた端部は、空洞部内に配置される未硬化のまたは事前硬化されたエラストマー製インサート部品の形で備えられ、このインサート部品は、柔軟なグリップの残りの部分の硬度よりも有意に大きな硬度を有する材料から形成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示に係る柔軟なグリップの端面図である。
【
図2】
図1の2−2線で示す切断線に沿って示す断面図である。
【
図3】本開示に係る柔軟なグリップの別の形態の端面図である。
【
図4】
図3の4−4線で示す切断線に沿って一部を示す断面図である。
【
図5】本開示に係る柔軟なグリップの別の形態を示す
図1と同様の図である。
【
図6】
図5の6−6線で示す切断線に沿って一部を示す断面図である。
【
図7】
図5の7−7線で示す切断線に沿って一部を示す断面図である。
【
図8】本開示に係る柔軟なグリップの別の形態の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び
図2を参照すると、本開示に係る柔軟なグリップアセンブリの一形態に、全体として10の符号が付されている。グリップアセンブリ10は、エラストマー材料またはゴム材料から形成された細長い管状部材(グリップ)12を有する。細長い管状部材12は、中空の内部へ開いた端部14を有する。この開いた端部は、速度及び力を伴ってスイングされる器具の操作部16を内部に受け入れるために適している。操作部16は、破線で示されており、
図1及び
図2に図示された形態では、ゴルフクラブの管状のシャフトからなる。グリップ12は、開いた端部の反対側の端部を有する。この端部は、横部材18によって実質的に閉じられるように構成される。横部材18は開口部20を有しており、これによって、グリップ12のシャフト16への組み付けが容易になるとともに、開口部20を通じた空気の流れまたは循環が可能になる。横部材18は、管状部材12の硬度よりも有意に大きい硬度を有するエラストマー材料から形成されるものであってもよい。この例では、管状部材12は、38〜55の範囲のショアA硬度を有する材料から形成するのが良いことが分かっており、横部材18は、65〜100の範囲のショアA硬度を有する材料から形成することができる。
【0016】
横部材18は、成形型内に管状部材12用の材料とともに横部材18用の未硬化の材料を挿入して同時に射出成形または圧縮成形することによって、管状部材12と1つの部品として一体に形成されるものであってもよい。あるいは、横部材18は、半硬化状態のエラストマー材料から形成されるものであってもよい。この場合、横部材18は、管状部材12の端部に形成された開いた空洞部22内に挿入され、次いで、管状部材12の材料とともに成形されるものである。あるいは、横部材18は、完全に事前硬化されたエラストマーであるか、または、プラスチックから形成され、柔軟なグリップ12の成形後に、空洞部22内に接着固定されるものであってもよい。
【0017】
空洞部22は、開いた端部の周縁を有し、この周縁は、開口部分の周縁の回りに内方に延びてリム部またはリップ部24を構成する。空洞部22は挿入体26を有しており、この挿入体26は、センサー、RFIDタグ、追跡装置、トランスデューサー、または、装飾用品のうちの1つを含むものであってもよい。挿入体26は、空洞部22内に受け入れられ、周縁のリップ部24によって空洞部22内に保持される。所望の場合、リップ部24は、管状部材12の硬度よりも有意に大きい硬度を有するエラストマー材料から形成されるものであってもよい。本形態では、リップ部は、65〜100の範囲のショアA硬度を有するエラストマーから形成するのが良いことが分かった。センサーは、速度及び加速度を検知する種類のものであっても、または、RFIDタグであっても、または、追跡装置であってもよい。挿入体26は、色付きの標識、ロゴ、エンボス加工部、グラフィックスを含むものであってもよく、または、発光体であってもよく、または、半透明材料、屈折性材料、もしくは反射性材料を含むものであってもよい。
【0018】
図3及び
図4を参照すると、本開示に係る柔軟なグリップアセンブリの別の形態に全体として符号30が付されている。グリップアセンブリ30は、細長い管状部材(グリップ)32を有する。管状部材32は、破線36で示されるゴルフクラブの管状の操作部またはシャフトのような器具の操作部を受け入れる開いた端部34を有する。開いた端部34の反対側の端部は、横部材38によって実質的に閉じられている。横部材38は、管状部材32の端部内に形成された開いた空洞部40の床部を構成する。空洞部40は、挿入体42を受け入れるものであってもよい。挿入体42は、電子的センサー、追跡装置、トランスデューサー、RFIDタグ、または装飾用品であってもよい。挿入体42は、空洞部40の周縁の、内方に延びる少なくとも1つのまたは複数の離散的な部分44、46によって、空洞部内に保持される。これらの離散的な部分は、空洞部40の一部のみにわたって延びるものである。
【0019】
本形態では、離散的な部分44、46は、管状部材32の硬度よりも有意に大きい硬度を有するエラストマー材料またはゴム材料から形成されるものであってもよい。本形態において、離散的な部分は、65〜100の範囲のショアA硬度を有する材料から形成するのが良いことがわかった。離散的な部分44、46は、全体として、円弧の中心角で30°〜300°の範囲の分だけ周方向に広がるものである。離散的な部分44、46は、管状部材32とは異なる色からなるものであってもよい。挿入体42は、色付きの標識、ロゴ、グラフィックス、またはエンボス加工部を有するメダルを含むものであってもよい。
【0020】
図5、
図6、及び
図7を参照すると、本開示に係る柔軟なグリップアセンブリの別の形態に、全体として符号50が付されている。グリップアセンブリ50は、エラストマー材料またはゴム材料から形成された管状部材(グリップ)52を有する。管状部材52は、開いた端部54を有する内縁を有している。開いた端部54は、破線56で示されるゴルフクラブの管状のシャフトのような器具の操作部の端部を受け入れるために適している。開いた端部54の反対側の端部は、横部材58によって実質的に閉じられている。横部材58は、管状部材52の硬度よりも有意
に大きい硬度を有する材料から、
図1に示す実施形態と同様の方法で形成される。横部材58は、グリップの反対側の、端部54の遠位端において、開いた空洞部60の床部を構成する。
【0021】
図5、
図6、及び
図7に示す形態は、架橋部62を有している。架橋部62は、内方に延びる離散的な部分を延長し、かつ結合することによって形成されるものであってもよい。架橋部62は、挿入体を空洞部60内に保持するために、空洞部60内に受け入れられた挿入体64上を延びるように、形成される。本形態では、架橋部62を、管状部材52の硬度よりも有意に大きい硬度を有する材料から形成することが良いことがわかった。本形態では、架橋部62を、空洞部60の周縁に沿った円弧の中心角で30°〜300°の範囲を覆うように形成するのが良いことが分かった。
図5、
図6、及び
図7に示す形態において、架橋部は、2つの開口部を形成しつつ中心部で結合する2つの離散的な部分(アーム部)によって構成される。但し、2よりも多数のアーム部を使用することもできる。本形態において、架橋部は、円弧の中心角で10°〜90°の範囲、または、幅で1mm〜7mmの範囲に広がるアーム部を含むものであってもよい。アーム部は、平行なまたはテーパー付きの側面を有するものであってもよい。あるいは、架橋部62に対して、3〜5個の間隔を置いたアーム部を使用するものであってもよい。これらのアーム部は、中心部で結合し、関連する数の開口部を形成する。挿入体は、センサー、トランスデューサー、追跡装置、RFIDタグ、または装飾用品のうちの1つを含むものであってもよい。また、挿入体は、色付きの標識、ロゴ、グラフィックス、またはエンボス加工部を有するメダルを含むものであってもよい。装飾用品は、メダル、発光装置であってもよく、また、半透明材料、屈折性材料、または反射性材料を含むものであってもよい。
【0022】
図8を参照すると、本開示に係る柔軟なグリップアセンブリの別の形態に、全体として符号70が付されている。グリップアセンブリ70は、エラストマー材料またはゴム材料から形成された管状部材(グリップ)72を有する。管状部材72は、破線74で示されるゴルフクラブのシャフトのような器具の操作部の端部を受け入れる開いた端部を有している。グリップ72は、反対側の端部に、空洞部を備える実質的に閉じた端部を有しており、空洞部は、そこに受け入れられた挿入体80を有している。挿入体は、上述した形態における任意の技術によって保持することができる。挿入体80は、トランスデューサー、RFIDタグ、追跡装置、センサー、または、メダルのような装飾用品を含むものであってもよい。本形態のグリップアセンブリ70では、スロット部または開口部76によって、挿入体80が部分的に露出されている。スロット部または開口部76は、ユーザが視認するために挿入体80が部分的に露出されるように、センサー用の空洞部の側壁中に形成される。市場性のために所望する場合、この開口部は、挿入体80に備えられた装飾用の色付きの標識、グラフィックス、エンボス加工部、またはロゴを露出するものであってもよい。開口部76は、グリップ中に成形されるものであってもよく、または、成形後に設けられるものであってもよい。
【0023】
図5、
図6、及び
図7に示す形態において、挿入体64は、所定の位置に成形されるものであってもよい。あるいは、架橋部を引き伸ばして、挿入体を所定の位置に嵌め込むものであってもよい。あるいは、挿入体は、横部材58を設置する前に、管状部材の開いた端部から設置されるものであってもよい。
【0024】
このように、本開示は、ゴルフクラブのような速度及び加速度を伴って手でスイングされる器具のための柔軟なグリップアセンブリを説明するものである。このグリップアセンブリは、ゴルフクラブの管状のシャフトのような器具の操作部の端部を受け入れるために適した、開いた端部を備えた管状部材(グリップ)を有している。グリップの開いた端部は、横部材によって実質的に閉じられた反対側の端部を有している。横部材は、有意に大きい硬度を有する材料から形成される。横部材は、グリップの端部中に備えられる開いた空洞部に対して床部を提供する。センサーまたはメダルのような挿入体は、開いた空洞部内に受けいれられ、一形態では、周縁のリップ部によって保持される。別の形態では、挿入体は、半径方向内方に延びる離散的な部分によって保持される。別の形態では、挿入体は、離散部分を延長して結合し、空洞部上を延びる架橋部を形成することによって、保持される。周縁のリップ部、内方に延びる離散的な部分、及び、架橋部も、器具の操作部を受け入れる管状部材の硬度よりも有意に大きい硬度を有する材料から形成されるものであってもよい。これによって、本開示に係るグリップアセンブリでは、装飾用のメダルまたは速度及び加速度のセンサーのうちの1つを含む挿入体を、グリップ中に組み込むことが可能となり、ひいては、ユーザのパフォーマンスの分析の機能を追加し、または、市場性または美観のために、色付きの標識、ロゴ、グラフィックス、またはエンボス加工部を提供することが可能となる。
【0025】
以上、例示的な形態を、図面を参照して説明した。上述した詳細な説明を読みかつ理解すれば、当業者が修正及び変更に想到することは明らかである。上記例示的な形態は、修正及び変更が添付請求項またはその均等物の範囲内である限り、全てのそのような修正及び変更を含むものとして解されることが意図されている。