(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859114
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
A47L15/42 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-11346(P2017-11346)
(22)【出願日】2017年1月25日
(65)【公開番号】特開2018-117868(P2018-117868A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】
遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−030163(JP,A)
【文献】
特開平04−017833(JP,A)
【文献】
特開平11−197086(JP,A)
【文献】
特開2008−073400(JP,A)
【文献】
特開平11−225939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機であって、洗浄ノズルは、洗浄ポンプから供給される洗浄水の水圧に押されて上方にのびるセンターノズルを有し、食器かごは、センターノズルが上方にのびたときセンターノズルの上端より低くなる位置に配置された上部かごを有し、上部かごは、コップや湯飲みに代表される小径で底の深い食器を、開口縁を下にして、センターノズルから離れる方向に傾斜した姿勢で支持可能であって、食器の開口縁を受ける開口受け部と、食器の周壁部の食器傾斜方向側の部分を受ける周壁受け部とを有するものにおいて、
上部かごに、上部かごの特定箇所に食器を載置することができないようにする食器載置規制手段が設けられ、この特定箇所は、ここに食器を載置すると、上部かごのセンターノズル寄りの側端から張り出す食器の部分が上方にのびるセンターノズルと干渉する可能性がある、センターノズルに最も接近した個所であり、食器載置規制手段は、前記特定箇所に設けられた邪魔板で構成され、この邪魔板は、前記特定箇所から離れた上部かごの部分に小径で底の深い食器を前記姿勢で支持させた状態で前記特定箇所に向けて移動させたときに、移動方向先方を向く食器の周壁部の部分が当接するように形成されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記邪魔板は、前記開口受け部と前記周壁受け部との両者に跨るように設けられることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記邪魔板の上縁の高さは、前記周壁受け部の上端と同等以上の高さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食器洗浄機として、洗浄ノズルを、洗浄ポンプから供給される洗浄水の水圧に押されて上方にのびるセンターノズルを有するものとし、食器かごを、センターノズルが上方にのびた状態で、センターノズルの上端より低くなる位置に配置された上部かごを有するものとしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上部かごは、コップや湯飲みに代表される小径で底の深い食器を、開口縁を下にしてセンターノズルから離れる方向に傾斜した姿勢で支持可能であって、食器の開口縁を受ける開口受け部と、食器の周壁部の食器傾斜方向側の部分を受ける周壁受け部とを有し、センターノズルに形成したノズル孔から噴射される洗浄水が食器内に入るようにしている。
【0003】
ところで、食器洗浄機の小型化のため、センターノズルと上部かごとの間の水平距離を短縮することが要求される場合がある。この場合、上部かごのセンターノズルに最も接近した個所に食器を載置すると、上部かごのセンターノズル寄りの側端から張り出す食器の部分が上方にのびるセンターノズルと干渉してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−30163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、上部かごに載置した食器が上方にのびるセンターノズルと干渉することを防止できるようにした食器洗浄機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機であって、洗浄ノズルは、洗浄ポンプから供給される洗浄水の水圧に押されて上方にのびるセンターノズルを有し、食器かごは、センターノズルが上方にのびたときセンターノズルの上端より低くなる位置に配置された上部かごを有
し、上部かごは、コップや湯飲みに代表される小径で底の深い食器を、開口縁を下にして、センターノズルから離れる方向に傾斜した姿勢で支持可能であって、食器の開口縁を受ける開口受け部と、食器の周壁部の食器傾斜方向側の部分を受ける周壁受け部とを有するものにおいて、上部かごに、上部かごの特定箇所に食器を載置することができないようにする食器載置規制手段が設けられ、この特定箇所は、ここに食器を載置すると、上部か
ごのセンターノズル寄りの側端から張り出す食器の部分が上方にのびるセンターノズルと干渉する可能性がある、センターノズルに最も接近した個所であ
り、食器載置規制手段は、前記特定箇所に設けられた邪魔板で構成され、この邪魔板は、前記特定箇所から離れた上部かごの部分に小径で底の深い食器を前記姿勢で支持させた状態で前記特定箇所に向けて移動させたときに、移動方向先方を向く食器の周壁部の部分が当接するように形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、上部かごの特定箇所たるセンターノズルに最も接近した個所には、ここに設けた
邪魔板に食器の周壁部が当接することで、食器を載置することができなくなる。そのため、上部かごのセンターノズルに最も接近した個所に食器を載置した場合に発生する、食器が上方にのびるセンターノズルに干渉するという不具合を防止することができる。
【0009】
また、邪魔板は、開口受け部と周壁受け部との両者に跨るように設けられることが望ましい。これによれば、邪魔板が開口受け部と周壁受け部とを連結する補強部材としても機能し、上部かごの剛性が高められる。
【0010】
尚、邪魔板の上縁の高さが周壁受け部の上端の高さより低いと、食器の周壁部を周壁受け部の上端と邪魔板の上縁とに載せた状態で特定箇所に誤って食器を載置してしまう恐れがある。そのため、邪魔板の上縁の高さは、周壁受け部の上端と同等以上の高さであることが望ましい。これによれば、食器の周壁部を邪魔板の上縁に載せても、周壁受け部の上端に食器の周壁部が載らないため、食器が安定せず、特定箇所に誤って食器を載置してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の切断側面図。
【
図2】実施形態の食器洗浄機の洗浄槽の斜め上方から見た斜視図。
【
図3】実施形態の食器洗浄機の洗浄槽の要部の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す本発明の実施形態の食器洗浄機は、システムキッチンに組み込んで設置されるビルトイン式のものであり、前面が開放されたハウジング1内に前方に引出し自在に収納される洗浄槽2を備えている。洗浄槽2内には、食器類を支持する食器かご3が収納されると共に、食器かご3に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル4が設けられている。尚、洗浄槽2の前面には、ハウジング1の前面を閉塞する前蓋21が取付けられている。また、ハウジング1内の上部には、洗浄槽2の開放された上面を閉塞するシール蓋11が設けられている。
【0013】
洗浄槽2の底部には、残菜フィルタ22を介して洗浄槽2内に連通する洗浄水の溜り部23が設けられている。洗浄槽2の底部下側には、溜り部23に連通する洗浄ポンプ5が設置されている。そして、洗浄ポンプ5を正転させたとき、洗浄槽2内の洗浄水が溜り部23と洗浄ポンプ5とを介して洗浄ノズル4に供給され、洗浄ポンプ5を逆転させたとき、洗浄水が洗浄槽2から排水されるようにしている。
【0014】
洗浄ノズル4は、洗浄槽2の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズル41と、下ノズル41の長手方向中央部に立設されたセンターノズル42とを有している。下ノズル41は、これに形成したノズル孔411から洗浄水を噴射し、この噴射反力により旋回する。センターノズル42は、下ノズル41に一体の下半部42aと、下半部42aに上下動自在に内挿した上半部42bとで構成されている。洗浄ポンプ5から洗浄水が供給されると、上半部42が洗浄水の水圧に押されて上動し、センターノズル42が上方にのびる。そして、下半部42aの上端部に形成したノズル孔421と上半部42bに形成したノズル孔422とから洗浄水が噴射される。
【0015】
食器かご3は、下ノズル41の上方に配置された、大皿、小皿、中鉢、椀等の比較的大型の食器W1を支持する下部かご31と、センターノズル42より後方で、センターノズル42が上方にのびたときセンターノズル42の上端よりも低くなる位置に配置された、コップや湯飲みに代表される小径で底の深い食器W2を支持する上部かご32とを有している。下部かご31の中央部には、これに載置する食器W1がセンターノズル42に干渉することを防止できるように、センターノズル42を囲うガード枠311が設けられている。
【0016】
図2乃至
図4も参照して、上部かご32は、洗浄槽2の上部壁面に係合支持される、線材で構成される枠体321と、枠体321に固定される合成樹脂製のかご本体322とで構成されている。かご本体322は、湾曲した前後2列の食器支持部322a,322bを有し、これら各列の食器支持部322a,322bに、複数の食器W2を横方向に並べて支持できるようにしている。各列の食器支持部322a,322bは、食器W2を、開口縁を下にして、センターノズル42から離れる方向(後方)に傾斜した姿勢で支持可能であって、食器W2の開口縁を受ける複数の棒状体で構成される開口受け部323と、食器W2の周壁部の傾斜方向側、即ち、後側の部分を受ける単数又は複数の棒状体で構成される周壁受け部324とを有する。
【0017】
ここで、本実施形態では、食器洗浄機の小型化のため、センターノズル42と上部かご32との間の水平距離を短縮している。その結果、上部かご32のセンターノズル42に最も接近した個所、即ち、前列の食器支持部322aの横方向中央部に食器W2を載置した場合、上部かご32のセンターノズル42寄りの側端、即ち、前端から張り出す食器W2の部分が上方にのびるセンターノズル42と干渉する可能性がある。
【0018】
そこで、本実施形態では、前列の食器支持部322aの横方向中央部を特定箇所として、この特定箇所に食器W2を載置することができないようにする食器載置規制手段を設けている。具体的に説明すれば、特定箇所に、
当該特定箇所から離れた前列の食器支持部322aの部分に食器W2を上記姿勢で支持させた状態で特定箇所に向けて移動させたときに、移動方向先方を向く食器W2の周壁部の部分が当接する邪魔板325を設け、この邪魔板325で食器載置規制手段を構成している。これによれば、食器W2の周壁部が邪魔板325に当接することで、特定箇所に食器W2を載置するスペースがなくなって、食器W2を載置できなくなるため、特定箇所に食器W2を載置した場合に発生する、食器W2が上方にのびるセンターノズル42に干渉するという不具合を防止することができる。
【0019】
また、本実施形態において、邪魔板325は、前列の食器支持部322aの開口受け部323と周壁受け部324との両者に跨るように設けられている。これにより、邪魔板325が開口受け部323と周壁受け部324とを連結する補強部材としても機能し、上部かご32の剛性が高められる。更に、本実施形態では、邪魔板325に、枠体321の横棒部321aに係合する垂下部325aを延出して、かご本体322の支持剛性を高められるようにしている。
【0020】
尚、邪魔板325の上縁の高さが周壁受け部324の上端の高さより低いと、食器W2の周壁部を周壁受け部324の上端と邪魔板325の上縁とに載せた状態で特定箇所に誤って食器W2を載置してしまう恐れがある。そこで、本実施形態では、邪魔板325の上縁の高さを、周壁受け部324の上端と同等以上の高さにしている。これによれば、食器W2の周壁部を邪魔板325の上縁に載せても、周壁受け部324の上端に食器W2の周壁部が載らないため、食器W2が安定せず、特定箇所に誤って食器W2を載置してしまうことを防止できる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、食器載置規制手段を特定箇所に設けた1枚の邪魔板325で構成しているが、特定箇所に後方に向かって間隔が広がるV字状に配置した2枚の邪魔板で食器載置規制手段を構成することも可能である。また、上記実施形態では、上部かご32がセンターノズル42の後方に位置しているが、上部かごをセンターノズルの前方や、横方向に位置させるものにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0022】
2…洗浄槽、3…食器かご、32…上部かご、323…開口受け部、324…周壁受け部、325…邪魔板、4…洗浄ノズル、42…センターノズル、5…洗浄ポンプ。