特許第6859145号(P6859145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6859145エレベーター交換部品管理装置、エレベーター交換部品管理システム、エレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法、及び保守端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859145
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】エレベーター交換部品管理装置、エレベーター交換部品管理システム、エレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法、及び保守端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20210405BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   G06Q10/00 300
   B66B5/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-54307(P2017-54307)
(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公開番号】特開2018-156529(P2018-156529A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 尊之
(72)【発明者】
【氏名】簗瀬 誠司
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−084302(JP,A)
【文献】 特開2015−191528(JP,A)
【文献】 特開2009−211454(JP,A)
【文献】 特開2013−250853(JP,A)
【文献】 特開2006−252262(JP,A)
【文献】 特開2017−120545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守作業において交換されうる部品に関する部品情報を管理するエレベーター交換部品管理装置であって、
既定の現場ごとの既定の位置情報を管理する現場位置情報管理テーブルと、
前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて、交換部品情報を管理する部品情報テーブルと、
保守員が携帯する保守端末の端末位置情報を取得する端末位置検出部と、
前記保守端末で読み取られた前記交換部品情報を取得する部品情報読取部と、
作業対象の現場を特定する識別情報に基づき前記現場位置情報管理テーブルから取得された該現場の前記既定の位置情報と、取得された前記端末位置情報が特定の条件を満たすか否かを判定する位置情報判定部と、
前記端末位置情報及び前記既定の位置情報が前記特定の条件を満たす場合に、前記保守端末で読み取られた前記交換部品情報を記憶部に登録する部品情報収集部と、
前記位置情報判定部によって前記端末位置情報及び前記既定の位置情報が前記特定の条件を満たさないと判定された場合に、前記交換部品情報が示す交換部品が前記既定の位置情報が表す本来の使用現場において使用されていない旨を表示する表示装置と、
を備えることを特徴とするエレベーター交換部品管理装置。
【請求項2】
保守作業において交換されうる部品に関する部品情報を管理する情報管理装置と、前記保守作業の際に携帯される保守端末と、を備えるエレベーター交換部品管理システムであって、
前記情報管理装置は、
既定の現場ごとの既定の位置情報を管理しており、
前記保守端末は、
現在地を測位して端末位置情報を取得する端末位置検出部と、
部品に付された部品情報を読み取り可能な部品情報読取部と、
前記情報管理装置から取得した前記既定の現場ごとの既定の位置情報と、前記端末位置検出部によって取得された端末位置情報が特定の条件を満たすか否かを判定する位置情報判定部と、
前記既定の現場ごとの既定の位置情報と前記端末位置情報とが前記特定の条件を満たす場合、前記部品情報読取部によって読み取られた部品情報としての交換部品情報を、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて前記情報管理装置に登録する部品情報収集部と、
前記位置情報判定部によって前記端末位置情報及び前記既定の位置情報が前記特定の条件を満たさないと判定された場合に、前記部品が前記既定の位置情報が表す本来の使用現場において使用されていない旨を表示装置に表示する表示装置と、
を備えることを特徴とするエレベーター交換部品管理システム。
【請求項3】
前記情報管理装置は、
前記既定の現場ごとの既定の位置情報を管理する現場位置情報管理テーブルと、
前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて、前記交換部品情報を管理する部品情報テーブルと、を備え、
前記保守端末では、前記特定の条件を満たす場合、
前記部品情報収集部が、前記部品情報テーブルに対して、前記交換部品情報を、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて前記情報管理装置に登録する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベーター交換部品管理システム。
【請求項4】
前記位置情報判定部は、
前記特定の条件として、前記既定の位置情報による位置と前記端末位置情報による位置とが一定距離内でない場合、前記情報管理装置に対する前記交換部品情報の登録を規制することを特徴とする請求項2に記載のエレベーター交換部品管理システム。
【請求項5】
前記保守端末は、
前記特定の条件を満たさない場合、前記表示装置に、前記情報管理装置に対する前記交換部品情報の登録を規制する旨を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベーター交換部品管理システム。
【請求項6】
保守作業において交換されうる部品に関する部品情報を管理する情報管理装置と、前記保守作業の際に携帯される保守端末と、を備えるエレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法であって、
前記情報管理装置が、既定の現場ごとの既定の位置情報を管理する既定現場位置情報管理ステップと、
前記保守端末が、現在地を測位して端末位置情報を取得する端末位置検出ステップと、
前記保守端末が、部品に付された部品情報を読み取り可能な部品情報読取ステップと、
前記保守端末が、前記情報管理装置から取得した前記既定の現場ごとの既定の位置情報と、前記端末位置検出ステップにおいて取得された端末位置情報が特定の条件を満たすか否かを判定する位置情報判定ステップと、
前記既定の現場ごとの既定の位置情報と前記端末位置情報とが前記特定の条件を満たす場合、前記保守端末が、前記部品情報読取ステップにおいて読み取られた部品情報としての交換部品情報を、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて前記情報管理装置に登録する部品情報収集ステップと、
前記位置情報判定ステップによって前記端末位置情報及び前記既定の位置情報が前記特定の条件を満たさないと判定された場合に、前記部品が前記既定の位置情報が表す本来の使用現場において使用されていない旨を表示装置に表示する表示ステップと、
を有することを特徴とするエレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法。
【請求項7】
保守作業の際に携帯される保守端末であって、
現在地を測位して端末位置情報を取得する端末位置検出部と、
部品に付された部品情報を読み取り可能な部品情報読取部と、
既定の現場ごとの既定の位置情報と、前記端末位置検出部によって取得された端末位置情報が特定の条件を満たすか否かを判定する位置情報判定部と、
前記既定の現場ごとの既定の位置情報と前記端末位置情報とが前記特定の条件を満たす場合、前記部品情報読取部によって読み取られた部品情報としての交換部品情報を、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて登録を指令する部品情報収集部と、
前記位置情報判定部によって前記端末位置情報及び前記既定の位置情報が前記特定の条件を満たさないと判定された場合に、前記部品が前記既定の位置情報が表す本来の使用現場において使用されていない旨を表示する表示装置と、
を備えることを特徴とする保守端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター交換部品管理装置、エレベーター交換部品管理システム、エレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法、及び保守端末に関し、特に、例えばエレベーターの保守作業時に交換された部品の情報を収集し管理するエレベーター交換部品管理システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりエレベーターの保守点検作業においては、作業者がノートパソコンなどの携帯端末装置を保守端末として携帯し、様々な現場情報や作業情報を入力し、保守作業に関する情報を蓄積している。
【0003】
例えば、従来の携帯端末装置は、作業現場の一例としての街路灯に設けられているICタグから現場設備特定情報を読み取るICタグリーダを備えているとともに、GPS衛星からの測位用電波を受信して緯度経度情報を出力するGPSレシーバを備えている。作業者は、このような携帯端末装置を用いて、そのGPSレシーバによって緯度経度情報を取得して当該街路灯の登録位置と一致しているとみなせるか否かを判定し、一致しているとみなせる場合には、当該街路灯が、ランプなどの交換部品が取り付けられるべき街路灯であると確認することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−200015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の手法では、交換部品が実際に対象となる作業現場に取り付けられたかどうかについては判別することができない。作業スケジュールの都合により、別の作業現場において使用される可能性があったり、同種の部品であっても別の製造ロットの部品が使用される可能性もあり、確実に対象の交換部品が予定の作業現場において取り付けられる保証は無い。これでは交換対象の部品の情報を収集する意味が無くなってしまう。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、交換部品の情報及びその設置現場の位置情報をより正確に収集して蓄積可能なエレベーター交換部品管理装置、エレベーター交換部品管理システム、エレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法、及び保守端末を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明においては、保守作業において交換されうる部品に関する部品情報を管理するエレベーター交換部品管理装置であって、既定の現場ごとの既定の位置情報を管理する現場位置情報管理テーブルと、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて、交換部品情報を管理する部品情報テーブルと、保守員が携帯する保守端末の端末位置情報を取得する端末位置検出部と、前記保守端末で読み取られた前記交換部品情報を取得する部品情報読取部と、前記現場位置情報管理テーブルと前記部品情報テーブルに基づいて、取得された前記端末位置情報及び前記交換部品情報を比較する位置情報判定部と、前記端末位置情報及び前記交換部品情報とが特定の条件を満たす場合に、前記保守端末で読み取られた前記交換部品情報を記憶部に登録する部品情報収集部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明においては、保守作業において交換されうる部品に関する部品情報を管理する情報管理装置と、前記保守作業の際に携帯される保守端末と、を備えるエレベーター交換部品管理システムであって、前記情報管理装置は、既定の現場ごとの既定の位置情報を管理しており、前記保守端末は、現在地を測位して端末位置情報を取得する端末位置検出部と、部品に付された部品情報を読み取り可能な部品情報読取部と、前記情報管理装置から取得した前記既定の現場ごとの既定の位置情報と、前記端末位置検出部によって取得された端末位置情報を比較する位置情報判定部と、前記既定の現場ごとの既定の位置情報と前記端末位置情報とが特定の条件を満たす場合、前記部品情報読取部によって読み取られた部品情報としての交換部品情報を、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて前記情報管理装置に登録する部品情報収集部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明においては、保守作業において交換されうる部品に関する部品情報を管理する情報管理装置と、前記保守作業の際に携帯される保守端末と、を備えるエレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法であって、前記情報管理装置が、既定の現場ごとの既定の位置情報を管理する既定現場位置情報管理ステップと、前記保守端末が、現在地を測位して端末位置情報を取得する端末位置検出ステップと、前記保守端末が、部品に付された部品情報を読み取り可能な部品情報読取ステップと、前記保守端末が、前記情報管理装置から取得した前記既定の現場ごとの既定の位置情報と、前記端末位置検出ステップにおいて取得された端末位置情報を比較する位置情報判定ステップと、前記既定の現場ごとの既定の位置情報と前記端末位置情報とが特定の条件を満たす場合、前記保守端末が、前記部品情報読取ステップにおいて読み取られた部品情報としての交換部品情報を、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて前記情報管理装置に登録する部品情報収集ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明においては、保守作業の際に携帯される保守端末であって、現在地を測位して端末位置情報を取得する端末位置検出部と、部品に付された部品情報を読み取り可能な部品情報読取部と、既定の現場ごとの既定の位置情報と、前記端末位置検出部によって取得された端末位置情報を比較する位置情報判定部と、前記既定の現場ごとの既定の位置情報と前記端末位置情報とが特定の条件を満たす場合、前記部品情報読取部によって読み取られた部品情報としての交換部品情報を、前記既定の現場ごとの既定の位置情報に対応付けて登録を指令する部品情報収集部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、交換部品の情報及びその設置現場の位置情報をより正確に収集して蓄積することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態によるエレベーター交換部品管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示す作業情報テーブルの一例を示す図である。
図3図1に示す現場位置情報テーブルの一例を示す図である。
図4図1に示す部品情報テーブルの一例を示す図である。
図5】本実施の形態による部品情報収集処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図6】画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。
(1)本実施の形態によるエレベーター交換部品管理システムの構成
図1は、本実施の形態におけるエレベーター交換部品管理システムの一例を示すシステム構成図である。エレベーターの保守点検作業において作業者は、携帯している保守端末100を操作しながら作業スケジュールに従って通常1日に複数の現場を巡回して必要な場合には部品の交換などの作業を実施する。
【0014】
この保守端末100は、各種情報を表示する表示装置101と、保守端末100の位置情報を検出する端末位置検出部102と、部品から部品情報を読み取る部品情報読取部104と、センタシステム200との通信を行う通信部103と、を備える。
【0015】
部品情報読取部104は、例えば、部品に貼り付けられたバーコードを読み取り可能なバーコードリーダーである。このバーコードには、部品の識別番号としての部品番号を含んでいるとともに、この部品番号が表す部品のロットを表すロット番号を含んでいる。なお、バーコードを読み取る手段としては、例えば、保守端末100が内蔵するカメラを利用してもよいし、その代わりに、保守端末100とは別途、部品のバーコードを読み取り可能な専用装置を設けても良い。
【0016】
センタシステム200は、保守端末100と通信する通信部201と、制御部202と、テーブルを格納可能な記憶部210とを備える。記憶部210には、作業スケジュール及び作業内容が蓄積される作業情報テーブル211と、現場毎の位置情報が蓄積される現場位置情報テーブル212と、保守端末100から送信される部品情報が蓄積される部品情報テーブル213とが格納されている。
【0017】
作業情報テーブル211は、図2に示すように、そのカラムとして、作業日211A、作業者211B、顧客番号211C、製造番号211D、作業番号211E、及び号機211Fを備えている。
【0018】
作業日211Aは、作業を実施する日を表している。作業者211Bは、当該作業を実施する作業者名を表している。顧客番号211Cは、作業対象のエレベーターを保有する顧客の識別情報を表している。製造番号211Dは、当該エレベーターの製造番号を表している。作業番号211Eは、上記作業を他の作業との識別情報を表している。号機211Fは、上記顧客における上記作業対象のエレベーターの号機を表している。
【0019】
現場位置情報テーブル212は、図3に示すように、そのカラムとして、顧客番号212A、製造番号212B、位置情報212C、及び号機212Dを有する。顧客番号212Aは、図2に示す作業情報テーブル211の顧客番号211Cに関係づけられている。製造番号212Bは、図2に示す作業情報テーブル211の製造番号211Dに関係づけられている。位置情報212Cは、現場の位置を表している。号機212Dは、図2に示す作業情報テーブル211の号機211Fに関連付けられている。
【0020】
部品情報テーブル213は、図4に示すように、そのカラムとして、顧客番号213A、製造番号213B、部品番号213C、ロット番号213D、作業番号213E、作業日213F、作業者213G、及び号機213Hを備えている。
【0021】
顧客番号213Aは、図2に示す作業情報テーブル211の顧客番号211C及び図3に示す現場位置情報テーブル212の顧客番号212Aに関連付けられている。製造番号213Bは、図2に示す作業情報テーブル211の顧客番号211C及び図3に示す現場位置情報テーブル212の顧客番号212Aに関連付けられている。
【0022】
部品番号213Cは、部品に対応付けられた部品番号を表している。各部品には、当該部品番号を表すバーコードが付されている。ロット番号213Dは、部品番号213Cが表す部品のロット番号を表している。
【0023】
作業番号213Eは、図2に示す作業情報テーブル211の作業番号211Eに関連付けられている。作業日213Fは、部品番号213Cが表す部品の交換を伴う作業が実施された日にちを表す。作業者213Gは、当該作業を実施した作業者名を表している。号機213Hは、図2に示す作業情報テーブル211の号機211F及び図3に示す現場位置情報テーブル212の号機212Dに関連付けられている。
【0024】
保守端末100は、センタシステム200との通信機能や表示装置101への作業情報の表示機能など、エレベーターの保守点検作業に必要な各種機能を備えた業務アプリケーション110を備える。
【0025】
記憶部120には、センタシステム200から取得した作業情報121及び現場位置情報122と、端末位置検出部102によって取得された保守端末100の端末位置情報123と、交換部品に貼り付けられたバーコードから読取った情報に対象エレベーター(図示せず)の製造番号、作業年月日等の作業情報を付加した交換部品情報124と、が格納されている。
【0026】
交換部品情報124には、対象エレベーター(図示せず)の製造番号、作業年月日、部品番号、部品の製造年月、部品の製造ロット番号などが含まれる。
【0027】
保守端末100を所持する作業者は、業務アプリケーション110を起動し、作業情報121に従って保守点検作業を実施する。この業務アプリケーション110は、部品情報収集部111及び位置情報判定部112を有する。
【0028】
部品情報収集部111は、部品情報読取部104によって部品のバーコードが読み取られて得られた部品情報を、交換部品情報124として保守端末100の記憶部120に一時的に格納する。
【0029】
位置情報判定部112は、部品のバーコードから部品情報を読取った際にセンタシステム200から取得した現場位置情報122と、端末位置情報123とを比較し、当該部品が、現場位置情報122が表す本来の使用位置において使用されたか否かを判定する。
【0030】
(2)部品情報収集処理
以下、図1図5を参照しつつ本実施の形態による部品情報収集処理の一例について説明する。保守端末100を所持する作業者は、業務アプリケーション110を起動して操作することにより、保守端末100はセンタシステム200の作業情報テーブル211から作業情報121を取得し、これを記憶部120に格納する(ステップS301)。
【0031】
以降、作業者は、表示装置101にて作業情報121を参照しながら作業を実施する。作業者が業務アプリケーション110を操作することで、作業情報121に基づいて、作業対象の現場、エレベーターの号機及び製造番号を選択し、業務アプリケーション110の部品情報収集部111が起動される(ステップS302)。
【0032】
部品情報収集部111は、部品情報読取部104に、交換部品に予め貼り付けられたバーコードを読み取らせる(ステップS303)。この際、部品情報収集部111は、センタシステム200に対し、選択されている作業対象の現場を特定する識別情報として、例えば顧客番号を送信し、当該現場の現場位置情報122を要求する(ステップS304)。
【0033】
センタシステム200では、制御部202が、現場位置情報テーブル212を検索し、上記受信した顧客番号と一致する現場位置情報122を、保守端末100へ返信する(ステップS305)。
【0034】
保守端末100では、業務アプリケーション110が、記憶部120に、受信した現場位置情報122を格納する(ステップS306)。この業務アプリケーション110は、端末位置検出部102によって、上記取得した保守端末100の端末位置情報123を記憶部120に格納する(ステップS307)。
【0035】
次に業務アプリケーション110は、位置情報判定部112によって、記憶部120に格納した現場位置情報122と、端末位置情報123とを比較することで、現場位置情報122が表す位置と端末位置情報123が表す位置とが一定距離内であるか否かについて判定を実施する(ステップS308,S309)。
【0036】
上述した現場位置情報122が表す位置と端末位置情報123が表す位置とが一定距離内であると判定された場合、業務アプリケーション110は、読み取ったバーコードの部品情報を、交換部品情報124として記憶部120に格納する(ステップS310)。
【0037】
ここで、上述した「一定距離」とは、エレベーター機械室またはエレベーター乗り場近傍での作業を想定し、例えば10m程度である。エレベーターや機械室の設置形態に応じて現場毎に異なる距離を設定するようにしてもよい。また、機械室が上部に設けられている設備の場合には、測位精度が良いため、当該「一定距離」内であるか否かの判定をより厳密に実施する一方、機械室が下部に設けられている設備の場合には、測位精度が悪いため、当該「一定距離」内であるか否かの判定をより厳密に実施するようにしても良い。
【0038】
現場位置情報122と端末位置情報123とが位置的に一定距離内でないと判定された場合は、業務アプリケーション110は、表示装置101にエラーメッセージを表示し、交換部品情報124を記憶部120に格納しない(ステップS311)。
【0039】
このエラーメッセージの内容としては、例えば、図6に示す画面例のように「現在の位置は、交換対象現場の位置と一致していないため、交換部品情報を登録できません。部品交換を行うべき本来の現場で、交換部品情報を登録してください」のような文言である。
【0040】
記憶部120に格納された交換部品情報124は、業務アプリケーション110にて保守端末100からセンタシステム200へ送信され、部品情報テーブル213に蓄積される(ステップS312)。
【0041】
なお、交換部品情報124のセンタシステム200への送信は、現地から実施しても良いし、その代わりに、当日の全ての作業終了後、作業者が事務所へ帰着した際に、他の作業結果データとともに送信しても良い。
【0042】
本実施の形態では、エレベーターの部品交換作業を例示したが、これに限られず、エスカレータなど他の形態の昇降機でも同様に適用することができる。
【0043】
なお、部品情報の読取り手段は、本実施の形態において既に説明したバーコード(一次元、二次元)の他、ICタグなど他の手段でもよい。保守端末100の位置情報の取得手段は、本実施の形態において既に説明したGPS(Global Positioning System)などの測位システムの他、現場に予め貼り付けた、顧客番号など現場固有の情報を含んだ一次元バーコードまたは二次元バーコードを読み取ること、またはエレベーターのマイコンや監視装置から、製造番号など当該エレベーター固有の情報を読み取るなど、保守端末100が現場に存在することが確認できる手段で行ってもよい。
【0044】
現場位置情報122の取得は、前記実施例では部品情報収集部111がバーコードを読み取るときにセンタシステム200へ要求しているが、処理ステップS301にて作業情報121を取得するときに、作業スケジュールに合わせて同時に取得し、予め記憶部120に格納しておいてもよい。
【0045】
これにより、エレベーター保守現場における交換部品情報を収集する際に、交換部品及びその設置現場の位置情報を確実に収集して蓄積し、交換部品の設置後であっても当該交換部品及びその設置現場の位置を正確に追跡することができる。
【0046】
(3)その他の実施形態
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、各種プログラムの処理をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、処理結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替え又は並行動作するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば、エレベーターの保守作業時に交換された部品の情報を収集し管理するエレベーター交換部品管理装置、エレベーター交換部品管理システム、エレベーター交換部品管理システムにおける交換部品管理方法、及び保守端末に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
100……保守端末、101……表示装置、102……端末位置検出部、103……通信部、104……部品情報読取部、110……業務アプリケーション、111……部品情報収集部、112……位置情報判定部、120……記憶部、121……作業情報、122……現場位置情報、123……端末位置情報、124……交換部品情報、200……センタシステム、201……通信部、210……記憶部、211……作業情報テーブル、212……現場位置情報テーブル、213……部品情報テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6