(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分圧回路は共通接続回路点を介して直列に接続される第1抵抗と第2抵抗を含む抵抗回路を含み、前記第1抵抗の一端はバンドギャップレファレンス回路に前記第1抵抗の他端は前記共通接続回路点にそれぞれ接続され、前記第2抵抗の一端は前記共通接続回路点に前記第2抵抗の他端は接地電位にそれぞれ接続される請求項1〜5のいずれか一項に記載の発振回路装置。
前記クロック信号生成回路は、前記第2電流に基づき第3電流を生成するカレントミラー回路と、前記第3電流で充電または放電が繰り返されるキャパシタと、前記キャパシタに生じさせる三角波状電圧の上限値および下限値を設定するコンパレータを有し、前記コンパレータの出力から矩形状の前記クロック信号を出力する請求項1〜8のいずれか一項に記載の発振回路装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用したスイッチングレギュレータの第1実施形態を示す回路構成図である。以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本構成例のスイッチングレギュレータ1は、入力端子INに供給される入力電圧Vinを降圧して所望の出力電圧Voutを出力端子OUTに出力する、よく知られた降圧型のスイッチングレギュレータを構成している。
【0030】
スイッチングレギュレータ1は、スイッチングトランジスタ2a、同期整流素子3、ソフトスタート制御回路4、誤差増幅器5、発振回路装置6、スロープ信号生成回路11、合算手段12、PWMコンパレータ13及び駆動制御回路14を備える。これらは、半導体集積回路装置1aに内蔵されている。半導体集積回路装置1aには、複数の外部端子が用意されている。
【0031】
さらに、半導体集積回路装置1aの外部に設けた各外部端子を介して、入力電圧Vin、インダクタL、キャパシタC1〜C3、抵抗R1〜R4及び接地電位GNDが接続されている。スイッチングレギュレータ1は、半導体集積回路装置1aと、これに付設した外部端子に接続されるインダクタ、キャパシタ、抵抗等の受動素子の働きによって降圧動作を行う。インダクタLのインダクタンスは例えば、数μHに選ばれ、キャパシタC1の容量値は十数μF〜数十μF、キャパシタC2のそれは数百pF〜数千pFに、キャパシタC3は、数百pF〜数千pFにそれぞれ設定する。しかしこれらの値はあくまでも設計事項の1つであり、降圧型、昇圧型、昇降圧型、および反転型等、さらに入力電圧、出力電圧それぞれの大きさ、さらには、所望する周波数特性等に応じてそれらの値は適宜選ばれることになる。
【0032】
入力電圧Vinは、例えば10V〜15Vに選ばれた直流電圧であり、入力端子INに印加される。なお、出力電圧Voutは例えば5V前後に設定されている。スイッチングトランジスタ2aのソースは、入力端子INに接続される。スイッチングトランジスタ2aのドレインはスイッチング端子SW及び同期整流素子3のドレインに接続される。同期整流素子3のソースは、接地端子PGNDを介して接地電位GNDに接続されている。接地端子AGNDは、接地端子PGNDと同様に接地電位GNDに接続されるが、接地端子PGNDとは別に用意されている。これは、比較的小電流が流れ接地端子AGNDに接続されているソフトスタート制御回路4、オペアンプ5、発振回路装置6、PWMコンパレータ13、および駆動制御回路14等の回路動作が比較的大きな電流が流れる接地端子PGNDの電位の変動の影響を受けないようにするためである。
【0033】
なお、
図1にはスイッチングトランジスタ2aは、pチャネル形MOSトランジスタを、同期整流素子3はnチャネル形MOSトランジスタとしたが、これらの組み合わせに限定されない。たとえば、スイッチングトランジスタ2aはnMOSトランジスタであってもよいし、同期整流素子3はダイオードに置き換えることもできる。
【0034】
インダクタLの一端はスイッチング端子SWに接続されている。インダクタLの他端は出力端子OUT及びキャパシタC1の一端に、キャパシタC1の他端はそれぞれ接地電位GNDに接続されている。
【0035】
出力端子OUTと接地電位GNDとの間に直列接続される抵抗R1及びR2は帰還電圧生成回路として動作する。抵抗R1及びR2は、互いの共通接続ノードに帰還電圧Vfbを出力する。帰還電圧Vfbはフィードバック端子FBを介して、誤差増幅器5の反転入力端子(−)に入力される。
【0036】
キャパシタC2の一端はソフトスタート端子SSを介してソフトスタート制御回路4と接続されており、その他端は接地電位GNDに接続されている。ソフトスタート制御回路4は、図示しない例えば抵抗、キャパシタ及びスイッチング素子等で構成されており、ソフトスタート電圧Vssを生成する。ソフトスタート電圧Vssは、誤差増幅器5の第1非反転入力端子(+)に入力されている。
【0037】
誤差増幅器5の第1非反転入力端子(+)にはソフトスタート電圧Vss、第2非反転入力端子(+)には参照電圧Vref、および反転入力端子(−)には帰還電圧Vfbがそれぞれ入力される。誤差増幅器5はそれぞれの入力端子が受け入れる電圧に応じた誤差信号Verrを、PWMコンパレータ13の反転入力端子(−)に出力する。また、誤差増幅器5の出力端子は位相補償端子COMPを介して抵抗R4及びキャパシタC3が接続されている。
【0038】
発振回路装置6は、入力電圧変換部7、基準電圧部8、基準電圧調整部9及びクロック信号生成部10により構成されている。発振回路装置6で生成されるクロック信号CLKの周波数は、基準電圧調整部9によって制御、調整される。基準電圧調整部9の回路機能は、入力電圧変換部7および基準電圧部8が共にイネーブル(有効)状態に置かれたときに有効となり、いずれか一方がディスネーブル(無効)状態に置かれたときは無効となる。したがって、入力電圧変換部7に入力端子INを介して所定の範囲を超える過電圧または所定の範囲を下回る低電圧が印加されても、基準電圧部8側で、基準電圧調整部9の回路機能をディスネーブルさせることができる。同様に、基準電圧部8がイネーブル状態に置かれたとしても入力電圧変換部7が所定の電圧を出力しなかった場合には基準電圧調整部9の回路機能はディスネーブル状態となり、クロック信号生成部10で生成されるクロック信号CLKの周波数の調整、制御は実行されない。
【0039】
ここで少し具体的に述べると、発振回路装置6は、入力電圧Vinが一定の電圧以上(例えば23V以上)の過電圧状態または、一定の電圧以下(例えば10V以下)の低電圧状態に置かれた場合、クロック信号CLKの周波数を調整するように働く。基準電圧調整部9をイネーブル状態とするか、それともディスネーブル状態にするかの選択は、基準電圧部8に流れる電流の大きさによって決めることができ、その電流の大きさは基準電圧部8側に接続される抵抗R3の抵抗値によって決められている。したがって、基準電圧調整部9の回路機能を有効とするか、それとも無効とするかを抵抗R3で設定できることが本発明の大きな特徴の1つとなる。
【0040】
極論すると抵抗R3が例えば数百kΩ以上の場合には基準電圧調整部9はディスネーブルとなり、抵抗R3が例えば数十kΩ以下の場合にはイネーブル状態に設定することができる。いずれにしても、基準電圧調整部9がイネーブル状態に置かれると、入力電圧Vinが所定の範囲よりも高くなる方向(過電圧状態)、または低くなる方向(低電圧状態)のいずれに変動したとしてもクロック信号生成部10で生成するクロック信号CLKの周波数は増減電圧の大きさに比例して低下させ、後段の駆動制御回路14に出力する。
【0041】
スロープ信号生成回路11は、後段の合算手段12にランプ信号Vrampを出力する。ランプ信号Vrampはクロック信号CLKに追随して周期が変化する例えば三角波または鋸歯状波である。
【0042】
合算手段12ではランプ信号Vramp及びスイッチング電流Iswに応じた電圧成分を、信号線CSを介して合算し、スロープ信号Vslopeを生成してPWMコンパレータ13の非反転入力端子(+)に出力する。合算手段12は、スイッチングレギュレータ1を電流帰還形と構成するために用意したものであるので、電圧帰還形で用いる場合には不要となる。
【0043】
PWMコンパレータ13は、非反転入力端子(+)にスロープ信号Vslope、反転入力端子(−)に誤差信号Verrをそれぞれ受け、リセット信号Sresetを駆動制御回路14に出力する。駆動制御回路14は、スイッチングトランジスタ2a及び同期整流素子3のゲートに接続されている。
【0044】
このような構成の降圧型のスイッチングレギュレータ1の動作について以下に説明する。降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ1は、スイッチングトランジスタ2aがオン状態で同期整流素子3がオフ状態である場合、入力端子INからインダクタLを介してキャパシタC1にスイッチング電流Iswが流れ、磁気エネルギーが蓄えられる。逆にスイッチングトランジスタ2aがオフ状態で同期整流素子3がオン状態である場合、同期整流素子3側からインダクタLを介してキャパシタC1に電流が流れることにより、インダクタLに蓄えられていた磁気エネルギーが放出される。このような動作により、入力電圧Vinは降圧され、出力端子OUTから出力電圧Voutが出力される。抵抗R1と抵抗R2は、出力端子OUTから出力される出力電圧Voutを分圧して帰還電圧Vfbを生成し、フィードバック端子FBに送出する。
【0045】
ソフトスタート制御回路4は、スイッチングレギュレータ1の起動と共に、ソフトスタート端子SSに接続されるキャパシタC2の充電を開始させる。キャパシタC2に充電された電圧はソフトスタート端子SSを介してソフトスタート制御回路4に入力され、ソフトスタート電圧Vssとして出力される。キャパシタC2の容量値は例えば数百pF〜数千pFに選ぶことができる。このようなソフトスタート制御回路4により、スイッチングレギュレータ1の起動時には、穏やかに上昇するソフトスタート電圧Vssと、それに追従するように帰還電圧Vfbの出力帰還制御が行われるので、出力電圧VoutのオーバーシュートやキャパシタC1への突入電流を未然に防止することが可能となる。
【0046】
誤差増幅器5は、ソフトスタート入力電圧Vss又は参照電圧Vrefの低い方とフィードバック電圧Vfbとを比較し、比較結果に応じた誤差信号Verrを出力する。フィードバック電圧Vfbは、例えば、0.6V〜5Vである。
【0047】
位相補償端子COMPと接地電位GND間に直列接続された抵抗R4及びキャパシタC3は位相補償回路として構成されている。抵抗R4及びキャパシタC3は、誤差増幅器5のゲインと周波数特性を設定する。位相補償によってスイッチングレギュレータ1の周波数特性が補正される。なお、位相補償回路は抵抗R4とキャパシタC3との直列回路ではなく、これらに別のキャパシタを例えば並列に接続して、いわゆる2次特性をもたせるようにしてもよい。なお、抵抗R4およびキャパシタC3は誤差増幅器5の電圧利得も設定している。
【0048】
発振回路装置6は、後述でさらに明らかとなるが設定端子RTに接続される抵抗R3に流れる電流に応じた周波数で発振する。設定端子RTは、半導体集積回路装置1aの外部端子として用意され、抵抗R3を外付けすることが好ましい。これによって抵抗R3の値を自由に選べ、また抵抗の温度特性や抵抗値のばらつき等による影響を排除することができる。抵抗R3の抵抗値は、設定端子RTの端子電圧や、クロック信号CLKの周波数の大きさの設定に応じて選ばれる。設定端子RTの設定電圧Vrtは例えば0.3V〜0.5Vに設定され、抵抗R3の抵抗値は例えば数十kΩ〜数百kΩに選ぶことができる。抵抗R3によって発振回路装置6から出力されるクロック信号CLK(セット信号Sset)の周波数(周期)を設定する。クロック信号CLKの周波数は、例えば200kHz〜5MHzに選ばれる。通常、これらの範囲の中の1つの周波数でスイッチングトランジスタ2aおよび同期整流素子3がオン/オフ制御される。例えば周波数が1MHzに設定された場合にはオンデューティ比が90%のときは、0.9μsであり、オンデューティ比が10%のときは0.1μsとなる。
【0049】
駆動制御回路14は、発振回路装置6から出力されるセット信号Sset及びPWMコンパレータ13から出力されるリセット信号Sresetを受け、ゲート信号Gp及びゲート信号Gnを出力する。ゲート信号Gp及びゲート信号Gnにより、スイッチングトランジスタ2a及び同期整流素子3を相補的にオン/オフされる。駆動制御回路14の内部には図示しない、例えばRSフリップフロップが用意されており、このRSフリップフロップのセット端子には発振回路装置6で生成されるセット信号Sset(クロック信号CLK)が、リセット端子にはPWMコンパレータ13から出力されるリセット信号Sresetがそれぞれ印加される。
【0050】
駆動制御回路14には、図示はしないがスイッチングトランジスタ2aから同期整流素子3に向かって流れる過大な貫通電流を防止するため、すなわちゲート信号Gpがハイレベル(“H”)、ゲート信号Gnがローレベル(“L”)となる区間、いわゆるデッドタイムが設けられている。デッドタイムの区間、スイッチングトランジスタ2a及び同期整流素子3は共にオフ状態に置かれ貫通電流の電流経路を阻止する。
【0051】
(第2実施形態)
図2は、本発明を適用したスイッチングレギュレータの第2実施形態を示す回路構成図である。第2実施形態は、
図1に示した第1実施形態とは、第1に半導体集積回路装置100Aにブートストラップ端子Boを用意し、ブートストラップ端子Boに駆動制御回路14を接続したこと、次にpMOSトランジスタで構成したスイッチングトランジスタ2aを、nMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタ2bに置き換えたこと、第3にダイオードd1及びキャパシタC4でブートストラップ回路を構成し、これらの共通接続点をブートストラップ端子Boに接続したことである。その他の回路構成は同じである。ここでは、
図2が
図1と異なるこうした回路構成の違いについて説明する。
【0052】
図2に示す第2実施形態ではスイッチングレギュレータ100のスイッチングトランジスタ2bおよび同期整流素子3として、いずれもnMOSトランジスタを用いている。特に、ハイサイド側にnMOSトランジスタを使用するスイッチングレギュレータにおいては、スイッチングトランジスタ2bを十分にオンさせるために、そのゲートに印加する駆動電圧をドレインに印加される入力電圧Vin以上に昇圧するブートストラップ回路が採用されることになる。
【0053】
ダイオードd1及びキャパシタC4は、ブートストラップ回路を構成している。ダイオードd1及びキャパシタC4の共通接続ノードはブートストラップ端子Boを介して駆動制御回路14に接続されている。スイッチングトランジスタ2bがオフのとき、即ち同期整流素子3がオンしている期間中に、所定時間(例えば80ns)だけキャパシタC4を充電する。同期整流素子3がオンしている期間、駆動電源Vddからダイオードd1、キャパシタC4、スイッチング端子SW、同期整流素子3及び接地端子PGNDを介して接地電位GNDに向かって電流が流れる。その結果、キャパシタC4の一端すなわちノードNboにおける電位Vboは、Vdd−Vd1(Vd1はダイオードd1の順方向電圧)まで上昇し、入力電圧Vinの電位より高く設定される。この動作によって、スイッチングトランジスタ2bを十二分に駆動できるまで持ち上げられる。
【0054】
なお、本発明においては降圧型のスイッチングレギュレータを用いているが、スイッチングレギュレータは降圧型、昇圧型にかかわらず、さらには同期整流方式、非同期整流方式にも限定されない。さらに、ブートストラップ回路は半導体集積回路装置100aに内蔵されていてもよい。
【0055】
図3は、
図1に示したスイッチングレギュレータ1の主なノードのタイミングチャートを示す。スイッチングレギュレータ1、100が過電圧状態、すなわち、入力端子INに印加される入力電圧Vinが所定の範囲を超え、かつ、抵抗R3が数百kΩ以上と比較的大きい場合のタイミングチャートである。
【0056】
本発明に係るスイッチングレギュレータ1、100は、本来、発振回路装置6で生成されるクロック信号CLKの発振周波数を調整できるようにすることが1つの特徴ではあるが、こうした発振周波数調整機能を極めて容易に無効にできることも大きな特徴の1つとなる。一般的にPWM制御方式のスイッチングレギュレータに周波数調整機能をもたせるか否かの選択は、ユーザーによって異なってくる。本発明に係るスイッチングレギュレータ1、100はこうした需要に対して容易に応えようというものである。
【0057】
発振回路装置6の発振周波数調整機能をイネーブル状態とするか、ディスネーブル状態とするかは前に述べたように基準電圧調整部9の回路機能を有効にするか無効にするかによって決定できる。しかも、基準電圧調整部9は基準電圧部8に接続する抵抗R3の抵抗値によって設定できる。
図3は抵抗R3を例えば、数百kΩ以上に選び、基準電圧調整部9の機能を無効にする場合を示している。
【0058】
図3においては、上から順に入力電圧Vin、クロック信号CLK(セット信号Sset)、ランプ信号Vramp、スロープ信号Vslope、リセット信号Sreset、およびスイッチング電圧Vswがそれぞれ描写されている。
【0059】
入力電圧Vinは、入力端子INに印加される。本発明に係るスイッチングレギュレータ1、100において、入力電圧Vinの変動が監視、検出の対象となり、入力電圧Vinの増減に応じて発振回路装置6で生成されるクロック信号CLKの周波数の大きさが変動する。入力電圧Vinは時刻t1〜t5までの区間は所定の大きさで一定である。時刻t6〜t9の区間は何らかの原因によって徐々に増加する状態を模式的に示している。
【0060】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、クロック信号生成回路10で生成され、時刻t1〜t9に関わらず一定の周期で発生している状態を示す。クロック信号CLK(セット信号Sset)は、基準電圧調整部9が無効状態に置かれている場合には、入力電圧Vinが変動する時刻t6以降であっても一定の周波数(周期)で発生することになる。
【0061】
ランプ信号Vrampは、スロープ信号生成回路11から出力され、クロック信号CLKに追随した三角波状または鋸歯状波の信号となる。ランプ信号Vrampはクロック信号CLKと同様に時刻t1〜t9の区間、一定の周期で発生する。
【0062】
スロープ信号Vslopeは、合算手段12から出力されPWMコンパレータ13の非反転入力端子(+)に入力される。スロープ信号Vslopeは、ランプ信号Vrampにスイッチング電流Iswに応じた電圧成分を、信号線CSを介して合算した信号となる。スロープ信号Vslopeは、セット信号Sset(クロック信号CLK)の立下りエッジのタイミングから徐々に増加し始め、誤差信号Verrに到達すると急峻に所定の電位V1まで低下する。なお、誤差信号Verrは入力電圧Vinの増加に応じて、徐々に降圧される。
【0063】
リセット信号Sresetは、PWMコンパレータ13から出力され駆動制御回路14に入力される。リセット信号Sresetは、スロープ信号VslopeがハイレベルからローレベルLに遷移するタイミングで生成される。駆動制御回路14は、リセット信号Sresetおよびセット信号Ssetで制御される。
【0064】
スイッチング電圧Vswは、スイッチング端子SWから出力される。スイッチング電圧Vswは、駆動制御回路14、スイッチングトランジスタ2a、および同期整流素子3によって生成、出力されるがその発生タイミングは、セット信号Ssetおよびリセット信号Sresetに同期する。したがって、時刻t1〜t3の区間はハイレベルHとなり、区間t3〜t5の区間はローレベルLとなる。スイッチング電圧VswのハイレベルHのパルス幅は入力電圧Vinの増加に応じて狭くなり、時刻t7〜t8の区間で最も狭くなって、スイッチングトランジスタ2aをオンさせるには不利な状態となるが、こうした状態であってもスイッチングトランジスタ2aをオンさせる必要な最小オン時間tmonは確保できるように制御される。
【0065】
図4は、
図1に示したスイッチングレギュレータ1の主なノードのタイミングチャートを示す。とりわけ、スイッチングレギュレータ1において、過電圧状態、すなわち、入力端子INに印加される入力電圧Vinが所定の範囲を超えた場合に、かつ抵抗R3が数十kΩ以上と比較的小さい抵抗値の場合のタイミングチャートである。前に述べた
図3は、発振回路装置6が有する発振周波数の調整機能をディスネーブル状態とするものであったが、
図4は、イネーブル状態に設定する点で両者は相違する。
【0066】
発振回路装置6の発振周波数調整機能をイネーブル状態とするか、それともディスネーブル状態とするかは基準電圧調整部9の機能を有効にするか無効にするかによって決定できる。かつ、基準電圧調整部9は基準電圧部8に接続する抵抗R3の抵抗値によって設定できることも前に述べたとおりである。
図4では抵抗R3を例えば、数十kΩ程度に選び基準電圧調整部9の回路機能を有効にする場合を示す。
【0067】
図4においても
図3と同様に、上から順に入力電圧Vin、クロック信号CLK(セット信号Sset)、ランプ信号Vramp、スロープ信号Vslope、リセット信号Sreset、およびスイッチング電圧Vswがそれぞれ描写されている。
【0068】
入力電圧Vinは、入力端子INに印加される。本発明に係るスイッチングレギュレータ1、100において、入力電圧Vinの変動が監視、検出の対象となり、入力電圧Vinの増減に応じて発振回路装置6で生成されるクロック信号CLKの周波数の大きさが制御、調整される。入力電圧Vinは時刻t1から時刻t8まで徐々に増加する状態を模式的に示す。入力電圧Vinは、時刻t2で所定の電圧の大きさよりも所定電圧Δv1だけ高くなったとしている。
【0069】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、発振回路装置6に内蔵されるクロック信号生成回路10で生成されるが、入力電圧Vinが通常状態の電圧より所定電圧Δv1だけ高くなった時刻t2以降周期が拡がり周波数が低くなるように調整される状態を示す。すなわち、発振周波数調整機能がイネーブル状態に設定されていることを示す。発振周波数調整機能の具体的な回路構成については後述する。
【0070】
ランプ信号Vrampは、スロープ信号生成回路11から出力され、クロック信号CLKに追随した三角波状または鋸歯状波の信号となる。ランプ信号Vrampはクロック信号CLKと同様に時刻t1以降徐々に周期は長くなり、周波数が低くなる。
【0071】
スロープ信号Vslopeは、合算手段12から出力されPWMコンパレータ13の非反転入力端子(+)に入力される。スロープ信号Vslopeは、ランプ信号Vrampにスイッチング電流Iswに応じた電圧成分を、信号線CSを介して合算した信号となる。スロープ信号Vslopeは、セット信号Sset(クロック信号CLK)の立下りエッジのタイミングから徐々に増加し始め、誤差信号Verrに到達すると急峻に所定の電位V1まで低下する。なお、誤差信号Verrは入力電圧Vinの増加に応じて、徐々に降圧される。
【0072】
リセット信号Sresetは、PWMコンパレータ13から出力され駆動制御回路14に入力される。リセット信号Sresetは、スロープ信号Vslopeがハイレベルからローレベルに遷移するタイミングで生成される。駆動制御回路14は、リセット信号Sresetおよびセット信号Ssetで制御される。
【0073】
スイッチング電圧Vswは、スイッチング端子SWから出力される。スイッチング電圧Vswは、駆動制御回路14、スイッチングトランジスタ2a、および同期整流素子3によって生成、出力されるがその発生タイミングは、セット信号Ssetおよびリセット信号Sresetの各立ち上がりエッジに同期する。したがって、時刻t2〜t3の区間はハイレベルHとなり、区間t3〜t4の区間はローレベルLとなる。スイッチング電圧VswのハイレベルHの時間は入力電圧Vinの増加に比例して狭くなり、時刻t7〜t8の区間で最も狭くなって、スイッチングトランジスタ2aをオンさせるには不利な状態となるが、こうした状態であってもスイッチングトランジスタ2aをオンさせる必要な最小オン時間tmonは確保できるように制御される。
【0074】
図5は、
図1に示したスイッチングレギュレータ1の主なノードのタイミングチャートを示す。とりわけ、スイッチングレギュレータ1において、低電圧状態、すなわち、入力端子INに印加される入力電圧Vinが所定の範囲を下回っており、かつ、抵抗R3が数百kΩと比較的大きい抵抗値の場合のタイミングチャートである。
【0075】
入力電圧Vinが低電圧状態においては、過電圧状態と同様に発振回路装置6の発振周波数調整機能をディスネーブル状態とするために、抵抗R3を例えば、数百kΩ以上の比較的高抵抗値に選び基準電圧調整部9の回路機能を無効にすることによって達成できる。
【0076】
図5においても、
図3〜
図4と同様に、上から順に入力電圧Vin、クロック信号CLK(セット信号Sset)、ランプ信号Vramp、スロープ信号Vslope、リセット信号Sreset、およびスイッチング電圧Vswがそれぞれ描写されている。
【0077】
入力電圧Vinは、入力端子INに印加される。本発明に係るスイッチングレギュレータ1、100において、入力電圧Vinの変動が監視、検出の対象となり、入力電圧Vinの減少に応じて発振回路装置6で生成されるクロック信号CLKの周波数の大きさが低くなるように調整される。入力電圧Vinは時刻t1〜t5までの区間は所定の大きさで一定である。時刻t6〜t8の区間は何らかの原因によって低下する状態を模式的に示す。
【0078】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、クロック信号生成回路10で生成され、時刻t1〜t8に関わらず一定の周期で発生している状態を示す。クロック信号CLK(セット信号Sset)は、基準電圧調整部9がディスネーブル状態に置かれている場合には、入力電圧Vinが変動する時刻t6以降であっても一定の周波数(周期)で発生する。
【0079】
ランプ信号Vrampは、スロープ信号生成回路11から出力され、クロック信号CLKに追随した三角波状または鋸歯状波の信号となる。ランプ信号Vrampはクロック信号CLKと同様に時刻t1〜t8の全区間、一定の周期で発生する。
【0080】
スロープ信号Vslopeは、合算手段12から出力されPWMコンパレータ13の非反転入力端子(+)に入力される。スロープ信号Vslopeは、ランプ信号Vrampにスイッチング電流Iswに応じた電圧成分を、信号線CSを介して合算した信号となる。スロープ信号Vslopeは、セット信号Sset(クロック信号CLK)の立下りエッジのタイミングから徐々に増加し始め、誤差信号Verrに到達すると急峻に所定の電位V1まで低下する。なお、誤差信号Verrは入力電圧Vinの増加に応じて、徐々に昇圧される。
【0081】
リセット信号Sresetは、PWMコンパレータ13から出力され駆動制御回路14に入力される。リセット信号Sresetは、スロープ信号VslopeがハイレベルからローレベルLに遷移するタイミングで生成される。駆動制御回路14は、リセット信号Sresetおよびセット信号Ssetで制御される。
【0082】
スイッチング電圧Vswは、スイッチング端子SWから出力される。スイッチング電圧Vswは、駆動制御回路14、スイッチングトランジスタ2a、および同期整流素子3によって生成、出力されるがその発生タイミングは、セット信号Ssetおよびリセット信号Sresetの各立ち上がりエッジに同期する。したがって、時刻t1〜t3の区間はハイレベルHとなり、区間t3〜t5の区間はローレベルLとなる。スイッチング電圧VswのローレベルLの時間は入力電圧Vinの低下と共に狭くなり、時刻t7〜t8の区間で最も狭くなる。特に、スイッチングレギュレータ100のように、スイッチングトランジスタがnMOSトランジスタの場合、nMOSトランジスタをオンさせる必要な最小オン時間tmoffは確保できるように制御される。
【0083】
図6は、
図1に示したスイッチングレギュレータ1の主なノードのタイミングチャートを示す。とりわけ、スイッチングレギュレータ1において、低電圧状態、すなわち、入力端子INに印加される入力電圧Vinが所定の範囲を下回り、かつ、抵抗R3が数十kΩと比較的小さい抵抗値の場合のタイミングチャートである。前に述べた
図5は、発振回路装置6が有する発振周波数の調整機能をディスネーブル状態とするものであったが、
図6は、イネーブル状態に設定する点で両者は相違する。
【0084】
発振回路装置6の発振周波数調整機能をイネーブル状態とするには基準電圧部8に設けた抵抗R3を例えば、数十kΩ程度の比較的低抵抗値に選び基準電圧調整部9の回路機能を有効とする。
【0085】
図6においても
図3〜
図5と同様に、上から順に入力電圧Vin、クロック信号CLK(セット信号Sset)、ランプ信号Vramp、スロープ信号Vslope、リセット信号Sreset、およびスイッチング電圧Vswがそれぞれ描写されている。
【0086】
入力電圧Vinは、入力端子INに印加される。本発明に係るスイッチングレギュレータ1,100において、入力電圧Vinの変動が監視、検出の対象となり、入力電圧Vinの増減に応じて発振回路装置6で生成されるクロック信号CLKの周波数の大きさが制御、調整される。入力電圧Vinは時刻t1以降に徐々に低下する状態を模式的に示す。そして入力電圧Vinは、時刻t2で所定の電圧の大きさよりも所定電圧Δv2だけ低くなったとしている。
【0087】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、発振回路装置6に内蔵されるクロック信号生成回路10で生成されるが、入力電圧Vinが低下し始める時刻t1以降は周期が広がり周波数が低くなるように調整される状態を示す。すなわち、発振周波数調整機能がイネーブル状態に設定されていることを示す。発振周波数調整機能の具体的な回路構成については後述する。
【0088】
ランプ信号Vrampは、スロープ信号生成回路11から出力され、クロック信号CLKに追随した三角波状または鋸歯状波の信号となる。ランプ信号Vrampはクロック信号CLKと同様に時刻t1以降周期は徐々に長くなり、周波数が低くなる。
【0089】
スロープ信号Vslopeは、合算手段12から出力されPWMコンパレータ13の非反転入力端子(+)に入力される。スロープ信号Vslopeは、ランプ信号Vrampにスイッチング電流Iswに応じた電圧成分を、信号線CSを介して合算した信号である。スロープ信号Vslopeは、セット信号Sset(クロック信号CLK)の立下りエッジのタイミングから徐々に増加し始め、誤差信号Verrに到達すると急峻に所定の電位V1まで低下する。なお、誤差信号Verrは入力電圧Vinに応じて徐々に降圧される。
【0090】
リセット信号Sresetは、PWMコンパレータ13から出力され駆動制御回路14に入力される。リセット信号Sresetは、スロープ信号VslopeがハイレベルからローレベルLに遷移するタイミングで生成される。駆動制御回路14は、リセット信号Sresetおよびセット信号Ssetで制御される。
【0091】
スイッチング電圧Vswは、スイッチング端子SWから出力される。スイッチング電圧Vswは、駆動制御回路14、スイッチングトランジスタ2a、および同期整流素子3によって生成、出力されるがその発生タイミングは、セット信号Ssetおよびリセット信号Sresetに同期する。スイッチング電圧VswのローレベルLの区間のパルス幅は、入力電圧Vinの低下と共に狭くなる。時刻t3〜t4の区間であっても、スイッチングトランジスタがnMOSトランジスタの場合、nMOSトランジスタをオンさせる最小オン時間tmoffが十分に確保できるように制御される。なお、周期T1,T2およびT3は、時刻t2以降徐々に変化し、T1<T2<T3となり、スイッチング電圧Vswの周期が長くなり、周波数が徐々に低下していく状態を示している。
【0092】
以上
図1〜
図6を用いて本発明に係るスイッチングレギュレータ1,100においては、入力電圧Vinが過電圧状態または低電圧状態に陥った際の発振回路装置6の発振周波数調整機能を説明した。いずれの状態においても発振周波数調整機能を有効にするか無効にするかの設定は、基準電圧部8に接続する抵抗R3の抵抗値を選ぶことにより極めて容易に設定できることが本発明の1つの特徴であることは前述したとおりである。次にこうした回路機能を取捨選択するための発振回路装置6の具体的な回路構成について説明する。
【0093】
図7は、本発明に係るスイッチングレギュレータ1,100に用いる発振回路装置6の一例を示す。とりわけ入力電圧Vinが過電圧状態に陥った際に、その過電圧を監視、検出してクロック信号CLK(セット信号Sset)の発振周波数を調整するに好適な回路構成を示す。
【0094】
発振回路装置6は、入力電圧変換部7、基準電圧部8、基準電圧調整部9、クロック信号生成回路10及びカレントミラー回路15で構成される。
【0095】
入力電圧変換部7は、ツェナーダイオードz1〜z4、抵抗r1、pMOSトランジスタp1,p2及びnMOSトランジスタn1,n2から構成されている。定電圧素子としてのツェナーダイオードz1のカソードは、入力端子INと接続され、そのアノードはツェナーダイオードz2のカソードに接続されている。以下同様に、ツェナーダイオードz2〜z4が直列に接続されている。入力電圧Vinはツェナーダイオードz1〜z4の順方向電圧(例えば1個に付き5.0V)に基づきクランプされる。抵抗r1は、ツェナーダイオードz1〜z4に流れる検知電流Ijを決めている。ツェナーダイオードz1〜z4の数はこれらに限定されずに異なった数の直列接続、並列接続、または直列と並列接続の組み合わせなど、降圧の方法については種々の形態が当業者には容易に想定できる。例えばツェナーダイオード1個に定電圧素子である一般的なpn接合を順方向で利用する一般的なダイオードを数個直列に接続してもよい。検知電流Ijが流れたときのnMOSトランジスタn1,n2のゲート電圧Vj2は、nMOSトランジスタn1,n2のゲート・ソース間の閾値電圧とほぼ等しくなる。nMOSトランジスタn1,n2はカレントミラー回路を、pMOSトランジスタp1,p2もそれぞれ別のカレントミラー回路を構成している。そのため、抵抗r1側で生成されnMOSトランジスタn1に流れる検知電流Ijは、pMOSトランジスタp2に同じ検知電流Ijを生成する。なお、定電圧素子を入力電圧変換部7に用いると定電圧素子が導通するまでは電流が流れないので消費電力の軽減化が図れる。
【0096】
基準電圧部8は、抵抗R3の抵抗値に応じた基準電流Irtを生成する。設定端子RTには、抵抗R3が外付け可能となっている。基準電圧部8は、バイポーラトランジスタb1,b2、バンドギャップリファレンス回路16、定電流源17、抵抗r2,r3を備える。バンドギャップリファレンス回路16は、所定のバンドギャップ電圧Vbgr1(例えば1.25V)を生成する。バンドギャップ電圧Vbgr1は、抵抗r1,r2によって分圧され、抵抗r2及び抵抗r3の共通接続ノードに分圧電圧Vbgr2が生成される。
【0097】
NPN型のバイポーラトランジスタb2のエミッタは、設定端子RTと接続される。定電流源17はPNP型のバイポーラトランジスタb1のエミッタ及びバイポーラトランジスタb2のベースと接続される。バイポーラトランジスタb1のベースには分圧された分圧電圧Vbgr2が印加される。バイポーラトランジスタb2のエミッタには、バイポーラトランジスタb1のエミッタ電流およびバイポーラトランジスタb2のベース電流を供給するための回路が接続されるが、その構成は特に限定されないため図示を省略している。
【0098】
バイポーラトランジスタb1およびバイポーラトランジスタb2のベース・エミッタ間電圧Vbeが等しいと仮定すると、設定端子RTの設定電圧Vrtは、分圧電圧Vbgr2と等しくなる。したがって、抵抗R3には、バイポーラトランジスタb2を経由して数式(1)で与えられる基準電流Irtが流れる。
Irt=Vbgr2/R3 …(1)
基準電圧部8は、バイポーラトランジスタb2に流れる電流を、基準電流Irtとして出力する。
【0099】
カレントミラー回路15は、pMOSトランジスタp3〜p5により構成されている。pMOSトランジスタp3のドレイン及び、pMOSトランジスタp3〜p5のゲートはバイポーラトランジスタb2のコレクタと接続されており、pMOSトランジスタp3〜p5のドレインでは、基準電流Irtがそれぞれ生成される。pMOSトランジスタp4のドレインは、キャパシタC、nMOSトランジスタn3のドレイン及びヒステリシスコンパレータ18の非反転入力端子(+)に接続されている。pMOSトランジスタp5のドレインは、抵抗r4の一端に接続され、ノードN1においてノード電圧Vn1を生成する。ノード電圧Vn1はラッチ回路19に出力される。
【0100】
クロック信号生成回路10は、キャパシタC、nMOSトランジスタn3、ヒステリシスコンパレータ18、第1比較電圧V1及び第2比較電圧V2を備える。ヒステリシスコンパレータ18ではキャパシタCの両端間電圧と第1比較電圧V1および第2比較電圧V2とを比較して、矩形状のクロック信号CLKおよびセット信号Ssetを出力する。
【0101】
クロック信号生成回路10の一部を構成するnMOSトランジスタn3がオフのとき、キャパシタCには基準電流Irtが流れ充電され、nMOSトランジスタn3がオンのとき、キャパシタCに充電された電荷はnMOSトランジスタn3を介して放電される。キャパシタCが充電されているとき、特にキャパシタ電圧Vcが第1比較電圧V1に到達してから第2比較電圧V2に充電されるまでの期間をオフ期間Toffとして、ヒステリシスコンパレータ18ではローレベルのセット信号Ssetを出力する。
【0102】
キャパシタ電圧Vcが第2比較電圧V2に到達した後、キャパシタCに蓄積された電荷は放電される。キャパシタCが放電されているとき、特にキャパシタ電圧Vcが第2比較電圧V2から第1比較電圧V1に放電されるまでの期間をオン期間Tonとして、ヒステリシスコンパレータ18ではハイレベルのセット信号Ssetを出力する。即ちこの時、nMOSトランジスタn3はオンであるためキャパシタCはnMOSトランジスタn3を介して放電される。以降この動作を繰り返すことで、ヒステリシスコンパレータ18では一定の周期Tでセット信号Ssetを出力し続ける。
【0103】
以上述べたように、基準電圧部8、カレントミラー回路15及びクロック生成回路10がセット信号Ssetおよびクロック信号CLKの生成及び出力を行う構成となっている。上記の数式(1)に示す基準電流Irtは抵抗R3に応じて調整され、クロック信号CLKおよびセット信号Ssetの周波数を調整する。さらにカレントミラー回路15から後段の基準電圧調整部9に基準電流Irtを伝えるため、ノード電圧Vn1の大きさは設定抵抗R3により定まる。
【0104】
次に、抵抗R3を数十kΩ程度の比較的低抵抗に設定して基準電圧調整部9をイネーブル状態とする場合の入力電圧変換部7及び基準電圧調整部9の回路動作について説明する。入力電圧変換部7は、入力端子INに印加される入力電圧VinをツェナーダイオードZ1〜Z4及び抵抗r1を用いて降圧することで、所定の第2検出電圧Vj2を生成する。第2検出電圧Vj2はnMOSトランジスタn1,n2のゲート・ソース間の閾値電圧とほぼ等しくなる。第2検出電圧Vj2は、nMOSトランジスタn1,n2の各ゲートのゲート電圧として動作する。nMOSトランジスタn1,n2及びpMOSトランジスタp1,p2はカレントミラー回路を構成しており、抵抗r1に流れる検知電流Ijをラッチ回路19側に設けた抵抗r5に伝えることで、ノードN2においてノード電圧Vn2を生成する。ノード電圧Vn2はラッチ回路19に出力される。
【0105】
基準電圧調整部9は抵抗r4,r5、ラッチ回路19、第1検知トランジスタJT1及び第2検知トランジスタJT2で構成されている。ラッチ回路19では、入力されたノード電圧Vn1及びVn2に応じて、第1検知トランジスタJT1のオン/オフを行う。通常状態すなわち入力電圧Vinが所定の範囲内にある場合には第1検知トランジスタJT1をオンさせ、過電圧状態のとき第1検知トランジスタJT1をオフさせる。なお、ラッチ回路19の内部にはノード電圧Vn1,Vn2をハイレベルHおよびローレベルLに変換する図示しないコンパレータを含めることができる。
【0106】
入力電圧Vinが通常状態のとき、ラッチ回路19は第1検知トランジスタJT1のゲートにハイレベルの第1検出電圧Vj1を出力する。このとき、ノード電圧Vn1はハイレベル(例えば0.65V)、ノード電圧Vn2はローレベル(例えば0V)である。第1検知トランジスタJT1がオン状態のとき、第2検知電圧Vj2はほぼ接地電位GND(ローレベル)と等しくなる。第2検知電圧Vj2がローレベルであるとき、nMOSトランジスタn1,n2のゲートには閾値電圧が印加されないため、nMOSトランジスタn1,n2は全てオフ状態にある。したがって、入力電圧Vinが通常状態のときには、基準電圧部8、カレントミラー回路14及びクロック生成回路10は周波数調整されない本来のクロック信号CLK(セット信号Sset)の生成及び出力を行う。
【0107】
一方、入力電圧Vinが過電圧状態のとき、ラッチ回路19は第1検知トランジスタJT1のゲートにハイレベルに相当する第1検知電圧Vj1を出力する。このとき、ノード電圧Vn1はハイレベル(例えば0.65V)、ノード電圧Vn2はローレベル(例えば0V)である。第1検知トランジスタJT1にローレベルのとき、第2検知電圧Vj2はハイレベルとなる。第2検知電圧Vj2がハイレベルのとき、nMOSトランジスタn1,n2のゲートには閾値電圧以上の電圧印加されるため、nMOSトランジスタn1,n2は全てオン状態になる。
【0108】
第2検知トランジスタJT2がオン状態のとき、第2検知トランジスタJT2には検知電流Ijが流れている。なぜなら、nMOSトランジスタn1,n2及び第2検知トランジスタJT2はカレントミラー回路を形成しており、各nMOSトランジスタのドレインには同じ検知電流Ijが流れているものとみなせるからである。徐々に増加していく入力電圧Vinに応じて、検知電流Ijは変化する。このため、分圧電圧Vbgr2は徐々に降圧されていく。
【0109】
設定端子RTの電圧は分圧電圧Vbgr2と等しくなるため、徐々に降圧していく。したがって、抵抗R3に流れる基準電流Irtも徐々に減少していく。このとき、キャパシタCに流れる基準電流Irtも徐々に減少し、充電時間は必然的に延びる。これに応じて、第1比較電圧V1に到達してから第2比較電圧V2に充電されるまでのオフ期間Toffが長くなる。キャパシタ電圧Vcが第2比較電圧V2から第1比較電圧V1に放電されるまでのオン期間Tonは不変である。以降この動作を繰り返すことで、周期Tが徐々に大きくなるセット信号Ssetを出力する。なお、セット信号Ssetの変化については後述する。
【0110】
図8は、入力電圧Vinが過電圧状態における
図7に示した発振回路装置6の各部のタイミングチャートを示す。
図8は前に述べた
図3に関連する。すなわち
図3は、発振回路装置6が有する発振周波数の調整機能をディスネーブル状態に設定するために抵抗R3を数百kΩ以上に選んだ場合を説明したものであったが、
図8は、
図7に示した発振回路装置6の主なノードのタイミングチャートである。
【0111】
図8には、上から順に入力電圧Vinに応じてセット信号Ssetが出力されるまでの各ノードでの電圧が描写されている。
【0112】
入力電圧Vinは時刻t1から増加し始め、時刻t2で所定の電圧をΔv1だけ超えたときに過電圧状態として検出されるが、基準電圧調整部9の回路機能はディスネーブルに置かれる。
【0113】
ノード電圧Vn1はノードN1に表われる。ノード電圧Vn1は、時刻の推移に関わらず、はほぼローレベルLである。ノード電圧Vn1の大きさは基準電流Irtと抵抗r4との積によって決定される。基準電流Irtは抵抗R3によって決められており、抵抗R3が数百kΩ以上の比較的高抵抗値に選ばれると基準電流Irtは無視できる程度に小さくなり、ノード電圧Vn1はほぼローレベルLまたはラッチ回路19を動作させる電位までは至らない電位となる。
【0114】
ノード電圧Vn2はノードN2に表われる。ノード電圧Vn2は、基準電圧部7に検知電流Ijが流れ始めたとき、すなわちツェナーダイオードz1〜z4に検知電流Ijが流れ始める時刻t2でローレベルLからハイレベルHとなる。
【0115】
第1検知電圧Vj1は、ラッチ回路19から第1検知トランジスタJT1のゲートに出力される。第1検知電圧Vj1はラッチ回路19に印加されるノード電圧Vn1とVn2が共にハイレベルHの場合にのみローレベルLとなり、これ以外の組み合わせではハイレベルHとなりように設定されている。したがって第1検知電圧Vj1は、時刻の推移に関わらずハイレベルHとなる。
【0116】
第2検知電圧Vj2は、第1検知電圧Vj1が反転されたものであるので時刻の推移に関わらずローレベルLとなる。
【0117】
分圧電圧Vbgr2は、バイポーラトランジスタb1のベースに印加される。分圧電圧Vbgr2は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定される。さらに基準電圧調整部9のオン/オフ状態に追随する。時刻t2まですなわち過電圧状態が検出されるまでの区間は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定された比較的高いハイレベルHに維持される。
【0118】
設定電圧Vrtは、バイポーラトランジスタb1とb2のベース・エミッタ間順方向電圧が等しいときには分圧電圧Vbgr2の変化に追随しかつその大きさも設定端子RTの電圧とほぼ等しくなる。したがって時刻の推移に関わらずハイレベルHとなる。
【0119】
キャパシタ電圧VcはキャパシタCに生じる三角波状または鋸歯状波電圧となり、基準電流IrtによってキャパシタCが充電され、また、nMOSトランジスタn3によって急峻に放電を繰り返して生成されるので直線性が高い傾斜電圧となる。キャパシタ電圧Vcは、入力電圧Vinが通常状態である時刻t1であっても過電圧状態に入る時刻t2以降においても周期は同じとなる。なぜならば、設定端子RTの設定電圧Vrtが時刻の推移に関わらず一定であり、キャパシタCを充電する基準電流Irtが変化せずに一定となるからである。
【0120】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、ヒステリシスコンパレータ10から出力されるクロック信号CLK(セット信号Sset)である。キャパシタ電圧Vcが、第1比較電圧V1と第2比較電圧V2にそれぞれ達したときにハイレベル、およびローレベルを繰り返す矩形波信号となる。クロック信号CLK(セット信号Sset)の周期(周波数)は、キャパシタ電圧Vcの周期と同様に時刻の推移に関わらず、すなわち通常状態、過電圧状態に関わらず同じとなる。
【0121】
図9は、
図7において入力電圧Vinが過電圧状態に陥ったときの発振回路装置6の各部のタイミングチャートである。
図9は前に述べた
図4に関連する。すなわち、
図4は発振回路装置6が有する発振周波数の調整機能をイネーブル状態に設定するために抵抗R3を数十kΩ程度の比較的低抵抗値に選んだ場合を説明したものであったが、
図9は、
図7に示した発振回路装置6がイネーブル状態に設定されたときの各部のタイミングチャートを示している。
【0122】
図9には、上から順に入力電圧Vinに応じてクロック信号CLK(セット信号Sset)が出力されるまでの各ノードでの電圧が描写されている。入力電圧Vinは時刻t1から増加し始め、時刻t2で所定の電圧をΔv1だけ超えたときに過電圧状態と判定され、基準電圧調整部9によって発振回路装置6において発振周波数の調整が実行される。
【0123】
ノード電圧Vn1は
図7に示したノードN1に表われる。ノード電圧Vn1はほぼローレベルLである。ノード電圧Vn1の大きさは基準電流Irtと抵抗r4との積によって決定される。基準電流Irtは抵抗R3によって決められており、抵抗R3が数十kΩ程度に選ばれると基準電流Irtは比較的大きくなるのでノード電圧Vn1は入力電圧Vinが通常状態である時刻t1および過電圧状態が検出される時刻t2においてはハイレベルHに置かれる。時刻t2からt3においては第2検知トランジスタJT2が徐々にオン状態が強くなり、それに伴い設定電圧Vrtは低くなる。このときカレントミラー回路15側からノードN1に向かって流れる電流も徐々に減少し、時刻t3でハイレベルHからローレベルLに遷移する。これによって、ラッチ回路19から出力される第1検出電圧Vj1を適正に出力することができる。
【0124】
ノード電圧Vn2は
図7に示したノードN2に表われる。ノード電圧Vn2は、基準電圧部7に検知電流Ijが流れ始めたとき、すなわちツェナーダイオードz1〜z4に検知電流Ijが流れ始める時刻t2でハイレベルHとなる。
【0125】
第1検知電圧Vj1は、ラッチ回路19から第1検知トランジスタJT1のゲートに出力される。第1検知電圧Vj1は、ノード電圧Vn1とノード電圧Vn2によって定まり、両者の電位が共にハイレベルHであるときにローレベルLとなり、これ以外の組み合わせにおいてはハイレベルHが出力される。したがって、時刻t2〜t3の区間ローレベルLとなる。
【0126】
第2検知電圧Vj2は、nMOSトランジスタn1,n2のゲートに表われる。第2検知電圧Vj2は、ツェナーダイオードz1〜z4に検知電流Ijが流れるタイミングに追随するが第1検知電圧Vj1すなわち第1検知トランジスタJT1のオン/オフ状態で決まる。第1検知トランジスタJT1のオン、すなわち第1検知電圧Vj1がハイレベルHおよびローレベルLのとき、それぞれローレベルLおよびハイレベルHとなる。したがって、第2検知電圧Vj2は、第1検知電圧Vj1とは極性が反転されたものとなる。
【0127】
分圧電圧Vbgr2は、バイポーラトランジスタb1のベースに印加される。分圧電圧Vbgr2は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定される。さらに基準電圧調整部9のオン/オフ状態に追随する。時刻t2まですなわち過電圧状態が検出されるまでの区間は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定された比較的高い電位に維持される。しかし、時刻t2以降は、第2検知トランジスタJT2に徐々に電流が始めるので分圧電圧Vbgr2の電圧はリニアに下降していく。
【0128】
設定電圧Vrtは、バイポーラトランジスタb1とb2のベース・エミッタ間順方向電圧が等しいときには分圧電圧Vbgr2の変化に追随しかつその大きさも設定端子RTの電圧とほぼ等しくなる。したがって、時刻t2以降徐々に低下していく。
【0129】
キャパシタ電圧VcはキャパシタCに表われる三角波状電圧となり、基準電流Irtによってキャパシタが充電され、また、nMOSトランジスタn3によって急峻に放電を繰り返して生成されるので直線性に優れた傾斜(スロープ)電圧となる。キャパシタ電圧Vcは、第1比較電圧V1と第2比較電圧V2にそれぞれ達したときにハイレベル、およびローレベルを繰り返す三角波状電圧となる。キャパシタ電圧Vcは、入力電圧Vinが通常状態である時刻t1であっても過電圧状態に入る直前の時刻t2までは所定の周波数(周期)である。過電圧が検知される時刻t2以降は徐々に周波数は低下し、周期T1よりも周期T2は長くなる。
【0130】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、ヒステリシスコンパレータ10から出力されるクロック信号CLK(セット信号Sset)である。クロック信号CLKは、キャパシタ電圧Vcを波形整形したものであるので、時刻t2以降の周波数は徐々に低下し、当然のことながら周期T1よりも周期T2は長くなる。
【0131】
図10は、本発明に係る発振回路装置別の一例を示す。
図10の発振回路装置6aは、
図7に示した発振回路装置6とは抵抗R3に対応する抵抗R3a,R3bが発振回路6cの内部に組み込まれているという点、カレントミラー回路15に設けられたpMOSトランジスタp5を用意していない点、さらにラッチ回路19をシュミットインバータ回路Stに置き換えているという点で異なる。その他の回路構成及び低周波数動作は同じである。ここでは、
図10が
図7の異なる構成による効果の違いについて説明する。
【0132】
図10中の抵抗R3a,R3bは、発振回路装置6aの内部に組み込まれることにより固定抵抗として動作する。この回路構成により、ノード電圧Vn1を常にハイレベルHまたはローレベルLのどちらかに設定され、入力電圧Vinの状態のみでクロック信号生成回路10での周波数調整機能を用いることができる。
【0133】
図10に示す発振回路装置6aは、
図7の発振回路装置6に設けた抵抗R3に相当する抵抗が、抵抗R3a、R3bとして内蔵されている。抵抗R3bは抵抗R3aに比べて例えば1桁以上大きく例えば数百kΩ以上に選ばれている。抵抗R3aは例えば数十kΩ程度に設定され、これらの抵抗を発振回路装置6cに内蔵することにより
図7では用意された設定端子RTは不要となり、外部端子の削減を図ることができる。抵抗R3aとR3bとの共通接続点には、第3検知トランジスタJT3が接続され、第3検知トランジスタJT3がオフであるときには抵抗R3aと抵抗R3bはバイポーラトランジスタb2のエミッタと接地電位GNDとの間に直列に接続される。
【0134】
クロック信号生成回路10に周波数調整機能をもたせるには第3検知トランジスタJT3をオンさせて比較的低抵抗のR3aを選択する。周波数調整機能を無効とするには第3検知トランジスタJT3をオフさせて抵抗R3aと抵抗R3bとの直列抵抗を選択する。
【0135】
なお、制御電圧Vjt3は、ハイレベルまたはローレベルのいずれかに固定せずに、例えば第1検知トランジスタJT1のゲートに印加される第1検知電圧Vj1を利用し、第1検知電圧Vj1またはその反転電圧に連動するようにしてもかまわない。
【0136】
もちろん抵抗R3a,R3bの直列抵抗回路や第3検知トランジスタJT3を用意せずに、抵抗R3aまたは抵抗R3bのみをバイポーラトランジスタb2のエミッタに接続しておいてもよい。
【0137】
図11は、本発明に係るスイッチングレギュレータにおいて、過電圧状態を監視、検出するに好適な別の発振回路装置6bを示す。
図11は
図7に示した発振回路装置6、
図10に示した発振回路装置6aとは、入力電圧変換部7及び基準電圧調整部9の内部構成が異なる。その他の回路構成及び回路動作は同じである。ここでは、
図11が
図7と異なる回路構成と効果の違いについて説明する。
【0138】
図11の発振回路装置6bは、入力電圧変換部7に抵抗r6〜r8が直列に接続される抵抗回路を含む。入力電圧Vinは抵抗r6、抵抗r7及び抵抗r8でそれぞれ分圧され、ノードN3でノード電圧Vn3、ノードN4でノード電圧Vn4が生成される。
【0139】
図11において、基準電圧調整部9はラッチ回路19、第1検知トランジスタJT1、第2検知トランジスタJT2、バッファコンパレータ22、抵抗r4及び抵抗r9を含む。ラッチ回路19はノード電圧Vn1及びVn3の入力に応じて、第1検知トランジスタJT1をオン/オフ制御する。
【0140】
バッファコンパレータ22は、非反転入力端子にノード電圧Vn4、反転入力端子に第2検知トランジスタJT2と抵抗r9の接続点が接続されている。バッファコンパレータ22は、第2検知トランジスタJT2のゲートに第2検出電圧Vj2を出力する。第1検知トランジスタJT1及び第2検知トランジスタJT2は相補的に動作する。即ち、第1検知トランジスタJT1がオンのとき、バッファコンパレータ22はローレベルの第2検知電圧Vj2を出力し、第2検知トランジスタJT2はオフさせる。第1検知トランジスタJT1がオフのとき、バッファコンパレータ22は第2検知電圧Vj2を出力し、第2検知トランジスタJT2をオンさせる。
【0141】
図12は、
図11において入力電圧Vinが過電圧状態に陥ったときの発振回路装置6bの各部のタイミングチャートである。特に基準電圧部8に設けた抵抗R3を数十kΩ程度の比較的低抵抗値に選び、基準電圧調整部9をイネーブル状態にする場合のタイミングチャートである。
図12は前に述べた
図9の大部分と同じとなるが、ノードN3およびノードN4のタイミングチャートが描写されている点で異なる。
【0142】
図12には、上から順に入力電圧Vinに応じてクロック信号CLK(セット信号Sset)が出力されるまでの各ノードでの電圧が描写されている。入力電圧Vinは時刻t1から増加し始め、時刻t2で所定の電圧をΔv1だけ超えたときに過電圧状態と判定され、基準電圧調整部9によって発振回路装置6において発振周波数の調整が実行される。
【0143】
ノード電圧Vn1は
図11に示したノードN1に表われる。ノード電圧Vn1の大きさは基準電流Irtと抵抗r4との積によって決定される。基準電流Irtは抵抗R3によって決められており、抵抗R3が数十kΩ程度に選ばれると基準電流Irtは比較的大きくなるのでノード電圧Vn1は入力電圧Vinが通常状態である時刻t1および過電圧状態が検出される時刻t2においてはハイレベルHに置かれる。時刻t2〜t3においては第2検知トランジスタJT2が徐々にオン状態が強くなり、それに伴い設定電圧Vrtは低くなる。このときカレントミラー回路15側からノードN1に向かって流れる電流も徐々に減少し、時刻t3でハイレベルHからローレベルLにレベルが遷移する。時刻t3は基準電流Irtと抵抗r4の大きさで調整、制御できるものであり、他のノードの電圧や電流では決定されないものである。
【0144】
ノード電圧Vn3は
図11に示したノードN3に表われる。ノード電圧Vn3は、過電圧状態と検知される時刻t1以降徐々に上昇する。ノード電圧Vn3に基づき、時刻t2でラッチ回路19側に設けた図示しないコンパレータでハイレベルHが出力される。
【0145】
第1検知電圧Vj1は、ラッチ回路19から第1検知トランジスタJT1のゲートに出力される。第1検知電圧Vj1は、ノード電圧Vn1とノード電圧Vn3のレベル応じて生成される信号によって定まり、両者の電位が共にハイレベルHであるときにローレベルLとなり、これ以外の組み合わせにおいてはハイレベルHが出力される。したがって、時刻t2〜t3の区間ローレベルLとなる。
【0146】
第2検知電圧Vj2は、バッファコンパレータ22に出力される。第2検知電圧Vj2はノードN4に生成されるノード電圧Vn4と同じである。ノード電圧Vn4はノード電圧Vn3と同様に時刻t1以降徐々に増加する。
【0147】
分圧電圧Vbgr2は、バイポーラトランジスタb1のベースに印加される。分圧電圧Vbgr2は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定される。さらに基準電圧調整部9のオン/オフ状態に追随する。時刻t2まですなわち過電圧状態が検出されるまでの区間は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定された比較的高い電位に維持される。しかし、時刻t2以降は、第2検知トランジスタJT2に徐々に電流が始めるので分圧電圧Vbgr2の電圧はリニアに下降していく。
【0148】
設定電圧Vrtは、バイポーラトランジスタb1,b2のベース・エミッタ間順方向電圧が等しいときには分圧電圧Vbgr2の振る舞いに追随し、かつその大きさも設定端子RTの電圧とほぼ等しくなる。したがって、時刻t2以降徐々に低下していく。
【0149】
キャパシタ電圧VcはキャパシタCに表われる三角波状または鋸歯状の電圧となり、基準電流Irtによってキャパシタが充電され、また、nMOSトランジスタn3によって急峻に放電を繰り返して生成されるので直線性に優れた傾斜(スロープ)電圧となる。キャパシタ電圧Vcは、第1比較電圧V1と第2比較電圧V2にそれぞれ達したときにハイレベル、およびローレベルを繰り返す三角波状電圧となる。キャパシタ電圧Vcは、入力電圧Vinが通常状態である時刻t1であっても過電圧状態に入る直前の時刻t2までは所定の周波数(周期)である。過電圧が検知される時刻t2以降は徐々に周波数は低下し、周期T1よりも周期T2は長くなる。
【0150】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、ヒステリシスコンパレータ18から出力されるクロック信号CLK(セット信号Sset)である。クロック信号CLKは、キャパシタ電圧Vcを波形整形したものであるので、時刻t2以降の周波数は徐々に低下し、当然のことながら周期T1よりも周期T2は長くなる。
【0151】
図13は、本発明に係る発振回路装置のさらに別の一例を示す。
図13の発振回路装置6cは、入力電圧Vinが低電圧状態に陥った場合に好適な回路構成である。
図7に示した過電圧状態を検出するものとは、入力電圧変換部7の回路構成が異なる。その他の回路構成及び回路動作はほぼ同じである。ここでは、
図13が
図7と異なる回路構成とその効果の違いについて説明する。
【0152】
図13では、入力電圧変換部7に抵抗r10〜r12、pMOSトランジスタpL、nMOSトランジスタn1,n2及びpMOSトランジスタp1,p2を含む。入力端子INと接地電位GNDとの間に抵抗r10及び抵抗r11が直列に接続されている。入力電圧Vinは抵抗r10及び抵抗r11で分圧され、ノードN5においてノード電圧Vn5を生成し、pMOSトランジスタpLのゲートに出力する。
【0153】
pMOSトランジスタpLのソースは抵抗r12を介して電源電圧Vccに、そのドレインはnMOSトランジスタn1のドレインとゲート、およびnMOSトランジスタn2のゲートに接続されている。pMOSトランジスタpLで生成される検知電流Ijは、ノード電圧Vn5、pMOSトランジスタpLのゲート・ソース間の閾値電圧Vgs、および抵抗r12によって決定される。カレントミラー回路を構成するnMOSトランジスタn1,n2及びpMOSトランジスタp1,p2にはpMOSトランジスタpLに流れる電流とほぼ同じ電流または異なる電流を流すことができる。
【0154】
入力電圧Vinが、低電圧に陥り通常動作時の電圧と設定電圧Δv2以上の電位差となったとき、低電圧状態と判断されpMOSトランジスタpLがオンされる。この時、ゲート・ソース間電圧Vgsは例えば0.65Vであり、後段のカレントミラー回路を形成しているnMOSトランジスタn1,n2及びpMOSトランジスタp1,p2を介してノードN2にハイレベルのノード電圧Vn2を生成する。
【0155】
ラッチ回路19は
図7に示したものと同様に、ノード電圧Vn1,Vn2が共にハイレベルHのときに第1検知トランジスタJT1をオフさせ、ノード電圧Vn1,Vn2の少なくとも一方がローレベルであるとき、第1検知トランジスタJT1をオンさせるように動作する。
【0156】
なお
図13における基準電圧部8、基準電圧調整部9、カレントミラー回路15及びクロック信号生成部10は
図7に示したものと同じである。
【0157】
図14は、本発明に係る発振回路装置の第4実施形態の低電圧状態における各部のタイミングチャートである。
図13は、上から順に入力電圧Vinに応じてセット信号Ssetが出力されるまでの、各ノードでの電圧が描写されている。
図14は、
図13において入力電圧Vinが低電圧状態に陥ったときの発振回路装置6cの各部のタイミングチャートである。すなわち、
図14は発振回路装置6cが有する発振周波数の調整機能をイネーブル状態に設定するために抵抗R3を数十kΩ程度の比較的低抵抗値に選んだ場合のタイミングチャートである。
【0158】
図14には、上から順に入力電圧Vinに応じてクロック信号CLK(セット信号Sset)が出力されるまでの各ノードでの電圧が描写されている。入力電圧Vinは時刻t1から降圧し始め、時刻t2で所定の電圧をΔv2だけ下回ったときに低電圧状態と判定され、基準電圧調整部9によって発振回路装置6において発振周波数の調整が実行される。
【0159】
ノード電圧Vn1の大きさは基準電流Irtと抵抗r4との積によって決定される。基準電流Irtは抵抗R3によって決められている。抵抗R3が数十kΩ程度に選ばれると基準電流Irtは比較的大きくなるのでノード電圧Vn1は入力電圧Vinが通常状態である時刻t1および低電圧状態が検出される時刻t2においてはハイレベルHに置かれる。時刻t2からt3においては第2検知トランジスタJT2が徐々にオン状態が強くなり、それに伴い設定電圧Vrtは低くなる。このときカレントミラー回路15側からノードN1に向かって流れる電流も徐々に減少し、時刻t3でハイレベルHからローレベルLに相当するレベルまで遷移する。なお時刻t3のタイミングは基準電流Irtと抵抗r4の大きさで調整、制御できるものであり、他のノードの電圧や電流では決定されないものであるが、ノード電圧Vn2がローレベルからハイレベルに遷移する時刻t2よりは遅れるように調整されている。これによって、ラッチ回路19から出力される第1検出電圧Vj1を適正に出力することができる。
【0160】
ノード電圧Vn5はノードN5に表われる。ノード電圧Vn5は、低電圧状態に入る時刻t1より徐々に低下していく。時刻t2においてノード電圧Vn5が所定の電圧ΔV3だけ低くなり、以降時刻の経過と共に低下していく。
【0161】
第1検知電圧Vj1は、ラッチ回路19から第1検知トランジスタJT1のゲートに出力される。第1検知電圧Vj1は、低電圧が検知される時刻t2まではハイレベルHに設定され、低電圧状態である時刻t2以降はローレベルLとなるように設定される。なお、第1検知電圧Vj1はノード電圧Vn1と
図14には図示しないノード電圧Vn2(
図9、Vn2と同じ)とによってラッチ回路で設定されている。
【0162】
第2検知電圧Vj2は、nMOSトランジスタn1,n2のゲートに表われる。第2検知電圧Vj2は、第1検知電圧Vj1の極性が反転されたものとなる。
【0163】
分圧電圧Vbgr2は、バイポーラトランジスタb1のベースに印加される。分圧電圧Vbgr2は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定される。さらに基準電圧調整部9のオン/オフ状態に追随する。時刻t2まですなわち、低電圧状態が検出されるまでの区間は、バンドギャップレファレンス回路16で生成される電圧と、抵抗r2,r3によって設定された比較的高い電位に維持されているが、時刻t2以降は、第2検知トランジスタJT2に徐々に電流が始めるので分圧電圧Vbgr2の電圧はリニアに下降していく。
【0164】
設定電圧Vrtは、バイポーラトランジスタb1,b2のベース・エミッタ間順方向電圧が等しいときには分圧電圧Vbgr2の変化に追随しかつその大きさも設定端子RTの電圧とほぼ等しくなる。
【0165】
キャパシタ電圧VcはキャパシタCに生じ三角波状または鋸歯状の電圧となり、基準電流Irtによってキャパシタが充電され、また、nMOSトランジスタn3によって急峻に放電を繰り返して生成されるので直線性に優れた傾斜(スロープ)電圧となる。キャパシタ電圧Vcの周期は、設定電圧Vrtの低下とともに拡がり、周波数は低下していく。
【0166】
クロック信号CLK(セット信号Sset)は、ヒステリシスコンパレータ10から出力されるクロック信号CLK(セット信号Sset)である。キャパシタ電圧Vcが、第1比較電圧V1と第2比較電圧V2にそれぞれ達したときにハイレベル、およびローレベルを繰り返す矩形波信号となる。クロック信号CLK(セット信号Sset)の周期(周波数)は、時刻の経過と共に拡がり、周波数は低下していく。
【0167】
図15は、本発明に係る発振回路装置のさらに別の一例を示す。発振回路装置6dは、入力電圧Vinが低電圧状態に用いることができる回路構成である。
図13とは、入力電圧変換部7の一部及び基準電圧調整部9の構成が異なる。その他の回路構成及び回路動作は同じである。ここでは、
図15が
図13と異なる回路構成について説明する。
【0168】
発振回路装置6dは、基準電圧調整部9に抵抗r13,r14、第1検知トランジスタJT1及び第2検知トランジスタJT2を含む。抵抗r13,r14は、セレクト端子SELECTと接地間に直列に接続されている。抵抗r13,r14の共通接続ノードN6において、ノード電圧Vn6が生成され、これが第1検知トランジスタJT1のゲートに入力される。発振回路装置6dはセレクト端子SELECを外部端子として用意しなければならないが、その分周波数調整機能を有効とするか、それとも無効とするかの設定を、ラッチ回路等を採用せずに行えるので極めて容易にかつ確実に設定することが可能となる。また、外部端子が用意するならば、低電圧時において、クロック信号生成回路10に周波数調整をもたせるか否かの設定も容易に設定することができる。
【0169】
図16は、本発明に係るラッチ回路の詳細な構成例である。ラッチ回路19はシュミットインバータ回路20,21、インバータIn1及び否定論理積回路NAND1,NAND2で構成したよく知られた2入力ラッチ回路である。セット信号として入力されるノード電圧Vn1は端子aに、リセット信号として入力されるノード電圧Vn2は端子bに、及び第1検知電圧Vj1は端子cを介してそれぞれ入力または出力されている。ラッチ回路19はノード電圧Vn1の立下りエッジをトリガとして第1検知電圧Vj1をハイレベルHにセットし、ノード電圧Vn2の立ち上りエッジをトリガとして第1検知電圧Vj1をローレベルLにリセットする。なお、ラッチ回路19は否定論理積回路ではなく否定論理和回路とインバータ等で組み合わせて構成してもよい。
【0170】
なお、ノード電圧Vn1は基準電流Irtを抵抗r4で電圧に変換したもの、ノード電圧Vn2は入力電流Ijを抵抗r5で電圧に変換したものである。過電圧状態において分周動作が行われると、検知電流Irtが減少することでノード電圧Vn1も降圧し、ノード電圧Vn1がハイレベルからローレベルに立ち下がることで論理演算が反転してしまう。よってラッチ回路19は
図14で示すような、リセット優先型のものであることが望ましい。