特許第6859197号(P6859197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859197
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】印字装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20210405BHJP
   B41J 3/54 20060101ALI20210405BHJP
   B41J 29/02 20060101ALI20210405BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B41J29/00 A
   B41J3/54 Z
   B41J29/02
   B41J15/04
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-103417(P2017-103417)
(22)【出願日】2017年5月25日
(65)【公開番号】特開2018-196976(P2018-196976A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−067159(JP,A)
【文献】 特開2002−337418(JP,A)
【文献】 実開平04−064149(JP,U)
【文献】 特開2003−089249(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0031396(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第106626823(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 3/54
B41J 15/04
B41J 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に支持される被支持部を一端側に有するフレームと、
前記フレームに設けられた印字部と、
前記フレームの下方に設けられた上部用紙搬送ガイドと、
前記上部用紙搬送ガイドとの間に前記印字部で印字される用紙が挿入される隙間を構成する、前記上部用紙搬送ガイドの下方に設けられる下部用紙搬送ガイドと、
前記上部用紙搬送ガイドに設けられ、前記被支持部を中心に前記フレームが下方に変形したときに、前記フレームの弾性変形領域で前記下部用紙搬送ガイドと当接するストッパーと、
を備える印字装置。
【請求項2】
前記下部用紙搬送ガイドは、前記ストッパーと当接する受け部を有する、請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記フレームの他端側の前記上部用紙搬送ガイドの下面に設けられる、請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記受け部は、面方向が水平方向に延びる主面を含む、請求項3に記載の印字装置。
【請求項5】
前記ストッパーは、下端が平面状に構成されるとともに、前記上部用紙搬送ガイド及び前記下部用紙搬送ガイドの間の前記隙間において前記用紙が搬送される搬送方向の面が前記搬送方向に対して傾斜する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小切手やステートメント紙等の幅広の用紙に印字できるように、印字部に用紙の搬送経路の片側に用紙を挿入できる隙間を有するスリットが設けられた印字装置が知られている。このような印字装置は、印字部にスリットを設けるために、印字部が片持ち構造になっており、上方から偶発的な衝撃や荷重が印加された場合に、印字部のフレームが塑性変形する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−270079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明が解決しようとする課題は、片持ち構造のフレームが塑性変形することを防止できる印字装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の印字装置は、筐体と、フレームと、印字部と、上部用紙搬送ガイドと、下部用紙搬送ガイドと、ストッパーと、を備える。フレームは、前記筐体に固定される被支持部を一端側に有する。印字部は、フレームに設けられる。上部用紙搬送ガイドは、前記フレームの下方に設けられる。下部用紙搬送ガイドは、前記上部用紙搬送ガイドとの間に前記印字部で印字される用紙が挿入される隙間を構成する、前記上部用紙搬送ガイドの下方に設けられる。ストッパーは、前記上部用紙搬送ガイドに設けられ、前記被支持部を中心に前記フレームが下方に変形したときに、前記フレームの弾性変形領域で前記下部用紙搬送ガイドと当接する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る印字装置の構成を示す斜視図。
図2】同印字装置の構成であって、第2印字装置のカバーを外した構成を示す斜視図。
図3】同印字装置の構成を示す側面図。
図4】同印字装置の構成を示す正面図。
図5】同印字装置の要部構成を示す斜視図。
図6】同印字装置の筐体及びフレームの構成を示す斜視図。
図7】同フレームの構成を示す斜視図。
図8】同印字装置に用いられる上部用紙搬送ガイドの構成を示す斜視図。
図9】同印字装置に用いられる下部用紙搬送ガイドの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態に係る印字装置1について図1乃至図9を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る印字装置1の構成を示す斜視図、図2は、印字装置1の第2印字装置13のカバー25を外した構成を示す斜視図である。図3は印字装置1の側面からの構成を、図4は印字装置1の正面からの構成を示す図である。図5は印字装置1の第2印字装置13の構成を示す斜視図、図6は印字装置1の筐体11及びフレーム21の構成を示す斜視図、図7はフレーム21の構成を示す斜視図、図8は第2印字装置13の上部用紙搬送ガイド23の構成を、図9は第2印字装置13の下部用紙搬送ガイド24の構成をそれぞれ示す斜視図である。なお、本実施形態において、印字装置1は、第2印字装置13が設けられた側を正面(前)側、筐体11が設けられた側を背面(後)側として、以下説明する。
【0008】
図1乃至図5に示すように、印字装置1は、筐体11と、筐体11に設けられた第1印字装置12と、筐体11に設けられた第2印字装置13と、を備えている。印字装置1は、第1印字装置12によって、ロール紙に印字するとともに、第2印字装置13によって、幅広の用紙に印字する。このような印字装置1は、例えば、POS端末に用いられる。
【0009】
筐体11は、第1印字装置12及び第2印字装置13を一体に支持する。筐体11は、電装品等が内部に収容される。
【0010】
第1印字装置12は、例えば、レシート用のロール紙に印字する。第1印字装置12は、ロール紙を送る送り装置、送られたロール紙を排紙する排紙口、ロール紙に印字するヘッド、ロール紙を切断するカッターユニット等を有する。例えば、ロール紙は感熱紙であり、ヘッドはサーマルヘッドである。
【0011】
第2印字装置13は、小切手やステートメント紙等の用紙に印字する。第2印字装置13は、筐体11に支持されるフレーム21と、フレーム21に保持される印字部22と、フレーム21に設けられた上部用紙搬送ガイド23と、筐体11に設けられた下部用紙搬送ガイド24と、フレーム21の上方を覆うカバー25と、を備える。
【0012】
図6及び図7に示すように、フレーム21は、筐体11に固定される。フレーム21は、金属材料により構成される。フレーム21は、筐体11に固定される被支持部21aと、被支持部21aと一端が連続し、印字部22及び上部用紙搬送ガイド23を保持する保持部21bと、を備える。
【0013】
被支持部21aは、保持部21b並びに保持部21bに設けられた印字部22及び上部用紙搬送ガイド23を支持する。被支持部21aの一部は、例えば、第1印字装置12のフレームを構成してもよい。
【0014】
保持部21bは、印字部22及び上部用紙搬送ガイド23を保持する。保持部21bの一端側は、被支持部21aと一体に構成され、被支持部21aを介して筐体11に固定される。保持部21bの他端は、フリー状態の自由端である。即ち、保持部21bは、所謂片持ち構造で印字部22及び上部用紙搬送ガイド23を保持する。
【0015】
換言すると、フレーム21は、筐体11に被支持部21aが固定されることで、保持部21bが片持ち構造で印字部22及び上部用紙搬送ガイド23を保持する。
【0016】
印字部22は、上部用紙搬送ガイド23及び下部用紙搬送ガイド24の間を搬送された用紙に印字する。印字部22は、例えば、ドットマトリクスヘッドである。
【0017】
上部用紙搬送ガイド23は、樹脂材料により構成される。図8に示すように、上部用紙搬送ガイド23は、フレーム21及び印字部22の周囲を覆う。上部用紙搬送ガイド23は、筐体11の側方であって、且つ、下部用紙搬送ガイド24の上方に配置される。上部用紙搬送ガイド23は、下方側から側方まで、下部用紙搬送ガイド24及び筐体11と所定の隙間を有して対向する。なお、上部用紙搬送ガイド23及び下部用紙搬送ガイド24と対向する隙間は、用紙及び作業者の手指が配置可能な幅に構成される。また、上部用紙搬送ガイド23及び筐体11の隙間は、用紙が配置可能、且つ、用紙に印字部22で印字可能な幅に構成される。
【0018】
また、上部用紙搬送ガイド23は、下面の一部にストッパー23aを有する。ストッパー23aは、上方から外力が印加し、被支持部21aを中心にフレーム21の保持部21bが下方に回転するように変形したときであって、且つ、フレーム21が弾性変形する領域にあるときに、下部用紙搬送ガイド24と当接する。
【0019】
ストッパー23aは、保持部21bの被支持部21a側の端部とは反対側の端部側の、上部用紙搬送ガイド23の下面に設けられる。換言すると、ストッパー23aは、上部用紙搬送ガイド23の下面であって、且つ、上方からの外力によってフレーム21が変形するときに、保持部21bの回転中心からから離れた位置に設けられる。
【0020】
ストッパー23aは、下端形状が水平方向に延びる平面状に構成されるとともに、側面形状が用紙の搬送方向に対して傾斜する形状に構成される。即ち、ストッパー23aは、上部用紙搬送ガイド23の下面から先端に向かって用紙の搬送方向の幅が漸次小さくなり、そして、先端が平面状に構成される。また、ストッパー23aは、下部用紙搬送ガイド24の上面のストッパー23aと対向する部位との間に、用紙が挿入可能な隙間を構成する。ストッパー23aの上部用紙搬送ガイド23の下面からの高さは、フレーム21が上方から印加された外力によって下方へ回転するように変形したときに、フレーム21が弾性変形する領域において、下部用紙搬送ガイド24と当接可能な高さであれば、適宜設定できる。ストッパー23aは、例えば、上部用紙搬送ガイド23の端部側であって、且つ、筐体11側の下面に設けられる。
【0021】
下部用紙搬送ガイド24は、樹脂材料により構成される。下部用紙搬送ガイド24は、筐体11に設けられる。下部用紙搬送ガイド24は、上部用紙搬送ガイド23の下方から印字部22の下方までの範囲と対向する。下部用紙搬送ガイド24は、筐体11に固定される。下部用紙搬送ガイド24は、印字部22及び上部用紙搬送ガイド23と所定の間隔を有して筐体11に設けられる。具体例として、図9に示すように、下部用紙搬送ガイド24の上面は、上部用紙搬送ガイド23の下面の正面側が水平方向に延びる平面上に構成されるとともに、上部用紙搬送ガイド23の下面の中央側から所定の曲率半径の四半円柱状の曲面に構成される。
【0022】
即ち、上部用紙搬送ガイド23及び下部用紙搬送ガイド24の間の隙間は、使用者の手指が挿入可能に印字装置1の正面側において大きく、上部用紙搬送ガイド23の前後方向で中央側から背面側に向かって漸次小さく構成される。
【0023】
また、下部用紙搬送ガイド24は、上面の上部用紙搬送ガイド23のストッパー23aと重力方向で対向する位置に、ストッパー23aを受ける受け部24aを有する。受け部24aは、被支持部21aを中心にフレーム21の保持部21bが下方に回転するように変形したときであって、且つ、フレーム21が弾性変形する領域にあるときに、ストッパー23aと当接し、ストッパー23aの移動を規制する。受け部24aは、ストッパー23aと当接する上面の面方向が水平方向に延びる。例えば、受け部24aは、下部用紙搬送ガイド24の曲面状の部位に配置され、ストッパー23aと当接する面が平面状に構成される。
【0024】
このように構成された印字装置1によれば、上部用紙搬送ガイド23が筐体11及び下部用紙搬送ガイド24と隙間を有して配置されるとともに、フレーム21の印字部22及び上部用紙搬送ガイド23を保持する保持部21bが片持ち構造である。このため、印字装置1は、第2印字装置13の一方の側方及び前方が当該隙間によって開口する。即ち、第2印字装置13は、前方に開口部13aが、側方にスリット13bが構成され、用紙を配置及び搬送し、印字部22において印字するための、印字装置1の前方から上方に延びる用紙の搬送路を含む。このため、使用者が、第2印字装置13の前方から用紙を挿入し、用紙の印字する領域を印字部22に対向させて、印字のための外部指令を印字装置1に行うことで、第2印字装置13は、用紙に印字することが可能となる。
【0025】
また、このような印字装置1は、第2印字装置13が用紙を挿入及び配置可能に開口及びスリット13bを有する構成であるため、第2印字装置13のフレーム21が片持ち構造を有する。このため、第2印字装置13の上方から衝撃や荷重等の外力が印加された場合に、フレーム21の保持部21bが被支持部21aを中心に下方へと回転するように変形する。しかし、第2印字装置13は、上部用紙搬送ガイド23にストッパー23aを有し、下部用紙搬送ガイド24に受け部24aを有する。このため、保持部21bが下方へと変形した場合に、保持部21bが弾性変形する範囲にあるときに、ストッパー23aが受け部24aと当接し、上部用紙搬送ガイド23の移動、即ち、フレーム21の変形が規制される。
【0026】
即ち、ストッパー23aが受け部24aに当接した状態におけるフレーム21の変形は、弾性変形による変形が行われる領域内に留まり、塑性変形することを防止できる。換言すると、ストッパー23aが受け部24aに当接するまでのフレーム21の変形量は、弾性変形はするが、塑性変形までは至らない量である。結果、第2印字装置13への外力の印加が解除されると、フレーム21はもとの形状に復元する。このように、印字装置1は、片持ち構造のフレーム21の変形量をストッパー23aにより規制することで、フレーム21が塑性変形することによる不具合が生じることを防止できる。
【0027】
また、ストッパー23aは、用紙の搬送方向の面が傾斜する構成であることから、搬送する用紙がストッパー23aにあたった場合であっても、当該傾斜する面が用紙を下方に案内するため、ストッパー23aによって開口部13aから挿入された用紙の搬送を阻害することを防止できる。
【0028】
また、ストッパー23a及び受け部24aの当接する面が平面に構成されることから、受け部24aは確実にストッパー23aの移動を規制できる。このため、第2印字装置13は、ストッパー23aが受け部24aから脱落して、フレーム21が塑性変形する領域まで変形することを防止できる。
【0029】
上述したように本実施形態に係る印字装置1によれば、片持ち構造のフレーム21を有する第2印字装置13であっても、フレーム21が弾性変形する変形量を超えるフレーム21の変形をストッパー23aにより規制する。このため、印字装置1は、外力が印加された場合であっても、片持ち構造のフレーム21が塑性変形することを防止できる。
【0030】
なお、実施形態は上述した例に限定されない。例えば、上述したストッパー23a及び受け部24aの位置は上記位置に限定されない。例えば、ストッパー23a及び受け部24aは、フレーム21が筐体11に固定される側に設けられても良い。また、受け部24aが下部用紙搬送ガイド24の上面が平面状の部位に設けられていても良い。ただし、上記実施形態の構成とすることで、ストッパー23aは、回転する方向にフレーム21の保持部21bが移動した場合に、同じ回転角度であっても、保持部21bの下方への移動量が大きいことから、ストッパー23aの高さが低くてよい。このため、ストッパー23aの高さが低くなる位置にストッパー23aを配置することが好ましい。
【0031】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の印字装置によれば、外力が印加された場合であっても、片持ち構造のフレーム21が塑性変形することを防止できる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…印字装置、11…筐体、12…第1印字装置、13…第2印字装置、13a…開口部、13b…スリット、21…フレーム、21a…被支持部、21b…保持部、22…印字部、23…上部用紙搬送ガイド、23a…ストッパー、24…下部用紙搬送ガイド、24a…受け部、25…カバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9