(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用したリレーユニットの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るリレーユニット10を内包する電池装置11は、回生蓄電システム12の一部を構成する。回生蓄電システム12は、ISG(Integrated Starter Generator)13、スタータ14、鉛蓄電池15、電装品16、および電池装置11を含んでいる。ISG13、スタータ14、鉛蓄電池15、電装品16、および電池装置11は、並列に接続される。なお、ISG13および電池装置11は、供給用リレー17を介して、スタータ14、鉛蓄電池15、および電装品16に接続されている。
【0013】
なお、回生蓄電システム12は、例えば、ガソリン自動車、ディーゼル自動車、およびハイブリッド車などの車両に搭載される。なお、
図1において、各機能ブロックを結ぶ実線は、電力の流れを表す。また、
図1において、各機能ブロックを結ぶ破線は、制御信号または通信される情報の流れを表す。
【0014】
ISG13は、車両のエンジンおよび駆動シャフトの少なくとも一方に直接的または間接的に、機械的に接続される。ISG13は、エンジンの駆動または駆動シャフトの回転によって発電可能である。ISG13は発電した電力をレギュレータで出力電圧を調整して、鉛蓄電池15、電装品16、および電池装置11に供給可能である。ISG13は、車両の減速時等に回生によって発電可能である。ISG13が回生発電した電力は、鉛蓄電池15および電池装置11に蓄電可能である。ISG13は、電池装置11から電力供給を受けて、例えば、アイドリングストップ中のエンジンを再始動させる。
【0015】
スタータ14は、例えばセルモータである。スタータ14は、イグニッションキー操作または始動ボタンの押下に基づいて、スタータ14に接続されるスイッチが導通するとき鉛蓄電池15および電池装置11の少なくとも一方からの電力供給を受けて、エンジンを始動させる。
【0016】
鉛蓄電池15は、例えば公称電圧12Vの出力電圧を有する鉛蓄電池であって、スタータ14および電装品16に対して電力を供給可能である。
【0017】
電装品16は、例えば車両に備えられたオーディオ、エアコン、及びナビゲーションシステム等を含む負荷装置であって、供給された電力を消費して動作する。
【0018】
電池装置11は、例えばリチウムイオン電池装置である。本実施形態において、電池装置11の出力電圧は、鉛蓄電池15の出力電圧と異なっており、DC/DCコンバータによって、鉛蓄電池15の出力電圧と略同一となるように調整される。または、電池装置11の出力電圧は、鉛蓄電池15の出力電圧と略同一であってもよい。電池装置11は、ISG13、スタータ14、および電装品16に対して電力を供給可能である。
【0019】
電池装置11は、組電池18およびリレーユニット10を含んでいる。組電池18は、リレーユニット10を介して、ISG13および供給用リレー17に接続している。
【0020】
組電池18は、例えば、リチウムイオン電池などである複数のセルによって構成されている。組電池18においては、複数のセルが直列または並列に接続されている。
【0021】
リレーユニット10は、第1のリレー19、第2のリレー20、ヒューズ21、第1の電圧センサ22、第2の電圧センサ23、およびコントローラ24を含んでいる。
【0022】
第1のリレー19および第2のリレー20は、例えば、電磁リレーである。第1のリレー19は、例えば、メークリレーである。第2のリレー20は、ラッチリレーである。
【0023】
第1のリレー19および第2のリレー20は、互いに直列に接続されている。第1の実施形態では、第2のリレー20が、組電池18に直列に接続されている。なお、第1のリレー19および第2のリレー20は、間に組電池18を挟んでいてもよい。第1のリレー19および第2のリレー20は、後述するコントローラ24の制御に基づいて、リレーユニット10全体の通電状態と遮断状態とを切替える。
【0024】
ヒューズ21は、第1のリレー19に直列に接続されている。ヒューズ21は、大電流通電時のジュール熱に伴う昇温により遮断する。遮断する時の発熱量は、ヒューズ21が遮断するまで加熱するために必要な熱量から放熱量を減じた値である。なお、発熱量は、(電流)
2×(通電時間)×(ヒューズ21の内部抵抗)により算出される。また、報熱量は、{(ヒューズ21の遮断時の温度)−(外気温)}×(放熱速度定数)×(時間)により算出される。
【0025】
第1の電圧センサ22および第2の電圧センサ23は、それぞれ、第1のリレー19および第2のリレー20の接点端子間の電圧を検出する。第1の電圧センサ22および第2の電圧センサ23は、検出した電圧値をコントローラ24に通知する。
【0026】
コントローラ24は、例えばマイクロコンピュータで構成される。コントローラ24は、第1の電圧センサ22および第2の電圧センサ23から電圧値を取得する。コントローラ24は、組電池18から、例えばセル毎の電圧値などの検出値を取得する。また、コントローラ24は、ECUなどの外部機器から車両の情報および指令などを取得する。コントローラ24は、取得した情報に基づいて、第1のリレー19および第2のリレー20の通電状態と遮断状態との切替え制御を行う。
【0027】
コントローラ24は、第1ののリレー19および第2のリレー20を通電状態から遮断状態に切替える遮断制御を実行し得る。コントローラ24は、遮断制御を実行する場合、最初に第1のリレー19を通電状態から遮断状態に切替えるように、第1のリレー19を制御する。コントローラ24は、遮断状態への切替え後の第1の電圧センサ22が検出する電圧値に基づいて、第1のリレー19に固着が発生しているか否かを判別する。第1のリレー19の固着とは、接点同士が例えば、熱により溶着することである。
【0028】
コントローラ24は、第1のリレー19に固着が発生していると判別する場合、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったか否かを判別する。通電量は、例えば、通電する電流値である。コントローラ24は、第1の実施形態において、第2のリレー20の電気的な測定に基づいて、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったか否かを判別する。
【0029】
コントローラ24は、第2のリレー20の電気的な測定として、例えば電圧値または電流値の測定に基づいて、前述の判別を行う。コントローラ24は、本実施形態ではさらに具体的に、例えば、第2の電圧センサ23が検出する電圧値および第2のリレー20の抵抗値に基づいて、通電量を算出する。コントローラ24は、算出した通電量が閾値以下であるか否かを判別する。
【0030】
コントローラ24は、通電量が閾値以下に下がったことの判別後に、第2のリレー20を遮断状態に切替えるように制御する。
【0031】
また、コントローラ24は、第1のリレー19および第2のリレー20を遮断状態から通電状態に切替える通電制御を実行し得る。コントローラ24は、通電制御を実行する場合、最初に、第2のリレー20に固着が発生しているか否かを判別する。
【0032】
コントローラ24は、固着が発生しているか否かの判別のために、第2のリレー20を遮断状態から通電状態に切替え、再び遮断状態に切替えるように制御する。なお、コントローラ24は、遮断状態から通電状態および通電状態から遮断状態へのそれぞれの切替えには、例えば0.1秒の間隔で行う。
【0033】
コントローラ24は、順番に切替えられる、通電状態および遮断状態における第2のリレー20に対応する、第2の電圧センサ23が検出する電圧値の変化に基づいて、固着の発生の有無を判別する。なお、コントローラ24は、電圧値の変化の絶対値が所定値未満である場合には、固着が発生していると判別する。
【0034】
コントローラ24は、固着が発生していないと判別する場合に、第2のリレー20を遮断状態から通電状態に切替えるように制御する。コントローラ24は、第2のリレー20を通電状態に切替える制御をした後に、第1のリレー19を通電状態に切替えるように制御する。
【0035】
また、コントローラ24は、車両が音を発する時に、遮断制御における前記第1のリレー19の遮断状態への切替えのための制御を実行する。本実施形態において、遮断制御のための車両が音を発する時は、例えば、車両のエンジンの停止時、または車両のドアの施錠時あるいは解錠時である。コントローラ24は、ECUの外部機器から取得する情報に基づいて、車両のエンジンの停止時、および車両のドアの施錠時または解錠時を認識する。コントローラ24は、例えば、遮断制御を実行する指令を外部機器から取得すると、車両のエンジンの停止時、および車両のドアの施錠時または解錠時まで待機して、遮断制御を実行する。
【0036】
また、コントローラ24は、車両から搭乗者が離れていることを推定した時に、前記遮断制御における前記第1のリレー19の遮断状態への切替えのための制御を実行する。本実施形態において、車両から搭乗者が離れていることを推定した時は、車両のエンジンの停止から第2の時間の経過時、またはリモコンによる車両のドアの施錠時あるいは解錠時である。第2の時間は、エンジンの停止後に搭乗者が車両から離れるまでの一般的な時間である。コントローラ24は、ECUの外部機器から取得する情報に基づいて、車両のエンジンの停止時、およびリモコンによる車両のドアの施錠時または解錠時を認識する。コントローラ24は、例えば、遮断制御を実行する指令を外部機器から取得すると、車両のエンジンの停止から第2の時間の経過時、およびリモコンによる車両のドアの施錠時または解錠時まで待機して、遮断制御を実行する。
【0037】
また、コントローラ24は、車両が音を発する時に、通電制御における第2のリレー20の固着の発生の有無の判別を実行する。本実施形態において、通電制御のための車両が音を発する時は、例えば、車両のエンジンの始動時、または車両のドアの施錠時あるいは解錠時である。コントローラ24は、ECUの外部機器から取得する情報に基づいて、車両のエンジンの始動時、および車両のドアの施錠時または解錠時を認識する。コントローラ24は、例えば、通電制御を実行する指令を外部機器から取得すると、車両のエンジンの始動時、および車両のドアの施錠時または解錠時まで待機して、遮断制御を実行する。
【0038】
次に、第1の実施形態において、コントローラ24が実行する遮断制御について、
図2のフローチャートを用いて説明する。コントローラ24は、外部機器から遮断制御を実行する指令を取得する場合に、遮断制御を開始する。
【0039】
ステップS100において、コントローラ24は、外部機器から取得する情報に基づいて、車両が音を発するか否か、および搭乗者が車両から離れているか否かを判別する。車両が音を発していない場合かつ搭乗者が車両から離れていない場合かつ安全上第1のリレー19および第2のリレー20をすぐに作動させる必要性が無い場合、プロセスはステップS100を繰返して、待機する。車両が音を発している場合、搭乗者が車両から離れている場合、および安全上第1のリレー19および第2のリレー20をすぐに作動させる必要性がある場合の少なくともいずれかにおいて、プロセスはステップS101に進む。
【0040】
ステップS101では、コントローラ24は、第1のリレー19を通電状態から遮断状態に切替えるように制御する。制御後、プロセスはステップS102に進む。
【0041】
ステップS102では、コントローラ24は、第1の電圧センサ22が検出する電圧値を取得する。さらに、コントローラ24は、取得した電圧値に基づいて、第1のリレー19に固着が発生しているか否かを判別する。固着が発生している場合、プロセスはステップS103に進む。固着が発生していない場合、プロセスはステップS105に進む。
【0042】
ステップS103では、コントローラ24は、第2の電圧センサ23が検出する電圧値に基づいて、通電量を算出する。通電量の算出後、プロセスはステップS104に進む。
【0043】
ステップS104では、コントローラ24は、ステップS103において算出した通電量が閾値以下であるか否かを判別する。通電量が閾値を超えるとき、プロセスはステップS103に戻る。通電量が閾値以下であるとき、プロセスはステップS105に進む。
【0044】
ステップS105では、コントローラ24は、第2のリレー20を通電状態から遮断状態に切替えるように制御する。遮断状態への切替えの制御後に、遮断制御は終了する。
【0045】
次に、第1の実施形態において、コントローラ24が実行する通電制御について、
図3のフローチャートを用いて説明する。コントローラ24は、外部機器から通電制御を実行する指令を取得する場合に、通電制御を開始する。
【0046】
ステップS200において、コントローラ24は、外部機器から取得する情報に基づいて、車両が音を発するか否かを判別する。車両が音を発していない場合、プロセスはステップS200を繰返して、待機する。車両が音を発している場合、プロセスはステップS201に進む。
【0047】
ステップS201では、コントローラ24は、第2のリレー20を通電状態に切替えるように制御する。さらに、コントローラ24は、通電状態への切替え制御後に、第2の電圧センサ23が検出する電圧値を取得する。電圧値の取得後、プロセスはステップS202に進む。
【0048】
ステップS202では、コントローラ24は、ステップS201において通電状態に切替えた第2のリレー20を、遮断状態に切替えるように制御する。さらに、コントローラ24は、遮断状態への切替え制御後に、第2の電圧センサ23が検出する電圧値を取得する。電圧値の取得後、プロセスはステップS203に進む。
【0049】
ステップS203では、コントローラ24は、ステップS201およびステップS202において取得した電圧値の差分の絶対値が所定値未満であるか否かを判別する。電圧値の差分の絶対値が所定値未満である場合、プロセスはステップS204に進む。電圧値の差分の絶対値が所定値未満で無い場合、通電制御は終了する。
【0050】
ステップS204では、コントローラ24は、ステップS202において遮断状態に切替えた第2のリレー20を、通電状態に切替えるように制御する。制御後、プロセスはステップS205に進む。
【0051】
ステップS205では、コントローラ24は、第1のリレー19を通電状態に切替えるように制御する。制御後、通電制御は終了する。
【0052】
以上のような第1の実施形態に係るリレーユニット10において、遮断制御を実行する場合、遮断状態への切替えの制御を行った第1のリレー19に固着が発生しているとき、複数のリレー19、20の通電量が閾値以下に下がったことを判別した後に、第2のリレー20を遮断状態に切替えるように制御している。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10は、第1のリレー19に固着を発生させた大電流が流れている間、第2のリレー20の遮断状態への切替えを防止し得る。第1の実施形態のリレーユニット10は、大電流が流れている間の第2のリレー20の遮断状態への切替えを防ぐことにより、当該第2のリレー20を遮断状態に切替える時に第2のリレー20の接点に流れる電流を低く抑え得る。したがって、第1の実施形態のリレーユニット10は、遮断制御において、第1のリレー19に固着が発生しても、他の第2のリレー20の固着の発生を低減し得る。
【0053】
また、第1の実施形態に係るリレーユニット10は、ヒューズ21を備えているので、過大な電流の通電を遮断し得る。第1のリレー19に固着を発生させる過大な電流が流れる場合には、通電量が閾値以下に下がるまでに第2の電圧センサ23が故障し得る。故障した第2の電圧センサ23の検出値に基づく通電量は、実際の通電量が閾値を超えていながら、閾値以下となり得る。実際の通電量が閾値を超えていながら、検出値に基づく通電量が閾値以下の場合に、第2のリレー20を遮断に切替えると、当該第2のリレー20にも固着が発生し得る。このような事象の生じる可能性に対して、第1の実施形態のリレーユニット10は、ヒューズ21が切れることにより、リレーユニット10全体の遮断の確実性を向上し得る。
【0054】
また、第1の実施形態に係るリレーユニット10は、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったことの判別を、第2のリレー20の電気的な測定に基づいて行う。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10は、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったことを、直接確認し得る。
【0055】
また、第1の実施形態に係るリレーユニット10において、通電制御を実行する場合、第2のリレー20に固着が発生していないことを判別した後に、当該第2のリレー20の通電状態への切替え制御を実行し、さらにその後に第1のリレー19の通電状態への切替え制御を実行する。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10は、当該第1のリレー19の通電状態への切替制御後に固着が発生しても、第2のリレー20を用いてリレーユニット10全体で遮断を実行し得る。
【0056】
また、第1の実施形態に係るリレーユニット10において、第2のリレー20がラッチリレーである。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10は、消費電力の小さなラッチリレーを適用することにより、回生蓄電システム12全体の消費電力を低減し得る。したがって、第1の実施形態のリレーユニット10は、回生蓄電システム12を例えば自動車に適用した構成において、ISG13の駆動源となるエンジンの消費燃料を低減し得る。なお、第1の実施形態のリレーユニット10は、全体における通電および遮断の切替を主に実行する第1のリレー19にはラッチリレーより動作の信頼性の高い種類のリレーを適用しているので、リレーユニット10全体の動作の信頼性を維持し得る。
【0057】
また、第1の実施形態に係るリレーユニット10は、車両が音を発する時に、第1のリレー19を遮断状態に切替えるように制御する。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10は、第1のリレー19の遮断状態への切替時に発する音を、車両が発する他の音に紛れ込ませ得る。
【0058】
また、第1の実施形態に係るリレーユニット10は、車両から搭乗者が離れていることを推定した時に、第1のリレー19を遮断状態に切替えるように制御する。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10は、第1のリレー19の遮断状態への切替時に発する音の、搭乗者への知覚の可能性を低減し得る。
【0059】
また、第1の実施形態に係るリレーユニット10は、車両が音を発する時に、通電制御における第2のリレーリレー20の固着の発生の有無の判別を実行する。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10は、当該第2のリレー20の固着の発生の判別のために当該第2のリレー20の遮断状態への切替時に発生する音を、車両が発する他の音に紛れ込ませ得る。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態に係るリレーユニットについて説明する。第2の実施形態ではコントローラ24による遮断制御において実行する処理が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0061】
図1に示すように、第2の実施形態に係るリレーユニット10は、第1のリレー19、第2のリレー20、ヒューズ21、第1の電圧センサ22、第2の電圧センサ23、およびコントローラ24を含んでいる。第1のリレー19、第2のリレー20、ヒューズ21、第1の電圧センサ22、および第2の電圧センサ23の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。コントローラ24の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0062】
コントローラ24は、第1の実施形態と同じく、遮断制御を実行する場合、最初に第1のリレー19を通電状態から遮断状態に切替えるように、第1のリレー19を制御する。次に、コントローラ24は、第1の実施形態と同じく、第1のリレー19に固着が発生しているか否かを判別する。
【0063】
コントローラ24は、第1のリレー19に固着が発生していると判別する場合、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったか否かを判別する。コントローラ24は、第2の実施形態において、第1のリレー19に固着が発生していると判別した時点から第1の時間が経過しているか否かの判別に基づいて、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がった否かを判別する。第1の時間は、例えば、第2のリレー20に固着を生じさせる電流値でヒューズ21が切れるまでかかる時間より長い時間に定められている。第1の時間を、以下にさらに詳細に説明する。
【0064】
ヒューズ21の切断条件は通電量そのものでなく発熱量である。したがって、(通電量)
2×(通電時間)がヒューズ21の特性によって定まる閾値を超えるとき、ヒューズ21は切断する。例えば、
図4に示すように、通電時間と(通電量)
2のグラフにおいて、ヒューズ21の特性に応じて定まる遮断条件線SDLによって、ヒューズ21が切断する条件領域と、ヒューズ21の切断されない条件領域とが区別される。遮断条件線SDLおよび第1のリレー19以外のリレー20を固着させる(通電量)
2の交点が示す時間が、第1のリレー19以外のリレー20に固着を生じさせる電流値でヒューズ21が切れるまでかかる時間であって、第1の時間に定められる。
【0065】
コントローラ24は、第1の実施形態と同様に、通電量が閾値以下に下がったことの判別後に、第2のリレー20を遮断状態に切替えるように制御する。
【0066】
コントローラ24は、第1の実施形態と同様に、通電制御を実行し得る。また、コントローラ24は、第1の実施形態と同様に、車両が音を発する時に、遮断制御における前記第1のリレー19の遮断状態への切替えのための制御を実行する。また、コントローラ24は、第1の実施形態と同様に、車両から搭乗者が離れていることを推定した時に、遮断制御における第1のリレー19の遮断状態への切替えのための制御を実行する。また、コントローラ24は、第1の実施形態と同様に、車両が音を発する時に、通電制御における第2のリレー20の固着の発生の有無の判別を実行する。
【0067】
次に、第2の実施形態において、コントローラ24が実行する遮断制御について、
図5のフローチャートを用いて説明する。コントローラ24は、外部機器から遮断制御を実行する指令を取得する場合に、遮断制御を開始する。
【0068】
ステップS300からS302において、コントローラ24は、第1の実施形態における遮断制御のステップS100からS102と同じ処理を実行する。
【0069】
ステップS302における固着が発生していると判別後に進むステップS303では、コントローラ24は、固着が発生していると判別した時点から第1の時間が経過しているか否かを判別する。第1の時間が経過していないとき、プロセスはステップS303を繰返して、待機する。第1の時間が経過しているとき、プロセスはステップS304に進む。
【0070】
ステップS302における固着が発生していないと判別後またはステップS303における第1の時間の経過後に進むステップS304では、コントローラ24は、第1の実施形態における遮断制御のステップS105と同じ処理を実行する。コントローラ24が第1のリレー19以外の他のリレー20を遮断状態に切替えるように制御した後、遮断制御は終了する。
【0071】
以上のような第2の実施形態に係るリレーユニット10においても、遮断制御を実行する場合、遮断状態への切替えの制御を行った第1のリレー19に固着が発生しているとき、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったことを判別した後に、第2のリレー20を遮断状態に切替えるように制御している。したがって、第2の実施形態に係るリレーユニット10も、遮断制御において、第1のリレー19に固着が発生しても、第2のリレー20の固着の発生を低減し得る。また、第2の実施形態に係るリレーユニット10も、ヒューズ21を備えているので、過大な電流の通電を遮断し得る。したがって、第2の実施形態のリレーユニット10も、ヒューズ21が切れることにより、リレーユニット10全体の遮断の確実性を向上し得る。また、第2の実施形態に係るリレーユニット10においても、第2のリレー20に固着が発生していないことを判別した後に、当該第2のリレー20の通電状態への切替えの制御を実行し、さらにその後に第1のリレー19の通電状態への切替えの制御を実行する。このような構成により、第2の実施形態のリレーユニット10も、第1のリレー19の通電状態への切替えの制御後に当該第1のリレー19に固着が発生しても、第2のリレー20を用いてリレーユニット10全体で遮断を実行し得る。また、第2の実施形態に係るリレーユニット10においても、第2のリレー20がラッチリレーである。したがって、第2の実施形態のリレーユニット10も、回生蓄電システム12を例えば自動車に適用した構成において、ISG13の駆動源となるエンジンの消費燃料を低減し得る。また、第2の実施形態に係るリレーユニット10も、車両が音を発する時に、第1のリレー19を遮断状態に切替えるように制御する。このような構成により、第1の実施形態のリレーユニット10も、第1のリレー19の遮断状態への切替時に発する音を、車両が発する他の音に紛れ込ませ得る。また、第2の実施形態に係るリレーユニット10は、車両から搭乗者が離れていることを推定した時に、第1のリレー19を遮断状態に切替えるように制御する。このような構成により、第2の実施形態のリレーユニット10は、第1のリレー19の遮断状態への切替時に発する音の、搭乗者への知覚の可能性を低減し得る。また、第1の実施形態に係るリレーユニット10も、車両が音を発する時に、通電制御における第2のリレー20の固着の発生の有無の判別を実行する。このような構成により、第2の実施形態のリレーユニット10も、当該第2のリレー20の固着の発生の判別のために当該第2のリレー20の遮断状態への切替時に発生する音を、車両が発するほかの音に紛れ込ませ得る。
【0072】
また、第2の実施形態に係るリレーユニット10は、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったことの判別を、固着が発生していると判別した時点から第1の時間が経過しているか否かの判別に基づいて行う。このような構成による効果を以下に説明する。
【0073】
前述のように、ヒューズ21の切断条件は発熱量であり、ヒューズ21の切断は通電量および通電時間によって生じ得る。
図4に示すように、遮断条件線SDLが収束する(第1の通電量)
2を超える通電量においては、各通電量に対してヒューズ21が切断する時間はヒューズの物性として決まっている。そこで、第2の実施形態のリレーユニット10は、上述のように定めた第1の時間と経過時間と比較することにより、第1のリレー19および第2の20の通電量が閾値以下に下がったことを判別させ得る。したがって、第2の実施形態のリレーユニット10は、第2のリレー20の電気的な測定が不要なので、例えば、センサに故障を発生させる大電流が第1のリレー19および第2のリレー20に流れている場合においても、第1のリレー19および第2のリレー20の通電量が閾値以下に下がったことを判別させ得る。その結果、第2の実施形態のリレーユニット10は、ヒューズ21が切断されず、第2のリレー20にも固着が発生する可能性を低減し得る。
【0074】
本発明は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的なものであり、これに限定されるものではない。発明の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるものとする。
【0075】
例えば、第1の実施形態および第2の実施形態において、リレーユニット10は、第1のリレー19および第2のリレー20を含む構成であるが、第1のリレー19および第2のリレー20を含む、直列に接続される3以上の複数のリレーを有してよい。リレーユニット10が3以上の複数のリレーを含む構成においては、遮断制御を実行する場合で複数のリレーの通電量が閾値以下に下がった後に、複数のリレーの中の第1のリレー以外のリレーを遮断状態に切替えるように制御してよい。
【0076】
また、第1の実施形態および第2の実施形態における、リレーユニット10が3以上の複数のリレーを含む構成では、複数のリレーの通電量が閾値以下に下がったことの判別を、複数のリレーの中の第1のリレー19以外のリレーの電気的な測定に基づいて行ってよい。
【0077】
また、第1の実施形態および第2の実施形態における、リレーユニット10が3以上の複数のリレーを含む構成では、通電制御を実行する場合で固着の発生の判別を複数のリレーの中の第1のリレー19以外の少なくとも一部のリレーに対して行ってよい。さらに、固着が発生していないと判別する場合に通電状態に切替えるリレーが、当該少なくとも一部のリレーであってよい。さらに、当該少なくとも一部のリレーの通電状態への切替え後に通電状態に切替え得るリレーは、複数のリレーの中の当該少なくとも一部のリレー以外のリレーであってよい。
【0078】
また、第1の実施形態および第2の実施形態における、リレーユニット10が3以上の複数のリレーを含む構成では、複数のリレーの中で第1のリレー19以外のリレーは、ラッチリレーであってよい。
【0079】
例えば、第1の実施形態および第2の実施形態において、リレーユニット10の遮断のために最初に遮断状態に切替えるリレーおよび通電のために最後に通電状態に切替えるリレーは第1のリレー19である。しかし、リレーユニット10はこのような構成に限定されない。リレーユニット10の遮断のために最初に遮断状態に切替えるリレーおよび通電のために最後に通電状態に切替えるリレーを第1のリレー10から変更してもよい。ただし、リレーユニット10の遮断に際して、最初に遮断状態に切替えるリレーを、第1の実施形態および第2の実施形態の第1のリレー19として遮断制御を行うことにより、上記実施形態と類似の効果が得られる。また、リレーユニット10の通電に際して、最後に通電状態に切替えるリレーを、第1の実施形態および第2の実施形態の第1のリレー19として通電制御を行うことにより、上記実施形態と類似の効果が得られる。また、リレーユニット10の遮断のために最初に遮断状態に切替えるリレーおよび通電のために最後に通電状態に切替えるリレーの選択頻度を第1のリレー19が最大となるように構成すれば、第1のリレー19以外のリレーにラッチリレーを適用することによる効果と類似の効果が得られる。