(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の戸車装置では、外れ防止機能を設けるためには、別途、外れ止め部材が必要となる。このため、戸車装置の部品点数が増加して構造が複雑化してしまう。
したがって、脱輪防止機能及び外れ防止機能の双方の機能を有しながら構造の簡素化を図ることができる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、脱輪防止機能及び外れ防止機能の双方の機能を有しながら部品点数を削減することができる戸車装置及び網戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る戸車装置は、枠体のレールに沿って移動可能に障子を支持する戸車装置であって、前記障子に固定される固定部材と、前記固定部材に対して
第1軸を中心として上下に揺動可能に軸支される可動部材と、前記可動部材に対して
第2軸を中心として回転可能に軸支され、前記レール上を転動する車輪とを備え、前記可動部材は、当該可動部材が下方に揺動するにしたがって前記レールに重なり合う領域が増加する張出部を備え
、前記張出部は、当該張出部の全体が前記第2軸よりも前記第1軸から離間する側に配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、可動部材は、車輪を回転可能に軸支するとともに、固定部材に対して上下に揺動可能に軸支される。このため、網戸等の障子が持ち上げられた場合であっても、可動部材が下方に揺動して、レールからの車輪の脱輪を防止することができる。すなわち、可動部材は、脱輪防止機能を有する。
また、可動部材は、上述した張出部を備える。このため、障子が持ち上げられて当該障子に対して室外側に荷重が掛けられた場合であっても、張出部がレールに引っ掛かることとなり、レールから障子が外れることを防止することができる。すなわち、可動部材(張出部)は、外れ防止機能を有する。
以上のように、本発明に係る戸車装置では、従来のように外れ止め部材を別途、設けることなく、可動部材に脱輪防止機能及び外れ防止機能の双方を持たせることができる。したがって、本発明に係る戸車装置によれば、脱輪防止機能及び外れ防止機能の双方の機能を有しながら構造の簡素化を図ることができる、という効果を奏する。
【0008】
特に、張出部は、可動部材が下方に揺動するにしたがってレールに重なり合う領域が増加する。このため、障子が大きく持ち上げられて当該障子に対して室外側に荷重が掛けられた場合であっても、張出部がレールに引っ掛かることとなり、レールから障子が外れることを効果的に防止することができる。
【0009】
また、本発明は、上述した戸車装置において、前記固定部材の下端部には、下方に開口し、前記レールが挿入される挿入溝が設けられ、前記挿入溝を構成する側壁には、前記レールに向けて突出する突出部が設けられ、前記突出部の先端は、前記張出部よりも前記レールに近接していることを特徴とする。
ところで、障子に対して室外側に荷重が掛けられ、レールと障子を構成する框体とで張出部が挟まれた場合には、可動部材は、下方への揺動が規制されてしまう。すなわち、可動部材は、脱輪防止機能や外れ防止機能を十分に発揮することができない。
本発明では、固定部材の下端部には、上述した突出部を有する挿入溝が設けられている。このため、障子に対して室外側に荷重が掛けられた場合には、レールは、突出部の先端に当接し、障子を構成する框体との間で張出部を挟まない。すなわち、可動部材は、下方への揺動が規制されることがなく、脱輪防止機能や外れ防止機能を十分に発揮することができる。
【0010】
また、本発明は、上述した戸車装置において、前記固定部材は、前記障子の縦框に固定される固定部と、前記固定部から上方に延在する延在部と、前記延在部の先端部分から前記枠体の縦枠側に膨出するとともに上方に延在し、前記障子を前記レールに沿って移動させた際に前記縦枠に当接する当接部とを備え、前記延在部は、前記縦枠から前記当接部に作用する押圧力に応じて、前記縦枠側に凸となる弓状に弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
ところで、障子をレールに沿って移動させ、枠体を構成する縦枠に対して障子を当接させる操作を行った場合には、当該縦枠と障子を構成する縦框とに衝撃力が作用する。そして、当該操作を繰り返した場合には、上述した衝撃力に応じて、障子を構成する上框及び下框と縦框との接合部分に隙間が生じる、あるいは、縦枠が変形する場合がある。
本発明では、固定部材は、上述した固定部、延在部、及び当接部を備える。このため、延在部により上述した操作時での縦枠との衝撃を緩和することができる。したがって、障子を構成する上框及び下框と縦框との接合部分に隙間が生じることを抑制することができる。また、縦枠の変形を抑制することができる。
【0011】
また、本発明は、上述した戸車装置において、前記張出部は、上方に向かうにしたがって見込み方向に沿う厚み寸法が小さくなるテーパ部を備えることを特徴とする。
本発明では、張出部は、上述したテーパ部を備える。このため、障子に対して室外側に荷重が掛けられ、レールと障子を構成する框体とで張出部が挟まれた場合には、テーパ部に対して見込み方向に圧縮する力が加えられるため、張出部は、下方に向けてずり落とされる。すなわち、障子に対して室外側に荷重が掛けられ、レールと障子を構成する框体とで張出部が挟まれた場合であっても、可動部材は、強制的に下方に揺動することとなり、脱輪防止機能や外れ防止機能を十分に発揮することができる。
【0012】
また、本発明は、上述した戸車装置において、前記車輪は、
前記第2軸を中心として円環状に延在し、前記レール上を転動する転動面と、前記転動面から突出し、前記レールに重なり合う鍔部とを備え、前記鍔部は、前記転動面における前記
第2軸に沿う方向の両端のうち、前記張出部から離間する一端側にのみ設けられていることを特徴とする。
【0013】
ところで、車輪として、上述した転動面と、当該転動面における
第2軸に沿う方向の両端にそれぞれ突出し、レールにそれぞれ重なり合う一対の鍔部とを有する構成を採用した場合には、以下の利点と問題点とがある。
利点は、以下の通りである。
転動面と一対の鍔部とで凹部が形成され、当該凹部にレールの先端が入り込むため、当該一対の鍔部は、ガイドとして機能する。このため、車輪は、レール上をガタつくことなく円滑に転動することができる、という利点がある。
一方、問題点は、以下の通りである。
障子が持ち上げられつつ室外側に荷重が掛けられた場合には、車輪は、室内側の鍔部がレールを乗り上げる。すなわち、車輪と可動部材とは一体化されているため、上述したように車輪における室内側の鍔部がレールを乗り上げると、当該車輪の上方への移動に伴い、可動部材も上方に揺動する。このため、張出部におけるレールに重なり合う領域が少なくなり、外れ防止機能を十分に発揮させることができない、という問題点がある。
【0014】
本発明では、鍔部は、転動面における
第2軸に沿う方向の両端のうち、張出部から離間する一端側にのみ設けられている。
このため、単一の鍔部と張出部とでレールを挟み込むことができ、当該単一の鍔部と張出部とは、ガイドとして機能する。このため、車輪は、レール上をガタつくことなく円滑に転動することができる。
また、障子が持ち上げられつつ室外側に荷重が掛けられた場合であっても、室内側の鍔部(張出部に近接する側の鍔部)が省略されているため、当該鍔部にて車輪がレールを乗り上げることがない。すなわち、車輪が上方に移動することがないため、可動部材も上方に揺動することがない。このため、張出部におけるレールに重なり合う領域を十分に確保し、外れ防止機能を十分に発揮させることができる。
【0015】
また、本発明は、上述した戸車装置において、前記張出部における前記レールに重なり合う領域には、前記レールに向けて突出する凸部が設けられていることを特徴とする。
本発明では、張出部には上述した凸部が設けられている。このため、張出部において、レールに対して接触する接触面積を必要最低限の面積とし、レールに対する摺動抵抗を減少させることができる。したがって、障子の移動、及び可動部材の揺動を円滑に実施することができる。
【0016】
また、本発明は、上述した戸車装置において、前記可動部材は、上方に向かうにしたがって当該可動部材の揺動軸からの長さ寸法が小さくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする。
ところで、障子に対して室外側に荷重が掛けられることでレールから張出部(可動部材)に対して室内側に荷重が掛けられた場合には、可動部材は、揺動軸から離間した先端側が室内側に傾く現象が生じる。このため、可動部材において、揺動軸から離間した先端側であって、かつ、上方側の角部分は、障子を構成する框体に強い力で押し当てられる。したがって、当該角部分が框体に対する摺動抵抗となり、可動部材の揺動を円滑に実施することができない虞がある。
本発明では、可動部材は、上述したテーパ状に形成されている。このため、上述した角部分を省略し、可動部材が揺動する際の框体に対する摺動抵抗を減少させることができる。したがって、可動部材の揺動を円滑に実施することができる。
【0017】
また、本発明に係る網戸は、室内外を連通する開口を有する框体と、前記開口を覆う網材とを備えた網戸であって、前記框体に取り付けられ、枠体のレールに沿って移動可能に当該網戸を支持する上述した戸車装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る網戸は、上述した戸車装置を備えるので、上述した戸車装置と同様の作用及び効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る戸車装置及び網戸によれば、脱輪防止機能及び外れ防止機能の双方の機能を有しながら構造の簡素化を図ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0021】
(実施の形態1)
〔建具の概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る建具1を室外側から見た図である。
なお、以下で記載する「見込み方向」は、建具1の奥行きに沿った方向(
図3の矢印Arの方向)である。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称し、見込み方向に直交する平面については、見付け面と称する場合がある。
建具1は、引違い窓で構成されている。この建具1は、枠体2と、内障子3と、外障子(図示略)と、網戸4とを備える。
枠体2は、上枠21、下枠22、
図1中、左側に位置する左縦枠23、及び
図1中、右側に位置する右縦枠24を枠組みすることによって構成され、建物の開口部Opの縁部に沿うように取り付けられる。
ここで、左縦枠23及び右縦枠24は、本発明に係る縦枠に相当する。
これら各枠部材21〜24は、合成樹脂製またはアルミニウム等の金属製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
これら各枠部材21〜24のうち、下枠22には、上方に向けて突出し、網戸4の移動を案内するレール221が形成されている。
このレール221の先端部分には、室内側に向けて膨出したレール側突条部222が形成されている(
図9A〜
図9C,
図10A,
図10B参照)。
内障子3及び外障子(図示略)は、同様の構成を有し、枠体2に対して
図1中、左右方向に移動可能にそれぞれ取り付けられている。
【0022】
網戸4は、本発明に係る障子に相当する部材であり、外障子(図示略)に対して室外側に位置し、枠体2に対して
図1中、左右方向に移動可能に取り付けられている。この網戸4は、框体41と、網材42とを備える。
框体41は、上框43、下框44、
図1中、左側に位置する左縦框45、及び
図1中、右側に位置する右縦框46を縦勝ちで框組みすることによって構成されている。そして、各框部材43〜46が框組みされることにより、框体41には、室内外を連通する開口Op1が形成される。そして、網材42は、当該開口Op1を覆うように框体5に取り付けられる。
ここで、左縦框45及び右縦框46は、本発明に係る縦框に相当する。
これら各框部材43〜46は、合成樹脂製またはアルミニウム等の金属製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
【0023】
図2は、右縦框46を下方から見た図である。
各框部材43〜46のうち、右縦框46は、基部461と、一対のヒレ部462とを備える。
基部461は、右縦框46の長手方向に沿って延在する角筒形状を有する。
この基部461において、室内側から見て左側の見込み面を構成する外側見込み壁部463には、下端から上方に向けて切り欠かれ、基部461の内外を連通する第1切欠き部464が形成されている。
また、基部461において、室内側から見て右側の見込み面を構成する内側見込み壁部465には、第1切欠き部464に対向する位置に、下端から上方に向けて切り欠かれ、基部461の内外を連通する第2切欠き部466が形成されている。
一対のヒレ部462は、外側見込み壁部463における室内側及び室外側の端部から室内側から見て左側にそれぞれ延在した部分である。
なお、左縦框45は、右縦框46に対して
図1中、左右対称となる形状を有する。
【0024】
また、各框部材43〜46のうち、下框44は、基部441と、一対のヒレ部442とを備える(
図10A,
図10B参照)。
基部441は、下框44の長手方向に沿って延在する平板形状を有する。
一対のヒレ部442は、基部441における室内側及び室外側の端部から下方側にそれぞれ延在した部分である。
これら一対のヒレ部442の各先端部分には、他方のヒレ部442に向けて膨出した框側突条部443がそれぞれ形成されている。
【0025】
以上説明した網戸4において、右縦框46及び下框44の接合部分には、第1戸車装置5Aが設けられている。また、左縦框45及び下框44の接合部分には、第2戸車装置5Bが設けられている。そして、これら第1,第2戸車装置5A,5Bは、本発明に係る戸車装置に相当する。
ここで、第2戸車装置5Bは、第1戸車装置5Aと同様の構成を有し、第1戸車装置5Aに対して
図1中、左右対称の形状を有する。このため、以下では、第1戸車装置5Aの構成についてのみ説明し、第2戸車装置5Bの構成については説明を省略する。
【0026】
〔第1戸車装置の構成〕
図3は、右縦框46及び下框44の接合部分を室内側から見た斜視図である。
図4は、第1戸車装置5Aの分解斜視図である。
なお、以下で記載する「内側」は、左,右縦框45,46間の内側であって、第1戸車装置5Aの場合には、室内側から見て右側を意味する(第2戸車装置5Bの場合には、室内側から見た左側)。また、以下で記載する「外側」は、左,右縦框45,46が離間する側であって、第1戸車装置5Aの場合には、室内側から見て左側を意味する(第2戸車装置5Bの場合には室内側から見て右側)。
第1戸車装置5Aは、右縦框46に形成された第1,第2切欠き部464,466に挿通された状態で、一部が下框44の内部に位置付けられる。そして、第1戸車装置5Aは、下枠22に形成されたレール221に沿って移動可能に網戸4を支持する。この第1戸車装置5Aは、固定部材6と、可動部材7と、車輪8とを備える。
【0027】
〔固定部材の構成〕
固定部材6は、第1戸車装置5Aを右縦框46に対して固定するために用いられるとともに、可動部材7を後述する作動規制状態または作動許容状態に設定するために用いられる部材である。この固定部材6は、第1固定部材6Aと、第2固定部材6Bとを備える。
第1固定部材6Aは、ダンパー部61と、挿通部62とを備える。
図5は、第1戸車装置5Aを
図3中、左側から見た図であって、ダンパー部61を示す図である。
ダンパー部61は、固定部611及び延在部612が上下に連設され、当該上下方向に延在した略平板形状を有し、一方の板面が基部461における外側の見込み面(外側見込み壁部463)に当接した状態で当該外側見込み壁部463に固定される。
【0028】
固定部611は、ダンパー部61における下方側の部分である。
この固定部611には、上方側から順に、表裏を貫通した固定用孔613、第1,第2挿通用孔614,615、及び挿入溝616が形成されている。
固定用孔613は、ネジSc1が挿通される部分である。そして、固定用孔613を介してネジSc1が外側見込み壁部463に螺合されることにより、第1固定部材6A(第1戸車装置5A)は、右縦框46に対して固定される。
第1,第2挿通用孔614,615は、第2固定部材6Bにおける後述する第1,第2連結部64,65がそれぞれ挿通される部分である。
挿入溝616は、固定部611の下端部に形成され、下方に開口してレール221が挿入される部分である。
この挿入溝616において、室内側の側壁617の下端部には、室外側に向けて突出する突出部618が形成されている。
【0029】
延在部612は、ダンパー部61における上方側の部分であり、固定部611から上方に延在している。
この延在部612において、先端部分には、外側に向けて膨出するとともに上方に延在した当接部619が設けられている。
また、延在部612において、外側見込み壁部463に対向する面の上端部分は、上方側に向かうにしたがって厚み寸法が低減するように斜面620が形成されている。
そして、延在部612は、以下に示す衝撃緩和機能を有する。
図6は、右縦框46及び下框44の接合部分を室内側から見た図であって、延在部612における衝撃緩和機能を示す図である。
当接部619は、網戸4を右縦枠24に対する所定の位置まで移動させた際に、右縦枠24に当接する。
ここで、当接部619と外側見込み壁部463との間には、所定の隙間が設けられている。また、斜面620により、延在部612の上端部分と外側見込み壁部463との間には、所定の隙間が設けられている。
このため、延在部612は、斜面620の下縁を支点として右縦枠24側に凸となる弓状に弾性変形し(
図6の二点鎖線)、網戸4を移動させる外力により当接部619に作用した押圧力を吸収する。
【0030】
挿通部62は、固定部611に対して内側に位置し、略直方体形状を有する。そして、挿通部62は、第1固定部材6Aが右縦框46に固定された状態で、外側見込み壁部463に形成された第1切欠き部464を介して基部461の内部に位置付けられる。
この挿通部62において、第1,第2挿通用孔614,615に対向する位置には、内側の端面から外側の端面まで貫通し、第2固定部材6Bにおける後述する第1,第2連結部64,65が挿通される第3挿通用孔621が形成されている。
また、挿通部62において、室内側及び室外側の各側壁には、第3挿通用孔621と挿通部62の外部とを連通する連通孔622がそれぞれ形成されている。この連通孔622は、挿通部62における外側の端面から内側に向けて延在する。
さらに、挿通部62において、上端部には、内側に向けて延在するとともに、先端部分が下方に向けて突出した鉤状の第1係止部623が形成されている。
そして、第1係止部623は、可動部材7を後述する作動規制状態または作動許容状態に切り替える状態切替機能を有する。当該状態切替機能については後述する。
【0031】
第2固定部材6Bは、第1固定部材6Aに連結し、当該第1固定部材6A(第1係止部623)とともに可動部材7を後述する作動規制状態または作動許容状態に設定するために用いられる部材である。この第2固定部材6Bは、外枠63と、第1,第2連結部64,65とを備える。
外枠63は、一対の対向壁部631と、第1,第2接続部632,633とを備える。
一対の対向壁部631は、平面視略直角三角形状の板体でそれぞれ構成されている。そして、一対の対向壁部631は、直角三角形の頂点を挟む2つの辺縁にそれぞれ対応する縁部のうち、一方の縁部が略上下方向に向き、他方の縁部が一方の縁部に対して上方に位置して略水平方向に向く姿勢で、見込み方向に沿って所定の間隔を空けて互いに対向する。
これら一対の対向壁部631には、表裏をそれぞれ貫通し、可動部材7における後述する一対の円柱軸部711がそれぞれ嵌合する軸受用円孔634が形成されている。
また、一対の対向壁部631において、他方の縁部には、第1係止部623が係止される第1,第2係止溝部635,636がそれぞれ形成されている。
第1係止溝部635は、見込み方向に沿って見た場合に略V字形状を有する溝である。
第2係止溝部636は、第1係止溝部635に対して外側に位置し、見込み方向に沿って見た場合に略V字形状を有する溝である。
そして、第1,第2係止溝部635,636は、第1係止部623とともに、状態切替機能を有する。当該状態切替機能については後述する。
【0032】
第1接続部632は、一対の対向壁部631における一方の縁部間に架け渡され、当該一方の縁部同士を接続する部分である。
第2接続部633は、一対の対向壁部631の他方の縁部における第1,第2係止溝部635,636を除く部位間に架け渡され、当該他方の縁部同士を接続する部分である。すなわち、当該他方の縁部間において、第1,第2係止溝部635,636が形成された部位は、外枠63の内外を連通する連通孔637となる。
【0033】
第1連結部64は、第1接続部632から外側に向けて延在した部分である。そして、第1連結部64は、第1固定部材6Aに対して第2固定部材6Bを取り付けた状態で、第1,第3挿通用孔614,621に挿通され、ダンパー部61に対して外側に突出する。この第1連結部64は、内部にネジSc2が挿通される筒形状を有する。また、第1接続部632には、表裏を貫通し、第1連結部64の内部に連通する連通孔(図示略)が形成されている。そして、ネジSc2は、先端部分が当該連通孔を介して外枠63の内部に突出するとともに、当該ネジSc2の中心軸を中心に回転されることにより、第1連結部64の内部を進退移動する。当該進退移動により、ネジSc2は、外枠63の内部への突出寸法が変化する。
そして、ネジSc2及び第1連結部64は、網戸4の高さを調整する高さ調整機能を有する。当該高さ調整機能については後述する。
【0034】
第2連結部65は、第1連結部64の下方に位置し、第1接続部632から外側に向けて延在した部分である。そして、第2連結部65は、第1固定部材6Aに対して第2固定部材6Bを取り付けた状態で、第2,第3挿通用孔615,621に挿通され、ダンパー部61に対して外側に突出する。この第2連結部65は、各板面が上下方向にそれぞれ向く略平板形状を有する。
この第2連結部65において、室内側及び室外側の側端部には、連通孔622の縁部に係止する第2係止部651が形成されている。
そして、第2連結部65は、第1係止部623及び第1,第2係止溝部635,636とともに、状態切替機能を有する。当該状態切替機能については後述する。
【0035】
〔可動部材の構成〕
図7Aは、可動部材7を室外側から見た図である。
図7Bは、
図7AのB−B線の断面図である。
可動部材7は、車輪8を軸支するとともに、固定部材6に対して上下に揺動可能に軸支される部材である。この可動部材7は、軸支部71及び張出部72が室内側から見て左右に連設され、当該左右方向に延在した略平板形状を有し、各板面が室内側及び室外側を向く姿勢で固定部材6に取り付けられる。
軸支部71は、可動部材7における外側の部分である。
この軸支部71において、室内側及び室外側の各板面の外側には、見込み方向に沿ってそれぞれ突出した円柱軸部711がそれぞれ形成されている。これら一対の円柱軸部711は、軸支部71が一対の対向壁部631間に挿通されることで、一対の軸受用円孔634にそれぞれ嵌合する。そして、可動部材7は、第2固定部材6Bに対して、一対の円柱軸部711の中心軸である第1軸Ax1を中心として上下に揺動可能に軸支される。すなわち、第1軸Ax1は、本発明に係る揺動軸に相当する。可動部材7が第1軸Ax1を中心として上下に揺動した場合には、軸支部71における上方側の側端部の内側の部位712が連通孔637を介して外枠63の内外に突没する。
【0036】
また、軸支部71の室外側の板面において、円柱軸部711周辺には、見込み方向に沿って窪み、捩りコイルバネ73を設置するためのバネ用凹部713が形成されている。
ここで、捩りコイルバネ73は、螺旋状に巻かれたコイル部731と、コイル部731の両端から直線状にそれぞれ延在した腕部732,733とを備える。
また、バネ用凹部713は、第1,第2凹部714,715を備える。
第1凹部714は、円柱軸部711を囲むように形成され、円柱軸部711がコイル部731に挿通された状態で、当該コイル部731が設置される部分である。また、第1凹部714において、外側の側壁は、省略されている。このため、コイル部731を第1凹部714に設置した状態では、一対の腕部732,733のうち、一方の腕部732は、バネ用凹部713の外側に突出した状態となる。
第2凹部715は、第1凹部714に連通するとともに直線状に延在し、一対の腕部732,733のうち、他方の腕部733が設置される部分である。すなわち、捩りコイルバネ73は、当該第2凹部715により第1軸Ax1を中心とした回転が規制される。
そして、捩りコイルバネ73は、他方の腕部733が第2凹部715に設置されるとともに一方の腕部732が第1接続部632の内面に当接し、その付勢力により、第1軸Ax1を中心として下方に揺動するように可動部材7を付勢する。なお、第2接続部633は、可動部材7が捩りコイルバネ73の付勢力に抗して第1軸Ax1を中心として上方に揺動した際に、軸支部71に当接することで、所定位置以上に上方へと可動部材7が揺動することを規制する。
【0037】
さらに、軸支部71において、室内側の板面の内側には、見込み方向に沿って窪み、車輪8を設置するための戸車用凹部716が形成されている。
ここで、車輪8は、円板形状を有し、レール221上を転動する部材である。
戸車用凹部716において、底部分には、取付ピンPiが挿通される円孔717が形成されている。また、戸車用凹部716において、下方側の側壁は、省略されている。そして、車輪8は、下方が戸車用凹部716の外部に露出した状態で、取付ピンPi及びワッシャWaにより、戸車用凹部716に取り付けられ、円孔717の中心軸である第2軸Ax2を中心として回転可能に軸支される。すなわち、第2軸Ax2は、本発明に係る回転軸に相当する。
【0038】
以上説明したように、第1軸Ax1を中心として可動部材7を上下に揺動可能とすることにより、網戸4を持ち上げた場合であっても、可動部材7が下方に揺動して、レール221からの車輪8の脱輪を防止することができる。すなわち、可動部材7は、レール221からの車輪8の脱輪を防止する脱輪防止機能を有する。
【0039】
張出部72は、可動部材7における内側の部分であり、軸支部71から内側(第2軸Ax2を挟んで第1軸Ax1から離間する側)に張り出している。また、張出部72は、見込み方向に沿って見た場合に内側に向かうにしたがって先細となる形状を有する。
この張出部72において、室内側の板面には、上方に向かうにしたがって室外側に傾斜した傾斜面721が形成されている。すなわち、傾斜面721は、上方に向かうにしたがって見込み方向に沿う張出部72の厚み寸法を小さくしており、本発明に係るテーパ部に相当する。
そして、張出部72は、レール221から網戸4が外れることを防止する外れ防止機能を有する。当該外れ防止機能については後述する。
【0040】
〔状態切替機能の説明〕
次に、可動部材7を作動規制状態または作動許容状態に設定する状態切替機能について説明する。ここで、「作動規制状態」とは、可動部材7の脱輪防止機能を規制した状態(可動部材7が固定部材6に対して上下に揺動不能とする状態)である。また、「作動許容状態」とは、可動部材7の脱輪防止機能を許容した状態(可動部材7が固定部材6に対して上下に揺動可能とする状態)である。
図8Aは、作動規制状態にある第1戸車装置5Aを室外側から見た図である。
図8Bは、作動許容状態にある第1戸車装置5Aを室外側から見た図である。
先ず、「作動規制状態」について
図8Aを参照しつつ説明する。
第1接続部632が挿通部62における内側の端面に当接するまで、第1,第2連結部64,65を第1〜第3挿通用孔614,615,621に挿通すると、第1係止部623は、第1係止溝部635に係止する。そして、第1戸車装置5Aは、「作動規制状態」に設定される。この「作動規制状態」では、第1係止部623は、連通孔637を介して、軸支部71における部位712に当接する。すなわち、部位712が連通孔637を介して外枠63の外部に突出することができず、可動部材7は、第1係止部623により第1軸Ax1を中心とした下方への揺動が規制されている。また、軸支部71は、第2接続部633に当接する。すなわち、可動部材7は、第1軸Ax1を中心とした上方への揺動が規制されている。
【0041】
次に、「作動許容状態」について
図8Bを参照しつつ説明する。
第1戸車装置5Aが「作動規制状態」に設定されている際に、網戸4を右縦枠24に対する所定の位置まで移動させると、第2連結部65の先端は、右縦枠24に当接する。そして、網戸4を移動させる外力により、第2連結部65(第2固定部材6B)は、第2係止部651が連通孔622の縁部に係止されるまで、第1固定部材6Aに対して、内側に移動する。また、第1係止部623は、第2係止溝部636に係止する。そして、第1戸車装置5Aは、「作動許容状態」に設定される。この「作動許容状態」では、第1係止部623は、連通孔637を介して、軸支部71における部位712に当接しない。すなわち、部位712が連通孔637を介して外枠63の外部に突出可能となり、可動部材7は、第1軸Ax1を中心として下方に揺動可能となる。
【0042】
〔外れ防止機能の説明〕
次に、レール221から網戸4が外れることを防止する外れ防止機能について説明する。また、網戸4の高さを調整する高さ調整機能についても併せて説明する。
図9Aは、第1戸車装置5Aの初期状態を示す図である。
図9Bは、初期状態から網戸4の高さを調整した状態を示す図である。
図9Cは、網戸4が持ち上げられた状態を示す図である。なお、
図9Aないし
図9Cは、右縦框46及び下框44の接合部分を室内側から見ている。また、
図9Aないし
図9Cでは、説明の便宜上、張出部72において、見込み方向に沿って見た場合でのレール221に重なり合う領域に斜線を付している。
【0043】
先ず、「初期状態」について
図9Aを参照しつつ説明する。
ここで、「初期状態」とは、上述した「作動許容状態」において、ネジSc2を当該ネジSc2の中心軸を中心に回転させることで内側に移動させ、ネジSc2の先端部分が外枠63の内部に位置する軸支部71における外側の側端部718に当接した時点、あるいは、当接する前の状態である。
この「初期状態」では、車輪8がレール221に当接することで、可動部材7は、第1軸Ax1を中心とした下方への揺動が規制される。そして、張出部72における上方の縁部は、略水平となる姿勢となる。また、張出部72における下方の縁部は、内側に向かうにしたがって上方に傾斜した姿勢となる。そして、張出部72において、見込み方向に沿って見た場合でのレール221に重なり合う領域Ar1は、比較的に小さい。
【0044】
次に、「網戸4の高さを調整した状態」について(高さ調整機能について)
図9Bを参照しつつ説明する。
上述した「初期状態」からネジSc2を当該ネジSc2の中心軸を中心に回転させることで内側に移動させ、ネジSc2の先端部分にて軸支部71における外側の側端部718を押圧する。当該押圧により、可動部材7は、第1軸Ax1を中心として強制的に下方に揺動する。ここで、車輪8は、レール221に当接している。このため、可動部材7における第1軸Ax1を中心とした下方への揺動に伴い、固定部材6側、すなわち、右縦框46側が上方に移動する。これにより、網戸4の高さが調整される。
この「網戸4の高さを調整した状態」では、張出部72における下方の縁部は、略水平となる姿勢に近付く。そして、張出部72において、見込み方向に沿って見た場合でのレール221に重なり合う領域Ar2は、上述した「初期状態」での領域Ar1よりも大きいものとなる。
【0045】
次に、「網戸4が持ち上げられた状態」について
図9Cを参照しつつ説明する。
上述した「初期状態」または「網戸4の高さを調整した状態」から網戸4が持ち上げられると、可動部材7は、車輪8がレール221に当接した状態を維持しつつ、第1軸Ax1を中心として下方に揺動する。さらに網戸4が持ち上げられると、車輪8がレール221に当接せずにレール221の上方側に位置付けられるが、可動部材7は、第1軸Ax1を中心とした下方への揺動を継続する。そして、可動部材7における下方への揺動により、張出部72は、下枠22に当接する。
この「網戸4が持ち上げられた状態」では、張出部72において、見込み方向に沿って見た場合でのレール221に重なり合う領域Ar3は、上述した「網戸4の高さを調整した状態」での領域Ar2よりも大きいものとなる。
以上説明したように、張出部72は、可動部材7が第1軸Ax1を中心として下方に揺動するにしたがって見込み方向に沿って見た場合でのレール221に重なり合う領域が増加する。すなわち、張出部72は、レール221に引っ掛かることとなり、レール221から網戸4が外れることを防止する外れ防止機能を有する。
【0046】
次に、上述した「初期状態」から網戸4に対して室外側に荷重を掛けながら当該網戸4を持ち上げた場合での張出部72の外れ防止機能について説明する。
図10Aは、初期状態での下框44、車輪8、張出部72、及びレール221の位置関係を当該レール221に沿う方向から見た模式図である。
図10Bは、初期状態での下框44、第1固定部材6A、及びレール221の位置関係を当該レール221に沿う方向から見た模式図である。
図11A〜
図13Aは、
図10Aに示した初期状態から網戸4に対して室外側に荷重を掛けながら当該網戸4を持ち上げた場合での下框44、車輪8、張出部72、及びレール221の位置関係の変化を当該レール221に沿う方向から見た模式図である。
図11B〜
図13Bは、
図11A〜
図13Aにそれぞれ対応した図であって、下框44、第1固定部材6A、及びレール221との位置関係の変化を当該レール221に沿う方向から見た模式図である。
【0047】
「初期状態」では、車輪8がレール221に当接し、可動部材7における第1軸Ax1を中心とした下方への揺動が規制されている(
図10A)。また、レール221は、突出部618との間に隙間を有した状態で、挿入溝616内に挿入されている(
図10B)。
図10A及び
図10Bに示した初期状態から網戸4に対して室外側に荷重を掛けながら当該網戸4を持ち上げていくと、可動部材7は、車輪8がレール221に当接した状態を維持しつつ、第1軸Ax1を中心として下方に揺動する(
図11A)。また、網戸4に対して室外側に荷重が掛けられたことに伴い、レール221は、突出部618の先端に当接する(
図11B)。一方、レール221は、張出部72には当接しない。すなわち、突出部618の先端は、レール221に沿って見た場合に、張出部72よりもレール221に近接している。そして、網戸4が持ち上げられたことに伴い、レール側突条部222が突出部618に引っ掛かる(
図11B)。
【0048】
図11A及び
図11Bに示した状態からさらに網戸4に対して室外側に荷重を掛けながら当該網戸4を持ち上げていくと、レール側突条部222が突出部618を乗り越える(
図12B)。その結果、張出部72は、室内側の框側突条部443とレール側突条部222との間に挟まれる(
図12A)。すなわち、可動部材7は、張出部72が框側突条部443とレール側突条部222とに挟まれることで、第1軸Ax1を中心とした下方への揺動が規制される。
ここで、張出部72には、上述したように、上方に向かうにしたがって室外側に傾斜した傾斜面721が形成されている。このため、
図12A及び
図12Bに示した状態からさらに網戸4に対して室外側に荷重を掛けながら当該網戸4を持ち上げていくと、張出部72は、傾斜面721が形成された部位に対して框側突条部443及びレール側突条部222から見込み方向に圧縮する力が加えられるため、下方に向けてずり落とされる(
図13A)。すなわち、可動部材7は、第1軸Ax1を中心として強制的に下方に揺動する。
以上説明したように、網戸4に対して室外側に荷重を掛けながら当該網戸4を持ち上げていくという過酷な試験を行った場合でも、張出部72は、レール221に引っ掛かることとなり、レール221から網戸4が外れることを防止する外れ防止機能を有する。
【0049】
以上説明した本実施の形態1に係る第1戸車装置5Aでは、可動部材7は、車輪8を回転可能に軸支するとともに、固定部材6に対して上下に揺動可能に軸支される。このため、網戸4が持ち上げられた場合であっても、可動部材7が下方に揺動して、レール221からの車輪8の脱輪を防止することができる。すなわち、可動部材7は、脱輪防止機能を有する。
また、可動部材7は、軸支部71及び張出部72を備える。このため、網戸4が持ち上げられて当該網戸4に対して室外側に荷重が掛けられた場合であっても、張出部72がレール221に引っ掛かることとなり、レール221から網戸4が外れることを防止することができる。すなわち、可動部材7(張出部72)は、外れ防止機能を有する。
以上のように、本実施の形態1に係る第1戸車装置5Aでは、従来のように外れ止め部材を別途、設けることなく、可動部材7に脱輪防止機能及び外れ防止機能の双方を持たせることができる。したがって、本実施の形態1に係る第1戸車装置5Aによれば、脱輪防止機能及び外れ防止機能の双方の機能を有しながら構造の簡素化を図ることができる、という効果を奏する。
【0050】
特に、張出部72は、第2軸Ax2を挟んで第1軸Ax1から離間する側に軸支部71から張り出し、可動部材7が第1軸Ax1を中心として下方に揺動するにしたがって見込み方向に沿って見た場合でのレール221に重なり合う領域が増加する。このため、網戸4が大きく持ち上げられて当該網戸4に対して室外側に荷重が掛けられた場合であっても、張出部72がレール221に引っ掛かることとなり、レール221から網戸4が外れることを効果的に防止することができる。
【0051】
また、本実施の形態1に係る第1戸車装置5Aでは、固定部材6の下端部には、突出部618を有する挿入溝616が設けられている。このため、網戸4に対して室外側に荷重が掛けられた場合には、レール221は、突出部618の先端に当接し、下框44(框側突条部443)との間で張出部72を挟まない。すなわち、可動部材7は、第1軸Ax1を中心とした下方への揺動が規制されることがなく、脱輪防止機能や外れ防止機能を十分に発揮することができる。
【0052】
また、本実施の形態1に係る第1戸車装置5Aでは、固定部材6は、固定部611、延在部612、及び当接部619を備える。このため、延在部612により、網戸4をレール221に沿って移動させ、右縦枠24に対して網戸4を当接させる操作時での当該右縦枠24との衝撃を緩和することができる。したがって、上框43及び下框44と右縦框46との接合部分に隙間が生じることを抑制することができる。また、右縦枠24の変形を抑制することができる。
【0053】
また、本実施の形態1に係る第1戸車装置5Aでは、張出部72は、傾斜面721を備える。このため、網戸4に対して室外側に荷重が掛けられ、レール221(レール側突条部222)と下框44(框側突条部443)とで張出部72が挟まれた場合には、傾斜面721が形成された部位に対して見込み方向に圧縮する力が加えられるため、張出部72は、下方に向けてずり落とされる。すなわち、網戸4に対して室外側に荷重が掛けられ、レール221(レール側突条部222)と下框44(框側突条部443)とで張出部72が挟まれた場合であっても、可動部材7は、第1軸Ax1を中心として強制的に下方に揺動することとなり、脱輪防止機能や外れ防止機能を十分に発揮することができる。
【0054】
(実施の形態2)
次に、本実施の形態2について説明する。
以下の説明では、実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図14は、本実施の形態2に係る第1戸車装置9を示す斜視図である。
図15は、第1戸車装置9の分解斜視図である。
本実施の形態2では、上述した実施の形態1で説明した第1戸車装置5Aの代わりに、当該第1戸車装置5Aとは構造が異なる第1戸車装置9を採用している。
第1戸車装置9では、上述した実施の形態1で説明した可動部材7及び車輪8の代わりに、可動部材10及び車輪11をそれぞれ採用している。
【0055】
可動部材10を構成する軸支部71では、上述した実施の形態1で説明した可動部材7に対して、対向壁部719を追加している。
対向壁部719は、戸車用凹部716の底部分に対して所定の間隔を空けて対向する壁部であり、当該戸車用凹部716の底部分との間で車輪11を室内側及び室外側の双方から支持する。
この対向壁部719において、戸車用凹部716の円孔717に対向する位置には、取付ピンPi1が挿通される円孔710が形成されている。そして、車輪11は、下方が戸車用凹部716及び対向壁部719間から外部に露出した状態で、取付ピンPi1により、戸車用凹部716及び対向壁部719に取り付けられ、円孔717,710の中心軸である第2軸Ax2を中心として回転可能に軸支される。
【0056】
また、可動部材10を構成する張出部72では、上述した実施の形態1で説明した可動部材7に対して、上方に向かうにしたがって第1軸Ax1からの長さ寸法が小さくなるテーパ状に形成されているとともに、凸部722を追加している。
すなわち、本実施の形態2に係る張出部72は、上述した実施の形態1で説明した張出部72に対して、上方で、かつ、内側(
図14中、左側、
図15中、右側)の角部分が省略され、上方に向かうにしたがって第1軸Ax1側に傾斜した傾斜面723を有する。
凸部722は、張出部72における室外側の面の外側(
図14中、右側)の縁部から室外側に向けて突出し、上下方向に沿って延在した部分である。
【0057】
車輪11は、上述した実施の形態で説明した車輪8に対して、室内側の鍔部83(
図16A,
図16B参照)が省略された形状を有する。すなわち、車輪11は、第2軸Ax2を中心として円環状に延在し、レール221上を転動する転動面81と、転動面81における室外側の縁部から径方向に突出し、レール221に対して見込み方向に重なり合う鍔部82とを備える。また、本実施の形態2に係るレール221では、レール側突条部222が省略されている(
図16A,
図16B,
図17参照)。
なお、状態切替機能、外れ防止機能、及び高さ調整機能については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。また、左縦框45及び下框44の接合部分に設けられる第2戸車装置についても、第1戸車装置9と同様に構成しても構わない。
【0058】
以上説明した本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
図16A、
図16B、及び
図17は、本実施の形態2の効果を説明する図である。なお、
図16A及び
図16Bは、本実施の形態2に係るレール221(レール側突条部222が省略)に沿って上述した実施の形態1で説明した第1戸車装置5Aを移動可能に構成した場合を示している。また、
図16Aは、
図10Aに対応した図である。
図16Bは、
図16Aに示した初期状態から網戸4に対して室外側に荷重を掛けながら当該網戸4を持ち上げた場合での下框44、車輪8、張出部72、及びレール221の位置関係の変化を当該レール221に沿う方向から見た模式図である。
図17は、
図10Aに対応した図であって、本実施の形態2に係るレール221(レール側突条部222が省略)に沿って本実施の形態2に係る第1戸車装置9を移動可能に構成した場合を示している。
【0059】
車輪8として、上述した実施の形態1で説明した構成を採用した場合(
図16A,
図16B)には、以下の利点と問題点とがある。
利点は、以下の通りである。
転動面81と一対の鍔部82,83とで凹部が形成され、当該凹部にレール221の先端が入り込むため、一対の鍔部82,83は、ガイドとして機能する(
図16A)。このため、車輪8は、レール221上をガタつくことなく円滑に転動することができる、という利点がある。
一方、問題点は、以下の通りである。
網戸4が持ち上げられつつ室外側に荷重が掛けられた場合には、車輪8は、室内側の鍔部83がレール221を乗り上げる(
図16B)。すなわち、車輪8と可動部材7とは一体化されているため、上述したように車輪8における室内側の鍔部83がレール221を乗り上げると、車輪8の上方への移動に伴い、可動部材7も上方に揺動する。このため、張出部72におけるレール221に重なり合う領域が少なくなり、外れ防止機能を十分に発揮させることができない、という問題点がある。
ここで、レール221にレール側突条部222が設けられている場合には、網戸4が持ち上げられつつ室外側に荷重が掛けられると、レール側突条部222を突出部618が乗り越える際に一時的に網戸4(第1戸車装置5A)が室内側に移動することとなる。すなわち、当該網戸4の室内側への移動の際に、可動部材7が下方に揺動するため、上述した問題点が生じ難い。すなわち、上述した問題点は、レール221にレール側突条部222が設けられていない場合に生じ易いものである。
【0060】
本実施の形態2に係る第1戸車装置9では、車輪11には、転動面81における室外側の縁部にのみ鍔部82が設けられている。
このため、単一の鍔部82と張出部72とでレール221を挟み込むことができ、単一の鍔部82と張出部72とは、ガイドとして機能する(
図17)。このため、車輪11は、レール221上をガタつくことなく円滑に転動することができる。
また、網戸4が持ち上げられつつ室外側に荷重が掛けられた場合であっても、室内側の鍔部83が省略されているため、当該鍔部83にて車輪11がレール221を乗り上げることがない。すなわち、車輪11が上方に移動することがないため、可動部材10も上方に揺動することがない。このため、張出部72におけるレール221に重なり合う領域を十分に確保し、外れ防止機能を十分に発揮させることができる。
【0061】
本実施の形態2に係る第1戸車装置9では、張出部72には凸部722が設けられている。このため、張出部72において、レール221に対して接触する接触面積を必要最低限の面積とし、レール221に対する摺動抵抗を減少させることができる。したがって、網戸4の移動、及び可動部材10の揺動を円滑に実施することができる。
【0062】
本実施の形態2に係る第1戸車装置9では、可動部材10(張出部72)は、上方に向かうにしたがって第1軸Ax1からの長さ寸法が小さくなるテーパ状に形成されている。このため、可動部材10(張出部72)において、上方で、かつ、内側の角部分を省略し、可動部材10が揺動する際の下框44(框側突条部443)に対する摺動抵抗を減少させることができる。したがって、可動部材10の揺動を円滑に実施することができる。
【0063】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1,2によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1,2では、本発明に係る戸車装置を網戸に設けていたが、これに限らず、内障子3や外障子等のその他の障子に設けても構わない。
上述した実施の形態1,2において、張出部72の形状は、上述した実施の形態1,2で説明した形状に限らない。すなわち、可動部材7,10が第1軸Ax1を中心として下方に揺動するにしたがって見込み方向に沿って見た場合でのレール221に重なり合う領域が増加する形状であれば、張出部72の形状を他の形状で構成しても構わない。
上述した実施の形態1,2では、本発明に係るテーパ部として、傾斜面721を採用していたが、これに限らず、上方に向かうにしたがって見込み方向に沿う厚み寸法が小さくなれば、張出部72における室外側の面に傾斜面を形成しても構わない。