特許第6859240号(P6859240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6859240粉粒体吹込装置、検量線作成装置および検量線作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859240
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】粉粒体吹込装置、検量線作成装置および検量線作成方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/00 20060101AFI20210405BHJP
   B65G 53/66 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   C21B7/00 310
   B65G53/66 B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-181712(P2017-181712)
(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公開番号】特開2019-56152(P2019-56152A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】日鉄プラント設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 剛士
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎也
(72)【発明者】
【氏名】古舘 昭二
【審査官】 祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−038175(JP,A)
【文献】 特開平06−115690(JP,A)
【文献】 特開2004−170438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が収容された複数のフィードタンクと、
前記フィードタンクの各々から高炉に至るフィードラインと、
前記フィードラインの各々の前記粉粒体の流量を検出する粉粒体流量計と、
前記フィードタンクに不活性の搬送ガスを供給して前記粉粒体を前記フィードラインへと送出する搬送ガス供給ラインと、
いずれかの前記フィードラインの途中から分岐して他の前記フィードタンクに至る検量用フィードラインと、
前記検量用フィードラインの前記粉粒体の流量を検出する検量用粉粒体流量計と、を有することを特徴とする粉粒体吹込装置。
【請求項2】
請求項1に記載された粉粒体吹込装置において、
前記フィードラインの前記粉粒体流量計より上流側には、希釈用エアを供給する希釈用エア供給ラインまたは不活性の希釈用ガスを供給する希釈用ガス供給ラインが接続され、
前記検量用フィードラインの前記検量用粉粒体流量計より上流側には、不活性の希釈用ガスを供給する希釈用ガス供給ラインが接続されていることを特徴とする粉粒体吹込装置。
【請求項3】
請求項2に記載された粉粒体吹込装置において、
前記希釈用ガス供給ラインは前記搬送ガス供給ラインから分岐され、前記搬送ガスを前記希釈用ガスに用いることを特徴とする粉粒体吹込装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載された粉粒体吹込装置において、
前記検量用フィードラインの前記希釈用ガス供給ラインの接続部分より上流側と、前記希釈用ガス供給ラインとの少なくとも一方に流量調整弁が設置されており、前記検量用フィードラインの前記希釈用ガス供給ラインの接続部分より上流側と、前記希釈用ガス供給ラインとの少なくとも一方にガス流量計が設置されていることを特徴とする粉粒体吹込装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された粉粒体吹込装置において、
前記検量用フィードラインが分岐する前記フィードラインに接続された前記フィードタンクと、前記検量用フィードラインが接続される他の前記フィードタンクとの各々に、収容される前記粉粒体の量を検出するロードセルが設置されていることを特徴とする粉粒体吹込装置。
【請求項6】
粉粒体が収容された複数のフィードタンクと、
前記フィードタンクの各々から高炉に至るフィードラインと、を有する粉粒体吹込装置の検量線を作成する検量線作成装置であって、
いずれかの前記フィードラインの途中から分岐して他の前記フィードタンクに至る検量用フィードラインと、
前記検量用フィードラインの前記粉粒体の流量を検出する検量用粉粒体流量計と、を有することを特徴とする検量線作成装置。
【請求項7】
粉粒体が収容された複数のフィードタンクと、
前記フィードタンクの各々から高炉に至るフィードラインと、
前記フィードラインの各々の前記粉粒体の流量を検出する粉粒体流量計と、
前記フィードタンクに不活性の搬送ガスを供給して前記粉粒体を前記フィードラインへと送出する搬送ガス供給ラインと、を有する粉粒体吹込装置の検量線を作成する検量線作成方法であって、
いずれかの前記フィードラインの途中から、前記搬送ガスおよび前記粉粒体の流れを取り出し、他の前記フィードタンクへと流し、
前記フィードラインの途中からの流れの途中に検量用粉粒体流量計を設置し、
前記フィードラインの途中からの流れを複数の状態に変化させ、前記検量用粉粒体流量計で検出される各状態での前記粉粒体の流量から検量線を作成することを特徴とする検量線作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体吹込装置、検量線作成装置および検量線作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄用の高炉には、炉内の熱量を高めるために、炉内に微粉炭やプラスチック微粒粉などを吹き込む粉粒体吹込装置(PCI装置)が設置される(特許文献1参照)。
特許文献1の粉粒体吹込装置では、タンクに収容した粉粒体を所定量ずつ切り出し、窒素などの搬送ガスにより高炉へと供給され、炉体の周方向に配置された羽口などから均等に吹き込まれる。粉粒体吹込装置の制御にあたっては、各羽口に至る経路で粉粒体流量を検出し、その総量を参照して粉粒体の供給量および搬送ガスの流量を制御している。
【0003】
粉粒体流量の検出には、静電容量式の粉粒体流量計が用いられる。
静電容量式の粉粒体流量計は、管路の流れ方向に離れた2箇所に静電容量センサを設置し、各々のセンサでの電圧から粉粒体濃度を検出し、2つのセンサ間の変動パターンのずれから粉粒体の通過速度を検出する。単位時間あたりの流量は、管路の断面積と、濃度および流速の積で計算される。静電容量式の粉粒体流量計において、センサ電圧から粉粒体濃度を検出する際には、各々の関係を示す検量線が利用される。
【0004】
検量線は、予め実際の設備で粉粒体を流し、その際の粉粒体濃度と電圧の関係を記録して作成される。具体的には、高炉の稼働前に、粉粒体吹込装置に粉粒体を流し、粉粒体濃度と電圧の関係を記録する。そして、粉粒体濃度と電圧との相関グラフにおいて、記録された一点と原点とを結ぶ直線を引き、これを検量線としていた。これは、粉粒体濃度と電圧とが、単純な比例関係にある、との前提に基づく。
なお、静電容量式の粉粒体流量計では、濃度と電圧の関係が検量線となるが、一般的には粉粒体流量計を通過する粉粒体の実流量と粉粒体流量計の検出信号出力の値との関係が検量線となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−231634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した粉粒体吹込装置において、制御精度を向上させるためには、静電容量式の粉粒体流量計の検出精度を高める必要がある。
しかし、従来は、静電容量式の粉粒体流量計の検量線の作成が、高炉の稼働前の1回だけであり、検量線の精度を高めることが難しかった。
【0007】
すなわち、検量線の作成時には、様々な粉粒体濃度において粉粒体流量計の出力信号を記録することで、検量線の精度を高めることができる。しかし、高炉の稼働中に粉粒体濃度を様々に変化させることは、高炉の状態を大きく変動させることになり、現実的には不可能である。
さらに、粉粒体吹込装置においては、高炉に装入する炭種や、水分量、粉粒体の嵩比重の変動などに応じた検量線を作成することで、これらの条件に対して最適な制御を行うことができる。しかし、検量線の作成は高炉の稼働前の1回だけであり、このような条件の変化に適切に対応することが難しかった。
【0008】
本発明の目的は、高炉の稼働中にも検量線を作成可能な粉粒体吹込装置、検量線作成装置および検量線作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の粉粒体吹込装置は、粉粒体が収容された複数のフィードタンクと、前記フィードタンクの各々から高炉に至るフィードラインと、前記フィードラインの各々の前記粉粒体の流量を検出する粉粒体流量計と、前記フィードタンクに不活性の搬送ガスを供給して前記粉粒体を前記フィードラインへと送出する搬送ガス供給ラインと、いずれかの前記フィードラインの途中から分岐して他の前記フィードタンクに至る検量用フィードラインと、前記検量用フィードラインの前記粉粒体の流量を検出する検量用粉粒体流量計と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明では、フィードタンクのいずれかから、フィードラインおよび検量用フィードラインを経て他のフィードタンクに至る検量用経路を形成し、そこに検量用の粉粒体を流して検量用粉粒体流量計で検量を行うことで、検量線の作成を行うことができる。
ここで、検量用経路は、フィードタンクのいずれかからフィードラインを経て高炉に至る本来の経路を模したものとすることができ、本来の経路における粉粒体流量計の検量線の作成を、検量用粉粒体流量計による検量線の作成で代替することができる。
つまり、フィードタンクから高炉に至る本来の経路とは別に、検量用経路において検量線の作成が可能となり、高炉の稼働中にも随時、検量線を作成できるようになる。
【0011】
このように、フィードタンクから高炉に至る本来の経路とは別の検量用経路を用いるため、検量用経路による検量線の作成時には、検量用経路を流れる粉粒体の流量や濃度などを様々に変化させることができ、または、高炉に装入する炭種や、水分量、粉粒体の嵩比重の変動などを模した条件を設定することで、多様な検量条件に対応した高精度の検量線を作成することができる。
なお、本発明で作成する検量線としては、粉粒体流量計を通過する粉粒体の実流量と粉粒体流量計の検出信号出力の値との関係である。例えば、静電容量式の粉粒体流量計では、濃度と電圧の関係が検量線とされる。
【0012】
本発明の粉粒体吹込装置において、前記フィードラインの前記粉粒体流量計より上流側には、希釈用エアを供給する希釈用エア供給ラインまたは不活性の希釈用ガスを供給する希釈用ガス供給ラインが接続され、前記検量用フィードラインの前記検量用粉粒体流量計より上流側には、不活性の希釈用ガスを供給する希釈用ガス供給ラインが接続されていることが好ましい。
【0013】
本発明では、希釈用エア供給ラインにより、フィードラインに、本来の希釈用エアを供給することができる。フィードラインには、希釈用ガス供給ラインにより、不活性の希釈用ガスを供給してもよい。この際、希釈用エアまたは不活性の希釈用ガスの供給は、フィードラインの粉粒体流量計より上流側とされ、本来の流量を確実に測定できる。
一方、検量用フィードラインには、希釈用ガス供給ラインにより、不活性の希釈用ガスを供給することができる。この際、希釈用ガスの供給は、検量用フィードラインの検量用粉粒体流量計より上流側とされ、検量用の流れの流量を確実に測定できる。
もし、検量用フィードラインに、本来のフィードラインと同様な希釈用エアを流した場合、酸素を含む希釈用エアが他のフィードタンクの内部に供給され、他のフィードタンク内の可燃性の粉粒体と反応してしまう虞がある。しかし、本発明では、他のフィードタンクに供給されるのは不活性の希釈用ガスとされ、他のフィードタンク内の可燃性の粉粒体との反応が防止される。
【0014】
本発明の粉粒体吹込装置において、前記希釈用ガス供給ラインは前記搬送ガス供給ラインから分岐され、前記搬送ガスを前記希釈用ガスに用いることが好ましい。
【0015】
本発明では、搬送ガス供給ラインで供給される不活性の搬送ガスの一部を、希釈用ガス供給ラインで供給される希釈用ガスとして利用することができ、同じ不活性ガス源を共用することができ、設備の簡略化も図れる。
【0016】
本発明の粉粒体吹込装置において、前記検量用フィードラインの前記希釈用ガス供給ラインの接続部分より上流側と、前記希釈用ガス供給ラインとの少なくとも一方に流量調整弁が設置されており、前記検量用フィードラインの前記希釈用ガス供給ラインの接続部分より上流側と、前記希釈用ガス供給ラインとの少なくとも一方にガス流量計が設置されていることが好ましい。
【0017】
本発明において、流量調整弁は、検量用フィードラインと希釈用ガス供給ラインの両方に設置されていることが望ましい。少なくとも一方に流量調整弁が設置されていることで、検量用フィードラインの搬送ガスと希釈用ガス供給ラインの希釈用ガスとの混合比率を調整することができる。
また、ガス流量計は、希釈用ガス供給ラインに設置されることで、検量用フィードラインの希釈用ガス供給ラインの希釈用ガスの流量を検出することができる。
従って、ガス流量計の値を参照しつつ、流量調整弁を調整し、検量用粉粒体流量計を流れるガスの流量や粉粒体の流量や濃度などを調整することができる。
【0018】
本発明の粉粒体吹込装置において、前記検量用フィードラインが分岐する前記フィードラインに接続された前記フィードタンクと、前記検量用フィードラインが接続される他の前記フィードタンクとの各々に、収容される前記粉粒体の量を検出するロードセルが設置されていることが好ましい。
【0019】
本発明では、粉粒体の供給元のフィードタンクのロードセルにより、粉粒体の送出量が検出され、検量用フィードラインが接続される他のフィードタンクのロードセルにより、検量用粉粒体流量計を通過する粉粒体の流量が検出できる。従って、粉粒体の送出量と通過流量との差分から本来の経路から高炉に送られる粉粒体の量を検出することができ、この点でも高炉の稼働時であっても検量線の検出を行うことができる。
【0020】
本発明の検量線作成装置は、粉粒体が収容された複数のフィードタンクと、前記フィードタンクの各々から高炉に至るフィードラインと、を有する粉粒体吹込装置の検量線を作成する検量線作成装置であって、いずれかの前記フィードラインの途中から分岐して他の前記フィードタンクに至る検量用フィードラインと、前記検量用フィードラインの前記粉粒体の流量を検出する検量用粉粒体流量計と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の検量線作成装置は、粉粒体吹込装置に設置されることで、前述した本発明の粉粒体吹込装置で説明した通りの作用効果を得ることができる。
【0022】
本発明の検量線作成方法は、粉粒体が収容された複数のフィードタンクと、前記フィードタンクの各々から高炉に至るフィードラインと、前記フィードラインの各々の前記粉粒体の流量を検出する粉粒体流量計と、前記フィードタンクに不活性の搬送ガスを供給して前記粉粒体を前記フィードラインへと送出する搬送ガス供給ラインと、を有する粉粒体吹込装置の検量線を作成する検量線作成方法であって、いずれかの前記フィードラインの途中から、前記搬送ガスおよび前記粉粒体の流れを取り出し、他の前記フィードタンクへと流し、前記フィードラインの途中からの流れの途中に検量用粉粒体流量計を設置し、前記フィードラインの途中からの流れを複数の状態に変化させ、前記検量用粉粒体流量計で検出される各状態での前記粉粒体の流量から検量線を作成することを特徴とする。
【0023】
本発明の検量線作成方法は、粉粒体吹込装置に適用されることで、前述した本発明の粉粒体吹込装置で説明した通りの作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高炉の稼働中にも検量線を作成可能な粉粒体吹込装置、検量線作成装置および検量線作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す配管図。
図2】前記実施形態の要部構成を示す配管図。
図3】前記実施形態での検量線の作成手順を示すフローチャート。
図4】前記実施形態での検量線の作成を示す模式図。
図5】本発明の他の実施形態の要部構成を示す配管図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、粉粒体吹込装置1は、高炉2の羽口3から微粉炭などの粉粒体Pを吹き込む装置である。
粉粒体吹込装置1は、粉粒体が収容される複数(本実施形態では3つ)のフィードタンク11,12,13と、フィードタンク11,12,13の各々から高炉2に至るフィードライン21,22,23と、フィードライン21,22,23の各々で搬送される粉粒体Pの流量を検出する粉粒体流量計4と、搬送される粉粒体Pの流量を調整する流量調整装置5と、フィードタンク11,12,13に不活性の搬送ガスCGを供給して粉粒体Pをフィードライン21,22,23へと送出する搬送ガス供給ライン31,32,33と、を有する。
【0027】
フィードタンク11,12,13は、それぞれ貯蔵タンク10に配管で接続されている。貯蔵タンク10には、外部から供給された微粉炭などの粉粒体Pが貯蔵されている。貯蔵タンク10およびフィードタンク11,12,13には、それぞれ搬送ガス供給ライン30,31,32,33が接続され、コンプレッサ39により窒素ガスなど不活性の搬送ガスCGが加圧用もしくは流動化用として供給される。
搬送ガス供給ライン30からの搬送ガスCGは、流動化用のため、フィードタンクより上方に設置されている。貯蔵タンク10の内部の粉粒体Pは、重力により切り出されて、フィードタンク11,12,13に供給される。また、搬送ガス供給ライン31,32,33から加圧供給される搬送ガスCGにより、フィードタンク11,12,13の各々の粉粒体Pが切り出されて、フィードライン21,22,23へと送出される。
【0028】
フィードライン21,22,23は、ディスパーサ24に接続され、互いに合流されて中間フィードライン25とされる。中間フィードライン25はディストリビュータ26に接続され、複数の分配フィードライン27に分岐される。分配フィードライン27の各々は、それぞれ高炉2の羽口3に接続されている。
ディスパーサ24には、希釈用エア供給ライン28が接続され、コンプレッサ29により希釈用の希釈用エアDAが加圧供給される。なお、希釈用エア供給ライン28は、N2などの不活性の希釈用ガスを供給する希釈用ガス供給ラインとしてもよい。
【0029】
従って、フィードライン21,22,23へと送出された粉粒体Pおよび搬送ガスCGは、ディスパーサ24で希釈用エアDAと混合され、希釈された状態で中間フィードライン25へと送出される。そして、粉粒体Pを分散した搬送ガスCGおよび希釈用エアDAの混合ガスは、ディストリビュータ26で分配フィードライン27の各々に分配され、それぞれの羽口3から高炉2の内部に吹き込まれる。
【0030】
粉粒体流量計4は、分配フィードライン27の各々の途中に設置され、それぞれ通過する混合ガス中の粉粒体Pの流量を検出する。
粉粒体流量計4は、静電容量式の粉粒体流量計であり、静電容量の検出部では、通過する粉粒体Pの濃度に応じて出力信号の電圧が変化する。従って、通過する粉粒体Pの流速Vを別途測定することで、この流速Vと、通過流路の断面積Sと、粉粒体流量計4の出力信号から得られる濃度ρとの積を計算することで、粉粒体流量Qを得ることができる。流量調整装置5は、粉粒体流量計4を目安に調整が行える。
【0031】
本実施形態の粉粒体流量計4では、前述した濃度と電圧の関係が検量線とされる。一般的な流量計の検量線としては、粉粒体流量計を通過する粉粒体の実流量と粉粒体流量計の検出信号出力の値との関係として与えられる。
本実施形態では、粉粒体流量計4の検量線を作成するために、前述したフィードタンク11,12,13から分配フィードライン27を経て高炉2に至る粉粒体Pの本来の経路とは別に、フィードタンク11,12,13のうち2つを結ぶ検量用経路を設定する。
【0032】
図2において、本実施形態では、粉粒体吹込装置1に、フィードタンク11を粉粒体Pの供給側とし、他のフィードタンク12を受け側とする検量用経路40を設定する。
検量用経路40は、フィードタンク11に接続されたフィードライン21の途中から分岐してフィードタンク12に至る検量用フィードライン41と、検量用フィードライン41を通る粉粒体Pの流量を検出する検量用粉粒体流量計42と、を有する。
検量用粉粒体流量計42は、粉粒体流量計4の検量線を作成するためのものであり、粉粒体流量計4と同一のものが用いられる。なお、検量用粉粒体流量計42は、粉粒体流量計4と同一でなくてもよいが、作成する検量線が粉粒体流量計4に適したものとなるように、同様の属性をもつものであることが望ましい。
【0033】
検量用フィードライン41には、フィードライン21の分岐と検量用粉粒体流量計42との間に、流量調整弁43およびディスパーサ44が設置されている。ディスパーサ44には希釈用ガス供給ライン45が接続されている。
希釈用ガス供給ライン45は、フィードタンク11に接続された搬送ガス供給ライン31の途中に接続され、コンプレッサ39からの窒素ガスなど不活性の搬送ガスCGの一部が希釈用ガスDGとして加圧供給される。希釈用ガス供給ライン45の途中には、流量調整弁46およびガス流量計47が設置されている。
【0034】
従って、検量用フィードライン41には、フィードライン21から粉粒体Pを分散した搬送ガスCGが供給されるとともに、ディスパーサ44において希釈用ガス供給ライン45からの希釈用ガスDGが混合されることで、分配フィードライン27と同じ搬送条件を作ることができる。そして、粉粒体Pを分散した搬送ガスCGおよび希釈用ガスDGの混合ガス(不活性ガスのみ)は、検量用粉粒体流量計42を通過し、検量用フィードライン41の下流側からフィードタンク12に回収される。受け側のフィードタンク12の圧力を、高炉2の羽口3相当の圧力に加圧調整することで、分配フィードライン27と同じ搬送条件を作ることができる。
【0035】
フィードタンク11,12には、それぞれ収容する粉粒体Pの重量を検出するロードセル111,121が設置され、これにより現在の粉粒体Pの収容量を検出することができる。
【0036】
本実施形態においては、図3に示す手順で粉粒体流量計4の検量線を作成する。
先ず、粉粒体吹込装置1において、受け側のフィードタンク12の圧力を高炉2の羽口3相当の圧力に加圧調整する(処理S0)。つぎに、検量用経路40を開き、フィードタンク11から検量用フィードライン41を通ってフィードタンク12に至る粉粒体Pの流れを形成する(図3の処理S1)。この際、高炉2に粉粒体Pを吹き込む本来の経路(中間フィードライン25ないし分配フィードライン27)は、流通を止めていてもよく、閉じずに吹き込みを継続していてもよい。
【0037】
次に、フィードタンク11,12のロードセル111,121で、各々に収容されている粉粒体Pの現在量を検出し、記録しておく(処理S2)。そして、流量調整弁43,46の開度を調整し、粉粒体Pの流通条件を設定する(処理S3)。
この状態で、検量用粉粒体流量計42の出力信号を検出し、得られた検出値を記録する(処理S4)。さらに、フィードタンク11,12の粉粒体Pの現在量を検出し(処理S5)、処理S2での検出量との差分から検量用粉粒体流量計42を通過した粉粒体Pの流量を算出する(処理S6)。
ここで、他の条件での検出が必要か否かを判定し(処理S7)、他の条件(例えば濃度の変更)での検出を行う場合には、処理S3〜S6を繰り返す。一方、他の条件での検出が必要ない場合、各条件で検出された検量用粉粒体流量計42の出力信号を検出値と、算出された粉粒体Pの流量とをグラフ上にプロットし(処理S8)、これにより検量線の作成が完了する。
【0038】
図4において、処理S3〜S6で得られた各条件での検量用粉粒体流量計42の出力信号の検出値M1,M2,M3…と、算出された粉粒体Pの流量Q1,Q2,Q3…とをプロットすることで、検量線Lを得ることができる。
なお、検量線Lは、各条件でのプロットに対して近似する直線をあてはめればよいが、二次曲線などをあてはめるようにしてもよい。各条件でのプロットは、粉粒体流量計4の測定範囲の全幅にわたって3点以上のサンプル数とすることが望ましい。
【0039】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
本実施形態では、フィードタンク11,12,13のうちのひとつであるフィードタンク11から、フィードライン21および検量用フィードライン41を経て、他のフィードタンク12に至る検量用経路40を形成し、そこに検量用の粉粒体Pを流して検量用粉粒体流量計42で検量を行うことで(図2参照)、検量線L(図4参照)の作成を行うことができる。
ここで、検量用経路40は、フィードタンク11,12,13のいずれかから高炉2に至る本来の経路(フィードライン21,22,23、中間フィードライン25ないし分配フィードライン27を経て)を模したものとすることができ、本来の経路における粉粒体流量計4の検量線の作成を、同型の機器を用いた検量用粉粒体流量計42による検量線Lの作成で代替することができる。
つまり、フィードタンク11,12,13から高炉2に至る本来の経路とは別に、検量用経路40において検量線Lの作成が可能となり、高炉2の稼働中にも随時、検量線Lを作成できるようになる。
【0040】
このように、フィードタンク11,12,13から高炉2に至る本来の経路とは別の検量用経路40を用いるため、検量用経路40による検量線の作成時には、検量用経路40を流れる粉粒体Pの流量や濃度などを様々に変化させることができる。また、高炉2に装入する炭種や、水分量、粉粒体の嵩比重の変動などを模した条件を設定することで、多様な検量条件に対応した高精度の検量線Lを作成することができる。
【0041】
本実施形態では、希釈用エア供給ライン28により、高炉2に至る中間フィードライン25ないし分配フィードライン27に、本来の(酸素を含む高炉2への吹き込みに適した)希釈用エアDAを供給することができる。この際、希釈用エアDAの供給は、分配フィードラインの粉粒体流量計4より上流側とされ、本来の流量を確実に測定できる。
一方、検量用フィードライン41には、希釈用ガス供給ライン45により、不活性の希釈用ガスDGを供給することができる。この際、希釈用ガスDGの供給は、検量用フィードライン41の検量用粉粒体流量計42より上流側とされ、検量用の流れの流量を確実に測定できる。
もし、検量用フィードライン41に、中間フィードライン25ないし分配フィードライン27と同様な希釈用エアDAを流した場合、酸素を含む希釈用エアDAが他のフィードタンク12の内部に供給され、他のフィードタンク12内の可燃性の粉粒体Pと反応してしまう虞がある。しかし、本実施形態では、他のフィードタンク12に供給されるのは不活性の希釈用ガスDGとされ、他のフィードタンク12内の可燃性の粉粒体Pとの反応が防止される。
【0042】
本実施形態では、搬送ガス供給ライン31,32,33で供給される不活性の搬送ガスCGの一部を、希釈用ガス供給ライン45で供給される希釈用ガスDGとして利用することができ、同じ不活性ガス源を共用することができ、設備の簡略化も図れる。
【0043】
本実施形態では、検量用フィードライン41と希釈用ガス供給ライン45との両方に流量調整弁43,46を設置したため、検量用フィードライン41の搬送ガスCGと希釈用ガス供給ライン45の希釈用ガスDGとの混合比率の調整に加えて、混合ガスとしての総量の調整を容易に行うことができる。
また、希釈用ガス供給ライン45にガス流量計47が設置されていることで、検量用粉粒体流量計42と併せて参照することで、検量用フィードライン41の搬送ガスCGと希釈用ガス供給ライン45の希釈用ガスDGとの各々の流量を検出することができる。
従って、ガス流量計47の値を参照しつつ、流量調整弁43,46を調整することで、検量用粉粒体流量計42を流れるガスの流量や粉粒体Pの流量や濃度などを調整することができる。
【0044】
本実施形態では、粉粒体Pの供給元のフィードタンク11のロードセル111により、粉粒体Pの送出量が検出され、検量用フィードライン41が接続される他のフィードタンク12のロードセル121により、検量用粉粒体流量計42を通過する粉粒体Pの流量が検出できる。従って、粉粒体Pの送出量と通過流量との差分から本来の経路から高炉2に送られる粉粒体Pの量を検出することができ、この点でも高炉2の稼働時であっても検量線Lの検出を行うことができる。
【0045】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前述した実施形態では、検量用経路40の粉粒体Pの供給側としてフィードタンク11を用い、受け側としてフィードタンク12を用いたが、例えばフィードタンク12を供給側とし、フィードタンク13を受け側としてもよい。さらに、設備仕様的に許容されれば受け側または供給側として貯蔵タンク10を用いてもよい。
【0046】
図5において、粉粒体吹込装置1は、高炉2に粉粒体Pを吹き込むものであり、前述した図1の実施形態と同様な構成を備えている。
ただし、図1の実施形態との相違点として、検量用経路40Aの検量用フィードライン41Aは、供給側がフィードタンク11であるが、受け側が貯蔵タンク10とされている。貯蔵タンク10にはロードセル101が設置されている。
【0047】
このような検量用経路40Aを有する粉粒体吹込装置1においても、前述した実施形態と同様な手順(図3参照)により、検量線L(図4参照)を作成することができる。
【0048】
前述した実施形態では、フィードタンク11,12,13、フィードライン21,22,23および搬送ガス供給ライン31,32,33を3系統としたが、2系統あるいは4系統以上であってもよく、このうち任意の2系統を用いて検量用経路40を構成すればよい。
さらに、各配管には適宜開閉弁や調整弁、流量計などを設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、粉粒体吹込装置、検量線作成装置および検量線作成方法に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1…粉粒体吹込装置、2…高炉、3…羽口、4…粉粒体流量計、5…流量調整装置、10…貯蔵タンク、11,12,13…フィードタンク、101,111,121…ロードセル、21,22,23…フィードライン、24…ディスパーサ、25…中間フィードライン、26…ディストリビュータ、27…分配フィードライン、28…希釈用エア供給ライン、29…コンプレッサ、30,31,32,33…搬送ガス供給ライン、39…コンプレッサ、40,40A…検量用経路、41,41A…検量用フィードライン、42…検量用粉粒体流量計、43…流量調整弁、44…ディスパーサ、45…希釈用ガス供給ライン、46…流量調整弁、47…ガス流量計、CG…搬送ガス、DA…希釈用エア、DG…希釈用ガス、L…検量線、M1,M2,M3…検出値、P…粉粒体、Q…流量。ρ1,ρ2,ρ3…検出時の濃度。
図1
図2
図3
図4
図5