【文献】
Chong et al.,Optically Modulated MEMS Scanning Endoscope,IEEE Photonics Technology Letters,米国,IEEE,2006年 1月 1日,Vol.18, No.1,pp.133-135
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも2つのグラジエントインデックス素子の開口数は、前記2つの関連する光ファイバの開口数のうちの大きい方以上である、請求項1に記載の医療用光コネクタ。
前記少なくとも2つのグラジエントインデックス素子のうちの少なくとも1つは、グラジエントインデックスレンズ及び/又はグラジエントインデックスファイバを有する、請求項1に記載の医療用光コネクタ。
前記少なくとも2つのグラジエントインデックス素子のうち最小の外径を有する1つが、前記2つの関連する光ファイバのうちの一方の端部が挿入可能な介入医療装置にインテグレートされるように構成されている、請求項8に記載の医療用光コネクタ。
前記グラジエントインデックス素子のうちの別の1つが、前記2つの関連する光ファイバのうちの他方の端部が挿入可能な前記ファイバ担持ユニットによって受けられる、請求項9に記載の医療用光コネクタ。
【背景技術】
【0002】
低侵襲医療介入では、一方で、患者の関連する解剖学的構造を見つけて測定するために、そして他方で、例えばステントなどの医療器具を取り扱う又は配置するために、例えば針、ガイドワイヤ、シース及びカテーテルなどの介入装置が患者に挿入される。そのような医療用途においては、患者に挿入される介入装置の部分は、処置期間の全体において無菌でなければならず、あるいは、患者自身からの体液及び組織で汚染されるのみであるべきである。
【0003】
特には針、ガイドワイヤ又はカテーテルである介入装置が、センサ又はアクチベータを備えるとき、患者から離れた非無菌ゾーンに置かれたコントローラ又はインターロゲータに、又はそれから、情報又は電力を送るために、例えば電気配線又は光ファイバといた1つ以上の接続が為されなければならない。これは、情報/電力伝送線路に沿った何処かで、無菌ゾーンが非無菌ゾーンと出会うことを意味する。従って、無菌性の適切な管理が必要とされる。
【0004】
この無菌性管理は、光形状センシング(Optical Shape Sensing;OSS)にとっても重要である。光形状センシングは、光学センサに沿った複数の分散位置で、例えば赤外(IR)光である後方散乱光を用いて、このセンサの長さに沿った歪みを決定する。この歪み測定から、その光学センサの対応する形状を再構成することができる。この光学センサが、例えばガイドワイヤ又はカテーテルなどのフレキシブル医療装置に組み込まれるとき、この技術は、患者の体内にある医療装置の形状を提供することができる。光形状センシング(OSS)技術は、FORS(Fiber-optical RealShape)技術とも呼ばれている。
【0005】
OSS手順においては、一方の、患者に挿入されて無菌でなければならないものである光学センサと、他方の、患者から離れた非無菌ゾーンに置かれるものであるパッチコード、コントローラ又はインターロゲータとの間に、光接続が確立される必要がる。光接続を行うと、光学センサの無菌の近位端は、非無菌のパッチコード、コントローラの嵌合スリーブ又はインターロゲータと接触し、それによって非無菌になる。医療手順中に、パッチコード、コントローラ又はインターロゲータに接続された光導波路が切断される必要があり、そして、もはや非無菌の光学センサの近位端が無菌ゾーンに入る必要があるとき、又は、例えばカテーテル、ガイドワイヤ又はシースなどの医療装置が、光学センサ上をスライドする必要があるとき、無菌問題が生じ得る。光学センサ又は光導波路は、例えば、光ファイバである。光学センサ上をスライドして患者の体内との直接接触と持つ医療装置は、故に、患者の体内に何らかの汚染物質を運び込む。
【0006】
無菌問題を解決するための一手法は、光学センサの無菌の近位端と非無菌のパッチコード、コントローラ又はインターロゲータとの間に、無菌バリアを導入するものである。US5949929(特許文献1)は、光ファイバ撮像カテーテルとともに使用するための回転式の光接続システムを開示している。そのシステムは、固定された無菌シールドを有する。その固定無菌シールドは、例えばポリエチレン、ポリオレフィン、PEBAXなどの、生体適合性の射出成形エラストマーからなる。また、そこに開示されている無菌シールドは、接続部にある光学インタフェースを保護しない。
【0007】
無菌バリアが光ファイバ間に配置される場合、そのシステムは、高い光挿入損失のために不利になり得る。光挿入損失を低減するには、無菌バリアは非常に薄くされる必要があり、それ故に、かなり脆弱になって破裂しやすくなる。さらには、挿入損失を低下させるという目的はまた、無菌側及び非無菌側の双方での光ファイバの相対的なアライメントに厳しい要求を課す。特に、相対的なアライメントは、数マイクロメートルのオーダにあるモード場径のうちのほんの一部になければならない。
【0008】
EP2267501A2(特許文献2)は、光ファイバコネクタが、2つのグレーデッドインデックスファイバの間に空隙を置いて、コリメータレンズとして機能する2つのグレーデッドインデックスファイバを有した、光ファイバコネクタ及び内視鏡システムを開示している。
【0009】
WO2014/142958A1(特許文献3)は、グラジエントインデックスレンズを用いた光コネクタを有する光学圧力センサアセンブリを開示している。
EP2353490A1は、プラグ側光ファイバとレセプタクル側光ファイバとを光接続するために、機器本体に設けられたレセプタクルにプラグを着脱自在に接続する光コネクタを備えた医療機器を開示している。
【発明の概要】
【0011】
本発明の1つの目的は、より高い機械的安定性を提供し且つ光ファイバ間の光挿入損失を低減しながら、関連する光ファイバ間の無菌バリアを可能にするような、2つの関連する光ファイバを可逆的に接続する医療用光コネクタシステム及び方法を提供することである。
【0012】
本発明の第1の態様において、医療介入での使用のために2つの関連する光ファイバを可逆的に接続する医療用光コネクタが提供され、当該医療用光コネクタは、関連する光ファイバのうちの少なくとも1つの端部を挿入するファイバ担持ユニットと、光コネクタシステムの接続状態において、関連する光ファイバのうちの一方からの光ビームと相互作用し、且つ関連する光ファイバのうちの他方に上記光ビームを導く光学装置とを有し、該光学装置は、少なくとも2つのグラジエントインデックス素子と、該少なくとも2つのグラジエントインデックス素子の間に配置された更なる光学素
子とを有し、該更なる光学素子は、
交換可能であり、且つ関連するファイバ間の無菌バリアを提供する。
【0013】
本発明の更なる一態様において、介入医療装置を光結合するための光学システムが提供され、当該光学システムは、2つの関連する光ファイバと、これら2つの関連する光ファイバを可逆的に接続する上述の医療用光コネクタとを有する。
【0014】
本発明の更なる一態様において、2つの関連する光ファイバを可逆的に接続する方法が提供され、当該方法は、関連する光ファイバのうちの少なくとも1つの端部をファイバ担持ユニットに挿入することと、少なくとも2つのグラジエントインデックス素子と該少なくとも2つのグラジエントインデックス素子の間の更なる光学素子とを有する光学装置を用いて、関連する光ファイバのうちの一方からの光ビームと相互作用し、且つ関連する光ファイバのうちの他方に上記光ビームを導くこととを有し、それにより、上記更なる光学素子が、関連するファイバ間の無菌バリアを提供する。
【0015】
本発明の好適実施形態が従属項に規定される。理解されるべきことには、この方法は、特許請求される医療用光学システム及び従属項に規定されるものと同様及び/又は同質の好適実施形態を有する。
【0016】
ファイバ担持ユニットは、1つ以上のフェルールを有し得るものであり、一方又は双方の光ファイバの端部を保持するように構成され、(1つ以上の)光ファイバの端部をファイバ担持ユニットに挿入することができる。これは有利なことに、2つの光ファイバ間の確実な接続を保証し、それ故に、少なくとも一方の光ファイバの端部が損傷されることが防止される。
【0017】
光学装置は、2つの光ファイバが医療用光コネクタによって接続されたときに、2つの光ファイバのうちの一方によって伝送された光ビームと相互作用し、該光ビームを他方の光ファイバに導く1つ以上の光学素子で構成される。該1つ以上の光学素子は、シリカからなり得る。
【0018】
同時に、該1つ以上の光学素子はまた、2つの関連する光ファイバ間の無菌バリアを形成する。有利なことに、この光学装置は、一方で、2つの関連する光ファイバ間の光接続を提供することと、他方で、2つの光ファイバの無菌側が非無菌側によって汚染されるのを防止し、それにより医療介入における無菌問題を緩和することとの、2つの技術的機能を同時に果たす。
【0019】
より単純な構築を可能にすることの他に、本発明はまた、従来から知られているシステムと比較して機械的安定性を高めることを達成する。特に、前述のUS特許第5949929(特許文献1)において無菌バリアとして使用される固定シールドは、その弾性特性及び機械的変形可能性で知られるエラストマーで作製されている。無菌バリアを提供する一方で、そのようなエラストマーシールドは、あまり安定でないという欠点を露わにする。従って、2つの関連する光ファイバ間のミスアライメントが避けられず、光接続の挿入損失につながる。対照的に、本発明は、(1つ以上の)光学素子を、高い機械的安定性と低減された挿入損失とを可能にする無菌バリアとして使用する。
【0020】
さらに、この光学装置は、1つ以上のグラジエントインデックス(gradient index;GRIN)素子を有する。特に、この光学装置は、GRIN素子である唯一の光学素子で構成されてもよいし、それに代えて、そのうちの少なくとも1つがGRIN素子である複数の光学素子で構成されてもよい。有利なことに、この少なくとも1つのGRIN素子は、2つの関連する光ファイバ間及び/又はこれらと光学装置との間のミスアライメントの影響を受けにくいものでありながら、光接続の機械的安定性を更に高める。
【0021】
1つ以上の光学素子は、1つ以上のミラー、レンズ、光学的に透明なスペーサ及び/又はプリズムとし得る。ファイバ担持ユニットは、一方又は双方の光ファイバの端部を少なくとも部分的に封入するように作用する1つ以上の素子とすることができ、一般に、例えばポリマー、金属、又はこれらの組み合わせといった様々な材料によって形成され得る。2つの関連する光ファイバのうちの少なくとも一方は、中心コアを、該中心コアの延在に沿って螺旋状に巻きつく1つ以上の外側コアによって取り囲んで有するマルチコア光ファイバとし得る。
【0022】
有利な一実施形態において、少なくとも1つのグラジエントインデックス素子が無菌バリアに含まれる。斯くして、光学装置の1つ以上のグラジエントインデックス素子は、一方で、2つの光ファイバ間の光接続を提供することと、他方で、2つの光ファイバの無菌側及び患者の身体が汚染されるのを防止することとの、2つの技術的機能を同時に果たす。有利なことに、光接続が、より高い機械的安定性と、2つの光ファイバ間での低減された挿入損失とを有して構築される。好ましくは、無菌側で光ファイバを受けるように構成されたGRIN素子は、例えば、無菌光ファイバに対して間隔なく、光ファイバと直接接触することができ、それにより、機械的安定性を高めるとともに、スプリアス反射を劇的に減少させる。これは、例えば光形状センシング(OSS)など、光学センサが干渉計的に読み出されなければならない用途において特に有利である。この場合、GRIN素子はそれ自体が無菌であるべきである。
【0023】
他の有利な一実施形態において、これら1つ以上のグラジエントインデックス素子の合計ピッチは、正の整数を2で割ったものに基本的に等しい。ピッチは、光学素子内を伝播する光ビームによって進まれる周期的経路の周期長の単位における、特にはレンズである光学素子の長さである。合計ピッチは、GRIN素子各々の個々のピッチの合計である。有利には、この医療用光コネクタは、この正整数が2又は2の倍数、すなわち、2、4、6、…に等しいとき、2つの光ファイバ間及び/又は光学装置とファイバ担持ユニットとの間のミスアライメントに対して、より寛容である。故に、好ましくは、この正整数は2又は2の倍数、すなわち、2、4、6などに等しい。
【0024】
他の有利な一実施形態において、例えば2つのGRIN素子が存在する場合、グラジエントインデックス素子の各々のピッチが、正の整数を2で割ったものと1/4との間の差に基本的に等しい。好ましくは、全てのGRIN素子の合計ピッチは、正の整数を2で割ったものに等しい。特にはGRINレンズであるGRIN素子は、故に、医療用光コネクタのコンポーネント及び/又は光ファイバの間のミスアライメントによる光ビームの伝播方向を補正することができる光コリメータとして実現され得る。有利なことに、この医療用光コネクタは、ミスアライメントに対して、よりいっそう耐性がある。また、2つの光ファイバ間の挿入損失が更に低減される。少なくとも2つのGRIN素子についての上記正の整数は相異なっていてもよい。
【0025】
他の有利な一実施形態において、上記1つ以上のグラジエントインデックス素子の開口数は、2つの関連する光ファイバの開口数のうちの大きい方に等しいかそれよりも高いかである。光学装置の光学素子間、及び/又は光学装置と少なくとも1つの光ファイバとの間、及び/又は2つの光ファイバ間の偏心の最大量は、上記1つ以上のグラジエントインデックス素子の開口数に依存する。有利なことに、本発明は、より高い値の最大ミスアライメントを光接続において許容可能にする。GRINレンズと光ファイバとの間のミスアライメントは好ましくは、約1μm又はそれ未満である。
【0026】
他の有利な一実施形態において、上記1つ以上のグラジエントインデックス素子は、1つ以上のグラジエントインデックスレンズ及び/又は1つ以上のグラジエントインデックスファイバを有する。有利なことに、GRINレンズ及び/又はファイバは、関連する光ファイバ間の多様な光接続を提供する。好ましくは、少なくとも1つのGRINレンズはGRINロッドレンズである。更に好ましくは、少なくとも1つのGRINレンズの屈折率は、GRINレンズの光軸に垂直な半径方向に沿って上昇又は低下する。GRINファイバは、複数のモードの光を伝送することを可能にするGRINマルチモードファイバとし得る。
【0027】
他の有利な一実施形態において、少なくとも2つのグラジエントインデックス素子が相異なる直径を有する。斯くして、この医療用光コネクタは、医療介入における様々なサイズ要件を満たすように構築されることができる。また、この医療用光コネクタは、バックロード可能に(with back-loadability)構築されることができ、すなわち、医療用光コネクタの少なくとも1つの側が、例えばガイドワイヤ、シース又はカテーテルなどの医療介入装置にインテグレート可能である。好ましくは、少なくとも1つのGRIN素子は、ガイドワイヤ又はカテーテルの外径に等しい又はそれよりも小さい外径を有する。
【0028】
他の有利な一実施形態において、グラジエントインデックス素子のうちの1つは、介入医療装置にインテグレート可能であり、その中に、2つの関連する光ファイバのうちの一方の端部を挿入可能である。これは、有利なことに、医療用光コネクタのバックロードを可能とし、介入医療装置に挿入される光ファイバと光学装置との間のミスアライメントが更に抑制される。例えばガイドワイヤなどの介入医療装置の少なくとも近位端部分が、ファイバ担持ユニットの一部を形成し得る。インテグレート可能なグラジエントインデックス素子は、介入医療装置とは反対側の又は非無菌側に面するその近位端に、例えば透明接着剤などの透明材料を備え得る。特に、透明接着剤の使用は、GRIN素子と、GRIN素子を収容するための介入装置内の空間との間の長さの差に起因する空間を埋めることを可能にし、それ故に、インテグレート可能なGRIN素子は、長さ許容範囲内で選定され得る。GRIN素子が光ファイバからの光をコリメートするように構成される場合、医療装置を介して撮影される画像は、有利なことに無歪みである。
【0029】
好ましくは、グラジエントインデックス素子のうちの別の1つが、ファイバ担持ユニットによって受けられ、その中に、2つの関連する光ファイバのうちの他方の端部を挿入可能である。更に好ましくは、この別のグラジエントインデックス素子は、無菌バリアとしての役割を果たす使い捨て可能な素子とし得る。好ましくは、特にはGRINレンズであるこれら2つのGRIN素子が互いに直に接触し、それが、医療用光コネクタの機械的安定性を有利に高める。
【0030】
他の有利な一実施形態において、光学装置の更なる光学素子が、2つのグラジエントインデックス素子の間に配置され、無菌バリアは、この更なる光学素子、及び/又は2つのグラジエントインデックス素子のうちの少なくとも1つを含む。有利なことに、この更なる光学素子は、2つのGRIN素子間のミスアライメントを抑制する。好ましくは、この更なる光学素子は、ガラス板、メンブレン層及び/又はプリズムを有する。特に、この更なる光学素子は、厚さが30μmよりもかなり大きいとし得る透明素子とし得る。更に好ましくは、プリズムは回転可能なダブプリズムとし得る。有利なことに、これは、2つのGRIN素子間の及び/又は何れかのGRIN素子とそれに対応する光ファイバとの間のアライメントの容易な調節を提供する。さらに、回転可能なダブプリズムは、2つの関連する光ファイバのうちの少なくとも一方の軸外コアを回転アライメントすることを可能にする。例えばガラス板などのこの更なる光学素子は、何れのGRIN素子も無菌でないとして、それ自体によって無菌バリアを形成し得る。
【0031】
他の有利な一実施形態において、光学装置の光学素子をファイバ担持ユニットと接続するためのコネクタスリーブが設けられる。斯くして、光学素子とファイバ担持ユニットとの間の確実な機械的接続が形成され、それ故に、2つの関連する光ファイバ間の及び/又は光学装置と2つの光ファイバのうちの少なくとも一方との間のミスアライメントが有利に抑制される。好ましくは、コネクタスリーブはセラミックのスプリットメイティング(分割篏合)スリーブである。
【0032】
他の有利な一実施形態において、2つのグラジエントインデックス素子の勾配定数は、所定の値未満だけ異なる。斯くして、組み合わされた2つのGRIN素子の光学倍率を1に近くすることができ、これは、低い挿入損失を達成するのに有利である。この所定の値は、0%と10%との間、好ましくは0%と5%との間、更に好ましくは0%と1%との間とし得る。
【発明を実施するための形態】
【0034】
低侵襲医療介入では、一方で、患者の関連する解剖学的構造を見つけて測定するために、そして他方で、例えばステントなどの医療器具を取り扱う又は配置するために、例えば針、ガイドワイヤ、シース及びカテーテルなどの介入装置が患者に挿入される。そのような手順においては、患者に挿入される装置の部分が、手順の全体において無菌でなければならず、あるいは、患者自身からの体液及び/又は組織で汚染されるのみであるべきであることが極めて重要である。
【0035】
針、ガイドワイヤ又はカテーテルが、センサ又はアクチベータを備えるとき、センサからコントローラ又はインターロゲータに、及びその逆に、情報及び/又は電力を送るために、何らかの接続が為されなければならない。コントローラ又はインターロゲータは、患者から離れた非無菌ゾーンに置かれる。そのような接続は、電気配線又は光ファイバによって提供されることができる。伝送線路に沿った何処かで、無菌ゾーンが非無菌ゾーンと出会う。故に、無菌性の適切な管理が必要とされる。
【0036】
光形状センシング(OSS)は、特にはマルチコア光ファイバである光ファイバに沿った、後方散乱された赤外光を用いて、ファイバの長さに沿った歪みを決定する。マルチコア光ファイバのコアの各々における歪み測定から、そのファイバの対応する形状を再構成することができる。光ファイバが、例えばガイドワイヤ又はカテーテルなどのフレキシブル医療装置に組み込まれるとき、この技術は、患者の体内にある装置の形状を提供することができる。
【0037】
OSSで使用されるマルチコア光ファイバは、中心コアと、中心コアに螺旋状に巻きつく複数の外側コアとを有する。このジオメトリは、このファイバが、それ自体が光インターロゲータ又はパッチコードに接続又は挿入される別のファイバに接続されなければならないときに、更なる難題を課す。2つの中心コア間の良好なカップリングを確実にするために双方の光ファイバをセンタリングすることとは別に、2つの光ファイバの外側コアを接続するために適切な回転アライメントも提供されなければならない。
【0038】
無菌側及び非無菌側それぞれの2つの光ファイバ間の光接続を提供するとともに、これら2つのファイバ間の適切な無菌バリアを可能にするために、1つ以上のグラジエントインデックス(GRIN)素子が使用される。GRIN素子又はGRIN光学コンポーネントは、それぞれの素子中の光伝播を制御するのに有利な、屈折率の漸進的な位置依存変化を有する。
【0039】
GRIN光学系は、半径距離rに沿ってのみ変化する屈折率を持つ円筒形コンポーネントで構成されるサブセットを有し得る。例えば、GRINロッドレンズは:
【0040】
【数1】
なる基本的に放物線状である半径方向の屈折率プロファイルを有する。
【0041】
ここで、gは勾配定数であり、n
0はレンズの中心における屈折率であり、rは半径位置であり、そして、“sech”は双曲線正割関数である。GRINロッドレンズに入る光は連続的に屈折され、そのようなGRINロッドレンズ内部の光場(オプティカルフィールド)は、故に、z
period:
【0042】
【数2】
の周期長で、z軸に沿って周期的に変化する。
【0043】
GRINロッドレンズの長さを記述する一般的手法は、レンズの幾何学的長さLを周期長z
periodで割ったものであるピッチP:
【0045】
P=1,2,3,4,…のピッチを有するGRINロッドレンズは、その前面(フロントプレーン)を背面(バックプレーン)上に結像し、その逆もまた然りである。P=0.5,1.5,2.5,…のピッチを有するGRINロッドレンズも、前面を背面上に結像するが、この場合には像が反転される。典型的に使用される別のピッチ値は、P=1/4,3/4,5/4,…であり、この場合、GRINロッドレンズは理想的にはその前面上のあらゆる点からの光をコリメートする。
【0046】
図1は、各々が異なるピッチ値を有するGRINロッドレンズの3つの例を示している。
図1Aでは、第1のGRINロッドレンズの長さL
1が、該GRINロッドレンズの周期長z
periodの1/4に等しく、P=0.25のピッチ値をもたらす。
図1Bでは、第2のGRINロッドレンズの長さL
2が、周期長z
periodの半分に等しく、P=0.5のピッチ値をもたらす。
図1Cでは、第3のGRINロッドレンズの幾何学的長さL3が周期長z
periodに等しく、P=1のピッチ値をもたらす。
【0048】
【数4】
として、ロッドレンズの中心における屈折率と外側境界における屈折率とによって規定される。ただし、NAはGRINロッドレンズの開口数であり、dは、GRINロッドレンズの直径であり、好ましくは外径である。
【0049】
最小必要NA及び最大直径dが分かっている場合、用途における様々なニーズに適合する勾配定数g:
【0050】
【数5】
を持つGRINロッドレンズを設計することができる。
【0051】
必要とされるピッチPが更に分かっている場合、GRINロッドレンズがそこまで研磨されるべき幾何学的長さLを:
【0053】
図2は、医療介入での使用のために第1の光ファイバ12を第2の光ファイバ14と可逆的に接続する医療用光コネクタ10aを示している。医療用光コネクタ10aは、第1のフェルール16と第2のフェルール18とで構成されるファイバ担持ユニットを有している。第1のフェルール16は、第1の光ファイバ12の端部13を挿入するのに用いられる。第2のフェルール18は、第2の光ファイバ14の端部15を挿入するのに用いられる。
【0054】
医療用光コネクタ10aは更に光学装置20を有している。光学装置20は、グラジエントインデックス(GRIN)レンズ22で構成される。好ましくは、GRINレンズ22は、
図1Cに示したGRINレンズに対応するP=1のピッチ値を有する。GRINレンズ22は、医療用光コネクタ10aが接続状態にあるときに、すなわち、2つの光ファイバ12、14が光学装置20を介して光学的に接続されているときに、第1及び第2の光ファイバ12、14の一方から来る光ビームと相互作用し、該光ビームを第1及び第2の光ファイバ12、14の他方に導くように構成される。第1及び/又は第2の光ファイバ12、14は、マルチコア光ファイバを有することができ、GRINレンズ22は、第1の光ファイバ12の(1つ以上の)コアを第2の光ファイバ14の(1つ以上の)コアに光学的に結合するように構成される。
【0055】
光形状センシング(OSS)を用いる低侵襲医療介入においては、2つの光ファイバ12、14のうちの一方が、患者から離れた非無菌ゾーンに置かれたコントローラ、インターロゲータ及び/又はパッチコードに接続され、2つの光ファイバ12、14のうちの他方が、その後に患者の体内に導入されるものである例えばガイドワイヤ、シース及び/又はカテーテルなどのフレキシブル医療装置に組み込まれる。例えば、第1の光ファイバ12が、パッチコード、コントローラ又はインターロゲータに接続され、それにより光導波路として機能する。第2の光ファイバ14は、例えばガイドワイヤ、シース又はカテーテルなどのフレキシブル医療装置に組み込まれることができ、それにより光センサとして機能し得る。
【0056】
好ましくは、第1及び第2の光ファイバ12、14は各々、コネクタスリーブ32、34によって光学装置20に接続される。コネクタスリーブ32、34は内部空間30、28を備えており、内部空間30、28は、フェルール16、18の外側部分と、特にはGRINレンズ22である光学装置20の外側部分との双方が内部空間30、28に受け入れられるような内径を持つ。好ましくは、GRINレンズ22はGRINロッドレンズである。更に好ましくは、GRINロッドレンズ22はホルダ26に取り付けられる。各光ファイバ12、14は、対応する光フェルール16、18に封入される。GRINロッドレンズ22の外径は好ましくは、一方又は双方のフェルール16、18のそれに一致される。コネクタスリーブ32、34は好ましくは、スプリットメイティング(分割篏合)スリーブである。有利なことに、コネクタスリーブ32、34は、それぞれの光ファイバ12、14とGRINロッドレンズ22との間のアライメントを改善し、それにより、光接続の光挿入損失を低減する。
【0057】
GRINロッドレンズ22は、2つの光ファイバ12、14の間の光接続を提供することに加えて、2つの光ファイバ12、14の間の無菌バリアとしても機能する。斯くして、例えば光導波路、パッチコード、並びにコントローラ及び/又はインターロゲータといった、医療介入の非無菌側からの汚染物質が、医療介入の無菌側(特に、光センサ、例えばガイドワイヤ、カテーテル又はシースなどのフレキシブル医療装置)に入ることを防止することができる。有利なことに、処置中の患者が環境から汚染されるのを防ぐことができる。ホルダ26は、無菌バリアの一部として機能し得る。
【0058】
好ましくは、2つの光ファイバ12、14の間の回転アライメントは、標準光コネクタ上の1つ以上のキー、及び/又はメイティング(篏合)スリーブの1つ以上のキースロットを用いて制御されることができる。更に好ましくは、GRINレンズは、結像結果に影響を与えることなくランダムな方向に回転されることができるように、光軸に対して回転対称に構築される。
【0059】
GRINロッドレンズのピッチPは、好ましくは:
【0060】
【数7】
に基本的に等しい。ただし、nは正の整数である(n=1,2,…)。斯くして、GRINロッドレンズ22は、その前方表面21aをその後方表面21b上に結像する、及びその逆に結像する中継レンズとして作用する。第1の光ファイバ12の端部13が挿入される第1のフェルール16は、GRINロッドレンズ22の前方表面21aに面して詰めて配置され得る。それに加えて、あるいは代えて、第2の光ファイバ14の端部15が挿入される第2のフェルール18は、GRINロッドレンズ22の後方表面21bに面して詰めて配置され得る。斯くして、2つの光ファイバ12、14を互いに光接続することができる。光ファイバ12、14とGRINロッドレンズ22の前方及び/又は後方の表面21a、21bとの間に本質的に自由空間が存在しないように、第1及び/又は第2の光ファイバ12、14がGRINロッドレンズ22に対して十分に詰めて機械的に接続されるとき、GRINロッドレンズ22によって提供される光接続は特に安定であり、この物理的な接続は、スプリアス反射が劇的に抑制されることを為す。このような機械的に安定した結合は、OSSの場合のように、光学センサが干渉計的に読み出されなければならない用途において特に有利である。
【0061】
なお、それぞれの光ファイバ12、14とGRINロッドレンズ22の前方又は後方の表面21a、21bとの間の自由空間は、より良い視認性のために描かれたものであり、コンポーネント間の実際の距離を表すものではない。
【0062】
式(7)のnが奇数であるとき、GRINロッドレンズ22の像面はその対物面に対して反転される。前方/後方表面は、GRINレンズ22の対物/像面に相当する。この場合、単純に第2の光ファイバ14を第1の光ファイバ12に対して回転させること又はその逆を行うことによって、像面を第1の光ファイバ12の位置及び/又は向きに一致させることができる。式(7)からのnが偶数であるとき、2つの光ファイバ12、14は同じ向きを有することができ、互いに対して回転される必要はない。(nが奇数又は偶数である)どちらの場合にも、2つのファイバ間の回転ミスアライメントに対抗するために、ある量の小さい回転はなおも必要であり得る。
【0063】
医療用光コネクタ10aの光挿入損失を低減するには、それぞれの光ファイバ12、14の幾何学中心とGRINロッドレンズ22の光軸との適切なアライメントを達成することが極めて重要である。そうするために、コネクタスリーブ32、34は好ましくはセラミックのスプリットメイティングスリーブである。それに加えて、あるいは代えて、第1及び第2のフェルール16、18は好ましくは、標準的なセラミック光ファイバフェルールである。
【0064】
また、GRINロッドレンズ22の外径は、好ましくはメイティングスリーブであるコネクタスリーブ32、34が、GRINロッドレンズ22及び光ファイバフェルール16、18の中心を揃えることができるように、セラミック光ファイバフェルール16、18の外径と基本的に一致するように構成される。
【0065】
nは偶数の正整数(2,4,6,…)であるとして、GRINロッドレンズ22のピッチPがP=n/2であるように選定される場合、医療用光コネクタ10aは有利なことに、GRINロッドレンズ22とそれぞれの光ファイバフェルール16、18との間のミスアライメントに対していっそう耐性を有する。その理由は、第1の光ファイバ12によって提供される“被写体”が、“4−f”構成のGRINロッドレンズ22によって、第2の光ファイバ14によって搬送される“像”に結像されるからである“4−f”構成は、対物面と像面との間に、焦点距離“f”の4倍に等しい距離を有する。物点が軸外にある場合、対応する像点も、光軸に関して同じ方向に、物点と同じ量だけ軸外にある。
【0066】
それぞれの光ファイバフェルール16、18とGRINロッドレンズ22との間のアライメントに加えて、2つの光ファイバ12、14それら自体間の適切なアライメントを達成することも重要である。これは、軸外コアを有する光ファイバが使用されるときに特に重要であり、これはOSSにおいてしばしば当てはまる。好ましくは、例えばSCコネクタ又はFCコネクタなどの、コネクタ本体を有する光コネクタの標準的な対策が適用され得る。例えばFC及びSCコネクタで、セラミックスプリットスリーブが使用される手法と同様に、そのようなスリーブをこのコネクタ32、34で使用することができる。そのようなコネクタは通常、その内部に収容された光ファイバの向きを指し示すキーを有する。2つのコネクタスリーブ32、34の間の相対的な回転を確定するために、両側に1つ以上のキースロットを備えたメイティングスリーブが使用され得る。好ましくは、メイティングスリーブは、GRINロッドレンズ22によって占められる追加空間を提供するように変更される。更に好ましくは、n=1,3,5,…として、GRINロッドレンズ22のピッチがP=n/2であるとき、メイティングスリーブの両側のキースロットは互いに反転されるべきである。2つの光ファイバのうちの一方からのコアによって搬送された像は、GRINレンズの他方側で、他方の光ファイバ内に上下逆さまに投影される。従って、他方の光ファイバは、第1の光ファイバに対して回転される必要がある。
【0067】
好ましくは、最大の光挿入損失は1dB程度である。この目的のため、GRINロッドレンズ22は好ましくは、フェルールの外径に等しくて典型的に2.5mmに近いものであるその目標外径から1ミクロン未満しか異ならない外径を有するように構成される。外径は、光ファイバの開口数(NA)に依存することができ、より低いNAは、より大きい焦点深度を指し示し、より高いNAは、より短い焦点深度と、より厳しい許容範囲とを指し示す。これは、奇数又は偶数の正整数に当てはまる。また、GRINロッドレンズ22は好ましくは、その目標長さから典型的に30ミクロン未満しか異ならない長さを有するように構成される。さらに、2つのフェルール16、18は、2つのファイバ12、14間の横方向のミスアライメントが1ミクロン未満になるように構成される。
【0068】
図2において、光学装置20は、単一のGRINロッドレンズ22で構成されている。それに代えて、複数のGRINロッドレンズが適用されてもよく、その場合、合計ピッチ、すなわち、個々のGRINロッドレンズの各々の個々のピッチ値の合計は、好ましくはn/2に十分に近い。nは正の整数であり、n=1,2,3,…である。また、第1及び/又は第2の光ファイバ12、14は、中心コアを、ファイバの延在に沿って該中心コアに螺旋状に巻きつく複数の外側コアによって囲んで有した、マルチコア形状センシング光ファイバとし得る。理解されることには、第1の光ファイバ12が無菌側で使用される一方で第2の光ファイバ14は非無菌側で使用され、又はその逆である。
【0069】
図3は、第2の実施形態に従った医療用光コネクタ10bを示している。医療用光コネクタ10bは、
図2に示した医療用光コネクタ10aと同様に、医療介入用に2つの関連する光ファイバ12、14を可逆的に接続するために使用される。医療用光コネクタ10bは、その中に第1の光ファイバ12の第1の端部13が挿入又は封入される第1のフェルール16を有している。医療用光コネクタ10bの接続状態において、光ファイバ12、14のうちの一方からの光ビームと相互作用して、該光ビームを光ファイバ12、14のうちの他方に導くために、光学装置20も設けられている。
【0070】
図2に示した実施形態に対する違いとして、
図3の光学装置20は、単一のGRINロッドレンズで構成されるのではなく、第1のGRINロッドレンズ22aと、第1のGRINロッドレンズ22aの光軸に沿って配置された第2のGRINロッドレンズ22bとで構成されている。第1のGRINロッドレンズ22aは、そのピッチ値を除いて、
図2に示したGRINロッドレンズ22と基本的に同じである。一方で、第1の光ファイバ12の端部13を収容する第1のフェルール16と、他方で、第1のGRINロッドレンズ22aとをアライメントするために、セラミックのスプリットメイティングスリーブ32が好ましく設けられており、それにより、第1の光ファイバ12の端部13の中心が、第1のGRINロッドレンズ22aの光軸にアライメントされるようになっている。
【0071】
第2のGRINロッドレンズ22bは、その中に第2の光ファイバ14の端部15(好ましくは、第2の光ファイバ14の全体)が挿入又は封入されるガイドワイヤ18’にインテグレートされる。第2のGRINロッドレンズ22bは、第2の光ファイバ14の端部15に接続される。理解されることには、フレキシブル医療装置18’は、ガイドワイヤ、シース及び/又はカテーテルとし得る。また、フレキシブル医療装置18’は、第1のフェルール16と共に、ファイバ担持ユニットの一部として形成されてもよい。それに代えて、フレキシブル医療装置18’は、医療用光コネクタ10bとは別個の装置であってもよい。
【0072】
第1及び第2のGRINロッドレンズ22a、22bのピッチは好ましくは:
【0073】
【数8】
に基本的に等しい。ただし、m
iは、m
i=1,2,…である正の整数であり、インデックスiは、第1のGRINロッドレンズ22a(i=1)及び第2のGRINロッドレンズ22b(i=2)を示す。好ましくは、値m
iは、第1及び第2のGRINロッドレンズ22a、22bについて異なり得る。
図3に示すように、第1のGRINロッドレンズ22aについてのm
1の値は好ましくは2であり、P
1=3/4のピッチ値をもたらす。第2のGRINロッドレンズ22bについてのm
2の値は好ましくは1であり、P
2=1/4のピッチ値をもたらす。
【0074】
ピッチ値の他に、2つのGRINロッドレンズ22a、22bはまた、それらの外径において異なり得る。第1のGRINロッドレンズ22aの外径は、好ましくは、第1のフェルール16のそれに一致され、その一方で、第2のGRINロッドレンズ22bの外径は、特にはガイドワイヤであるフレキシブル医療装置18’の内側にフィットするように縮小される。有利なことに、これは、コネクタ10bの少なくとも一方側が医療装置18’の外径に等しいか又はそれよりも小さい外径を有するので、医療用光コネクタ10bのバックロード可能さを高める。更に有利なことに、2つの光ファイバ12、14間の適切なアライメントが同時に提供される。概して、第1のGRINロッドレンズ22aの外径は、医療用途において必要とされる大きさにされることができる。好ましくは、2つのGRINレンズ22a、22bの外径のうち、大きい方の外径は、小さい方の外径の少なくとも2倍であり、より好ましくは、少なくとも3倍である。
【0075】
第1のGRINロッドレンズ22aは好ましくは、第1の光ファイバ12から出てくる光ビームを受け取り、そしてコリメートするように構成される。次いで、第2のGRINロッドレンズ22bは好ましくは、コリメートされた光ビームを第2の光ファイバ14に向けてフォーカシングする。第2の光ファイバ12、14は、中心コアと複数の外側コアとを有するマルチコア光ファイバとし得る。この場合、コリメートされた光ビームは好ましくは、第2のGRINロッドレンズ22bによって、マルチコア光ファイバである第2の光ファイバ14の複数の外側コア及び/又は中心コアに向けてフォーカシングされる。
【0076】
好ましくは、第1のGRINロッドレンズ22aは、無菌バリアとして機能することができるように無菌である。2つのGRINロッドレンズ22a、22bは、第1のGRINロッドレンズ22aの遠位端が第2のGRINロッドレンズ22bの近位端に直に接触するように接続され得る。それに加えて、あるいは代えて、2つのGRINロッドレンズ22a、22bの間にガラス板23又は薄い透明メンブレンが配置されて、ガラス板23又はメンブレンが無菌バリアの全体又はその一部として作用してもよい。ガラス板23は、
図3に示されており、第1のGRINロッドレンズ22a及び/又はガラス板23が、医療用光コネクタ10bの無菌バリアを形成する。
【0077】
それぞれの光ファイバ12、14から来る光ビームは、それぞれ、第1のGRINロッドレンズ22a又は第2のGRINロッドレンズ22bによってコリメートされることができるので、ガラス板23又はメンブレン中の追加の光路の長さは、有利なことに、結像性能に対して有意な影響を持たず、それにより、追加の挿入損失を生じさせない。この理由から、GRINレンズが使用されない対策とは対照的に、ガラス板23及び/又はメンブレンは、30ミクロンよりもかなり厚いものであってもよい。
【0078】
有利なことに、光接続の低い光挿入損失を維持しながら、第1の光ファイバ12と第2の光ファイバ14との間に、増大されたミスアライメントが許容され得る。特に、光ビームが、2つのGRINロッドレンズ22a、22b間のインタフェースの位置でコリメートされる。従って、光軸に沿った2つのGRINロッドレンズ22a、22b間の横方向シフトは、GRINレンズ22bとファイバ15との間のインタフェース上の結像光ビームとコア位置との間のミスアライメントを引き起こさないことになる。斯くして、光挿入損失が低く維持される。適切な光接続のための境界条件は、ファイバ12、14がそれらそれぞれのGRINレンズ22a、22bと良好にアライメントされることである。このアライメントは、例えば、制御された環境でのGRINレンズ22a、22bのファイバ12、14とのアセンブリ中に既に行われているとし得る。
【0079】
有意な挿入損失を与えることなく2つの光ファイバ12、14間に許容され得る横方向ミスアライメント量Δrは:
【0080】
【数9】
に等しい。ただし、NA
lensは、医療装置18’にインテグレートされる第2のGRINロッドレンズ22bの開口数であり、NA
fiberは、光ファイバ12、14の開口数であり、そして、gは、レンズの勾配定数である。増大したミスアライメントにおいては、第1の光ファイバ14から来る光は、第2のGRINロッドレンズ22bに到達しないように向けられることがあり、挿入損失をもたらす。0.21の開口数を持つ典型的な光ファイバとg=0.95mm
−1の勾配定数を持つGRINロッドレンズとに許容されるミスアライメントの最大値を、第2のGRINロッドレンズ22bの開口数の関数として、
図4に示す。
【0081】
好ましくは、2つのGRINロッドレンズ22a、22b間に許容され得る最大ミスアライメントは、最も小さい寸法、特に外径及び/又は長さ、を有するGRINロッドレンズ、すなわち、医療用光コネクタ10bの場合の第2のGRINロッドレンズ22b、の開口数の関数である。それに加えて、あるいは代えて、最大ミスアライメントは、医療装置18’にインテグレートされるGRINロッドレンズの開口数の関数である。有利なことに、第1及び第2のGRINロッドレンズ22a、22bは、これら2つのレンズ22a、22b間に大きい最大ミスアライメントを許容するように構成されることができる。同時に、光ファイバ12、14に対するGRINロッドレンズ22a、22bの適切なアライメントを提供することが重要である。好ましくは、コネクタスリーブ32は、従来からのメイティングスリーブとすることができ、それにより、光コネクタアセンブリで一般的に使用されている従来からのアライメント方法を適用して、好ましくはパッチコード側である光接続の非無菌側でフェルール16と第1のGRINロッドレンズ22aとをアライメントすることができる。このようなコネクタスリーブは通常、フェルール16及び第1のGRINロッドレンズ22aを受け入れることができるような内径を備えることができる。
【0082】
特にはガイドワイヤであるフレキシブル医療装置18’に光ファイバ14が組み込まれるところである無菌側では、第2のGRINロッドレンズ22bは、医療装置18’の横方向サイズによって制限される外径を有する必要がある。好ましくは、第2のGRINロッドレンズ22bは、商業的に入手可能なスプライシング装置を使用して、第2の光ファイバ14の近位端に直接的に接合される。近位端は、非無菌側と無菌側との間に延在された例えば光ファイバなどの物体の、非無菌側に面する又は非無菌側の一部である端又は端部を指す。好ましくは、第2のGRINロッドレンズ22bを含めて、例えばガイドワイヤである医療装置18’の全体が無菌である。例えば光ファイバなど、非無菌側と無菌側との間に延在される物体の遠位端は、無菌側に面する端である。加えて、あるいは代えて、例えば400又は500ミクロンなどの十分に大きいコア直径を有するとともに第2の光ファイバ14の近位端に直に接合されたGRINマルチモードファイバが使用されてもよい。有利なことに、第2の光ファイバ14と第2のGRINロッドレンズ22bとの間のミスアライメントが、例えば商業的に入手可能なスプライシングマシン又は技術を使用することによって、1ミクロンのオーダまで縮小され得る。
【0083】
GRINロッドレンズ又はGRINマルチモードファイバをガイドワイヤに直接的にインテグレートするとき、GRINロッドレンズ又はGRINマルチモードファイバの外径は、十分小さくされる必要があり、特に、光接続の無菌側で使用されるGRINロッドレンズよりも小さくされる必要がある。同時に、組み合わされた2つのGRINロッドレンズの倍率を1の近くに保つために、2つのGRINロッドレンズ22a、22bが十分に類似の勾配定数gを持つことが有利である。特に、2つのGRINロッドレンズ22a、22bの勾配定数gは、所定値未満だけ、好ましくは3%未満だけ、より好ましくは1%未満だけ異なる。例えば、2つのGRINロッドレンズ22a、22bの勾配定数は、より小さい厚さを持つGRINロッドレンズ及び/又は無菌側/介入装置側に配置されるGRINロッドレンズの勾配定数に一致され得る。組み合わされた2つのGRINロッドレンズ22a、22bの光学倍率は、1の値から、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満しか異ならない。
【0084】
他の有利な一実施形態において、組み合わされた2つのGRINロッドレンズ22a、22bの長さ、及び/又は2つのGRINロッドレンズ22a、22bの勾配定数は、2つのGRINロッドレンズ22a、22bのうち薄い方のGRINロッドレンズの設計パラメータに、より大きく依存する。光学装置20が3つ以上のGRINロッドレンズを含む更なる一実施形態において、組み合わされた全てのグラジエントレンズの全長及び/又は全勾配定数は、好ましくは、その他のGRINロッドレンズと比較して、最も薄いGRINロッドレンズの設計パラメータに、より大きく依存する。
【0085】
好ましくは、第1及び第2の光ファイバ12、14を互いに対してアライメントするために、第1のフェルール16を機械的に回転させる機構が設けられる。この機構は、第1のフェルール16を回転させるサーボモータとし得る。また、機構によって達成されるアライメントを検査するために、光学測定信号がフィードバック信号として使用され得る。有利なことに、例えばガイドワイヤである医療装置18’及び/又は第2の光ファイバ14の向きを、ガイドワイヤ及び/又は光ファイバが医療用光コネクタ10bに挿入された後であっても知ることができる。斯くして、ガイドワイヤ上にキー又はマーカは必要ない。
【0086】
他の有利な一実施形態において、特には第2のGRINロッドレンズ22bである無菌装置の近位端に、第2の光ファイバ14に対する(特に、マルチコア光ファイバである第2の光ファイバ14の複数のコアに対する)GRINロッドレンズの結合に影響を及ぼすことなく、例えば透明な接着剤などの透明材料が設けられ得る。このような透明材料の適用は、第2のGRINロッドレンズ22bが医療装置18’にインテグレートされて配置されていることに起因して、とりわけ容易である。
【0087】
図5A−Cは、第2の光ファイバ14を、第2のGRINロッドレンズ22bと共に、特にはガイドワイヤである医療装置18’内に取り付けるための可能な一手法を示している。ガイドワイヤ18’の近位部分に、GRINロッドレンズ22bを収容するのに十分な大きさのキャビティ19が設けられる。GRINロッドレンズ22bを、第2の光ファイバ14に直にスプライスすることで、その後にガイドワイヤ18’のキャビティ19に挿入することができるアセンブリを形成し得る。好ましくは、キャビティ19は、異なる長さを有する光ファイバ及びガイドワイヤと共に使用するのに適するように、十分に大きく且つ/或いは長い。
【0088】
GRINロッドレンズ22b又は光ファイバ14によって占有されていないキャビティ19の残部を充填するために、キャビティ空間のその残部に、透明な接着剤が少量供給され得る。好ましくは、この透明材料は、光学グレードの接着剤とし得る。更に好ましくは、光接続の高い光学品質を確保するために、透明接着剤36を塗布した後、ガイドワイヤ18’の近位端が研磨され得る。これらにより、
図5Cに示すガイドワイヤ18’に挿入されたGRINロッドレンズ22b及び光ファイバ14のアセンブリがもたらされる。なお、
図5B、Cが示すように、ガイドワイヤ18’のキャビティ空間19は、アセンブリ又は透明接着剤36によって完全には充たされない。それに代えて、キャビティ19を完全に充たすように、例えば透明接着剤などの更なる材料が適用されてもよい。
【0089】
図6は、より更なる一実施形態に係る医療用光コネクタ10cを示しており、これは、
図6に示す光学装置20が追加のプリズム25を有することを除いて、
図3に示した実施形態と基本的に同じコンポーネントを含んでいる。好ましくは、プリズム25は、第1のGRINロッドレンズ22aとガラス板23との間に配置された回転可能なダブプリズムである。なお、ガラス板23の代わりに、薄い透明なメンブレンが使用されてもよい。斯くして、2つの光ファイバ12、14のうちの一方を他方の光ファイバに対して回転させる必要なく、2つの光ファイバ12、14間の回転アライメントが可能であることが提供される。
【0090】
それぞれの光ファイバ12、14の1つ以上のコアが軸外に配置されて、2つの光ファイバ12、14をランダムに接続することができ、それ故に、コアの正確な相対的向きを知る必要はない。第1の光ファイバ12の中心コアは好ましくは、この中心コアがGRINロッドレンズ22aの光軸と一致するように、第1のフェルール16の中心に配置される。そして、ダブプリズム25を回転させて、第1の光ファイバ12を第2の光ファイバ14にアライメントすることができる。また、光学測定信号をフィードバック信号として使用して、2つの光ファイバ12、14間のアライメントを検査することができる。なお、光ファイバ12、14の軸外配置に起因するミスアライメントを、ダブプリズム25によって補償することはできない。
【0091】
図7は、第1及び第2の光ファイバ12、14と共に使用される医療用光コネクタ10a−cの模式図を示している。医療用光コネクタ10a−cと、第1及び第2の光ファイバ12、14とが一緒になって、介入医療装置への光学的にカップリングのための光学系を形成する。介入医療装置は、カテーテル、ガイドワイヤ又はシースとし得る。
図7では、介入医療装置が第2の光ファイバ14と一体化されている。それに代えて、介入医療装置は、第2の光ファイバ14に光学的に接続される別個の装置であってもよい。
【0092】
第1の光ファイバ12の近位端は、光インターロゲータ46に接続されている。第2の光ファイバ14の遠位端は、患者の身体37に挿入されている。第1の光ファイバ12の遠位端は第1のフェルール16に挿入され、第2の光ファイバ14の近位端は第2のフェルール18又はそれに代わるガイドワイヤ18’に挿入されている。他の有利な一実施形態において、第2の光ファイバ14の全体が、例えばガイドワイヤ、シース又はカテーテルなどのフレキシブル医療装置に挿入又は封入され、フレキシブル医療装置が患者の身体37に導入されてもよい。
【0093】
第2の光ファイバ14の遠位端は、それが組織40によって囲まれた管腔38内にあるように配置されている。
図7中の拡大描写から見て取れるように、第2の光ファイバ14は、好ましくは3つの外側コア44である複数の外側コア44によって囲まれた中心コア42を有するマルチコア光ファイバである。第2の光ファイバ14は、特にはファイバの長さに沿った反射信号である光信号を拾い上げる光学センサとして機能する。そして、これらの信号は、光学装置20と導波管としての役割を果たす第2の光ファイバ12とを介して、光インターロゲータ46に伝送される。光インターロゲータ46は、光信号を読み出すように構成され、そして、その光信号が、
図7の略図に示すカーブ48によって表される位置依存信号へと変換される。ここでは、位置インデックスは、mm単位のzで表されており、信号強度は、デシベルの単位のSで表されている。
【0094】
GRINレンズの使用は、これらのレンズの表面からの更なる反射につながり得る。そのような反射は、GRINレンズの中心における屈折率を、医療用光コネクタ10a−cと協働使用される光ファイバの屈折率に、可能な限りよく一致させることによって、最小化され得る。特に、第1及び/又は第2のGRINロッドレンズ12、14の中心における屈折率は、第1及び/又は第2の光ファイバ12、14の屈折率と、好ましくは1%未満しか異ならない。また、少なくとも1つのGRINレンズと少なくとも1つの光ファイバ12、14との間のインタフェースが、当該インタフェースが光軸に対して或る角度を形成するように研磨されてもよい。斯くして、このインタフェースで反射される光は、光ファイバ12、14の伝播モードの中には導かれない。好ましくは、このインタフェースと光軸との間の角度θは、8°≦θ≦15°の範囲内である。それに加えて、あるいは代えて、少なくとも1つのGRINレンズの表面に、1つ以上の反射防止コーティングが設けられ得る。
【0095】
一実施形態において、これらのレンズの(平均)屈折率は、それらのインタフェース間での反射を抑制するために、ファイバの屈折率に十分近いように選定される。一例において、GRINレンズは、ドープされた石英で製造され、石英ファイバと組み合わせて使用される。
【0096】
屈折率n
1=nの材料と屈折率n
2=n+Δnの材料との間の単一インタフェースでの反射光強度は、Δnが小さい、次式:
【0098】
典型的に、反射をR<10
−6のレベルまで抑制することを望むことがあり、従って、n≒1.5の場合、ファイバ及びレンズ材料の屈折率は、Δn<3×10
−3以下しか異ならないべきである。
【0099】
図8は、反射測定の結果が2つのカーブとして描かれている図を示している。実線カーブは、GRINレンズを有する
図2に示した医療用光コネクタ10aを用いて得られたものであり、破線カーブは、従来の医療用光コネクタを用いて得られたものである。この図は、マルチコアファイバの複数の軸外コアのうちの1つにおける、空間的に分解された反射信号を示している。
【0100】
光形状センシングに使用されることが可能なマルチコアファイバに光学的にインターロゲートするために光周波数領域反射計(Optical Frequency Domain Reflectometer;OFDR)を使用し、中心コアと中心外コアの各々とについて別々に、反射測定及び故に光インターロゲーションが実行される。
図8に示す結果は、
図7に示したシステムを用いて取得され得る。
【0101】
双方の曲線が、メートル単位の光ファイバセンサとして機能するマルチコア光ファイバの中心外コアに沿ったメートル単位の位置インデックスzの関数として、反射信号又は反射強度をデシベル単位で表している。
図8に示すデータは、明瞭化のために数センチメートルにわたって平滑化されている。
【0102】
医療用光コネクタ、及び故に光接続は、マルチコアパッチコードがマルチコアファイバセンサに接続されるところであるz=0付近に位置する。ファイバセンサの長さに沿って“書き込まれた”複数のファイバブラッググレーティングが存在しており、正方向にz=0から始まる反射位置は、これらのファイバブラッググレーティングによって支配的に与えられる。
【0103】
複数のGRINレンズの組み合わせが、組み合わせの合計ピッチがP=1であるようにして使用される。
図8にて見てとれることには、GRINレンズを有する医療用光コネクタは、光接続の位置(z=0)で、従来コネクタと比較して高い反射ピークを与える。この差は主に、光ファイバとGRINレンズとの間の屈折率の不一致に起因する。この不一致のもう1つ影響は、GRINレンズを用いる場合に、従来コネクタと比較して、追加の光カップリング損失が存在することである。光ファイバに対してGRINレンズの屈折率をもっと良く一致させることにより、光カップリングを有意に改善して、反射を抑制することができる。GRINレンズと光ファイバとの間の屈折率における改善された一致は、例えば、グレーデッドインデックスファイバを用いることによって達成され得る。
【0104】
図9は、医療用光コネクタの更なる一実施形態を示している。
図3に示した実施形態と同様に、医療装置18’が接続される。
図3に関連して説明したように、損失を最小化するために、最も小さいGRINレンズの設計が、レンズの長さ及び勾配定数の決定を主導する。勾配定数の類似性についてのこの制約は、同じGRINレンズのうちの2つをコネクタの両側に有する接続を製造することによって減じられ得る。そこで、
図3のように一方のGRINレンズを他方のGRINレンズよりも大きくすることに代えて、
図9の実施形態では、両方のGRINレンズ22a及び22bが、同じ厚さ及び勾配定数を持つ同じタイプのものである。レンズの個々の研磨で調節可能なものである長さは、依然として異なることができる。
【0105】
接続の両側のレンズの直径がこの実施形態では同じであるので、それらはどちらも、GRINレンズ22bがインテグレートされる医療装置18’の外径によって制約される。この限られた直径は、GRINレンズ22aをファイバ12に十分な精度でアライメントすることが困難なことを意味する。しかしながら、これは、GRINレンズ22bと医療装置内部のファイバ14との間のアライメントに関して解決されるのと同じやり方で解決され、すなわち、制御されたスプライシングマシンにてそれらを繋ぎ合わせることによって解決される。このスプライシングは、角度と位置の双方において安定した正確なアライメントを保証する。
【0106】
例えば
図3及び
図9に示した実施形態のガラス板23又はメンブレン層といった、無菌バリアを提供する追加の光学素子は、数多くの光学特性を満足する。第一に、それは、その小さな厚さ(典型的に1ミリメートル未満)において十分に透明である材料で作製される。これは、材料の散乱及び吸収の双方が挿入損失を制限するのに十分な低さであること、及び、散乱単独でみて、マルチコア光ファイバの異なるコア間のクロストークを制限するのに十分な低さであることを意味する。さらに、それは好ましくは、やはり反射を参照化するために、ファイバとレンズとの間の屈折率の差と同様に、レンズの屈折率に非常に近い屈折率(典型的に、Δn<3×10
−3)を有する。
【0107】
そして、光学的及び機械的な性質を組み合わせた、無菌バリアの付加的な光学素子の、更なる有利な特性が存在する。第1のそのような特性は、ガイドワイヤ及びフェルール(
図9のフェルール16)の研磨角度及びその他の表面不規則性における小さい差を補償するのに非常に有用なものである圧縮性である。典型的な機能例は、ガイドワイヤとフェルールとの間の(ソフトな)圧縮の下で変形するポリマーフォイルによって与えられ、それにより、無菌フォイルがそれら双方と完全且つ完璧に光学接触する。第2の特性は、マルチコアファイバの全てのコアの最適なアライメントを得るための例えばガイドワイヤの挿入及びガイドワイヤ若しくはフェルールの回転などの使用中に、(ガイドワイヤ及びフェルールの双方の)レンズ表面の磨耗及び傷付きを防止するのを助けることである。好ましくは、無菌フォイルの変形は、医療手順において十分な回数の再接続が信頼性高く為され得るように、塑性的な性質のものではなくて弾性的なものである。1つの手順から次の手順へ、新しい無菌フォイルが挿入されなければならず、フォイルへの機械的損傷は、交換まで制限されるべきである。
【0108】
医療用光コネクタ10a−cは、2つの光コネクタフェルールをまとめるために使用される“より大きいコネクタ”として理解されることができる。このような“より大きいコネクタ”は、2つの光ファイバ12、14間の光接続に加えて、とりわけ、1つ以上のコンポーネントのアライメント、無菌性、洗浄、装填を支援するための、追加の機能を含む。
【0109】
図面及び以上の記載にて本発明を詳細に図示して説明したが、これらの図示及び説明は、限定的なものではなく、例示的あるいは典型的なものと見なされるべきであり、本発明は開示した実施形態に限定されるものではない。図面、明細書及び特許請求の範囲の学習から、請求項に記載の発明を実施しようとする当業者によって、開示した実施形態へのその他の変形が理解・達成され得る。
【0110】
請求項において、用語“有する”はその他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”若しくは“an”は複数であることを排除するものではない。単一の要素又はその他のユニットが、請求項に記載された複数のアイテムの機能を果たしてもよい。特定の複数の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組合せが有利に使用され得ない、ということを指し示すものではない。
【0111】
請求項中の参照符号は、範囲を限定するものとして解されるべきでない。