特許第6859273号(P6859273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴェーバー シュラウブアウトマーテン ゲーエムベーハーの特許一覧

特許6859273取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法
<>
  • 特許6859273-取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法 図000002
  • 特許6859273-取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法 図000003
  • 特許6859273-取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法 図000004
  • 特許6859273-取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法 図000005
  • 特許6859273-取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法 図000006
  • 特許6859273-取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859273
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】取付要素を取り付けるための手動案内装置及び手動案内装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   B23K20/12 A
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-566672(P2017-566672)
(86)(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公表番号】特表2018-520881(P2018-520881A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2016064289
(87)【国際公開番号】WO2016207150
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月19日
(31)【優先権主張番号】102015110081.9
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516317115
【氏名又は名称】ヴェーバー シュラウブアウトマーテン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ツォール,ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエトフ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,ヨッヘン
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−102390(JP,A)
【文献】 独国実用新案第29614419(DE,U1)
【文献】 特開2002−059306(JP,A)
【文献】 特開平03−032579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
B29C 65/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポーネントに取付要素(12)を取り付けるための手動案内装置(10)であって、
前記手動案内装置(10)を把持するためのハンドル(14)と、
ハンドル(14)に対して移動可能であり、回転可能に支持された駆動シャフト(46)を支持するキャリッジ(34)と、を有し、駆動シャフト(46)の一端には取付要素(12)のマウントが形成されており、
さらに、ハンドル(14)とキャリッジ(34)との間に接続され、ハンドル(14)とキャリッジ(34)との相対的な移動によって蓄積可能である定められた送り力を蓄えるように機能するフォースアキュムレータと、
フォースアキュムレータ(44)に蓄えられる送り力を制限するフォースリミッタ(64)と、を有し、
フォースアキュムレータ(44)は、キャリッジ(34)を介して蓄えられた送り力を取付要素(12)に作用させるように構成されていることを特徴とする手動案内装置。
【請求項2】
フォースリミッタ(64)は、2つの対応する力制限アバットメント(66,68)によって構成され、第1の力制限アバットメント(66)が支持部(58)に設けられており、第2の力制限アバットメント(68)がハンドル(14)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の手動案内装置。
【請求項3】
第1の力制限アバットメント(66)及び/または第2の力制限アバットメント(68)は、軸方向で調節可能であることを特徴とする請求項2に記載の手動案内装置。
【請求項4】
駆動シャフト(46)を駆動する電気モータ(48)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の手動案内装置。
【請求項5】
支持部(58)に対するキャリッジ(34)の送り動作を制限するために、支持部(58)が第1の端部アバットメント(80)を含み、キャリッジ(34)が第2の端部アバットメント(82)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の手動案内装置。
【請求項6】
キャリッジ(34)の端部位置を検出するように、第1の端部アバットメント(80)と第2の端部アバットメント(82)との接触を検出する検出手段(86)を有することを特徴とする請求項に記載の手動案内装置。
【請求項7】
検出手段(86)は、端部位置の検出時に、駆動シャフト(46)に駆動可能に連結された電気モータ(48)の電源を切るように、電気モータ(48)に接続されたスイッチ(88)を含むことを特徴とする請求項6に記載の手動案内装置。
【請求項8】
取付工程の終了を示す信号をユーザに送信する信号装置(90)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の手動案内装置。
【請求項9】
取付工程の終了後にキャリッジ(34)を初期位置に移動させるために、支持部(58)とキャリッジ(34)との間に戻りばね(60,62)が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の手動案内装置。
【請求項10】
キャリッジ(34)とハンドル(14)とを直線状に移動可能に案内する2つのガイドロッド(30,32)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の手動案内装置。
【請求項11】
フォースリミッタ(64)の作動を検出するように、支持部(58)に設けられた第1の力制限アバットメント(66)とハンドル(14)に設けられた第2の力制限アバットメントとの接触を検出する検出手段(104)を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の手動案内装置。
【請求項12】
検出手段(104)は、フォースリミッタ(64)の作動の検出時に、駆動シャフト(46)に駆動可能に連結された電気モータ(48)の電源を投入するように、電気モータ(48)に接続されたスイッチ(106)を含むことを特徴とする請求項11に記載の手動案内装置。
【請求項13】
取付要素(12)のマウントを囲む作業領域を照明するように、キャリッジ(34)に設けられたLED等のランプ(108)を有することを特徴とする請求項1〜12に記載の手動案内装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の装置(10)によってコンポーネントに取付要素(12)を手動で取り付ける取付方法であって、
取付要素(12)を駆動シャフト(46)に取り付け、
キャリッジ(34)に対するハンドル(14)の移動によって、フォースリミッタ(64)が作動するまでフォースアキュムレータ(44)にエネルギーを蓄積し、
駆動シャフト(46)を回転させるとともにフォースアキュムレータ(44)の力によってキャリッジを送りながら、取付要素(12)をコンポーネントに挿入するステップをそれぞれ含むことを特徴とする取付方法。
【請求項15】
フォースアキュムレータ(44)におけるエネルギーの蓄積は、ハンドル(14)と支持部(58)との間で作用する力制限アバットメント(66,68)によって制限されることを特徴とする請求項14に記載の取付方法。
【請求項16】
フォースリミッタ(64)の作動時には、駆動シャフト(46)を駆動する電気モータ(48)の電源投入を生じさせるスイッチ(106)が作動することを特徴とする請求項14または15に記載の取付方法。
【請求項17】
キャリッジ(32)が端部位置に到達したときに、駆動シャフト(46)を駆動する電気モータ(48)の電源を切るようにスイッチ(88)が作動することを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の取付方法。
【請求項18】
取付要素(12)が回転しなくなった時点から測定される、10秒より少ない冷却段階の後、信号装置(90)が、取付工程が終了したことを知らせる信号を送信することを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の取付方法。
【請求項19】
駆動シャフト(46)を駆動する電気モータ(48)は、電源が切られた後に能動的に制動されることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付要素とコンポーネントとの間に摩擦溶接のための結合部を形成しつつ、取付要素をコンポーネントに取り付けるための手動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
取付要素を取り付けるための完全に自動化された据置型の装置は、従来技術で周知であり、典型的にロボットアームに取り付けられ、コンピュータによって完全に自動制御される。このような装置は、回転式の送りユニットを有し、この送りユニットにより、取付要素が回転軸を中心に回転し、回転軸方向に作用する送る力が取付要素に同時に加わる。このような完全に自動化された装置の購入が工場等で高価すぎる場合や保守作業中等に据付型の装置が停止している場合に、少なくとも一次的に手動で取付要素の取り付けを行う必要がある。原則的に、市販のボール盤をこの目的で使用することができ、取付要素に必要な回転はボール盤によって生じ、送る力は個々のユーザの筋力によって生じる。
【0003】
しかし、この場合には、与えられる送る力はユーザによって決まるので、市販のボール盤によって最終的には異なる品質の処理結果を生じさせる送る力、つまり複数の取付工程にわたって一定である取付要素の再現可能な送りを確実に得ることは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基本的な目的は、手動で実行できる再現可能な品質の取付工程を可能にする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1の特徴を有する装置によって達成され、特に、装置は、ハンドルとキャリッジとの間に接続されるフォースアキュムレータであって、ハンドルとキャリッジとの間の相対的な移動によって蓄積される定められた送る力(feed force)を蓄えるように機能するフォースアキュムレータを備え、さらに、フォースアキュムレータに蓄えられる送る力を制限するフォースリミッタを備え、フォースアキュムレータは、蓄えられた送る力をキャリッジを介して取付要素に作用させるように構成されている。
【0006】
本発明の基本的な概念は、ユーザによって与えられる力と取付要素に作用する送る力とを切り離すこと、すなわちユーザの力を送る力として直接使用せずに、代わりにフォースアキュムレータにエネルギーを蓄積するために使用し、最終的にフォースアキュムレータによって取付要素に送る力を与えることである。この点に関して、フォースアキュムレータのエネルギー蓄積は制限されており、ユーザがフォースアキュムレータに完全にエネルギーを蓄積する最低限の力を加えたことを必要条件として、フォースアキュムレータからキャリッジにそしてキャリッジに連結された取付要素に常に再現可能な送る力が与えられる。最終的に、ユーザによって与えられる力から実質的に独立して、再現可能な送る力による前進を生じさせることができ、これによりいつまでも良好で特に再現性のある取付結果が確実に得られる。
【0007】
本発明の有利な実施例は、従属項、明細書及び図面に示されている。
【0008】
ハンドルは、好ましくは、2つの細長い把持要素を含み、これらの把持要素は、互いに平行に及び/または取付要素を装填可能な駆動シャフトの回転軸から同じ離間距離に配置されている。これは、装置に結果として生じるトルクを与えずに、要求される軸方向の力を両方のアームによって加えることができるという利点がある。
【0009】
フォースアキュムレータは、圧縮ばね等のばねを含むか、ばねとして構成することができる。しかし、例えば、油圧式、空気式、電池などの電気式及び/または電気機械式の他の全ての種類のフォースアキュムレータやエネルギ装置も考えられる。
【0010】
フォースリミッタは、特に簡単に製造できる安価な実施例では、2つの対応する力制限アバットメントによって構成される。この点に関して、第1の力制限アバットメントは支持部に設けることができ、第2の力制限アバットメントはハンドルに設けることができる。代わりに、コンポーネント自体が第1の力制限アバットメントを構成してもよい。
【0011】
フォースアキュムレータによってキャリッジに与えられる力を設定するために、第1の力制限アバットメント及び/または第2の力制限アバットメントは軸方向、すなわち回転軸の方向で調節可能であってもよい。
【0012】
有利な実施例では、装置は、駆動シャフトを駆動するモータ、特に電気モータを含む。モータは、好ましくはキャリッジに設けられる。信頼性のある摩擦溶接工程を実施することができるように、モータは駆動シャフトを4000rpmより速い回転速度で駆動できるように構成されることが好ましい。モータを比較的早く停止して溶融材料を理想的に凝固させるために、モータに能動的なブレーキ機能を備えることができる。
【0013】
モータは一般に手動で起動可能である。しかし、取付工程の信頼性および再現性を高めるために、好ましくはフォースリミッタの作動を検出する第1の検出手段、特に支持部に設けられた第1の力制限アバットメントとハンドルに設けられた第2の力制限アバットメントとの接触を検出する検出手段が設けられる。換言すれば、第1の検出手段は、実際の取付工程を自動的に開始するためにフォースアキュムレータに最大にエネルギーが蓄積された時点を認識する。この目的のために、第1の検出手段は、フォースリミッタの作動の検出時にモータの電源を投入するために、駆動シャフトに駆動可能に連結されたモータ、特に電気モータに接続された第1のスイッチを有しうる。
【0014】
さらに、支持部に対するキャリッジの送り動作を制限するために、支持部が第1の端部アバットメントを含み、キャリッジが第2の端部アバットメントを含むことが有利である。コンポーネント自体が、第1の端部アバットメントを構成してもよい。
【0015】
第2の検出手段が、キャリッジまたは取付要素の端部位置を検出するために設けられることが好ましい。第2の検出手段は、例えば、第1の端部アバットメントと第2の端部アバットメントとの接触を検出することができる。第1の端部アバットメントと第2の端部アバットメントとは、好ましくは取付要素が所望の挿入深さに到達したときに互いに衝突するように配置される。
【0016】
第2の検出手段は、端部位置の検出時にモータの電源を切るために駆動シャフトに駆動可能に連結されたモータ、特に電気モータに接続された第2のスイッチを含むことが好ましい。
【0017】
装置は、取付工程の終了を示す信号をユーザに提供するために、信号を送信する信号装置を有し得る。この信号は、好ましくはモータの電源が切れてモータが停止した数秒後、理想的には摩擦溶接工程によって加熱されたコンポーネントの材料が十分に冷却された時点から数秒後に表示される。
【0018】
信号は、単一モードの信号、すなわち人の単一の感覚を扱う信号、あるいは多モードの信号、すなわち人の複数の感覚を扱う信号とすることができる。信号は、特にランプ等からの視覚信号、音等の音響信号及び/または振動等の触覚信号であってもよい。
【0019】
取付工程の終了後にキャリッジを初期位置に戻すために、支持部とキャリッジとの間に戻りばねを設けることができる。これにより、キャリッジは、いわば、戻りばねとフォースアキュムレータとの間に浮動するように支持される。戻りばねのばね定数は、好ましくはフォースアキュムレータのばね定数よりも低い。
【0020】
装置は、さらに、少なくとも1つのリニアガイドを含み、このリニアガイドによってキャリッジとハンドルとが直線的に移動可能に案内される。装置は、互いに平行に延在する2つのガイドロッドを備えることが有利であり、これらのガイドロッドによってキャリッジとハンドルとがそれぞれ直線状に移動可能に案内される。
【0021】
特にキャリッジに設けられたランプ、例えばLEDが、取付工程を容易にするために設けられていることが好ましく、取付要素のマウントを囲む作業領域を照明する。
【0022】
装置は、第1のプラスチック材料の取付要素を第2のプラスチック材料のコンポーネントに取り付けるために特に適している。ここで、第1のプラスチック材料の融点は、第2のプラスチック材料の融点よりも高いことが好ましい。
【0023】
本発明は、さらに、上述の装置によって取付要素をコンポーネントに取り付ける手動の取付方法または手動で案内される取付方法に関し、この方法は以下のステップを含む。
・駆動シャフトに取付要素を取り付ける
・フォースリミッタが作動するまでキャリッジに対してハンドルを移動させることにより、フォースアキュムレータにエネルギーを蓄積する
・駆動シャフトを回転させてフォースアキュムレータによってキャリッジを送りながら、取付要素をコンポーネントに挿入する
この点に関して、送る力は、取付要素の挿入時にフォースアキュムレータのみによって供給され、すなわち、ハンドルからキャリッジに直接伝達されない。従って、本発明に係る方法によって、上述の利点が得られる。
【0024】
上記方法は、フォースアキュムレータのエネルギー蓄積の制限が、少なくとも1つの力制限アバットメントによって引き起こされるように設計されることが好ましく、少なくとも1つの力制限アバットメントは、特にハンドルと支持部との間で作用し、エネルギーの蓄積を制限する状態において互いに接触する2つの作用面を有する。
【0025】
フォースアキュムレータにエネルギーが蓄積され、フォースリミッタが作動するとすぐに、モータ、特に電気モータの電源投入を生じさせ得る第1のスイッチが作動し、これにより、駆動シャフトが駆動されて実際の取付工程が開始される。一般的に、第1のスイッチを手動で作動させることもできる。しかし、取付工程の信頼性および再現性を高めるために第1のスイッチの自動的な作動が好ましい。第1のスイッチは、例えば、支持部に設けられる第1の力制限アバットメントとハンドルに設けられる第2の力制限アバットメントとの接触を検出する第1の検出手段によって起動することができる。
【0026】
キャリッジが端部位置に到達したときに、第2のスイッチの自動的な作動により駆動シャフトを駆動するモータの電源が切られる。ここで、キャリッジの端部位置は、コンポーネント内の取付要素の端部位置に対応することが有利である。
【0027】
続いて、コンポーネント及び取付要素の10秒より短い、特に1〜3秒の冷却段階の後で、取付工程が終了したことを知らせる単一モードあるいは多モードの信号を信号装置が送信することができる。冷却段階は、取付要素とモータが回転しなくなった時点から測定される。
【0028】
モータの停止にかかる時間を短縮することで取付工程の全時間を短縮するために、モータの電源を切った後でモータを能動的に制動することができる。
【0029】
上記方法は、さらに、第1のプラスチック材料の取付要素を第2のプラスチック材料のコンポーネントに取り付けるのに特に適しており、第1のプラスチック材料の融点は、好ましくは第2のプラスチック材料の融点よりも高いことが望ましい。
【0030】
以下で、純粋に例示的な実施例を使用し、以下に簡単に説明する添付図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の装置の第1の実施例に係る第1の透視図である。
図2図1の装置の第2の透視図である。
図3図1の装置の第3の透視図である。
図4図1の装置の平面図である。
図5】本発明の装置の第2の実施例に係る第1の透視図である。
図6図5の装置の第2の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1図4図5図6は、図示省略のコンポーネントに取付要素12を手動で案内して取り付ける装置10をそれぞれ示している。
【0033】
図1図4に示されている装置10(第1の実施例)は、2つの細長い把持要素16,18を有するハンドル14を備え、把持要素16,18は、端部で連結片20,22によって互いに連結されている。連結片20,22は、メタルシートの形態で設計されており、ねじ24によって把持要素16,18に取外し可能に連結されている。把持要素16,18は、把持要素16,18とメタルシート20,22が矩形を成すようにメタルシート20,22に対して実質的に直角に延在する。第1の軸受26,28がメタルシート20,22に設けられており、第1の軸受26,28の内部には2つの案内ロッド30,32が互いに平行でかつ移動可能に支持されている。
【0034】
ハンドル14は、装置10を持ち上げてコンポーネントに対して押し付けるために、図示省略のユーザにより把持要素16,18において両手で把持することができる。特に図4に示すように、把持要素16,18は、直径が人間工学的に手に適合されており、ユーザが人差し指と親指を載せる対応する領域がテーパ状になっている。
【0035】
装置10は、さらに、同様に第2の軸受35,37によってガイドロッド30,32に移動可能に支持されたキャリッジ34を備える。各々のガイドロッド30,32の周りには、第1の軸受26,28と第2の軸受35,37との間に対応する圧縮ばね36,38が設けられている。各々の圧縮ばね36,38は、第1の軸受26における第1の力伝達面40(図3参照)とキャリッジ34における第2の力伝達面42(図1参照)との間に接続されている。第1の力伝達面40と第2の力伝達面42とは、ガイドロッド30,32の主軸Hに対して実質的に直角に延び、かつ互いに平行に対向して配置されている。圧縮ばね36,38は、フォースアキュムレータとして機能し、ユーザがハンドル14に加える力をキャリッジ34に伝達するように構成される。
【0036】
駆動シャフト46が、キャリッジ34に回転可能に設けられており、駆動シャフト46を駆動する電気モータ48に駆動可能に連結されている。電気モータ48は、駆動シャフト46を少なくとも4000rpmの回転速度で回転させ、ここから0rpmまで能動的に制動可能に設けられている。電気モータ48から遠隔の駆動シャフトの端部には、取付要素12を受け入れるビット56が設けられている。
【0037】
装置10は、さらに、環状部の形態に形状付けられた接触面59を有する支持部58を備え、装置10は接触面59を介して図示省略のコンポーネントに配置可能である。図3に示されているように、接触面59は、接触面59によって定められる接触平面Eと駆動シャフト46の回転軸Dとの交点を中心に180°より大きい角度にわたって環状部の形態で延びている。支持部58は、ガイドロッド30,32の両方に連結されており、これにより2つのガイドロッド30,32の間の連結部を形成する。支持部58とキャリッジ34との間に接続された戻りばね60,62が、支持部58から遠隔の初期位置にキャリッジ34を保持するように機能する。戻りばね60,62のばね定数は、圧縮ばね36,38よりも小さく選択され、支持部58の方向へのハンドル14の移動によって戻りばね60,62が最初に圧縮されてから圧縮ばね36,38が圧縮されるようになっている。
【0038】
フォースリミッタ64が、ハンドル14と支持部58との間に設けられ、第1の力制限アバットメント66と第2の力制限アバットメント68の形態で構成されている。力制限アバットメント66,68は、ガイドロッド30,32によって支持部58の方向に案内されたハンドル14の移動時に前方面が互いに接触するように互いに対して設けられている。第1の力制限アバットメント66は、図2に示されるように、支持部58の雌ねじ72と対応する細目ねじの形態の雄ねじ70を有する。加えて、図3に示されているように、第2の力制限アバットメント68は、ハンドル14と関連する部品の雌ねじと対応する細目ねじの形態の雄ねじ74を有する。これにより、第1の力制限アバットメント66と第2の力制限アバットメント68とを、単純な方法で互いに対して軸方向で調節することができる。
【0039】
第1の端部アバットメント80と第2の端部アバットメント82とを有する送り制限装置78(図3参照)が、支持部58とキャリッジ34との間に設けられている。図2に示されているように、第1の端部アバットメント80は、細目ねじ84によって支持部58に軸方向に調節可能に取り付けられている。
【0040】
キャリッジ34は、第1の端部アバットメント80と第2の端部アバットメント82との間の接触を検出し、スイッチ88に電気モータ84の電源を切る信号を送信するように設けられた検出手段86を有する。取付工程の終了を知らせるランプの形態の信号装置90が、ハンドル14(図2参照)に設けられている。
【0041】
取付方向Sとは反対向きにガイドロッド30,32を引っ張ることを防止するために、リング形状のストッパ96,98が、接触面59から遠隔の領域で各々のガイドロッド30,32の周りに設けられている。
【0042】
上述の装置10を用いてコンポーネントに取付要素を取り付ける工程の実施方法を以下に説明する。
【0043】
最初に、取付要素12を装置10に装填する。ここで、取付要素12は、駆動シャフト46が静止した状態で正面においてビットに配置されるように、駆動シャフト46と関連するビット56に取り付けられる。
【0044】
続いて、装置10は、接触面59が平面的にコンポーネントと接触するように、所望の点において接触面59によってコンポーネントの範囲にわたって押し付けられる。戻りばね60,62が、最初にガイドロッド30,32に沿ったバンドル14の取付方向Sへの動きによって取付要素12がコンポーネントに隣接するまで圧縮される。次に、コンポーネントの方向へのハンドル14のさらなる移動によって、ハンドル14とキャリッジ34との間の相対的な移動が生じ、これにより、圧縮ばね36,38が圧縮されてフォースアキュムレータ44にエネルギーが蓄積(load)される。第1の力制限アバットメント66と第2の力制限アバットメント68とが衝突して、ハンドル14とキャリッジ34との間の支持部58の方向へのさらなる相対的な移動が防止されることにより、フォースアキュムレータ44のエネルギー蓄積は制限される。取付工程のこの時点において、ユーザは間接的に、すなわちハンドル14とフォースアキュムレータ44を介してキャリッジを押し、最大の力はフォースリミッタ64によって制限される。次に、キャリッジ34が、内部に蓄えられた最大の力で取付要素12をコンポーネントに対して押し付ける。このとき電気モータ48が起動されると、取付要素12は、ユーザが力制限アバットメント66,68が互いに接触するだけの力をハンドルに与え続ける間、フォースアキュムレータ44の作用を受けるキャリッジ34によって前方に送られ、コンポーネントの材料の溶融に必要な回転速度に到達した後でコンポーネントを貫通する。
【0045】
取付要素12の前方への送りは、第1の端部アバットメント80と第2の端部アバットメントとが互いに衝突する時点まで続く。端部アバットメント80,82が正しく設置されていれば、この時点でコンポーネント内の取付要素12の端部位置に到達する。これは、検出手段86によって検出され、検出後すぐに電気モータ48の電源がスイッチ88により切られる。取付工程を短縮して凝固工程を最適化するために、電気モータ48は電源が切られてから約4000rpmから0rpmまで能動的に制動される。取付工程が終了したことが信号装置90から通知される前に、電気モータが0rpmに到達した時点から測定される約1〜3秒の冷却段階において、摩擦溶接工程で加熱された材料は冷却されて凝固し、コンポーネントに取り付けられた取付要素12から装置10を取外すことができる。
【0046】
電気モータ48の電源投入時点は、ユーザが予め定めることができる。できる限り短い工程所要時間が望ましい場合には、取付要素12を駆動シャフト46に取り付けた直後に電気モータ48の電源を投入することができる。しかし、できる限り再現性が高い工程が望ましい場合には、エネルギーが蓄積されたフォースアキュムレータ44に蓄えられた最大の力で取付要素12がコンポーネントに押し付けられるまで電気モータ48の電源投入を遅延することができる。
【0047】
取付工程が終了して装置10がコンポーネントから取り外されると、キャリッジ34は戻りばねによって初期位置に押し戻される。フォースアキュムレータ44の圧縮ばね36,38は、同様にハンドル14を初期位置に押し戻す。
【0048】
図5図6(第2の実施例)に示す装置10は、図1図4に示す第1の実施例に大部分対応し、違いは、フォースリミッタ64の第2の力制限アバットメント68が支持部58に面する硬いシートメタル片100の端部に設けられており、硬いシートメタル片の他方の端部が、具体的にはキャリッジ34の第1のベアリング26,28に取り付けられた中間メタルシート102を介して、ハンドル14に固定されていることである。第2の力制限アバットメント68は、第1および第2の力制限アバットメント66,68の間の接触を検出するように、すなわち最終的にはフォースリミッタ64の作動を検出して電気モータ48の電源を自動的に投入する信号をスイッチ106に送信するように設けられた検出手段104を有する。
【0049】
第1の実施例との他の違いは、取付工程の終了を知らせる信号装置90が、第2の実施例ではハンドル14に設けられておらず、代わりに支持部58に面するキャリッジ34の面に、例えば緑のライトコーン等のライトコーンを取付要素の取付部を囲む作業領域で発光させるLEDの形態で設けられていることである。
【0050】
加えて、取付工程中に取付要素のマウントを囲む作業領域を照明するように、例えばLEDの形態のランプ108を支持部58に面するキャリッジ34の面に設けることができる。
【符号の説明】
【0051】
10…装置
12…取付要素
14…ハンドル
16,18…把持要素
20,22…連結片
24…ねじ
26,28…軸受
30,32…ガイドロッド
34…キャリッジ
35,37…軸受
36,38…圧縮ばね
40,42…力伝達面
44…フォースアキュムレータ
46…駆動シャフト
48…電気モータ
56…ビット
58…支持部
59…接触面
60,62…戻りばね
64…フォースリミッタ
66,68…力制限アバットメント
70,74…雄ねじ
72,76…雌ねじ
77…部品
78…送り制限装置
80,82…端部アバットメント
84…細目ねじ
86…検出手段
88…スイッチ
90…信号装置
96,98…ストッパ
100…シートメタル片
102…中間メタルシート
104…検出手段
106…スイッチ
108…ランプ
H…主軸
E…接触平面
D…回転軸
S…取付方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6