特許第6859337号(P6859337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6859337三次元成型品の改良又は三次元成型品に関連した改良
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859337
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】三次元成型品の改良又は三次元成型品に関連した改良
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20210405BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20210405BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20210405BHJP
   B29C 70/40 20060101ALI20210405BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20210405BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20210405BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20210405BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20210405BHJP
   C08K 3/40 20060101ALI20210405BHJP
   C08L 77/10 20060101ALI20210405BHJP
   B29K 101/10 20060101ALN20210405BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20210405BHJP
【FI】
   C08J5/04CFC
   B29C43/34
   B29C70/06
   B29C70/40
   C08L63/00 Z
   C08L67/00
   C08L75/04
   C08K3/04
   C08K3/40
   C08L77/10
   B29K101:10
   B29K105:08
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-518782(P2018-518782)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-521205(P2018-521205A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2016064601
(87)【国際公開番号】WO2016207309
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月20日
(31)【優先権主張番号】15173467.0
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517449925
【氏名又は名称】ヘクセル ランフォルセマン エスアエスウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュクロ、マイユール
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−156934(JP,A)
【文献】 特表2013−540608(JP,A)
【文献】 特開昭61−043542(JP,A)
【文献】 特開昭62−045629(JP,A)
【文献】 特開2012−026433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/04
B29C 43/34
B29C 70/06
B29C 70/40
C08K 3/04
C08K 3/40
C08L 63/00
C08L 67/00
C08L 75/04
C08L 77/10
B29K 101/10
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元のブランクから三次元成型品を製造するための方法であって、
少なくとも2つのブランクの積層体を提供するステップであって、各ブランクは、強化用繊維材料と液状又は粒状のエポキシ樹脂材料とを含む疑似等方性の細断された成型コンパウンドを、細断された一方向テープのチップがランダムに配向した形態で含む、前記提供するステップと、
成形及び圧縮時に突起が形成されるべき箇所の最上部又は最下部のブランクの少なくとも一部を除去して、前記ブランクの表面にスリット又は切れ目の形態の凹部を形成し、圧縮成型の間に前記表面の前記成型コンパウンドの流れを圧縮成型用金型のキャビティ内に向ける、除去するステップと、
除去された部分がガイドとして機能する条件で前記3次元成形品を圧縮成型するように設計された金型内で前記ブランクの積層体を成型し、それにより、前記成形コンパウンドは、最上層又は最下層内の除去された領域及び三次元構造を画定する前記金型の領域に流入して、前記3次元成形品を製造するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記キャビティは1つ以上の凹部を有し、該凹部に前記成型コンパウンドが前記ガイドによって導かれる、請求項1に記載された方法
【請求項3】
前記強化用繊維材料は、ガラス繊維、炭素繊維、又はアラミドである、請求項1または請求項に記載された方法。
【請求項4】
チップは、35〜50重量%の樹脂を含有する、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された方法。
【請求項5】
前記圧縮成型は、等温条件で成型するステップを含む段階的プロセスを含む、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された方法。
【請求項6】
前記圧縮成型は、5100kPa〜13800kPaの範囲の圧力、80℃〜205℃の範囲の温度で、2〜45分間成型するステップを含む、請求項から請求項までのいずれか1項に記載された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元成型品の改良又は三次元成型品に関連する改良、及びそれらの製造に関するものである。特に、本発明は、二次元ブランクから三次元成型品を製造することに関する。ブランクという用語は、成型される金型に供給される二次元の成型可能な材料であって、通常は未硬化又は部分的に硬化された硬化性樹脂のマトリックス内に繊維材料が含まれる材料を記述するために使用される。樹脂は、当初は、粒状形態(例えば、粉末形態)で存在して、硬化前に溶融されて流動して繊維材料を包むことができる、すなわちマトリックスは液体状樹脂とすることができる。特に、ブランクは、成型コンパウンド(例えば、硬化性繊維強化マトリックス)で作られている。
【背景技術】
【0002】
成型コンパウンドは、成型品の製造に使用され、圧縮成型金型内で層状に敷設することができ、加熱および圧縮されると、これによって樹脂は流動して繊維強化材を包み込む。樹脂が硬化されて、型から取り出して冷却されると、強力な均質な成型物が得られる。この技術は、平面的であるか、又は穏やかな起伏のある輪郭を有する二次元成型品に対しては満足に機能する。しかしながら、(例えば、自動車、航空機、風力エネルギー、建築及びスポーツ用品産業において使用される)成型コンパウンドから製造される部品にしばしば必要とされる、鋭い突起(例えば、リブ及び補強材(特に、表面から垂直に延びるリブ及び補強材))を有する成型品を製造するために二次元ブランクを首尾よく成型することは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
突起(例えば、リブ)の位置に成型コンパウンドからなる追加のストリップ(細長い一片)又はピース(一片)を設けることが現在の慣行である。この技術は、追加の製造工程を必要とし、従って時間を要する。また、スクラップ材料が生じることになる。更に、成型品の表面(特に、突起の表面)に欠陥が生じる可能性がある。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するか、又は少なくとも軽減すること、及び/又は広い意味で改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、添付の請求項のいずれか1項に規定されるブランク、方法、成型品及び部品が提供される。
【0006】
従って、本発明によれば、圧縮成型金型内で部品を圧縮成型するためのブランクであって、強化用繊維材料と樹脂材料とを含む成型コンパウンドを含み、成型コンパウンドは、圧縮成型中に圧縮成型用金型のキャビティ内に成型コンパウンドの流れを導くための、ブランクの表面に配置されたフローガイドを含むブランクが提供される。
【0007】
更なる一実施形態では、本発明は、強化用繊維材料と樹脂材料とを含む成型コンパウンドを含むブランクを提供するステップであって、成型コンパウンドは、ブランクの表面に配置されたガイドを含むステップと、成型用金型内にブランクを提供し、圧縮下でブランクを成型し、これによってガイドは、圧縮成型用金型の金型キャビティ内に成型コンパウンドの流れを導くステップとを含む、成型品を製造するための方法を提供する。
【0008】
従って、本発明は、硬化性材料の二次元ブランクから三次元成型品を製造するためのより簡単なプロセスを提供する。また、本発明で製造される成型品は、三次元構造の一部である突起を含む表面が、それらが突出する成型品の平面と連続しているので、改善された表面仕上げを有することができる。
【0009】
従って、更なる一実施形態では、本発明は、少なくとも2つのブランクの積層体から形成された三次元成型品であって、三次元成型品は、平坦領域と、そこから突出する突起部とを有する表面を含み、この表面は、硬化プリプレグの連続層を含む三次元成型品を提供する。
【0010】
本発明では、金型キャビティは、成型材料の圧縮成型に利用可能な金型内の空間である。キャビティは、複雑な三次元形状を有していてもよい。凹部という用語は、隆起(例えば、成型品上のリブ)を形成するために成型プロセス中に成型コンパウンドが内部へ流れることができる金型壁内の空間を記述するために使用される。
【0011】
本発明は、自動車、航空宇宙、建築、風力エネルギー及びスポーツ用品産業において有用な部品に要求されるような、直立した(典型的には、垂直の)補強部又は強化部(例えば、リブ又は他の補強材)を備えた成型品の製造に特に有用である。本発明は、任意のサイズ及び形状の成型品に適用可能である。
【0012】
本発明は、成型コンパウンドの樹脂マトリックスを流動および硬化させるために高温高圧下で成型することができる任意の成型コンパウンドからの三次元成型品の製造に適用可能である。樹脂マトリックスは、任意の硬化性樹脂(例えば、ポリエステル、ポリウレタン又はエポキシ樹脂)とすることができ、成型中に溶融して繊維の周りを流れる粒状材料(例えば、粉末)とすることができる。あるいはまた、樹脂は液状であってもよく、液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0013】
強化用繊維材料は、伝統的に使用されている補強繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド)のいずれであってもよい。炭素繊維が好ましく、炭素繊維は短いランダムに配向した繊維を含むことが好ましい。本発明で使用するのに好ましい成型コンパウンドは、ランダムに配向した短繊維を含有する液状又は粒状のエポキシ樹脂マトリックス(例えば、Hexcelから入手可能なHex MC材料)を含む。
【0014】
本発明で使用するのに好ましい成型コンパウンドは、「準等方性細断成型コンパウンド」と呼ばれることがあり、これは、米国特許出願公開第2012/0223183号に記載されているように、細断された一方向性テープのランダムに配向した「チップ」からなる塊(マット)として提供される成型コンパウンドを意味する。チップのサイズは、製造される特定の部品に応じて変化させることができる。典型的には、チップは、およそ幅0.8cm、長さ5cm、厚さ0.015cmである。このチップは、炭素、ガラス、アラミド、ポリエチレン、又は硬化性樹脂の補強に一般的に使用される繊維タイプのいずれかとすることができる一方向性繊維を含む。炭素繊維が好ましい。チップは、マット内でランダムに配向されており、それらは比較的平坦に置かれている。これは、マットにその横方向の等方性を提供する。
【0015】
チップはまた、エポキシ、フェノール、ビスマレイミド及びシアネートを含む、硬化性成型コンパウンドに一般的に使用される樹脂のいずれかとすることができる樹脂マトリックスも含む。エポキシ樹脂が好ましい。チップの樹脂含有量はまた、製造される部品の構造的要件又は他の要件に応じて変化させることができる。35〜50重量%の樹脂含有量を有するチップが好ましい。
【0016】
準等方性細断成型コンパウンドは、所望の幅の一方向プリプレグテープから製造することができる。テープは、所望の長さのチップに細断され、チップは平らに置かれて、共にプレスされ、ランダムに配向したチップのマットを形成する。チップは、成型コンパウンド樹脂の存在により共に接合する。好ましい材料は、市販の準等方性細断成型コンパウンド(例えば、HexMC(登録商標)の商品名でHexcel Corporationから入手可能な準等方性細断成型コンパウンド)である。HexPly(登録商標)の商品名で入手可能な一方向テープから製造される様々なHexMC(登録商標)準等方性細断成型コンパウンドが利用可能である。類似の材料は、米国特許出願公開第2014/0377556号に記載されている。
【0017】
成型コンパウンド(例えば、本発明で使用されるブランクに好ましい準等方性細断成型コンパウンド)の少なくとも2つの層を使用することが好ましい。突起が形成される位置に最上層又は最下層を含む成型コンパウンドの少なくとも一部が除去されて、突起を形成するために圧縮成型中に成型コンパウンドを流動させるガイドを提供する。ブランクは、従来のレイアップ(敷設)及びプリフォーム製造技術を用いて成型することができる。一般的に、部品縁部の3.0〜12.3mm(1/8〜1/2インチ)又はそれ以上の内部に収まるように充填が行われる。レイアップは、部品縁部を充填するように流れ、幾何学的構造を生成し、成型コンパウンドの最上層又は最下層の除去された領域内及び金型のキャビティ内に流れて、所望の突起を形成する。
【0018】
好ましい成型コンパウンドを使用する場合、成型プロセスは「低流量」プロセスであることが好ましい。低流量プロセスは、チップの配向の妨害を最小限に抑えて準等方性細断成型コンパウンドを成型すること、従って材料の横方向等方性特性を保つことを含む。これは、成型プロセス中に樹脂及び繊維の流れを、再配向しない、又はさもなければチップ及びそれらの一方向性繊維の整列を過度に妨害しないレベルに保つことによって達成される。
【0019】
完成部品に対して行われた試験は、ストリップ内にまっすぐにされた繊維を維持する低流量処理が、高流量処理よりも優れていることを示した。この性能向上は、成型コンパウンド中にまっすぐにされた繊維の保持によるものと考えられる。高流動成型では、繊維を分離することによってチップを破壊する可能性がある。繊維は曲がって捲縮し、より均質な外観の製品を製造する。しかしながら、曲がって捲縮した繊維は、チップが十分に画定されたままである低流量処理を用いて製造された製品ほど良好に機能しない製品を製造する。
【0020】
成型プロセスは、等温条件で成型することを可能にするステージングプロセスを用いることが好ましい。ランププレスサイクル又はオートクレーブ成型によるステージングされない代替法が利用できる。ステージングは、一般的に、可撓性材料からの準等方性細断プリプレグを剛性のある固体状態に転換する空気に開放した(オープンエアの)焼成プロセスである。160℃〜180℃で8〜20分間のステージングが好ましい。ステージング時間及び温度は、ブランクの厚さ、所望の流量、所望の充填時間量及び最終硬化温度に依存する。一旦ステージングされると、材料は冷却され、後の処理のために冷凍庫に保存することができる。
【0021】
最終硬化時間は、等温硬化温度の関数である。一般的な法則として、厚さの0.152cmの増加ごとに5分の硬化時間が加えられ、0.3cmの部品を硬化させるための最小時間(例えば、205℃で10分)が設定される。低温等温硬化温度は、部品の装填を容易にするために、又はプレスする前に厚い部品の充填温度を均等にするためのより多くの時間を許容するために使用することができる。ステージングが望ましくない場合は、金型内に敷設し、従来のランプ及びドウェル硬化を部品に施すことができる。しかしながら、成型工程中の樹脂の流れを制御するために、ステージングが好ましい。
【0022】
好ましい準等方性細断エポキシ樹脂ベースのブランクを成型するための例示的なプロセス温度は、180℃で10分間ステージングし、続いて205℃で10分間硬化させる。部品は、180℃で2時間、後硬化(ポストキュア)させる。Hexcel製のM21エポキシ樹脂を用いた準等方性細断プリプレグのための例示的な処理温度は、160℃で20分間ステージングし、続いて180℃で45分間硬化を行う。部品はまた、180℃で2時間、後硬化させる。
【0023】
ブランクは、通常、せん断縁部(0.03cm以下)を有する一致した金型を使用して、750〜2000psiの範囲の圧力で成型される。等温成型温度は、80℃〜205℃の範囲であり、硬化時間は、2〜45分の範囲とすることができる。高圧成型は、通常、複雑な形状を有する部品を製造するのに有用である。
【0024】
本発明は、アルミニウム、鋼、チタン及びそれらの合金を用いて伝統的に製造された自動車、航空宇宙車両、風力エネルギー装置及びスポーツ用品のための多種多様な部品の製造に適している。例示的な航空宇宙部品には、航空機窓枠、翼フェアリング支持体、フランジ支持体、フレームガセット、舵アクチュエータブラケット、せん断結合部、座席台、貨物床フランジ支持体、貯蔵ビンフィッティング、アンテナ支持体、トルクチューブパン、ハンドルボックス、側部ガイドフィッティング、翼ボックスカバー及び中間部が含まれる。自動車の部品には、レール、ピラー、パネル、屋根の弓状部などが含まれる。本発明は、補強リブ又は強化リブを部品内に一体成型することを可能にする。準等方性細断成型コンパウンドは、曲げ、リベット締め又はボルト締め接合が関与し、損傷の許容範囲が必要とされる部品を製造するのに好ましい材料である。複合コネクタ内の開放穴部がコネクタの性能応答をほとんど変化させないので、部品をボルト又はリベットと共に接合するための複合コネクタを製造するために準等方性の細断成型コンパウンドを使用することが好ましい。準等方性細断成型コンパウンドを使用して製造された部品に0.6cmの穴が存在することは、部品の強度にごくわずかな影響しか及ぼさないことが分かった。これは、このような穴が部品の故障を引き起こす従来の成型コンパウンドとは異なる。また、準等方性細断成型コンパウンドを用いて製造された部品は、部品が部品の平面内に装填されたときに、装填方向とは無関係の強度を示した。
【0025】
本発明で使用される成型コンパウンドブランクに使用される樹脂はエポキシ樹脂であることが好ましく、高速硬化エポキシ樹脂を使用することが好ましい。エポキシ樹脂の硬化は発熱反応であり、成型材料及び金型自体の両方に損傷を与える可能性のある、金型内の材料の反応暴走及び過熱を避けるために注意が払われなければならない。
【0026】
本発明のような成型コンパウンドのブランクの積層体を硬化させるために使用される硬化サイクルは、樹脂の反応性及びブランク内で用いられる樹脂及び繊維強化材の量を考慮に入れた温度と時間のバランスである。経済的な観点から、サイクルタイムはできるだけ短くすることが望ましく、エポキシ樹脂には通常硬化剤や促進剤が含まれている。樹脂の硬化を開始させるために熱を必要とするだけでなく、硬化反応自体は非常に発熱性であり、これは時間/温度硬化サイクルにおいて、特に、大型で厚いブランクの積層体を硬化させるために考慮する必要がある。これは、大量のエポキシ樹脂を必要とする工業的用途のための成型品の製造ではますます当てはまり、これは次いで、樹脂硬化反応の発熱により積層体内に過度な温度の発生をもたらす可能性がある。過度の温度は、金型に損傷を与える、又は樹脂の分解を引き起こす可能性があるため、避けるべきである。過度の温度はまた、樹脂の硬化に対する制御の喪失を引き起こし、硬化を逃がす可能性がある。
【0027】
過度の温度の発生は、重工業用途のための繊維強化積層体の製造(例えば、風力タービン構造(特に、ブレードが組み立てられる風力タービンの桁(スパー)及びシェル)の製造)においてより一般的になっているように、ブランクの多くの層を含む厚い部分を硬化させる場合にはより大きな問題となる可能性がある。
【0028】
エポキシベースのブランクの厚い積層体(例えば、60層以上)は、数時間にわたって100℃以上の硬化温度を必要とする可能性がある。しかしながら、エポキシ樹脂1グラム当たり150ジュール以上の反応エンタルピーを有することができ、この反応エンタルピーは、樹脂の過熱及び分解を避けるために硬化サイクル中の滞留時間の間、100℃以下にする必要がある。更に、滞留時間の後、樹脂の硬化を完了させるために積層体を更に100℃以上(例えば、125℃以上)に加熱する必要がある。より短い硬化サイクルを用いることが有益であろう。また、発生した高温によって、金型又はバッグ材料に損傷を引き起こす可能性があり、又は、金型又はバッグに対して特別で高価な材料を使用する必要がある可能性がある。
【0029】
多くのブランクに対して別の重要な特性は、硬化前に、それらを容易に取り扱い、輸送し、硬化の準備ができた金型内に敷設することができることである。また、ブランク内又はブランク間に捕捉された空気ポケットの存在を排除又は最小化することは、これらが硬化構造に異常部をもたらす可能性があるため望ましい。ブランクは、それらが容易に取り扱い可能であり、汚れ及び他の不純物を拾わないように、低レベルの粘着性と組み合わせて積層体内にそれらを敷設可能にするのに十分な強度を有することが好ましい。
【0030】
また、一旦硬化されると、エポキシベースの構造は、ガラス転移温度(Tg)を有することができ、それを超えると、成型品は金型から取り外されるのに十分に自立していない。この状況では、金型から取り外すのを可能にする前に金型をTg以下まで冷却することが必要である。従って、樹脂が硬化する場合、所望のレベル(典型的には、少なくとも95%)まで、硬化した直後又は硬化時に、硬化材料が金型から除去されるのに十分に堅くすることを可能にする高いガラス転移温度(Tg)を有するブランクから層状構造を製造することが望ましい。従って、Tgは最高温度又はそれに近い温度であることが好ましい。より反応性の樹脂を使用することによってTgの上昇を達成することができる。しかしながら、樹脂の反応性が高ければ高いほど、硬化剤及び促進剤の存在下での樹脂の硬化の間に放出される熱が大きくなり、これは型から取り出す前に滞留時間及び遅延の必要性を増加させる可能性がある。
【0031】
樹脂は、それらのフェーズ角によって特徴付けることができる。フェーズ角は、樹脂の物理的状態を表すために使用される。フェーズ角は、樹脂が流れない、固体または半固体の場合には低く、フェーズ角は、流動能力が増加するにつれて(例えば、樹脂の温度が上昇した場合)増加する。しかしながら、通常は熱活性化された硬化剤を含むエポキシ樹脂系では、硬化剤の作用によるエポキシ樹脂の架橋作用は、樹脂を硬化させ、高温でフェーズ角を低下させる。従って、フェーズ角を使用して、樹脂の形態及び成型品が金型から容易に取り外すのに十分に固体である温度を決定することができる。従って、本発明で使用される成型条件は、望ましい低いフェーズ角が得られる温度を低下させる、及び/又は望ましい低いフェーズ角に達するのに必要な成型時間を短縮することを求める。20℃未満、好ましくは15°未満、より好ましくは10°未満のフェーズ角に達すると、成型品を成型金型から取り外すことができる。また、フェーズ角は、金型キャビティ内の任意の凹部に入るために、樹脂がガイドによって決定される方向に流れるようなものであるべきである。
【0032】
本発明により製造される成型品のより高いTg及び低いフェーズ角に対する要望は、ブランクの取扱い性に対する要件と、成型サイクルに必要な時間を最小化するための経済的必要性とのバランスが取れていることが好ましい。ブランクの成型サイクルには、次の4つの段階が含まれる。
i)金型内のブランクの供給(敷設)。
ii)突起を生成するように、金型内の凹部内へのガイドによって決定されるような、熱及び圧力下での成型コンパウンドの流れ。
iii)硬化反応。
iv)硬化した製品を型から取り出す。
【0033】
従って、本発明者らは、金型に容易に供給することができ、迅速に流動させることができ、特定の温度で急速に硬化させることができ、硬化した材料を硬化温度の近く又は硬化温度の温度で金型から取り出すことを可能にするブランクを提供するエポキシ樹脂系を使用することが好ましい。
【0034】
150秒以内に95%硬化まで150℃で硬化させることができ、4分以内に95%硬化まで120℃で硬化させることができる硬化剤を含有するエポキシ樹脂配合物を使用して、140℃以下のTgを有する硬化した樹脂を提供することが好ましい。硬化エポキシ樹脂配合物は、好ましくは、140℃未満の温度で20°未満のフェーズ角を有する。好ましくは15°未満、より好ましくは10°未満である。フェーズ角は、1°又は2°又は3°又は4°よりも大きくできる。
【0035】
本出願内において、樹脂配合物の硬化時間は、95%硬化に要する時間として定義される。樹脂のTgは、(試験方法ASTM D7028)に従った差動機械分析に従って測定され、Tgは、貯蔵弾性率の低下の開始点の温度であると考えられる。
【0036】
エポキシ樹脂組成物は、1種以上の尿素系硬化剤を含むことができ、硬化剤のエポキシ樹脂の重量に基づいて4〜10重量%、より好ましくは4〜6重量%、より好ましくは4〜5重量%を使用するのが好ましい。好ましい尿素系材料は、(2,6及び2,4TDIウロンとして知られている)2,6及び2,4トルエンビスジメチル尿素の異性体(例えば、Alzchemの商標名であるDYHARD(登録商標)の商品名で入手可能な材料の範囲)である。組成物は更に、硬化剤(例えば、ジシアンジアミド)を含み、7重量%〜10重量%、より好ましくは8〜10重量%、最も好ましくは8.5〜9.5重量%の硬化剤を使用することが好ましい。急速硬化時間は、硬化剤と促進剤の比率をエポキシ配合物中の利用可能な反応性基の量に一致させることによって達成される。より高いTgは、少なくとも2の官能価を有する樹脂を使用して十分な反応性基を提供することによって得られる。プリプレグの取り扱い性は、同様に、繊維強化材の性質及び量とエポキシ樹脂の性質及び量とによって決定される。
【0037】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、少なくとも2の官能価、150〜1500、好ましくは200〜800、より好ましくは300〜600、最も好ましくは200〜500の平均エポキシ当量(EEW)及び/又はそれらの組み合わせを有することが好ましく、樹脂は、150秒以下で150℃の外部印加温度によって硬化することができ、140℃以下のTgを有する硬化樹脂を提供し、好ましくは140℃以下の温度で20°未満の硬化時フェーズ角を有する。高速硬化及び高Tgは、硬化剤及び硬化材の比を選択してエポキシ樹脂の所望の反応性を得ることによって得られる。平均EEWは、樹脂の平均分子量を1分子当たりのエポキシ基の数で割った値として定義される。
【0038】
典型的には、急速硬化を得るために使用される硬化剤及び硬化材の量は、尿素系硬化剤の4〜10重量%、より好ましくは4〜6重量%である。エポキシ樹脂の重量を基準にして4.25〜4.75重量%の尿素系硬化剤を使用し、6〜10重量%、より好ましくは7〜10重量%の硬化剤(例えば、ジシアンジアミド)を使用すると、特に良好な結果が得られた((特に、4.25〜4.75重量%の尿素系硬化剤と組み合わせて)8.5〜9.5重量%のジシアンジアミドを使用した場合、特に、良好な結果が得られた)。
【0039】
本発明で使用されるブランクは、典型的には、それらが製造される場所とは異なる場所で使用され、従って、それらは取り扱い性を必要とする。従って、それらは乾燥しているか、又はできるだけ乾燥しており、周囲温度で表面粘着性が低いことが好ましい。従って、ブランクの製造に高粘度樹脂を使用することが好ましい。これはまた、繊維層の含浸が遅く、空気を逃げさせ、空隙形成を最小にするという利点を有する。
【0040】
本発明で使用される成型材料の繊維及び樹脂の体積%は、樹脂及び炭素繊維のそれぞれの密度で重量%を除することにより、繊維及び樹脂の重量%から決定することができる。
【0041】
樹脂で含浸されたトウ又は繊維状物質の含浸率は、水摂取試験によって測定される。水摂取試験は以下のようにして実施する。樹脂含浸強化材の6つのストリップを、サイズ100(±1〜2)mm×100(±1〜2)mmに切断する。バッキングシートの材料はすべて取り除かれる。試料は、0.001g(W1)に最も近くになるように計量される。ストリップは、プリプレグストリップの15mmが一端においてPTFE裏地プレートのアセンブリから突出するようにPTFE裏地アルミニウムプレートの間に配置され、それによってストリップの繊維配向が突出部分に沿って延在する。クランプを反対側の端部に配置し、突出部の5mmを温度23℃、相対湿度50%±35%、周囲温度23℃の水に浸漬する。浸漬の5分後、試料を水から取り出し、外部の水を吸取紙で除去する。次いで、試料を再びW2に計量する。その後、WPU(%)=((<W2>−<W1>)/<W1>)×100のように、6つの試料の測定重量を平均化することによって、WPUの水吸収率(%)を算出する。WPU(%)は、樹脂含浸度(DRI)を示す。
【0042】
典型的には、本発明で使用される未硬化ブランクに対する重量樹脂含有量の値は、ブランクの15〜70重量%、ブランクの18〜68重量%、ブランクの20〜65重量%、ブランクの25〜60重量%、ブランクの25〜55重量%、ブランクの25〜50重量%、ブランクの25〜45重量%、ブランクの25〜40重量%、ブランクの25〜35重量%、ブランクの25〜30重量%、ブランクの30〜55重量%、ブランクの35〜50重量%及び/又は前記範囲の組み合わせの範囲内にある。
【0043】
典型的には、本発明で使用される未硬化ブランクに対する体積樹脂含有量の値は、ブランクの15〜70体積%、ブランクの18〜68体積%、ブランクの20〜65体積%、ブランクの25〜60体積%、ブランクの25〜55体積%、ブランクの25〜50体積%、ブランクの25〜45体積%、ブランクの25〜40体積%、ブランクの25〜35体積%、ブランクの25〜30体積%、ブランクの30〜55体積%、ブランクの35〜50体積%及び/又は前記範囲の組み合わせの範囲内にある。
【0044】
本発明で使用される未硬化ブランクの水摂取値は、1〜90%、5〜85%、10〜80%、15〜75%、15〜70%、15〜60%、15〜50%、15〜40%、15〜35%、15〜30%、20〜30%、25〜30%、及び/又は前記範囲の組み合わせの範囲内とすることができる。
【0045】
本発明のブランクにおいてマトリックス樹脂材料として使用されるエポキシ樹脂配合物は、好ましくは、室温(20℃)で3×10Pa〜1×10Paの貯蔵弾性率G’及び2×10Pa〜1×10Paの損失弾性率G”を有する。
【0046】
好ましくは、樹脂材料は、室温(20℃)で1×10Pa〜1×10Pa、より好ましくは、2×10Pa〜4×10Paの貯蔵弾性率G’を有する。好ましくは、樹脂材料は、室温(20℃)で5×10Pa〜1×10Pa、より好ましくは、7×10Pa〜9×10Paの損失弾性率G”を有する。
【0047】
好ましくは、樹脂材料は、室温(20℃)で5×10Pa・s〜1×10Pa・s、より好ましくは、7.5×10Pa・s〜5×10Pa・sの複素粘度を有する。好ましくは、樹脂材料は、室温で1×10Pa・s〜2×10Pa・s、好ましくは、80℃で5〜30Pa・s、より好ましくは、80℃で10〜25Pa・sの複素粘度を有する。好ましくは、樹脂材料はエポキシ樹脂である。
【0048】
粘弾性材料では、応力と歪みは角度デルタだけ位相がずれている。複素粘度を作る個々の寄与は、G’(貯蔵弾性率)=G<*>×cos(デルタ);G”(損失弾性率)=G<*>×sin(デルタ)として定義される。この関係は、国際特許出願公開第2009/118536号の図8に示されている。
【0049】
は、複素弾性率である。G’は、材料の弾性がどの程度であるかに関連し、その剛性を規定する。G”は、材料の粘性がどの程度であるかに関連し、材料のダンピング及び液体の回復不能な流れ応答を規定する。
【0050】
純粋に弾性のある固体(ガラス質又はゴム状)の場合、G”=0であり、フェーズ角デルタは0°であり、純粋に粘性の液体の場合、G−0であり、フェーズ角デルタは90°である。
【0051】
損失弾性率G”は、不可逆的な流れ挙動を示し、高損失弾性率G”を有する材料はまた、初期のクリープ様の流れを防止し、より長い間、空気に開放した経路を維持するのに望ましい。従って、本発明のプリプレグに使用される樹脂は、典型的なレイアップ温度(例えば、室温(21℃))に対応する温度で高い貯蔵弾性率及び高い損失弾性率、及びそれに対応して高い複素弾性率を有する。
【0052】
本明細書において、本発明のブランクに用いられる樹脂の粘弾性(すなわち、貯蔵弾性率、損失弾性率及び複素粘度)は、直径25mmの使い捨てアルミニウム板を備えたBohlin VOR振動レオメーターを使用して、塗布温度(レイアップ温度20℃)で測定した。測定は、以下の設定で行った:制御された周波数1.59Hz及びギャップ500μmで、50℃から150℃まで2℃/mmで温度を上昇させた振動試験。
【0053】
本発明の成型材料又は構造を使用した構造部材の製造においては、好ましくは、樹脂は、20℃で2×10Pa〜1×10Pa、より好ましくは5×10Pa〜1×10Pa、更により好ましくは7×10Pa〜9×10Paの高い損失弾性率G”を有する。
【0054】
樹脂材料は、好ましくは20℃で5×10Pa・s〜1×10Pa・s、より好ましくは7.5×10Pa・s〜5×10Pa・s、更により好ましくは1×10Pa.s〜2×10Pa.sの高い複素粘度を有する。実質的に均一な機械的特性を有する最終部品を製造するためには、構造繊維及びエポキシ樹脂を混合して、実質的に均質な準等方性成型材料を提供することが重要である。これは、成型材料内の構造繊維の均一な分布を必要とし、繊維を取り囲む樹脂の実質的に連続したマトリックスを提供する。従って、繊維への塗布中における樹脂内の気泡の封入を最小にすることが重要である。従って、高粘度樹脂を使用することが好ましい。
【0055】
本発明において使用されるブランク内のマトリックス樹脂材料として使用するための好ましいエポキシ樹脂配合物は、好ましくは、室温(20℃)で3×10〜1×10Paの貯蔵弾性率G’と、2×10Pa〜1×10Paの損失弾性率G”を有する。
【0056】
好ましくは、樹脂材料は、室温(20℃)で1×10Pa〜1×10Pa、より好ましくは2×10Pa〜4×10Paの貯蔵弾性率G’を有する。
【0057】
好ましくは、樹脂材料は、室温(20℃)で5×10Pa〜1×10Pa、より好ましくは7×10Pa〜9×10Paの損失弾性率G”を有する。
【0058】
好ましくは、樹脂材料は、室温(20℃)で5×10Pa・s〜1×10Pa・s、より好ましくは7.5×10Pa・s〜5×10Pa・s、最も好ましくは1×10Pa・s〜2×10Pa・sの複素粘度を有する。
【0059】
好ましくは、樹脂材料は、80℃で5〜30Pa・s、より好ましくは80℃で10〜25Pa・sの粘度を有する。
【0060】
好ましくは、樹脂材料は、エポキシ樹脂である。
【0061】
本発明の技術を使用して実質的に均一な機械的特性を有する最終部品を製造するためには、強化繊維とエポキシ樹脂とを混合して実質的に均質な成型コンパウンドを提供することが重要である。これは、繊維を取り囲む樹脂の実質的に連続したマトリックスを提供するために、成型コンパウンド内の強化繊維の均一な分布を必要とする。従って、液状樹脂が使用される場合、繊維への塗布中に樹脂内における気泡の封入を最小にすることが重要である。従って、高粘度樹脂を使用することが好ましい。成型コンパウンドは、低レベルの空隙を含むべきであり、従って、成型コンパウンドは、9%未満、より好ましくは6%未満、最も好ましくは3%未満の水摂取値を有することが好ましい。水摂取試験は、成型コンパウンドの防水又は含浸の程度を決定する。この目的のために、成型コンパウンドの試料を最初に秤量し、15mm幅の試験片が突出するように2枚のプレートの間にクランプする。この構成は、水浴中で繊維の方向に5分間吊るされる。プレートを除去した後、試料を再度秤量する。重量差を含浸度の測定値として使用する。摂取した水の量が少ないほど、防水又は含浸の程度が高くなる。
【0062】
本発明で使用されるブランクは、他の複合材料(例えば、本発明で使用される成型コンパウンドの他のブランク又は他のプリプレグ)とすることができる材料の他の層によって敷設され、ガイドを備えることができ、突起を備えた繊維強化積層体を製造するために硬化させることができるブランクの積層体を製造することができる。他の実施形態では、ブランクは、他の層(例えば、金属箔(例えば、鋼及びアルミニウム箔))によって敷設することができる。
【0063】
典型的には、成型コンパウンドはロールとして製造され、そのような材料の粘着性を考慮して、ロールを使用場所で広げられるようにバッキングシートが一般的に提供される。
【0064】
本発明で使用される少なくとも2官能価のエポキシ樹脂は、高い反応性を有する。樹脂のエポキシ当量(EEW)は、150〜1500、好ましくは200〜500の範囲内にあり、樹脂組成物は、促進剤又は硬化剤と組み合わせたエポキシ樹脂を含む。好適なエポキシ樹脂は、一官能価、二官能価、三官能価及び/又は四官能価エポキシ樹脂から選択された二種以上のエポキシ樹脂の混合物(ブレンド)を含むことができる。
【0065】
好適な二官能価エポキシ樹脂は、例として、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(オプションとして、臭素化されたもの)、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノールアルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル又はそれらの任意の組み合わせをベースとするものを含む。
【0066】
二官能価エポキシ樹脂は、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はそれらの任意の組み合わせから選択することができる。
【0067】
好適な三官能価エポキシ樹脂は、例として、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、ジ脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルアミン、複素環式グリシジルイミド及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、又はそれらの任意の組み合わせをベースとしたものを含むことができる。好適な三官能価エポキシ樹脂は、Huntsman Advanced Materials(モンティ、スイス)から商品名MY0500及びMY0510(トリグリシジルパラ−アミノフェノール)及びMY0600及びMY0610(トリグリシジルメタアミノフェノール)として入手可能である。トリグリシジルメタアミノフェノールはまた、住友化学(大阪、日本)から商品名ELM−120として入手可能である。
【0068】
好適な四官能価エポキシ樹脂には、(三菱ガス化学からTetrad−Xの名称で、CVC ChemicalsからErisys GA−240として市販されている)N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えば、Huntsman Advanced MaterialsのMY0720及びMY0721)が含まれる。他の好適な多官能価エポキシ樹脂としては、(ミシガン州ミッドランドのDow Chemicals製の)DEN438、(Dow Chemicals製の)DEN439、(Huntsman Advanced Materials製の)Araldite ECN 1273、及び(Huntsman Advanced Materials製の)Araldite ECN 1299が含まれる。
【0069】
本発明で使用される成型コンパウンドに使用される強化繊維は、合成繊維又は天然繊維、又は本発明の樹脂組成物と組み合わされて複合製品を形成する任意の他の形態の材料又は材料の組み合わせとすることができる。補強ウェブは、巻かれていない繊維のスプールを介して、又は織物のロールから供給することができる。例示的な繊維には、ガラス、炭素、グラファイト、ホウ素、セラミックス及びアラミドが含まれる。好ましい繊維は、炭素繊維及びガラス繊維(特に、炭素繊維)である。
【0070】
ハイブリッド又は混合繊維系もまた想定することができる。ひび割れ(すなわち伸張破断)又は選択的に不連続な繊維の使用は、本発明に係る製品のレイアップを促進し、その成型能力を改善するのに有利である可能性がある。一方向の繊維配向が好ましいが、他の形態もまた使用することができる。典型的な織物形態には、シンプルな繊維織物、ニット織物、綾織織物、サテン織物が含まれる。不織繊維層又は非捲縮繊維層を使用することも考えられる。繊維強化材内の繊維の表面質量は、一般的に80〜4000g/m、好ましくは100〜2500g/m、特に好ましくは150〜2000g/mである。トウ当たりの炭素繊維の数は、3000〜320000、好ましくは6000〜1600000、最も好ましくは12000〜48000である。繊維ガラス強化材の場合、600〜2400テックスのファイバーが特に適合しています。
【0071】
一方向繊維トウの例示的な層は、Hexcel Corporationから入手可能なHexTow(登録商標)炭素繊維から製造される。一方向繊維トウの製造に使用するのに適したHexTow(登録商標)炭素繊維には、6000又は12000のフィラメントを含み、それぞれ0.223g/m及び0.446g/mの重量のトウとして入手可能なIM7炭素繊維、12000のフィラメントを含み、0.446g/m〜0.324g/mの重量のトウとして入手可能なIM8−IM10炭素繊維、及び12000のフィラメントを含み、0.800g/mの重量のトウにおいて入手可能なAS7炭素繊維が含まれ、80000又は50000(50K)のフィラメントを含むトウ(例えば、東レから入手可能な約25000のフィラメントを含むもの、及びZoltekから入手可能な約50000のフィラメントを含むもの)を使用することができる。トウは、典型的には、3〜7mmの幅を有し、トウを保持してそれらを平行かつ一方向に保つために櫛を用いた装置上で含浸させるために供給される。
【0072】
本発明で使用されるブランクが液状樹脂に基づく成型コンパウンドをベースとする場合、それらは繊維状材料にエポキシ樹脂を含浸させることによって製造することができる。含浸速度を増加させるために、樹脂の粘度が低下するように、このプロセスを高温で行うことが好ましい。しかしながら、樹脂の早期硬化が起こるのに十分な長さの時間、熱くしてはならない。従って、含浸プロセスは、好ましくは40℃〜80℃の範囲の温度で実施される。
【0073】
樹脂組成物は、ローラーの外面上に広げられ、紙又は他のバッキング材料上にコーティングされて、硬化性樹脂の層を生成することができる。次いで、樹脂組成物は、おそらくローラーを通過させることによって含浸のための繊維層と接触させることができる。樹脂は、1又は2シートのバッキング材料上に存在することができ、バッキング材料は、加熱された圧密ローラーを通してそれらを通過させることによって、構造繊維層と接触させられ、含浸を引き起こす。あるいはまた、樹脂は、周囲温度で液体である樹脂である樹脂浴か、又は、それが周囲温度で固体又は半固体である樹脂である場合に溶融した樹脂浴のいずれかで、液体形態に維持することができる。次いで、ドクターブレードを用いて液体樹脂を裏材に塗布して、剥離層(例えば、紙又はポリエチレン膜)上に樹脂膜を生成することができる。次いで、構造繊維層を樹脂中に配置することができ、オプションとして第2の樹脂層を繊維層の最上部に設けて成型コンパウンドを製造することができる。
【0074】
バッキングシートは、樹脂の含浸の前又は後のいずれかに塗布することができる。しかしながら、典型的には、樹脂を繊維層に含浸させるのに必要な圧力を加えるための非粘着性表面を提供することができるので、それは含浸前又は含浸中に塗布される。
【0075】
一旦調製されると、成型コンパウンドは巻かれてもよく、これによって、一定時間貯蔵することができる。次いで、巻かれたものが広げられ、必要に応じてブランクに切断され、他のブランクと共に敷設されて、金型内に積層体を形成することができる。ガイドが提供されるべき場所及び突起が形成される場所における積層体内の最上層又は最下層の適切な部分は、(好ましくは、金型内に配置される前に)除去されてもよい。
【0076】
ガイドは、成型コンパウンドの流れが突起を生成する位置を提供するために、ブランクの少なくとも最上面又は最下面から材料を除去することによってブランクの表面に形成することができる。これは、材料の除去の位置が、突起の形成を可能にする金型キャビティ内に凹部を提供する金型表面の輪郭に確実に一致するような任意の適切な方法で達成することができる。ブランクの積層体は、2から数個のブランクを含むことができ、例えば、積層体は、最大60のブランク、おそらくは80のブランクを含むことができる。ガイドは、樹脂を除去された領域内及び成型キャビティの凹部内に流入させて突起を形成させるので、積層体を形成し、次に積層体の最上面又は最下面で1以上のブランクから材料を除去して、樹脂を支持するために材料が除去されることなく、積層体内の下部に十分な数のブランクが存在することを常に確実にすることができる。最適な除去の程度は、製造される部品、積層体内の層の数、及び成型プロセスの間に形成されるか又は形成することができる1又は複数の突起のサイズ及び形状に依存する。
【0077】
金型内に一旦生成されると、ブランクの積層体は、外部から加えられた高温かつ高圧に曝されることによって硬化され、最初に樹脂を軟化させ、ガイド及び硬化によって決定されるように流動させて、突起を備えた硬化された積層体を生成することができる。
【0078】
ブランクの硬化による発熱は、積層体内の温度を110℃以上にすることができるが、外部から加えられた温度が70℃〜110℃の範囲内にある場合、150〜1500のEEW(特に、200〜500のEEW)のエポキシ樹脂に基づくブランクの硬化が、約150℃の温度で150秒未満で達成し、130〜140℃のTg及び140℃で20°以下のフェーズ角を有する硬化樹脂を提供することができ、これによって硬化物を過度に遅れることなく金型から除去することができることが見出された。
【0079】
硬化プロセスは、5100kPa〜13800kPaの範囲の圧力で行うことができる。硬化プロセスは、エポキシ樹脂組成物を所望の程度まで硬化させるのに十分な時間にわたって、70℃〜110℃の範囲内で1以上の外部から加えられた温度を用いて実施することができる。特に、硬化サイクルは、3時間未満の持続時間を有することが好ましい。
【0080】
硬化の際に、ブランクは、構造用途(例えば、自動車、船舶用車両又は航空宇宙構造など)又は風力タービン構造(例えば、ブレード用又はスパア用のシェル)又はスポーツ用品(例えば、スキー)に使用するのに適した突起(例えば、補強又は強化リブ)を備えた複合積層体となる。そのような複合積層体は、80体積%〜15体積%、好ましくは58体積%〜65体積%のレベルの構造繊維を含むことができる。
【0081】
本発明を、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】ブランクの積層体から突起を設けるために本発明で使用するための金型。
図2】成型体上にリブを製造するためのキャビティを示す金型の断面の拡大図。
図3】本発明に係るガイドを設けるためにブランクの上層から材料が除去されたブランクの積層体。
図4】のブランクの積層体を図1の金型内で圧縮成型して得られた成型品。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は、本発明に有用な圧縮成型金型の半割を示しており、成型面1と、金型の他の半分(図示せず)との位置合わせのための位置決めピン2とを示している。金型には、圧縮成型の際にリブが形成される凹部3、4及び5が設けられている。図2は、図1に示した金型の表面を拡大したものである。
【0084】
図3は、ブランクの表面にガイド6、7及び8が形成された、本発明に係るブランクを示している。ガイドは、金型の表面に形成された凹部3、4及び5に対応するように形成されている。
【0085】
図4は、ガイド6、7及び8および対応する凹部3、4及び5の位置に形成されたリブ10、11及び12を備えた、ブランク9が成型された積層体を示している。
図1
図2
図3
図4