特許第6859397号(P6859397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859397
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】光接続構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20210405BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   G02B6/42
   G02B6/36
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-121433(P2019-121433)
(22)【出願日】2019年6月28日
(65)【公開番号】特開2021-9173(P2021-9173A)
(43)【公開日】2021年1月28日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】本間 智之
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−095424(JP,A)
【文献】 特開2013−044952(JP,A)
【文献】 特開2009−284014(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0284657(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0002927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24,6/255−6/27,6/30−6/34,6/36−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光モジュールと光コネクタとを備え、
前記光モジュールは、筐体の内部に設置されたケージへの装着である第一装着を行うことと、前記光コネクタの装着である第二装着が行われることとが可能であり、
前記光モジュールと前記光コネクタとは、前記第二装着により、前記第二装着の解除に第一解除操作が必要な第一係合が行われ、
前記光コネクタには、前記第二装着が維持されたまま前記光コネクタが前記筐体から抜き取られる際に、前記光モジュールに引っかかる抜取り部が接続されており、
前記光モジュールは、前記光モジュールと前記ケージとの間の係合を解除する操作を行わなくても、前記第二装着が維持されたままで、前記ケージから取り出すことが可能であり
前記第一装着の際に、前記光モジュールは前記ケージにロックされない、
光接続構造。
【請求項2】
前記抜取り部の先端部は、前記第二装着された状態で前記筐体から抜き取られる際に、前記光モジュールの段差に引っかかる、請求項1に記載された光接続構造。
【請求項3】
前記第一装着の状態で、前記光モジュールに形成された凸部が、前記ケージに形成された凹部に嵌る、請求項1又は請求項2に記載された光接続構造。
【請求項4】
前記光コネクタは、前記第一係合を行うラッチ部を備える、請求項3に記載された光接続構造。
【請求項5】
前記第一解除操作は前記ラッチ部の操作により行われる、請求項4に記載された光接続構造。
【請求項6】
前記ケージは、前記筐体に固定された回路基板に設置されており、前記光モジュールの光モジュール電気端子は、前記第二装着の状態で、前記回路基板の回路基板電気端子に電気的に接続される、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一に記載された光接続構造。
【請求項7】
前記光コネクタは、前記筐体に設置された嵌合部材と前記第二装着の状態で嵌合され得る被嵌合部材と連結されている、請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一に記載された光接続構造。
【請求項8】
前記嵌合部材と前記被嵌合部材とは互いに螺合し得る、請求項7に記載された光接続構造。
【請求項9】
前記筐体は、屋外光通信装置に備えられ、前記光コネクタは移動通信基地局に接続された光ケーブルに接続されている、請求項1乃至請求項8のうちのいずれか一に記載された光接続構造。
【請求項10】
前記第一装着及び前記第二装着により、前記屋外光通信装置と前記移動通信基地局との間の光通信が行われ得る、請求項9に記載された光接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタを光モジュールに接続する光接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信基地局と屋外光通信装置との接続は、一般的に、マルチソースアグリーメントにより規定されたLCプラグコネクタを備える屋外防水コネクタ付き屋外防水ケーブルで行われる。ここで、LCプラグは、ラインコンセントプラグの略である。
【0003】
図13及び図14は、移動通信基地局に接続された光ケーブルを屋外光通信装置に接続する一般的な光接続構造の例である光接続構造300を表す概念図である。図13は、光接続構造300を構成するレセプタ部100とコネクタ部200とを接続させていない状態を表す。また、図14は、レセプタ部100とコネクタ部200とを接続させた状態を表す。
【0004】
レセプタ部100は、屋外光通信装置301に設置されている。また、コネクタ部200の光ケーブル81は、図示されない移動通信基地局に接続されている。コネクタ部200とレセプタ部100とが、図14に表すように接続された状態で、屋外光通信装置301と前記移動通信基地局との間の光通信が行われる。
【0005】
レセプタ部100は、レセプタ係合部材10と、筐体73と、基板82と、ケージ86と、光モジュール70とを備える。光モジュール70はSFP光モジュールである。ここで、SFPは、Small Form−factor Pluggableの略である。筐体73は屋外光通信装置301の筐体である。筐体73の図13に表される部分の左方が筐体73の内側であり、右方が筐体73の外側である。筐体73の内側には基板82が設置されている。基板82は、図示されない部材により、筐体73に固定されている。
【0006】
筐体73に形成された穴74にレセプタ係合部材10が装着されている。
【0007】
基板82上には、ケージ86が設置されている。ケージ86内には、光モジュール70が挿入されている。この状態において、光モジュール70の電気端子76は基板82の配線と接続された電気端子84に接続されている。当該配線は、基板82に設置された図示されない信号処理部品に接続されている。
【0008】
一方、コネクタ部200は、コネクタ本体部26とコネクタ係合部材25と光ケーブル81とを備える。前述のように光ケーブル81は図示されない移動通信基地局に接続されている。また、コネクタ本体部26は光コネクタ22を備える。コネクタ係合部材25はコネクタ本体部26に固定されておらず、コネクタ本体部26に対し回転し得る。
【0009】
コネクタ係合部材25は、図14に表すように、レセプタ部100のレセプタ係合部材10と係合する。光コネクタ22は光モジュール70に挿入される。この状態において、光コネクタ22は光モジュール70とラッチ部22aにより係合されている。ラッチ部22aの構造は、MSAにより定められている。ラッチ部22aは、光コネクタ22が光モジュール70に装着された際に、光コネクタ22を光モジュールに係合する働きをする。ラッチ部22aは、SFP光モジュールが備える一般的な構成である。ここでは、ラッチ部22aの構造の説明は省略される。
【0010】
光コネクタ22が光モジュール70に挿入された状態で、光モジュール70は、電気端子84及び76を介して基板82の配線から送付された電気信号を光信号に変換し、光コネクタ22を介して、光ケーブル81に送出する。また、光モジュール70は、光ケーブル81から光コネクタ22を介して送付された光信号を電気信号に変換し、電気端子76及び84を介して基板82の配線に送出する。
【0011】
図13に表すコネクタ部200をレセプタ部100に装着し図14に表す状態にする場合は、まず光コネクタ22を光モジュール70に装着する。その後に、コネクタ係合部材25を回転させることによりコネクタ係合部材25のネジ溝25aをレセプタ係合部材10のネジ山10aに螺合させる。こうして、コネクタ部200のレセプタ部100への装着が完了する。
【0012】
次に、レセプタ部100における、ケージ86と、ケージ86に装着された光モジュール70との係合のされ方、及び当該係合の解除の方法について説明する。
【0013】
図15に表すように、光モジュール70の下面70aには凸部71が形成されている。一方、ケージ86には係合孔86aが形成されている。図14に表すように光モジュール70がケージ86に挿入された状態では、図15に表すように凸部71は係合孔86aに嵌っている。この状態では、光モジュール70を図15に表す矢印98aの逆向きに引っ張っても、凸部71の右端が係合孔86aの右端に引っかかる。そのため、光モジュール70をケージ86から取り外すことができない。
【0014】
凸部71が係合孔86aに嵌った状態を解除する仕組みとして、図13及び図16に表すロック解除レバー72が、光モジュール70に設けられている。ロック解除レバー72は、光モジュール70の光コネクタの挿入口77(図13)を塞がないように、挿入口77からずらして設置されている。ロック解除レバー72は右方に倒すと、図17に表すように、支点部78が、基板を保持する部材に当たる。そして、ロック解除レバー72の端部79は、光モジュール70の位置91aを上方に持ち上げる。これにより、図18に表すように、光モジュールの凸部71はケージ86の係合孔86aから外れる。これにより、図19に表すように、光モジュール70を右方に移動させることが可能になる。これにより、ケージ86から光モジュール70を取り出すことができるようになる。
【0015】
一方、図示は省略されるが、光モジュール70を、ケージ86に挿入するときには、光モジュール70が図15に表す矢印98aの向きに移動する際に凸部71が可動片86bを押し下げ、凸部71が係合孔86aに嵌る。こうして、光コネクタ22を光モジュール70に装着した後、図13に表すレセプタ係合部材10にコネクタ係合部材25を嵌合させれば、接続は完了する。
【0016】
ここで、特許文献1は、構造体に接続されたとき、保持部材から嵌合方向において突出しており先端が前記嵌合方向において第1ガイド部と第2ガイド部との間に位置しているフェルールの先端がスリーブに受容されるコネクタを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2018−077404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図14に表すように接続された光接続構造300において、ケージ86から光モジュール70を取り外すためには、まず、コネクタ部200をレセプタ部100から抜き取る。その際に、コネクタ部200のコネクタ係合部材25を回転させ、レセプタ部100のレセプタ係合部材10から取り外す。その上で、ラッチ部22aを操作し光コネクタ22と光モジュールとの係合を解除した上で、光コネクタ22を光モジュールから抜き取る。そして、ロック解除レバー72を操作した上で、ケージ86から光モジュール70を抜き取る。
【0019】
このように、ケージ86から光モジュール70を取り外すためには、多くの操作が必要である。当該四段階は、コネクタ係合部材25のレセプタ係合部材10からの取り外し、ラッチ部22aの操作による光コネクタ22と光モジュールとの係合の解除、ロック解除レバー72の操作及びケージ86からの光モジュール70の抜き取りである。そのため、ケージ86からの光モジュール70の抜き取りには、手間と時間がかかる。さらに、レセプタ係合部材10を通してケージ内の奥にある光モジュール70の取外し作業を行う必要があるのでそのための取外し工具が必要になる。
【0020】
本発明は、光モジュールの筐体からの抜取りを容易にする光接続構造等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の光接続構造は、光モジュールと光コネクタとを備え、前記光モジュールは、筐体の内部に設置されたケージへの装着である第一装着を行うことと、前記光コネクタの装着である第二装着が行われることとが可能であり、前記光モジュールと前記光コネクタとは、前記第二装着により、前記第二装着の解除に第一解除操作が必要な第一係合が行われ、前記光コネクタには、前記第二装着が維持されたまま前記光コネクタが前記筐体から抜き取られる際に、前記光モジュールに引っかかる抜取り部が接続されており、前記光モジュールは、前記光モジュールと前記ケージとの間の係合を解除する操作を行わなくても、前記第二装着が維持されたままで、前記ケージから取り出すことが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の光接続構造等は、光モジュールの筐体からの抜取りを容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の光接続構造例を表す概念図(その1)である。
図2】本実施形態の光接続構造例を表す概念図(その2)である。
図3】光コネクタが光モジュールに係合される様子を表す概念図である。
図4】光モジュールの外形を表す概念図である。
図5】ケージの外形を表す概念図である。
図6】光モジュールをケージに装着した状態を表す概念図である。
図7】光モジュールとケージとの係合構造(その1)を表す断面概念図である。
図8】光コネクタを装着した光モジュールがケージから抜き取られた様子を表す概念図である。
図9】光コネクタが光モジュールから抜き取られた様子を表す概念図である。
図10】光モジュールとケージとの係合構造(その2)を表す断面概念図である。
図11】光モジュールとケージとの係合構造(その3)を表す断面概念図である。
図12】光モジュールとケージとの係合構造(その4)を表す断面概念図である。
図13】一般的な光接続構造を表す概念図(その1)である。
図14】一般的な光接続構造を表す概念図(その2)である。
図15】凸部が係合孔に嵌っている様子を表す概念図である。
図16】ロック解除レバーを表す概念図である。
図17】ロック解除レバーの操作の様子を表す概念図である。
図18】光モジュールの凸部がケージの係合孔から外れる様子を表す概念図である。
図19】光モジュールがケージから抜き取られる様子を表す概念図である。
図20】実施形態の光接続構造の最小限の構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態の光接続構造は、屋外光通信装置の筐体内に設置された光モジュールに光コネクタを接続し又は当該光コネクタを抜き取るための構造である。前記光接続構造は、前記筐体内のケージに光モジュールが装着された場合に、これらが互いにロックされていない点が図13及び図14に表す一般的なものと異なる。また、前記光接続構造においては、光コネクタを前記屋外光通信装置から抜き取る際に、光モジュールを引っかけて前記屋外光通信装置から抜き取る、抜取り部が光コネクタに接続されている。これらにより、作業者等は、前記筐体から前記コネクタ部を抜き取る際に、光コネクタを、光モジュールに装着されたまま光モジュールごと、抜き取る。これにより、作業者等は、光モジュールを筐体から抜き取る際に、ラッチ部の操作による光コネクタと光モジュールとの係合の解除操作や、ロック解除レバーによる光モジュールとケージとの間の係合の解除操作を行う必要がない。
【0025】
上記により、本実施形態の光接続構造は、光モジュールの筐体からの抜取りを容易にする。
[構成と動作]
図1及び図2は、移動通信基地局に接続された光ケーブルを屋外光通信装置に接続するための本実施形態の光接続構造の例である光接続構造300を表す概念図である。図示されない移動通信基地局及び屋外光通信装置は、[背景技術]の項で説明したものと同様のものである。図1は、光接続構造300を構成するレセプタ部100とコネクタ部200とが接続されていない状態を表す。また、図2は、レセプタ部100とコネクタ部200とが接続された状態を表す。
【0026】
レセプタ部100は前記屋外光通信装置に設置されている。また、コネクタ部200の光ケーブル81は、前記移動通信基地局に接続されている。コネクタ部200とレセプタ部100とが図2に表すように接続された状態で、前記屋外光通信装置と前記移動通信基地局との間の光通信が行われる。
【0027】
レセプタ部100は、レセプタ係合部材10と、基板82と、ケージ86と、光モジュール70とを備える。
【0028】
前記屋外光通信装置の図示されない筐体に形成された穴にレセプタ係合部材10が設置されている。前記筐体の内側には基板82が設置されている。基板82は、前記筐体に固定されている。
【0029】
基板82上には、ケージ86が設置されている。ケージ86内には、光モジュール70が装着されている。光モジュール70はSFP光モジュールである。ここで、SFPは、Small Form−factor Pluggableの略である。この状態において、光モジュール70の図示されない電気端子は基板82の配線と接続された基板の電気端子に接続されている。当該配線は、基板82に設置された図示されない信号処理部品に接続されている。
【0030】
一方、コネクタ部200は、コネクタ本体部26とコネクタ係合部材25と光ケーブル81と抜取り部23とを備える。前述のように光ケーブル81は移動通信基地局に接続されている。また、コネクタ本体部26は光コネクタ22を備える。コネクタ係合部材25はコネクタ本体部26に固定されておらず、コネクタ本体部26に対し回転し得る。
【0031】
光コネクタ22は光モジュール70に挿入される。光コネクタ22が光モジュール70に挿入されると、ラッチ部22aにより、光コネクタ22と光モジュール70とは係合される。ラッチ部22aの構造は、MSAが策定した規格に定められている。ここでは、ラッチ部22aの構造の詳細な説明は省略される。
【0032】
光コネクタ22と光モジュール70とは係合された状態で、コネクタ係合部材25は、図2に表すように、レセプタ係合部材10と螺合する。
【0033】
光コネクタ22が光モジュール70に挿入された状態で、光モジュール70は、基板82の配線から送付された電気信号を光信号に変換し、光コネクタ22を介して、光ケーブル81に送出する。また、光モジュール70は、光ケーブル81から光コネクタ22を介して送付された光信号を電気信号に変換し、基板82の配線に送出する。
【0034】
図1に表すコネクタ部200をレセプタ部100に装着することにより図2に表す状態にする場合は、まず光コネクタ22を光モジュール70に挿入し、装着する。当該装着により、コネクタ部200が備える抜取り部23の先端部23aは、図2に表すように、光モジュール70に形成された段差75に引っかかっている。その後に、コネクタ係合部材25を回転させることによりコネクタ係合部材25の図示されないネジ溝をレセプタ係合部材10の図示されないネジ山に螺合させる。こうして、コネクタ部200のレセプタ部100への装着が完了する。
【0035】
図3は、光コネクタ22が光モジュール70に係合される様子を表す概念図である。図3(a)は、光モジュール70が光コネクタ22と係合される部分を表す断面概念図である。また、図3(b)は、光コネクタ22の、光モジュール70と係合する部分を表す断面概念図である。また、図3(c)は、光コネクタ22を光モジュール70に装着した様子を表す概念図である。
【0036】
なお、ばね22eは、理解容易のため、断面ではなく模式的なイメージを表してある。
【0037】
光モジュール70は、ハウジング70eと、フェレール70bと、光ファイバ70cとを備える。光ファイバ70cはフェレール70bを介してハウジング70eに固定されている。ハウジング70eには、引っかかり部70dが形成されている。
【0038】
光コネクタ22は、ハウジング22gと、フェレール22cと、光ファイバ22dと、ばね22eとを備える。
【0039】
ハウジング22gにはレバー22bが形成されている。レバー22bは、弾性を有し、図3(b)に表す状態から下向きに押すことが可能である。レバー22bは、下向きに押す力が解除されると、図3(b)に表す状態に復元する。レバー22bには凹部22fが形成されている。
【0040】
ハウジング22g内には、穴22hが形成されている。穴22hの内部には、フェレール22cと、光ファイバ22dと、ばね22eとが収められている。光ファイバ22dはフェレール22cに固定されている。フェレール22cはばね22eの左端に接続されている。フェレール22cは、ある程度、穴22h内を左右に移動できる。また、光ファイバ22dは、フェレール22cが右方に移動した場合には、右方の図示されない領域でたわむようになっている。
【0041】
光コネクタ22を光モジュール70に装着すると、図3(c)に表すように、光コネクタ22の位置22iは、光モジュール70の位置70fに当たる。このとき、フェレール22cはフェレール70bにより右方に押され、穴22h内を右方に移動する。これによりばね22eは縮み、その復元力により、フェレール22cをフェレール70bに押し付ける。
【0042】
また、引っかかり部70dは、レバー22bに形成された凹部に挿入されている。当該挿入は、レバー22bの上向きの復元力により維持されている。この状態で、ハウジング22gには、ばね22eの復元力による力が右向きにかかっている。そのため、引っかかり部70dの左端は、凹部22fの左端に引っかかっている。
【0043】
図3(c)の状態でレバー22bを下向きに押すと、引っかかり部70dの左端の凹部22fの左端への引っかかりが解除される。さらに、ばね22eの復元力による力により、ハウジング22gが右方に移動し、レバー22bを下向きに押し続けられなくても、引っかかり部70dは凹部22fから外れた状態になる。従い、図3(c)の状態でレバー22bを下向きに押すことにより、光コネクタ22を光モジュール70から取り外すことが可能になる。
【0044】
次に、レセプタ部100における、ケージ86と、ケージ86に挿入された光モジュール70との係合のされ方について説明する。
【0045】
図4に表すように、光モジュール70の下面には凸部71が形成されている。また、図5に表すように、ケージ86の下面には、凹部86cが形成されている。図6に表すように光モジュール70がケージ86に装着されると凸部71は凹部86cに嵌る。
【0046】
図7は、図6に表すように光モジュール70がケージ86に装着された状態における、光モジュール70とケージ86の凹部86cとの係合構造(その1)を表す断面概念図である。
【0047】
光モジュール70の下面70aに形成された凸部71は、ケージ86に形成された凹部86cに嵌っている。しかしながら、光モジュール70が右方に引っ張られると凹部86cの上面の傾斜が凸部71に接触し、可動片86bが下方に押される。そして、光モジュール70は、光モジュール70とケージ86との互いの接触箇所が互いに滑りながら、右方に動かされる。このため、作業者等は、凹部86cから凸部71をはずす操作を行うことなく、光モジュール70を右方に引っ張ることで、光モジュール70をケージ86から抜き取ることが可能である。凹部86cから凸部71をはずす操作は、図17及び図18に表すように、一般的な光接続構造では必要であったものである。
【0048】
前述のように図2に表す状態では、コネクタ部200が備える抜取り部23の先端部23aは光モジュール70の段差75に引っかかっている。抜取り部23の右端はまたコネクタ本体部26に接続されている。そのため、作業者等が、図2に表すコネクタ本体部26を矢印98aの向きに引っ張ると、図8に表すように、光モジュール70は、光コネクタ22が装着された状態で、ケージ86から抜き取られる。なお、図2に表す状態では、ラッチ部22aによって、光コネクタと光モジュール70と係合している。しかしながら、ラッチ部22aの構造は強固なものではない。そのため、抜取り部23の先端部23aが光モジュール70の段差75に引っかかっていないと、光コネクタ22のケージ86からの抜取りの際に、ラッチ部22aが破損する場合がある。抜取り部23の先端部23aが光モジュール70の段差75に引っかかっている構成は、ラッチ部22aの当該破損を防ぎ得る。
【0049】
作業者等は、図8に表すように、ケージ86から、光モジュール70ごと光コネクタ22を抜き取った後に、抜取り部23の先端部23aを下方にずらす等により先端部23aの光モジュール70の段差75への引っかかりを解除する。作業者等は、さらに、ラッチ部22aを指で操作することにより、光コネクタ22と光モジュール70との係合を解除する。図8に表す状態におけるラッチ部22aの指による係合解除操作は、ラッチ部22aが露出しているため、光コネクタ22が光モジュールに装着された状態で行う一般的な場合と異なり、容易に行われ得る。
【0050】
これらにより、図9に表すように光モジュール70と光コネクタ22とは互いに分離される。
【0051】
その後、光モジュール70をケージ86に装着すれば、光接続構造300は、図1に表す状態に戻る。
【0052】
なお、光モジュール70がケージ86に装着された状態での光モジュール70とケージ86との係合のされ方には、図7に表すものの他、種々のバリエーションが想定され得る。
【0053】
図10は、光モジュール70がケージ86に装着された状態での光モジュール70とケージ86との係合構造(その2)を表す断面概念図である。図10に表す構造においては、光モジュール70の下面に形成された凸部71の下面は、斜面になっている。一方、ケージ86に形成された凹部86cの右端は垂直に立っている。図10に表す状態から光モジュール70が矢印98aの向きに移動する場合、光モジュール70は、凸部71の下面が凹部86cの右端に乗り上げ、滑りながら移動する。
【0054】
図11は、光モジュール70がケージ86に装着された状態での光モジュール70とケージ86との係合構造(その3)を表す断面概念図である。図10に表す構造においては、光モジュール70の下面に形成された凸部71の下面は、斜面になっている。一方、ケージ86に形成された凹部86cの上面も斜面になっている。図11に表す状態から光モジュール70が矢印98aの向きに移動する場合、光モジュール70は、凸部71の下面が凹部86cの上面に乗り上げ、滑りながら移動する。
【0055】
図12は、光モジュール70がケージ86に装着された状態での光モジュール70とケージ86との係合構造(その4)を表す断面概念図である。図10に表す構造においては、光モジュール70の下面は平面である。また、ケージ86に形成された凹部86cの上面も平面である。光モジュール70とケージ86との図12に表す位置関係は、光モジュール70の下面とケージ86との静止摩擦力により光モジュール70とケージ86とが係合されることにより、維持されている。本実施形態においては、二つの物が互いに動きにくい状態にあることを、それらが係合しているということとする。当該係合には静止摩擦力によるものが含まれる。
【0056】
光モジュール70の下面及びケージ86の互いに接触する部分の少なくとも一部に当該静止摩擦力を強めるための凹凸等の滑り止めが設けられていても構わない。
図12に表す状態から光モジュール70が矢印98aの向きに移動する場合、光モジュール70は、ケージ86上を滑りながら移動する。
【0057】
光モジュール70がケージ86に装着された状態での光モジュール70とケージ86との係合構造は、図7及び図10乃至図12に表すもの以外であっても構わない。例えば、光モジュール70の下面及びケージ86の互いに接触する部分の少なくとも一部は曲面で構成されていても構わない。当該係合構造は、光モジュール70のケージ86からの抜き取りに、光モジュール70を矢印98aの向きに引っ張る以外の、当該係合を解除するための操作を要さないものであれば構わない。
[効果]
本実施形態の光接続構造においては、装置の筐体内の基板に固定されたケージに装着された光モジュールは、ケージとロックされていない。そのため、光モジュールは、引っ張られるだけでケージとの係合がはずれ、ケージから取り出すことが可能である。前記光接続構造においては、また、光コネクタに接続された抜取り部を備える。抜取り部の先端部は、光コネクタが光モジュールに装着された状態から光コネクタが装着解除の向きに引っ張られると、光モジュールの段差に引っかかる。そのため、光コネクタをさらに引っ張ると、光コネクタは、光モジュールに装着されたまま、光モジュールごと、ケージから抜き取られる。そのため、本発明の光接続構造においては、作業者等は、光モジュールを抜き取る際に、光コネクタの光モジュールへのラッチ部による係合の解除操作や、光モジュールのケージへのロックの解除操作を行わずにすむ。当該係合解除は、図13及び図14に表すような一般的な光接続構造で光コネクタを光モジュールから抜き取る際に必要なものである。さらに、本実施形態の光接続構造においては、抜き取り部が、光モジュールを抜き取るため、光モジュールをケージから抜き取るための工具を必要としない。
【0058】
上記により、本実施形態の光接続構造は、光モジュールの装置からの抜取りを容易にする。
【0059】
なお、ここまでは、主として、光モジュールを屋外移動基地局の筐体から抜き取る場合の光接続構造例を説明した。しかしながら、実施形態の光接続構造において、光モジュールを備える物は、屋外移動基地局に限定されず任意である。
【0060】
図20は、実施形態の光接続構造の最小限の構成である光接続構造300xの構成を表す概念図である。光接続構造300xは、光モジュール70xと光コネクタ22xとを備える。
【0061】
光モジュール70xは、筐体73xの内部に設置されたケージ86xに第一装着することが可能であり、前記第一装着の状態で筐体73xに設置された穴74xを介して光コネクタ22xを第二装着することが可能である。
【0062】
光コネクタ22xは、筐体の内部に設置されたケージへの装着である第一装着を行うことと、光コネクタ22xの装着である第二装着が行われることとが可能である。
【0063】
光モジュール70xと光コネクタ22xとは、前記第二装着により、前記第二装着の解除に第一解除操作が必要な第一係合が行われる。
【0064】
光コネクタ22xには、前記第二装着が維持されたまま光コネクタ22xが前記筐体から抜き取られる際に、光モジュール70xに引っかかる抜取り部が接続されている。
【0065】
光モジュール70xは、前記光モジュールは、前記光モジュールと前記ケージとの間の係合を解除する操作を行わなくても、前記第二装着が維持されたままで、前記ケージから取り出すことが可能である。
【0066】
作業者等は、光コネクタ22xを、前記第一解除操作を行うことなしに、光モジュール70xに装着された状態で、光モジュール70xを前記抜取り部で引っかけ、光モジュール70xごと前記ケージから抜き取ることが可能である。そのため、光接続構造300xは、光モジュール70xの前記筐体からの抜取りを容易にする。
【0067】
そのため、光接続構造300xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0068】
ここで、図20に表す光接続構造300xは、例えば、図1図2図8及び図9に表す光接続構造300である。
【0069】
また、光モジュール70xは、例えば、図1図2図8及び図9に表す光モジュール70である。
【0070】
また、筐体73xは、例えば、図1図2図8及び図9に表すレセプタ係合部材10が設置されている図示されない筐体(図13に表す筐体73に相当)である。
【0071】
また、ケージ86xは、例えば、図1図2図8及び図9に表すケージ86である。
【0072】
また、前記第一装着は、例えば、図1図2図6図8及び図9に表す、光モジュール70のケージ86xへの装着である。
【0073】
また、穴74xは、例えば、図1図2図8及び図9に表すレセプタ係合部材10が設置されている部分に形成されている筐体の穴である。
【0074】
また、光コネクタ22xは、例えば、図1図2図8及び図9に表す光コネクタ22である。
【0075】
また、前記第二装着は、例えば、図1図2図8及び図9に表す光コネクタ22の光モジュールへの装着である。
【0076】
また、前記第一解除操作は、例えば、図1図2図8及び図9に表すラッチ部22aの解除操作である。
【0077】
また、前記第一係合は、例えば、光コネクタ22と光モジュールとの間の係合である。
【0078】
また、前記抜取り部は、例えば、図1図2図8及び図9に表す抜取り部23である。
【0079】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0080】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
光モジュールと光コネクタとを備え、
前記光モジュールは、筐体の内部に設置されたケージへの装着である第一装着を行うことと、前記光コネクタの装着である第二装着が行われることとが可能であり、
前記光モジュールと前記光コネクタとは、前記第二装着により、前記第二装着の解除に第一解除操作が必要な第一係合が行われ、
前記光コネクタには、前記第二装着が維持されたまま前記光コネクタが前記筐体から抜き取られる際に、前記光モジュールに引っかかる抜取り部が接続されており、
前記光モジュールは、前記光モジュールと前記ケージとの間の係合を解除する操作を行わなくても、前記第二装着が維持されたままで、前記ケージから取り出すことが可能である、
光接続構造。
(付記2)
前記抜取り部の先端部は、前記第二装着された状態で前記筐体から抜き取られる際に、前記光モジュールの段差に引っかかる、付記1に記載された光接続構造。
(付記3)
前記第一装着の状態で、前記光モジュールに形成された凸部が、前記ケージに形成された凹部に嵌る、付記1又は付記2に記載された光接続構造。
(付記4)
前記光モジュールは、Small Form−factor Pluggable光モジュールである、付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載された光接続構造。
(付記5)
前記光コネクタは、前記第一係合を行うラッチ部を備える、付記4に記載された光接続構造。
(付記6)
前記第一解除操作は前記ラッチ部の操作により行われる、付記5に記載された光接続構造。
(付記7)
前記ラッチ部は、Management System Assessment Centerが策定した規格に準拠するものである、付記5又は付記6に記載された光接続構造。
(付記8)
前記ケージは、前記筐体に固定された回路基板に設置されており、前記光モジュールの光モジュール電気端子は、前記第二装着の状態で、前記回路基板の回路基板電気端子に電気的に接続される、付記1乃至付記7のうちのいずれか一に記載された光接続構造。
(付記9)
前記光コネクタは、前記筐体に設置された嵌合部材と前記第二装着の状態で嵌合され得る被嵌合部材と連結されている、付記1乃至付記8のうちのいずれか一に記載された光接続構造。
(付記10)
前記嵌合部材と前記被嵌合部材とは互いに螺合し得る、付記9に記載された光接続構造。
(付記11)
前記嵌合部材はレセプタ係合部材であり、前記被嵌合部材は前記レセプタ係合部材に対応するコネクタ係合部材である、付記9又は付記10に記載された光接続構造。
(付記12)
前記筐体は、屋外光通信装置に備えられ、前記光コネクタは移動通信基地局に接続された光ケーブルに接続されている、付記1乃至付記11のうちのいずれか一に記載された光接続構造。
(付記13)
前記第一装着及び前記第二装着により、前記屋外光通信装置と前記移動通信基地局との間の光通信が行われ得る、付記12に記載された光接続構造。
(付記14)
付記13に記載された光接続構造と、前記屋外光通信装置と、前記移動通信基地局とを備える、通信システム。
【符号の説明】
【0081】
10 レセプタ係合部材
10a ネジ山
100 レセプタ部
200 コネクタ部
22、22x 光コネクタ
22a ラッチ部
22b レバー
22c、70b フェレール
22d、70c 光ファイバ
22e ばね
22f 凹部
22g、70e ハウジング
22h 穴
22i、70f 位置
23 抜取り部
25 コネクタ係合部材
25a ネジ溝
26 コネクタ本体部
300、300x 光接続構造
70、70x 光モジュール
70d 引っかかり部
70a 下面
71 凸部
72 ロック解除レバー
73、73x 筐体
74、74x 穴
75 段差
76、84 電気端子
81 光ケーブル
82 基板
86、86x ケージ
86a 係合孔
86b 可動片
86c 凹部
91a 位置
98a 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20