特許第6859413号(P6859413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6859413バルブアセンブリ上のバルブポジショナの配向に対する補整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859413
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】バルブアセンブリ上のバルブポジショナの配向に対する補整
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   F16K37/00 M
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-186181(P2019-186181)
(22)【出願日】2019年10月9日
(65)【公開番号】特開2020-60297(P2020-60297A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2019年10月9日
(31)【優先権主張番号】16/156232
(32)【優先日】2018年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502122473
【氏名又は名称】ドレッサ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Dresser,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人サカモト・アンド・パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アナトリー・ポドパリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャグデシュ・ガッツ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エドモンド・ヘバート
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0025765(US,A1)
【文献】 特表2009−538473(JP,A)
【文献】 特開2013−130236(JP,A)
【文献】 特表2012−508354(JP,A)
【文献】 特開2016−075362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧式アクチュエータ(104)と、
前記空気圧式アクチュエータ(104)と結合され、かつ弁座(112)に対して移動可能である閉鎖部材(110)を有するバルブ(106)と、
空気信号を提供して、前記弁座(112)に対する前記閉鎖部材(110)の位置を設定するように前記空気圧式アクチュエータ(104)に結合されるバルブポジショナ(100)と、
前記バルブポジショナ(100)の配向に応答してデータを生成するように前記バルブポジショナ(100)と結合される加速度計(128)と、
ディスプレイ(124)と、
を備え
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、前記ディスプレイ(124)に現れるデータに対する配向を設定するように動作する、バルブアセンブリ(102)。
【請求項2】
空気圧式アクチュエータ(104)と、
前記空気圧式アクチュエータ(104)と結合され、かつ弁座(112)に対して移動可能である閉鎖部材(110)を有するバルブ(106)と、
空気信号を提供して、前記弁座(112)に対する前記閉鎖部材(110)の位置を設定するように前記空気圧式アクチュエータ(104)に結合されるバルブポジショナ(100)と、
前記バルブポジショナ(100)の配向に応答してデータを生成するように前記バルブポジショナ(100)と結合される加速度計(128)と、
データを視覚化するためにデフォルトの配向を有するディスプレイ(124)と、
を備え、
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、前記ディスプレイ(124)の前記デフォルトの配向を保つように動作する、バルブアセンブリ(102)。
【請求項3】
空気圧式アクチュエータ(104)と、
前記空気圧式アクチュエータ(104)と結合され、かつ弁座(112)に対して移動可能である閉鎖部材(110)を有するバルブ(106)と、
空気信号を提供して、前記弁座(112)に対する前記閉鎖部材(110)の位置を設定するように前記空気圧式アクチュエータ(104)に結合されるバルブポジショナ(100)と、
前記バルブポジショナ(100)の配向に応答してデータを生成するように前記バルブポジショナ(100)と結合される加速度計(128)と、
前記バルブポジショナ(100)に及ぶ回転ドラム(142)と、
前記回転ドラム(142)に近接して配設され、かつ前記バルブポジショナ(100)に取り付けられる磁束センサ(134)と、
を備え、
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、前記回転ドラム(142)の中心に対する前記磁束センサ(134)の角度(146)を、前記バルブ(106)における前記閉鎖部材(110)の移動に対する移動制限と相関させるように動作する、バルブアセンブリ(102)。
【請求項4】
ディスプレイ(124)をさらに備え、
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、前記ディスプレイ(124)に現れるデータに対する配向を設定するように動作する、請求項に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項5】
データを視覚化するためにデフォルトの配向を有するディスプレイ(124)をさらに備え、
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、前記ディスプレイ(124)の前記デフォルトの配向を保つように動作する、請求項に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項6】
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、前記閉鎖部材(110)に対する移動制限を設定するように動作する、請求項1から5のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項7】
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、移動制限を、第1の値から、前記第1の値とは異なる第2の値に更新するように動作する、請求項1から6のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項8】
前記バルブポジショナ(100)は、前記加速度計(128)からのデータを処理して、前記空気信号に対するパラメータと一致する値を設定するように動作する、請求項1から7のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項9】
前記閉鎖部材(110)に対する測定位置を表すデータを提供する磁束センサ(134)をさらに備える、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項10】
前記バルブポジショナ(100)の配向と一致する角度で共存するように前記バルブポジショナ(100)に取り付けられる磁束センサ(134)をさらに備える、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項11】
前記磁束センサ(134)が、前記閉鎖部材(110)に対する測定位置を表すデータを提供するように構成されている、請求項3から5のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(102)。
【請求項12】
前記角度が、前記バルブポジショナ(100)の配向と一致する、請求項3から5および11のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(102)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロセス制御バルブは、産業プロセスを自動化するための使用を見出すある種のプロセス装置である。これらの装置は、プロセスライン上の材料の流れを調整するために他の構成要素の動作を保守する制御装置または「バルブポジショナ」を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
1つまたは複数の制御バルブに関する問題として、プロセスを中断させる、またはプロセスラインの全体または一部が、必要なプロセスパラメータに従って動作できないようにする場合がある。これらの中断は、歩留まりを低下させ、かつ品質を低下させる可能性がある。大規模な生産工程では、プロセスラインにおける機能停止は、問題のある装置(複数可)を点検しかつ修理するために必要なダウンタイムにより多大な費用が掛かることになる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の対象は、プロセス装置についての保守から生じ得る動作不良を回避するための改善に関する。本明細書において特に関心が向けられるのは、バルブアセンブリの他の部分に対するバルブポジショナの配向を測定するデータを生成することができる実施形態である。これらの実施形態は、このデータを使用して、配向と無関係に情報をエンドユーザに確実に表示し、再調整する、あるいは長い試運転手順に従事する必要なく、バルブアセンブリに対して、既存のハードウェアを修理するもしくはアップグレードする、または新しいハードウェアを統合するための保守作業を促進し得る。
【0004】
ここで、添付の図面を簡潔に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】バルブポジショナの例示の実施形態の概略図である。
図2図1のバルブポジショナでの使用のための動作ハードウェアの一例の概略図である。
図3】バルブアセンブリ上のオフセット配向における図2の例の概略図である。
図4】バルブアセンブリ上のオフセット配向における図2の例の概略図である。
図5】バルブの閉鎖部材の位置を測定できる図1のバルブポジショナでの使用のための動作ハードウェアの一例の概略図である。
図6】バルブアセンブリ上のオフセット配向における図5の例の概略図である。
図7】センサからの信号を処理する図1のバルブポジショナでの使用のための動作ハードウェアの一例の概略図である。
図8図1のバルブポジショナを動作させる方法の例示の実施形態のフロー図である。
図9図1のバルブポジショナに対する例示の構造の斜視図である。
図10図9のバルブポジショナを含むバルブアセンブリの例示の構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
該当する場合、同様の参照符号は、いくつかの図全体を通して同一のまたは対応する構成要素及びユニットを指し示す。これらの図は、別段指示されない限り、一定尺度で描かれていない。本明細書に開示される実施形態は、いくつかの図の1つもしくは複数、またはいくつかの図の組み合わせで現れる要素を含んでもよい。さらに、方法は例示に過ぎず、例えば、個々の段階を、並び替える、追加する、除去する、及び/または改変することによって修正されてもよい。
【0007】
以下の論述では、プロセス制御装置の実施形態について説明されている。これらの実施形態は、プロセスライン上の材料の流れを調整するために産業プロセスシステムにおいて見出されるもののようなバルブアセンブリにおけるある特定の改善を示す。他の実施形態は本明細書における主題の範囲内にある。
【0008】
図1は、バルブポジショナ100の例示の実施形態の概略図を示す。この実施形態は、全般的に数字102で特定されるバルブアセンブリの一部として示されている。バルブアセンブリ102は、典型的には、閉鎖部材110に連結するバルブ軸108によって、バルブ106と結合するアクチュエータ104を含んでもよい。アクチェータ104は、弁座112に対する閉鎖部材110の移動を加減する。実際には、バルブポジショナ100はディスプレイユニット116を含む動作ハードウェア114を有してもよい。動作ハードウェア114はまた、(ここでは、下限L及び上限Lとして示される)ハードストップリミット120に対する閉鎖部材110の近接度を特定するための位置センサ118を含んでもよい。さらに示されるように、動作ハードウェア114は、バルブ構成要素、例えば、バルブ軸108と結合する測定ユニット122をさらに含んでもよい。
【0009】
高いレベルで、バルブポジショナ100は、その配向を表すデータを生成するように構成されてもよい。これらの構成は、装置上のいくつかの動作を阻止する可能性がある配向の差異を補正するためにこのデータを利用する機能性を有してもよい。この機能性は、確実に、データが、バルブポジショナ100上で見出されるディスプレイユニット116上で適正に表示されるようにしてもよい。追加される利益として、機能性によってまた、バルブポジショナ100が、ハードストップリミット120におけるまたはこの近くの閉鎖部材110に反応してトリガする動作モードをより精確に始動させることを可能にしてもよい。
【0010】
バルブアセンブリ102は、さまざまな産業を満足させるプロセスラインでの使用のために構成され得る。これらの構成は、化学工場、精製所、及び、石油及びガス回収システムなどの周辺で材料を移送するプロセスライン(単数または複数)の一部として、パイプ及びパイプラインのような導管に統合させてもよい。1つの実施態様では、バルブポジショナ100は、プロセスに従って材料が確実に流れるようにプロセスライン上の全ての装置の動作を保守する制御ネットワーク(または、「分散制御システム」もしくは「DCS」)に連結する。DCSは、この目的のためにバルブアセンブリ102に対する動作パラメータを有する制御信号を生成する制御装置を含んでもよい。これらの動作パラメータは、弁座112に対する閉鎖部材110についての指令位置を定める。
【0011】
アクチェータ104は、閉鎖部材110の指令位置を設定するために材料の圧力に対して働く負荷を生成するように構成されてもよい。これらの構成は、空気装置を採用してもよいが、電気または電子装置(例えばモータ)も作動し得る。空気装置は、ハウジングの内部にダイヤフラムを有してもよい。動作時に、バルブポジショナ100は、ハウジングの内部のダイヤフラムに対して作用する圧力を変化させる空気信号として、ガスまたは「計器用空気」を送達し得る。空気信号に対するパラメータは、大部分が、閉鎖部材110に対する指令位置に左右される。
【0012】
バルブ106は、プロセスラインに流れる材料に対する流動パラメータを固定するように構成されてもよい。これらの構成は、パイプまたはパイプラインと結合するハードウェアを含むことが多い。このハードウェアの製造は、その組成および「相」、例えば、固体、流体、または固体/流体混合を含む材料の性質に適合させることが多い。閉鎖部材110は、流れを防ぐために弁座112に接触することができる、プラグ、ボール、またはバタフライ弁などの用具を具現化し得る。弁座112に対する閉鎖部材110の場所はさらには、ある程度の材料の流れがプロセスパラメータを満たすことを可能にする。
【0013】
動作ハードウェア114は、信号を処理しかつ生成するように構成されてもよい。これらの構成は、電気及びコンピューティング構成要素(例えば、プロセッサ、メモリ、実行可能命令など)を採用してもよい。これらの構成要素はまた、入ってくる計器用空気で動作する電空装置を含んでもよい。ディスプレイユニット116はバルブアセンブリ102の動作についての情報を伝えるための装置を含んでもよい。これらの装置は、エンドユーザに対する好ましい読み取り配向と一致する「デフォルト」の表示配向を有し得る。位置センサ118は、閉鎖部材110の測定位置を定めるデータを生成するために非接触モダリティ(例えば、磁石)を活用してもよい。これらのモダリティは、バルブポジショナ100をバルブアセンブリ102から容易に分離する(及びこれに設置する)ことを可能にするのに有用である。この特徴によって、保守が簡略化され、かつ、いくつかの応用では、専門技術者が、装置を修理する、アップグレードする、または保守するための作業の一部としてバルブポジショナ100を除去しかつ取り替えることが可能になる。動作時に、動作ハードウェア114は、DCS及びポジショナセンサ118からの制御信号を処理して、指令位置に閉鎖部材110を配置するようにアクチュエータ104を動作させる空気信号を設定することで、プロセスパラメータを満たすようにバルブ106を通る材料の流れを実現し得る。
【0014】
ハードストップリミット120は、閉鎖部材110の行程を管理するための値として構成されてもよい。これらの値は、弁座112に対する閉鎖部材110にとっての最大「行程」及び最小「行程」に相当し得る。動作ハードウェア114は、閉鎖部材110に対する測定位置をこれらの値と比較して、1つまたは複数の動作「モード」を始動させてもよい。「全開」モードによって、閉鎖部材110を上限Lに近接する弁座112からの最遠位置に到達させることになる。「気密遮断」モードにおいて、動作ハードウェア114は、「下」ハードストップリミットLを下回る指令位置に反応して(弁座112と接触する)その閉位置に閉鎖部材110を配置してもよい。例えば、下限Lが10%である場合、動作ハードウェア114は、閉鎖部材110が10%を下回る指令位置で弁座112と接触し、かつ10%を上回る指令位置に対して通常通り動作するように、空気信号を調節する。気密遮断モードは、弁座112に密接する閉鎖部材110で生じる動作状態を防止するのに有用である。これらの動作状態によって、作動流体は、バルブアセンブリ102の性能及び存続期間を劣化させる可能性がある摩耗及び損傷を引き起こし得る高い流量または速度で流れる。
【0015】
測定ユニット122は、動作ハードウェア114にデータを提供するように構成されてもよい。これらの構成は、バルブポジショナ100の配向に反応して信号を生成するセンサを具現化し得る。センサは、物体の傾斜または角度を表す(または測定する)データを生成することができる装置を含んでもよい。動作ハードウェア114は、バルブアセンブリ102の動作に悪影響をもたらす恐れがある配向の変化を考慮するためにこのデータを使用してもよい。例えば、動作ハードウェア114は、バルブポジショナ100の配向と無関係にディスプレイユニット120上での好ましい読み取り配向を保守し得る。この特徴によって、テキストまたはその他の視覚化がエンドユーザに対して「逆さま」に現れないようにすることができる。動作ハードウェア114は、確実に、装置が、ハードストップリミット120における適切な動作モードで動作するように配向を考慮し得る。この特徴によって、気密遮断モードでの(実際の下限116を上回る指令位置において)「早い」、または(実際の下限116を下回る指令位置において)「遅い」使用を防止することができる。
【0016】
図2図1のバルブポジショナ100の一例の概略図を示す。ディスプレイユニット116は、典型的には、英数字またはアイコンといった視覚化126を提供するLCDのようなディスプレイ124を含んでもよい。測定ユニット122は、基準132、典型的には垂直面または水平面に対してバルブポジショナ100の角度130を定めるデータを生成することができる加速度計128を含んでもよい。他の装置(例えば、傾斜計または傾きセンサ)も十分であり得る。角度130の値は、バルブアセンブリ102上のバルブポジショナ100に対する配向を表し得る。好ましくは、角度130の値は、およそゼロ度(0度)である。この値は、工場でのバルブアセンブリ102上へのバルブポジショナ100の組付けの結果であることが多い「デフォルト」の配向と一致する。しかしながら、角度130は、ゼロ度(0度)より大きいまたは小さい他の値を想定し得る。実際的に、これらの値は1度から5度までの範囲にあるが、この開示では、バルブポジショナ100の配向がまた、ある程度デフォルトの配向から外れる場合があることも考えられる。
【0017】
図3及び図4は、デフォルトの配向から角度オフセットされるバルブポジショナ100の例の概略図を示す。図3は、図2のデフォルトの配向に対して、180度、または基本的に「逆さま」であるオフセット配向のバルブポジショナ100を示す。この配向は、例えば、必要に応じて、プロセスライン上の設置点においてバルブアセンブリ102上にバルブポジショナ100を適正に取り付けるために、現場で生じる場合がある。特に、動作ハードウェア114は、ディスプレイ124上の情報に対する「デフォルト」の表示配向を保守する適切な調節を行うために(加速度計128からの)配向データを使用することができる。
【0018】
図4は、図2のデフォルトの配向に対してほんのわずかに傾いたバルブポジショナ100を示す。この配向は、バルブアセンブリ102上のバルブポジショナ100に対する「再取り付け」配向と合致し得る。再取り付け配向は、バルブアセンブリ102上のバルブポジショナ100を除去する(及び取り替える)ための保守に従ってもよい。このプロセスは、例えば、ハードウェア(またはソフトウェア)をアップグレードするために、プロセスライン上のバルブアセンブリ102から分離している必要がある場合がある。プロセスはこれらの更新によって「元の」バルブアセンブリを再利用し得る。しかしながら、場合によっては、プロセスでは、「元の」バルブポジショナ100(または「第1のバルブポジショナ」)を「新しい」バルブポジショナ100(または「第2のバルブポジショナ」)と取り替える。このプロセスは、「複製」としても既知の、第1のバルブポジショナから第2のバルブポジショナ上にデータを効果的にアップロードする動作と一致し得る。特に、本明細書における改善は、第1のバルブポジショナからの「複製」データを利用する第2のバルブポジショナの動作時の不良を回避するのに効果がある。これらの不良は、閉鎖部材110の測定位置を定めるデータにおいて生じ得るものであり、これによってさらには、全開モードまたは気密遮断モードのどちらかの使用が阻止される可能性がある。
【0019】
図5は、図1のバルブポジショナ100で使用のための位置センサ118に対する例示の構造の概略図を示す。この構造は、磁束センサ134を含んでもよいが、この開示では、超音波の、圧電の、または光学的な感度のあるような他の素子技術の使用も考えられる。磁束センサ134は、バルブポジショナ100にある動作ハードウェア114の構成要素として統合してもよい。バルブポジショナ100がバルブアセンブリ102上にある時、この構成要素は、バルブ106上の移動をバルブポジショナ100に伝える位置伝達ユニット136に接近している。位置伝達ユニット136の構成要素は、バルブポジショナ100と無関係である。この特徴は、バルブポジショナ100を本明細書に記した保守のためにバルブアセンブリ102から分離する(及びこれに取り替える)ことを可能にする。1つの実施態様では、位置伝達ユニット136は、バルブ軸108をバルブポジショナ100の内部の回転可能ユニット140と結合するリンク装置138(または移動を伝達することができる他の機構)を含んでもよい。回転可能ユニット140は、例えば180度で互いに環状にオフセットされる一対の磁石142を支持する環状ドラム142を含んでもよい。使用時に、リンク装置138によって、環状ドラム142はバルブ軸108と同時に回転する。磁束センサ130は環状ドラム138に近接して置かれることで、データが回転する磁石132からの極性の変化と合致するようにする。動作ハードウェア114は閉鎖部材110に対して位置を特定するためにこれらの変化を相関させてもよい。1つの実施態様では、磁束センサ134は、環状ドラム138に対する回転中心上でまたはこれと磁束センサ130を整合させるための、本明細書に示される第1の位置を想定してもよい。この第1の位置は、バルブアセンブリ102上のバルブポジショナ100に対するデフォルトの配向と合致することが多い。
【0020】
図6は、図5におけるこのデフォルトの配向からオフセットされるバルブポジショナ100の概略図を示す。磁束センサ134は、角度オフセット146で第1の位置からオフセットされる第2の位置を想定する。角度オフセット146の例は角度130と一致し得るが、これは、磁束センサ134が(動作ハードウェア114の一部として)バルブポジショナ100に装着されるまたは取り付けられるからである。使用時に、角度オフセット146は、磁束センサ134と環状ドラム140上の回転中心(C)との間の関係を変更する。特に、動作ハードウェア114は、ハードストップリミット120に近接する閉鎖部材110によって全開モードまたは気密遮断モードを実行するかどうかを判断するための算出時に角度オフセット146を考慮することができる。
【0021】
図7は、図1のバルブポジショナ100に対するトポロジの概略図を示す。動作ハードウェア114は、メモリ152と結合するプロセッサ150のようなコンピューティング構成要素を有する処理ユニット148を含んでもよい。実行可能命令154は、コンピューティング構成要素150、152の1つまたは両方に常駐してもよい。加速度計128及び磁束センサ134からのデータもメモリ152に常駐してもよい。実行可能命令154は、ソフトウェアまたはファームウェアのようなコンピュータプログラムとしてのこれらの段階の1つまたは複数をコード化してもよい。コンピュータプログラムは、バルブアセンブリ102上のバルブポジショナ100の角度130を特定しかつ補正するためにバルブポジショナ100の性能を改善することができる機能性に向けてプロセッサ150を構成してもよい。
【0022】
図8は、保守後の図1のバルブポジショナ100の配向を考慮する段階に応じた例示の方法200のフロー図を示す。これらの段階は、1つまたは複数の実行可能命令154に相関してもよい。1つの実施態様では、方法200は、段階202において、取り替えバルブポジショナのための加速度計からのオフセット角度の値と合致するデータを検索することを含んでもよい。この取り替えバルブポジショナは、とりわけ、ここに記した複製手順に関連するように、「新しい」ハードウェアまたは「更新済み」ハードウェアであってもよい。方法200はまた、段階204において、この値を、先に設置されたバルブポジショナに対するオフセット角度を表す基本角度値と比較することを含んでもよい。段階206において、方法200は、取り替えバルブポジショナの配向を補正する動作が必要であるかどうかを判断するための段階を含んでもよい。例えば、値がある閾値と同じであるまたはこの範囲内にある場合、(段階208において)必要とされる動作はない。値が異なる場合、方法200は、段階210において、オフセット値、例えば、オフセット角度と基本角度値との間の関係を反映する値を算出することを含んでもよい。方法200はまた、段階212において、バルブポジショナ100上の機能性を補正することを含んでもよく、このことは、段階214において、上ハードストップリミット及び下ハードストップリミットの値にオフセット値を適用すること、または、段階216において、ディスプレイ上の視覚化の配向を更新することを含んでもよい。
【0023】
図9は、分解組立図の形で、バルブポジショナ100に対する例示の構造の斜視図を示す。バルブポジショナ100は、典型的には、機械加工または成形金属、プラスチック、もしくは複合材料の、マニホルド本体158を有するマニホルド156を含んでもよい。マニホルド本体158は、マニホルド156の構成要素の間の流体を導くための流動特徴160(例えば、開口、流路など)を含んでもよい。スタンドオフ装置162は、電流/圧力コンバータのようなコンバータユニット164、及び継電器166をマニホルド本体158に装着するように動作してもよい。ユニット164、166は、空気信号をアクチュエータ104に送達するために共に作動する。さらに示されるように、バルブポジショナ100はまた、カバー(例えば、第1のカバー168及び第2のカバー170)として示される筐体を有してもよい。カバー168、170は、バルブアセンブリ102を取り囲む環境ではびこる状態から制御構成要素を保護するためにマニホルド本体158をしっかり留めてもよい。第2のカバー170はディスプレイ124を組み込んでもよく、さらには、プッシュボタン入力装置172は、エンドユーザ(例えば、専門技術者)がバルブポジショナ100と相互作用することを可能にするために主要なローカルユーザインターフェースとして動作してもよい。この特徴は、例えば、エンドユーザが、較正、構成、及び監視などの機能を手動で行うためにメニュー構造を通してバルブ動作モード及び工程から出ることを可能にするために、規則的な保守、構成、及びセットアップにとって重要であり得る。1つの実施態様では、バルブポジショナ100は、バルブポジショナ100がバルブアセンブリ102においてバルブ106を動作させるために使用する流体の流動条件(例えば、圧力、流量など)の指示を提供することができる、1つまたは複数のゲージ(例えば、第1のゲージ174及び第2のゲージ176)をさらに含んでもよい。
【0024】
図10は、バルブアセンブリ102に対する例示の構造の斜視図を示す。この構造は、化学生産、精製生産、及び資源抽出に重点を置く産業に典型的な産業プロセスラインにおけるプロセス流体を調整するのに有用である場合がある。示されるように、バルブ106は、フランジ状の開放端182による流路180を形成する流体継ぎ手178を含んでもよい。閉鎖部材110及び弁座112のようなバルブ構成要素は、流体継ぎ手178の内部に置かれてもよい(それゆえに、現在の図では隠れている)。アクチュエータ104は、典型的には、周囲に(示されない)ダイヤフラムを嵌め込むために縁部周りを締め付ける2つの部品を有する球状ハウジング184を含んでもよい。本明細書に記されるように、アクチュエータは、圧縮空気を、例えば、開位置、部分開位置、及び閉位置の間で弁座112に対して移動させるために閉鎖部材110の移動を加減する機械的負荷に変えることが多い。バルブポジショナ100は、バルブアセンブリ102の一部であるブラケット186にしっかりと固定し得る。ボルトなどの留め具はこの目的には有用である。装着されると、回転可能ユニット136はマニホルド164の後ろに及ぶ。
【0025】
前述の論述を考慮して、本明細書における実施形態は、ブラケット186上のバルブポジショナの配向または角度を測定するための装置を組み込む。これらの実施形態は、基本的には、確実に、エンドユーザがディスプレイ上の数字、文字、または他の標識に容易にアクセスしかつこれらを読み取ることができるように、確実に、データが配向と無関係に表示されるようにする。さらに記されるように、実施形態はまた、ある特定の動作モードまたは機能が確実に、正確な時間で生じるようにすることができる。この特徴は、弁座に非常に密接した閉鎖部材によって生じる恐れがある装置への損傷を防止し得る。提案された実施形態の技術的効果は、とりわけ、「複製」手順の一部として、保守及び修理を容易にするのに役立つ可能性がある改善された機能性を装置に与えることである。
【0026】
本明細書における回路構成のためのトポロジは、さまざまなハードウェアまたは電子部品を活用してもよい。このハードウェアは、基板、好ましくは、変動する設計の相互接続部を有する1つまたは複数の印刷回路基板(PCB)を採用し得るが、フレキシブル印刷回路基板、フレキシブル回路、セラミックベース基板、及びシリコンベース基板も満足させ得る。個別電気部品の集合体は、基板上に配設され得ることで、信号及びデータを処理しかつ生成するための回路または回路構成を効果的に形成する。個別電気部品の例には、トランジスタ、抵抗器、及びコンデンサ、ならびに、より複雑なアナログ及びデジタル処理構成要素(例えば、プロセッサ、データ記憶用メモリ、コンバータなど)が挙げられる。しかしながら、この開示は、ソリッドステート装置及び半導体装置のみならず、全機能チップまたはチップオンチップ、チップオンボード、システムオンチップ、及び同様の設計の使用を排除しない。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)及び特定用途向け集積回路(「ASIC」)などの他の論理装置が挙げられる。メモリは、揮発性及び不揮発性メモリを含み、ソフトウェア(またはファームウェア)命令及び構成設定の形式の及び/またはこれらを含む実行可能命令を記憶することができる。個別素子、回路、及び装置の全ては電気技術分野における当業者によって一般的に理解されるように個々に機能するが、これは、全般的に、本明細書に開示されかつ説明される概念を提供する機能的電気グループ及び回路へこれらを組み合わせること及び統合することである。
【0027】
本明細書では、例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、また、いかなる当業者でも、任意の装置またはシステムを作製しかつ使用すること、及び、任意の組み込まれた方法を実行することを含んで、本発明を実践することを可能にする。単数形で示され、かつ単語「a」または「an」が前に付いている要素または機能は、複数の上記の要素または機能を除外するものではないと理解されるべきであるが、ただし、そのような除外が明示的に示されている場合を除く。特許請求される発明の「1つの実施形態」への言及は、示される特徴も組み込む追加の実施形態の存在を除外するものと解釈されるべきではない。また、特許請求の範囲は、本発明の特許可能な範囲を定めるいくつかの例に過ぎない。この範囲は、当業者が想到する他の例を含みかつ検討するものであってもよい。このような他の例は、それらが請求項の文字通りの言葉と異ならない構成要素を有する場合、または、それらが請求項の文字通りの言葉と実体のない差異を有する等価な構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0028】
ある特定の要素または節を含む例が以下に現れるが、他の要素及び節と組み合わせられ得るこの要素及び句の1つまたは複数は、本開示の範囲及び趣旨の範囲内で考えられる実施形態を説明するものである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10