【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、請求項1の特徴を有する潤滑剤組成物によって解決される。更なる実施形態が従属請求項において開示される。
【0017】
更に、この目的は、請求項13の特徴を有する乾燥潤滑剤組成物によって解決される。
【0018】
請求項14は、防食潤滑剤、洗浄潤滑剤および/または成形潤滑剤としての金属ストリップ上への塗布のための潤滑剤組成物の改善された使用を提供する目的を解決する。
【0019】
第1の実施形態における、本発明に従う潤滑剤組成物は、防食潤滑剤、洗浄潤滑剤および/または成形潤滑剤としての金属ストリップ、例えば鋼ストリップまたはアルミニウムストリップ上への塗布のために提供される。有利には、本発明に従う潤滑剤組成物は、冷間洗浄除去され得るため、形成されたシート金属部品の前処理においてクリーニング浴槽を加熱するための装置ならびにエネルギーおよびコストが節約され得る。
【0020】
防食潤滑剤、洗浄潤滑剤および/または成形潤滑剤としての金属ストリップ上への塗布のための、冷間洗浄除去され得る本発明に従う潤滑剤組成物は、それぞれの場合に組成物の総重量に対して、
少なくとも2つのベース油であって、40℃でのその動粘度に関して異なり、40℃の動粘度が3〜700mm2/sである群Iおよび群IIのベース油から選択される少なくとも2つのベース油の混合物である50〜90wt%のベース流体であって、群IIIおよび群IVのベース油は、除外されない、ベース流体と、
3〜15wt%のスルホネートベースの腐食インヒビタと、
1〜20wt%のエステル成分と、
超高圧/耐摩耗添加剤としての
、ジアルキルハイドロゲンホスファイトを含む群から選択される0.5〜3wt%のリンキャリア成分であって、各アルキル残基は、飽和また不飽和であり、かつ14〜22個のC原子のオレイルアルコールエトキシレートホスフェート、ジメチルオクタデセニルホスホネートおよびトリアリールチオホスフェートを含む、リンキャリア成分、または硫化炭化水素、ラード油由来の硫黄ポリマー、過塩基化されたチオホスホン酸Na、Sエステル、オレイン酸メチルエステルのSエステル、アミノジアルキルジチオホスフェート、エチルヘキシルジチオリン酸Znを含む群から選択される1〜10wt%の硫黄キャリア成分と、
非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤または非イオン性および/もしくは陰イオン界面活性剤の混合物から選択される1〜15wt%の乳化剤と、
16〜22個のC原子を有するカルボン酸、もしくはトール油の不飽和脂肪酸の二量体化によって生成されるジカルボン酸であるダイマー酸、またはそれらの混合物から選択される0.05〜1wt%のカルボン酸成分と、
0.05〜1wt%のアミン系および/またはフェノール系抗酸化剤と、
パラフィンワックス、ヒマシ油誘導体、飽和および不飽和C16〜20脂肪酸の脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドである脂肪酸誘導体ならびにポリマー増粘剤を含む群から選択される0.5〜5wt%のワックス成分および/または増粘剤成分と
を含む。
【0021】
現在までの従来型と対照的に、本組成を有する潤滑剤は、実際に水性アルカリ性洗浄液で冷間洗浄除去され得、すなわち50℃をかなり下回る温度、特に室温で冷間洗浄除去され得る。
【0022】
好ましくは、潤滑剤組成物中のベース流体の割合は、組成物の総重量に対して55〜80wt%、特に好ましくは60〜70wt%となり得る。洗浄潤滑剤、圧延機塗布防食潤滑剤もしくはプレ潤滑油、または成形潤滑剤としての潤滑剤組成物の意図される塗布に応じて、ベース流体の選択および/または組成によって調整される種々の粘度が提供される。少なくとも2つのベース油であって、40℃でのその動粘度に関して異なり、40℃の動粘度が3〜700mm
2/sである群Iおよび群IIのベース油から主に選択される少なくとも2つのベース油の混合物
がベース流体として使用される
ため、所望の粘度が調整され得る。しかしながら、群IIIおよび群IVのベース油は、除外されない。粘度および互いに対する重量比に関して異なるベース油を選択することにより、組成物の40℃の動粘度は、5〜300mm
2/sの範囲で必要に応じて調整され得る。
【0023】
本発明に従う潤滑剤組成物は、作業プロセスにおいて、乳化する能力および潤滑作用と防食機能を組み合わせるプレ潤滑油潤滑剤として用いられ得る。防食潤滑剤として、本発明に従う組成物は、圧延機に用いられて保管および輸送中の金属ストリップを自己接着および腐食から保護する。任意に、更なる作業プラント、例えばプレスプラントにおいて、成形のための追加の潤滑剤を少なくとも所々に塗布することが必要とされ得る。この形成油潤滑剤または引抜油潤滑剤は、調整された粘度を有する本発明に従う組成物を含むこともできる。また、任意に必要とされる洗浄油は、変更された粘度を有する本発明に従う組成物であり得る。40℃の動粘度は、洗浄潤滑剤について5〜25mm
2/s、好ましくは8〜15mm
2/s、圧延機塗布防食剤またはプレ潤滑油について20〜120mm
2/s、好ましくは60〜100mm
2/s、および成形潤滑剤について60〜300mm
2/s、好ましくは130〜200mm
2/sの範囲で調整され得る。
【0024】
例えば、プレ潤滑油として用いるために、特に好ましい潤滑剤組成物のベース流体は、40℃の動粘度が700mm
2/sである第1のベース油および40℃の動粘度が40mm
2/sである第2のベース油を含み得る。100±10mm
2/sである40℃の動粘度を達成するために、ベース流体中における第1のベース油の第2のベース油に対する重量比は、3:1〜4:1に調整される。
【0025】
潤滑剤組成物のスルホネートベースの腐食インヒビタは、過塩基化されたスルホン酸Caおよび中性のスルホン酸Ca、過塩基化されたスルホン酸Naおよび中性のスルホン酸Na、ならびにそれらの混合物を含有する群から選択され、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの過塩基化されたスルホネートを含有する。好ましくは、組成物は、0.5〜5wt%の過塩基化されたスルホン酸Naおよび/または2〜10wt%の過塩基化されたスルホン酸Caを含有し得る。任意に、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの過塩基化されたスルホネートに加えて、1〜5wt%の中性のスルホン酸Caおよび/または1〜5wt%の中性のスルホン酸Naを含み得、これは、それぞれの場合、過塩基化されたスルホネートおよび任意に中性のスルホネートの重量割合が、合計で組成物の総重量に対して3〜15wt%のスルホネートベースの腐食インヒビタをもたらすことを条件とする。
【0026】
本発明に従う潤滑剤組成物にとって好ましいスルホネートの概念は、1〜5wt%の過塩基化されたスルホン酸Naおよび3〜5wt%の過塩基化されたスルホン酸Caを含む。特に好ましくは、組成物は、1.5wt%の過塩基化されたスルホン酸ナトリウムおよび3.5wt%の過塩基化されたスルホン酸カルシウムを腐食インヒビタとして含み得る。
【0027】
代替のスルホネートの概念は、1〜5wt%の過塩基化されたスルホン酸Naおよび3〜5wt%の過塩基化されたスルホン酸Caに加えて、1〜5wt%の中性のスルホン酸Caを提供する。好ましくは、このスルホネートの概念は、1.5wt%の過塩基化されたスルホン酸Na、3.5wt%の過塩基化されたスルホン酸Caおよび3wt%の中性のスルホン酸Caを含む。
【0028】
更に代替の組成物は、3〜6wt%、好ましくは4.6wt%の過塩基化されたスルホン酸Naのみ、または3〜10wt%、好ましくは5.2wt%の過塩基化されたスルホン酸Caのみを含む。
【0029】
特定の重量割合は、それぞれの場合に組成物の総重量に関する。
【0030】
更に、本発明に従う潤滑剤組成物は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体およびアミンを含む群から選択される、組成物の総重量に対して0.05〜1.7wt%の少なくとも1つの更なるインヒビタ成分を含み得る。組成物中の更なるインヒビタ成分は、0.05〜0.2wt%のトリアゾール、好ましくは0.1wt%のベンゾトリアゾールもしくは水溶性ベンゾトリアゾール誘導体、および/または0.1〜1.5wt%のアミン、好ましくはトリアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミンから選択され得る。
【0031】
潤滑剤組成物のエステル成分は、それぞれ組成物の総重量に対して10〜20wt%の脂肪酸エステルまたは1〜5wt%の羊毛脂エステルであり得る。好ましくは、本発明に従う組成物は、組成物の総重量に対して15wt%の脂肪酸エステルを含み得る。
【0032】
好ましい潤滑剤組成物は、超高圧/耐摩耗添加剤として、割合が組成物の総重量に対して特に2wt%となるリン成分を含む。リンキャリア成分は、ジアルキルハイドロゲンホスファイトであって、各アルキル残基は、飽和または不飽和であり、かつ14〜22個のC原子を含む、ジアルキルハイドロゲンホスファイト、例えばジオレイルハイドロゲンホスファイトである。
【0033】
水性クリーナによる改善されたクリーニング除去作用を確実にする乳化剤は、非イオン性界面活性剤、特に脂肪アルコールアルコキシレートから選択され得る。好ましい脂肪アルコールエトキシレートは、16〜18個のC原子を有する脂肪アルコールをベースとし、かつ2〜5モルのアルコキシル化度またはエトキシル化度を含む。また、例えばアルコキシル化度に関して異なる、様々な非イオン性界面活性剤または脂肪アルコールアルコキシレートの混合物が用いられ得る。また、プロポキシル化された脂肪アルコールまたはエトキシル化されかつプロポキシル化された混合脂肪アルコールが乳化剤として使用され得る。
【0034】
代替または追加の乳化剤として、陰イオン界面活性剤、例えばアルキルエーテルカルボン酸またはリン酸エステルが使用され得る。アルキルエーテルカルボン酸のうち、C
14〜22脂肪アルコールポリエチレングリコールエーテルカルボン酸が好ましく、これは、飽和または不飽和であり得る。リン酸エステルとして、アルコキシル化された脂肪アルコールリン酸エステル、好ましくは16〜18個のC原子および例えば5モルのエトキシル化度を有する飽和脂肪アルコールまたは不飽和脂肪アルコールのリン酸エステルが考えられ得る。しかし、ここでも、逸脱したエトキシル化度を有する脂肪アルコール、またはプロポキシル化された脂肪アルコールもしくはプロポキシル化されかつエトキシル化された混合脂肪アルコールのリン酸エステルが考えられ得る。
【0035】
各乳化剤成分の割合は、単独でまたは混合して、乳化剤の総含有量が15wt%以下であることを条件として組成物の総重量に対してそれぞれ1〜5wt%となる。
【0036】
本発明に従う好ましい組成物は、乳化剤として、組成物の総重量に対して7.5wt%の脂肪アルコールアルコキシレート混合物を含み、脂肪アルコールアルコキシレート混合物は、特に、5モルのエトキシル化度を有する5wt%のC
16〜18脂肪アルコールおよび2モルのエトキシル化度を有する2.5wt%のC
16〜18脂肪アルコールで構成される。
【0037】
潤滑剤組成物のカルボン酸成分は、16〜22個のC原子を有する飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸、例えばトール油脂肪酸、オレイン酸およびベヘン酸、またはトール油からの不飽和脂肪酸の二量体化によって生成されるジカルボン酸であるダイマー酸で構成され得る。それらの混合物も考えられ得る。好ましい組成物は、組成物の総重量に対して0.5wt%のトール油脂肪酸を含み得る。脂肪酸含有量が高くかつ樹脂酸の含有量が低いトール油脂肪酸が好ましい。
【0038】
本発明に従う潤滑剤組成物中に含まれるアミン系抗酸化剤は、N−フェニルベンゼンアミンの2,4,4−トリメチルペンテン(Irganox(登録商標)L57)との反応生成物であり得る。フェノール系抗酸化剤は、例えば、オクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(Irganox(登録商標)L135)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(登録商標)L107)から選択され得る。好ましい組成物は、組成物の総重量に対して0.25wt%のアミン系抗酸化剤および0.25wt%のフェノール系抗酸化剤、好ましくはオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメートを含み得る。
【0039】
本発明に従う潤滑剤組成物のワックスおよび/または増粘剤成分は
− パラフィンワックス、
− ヒマシ油誘導体、特に水添ヒマシ油をベースとするチキソトロピック増粘剤、
− 脂肪酸誘導体、特にC16〜20の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミド、例えば12−ヒドロキシステアリン酸メチル、ステアリン酸オクタデシルまたは精製オレイン酸アミド、
− ポリマー、例えばブロックポリマー、特にスチレンおよびエチレン/ブチレン(PS−PE/PB−PS)ならびに30%のPSをベースとする直鎖状トリブロックコポリマー、鉱油中のポリメタクリレートおよび低分子ポリイソブタン(Pib 1300)
から選択され得る。
【0040】
好ましい組成物は、ワックスおよび/または増粘剤成分として、64〜66℃の凝固点を有する3wt%のパラフィンワックスを含み得る。
【0041】
本発明に従う更なる組成物は、ホットメルトとも呼ばれる乾燥潤滑剤に関し、ベース流体の代わりにワックスが用いられる。ホットメルト組成物は、金属ストリップ上への塗布のための防食潤滑剤またはプレ潤滑油として加熱され、および任意に水性分散系として用いられ得るが、依然として本発明に従う組成物中で冷間クリーニング除去され得る。冷間洗浄除去され得る乾燥潤滑剤組成物は、それぞれの場合に組成物の総重量に対して、
35〜75℃の融点範囲を有し、かつポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、エステル、エステルエトキシレート、カルボン酸エトキシレート、エーテルカルボン酸ならびにそのアルカリ性およびアルカリ土類石鹸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオールエステルおよびそのエトキシレート、ソルビトールエステルおよびそのエトキシレート、アルコールおよびそのエトキシレート、脂肪アルコールおよびそのエトキシレート、パラフィンワックス、ヒマシ油誘導体、飽和および不飽和C16〜20脂肪酸の脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドから選択される脂肪酸誘導体を含む群から選択される10〜90wt%のワックス成分と、
3〜15wt%のスルホネートベースの腐食インヒビタと、
トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体およびアミンを含む群から選択される0.05〜1.7wt%の少なくとも1つの更なるインヒビタ成分と、
超高圧/耐摩耗添加剤としての、
超高圧/耐摩耗添加剤としての、ジアルキルハイドロゲンホスファイトを含む群から選択される0.5〜3wt%のリンキャリア成分
であって、各アルキル残基は、飽和または不飽和であり、かつ14〜22個のC原子のオレイルアルコールエトキシレートホスフェート、ジメチルオクタデセニルホスホネートおよびトリアリールチオホスフェートを含む、リンキャリア成分、または硫化炭化水素、ラード油由来の硫黄ポリマー、過塩基化されたチオホスホン酸Na、Sエステル、オレイン酸メチルエステルのSエステル、アミノジアルキルジチオホスフェート、エチルヘキシルジチオリン酸Znを含む群から選択される1〜10wt%の硫黄キャリア成分と、
非イオン性界面活性剤もしくは陰イオン界面活性剤または非イオン性および/もしくは陰イオン界面活性剤の混合物から選択される0〜15wt%の乳化剤
であって、乳化剤の添加は、ワックス成分が、ソルビタントリステアレートエトキシレートおよびソルビタンモノステアレートエトキシレートから選択されるソルビタンエステルエトキシレートを含む場合に省かれ得る、乳化剤と、
16〜22個のC原子を有するカルボン酸、もしくはトール油の不飽和脂肪酸の二量体化によって生成されるジカルボン酸であるダイマー酸、またはそれらの混合物から選択される0.05〜1wt%のカルボン酸成分と、
0.05〜1wt%のアミン系および/またはフェノール系抗酸化剤と
を含む。
【0042】
ワックス成分の割合に応じて、ベース流体の添加は、任意に、組成物の100wt%への補足として必要とされ得る。これは、少なくとも2つのベース油であって、40℃でのその動粘度に関して異なり、40℃の動粘度が3〜700mm2/sである群Iおよび群IIのベース油から選択される少なくとも2つのベース油の混合物であり、群IIIおよび群IVのベース油は、除外されない。
【0043】
ワックス成分は、35〜75℃、好ましくは40〜70℃の融点範囲を有し、かつポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、エステル、エステルエトキシレート、カルボン酸エトキシレートもしくはカルボン酸エーテルまたはそのアルカリ性およびアルカリ土類石鹸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオールエステルもしくはソルビトールエステルまたはそれらのエトキシレート、アルコールもしくは脂肪アルコールまたはそれらのエトキシレートであり得るかまたはこれらを含み得る1つまたはいくつかの有機成分から選択される。
【0044】
例として、ポリエチレングリコール1500、2000および4000、ポリアルキレングリコールエステル、トリステアリン酸ソルビタン、ソルビタントリステアレートエトキシレート、モノステアリン酸ソルビタン、ソルビタンモノステアレートエトキシレート、ステアリルアルコール、ステアリルセチルアルコール、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸メチル、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、PEG1500モノステアレート、ペンタエリトリ
トールテトラステアレートがある。
【0045】
また、上述のワックス成分の組合せ、例えばトリステアリン酸ソルビタンおよびソルビタントリステアレートエトキシレート(例えば、40:60の比率)またはモノステアリン酸ソルビタンおよびソルビタンモノステアレートエトキシレート(例えば、75:25の比率)が考えられ得る。しかしながら、上述のワックス成分の他の組合せも考えられ得る。
【0046】
それ自体が乳化作用を有する固形のワックス成分または増粘剤(例えば、上述のソルビタンエトキシレート)の場合、任意に、液体の乳化剤の添加が省かれ得る。
【0047】
乾燥潤滑剤組成物の一実施形態は、ワックス成分として、7.5wt%のトリステアリン酸ソルビタンおよび7.5wt%のソルビタントリステアレートエトキシレート(20 EO)の混合物が用いられ、および残りの成分が先に示されるように含有される、すなわち乳化剤が省かれ得ると定めることができる。ここで、ベース油は、組成物の100wt%に補充するために加えられる。
【0048】
ワックス成分は、本発明に従う上述の潤滑剤組成物の場合のように、
− パラフィンワックス、
− ヒマシ油誘導体、特に水添ヒマシ油をベースとするチキソトロピック増粘剤、
− 脂肪酸誘導体、特にC16〜20の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミド、例えば12−ヒドロキシステアリン酸メチル、ステアリン酸オクタデシルまたは精製オレイン酸アミド
から更に選択され得る。
【0049】
また、様々なワックス成分が混合されて所望の特性を乾燥潤滑剤組成物に与え得る。
【0050】
乾燥潤滑剤組成物の更なる実施形態において、更なる成分は、本発明に従う潤滑剤組成物の上述の本明細書に従って具体化され得る。
【0051】
本出願において、本発明に従う潤滑剤組成物は、防食潤滑剤、洗浄潤滑剤および/または成形潤滑剤ならびに防食潤滑剤またはプレ潤滑油としての乾燥潤滑剤組成物として記載される。防食剤またはプレ潤滑油および乾燥潤滑剤組成物として具体化される本発明に従う潤滑剤組成物は、圧延機において、およびプレスプラントにおける洗浄潤滑剤および成形潤滑剤に用いられる。防食剤またはプレ潤滑油、洗浄潤滑剤および成形潤滑剤は、そのような潤滑剤に関する同義的に使用される全ての用語を含むと理解されるべきである。防食剤は、例えば、防食油など、およびプレ潤滑油、例えば成形特性などを有する防食油と呼ばれ得る。また、乾燥潤滑剤は、ホットメルト、ホットメルト乾燥潤滑油、乾燥潤滑油または乾燥潤滑剤の用語によっても言及される。また、洗浄潤滑剤は、例えば、洗浄油または油状の洗浄流体とも呼ばれ、およびまた成形潤滑剤は、引抜油、成形潤滑剤、引抜潤滑剤、更なる潤滑剤などを意味する。
【0052】
同様に本発明に従う潤滑剤組成物の本発明に従う使用は、金防食潤滑剤、洗浄潤滑剤および/または成形潤滑剤としての属ストリップ上への塗布に関する。
潤滑剤組成物は、金属ストリップ上への潤滑剤組成物の塗布によって形成されるフィルムをアルカリ性水性クリーナで冷間洗浄除去することを可能にする。本発明に従う潤滑剤組成物中に含まれる乳化剤は、金属ストリップのクリーニング中にアルカリ性水性クリーナ中に導入されるため、後者の界面活性剤成分は、少ない量に一新されなければならない。すなわち、アルカリ性水性クリーナの界面活性剤濃度は、潤滑剤組成物の乳化剤含有量に対して調整される。
【0053】
更なる実施形態およびそれらに関連する一部の利点は、以下の詳細な説明に基づき、図を参照して明らかとなりかつよりよく理解されるであろう。