(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記摺動部材が移動してくる際に、前記摺動部材により選択される前記第2の切換電極における、前記摺動部材が近づいてくる側となる端部が、前記摺動部材により選択される前記第1の切換電極における、前記摺動部材が近づいてくる側となる端部よりも、前記摺動部材に近い側に位置している
ことを特徴とする請求項3に記載の多点切換装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1実施形態〕
以下、
図1〜
図3を参照して、第1実施形態について説明する。
【0009】
(多点切換装置100の構成)
図1は、第1実施形態に係る多点切換装置100を示す平面図である。
図1に示す多点切換装置100は、外部装置に繋がる第1の配線11と第2の配線12との間に介在する装置である。この多点切換装置100は、摺動部材150をスライド移動させて、第1の共通電極110の電気的な接続先として、切換電極121〜125のいずれかを選択することにより、第1の配線11と第2の配線12との間の抵抗値を変化させて、外部装置の動作を、多段階(5段階)に切換えることが可能である。なお、以降の説明では、便宜上、摺動部材150の移動方向(図中Y軸方向)を前後方向とし、摺動部材150の移動方向と直交する方向(図中X軸方向)を左右方向とする。
【0010】
図1に示すように、多点切換装置100は、基板101、第1の共通電極110、切換電極(第1の切換電極)121〜125、抵抗器R1〜R4、切換電極(第2の切換電極)131〜134、第2の共通電極140、コンデンサC1、および摺動部材150を備えて構成されている。
【0011】
基板101は、その他の複数の構成部材が表面上に配置される、薄板状の部材である。基板101には、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の素材が用いられる。
図1に示す例では、基板101は、平面視したときの形状として、前後方向(図中Y軸方向)を長手方向とする長方形状を有しているが、基板101の形状はこれに限らない。
【0012】
第1の共通電極110は、基板101の表面上において、前後方向(図中Y軸方向)に直線状に延伸する、薄膜状且つ導電性を有する部材である。第1の共通電極110には、例えば、銅等の金属部材が用いられる。
図1に示す例では、第1の共通電極110は、平面視したときの形状として、前後方向(図中Y軸方向)を長手方向とする細長の長方形状を有しているが、第1の共通電極110の形状はこれに限らない。
【0013】
切換電極121〜125は、基板101の表面上、且つ、第1の共通電極110の右側方において、第1の共通電極110の長辺に沿って(すなわち、第1の共通電極110と平行に)、一定の間隔を有して、一直線状に列をなして並べて配置されている。切換電極121〜125の各々は、薄膜状且つ導電性を有する部材である。切換電極121〜125の各々には、例えば、銅等の金属部材が用いられる。
図1に示す例では、切換電極121〜125の各々は、平面視したときの形状として、矩形状を有しているが、切換電極121〜125の各々の形状はこれに限らない。
【0014】
抵抗器R1〜R4は、特許請求の範囲に記載の「電子部品」の一例である。抵抗器R1は、その一端が切換電極121と接続されており、その他端が切換電極122と接続されている。また、抵抗器R2は、その一端が切換電極122と接続されており、その他端が切換電極123と接続されている。また、抵抗器R3は、その一端が切換電極123と接続されており、その他端が切換電極124と接続されている。また、抵抗器R4は、その一端が切換電極124と接続されており、その他端が切換電極125と接続されている。抵抗器R1〜R4の各々には、多点切換装置100の使用目的に応じた所定の抵抗値のものが用いられる。
【0015】
切換電極131〜134は、基板101の表面上、且つ、切換電極121〜125がなす列の右側方において、切換電極121〜125がなす列に沿って(すなわち、切換電極121〜125がなす列と平行に)、一定の間隔を有して、一直線状に列をなして並べて配置されている。具体的には、切換電極131は、切換電極121の右側方に配置されており、配線によって切換電極122に接続されている。また、切換電極132は、切換電極122の右側方に配置されており、配線によって切換電極123に接続されている。また、切換電極133は、切換電極123の右側方に配置されており、配線によって切換電極124に接続されている。また、切換電極134は、切換電極124の右側方に配置されており、配線によって切換電極125に接続されている。切換電極131〜134の各々は、薄膜状且つ導電性を有する部材である。切換電極131〜134の各々には、例えば、銅等の金属部材が用いられる。
図1に示す例では、切換電極131〜134の各々は、平面視したときの形状として、矩形状を有しているが、切換電極131〜134の各々の形状はこれに限らない。
【0016】
第2の共通電極140は、基板101の表面上、且つ、切換電極131〜134がなす列の右側方において、切換電極131〜134がなす列に沿って(すなわち、切換電極131〜134がなす列と平行に)、前後方向(図中Y軸方向)に直線状に延伸する、薄膜状且つ導電性を有する部材である。第2の共通電極140には、例えば、銅等の金属部材が用いられる。
図1に示す例では、第2の共通電極140は、平面視したときの形状として、前後方向(図中Y軸方向)を長手方向とする細長の長方形状を有しているが、第2の共通電極140の形状はこれに限らない。
【0017】
コンデンサC1は、第1の共通電極110と第2の共通電極140との間に、電気的に直列接続されている。コンデンサC1は、特許請求の範囲に記載の「共通保護部品」の一例である。コンデンサC1は、摺動部材150の切換位置に応じて、抵抗器R1〜R4のいずれかと電気的に並列接続されるものであり、抵抗器R1〜R4の静電破壊を防ぐために設けられたものである。したがって、コンデンサC1には、抵抗器R1〜R4に流れ得る静電気を受け容れることが可能な、十分な静電容量および耐圧を有するものを用いることが好ましい。
【0018】
摺動部材150は、上記した各電極(第1の共通電極110、切換電極121〜125、切換電極131〜134、および第2の共通電極140)の上方(図中Z軸正方向)において、前後方向(図中Y軸方向)にスライド移動可能に設けられている部材である。摺動部材150は、左右方向(図中X軸方向)において、第1の共通電極110から第2の共通電極140に至る長さを有している。摺動部材150の底面(上記した各電極と対向する面)には、第1の摺動子151および第2の摺動子152が露出して設けられている。なお、第1の摺動子151と第2の摺動子152とは電気的に接続されていない。
【0019】
第1の摺動子151は、左右方向(図中X軸方向)において、第1の共通電極110から切換電極121〜125がなす列に至る長さを有している。第1の摺動子151は、摺動部材150の前後方向へのスライド移動に伴い、第1の共通電極110に常に接触しながら、第1の共通電極110および切換電極121〜125がなす列上を、前後方向にスライド移動する。そして、第1の摺動子151は、切換電極121〜125のいずれかと対向したとき、当該対向する切換電極にさらに接触し、これにより、第1の共通電極110を、当該対向する切換電極に電気的に接続する。
【0020】
第2の摺動子152は、特許請求の範囲に記載の「導電部」の一例である。第2の摺動子152は、左右方向(図中X軸方向)において、切換電極131〜134がなす列から第2の共通電極140に至る長さを有している。第2の摺動子152は、摺動部材150の前後方向へのスライド移動に伴い、第2の共通電極140に常に接触しながら、第2の共通電極140および切換電極131〜134がなす列上を、前後方向にスライド移動する。そして、第2の摺動子152は、切換電極131〜134のいずれかと対向したとき、当該対向する切換電極にさらに接触し、これにより、第2の共通電極140を、当該対向する切換電極に電気的に接続する。
【0021】
摺動部材150は、5つの切換え位置(第1の切換位置〜第5の切換位置)に移動し得る。第1の切換位置は、摺動部材150によって選択される第1の切換電極が切換電極121となる位置であり、第1の摺動子151が切換電極121に接触し、第1の共通電極110と切換電極121とが電気的に接続される位置である。なお、第1の切換位置は、摺動部材150によって選択される第2の切換電極が切換電極131となる位置であり、第2の摺動子152が切換電極131に接触し、第2の共通電極140と切換電極131とが電気的に接続される位置でもある。
【0022】
第2の切換位置は、摺動部材150によって選択される第1の切換電極が切換電極122となる位置であり、第1の摺動子151が切換電極122に接触し、第1の共通電極110と切換電極122とが電気的に接続される位置である。なお、第2の切換位置は、摺動部材150によって選択される第2の切換電極が切換電極132となる位置であり、第2の摺動子152が切換電極132に接触し、第2の共通電極140と切換電極132とが電気的に接続される位置でもある。
【0023】
第3の切換位置は、摺動部材150によって選択される第1の切換電極が切換電極123となる位置であり、第1の摺動子151が切換電極123に接触し、第1の共通電極110と切換電極123とが電気的に接続される位置である。なお、第3の切換位置は、摺動部材150によって選択される第2の切換電極が切換電極133となる位置であり、第2の摺動子152が切換電極133に接触し、第2の共通電極140と切換電極133とが電気的に接続される位置でもある。
【0024】
第4の切換位置は、摺動部材150によって選択される第1の切換電極が切換電極124となる位置であり、第1の摺動子151が切換電極124に接触し、第1の共通電極110と切換電極124とが電気的に接続される位置である。なお、第4の切換位置は、摺動部材150によって選択される第2の切換電極が切換電極134となる位置であり、第2の摺動子152が切換電極134に接触し、第2の共通電極140と切換電極134とが電気的に接続される位置でもある。
【0025】
第5の切換位置は、摺動部材150によって選択される第1の切換電極が切換電極125となる位置であり、第1の摺動子151が切換電極125に接触し、第1の共通電極110と切換電極125とが電気的に接続される位置である。
【0026】
(多点切換装置100の切換え動作の一例)
図2は、第1実施形態に係る多点切換装置100の切換え動作の一例を示す図である。ここでは、摺動部材150を、第1の切換位置から第2の切換位置へ移動させることにより、摺動部材150によって選択される第1の切換電極を、切換電極121から切換電極122へ切り換える例を説明する。
【0027】
図2Aは、多点切換装置100において、摺動部材150が第1の切換位置に位置している状態を示している。この状態において、摺動部材150の第1の摺動子151は、第1の共通電極110と切換電極121との双方に接触している。これにより、第1の共通電極110と切換電極121とが、電気的に接続されている。このとき、第1の共通電極110に接続された第1の配線11と、切換電極125に接続された第2の配線12との間の抵抗値は、切換電極121よりも後段に設けられている全ての抵抗器の抵抗値の合算値(R1+R2+R3+R4)となる。これにより、第1の配線11と第2の配線12とに繋がる外部装置の動作を、この合算値(R1+R2+R3+R4)に応じた動作に切り換えることが可能となる。
【0028】
また、摺動部材150が第1の切換位置に位置しているとき、摺動部材150の第2の摺動子152は、第2の共通電極140と切換電極131との双方に接触する。これにより、切換電極122が、切換電極131、第2の摺動子152、第2の共通電極140を介して、コンデンサC1に接続される。すなわち、切換電極121と切換電極122との間において、抵抗器R1とコンデンサC1とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極121への電気経路上において発生した静電気は、切換電極121にその一端が接続されている抵抗器R1に流れることなく、コンデンサC1へ流れることとなり、抵抗器R1の静電破壊が回避されることとなる。
【0029】
図2Bは、多点切換装置100において、摺動部材150が第2の切換位置に位置している状態を示している。この状態において、摺動部材150の第1の摺動子151は、第1の共通電極110と切換電極122との双方に接触している。これにより、第1の共通電極110と切換電極122とが、電気的に接続されている。このとき、第1の共通電極110に接続された第1の配線11と、切換電極125に接続された第2の配線12との間の抵抗値は、切換電極122よりも後段に設けられている全ての抵抗器の抵抗値の合算値(R2+R3+R4)となる。これにより、第1の配線11と第2の配線12とに繋がる外部装置の動作を、この合算値(R2+R3+R4)に応じた動作に切り換えることが可能となる。
【0030】
また、摺動部材150が第2の切換位置に位置しているとき、摺動部材150の第2の摺動子152は、第2の共通電極140と切換電極132との双方に接触する。これにより、切換電極123が、切換電極132、第2の摺動子152、第2の共通電極140を介して、コンデンサC1に接続される。すなわち、切換電極122と切換電極123との間において、抵抗器R2とコンデンサC1とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極122への電気経路上において発生した静電気は、切換電極122にその一端が接続されている抵抗器R2に流れることなく、コンデンサC1へ流れることとなり、抵抗器R2の静電破壊が回避されることとなる。
【0031】
なお、摺動部材150が第3の切換位置に位置しているときも同様に、切換電極123にその一端が接続されている抵抗器R3とコンデンサC1とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極123への電気経路上において発生した静電気は、抵抗器R3に流れることなく、コンデンサC1へ流れることとなり、抵抗器R3の静電破壊が回避されることとなる。
【0032】
さらに、摺動部材150が第4の切換位置に位置しているときも同様に、切換電極124にその一端が接続されている抵抗器R4とコンデンサC1とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極124への電気経路上において発生した静電気は、抵抗器R4に流れることなく、コンデンサC1へ流れることとなり、抵抗器R4の静電破壊が回避されることとなる。
【0033】
(第1の切換電極と第2の切換電極との形状的な差異)
図3は、第1実施形態に係る多点切換装置100の一部拡大図である。第1実施形態に係る多点切換装置100では、静電気をコンデンサC1に迂回させることができるだけでなく、静電気が抵抗器R1〜R4に流れてしまうことなく、より確実にコンデンサC1に迂回させることができるように、互いに隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極(すなわち、摺動部材150によって選択される第1の切換電極と、摺動部材150によって選択される第2の切換電極)との形状を互いに異ならせている。具体的には、第1実施形態に係る多点切換装置100において、互いに左右方向(図中X軸方向)に隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極との関係においては、以下に示す形状的な差異を有する。
【0034】
・第2の切換電極は、第1の切換電極よりも前後方向(図中Y軸方向)の長さが長い
・第2の切換電極の前端は、第1の切換電極の前端よりも前方に位置している。
【0035】
・第2の切換電極の後端は、第1の切換電極の後端よりも後方に位置している。
【0036】
例えば、
図3の例において、第2の切換電極である切換電極132は、第1の切換電極である切換電極122よりも、前後方向(図中Y軸方向)の長さが長くなっている。また、切換電極132の前端は、切換電極122の前端よりも前方に位置している。また、切換電極132の後端は、切換電極122の後端よりも後方に位置している。
【0037】
これにより、
図3に示すように、摺動部材150が第2の切換位置に前方から移動してきたとき、摺動部材150の第1の摺動子151が切換電極122に接触する前に、摺動部材150の第2の摺動子152が切換電極132に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が切換電極122に接触するときには、既にコンデンサC1が切換電極123と電気的に接続された状態となっているため、切換電極122への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC1へ迂回させることができる。
【0038】
また、摺動部材150が第2の切換位置に後方から移動してきたときも同様に、摺動部材150の第1の摺動子151が切換電極122に接触する前に、摺動部材150の第2の摺動子152が切換電極132に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が切換電極122に接触するときには、既にコンデンサC1が切換電極123と電気的に接続された状態となっているため、切換電極122への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC1へ迂回させることができる。
【0039】
(各電極および各摺動子の形状の第1具体例)
図4は、第1実施形態に係る多点切換装置100における各電極および各摺動子の形状の第1具体例を示す図である。この第1具体例では、第1実施形態に係る多点切換装置100において、摺動部材150が前後方向(図中Y軸方向)に直線移動する構成を採用した場合に適用され得る、各電極および各摺動子の形状を例示する。
【0040】
(第1の摺動子151の形状)
図4に示す第1具体例において、摺動部材150の第1の摺動子151は、左右方向(図中X軸方向)に互いに平行に並設された、第1の摺動部151a、第2の摺動部151b、第3の摺動部151c、および第4の摺動部151dを有している。第1の摺動部151a、第2の摺動部151b、第3の摺動部151c、および第4の摺動部151dは、いずれも前後方向(図中Y軸方向)に延伸する細長形状を有し、且つ、ばね性を有する、薄板状の部材である。第1の摺動部151aおよび第2の摺動部151bは、摺動部材150の移動に伴い、その先端部分において第1の共通電極110に接触しながら、第1の共通電極110上を移動する部分である。第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dは、摺動部材150の移動に伴い、切換電極121〜125がなす列上を移動しつつ、その先端部分において切換電極121〜125のいずれかに接触する部分である。第1の摺動子151においては、第1の摺動部151aおよび第2の摺動部151bの末端部と、第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの末端部とが、物理的且つ電気的に接続されている。
【0041】
(第2の摺動子152の形状)
また、
図4に示す第1具体例において、摺動部材150の第2の摺動子152は、左右方向(図中X軸方向)に互いに平行に並設された、第1の摺動部152a、第2の摺動部152b、第3の摺動部152c、および第4の摺動部152dを有している。第1の摺動部152a、第2の摺動部152b、第3の摺動部152c、および第4の摺動部152dは、いずれも前後方向(図中Y軸方向)に延伸する細長形状を有し、且つ、ばね性を有する、薄板状の部材である。第1の摺動部152aおよび第2の摺動部152bは、摺動部材150の移動に伴い、切換電極131〜134がなす列上を移動しつつ、その先端部分において切換電極131〜134のいずれかに接触する部分である。第3の摺動部152cおよび第4の摺動部152dは、摺動部材150の移動に伴い、その先端部分において第2の共通電極140に接触しながら、第2の共通電極140上を移動する部分である。第2の摺動子152においては、第1の摺動部152aおよび第2の摺動部152bの末端部と、第3の摺動部152cおよび第4の摺動部152dの末端部とが、物理的且つ電気的に接続されている。
【0042】
(各電極の形状)
また、
図4に示す第1具体例において、各電極は、摺動部材150の移動方向に沿った直線的な形状および配置となっている。具体的には、第1の共通電極110および第2の共通電極140は、摺動部材150の移動方向である前後方向(図中Y軸方向)に直線状に延伸する、細長の長方形状を有している。また、切換電極121〜125および切換電極131〜134は、摺動部材150の移動方向である前後方向(図中Y軸方向)に直線状に並設されており、いずれも長方形状を有している。
【0043】
図4に示す第1具体例の構成により、摺動部材150を前後方向(図中Y軸方向)に直線移動させることによって、当該摺動部材150を、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々に移動させることができる。そして、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々において、第1の摺動子151によって、第1の共通電極110を第1の切換電極に電気的に接続させることができる。これとともに、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第2の摺動子152によって、第2の共通電極140を第2の切換電極に電気的に接続させることができる。すなわち、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器に対して、コンデンサC1を電気的に並列接続することができる。したがって、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、コンデンサC1へ迂回させることができ、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器の静電破壊を回避することができる。
【0044】
図4に示す第1具体例の構成において、互いに隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極とに着目すると、第2の切換電極は、前後方向(図中Y軸方向)の長さが、第1の切換電極よりも長くなっている。そして、第2の切換電極の前端は、第1の切換電極の前端よりも前方に位置しており、第2の切換電極の後端は、第1の切換電極の後端よりも後方に位置している。これにより、摺動部材150が前方から移動してきたとき、摺動部材150の第1の摺動子151が第1の切換電極の前端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150の第2の摺動子152が第2の切換電極の前端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。また、摺動部材150が後方から移動してきたときも、摺動部材150の第1の摺動子151が第1の切換電極の後端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150の第2の摺動子152が第2の切換電極の後端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が第1の切換電極に接触するときには、既にコンデンサC1が第2の切換電極と電気的に接続された状態となっているため、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC1へ迂回させることができる。
【0045】
(各電極および各摺動子の形状の第2具体例)
図5は、第1実施形態に係る多点切換装置100における各電極および各摺動子の形状の第2具体例を示す図である。
図5に示す第2具体例は、
図4に示す第1具体例の変形例である。この第2具体例では、互いに隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極とに着目すると、第2の切換電極は、前後方向(図中Y軸方向)の長さが、第1の切換電極と等しくなっている。そして、第2の摺動子152の第1の摺動部152aの前端は、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端よりも前方(すなわち、摺動部材150の移動方向をY軸正方向(前方)としたときの、当該移動方向に突出した位置)に位置している。また、第2の摺動子152の第2の摺動部152bの前端は、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端よりも後方(すなわち、摺動部材150の移動方向をY軸負方向(後方)としたときの、当該移動方向に突出した位置)に位置している。これにより、摺動部材150が前方から移動してきたとき、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端(接点)が第1の切換電極に接触する前に、第2の摺動子152の第2の摺動部152bの前端(接点)が第2の切換電極に接触することとなる。また、摺動部材150が後方から移動してきたとき、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端(接点)が第1の切換電極に接触する前に、第2の摺動子152の第1の摺動部152aの前端(接点)が第2の切換電極に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が第1の切換電極に接触するときには、既にコンデンサC1が第2の切換電極と電気的に接続された状態となっているため、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC1へ迂回させることができる。
【0046】
(各電極および各摺動子の形状の第3具体例)
図6は、第1実施形態に係る多点切換装置100における各電極および各摺動子の形状の第3具体例を示す図である。この第3具体例では、第1実施形態に係る多点切換装置100において、摺動部材150が回転移動する構成を採用した場合に適用され得る、各電極および各摺動子の形状を例示する。なお、
図6に示す第3具体例において、第1の摺動子151および第2の摺動子152の形状は、
図4に示す第1具体例と同様である。
【0047】
(各電極の形状)
図6に示す第3具体例において、第1の共通電極110、切換電極121〜125、切換電極131〜134、および第2の共通電極140は、いずれも同心円の円周方向に沿った形状を有している。摺動部材150は、同心円の中心を軸に、円周方向に回転移動することにより、当該摺動部材150によって選択される電極(第1の切換電極および第2の切換電極)を切り換えることが可能である。具体的には、第1の共通電極110および第2の共通電極140は、摺動部材150の移動方向である円周方向に沿って延伸する、細長の扇形状を有している。また、切換電極121〜125および切換電極131〜134は、摺動部材150の移動方向である円周方向に並設されており、いずれも当該円周方向に沿った扇形状を有している。
【0048】
図6に示す第3具体例の構成により、摺動部材150を円周方向に回転移動させることによって、当該摺動部材150を、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々に移動させることができる。そして、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々において、第1の摺動子151によって、第1の共通電極110を第1の切換電極に電気的に接続させることができる。これとともに、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第2の摺動子152によって、第2の共通電極140を第2の切換電極に電気的に接続させることができる。すなわち、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器に対して、コンデンサC1を電気的に並列接続することができる。したがって、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、コンデンサC1へ迂回させることができ、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器の静電破壊を回避することができる。
【0049】
図6に示す第3具体例の構成において、互いに隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極とに着目すると、第1の切換電極の円周方向の長さを、摺動部材150の回転角度θに相当する長さとしたとき、第2の切換電極の円周方向の長さは、摺動部材150の回転角度θ+αに相当する長さとなっている。そして、第2の切換電極の前端は、第1の切換電極の前端よりも円周方向における前方に位置しており、第2の切換電極の後端は、第1の切換電極の後端よりも円周方向における後方に位置している。これにより、摺動部材150が前方から回転移動してきたとき、摺動部材150の第1の摺動子151が第1の切換電極の前端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150の第2の摺動子152が第2の切換電極の前端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。また、摺動部材150が後方から回転移動してきたときも、摺動部材150の第1の摺動子151が第1の切換電極の後端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150の第2の摺動子152が第2の切換電極の後端(摺動部材150が近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が第1の切換電極に接触するときには、既にコンデンサC1が第2の切換電極と電気的に接続された状態となっているため、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC1へ迂回させることができる。
【0050】
(各電極および各摺動子の形状の第2具体例)
図7は、第1実施形態に係る多点切換装置100における各電極および各摺動子の形状の第4具体例を示す図である。
図7に示す第4具体例は、
図6に示す第3具体例の変形例である。この第4具体例では、互いに隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極とに着目すると、第1の切換電極の円周方向の長さを、摺動部材150の回転角度θに相当する長さとしたとき、第2の切換電極の円周方向の長さも、摺動部材150の回転角度θに相当する長さとなっている。そして、第2の摺動子152の第1の摺動部152aの前端は、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端よりも回転方向における前方に突出した位置に位置している。また、第2の摺動子152の第2の摺動部152bの前端は、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端よりも回転方向における後方に突出した位置に位置している。これにより、摺動部材150が前方から回転移動してきたとき、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端(接点)が第1の切換電極に接触する前に、第2の摺動子152の第2の摺動部152bの前端(接点)が第2の切換電極に接触することとなる。また、摺動部材150が後方から回転移動してきたとき、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの前端(接点)が第1の切換電極に接触する前に、第2の摺動子152の第1の摺動部152aの前端(接点)が第2の切換電極に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が第1の切換電極に接触するときには、既にコンデンサC1が第2の切換電極と電気的に接続された状態となっているため、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC1へ迂回させることができる。
【0051】
以上説明したように、第1実施形態に係る多点切換装置100は、基板101と、基板101上に配置された第1の共通電極110と、基板101上において第1の共通電極110に沿って並設された切換電極121〜125(複数の第1の切換電極)と、第1の共通電極110と接触しつつ、切換電極121〜125がなす列上を移動することにより、第1の共通電極110の電気的な接続先として、切換電極121〜125のいずれかを選択する摺動部材150と、摺動部材150により選択された切換電極(切換電極121〜124のいずれか)にその一端が接続されている電子部品(抵抗器R1〜R4のいずれか)と、電子部品の他端と電気的に接続されている摺動部材の第2の摺動子152(導電部)を介して、電子部品と電気的に並列接続されるコンデンサC1(共通保護部品)と、を備える。これにより、第1実施形態に係る多点切換装置100によれば、摺動部材150をスライド移動させて、摺動部材150により選択される切換電極の切り換えを行った際に、摺動部材150により新たに選択される切換電極に至る電気経路上において発生した静電気を、コンデンサC1に迂回させることができる。このため、摺動部材150により新たに選択される切換電極(切換電極121〜124のいずれか)にその一端が接続されている電子部品(抵抗器R1〜R4のいずれか)の静電破壊を回避することができる。特に、第1実施形態に係る多点切換装置100は、複数の切換電極に対して、1つのコンデンサC1を共用して並列接続する構成を採用している。したがって、第1実施形態に係る多点切換装置100によれば、製造コストの増加を抑制しつつ、摺動部材150により新たに選択される切換電極にその一端が接続されている電子部品を静電破壊から防ぐことができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に、
図8〜
図12を参照して、第2実施形態について説明する。
【0053】
(多点切換装置100Aの構成)
図8は、第2実施形態に係る多点切換装置100Aを示す平面図である。なお、第2実施形態の多点切換装置100Aにおいて、第1実施形態の多点切換装置100と同様の構成要素については、第1実施形態の多点切換装置100と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0054】
図8に示す多点切換装置100Aは、摺動部材150の代わりに摺動部材150Aを備える点、コンデンサC1の代わりにコンデンサC2が摺動部材150Aに設けられている点、および、第2の共通電極140を備えていない点で、第1実施形態の多点切換装置100と異なる。
【0055】
図8に示すように、この第2実施形態では、コンデンサC2は、摺動部材150Aに設けられており、摺動部材150Aにおいて、第1の摺動子151と第2の摺動子152との間に電気的に接続されている。すなわち、この第2実施形態では、コンデンサC2は、摺動部材150Aとともにスライドすることにより、摺動部材150Aにより選択される第1の切換電極(切換電極121〜124のいずれか)にその一端が接続されている電子部品(抵抗器R1〜R4のいずれか)に対して、電気的に並列接続される。これにより、コンデンサC2は、第1実施形態と同様に、抵抗器R1〜R4の静電破壊を防ぐことができるようになっている。なお、この第2実施形態では、第2の共通電極140を省いた構成に伴い、摺動部材150Aの第2の摺動子152は、左右方向(図中X軸方向)において、第1実施形態よりも長さが短縮されている。
【0056】
(多点切換装置100Aの切換え動作の一例)
図9は、第2実施形態に係る多点切換装置100Aの切換え動作の一例を示す図である。ここでは、摺動部材150Aによって選択される第1の切換電極を、切換電極121から切換電極122へ切り替える例を説明する。
【0057】
図9Aは、多点切換装置100Aにおいて、摺動部材150Aが第1の切換位置に位置している状態を示している。このように、摺動部材150Aが第1の切換位置に位置しているとき、摺動部材150Aの第2の摺動子152は、切換電極131に接触する。これにより、切換電極122が、切換電極131、第2の摺動子152を介して、コンデンサC2に接続される。すなわち、切換電極121と切換電極122との間において、抵抗器R1とコンデンサC2とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極121への電気経路上において発生した静電気は、切換電極121にその一端が接続されている抵抗器R1に流れることなく、コンデンサC2へとの流れることとなり、抵抗器R1の静電破壊が回避されることとなる。
【0058】
図9Bは、多点切換装置100Aにおいて、摺動部材150Aが第2の切換位置に位置している状態を示している。このように、摺動部材150Aが第2の切換位置に位置しているとき、摺動部材150Aの第2の摺動子152は、切換電極132に接触する。これにより、切換電極123が、切換電極132、第2の摺動子152を介して、コンデンサC2に接続される。すなわち、切換電極122と切換電極123との間において、抵抗器R2とコンデンサC2とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極122への電気経路上において発生した静電気は、切換電極122にその一端が接続されている抵抗器R2に流れることなく、コンデンサC2へ流れることとなり、抵抗器R2の静電破壊が回避されることとなる。
【0059】
なお、摺動部材150Aが第3の切換位置に位置しているときも同様に、抵抗器R3とコンデンサC2とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極123への電気経路上において発生した静電気は、切換電極123にその一端が接続されている抵抗器R3に流れることなく、コンデンサC2へとの流れることとなり、抵抗器R3の静電破壊が回避されることとなる。
【0060】
さらに、摺動部材150Aが第4の切換位置に位置しているときも同様に、抵抗器R4とコンデンサC2とが、電気的に並列接続されることとなる。このため、切換電極124への電気経路上において発生した静電気は、切換電極124にその一端が接続されている抵抗器R4に流れることなく、コンデンサC2へ流れることとなり、抵抗器R4の静電破壊が回避されることとなる。
【0061】
(各電極および各摺動子の形状の第1具体例)
図10は、第2実施形態に係る多点切換装置100Aにおける各電極および各摺動子の形状の第1具体例を示す図である。この第1具体例では、第2実施形態に係る多点切換装置100Aにおいて、摺動部材150Aが前後方向(図中Y軸方向)に直線移動する構成を採用した場合に適用され得る、各電極および各摺動子の形状を例示する。
【0062】
(第1の摺動子151の形状)
図10に示す第1具体例において、摺動部材150Aの第1の摺動子151は、左右方向(図中X軸方向)に互いに平行に並設された、第1の摺動部151a、第2の摺動部151b、第3の摺動部151c、および第4の摺動部151dを有している。第1の摺動部151a、第2の摺動部151b、第3の摺動部151c、および第4の摺動部151dは、いずれも前後方向(図中Y軸方向)に延伸する細長形状を有し、且つ、ばね性を有する、薄板状の部材である。第1の摺動部151aおよび第2の摺動部151bは、摺動部材150Aの移動に伴い、その先端部分において第1の共通電極110に接触しながら、第1の共通電極110上を移動する部分である。第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dは、摺動部材150Aの移動に伴い、切換電極121〜125がなす列上を移動しつつ、その先端部分において切換電極121〜125のいずれかに接触する部分である。第1の摺動子151においては、第1の摺動部151aおよび第2の摺動部151bの末端部と、第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの末端部とが、物理的且つ電気的に接続されている。
【0063】
(第2の摺動子152の形状)
また、
図10に示す第1具体例において、摺動部材150Aの第2の摺動子152は、左右方向(図中X軸方向)に互いに平行に並設された、第1の摺動部152aおよび第2の摺動部152bを有している。第1の摺動部152aおよび第2の摺動部152bは、いずれも前後方向(図中Y軸方向)に延伸する細長形状を有し、且つ、ばね性を有する、薄板状の部材である。第1の摺動部152aおよび第2の摺動部152bは、摺動部材150Aの移動に伴い、切換電極131〜134がなす列上を移動しつつ、その先端部分において切換電極131〜134のいずれかに接触する部分である。
【0064】
(各電極の形状)
また、
図10に示す第1具体例において、各電極は、摺動部材150Aの移動方向に沿った直線的な形状および配置となっている。具体的には、第1の共通電極110は、摺動部材150Aの移動方向である前後方向(図中Y軸方向)に直線状に延伸する、細長の長方形状を有している。また、切換電極121〜125および切換電極131〜134は、摺動部材150Aの移動方向である前後方向(図中Y軸方向)に直線状に並設されており、いずれも長方形状を有している。
【0065】
(コンデンサC2)
また、
図10に示す第1具体例において、摺動部材150Aには、コンデンサC2が設けられている。具体的には、コンデンサC2は、第1の摺動子151と第2の摺動子152とを跨ぐように配置されている。コンデンサC2の一方の端子は、第1の摺動子151に電気的に接続されている。コンデンサC2の他方の端子は、第2の摺動子152に電気的に接続されている。
【0066】
図10に示す第1具体例の構成により、摺動部材150Aを前後方向(図中Y軸方向)に直線移動させることによって、当該摺動部材150Aを、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々に移動させることができる。そして、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々において、第1の摺動子151によって、第1の共通電極110を第1の切換電極に電気的に接続させることができる。これとともに、摺動部材150AにコンデンサC2を設けたことにより、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第1の切換電極と第2の切換電極との間に、コンデンサC2を電気的に接続することができる。すなわち、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器に対して、コンデンサC2を電気的に並列接続することができる。したがって、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、コンデンサC2へ迂回させることができ、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器の静電破壊を回避することができる。
【0067】
図10に示す第1具体例の構成において、互いに隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極とに着目すると、第2の切換電極は、前後方向(図中Y軸方向)の長さが、第1の切換電極よりも長くなっている。そして、第2の切換電極の前端は、第1の切換電極の前端よりも前方に位置しており、第2の切換電極の後端は、第1の切換電極の後端よりも後方に位置している。これにより、摺動部材150Aが前方から移動してきたとき、摺動部材150Aの第1の摺動子151が第1の切換電極の前端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150Aの第2の摺動子152が第2の切換電極の前端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。また、摺動部材150Aが後方から移動してきたときも、摺動部材150Aの第1の摺動子151が第1の切換電極の後端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150Aの第2の摺動子152が第2の切換電極の後端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が第1の切換電極に接触するときには、既にコンデンサC2が第2の切換電極と電気的に接続された状態となっているため、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC2へ迂回させることができる。
【0068】
なお、
図10に示す第1具体例の変形例として、第1実施形態(
図5)と同様に、第2の摺動子152の第1の摺動部152aおよび第2の摺動部152bの長さを、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの長さと異ならせることにより、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dが第1の切換電極に接触する前に、第2の摺動子152の第1の摺動部152a,第2の摺動部152bが、第2の切換電極に接触する構成としてもよい。
【0069】
(各電極および各摺動子の形状の第2具体例)
図11は、第2実施形態に係る多点切換装置100Aにおける各電極および各摺動子の形状の第2具体例を示す図である。この第2具体例では、第2実施形態に係る多点切換装置100Aにおいて、摺動部材150Aが回転移動する構成を採用した場合に適用され得る、各電極および各摺動子の形状を例示する。なお、
図11に示す第2具体例において、第1の摺動子151および第2の摺動子152の形状は、
図10に示す第1具体例と同様である。
【0070】
(各電極の形状)
図11に示す第2具体例において、第1の共通電極110、切換電極121〜125、および切換電極131〜134は、いずれも同心円の円周方向に沿った形状を有している。摺動部材150Aは、同心円の中心を軸に、円周方向に回転移動することにより、当該摺動部材150Aによって選択される電極(第1の切換電極および第2の切換電極)を切り換えることが可能である。具体的には、第1の共通電極110は、摺動部材150Aの移動方向である円周方向に沿って延伸する、細長の扇形状を有している。また、切換電極121〜125および切換電極131〜134は、摺動部材150Aの移動方向である円周方向に並設されており、いずれも当該円周方向に沿った扇形状を有している。
【0071】
図11に示す第2具体例の構成により、摺動部材150Aを円周方向に回転移動させることによって、当該摺動部材150Aを、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々に移動させることができる。そして、第1の切換位置〜第5の切換位置の各々において、第1の摺動子151によって、第1の共通電極110を第1の切換電極に電気的に接続させることができる。これとともに、摺動部材150AにコンデンサC2を設けたことにより、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第1の切換電極と第2の切換電極との間に、コンデンサC2を電気的に接続することができる。すなわち、第1の切換位置〜第4の切換位置の各々において、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器に対して、コンデンサC2を電気的に並列接続することができる。したがって、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、コンデンサC2へ迂回させることができ、第1の切換電極にその一端が接続されている抵抗器の静電破壊を回避することができる。
【0072】
図11に示す第2具体例の構成において、互いに隣り合う第1の切換電極と第2の切換電極とに着目すると、第1の切換電極の円周方向の長さを、摺動部材150の回転角度θに相当する長さとしたとき、第2の切換電極の円周方向の長さは、摺動部材150の回転角度θ+αに相当する長さとなっている。そして、第2の切換電極の前端は、第1の切換電極の前端よりも円周方向における前方に位置しており、第2の切換電極の後端は、第1の切換電極の後端よりも円周方向における後方に位置している。これにより、摺動部材150Aが前方から回転移動してきたとき、摺動部材150Aの第1の摺動子151が第1の切換電極の前端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150Aの第2の摺動子152が第2の切換電極の前端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。また、摺動部材150Aが後方から回転移動してきたときも、摺動部材150Aの第1の摺動子151が第1の切換電極の後端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触する前に、摺動部材150Aの第2の摺動子152が第2の切換電極の後端(摺動部材150Aが近づいてくる側となる端部)に接触することとなる。すなわち、第1の摺動子151が第1の切換電極に接触するときには、既にコンデンサC2が第2の切換電極と電気的に接続された状態となっているため、第1の切換電極への電気経路上において発生した静電気を、より確実にコンデンサC2へ迂回させることができる。
【0073】
なお、
図11に示す第2具体例の変形例として、第1実施形態(
図7)と同様に、第2の摺動子152の第1の摺動部152aおよび第2の摺動部152bの長さを、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dの長さと異ならせることにより、第1の摺動子151の第3の摺動部151cおよび第4の摺動部151dが第1の切換電極に接触する前に、第2の摺動子152の第1の摺動部152a,第2の摺動部152bが、第2の切換電極に接触する構成としてもよい。
【0074】
(摺動部材150Aの構成例)
図12は、第2実施形態に係る多点切換装置100Aにおける摺動部材150Aの構成例を示す図である。
図12Aは、摺動部材150Aの平面図である。
図12Bは、
図12Aに示す摺動部材150AのA−A断面図である。
図12Cは、
図12Aに示す摺動部材150AのB−B断面図である。
【0075】
図12に示すように、摺動部材150Aは、第1の摺動子151、第2の摺動子152、ケース153、およびコンデンサC2を有している。ケース153は、第1の摺動子151、第2の摺動子152、およびコンデンサC2を収容する、容器状の部材である。ケース153の底面には、第1の摺動子151、第2の摺動子152、およびコンデンサC2が収容される開口153Aが形成されている。
【0076】
摺動部材150Aを組み立てる際には、まず、ケース153の開口153A内に、コンデンサC2を配置する。そして、ケース153の開口153A内に、第1の摺動子151の末端部および第2の摺動子152の末端部を、コンデンサC2に押し当てつつ、所定の位置に嵌め込む。このとき、コンデンサC2の一方の端子が、第1の摺動子151の末端部に接触する。また、コンデンサC2の他方の端子が、第2の摺動子152に末端部に接触する。
【0077】
開口153Aには、所定の位置に嵌め込まれた第1の摺動子151の末端部および第2の摺動子152の末端部を係止する係止部(図示省略)が設けられている。これにより、第1の摺動子151および第2の摺動子152は、開口153A内においてコンデンサC2に接触した状態で安定的に固定され、開口153Aでガタツキが生じたり、開口153Aから容易に抜け落ちたりすることがないようになっている。
【0078】
摺動部材150Aは、このような構成を有することにより、コンデンサC2を第1の摺動子151および第2の摺動子152に半田付けする等の手間のかかる作業が不要なため、組み立てを簡単に行うことができる。したがって、摺動部材150Aは、多点切換装置100Aの製造コスト削減に寄与することができる。
【0079】
以上説明したように、第2実施形態に係る多点切換装置100Aは、コンデンサC2(共通保護部品)が、摺動部材150A上に設けられており、摺動部材150Aとともにスライドすることにより、摺動部材150Aにより選択される第1の切換電極(切換電極121〜124のいずれか)にその一端が接続されている電子部品(抵抗器R1〜R4のいずれか)に対して、電気的に並列接続される。これにより、第2実施形態に係る多点切換装置100Aによれば、第1実施形態に係る多点切換装置100と比べて、基板101におけるコンデンサC1の設置スペース、および、基板101における第2の共通電極140の設置スペースが不要となる。したがって、第2実施形態に係る多点切換装置100Aによれば、基板101を小型化することができ、すなわち、当該多点切換装置100Aの全体のサイズを小型化することができる。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0081】
例えば、上記実施形態では、本発明を、5段階に切り換え可能な多点切換装置に適用する例を説明したが、これに限らない。例えば、本発明は、4段階以下に切り換え可能な多点切換装置に適用することも可能である。また、例えば、本発明は、6段階以上に切り換え可能な多点切換装置に適用することも可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、特許請求の範囲に記載の「共通保護部品」の一例として、コンデンサを用いているが、これに限らない。例えば、特許請求の範囲に記載の「共通保護部品」は、ツェナーダイオード(TVSダイオード)、積層チップバリスタ、ESDサプレッサ、積層チップコンデンサ等であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、特許請求の範囲に記載の「電子部品」の一例として、抵抗器を用いているが、これに限らない。例えば、特許請求の範囲に記載の「電子部品」は、LED等、如何なる電子部品であってもよい。また、例えば、特許請求の範囲に記載の「電子部品」は、複数の電子部品が組み合わされたものであってもよい。
【0084】
本国際出願は、2017年7月7日に出願した日本国特許出願第2017−134100号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。