【文献】
WLASSICS, Ivan et al.,Perfluoro Allyl Fluorosulfate (FAFS): A Versatile BuildingBlock for New Fluoroallylic Compounds,Molecules,2011年,vol.16,pp.6512-6540
【文献】
PETROV, V. A.,A new route to polyfluorinated trifluoromethanesulfonates. Synthesis of perfluoroallyl and perfluorobenzyl triflates,Journal of Fluorine Chemistry,1995年,Vol.73,pp. 17-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物を製造する方法を提供する。化合物は、2つ以上のペルフルオロエーテル基を有することができる。本方法は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つ、少なくとも1つのケトン若しくはカルボン酸ハライド又はこれらの組み合わせを有するポリフルオロ化化合物、及びフッ化物イオンを含む第1の成分を組み合わせることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の成分は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clを含む。CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clは、三塩化ホウ素(BCl
3)及びClSO
3Hを反応させて、B(OSO
2Cl)
3をもたらし、続いてB(OSO
2Cl)
3及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)を反応させることによって、都合良く調製することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本開示による方法は、B(OSO
2Cl)
3及びヘキサフルオロプロピレンを含む第2の成分を組み合わせて、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clを提供することを含み、いくつかの実施形態では、本方法は、BCl
3及びClSO
3Hを含む第3の成分を組み合わせて、B(OSO
2Cl)
3を提供することを更に含む。BCl
3とClSO
3Hとの反応は、例えば、未希釈のClSO
3Hを50℃未満でガス状BCl
3に滴加することによって、又は濃縮されたBCl
3の場合では、周囲温度以下で滴加することによって実施することができる。反応は、少なくとも−20℃、−10℃、0℃、10℃又は20℃、及び最大30℃、40℃又は50℃の温度で実施することができる。ClSO
3HをBCl
3に添加することは、例えば、混合物の温度を10℃以下に維持する速度で実施することができる。揮発性出発原料を真空下で除去した後に、B(OSO
2Cl)
3を白色粉末として単離することができる。次いで、B(OSO
2Cl)
3を溶媒中に懸濁又は溶解させることができ、HFPを50℃未満、いくつかの実施形態では、周囲温度以下で添加することができる。例えば、反応は、少なくとも−20℃、−10℃、0℃、10℃又は20℃、及び最大30℃、40℃又は50℃の温度で実施することができる。好適な溶媒としては、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン又はFreon−113)が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶媒は非芳香族溶媒である。CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clを単離し、従来の方法を用いて任意に精製することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の成分は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3を含む。いくつかの実施形態では、本開示による方法は、M(OSO
2CF
3)
3及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)を含む第2の成分を組み合わせて、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3[式中、MはAl又はBである]を提供することを含む。Al(OSO
2CF
3)
3は、例えば、abcr GmbH(Karlsruhe,Germany)及びSigma−Aldrich(St.Louis,Missouri)などの化学薬品供給元から市販されている。いくつかの実施形態では、本開示による方法は、BCl
3及びCF
3SO
3Hを含む第3の成分を組み合わせて、B(OSO
2CF
3)
3を提供することを更に含む。BCl
3とCF
3SO
3Hとの反応は、例えば、未希釈のCF
3SO
3Hを50℃未満でガス状BCl
3に滴加することによって、又は濃縮されたBCl
3の場合では、周囲温度以下で滴加することによって実施することができる。反応は、少なくとも−20℃、−10℃、0℃、10℃又は20℃、及び最大30℃、40℃又は50℃の温度で実施することができる。CF
3SO
3HをBCl
3に添加することは、例えば、混合物の温度を10℃以下に維持する速度で実施することができる。揮発性出発原料を真空下で除去した後に、B(OSO
2CF
3)
3を白色粉末として単離することができる。
【0021】
M(OSO
2CF
3)
mとHFPとの反応は、未希釈により又は溶媒の存在下において、0℃を超える温度で実施される。いくつかの実施形態では、反応は、少なくとも1℃、2℃、10℃、20℃、23℃又は25℃、及び最大30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃又は90℃の温度で実施される。好適な溶媒の例としては、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン又はFreon−113)が挙げられる。反応は、例えば、少なくとも4時間〜最大40時間の時間にわたって実施することができる。
【0022】
本開示は、B(OSO
2CF
3)
3を0℃を超える温度でHFPと組み合わせる、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3を製造する方法を提供する。いくつかの実施形態では、反応は、最大50℃、40℃、30℃、20℃又は10℃の温度で実施することができる。反応は、0℃超〜10℃の範囲、いくつかの実施形態では、2℃〜10℃の範囲、いくつかの実施形態では、4℃〜8℃の範囲の温度で実施することができる。反応混合物は、28℃未満、いくつかの実施形態では、25℃超〜27℃の範囲の温度で、水と組み合わせる。次いで、反応生成物を単離し、従来の方法(例えば、有機分留の分離、乾燥剤による乾燥、濾過及び蒸留)を使用して任意に精製することができる。生成物CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3は、収率75%で単離することができ、これは、Petrov,V.A.,J.Fluorine Chem.1995,73,17−19に報告されている収率より改善されている。
【0023】
本開示は、Al(OSO
2CF
3)
3を0℃を超える温度でHFPと組み合わせる、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3を製造する方法を提供する。いくつかの実施形態では、反応は、少なくとも30℃、40℃又は50℃、及び最大90℃、85℃又は80℃の温度で実施することができる。都合の良いことに、反応は、スチールオートクレーブの好適な溶媒(例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン又はFreon−113)中において、最大40時間、30時間又は24時間にわたって実施することができる。
【0024】
式Ti(Hal)
x(OSO
2CF
3)
y[式中、x及びyは、整数又は非整数であり、xとyの合計は4である]によって表される化合物も、HFPとの反応によってCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3を提供するために有用であり得る。式Ti(Hal)
x(OSO
2CF
3)
yによって表される化合物は、Mistry,F.J.Fluorine Chem.1994,68,p.242に記載の方法によって製造することができる。
【0025】
少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物を製造する方法において、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つ、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを有するポリフルオロ化化合物、及びフッ化物イオンを含む第1の成分を組み合わせる。フッ化物イオンは、フッ化物塩によって提供され得る。いくつかの実施形態において、フッ化物イオンのソースは、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、又は(R)
4NF[式中、各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、いくつかの実施形態では、1〜4又は2〜4個の炭素原子を有する]のうちの少なくとも1つである。したがって、いくつかの実施形態では、第1の成分は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つ、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを含むポリフルオロ化化合物、及びフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、又は(R)
4NF[式中、各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルである]のうちの少なくとも1つを含む。式(R)
4NFの化合物は、フッ化テトラエチルアンモニウム又はフッ化テトラブチルアンモニウムであり得る。いくつかの実施形態では、第1の成分は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つ、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを有するポリフルオロ化化合物、及びフッ化ナトリウム又はフッ化カリウムのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、フッ化物イオンは、フッ化カリウムに含まれる。
【0026】
少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物を製造する方法において、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つ、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを有するポリフルオロ化化合物、及びフッ化物イオンを含む第1の成分を組み合わせる。いくつかの実施形態では、ポリフルオロ化化合物は、少なくとも1つのケトンを含む。好適なケトンとしては、O=CR
3R
3[式中、各R
3は、独立して、任意に−SO
2F、−OCF
2CF=CF
2、−COF、−CF(CF
3)
2、−CF
2CO
2H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN又は−CO
2−アルキルにより末端化されており、かつ任意に1つ以上の−O−基が介在する、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]が挙げられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのケトンを含むポリフルオロ化化合物は、ヘキサフルオロアセトン(O=C(CF
3)
2)である。少なくとも1つのケトンを含む他の好適なポリフルオロ化化合物の例としては、クロロペンタフルオロアセトン、1,3−ジクロロテトラフルオロアセトン、1,1−ジフルオロエチル−2−オキソペンタフルオロプロパンスルホネート、ジメチルテトラフルオロアセトン−1,3−ジカルボキシレート、1,3−ビス(2−ヘプタフルオロプロポキシ)テトラフルオロプロパノン、オクタフルオロブタノン、デカフルオロ−2−ペンタノン、ドデカフルオロ−2−ヘキサノン、テトラデカフルオロ−2−ヘプタノン、ヘキサデカフルオロ−2−オクタノン、オクタデカフルオロ−2−ノナン、エイコサフルオロ−2−デカノン及び3−ケトテトラフルオログルタロイルフルオリドが挙げられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ポリフルオロ化化合物は、少なくとも1つのカルボン酸ハライドを含む。カルボン酸ハライドは、カルボン酸塩化物又はカルボン酸フッ化物であってもよい。実施形態において、ポリフルオロ化化合物は、少なくとも1つのカルボン酸フッ化物を含む。好適なカルボン酸フッ化物としては、FC(O)(R
1)及びFC(O)(R
2)[式中、R
1は、任意に−SO
2F、−OCF
2CF=CF
2、−COF、−Cl、−Br、−I又は−CO
2−アルキルによって末端化されている、2〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、R
2は、1つ以上のエーテル(すなわち、−O−)基が介在し、かつ任意に−SO
2F、−OCF
2CF=CF
2、−COF、−Cl、−Br、−I又は−CO
2−アルキルにより末端化されている、2〜14個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]が挙げられる。好適なペルフルオロ酸フッ化物の例としては、トリフルオロアセチルフルオリド、ペンタフルオロプロピオニルフルオリド、ヘプタフルオロブチロイルフルオリド、ノナフルオロペンタノイルフルオリド、テトラフルオロジグリコリルジフルオリド、ウンデカフルオロヘキサノイルフルオリド、トリデカフルオロヘプタノイルフルオリド、ペンタデカフルオロオクタノイルフルオリド、ヘプタデカフルオロノナノイルフルオリド、ノナデカフルオロデカノイルフルオリド、ジフルオロマロニルジフルオリド、テトラフルオロスクシニルジフルオリド、ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジオイルジフルオリド(ヘキサフルオログルタルジフルオリド)、オクタフルオロブタン−1,4−ジオイルジフルオリド(オクタフルオロアジポイルジフルオリド)、デカフルオロペンタン−1,5−ジオイルジフルオリド(デカフルオロピメリルジフルオリド)、ドデカフルオロヘキサン−1,6−ジオイルジフルオリド(ドデカフルオロスベリルジフルオリド)、フルオロスルホニルジフルオロアセチルフルオリド、2−(フルオロスルホニル)−テトラフルオロプロピオニルフルオリド、2−(1−ヘプタフルオロプロポキシ)−テトラフルオロプロピオニルフルオリド、2−[2−(1−ヘプタフルオロプロポキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]テトラフルオロプロピオニルフルオリド、2−{2−[2−(1−ヘプタフルオロプロポキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]ヘキサフルオロプロポキシ}−テトラフルオロプロピオニルフルオリド、カルボメトキシジフルオロアセチルフルオリド、シアノジフルオロアセチルフルオリド、5−カルボメトキシペルフルオロ(2−メチル−3−オキサバレロイル)−フルオリド及び2−(ペンタフルオロフェノキシ)テトラフルオロプロピオニルフルオリドが挙げられる。式FC(O)(R
2)によって表される好適なペルフルオロ酸フッ化物の更なる例としては、FC(O)CF
2OCF
3、FC(O)CF
2CF
2OCF
3、FC(O)CF
2CF
2CF
2OCF
3、FC(O)CF
2OCF
2CF
3、FC(O)CF
2CF
2OCF
2CF
3、FC(O)CF
2CF
2CF
2OCF
2CF
3、FC(O)CF
2OCF
2CF
2OCF
3、FC(O)CF
2OCF
2CF
2CF
2OCF
3、FC(O)CF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、FC(O)CF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、FC(O)CF
2OCF
2CF
2CF
3、FC(O)CF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
3、FC(O)CF(CF
3)−O−C
3F
7及びFCOCF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)−O−C
3F
7が挙げられる。
【0028】
少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを有するポリフルオロ化化合物の多くが市販されている。他のものは、公知の方法によって調製することができる。例えば、米国特許第4,273,729号(Krespan)及びそれに引用される参考文献を参照すること。
【0029】
一般に、単官能性ペルフルオロアリルエーテルを提供するために、第1の成分(すなわち、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つ、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを含むポリフルオロ化化合物、並びにフッ化物イオン)のモル当量は、実質的に同じである。第1の成分のモル当量に関して「実質的に」という用語は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl若しくはCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のいずれか1つ、少なくとも1つのケトン若しくはカルボン酸ハライドを含むポリフルオロ化化合物、又はフッ化物イオンのモル当量が、これらの成分のうちの任意の他の1つを最大10mol%、7.5mol%又は5mol%まで超えてもよいことを意味する。
【0030】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを含むポリフルオロ化化合物、及びフッ化物塩(それらについての実施形態のいずれかにおける上記のいずれかを含む)を、最初に組み合わせてアルコキシドをもたらし、次いでアルコキシドを単離することなく、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つと組み合わせる。アルコキシドは、好適な溶媒中で調製することができる。好適な溶媒としては、極性、非プロトン性溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン(グリム)、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メトキシエタン(ジグリム)、2,5,8,11−テトラオキサドデカン(トリグリム)、ジオキサン、スルホラン、ニトロベンゼン及びベンゾニトリルが挙げられる。都合の良いことに、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3又はこれらの組み合わせは、これらの溶媒のいずれか1つにおいてアルコキシドに添加される。いくつかの実施形態において、溶媒はジグリムである。アルコキシドの形成は、不活性雰囲気下において、周囲温度以下で、一部の実施形態では0℃〜10℃の範囲で、都合良く実施することができる。CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つの添加の最中及び後に、反応混合物を室温未満で、いくつかの実施形態では、0℃〜15℃の範囲で撹拌し、室温で、いくつかの実施形態では25℃〜30℃の範囲で温めることができる。
【0031】
本開示による方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物は、式CF
2=CFCF
2(OC
nF
2n)
zORf[式中、各nは、独立して2〜6であり、zは、0、1又は2であり、Rfは、1〜8個の炭素原子を有し、かつ任意に1つ以上の−O−基が介在する、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]によって表される。いくつかの実施形態では、zは0であり、Rfは、1〜6個又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基である。これらのRf基の具体例としては、C
2F
5、C
3F
7及びC
4F
9が挙げられる。いくつかの実施形態では、C
3F
7及びC
4F
9は、直鎖である。
【0032】
式CF
2=CFCF
2(OC
nF
2n)
zORfのいくつかの実施形態では、zは1又は2であり、nは2〜3であり、Rfは、1〜6個又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基である。このようなペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの例としては、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2CF
2OCF
2CF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2OCF
2CF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
3、CF
2=CFCF
2OCF
2CF(CF
3)−O−C
3F
7及びCF
2=CFCF
2(OCF
2CF(CF
3))
2−O−C
3F
7が挙げられる。
【0033】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物は、式CF
2=CF−CF
2−O−R
F−O−CF
2−CF=CF
2[式中、R
Fは、フッ素化されていなくてもフッ素化されていてもよい、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキレン又はペルフルオロポリオキシアルキレン又はアリーレンを表す]によって表される。いくつかの実施形態では、R
Fは、1〜12個、2〜10個、又は3〜8個の炭素原子を有するペルフルオロアルキレンである。アリーレンは、5〜14、5〜12又は5〜10個の炭素原子を有してもよく、非置換であっても、フルオロ以外の1つ以上のハロゲン、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF
3及び−CF
2CF
3)、ペルフルオロアルコキシ(例えば、−O−CF
3、−OCF
2CF
3)、ペルフルオロポリオキシアルキル(例えば、−OCF
2OCF
3、−CF
2OCF
2OCF
3)、フッ素化、ペルフルオロ又は非フッ素化フェニル又はフェノキシで置換されていてもよく、フェニル又はフェノキシは、1つ以上のペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、ペルフルオロポリオキシアルキル基、フルオロ以外の1つ以上のハロゲン又はこれらの組み合わせで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、R
Fは、エーテル基がオルト、パラ又はメタ位に結合したフェニレン、又はモノ、ジ、トリ若しくはテトラフルオロフェニレンである。いくつかの実施形態では、R
Fは、(CF
2)
q[式中、qは、2、3、4、5、6、7又は8である]、CF
2−O−CF
2−CF
2、CF(CF
3)、(CF
2)
2−O−CF(CF
3)−CF
2、CF(CF
3)−CF
2−O−CF(CF
3)又は(CF
2)
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF
2である。いくつかの実施形態において、R
Fは、CF
2−CF
2−CF
2−CF
2である。このような式CF
2=CF−CF
2−O−R
F−O−CF
2−CF=CF
2によって表される化合物は、米国特許出願公開第2010/0311906号(Lavallee et al.)に記載されているように長鎖分枝を導入することができる。
【0034】
一般に、式CF
2=CF−CF
2−O−R
F−O−CF
2−CF=CF
2によって表される化合物を調製するため、2モル当量のCF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3又はこれらの組み合わせ、及び2モル当量のフッ化物イオンを使用してもよい。モル当量のCF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3及びフッ化物イオンは、2モル当量から最大10mol%、7.5mol%又は5mol%まで逸脱し得る。
【0035】
本開示の方法により製造された少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物は、例えば、フルオロポリマーの調製において有用である。例えば、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物は、式R
aCF=CR
a2[式中、各R
aは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基(例えば、1〜8、1〜4若しくは1〜3個の炭素原子を有し、かつ任意に1個以上の酸素原子が介在しているペルフルオロアルキル)、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールである]によって表される、少なくとも1つの部分フッ素化又はペルフルオロエチレン性不飽和モノマーと共重合することができる。式R
aCF=CR
a2によって表される有用なフッ素化モノマーの例としては、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン、2−クロロペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ジクロロジフルオロエチレン、1,1−ジクロロフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、2−ヒドロペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン及びこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物は、非晶質フルオロポリマー、半結晶性熱可塑性材料及び非溶融加工可能なフッ素プラスチックを調製するのに有用であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物をTFEと共重合させて、非溶融加工可能なフッ素プラスチックを形成することができる。フッ素化アリルエーテルは、上記のいずれかであってもよい。非溶融加工可能なフッ素プラスチックでは、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物が、重合のために最大約1重量%の量でモノマーに含まれる。最大約1重量%の量でコモノマーを含むTFEホモポリマー及びコポリマーは、当該技術分野において、PTFEと称される。PTFEは、押出、射出成形又は吹込成形などの従来の溶融加工技術では加工できない高い融解粘度及び/又は低いメルトフローインデックス(MFI)を有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、TFE単位及び少なくとも1つのペルフルオロアルキルアリルエーテルコモノマーからの単位を含有し、他のコモノマー単位を含有しない。ペルフルオロアリルエーテルコモノマー単位の量は、最大1重量%又は最大0.1重量%であってもよい。例えば、ペルフルオロアリルエーテルコモノマー単位の量は、フルオロポリマーの(コモノマー単位が合計で100重量%になる)総重量に基づいて、0.1〜1重量%又は0.3〜1重量%であり得る。
【0037】
特定のフッ素プラスチックの分子量は、多くの場合、融解粘度又はメルトフローインデックス(MFI、例えば、372℃/5kg)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物から製造される非溶融加工可能なフルオロポリマーは、5kgの負荷を使用して372℃で1.0g/10分以下のメルトフローインデックス(MFI)(1.0g/10分未満のMFI 372/5)を有し、いくつかの実施形態では、0.1g/10分以下のメルトフローインデックス(372/5)を有する。いくつかの実施形態では、非溶融加工可能なフルオロポリマーは、少なくとも300℃、いくつかの実施形態では、少なくとも315℃、典型的には、327±10℃の範囲内の融点を有する。いくつかの実施形態では、非溶融加工可能なフルオロポリマーは、少なくとも317℃、少なくとも319℃又は少なくとも321℃の融点を有する。材料が最初に融解するときと、その後に融解したときには、非溶融加工性のフルオロポリマーの融点は異なる。材料が一度融解した後では、その後の融解における融点は一定のままである。本明細書でいうところの融点は、既に融解した材料の融点を指す(すなわち、材料が融点に達し、その融点を下回って冷却された後、再び融解された)。
【0038】
本明細書に開示される方法によって製造された少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物で製造されたPTFEは、例えば、ガスケット、並びにパイプ及び容器のための内側ライナーに有用であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物をTFEと共重合させて、フッ素熱可塑性材料を形成することができる。TFEとペルフルオロアリルエーテルとのコポリマーは、当技術分野でPFA(ペルフルオロアルコキシポリマー)として知られている。これらの実施形態において、フッ素化アリルエーテル単位は、0.01mol%〜15mol%の範囲、いくつかの実施形態では、0.05mol%〜10mol%、いくつかの実施形態では、0.5mol%〜5mol%の範囲の量でコポリマー中に存在する。フッ素化アリルエーテルは、上記のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、フッ素化アリルエーテルは、ペルフルオロ(メチルアリル)エーテル、ペルフルオロ(エチルアリル)エーテル、ペルフルオロ(n−プロピルアリル)エーテルのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、TFEと少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルとのコポリマーは、TFEに由来する単位及び少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルを含む少なくとも1つの化合物に由来する単位から本質的になる。本明細書で使用されるとき、「から本質的になる」とは、他のコモノマーが存在しないこと、又は他のコモノマーから誘導された単位が1重量%未満、いくつかの実施形態では、0.1重量%未満の量で存在することを指す。いくつかの実施形態では、TFEと少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルとのコポリマーは、少なくとも1重量%、いくつかの実施形態では、最大10、6、5又は4重量%の、上記の式R
aCF=CR
a2によって表される化合物に由来する他の単位、非フッ素化オレフィン(例えば、エテン若しくはプロペン)、及び/又は上記のビス(アリルエーテル)を更に含む。いくつかの実施形態において、HFP、VDF、フッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エテン又はプロペンのうちの少なくとも1つが、PFAコポリマーを製造するためにモノマーに含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物から製造されるフッ素熱可塑性材料は、5kgの負荷を使用して、372℃で0.5g/10分〜100g/10分の範囲のメルトフローインデックス(MFI)(0.5g/10分〜100g/10分の範囲のMFI 372/5)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、270℃〜326℃の融点及び0.5〜19g/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg負荷でのMFI)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、250℃〜290℃の融点を有し、31g/10分〜50g/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg負荷でのMFI)を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物を、TFE及びHFPと共重合させることができる。フッ素化アリルエーテルは、上記のいずれかであってもよい。他のペルフルオロコモノマーを有するか又は有さない、TFEとHFPとのコポリマーは、当技術分野では、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)として知られている。いくつかの実施形態では、これらのフッ素熱可塑性材料は、30〜70重量%のTFE、10〜30重量%のHFP及び0.2〜50重量%の、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物のうちの1つ以上を共重合させることから誘導される。これらの重量パーセントは、ポリマーの総重量に基づいており、コモノマーは合計で100重量%になる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルを含む化合物に由来する単位は、コポリマーの総重量に基づいて、0.2重量%〜12重量%の範囲で本開示によるコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、ペルフルオロアリルエーテルから誘導される単位は、コポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%〜6重量%の範囲で存在し、コポリマーの総重量は100重量%である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルを含む化合物に由来する単位は、コポリマーの総量に基づいて、0.02モル%〜2モル%の範囲で本開示によるコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、ペルフルオロアリルエーテルに由来する単位は、最大1.5モル%又は最大1.0モル%の量でコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、この式によって表される共重合単位は、少なくとも0.03モル%又は0.05モル%の量でコポリマーに存在する。共重合単位は、0.02モル%〜2モル%、0.03モル%〜1.5モル%又は0.05モル%〜1.0モル%の範囲でコポリマーに存在してもよい。本開示の方法に従って製造されたコポリマーは、上記実施形態のいずれかによる少なくとも1つのアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物の任意の組み合わせから製造されてもよい。HFPは、コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜22重量%の範囲、10重量%〜17重量%の範囲、11重量%〜16重量%の範囲又は11.5重量%〜15.8重量%の範囲で存在してもよく、コポリマーの総重量は100重量%である。本開示の方法により製造されるコポリマーは、典型的には、220℃〜285℃、いくつかの実施形態では、235℃〜275℃、240℃〜275℃又は245℃〜265℃の融点を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基、TFE及びHFPを含む化合物から調製されたコポリマーは、372℃及び5kgの負荷で及び10分当たり30±10gのMFIを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基、TFE及びHFPを含む化合物から調製されたコポリマーは、372℃及び5kg負荷10分当たり30±5g又は10分当たり30±3gのMFIを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基、TFE及びHFPを含む化合物から調製されたコポリマーは、372℃及び5kg負荷で10分当たり1g〜10分当たり19gのMFIを有する。いくつかの実施形態では、このコポリマーは、10分当たり1g〜10分当たり15gの範囲又は10分当たり1g〜10分当たり10gの範囲のMFIを有する。
【0041】
本明細書に開示される方法によって製造された少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物で製造されたFEPは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)における絶縁に有用であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって製造された少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物を使用して、非晶質フルオロポリマーを製造することができる。非晶質フルオロポリマーは、典型的には融点を呈さず、室温で結晶性をほとんど又は全く呈しない。有用な非晶質フルオロポリマーは、室温未満又は最大280℃のガラス転移温度を有することができる。好適な非晶質フルオロポリマーは、−60℃〜最大280℃、−60℃〜最大250℃、−60℃〜150℃、−40℃〜150℃、−40℃〜100℃又は−40℃〜20℃の範囲のガラス転移温度を有することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む1つ以上の化合物に由来する重合単位は、非晶質フルオロポリマー中に、フルオロポリマーの最大50モル%、いくつかの実施形態では、最大30モル%又は最大10モル%で存在する。フッ素化アリルエーテルは、上記のいずれかであってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる非晶質フルオロポリマーとしては、TFE/ペルフルオロメチルアリルエーテルコポリマー、TFE/CF
2=CFCF
2OC
3F
7コポリマー、TFE/CF
2=CFCF
2OCF
3/CF
2=CFCF
2OC
3F
7コポリマー、VDF/CF
2=CFCF
2OC
3F
7コポリマー、TFE/VDF/ペルフルオロメチルアリルエーテル/エチレンコポリマー、又はTFE/VDF/CF
2=CFCF
2O(CF
2)
3OCF
3コポリマーが挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態において、本開示の方法を使用して調製することができる非晶質フルオロポリマーは、硬化部位を含む重合単位を含む。これらの実施形態において、硬化部位モノマーは、重合の際に非晶質フルオロポリマーを製造するために有用であり得る。このような硬化部位モノマーとしては、フリーラジカル重合が可能なモノマーが挙げられる。硬化部位モノマーは、得られるエラストマーの適切な熱安定性を確保するために、ペルフルオロされ得る。有用な硬化部位の例としては、Br硬化部位、I硬化部位、ニトリル硬化部位、炭素−炭素二重結合及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの硬化部位のいずれも、例えば過酸化物を使用して硬化させることができる。しかし、複数の異なる硬化部位が存在するいくつかの場合には、二重硬化系又は多硬化系が有用であり得る。有用であり得る他の好適な硬化系としては、ビスフェノール硬化系又はトリアジン硬化系が挙げられる。硬化部位モノマーの有用な量としては、ポリマーに組み込まれたモノマーの総モルに基づいて、0.01mol%〜1mol%が挙げられ、使用することができる。いくつかの実施形態において、非晶質フルオロポリマーに組み込まれたモノマーの総モルに基づいて、少なくとも0.02、0.05又は更には0.1mol%の硬化部位モノマーが使用され、最大0.5、0.75又は更には0.9mol%の硬化部位モノマーが使用される。
【0046】
いくつかの実施形態では、硬化部位モノマーは、CF
2=CF−CF
2−O−CF
2−CF
2−CF
2I、CF
2=CF−CF
2−O−CF
2−CF
2−CF
2Br、CF
2=CF−CF
2−O−CF
2−CF
2−I、CF
2=CF−CF
2−O−CF
2−CF
2Br、CF
2=CF−CF
2−O−(CF
2)
2−O−C
2F
4I、CF
2=CF−CF
2−O−(CF
2)
3−O−C
2F
4I、CF
2=CF−CF
2−O−(CF
2)
4−O−C
2F
4I、CF
2=CF−CF
2−O−(CF
2)
5−O−C
2F
4I、CF
2=CF−CF
2−O−(CF
2)
6−O−C
2F
4I、CF
2=CF−CF
2−O−C
4F
8I、CF
2=CF−CF
2−O−CF
2CF(CF
3)−O−C
2F
4I、CF
2=CF−CF
2−(OCF
2CF(CF
3))
2−O−C
2F
4I、CF
2=CF−CF
2−O−CF
2CFI−CF
3、又はCF
2=CF−CF
2−O−CF
2CF(CF
3)−O−CF
2CFI−CF
3のうちの少なくとも1つを含むことができる。このような硬化部位モノマーは、例えば、カルボン酸フッ化物及びブロモ又はヨード置換基を含むポリフルオロ化化合物を用いて、本開示による方法によって製造することができる。このようなポリフルオロ化酸フッ化物としては、FC(O)−CF
2−CF
2I、FC(O)−CF
2−CF
2Br、FC(O)−CF
2−I、FC(O)−CF
2−Br、FC(O)−CF
2−O−C
2F
4I、FC(O)−(CF
2)
2−O−C
2F
4I、FC(O)−(CF
2)
3−O−C
2F
4I、FC(O)−(CF
2)
4−O−C
2F
4I、FC(O)−(CF
2)
5−O−C
2F
4I、FC(O)−C
3F
6I、FC(O)−CF(CF
3)−O−C
2F
4I、FC(O)−CF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)−O−C
2F
4I、FC(O)−CFI−CF
3、及びFC(O)−CF(CF
3)−O−CF
2CFI−CF
3が挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、本開示の方法を使用して調製することができる非晶質フルオロポリマーは、ニトリル硬化部位を含む重合単位を含む。ニトリル硬化部位は、重合の際にニトリル含有モノマーを使用してポリマーに導入することができる。好適なニトリル含有モノマーの例としては、式CF
2=CF−CF
2−O−Rf−CN[式中、Rfはペルフルオロアルキレン又は二価ペルフルオロエーテル基である]によって表されるものが挙げられる。このような硬化部位モノマーは、例えば、カルボン酸フッ化物及びニトリル置換基を含むポリフルオロ化化合物(例えば、FC(O)Rf−CN)を用いて、本開示による方法によって製造することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して調製することができる非晶質フルオロポリマーは、硬化部位モノマーとしてCF
2=CF−CF
2−O−R
F−O−CF
2−CF=CF
2[式中、R
Fは、その実施形態のいずれかにおいて上記のとおりであり得る]を含む重合単位を含む。式CF
2=CF−CF
2−O−R
F−O−CF
2−CF=CF
2によって表される化合物は、重合される成分中に任意の有用な量で存在してもよく、いくつかの実施形態では、重合性成分の総量に基づいて、最大2、1又は0.5モル%の量、及び少なくとも0.1モル%の量で存在してもよい。
【0049】
非晶質フルオロポリマーが全ハロゲン化され、いくつかの実施形態ではペルフルオロされている場合、典型的には、その共重合単位の少なくとも50モル%(mol%)は、任意にHFPを含むTFE及び/又はCTFEに由来する。非晶質フルオロポリマーの共重合単位の残部(例えば10〜50mol%)は、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基、いくつかの実施形態では硬化部位モノマーを含む1つ以上の化合物から構成される。フルオロポリマーがペルフルオロされていない場合、典型的には、約5mol%〜約90mol%の、TFE、CTFE及び/又はHFPに由来する共重合単位、約5mol%〜約90mol%の、VDF、エチレン及び/又はプロピレンに由来する共重合単位、最大約40mol%の、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基及び約0.1mol%〜約5mol%、いくつかの実施形態では約0.3mol%〜約2mol%の硬化部位モノマーを含む1つ以上の化合物に由来する共重合単位を含有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示の方法により調製することができる少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物は、−SO
2X基[式中、Xは、独立して、F、−NZH、−NZSO
2(CF
2)
1−6SO
2X’、−NZ[SO
2(CF
2)
aSO
2NZ]
1−10SO
2(CF
2)
aSO
2X’(ここで、各aは、独立して、1〜6、1〜4若しくは2〜4である)、又は−OZである]を更に含む。いくつかの実施形態では、Xは、独立して、−F、−NZH又は−OZである。いくつかの実施形態では、Xは、−NZH又は−OZである。いくつかの実施形態では、Xは−Fである。X’は、独立して、−NZH又は−OZ(いくつかの実施形態では、−OZ)である。これらの実施形態のうちのいずれかでは、各Zは独立して、水素、アルカリ金属カチオン又は四級アンモニウムカチオンである。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1〜4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、Zはアルカリ金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Zはナトリウム又はリチウムカチオンである。いくつかの実施形態では、Zはナトリウムカチオンである。本明細書に開示される方法により製造することができる1つ又は、少なくとも1つのアリルエーテル基を含む化合物は、式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Xによって表すことができる。この式において、bは2〜8、0又は2の数であり、eは1〜8の数である。いくつかの実施形態では、bは2〜6又は2〜4の数である。いくつかの実施形態では、bは2である。いくつかの実施形態では、eは1〜6又は2〜4の数である。いくつかの実施形態では、eは2である。いくつかの実施形態では、eは4である。いくつかの実施形態では、cは0又は1である。一部の実施形態では、cは0である。いくつかの実施形態では、cは0であり、eは2又は4である。いくつかの実施形態では、bは3であり、cは1であり、eは2である。C
eF
2eは、直鎖又は分枝鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、C
eF
2eは、(CF
2)
eと表記することができ、これは、直鎖ペルフルオロアルキレン基を指す。cが2であるとき、2つのC
bF
2b基中のbは、独立して選択され得る。しかし、C
bF
2b基内では、bは独立して選択されないことを当業者は理解する。式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Xによって表される有用な化合物の例としては、CF
2=CFCF
2−O−CF
2−SO
2X、CF
2=CFCF
2−O−CF
2CF
2−SO
2X、CF
2=CFCF
2−O−CF
2CF
2CF
2−SO
2X、CF
2=CFCF
2−O−CF
2CF
2CF
2CF
2−SO
2X、及びCF
2=CFCF
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−(CF
2)
e−SO
2Xが挙げられる。
【0051】
−SO
2X基を有する化合物は、例えば、ケトン又はカルボン酸フッ化物及びスルホニルフルオリド(−SO
2F)置換基を含むポリフルオロ化化合物から出発して、本開示による方法によって調製することができる。このようなポリフルオロ化酸フッ化物及びケトンの例としては、FC(O)−CF
2−SO
2F、FC(O)−CF
2CF
2−SO
2F、FC(O)−CF
2CF
2CF
2−SO
2F、及びO=C(CF
3)−CF
2−O−(CF
2)
e−SO
2Fが挙げられる。ポリフルオロ化酸フッ化物又はカルボン酸をCF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3及びフッ化物塩のうちの少なくとも1つと組み合わせて、式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Fによって表される化合物を製造した後、−SO
2F基を従来の方法の使用によりアンモニアで加水分解又は処理して、−SO
3Z基又は−SO
2NZH基をもたらしてもよい。−SO
2F基を有するコポリマーをアルカリ性水酸化物(例えば、LiOH、NaOH又はKOH)溶液で加水分解することにより−SO
3Z基をもたらし、続いてこれを酸性化してSO
3H基をもたらしてもよい。−SO
2F基を有する化合物を水及び水蒸気で処理することにより、SO
3H基を形成することができる。
【0052】
スルホンアミド(例えば、−SO
2NH
2基を有するポリフルオロ化アリルエーテル化合物)は、多官能性スルホニルフルオリド又はスルホニルクロリド化合物と更に反応させることができる。有用な多官能性化合物の例としては、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,3−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル−1,4−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ペルフルオロブチル−1,5−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,2−ジスルホニルクロリド、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルクロリド、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル−1,4−ジスルホニルクロリド、及び1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ペルフルオロブチル−1,5−ジスルホニルクロリドが挙げられる。ハロゲン化スルホニル基を加水分解した後、式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2X[式中、Xは、−NZSO
2(CF
2)
1−6SO
3Zである]の化合物を製造することができる。−SO
2NH
2基を有するポリフルオロ化アリルエーテル化合物は、式FSO
2(CF
2)
a[SO
2NZSO
2(CF
2)
a]
1−10SO
2F又はFSO
2(CF
2)
a[SO
2NZSO
2(CF
2)
a]
1−10SO
3H[式中、各aは、独立して、1〜6、1〜4又は2〜4である]によって表されるポリスルホンイミドで処理することもできる。ポリスルホンイミドを製造するには、ハロゲン化スルホニルモノマー(例えば、上記のうちのいずれか)及び式H
2NSO
2(CF
2)
aSO
2NH
2によって表されるスルホンアミドモノマーを、(k+1)/kのモル比で反応させる。この反応は、例えば、好適な溶媒(例えば、アセトニトリル)中において塩基の存在下、0℃で実施することができる。ハロゲン化スルホニルモノマー及びスルホンアミドモノマーは、同一又は異なる値のaを有してもよく、結果として、各繰り返し単位について同一又は異なる値のaがもたらされる。得られた生成物FSO
2(CF
2)
a[SO
2NZSO
2(CF
2)
a]
1−10SO
2Fは、特開2011−40363号に記載されているように、塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))の存在下において、1当量の水で処理して、FSO
2(CF
2)
a[SO
2NZSO
2(CF
2)
a]
1−10SO
3Hをもたらすことができる。
【0053】
式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Fによって表される化合物を、低分子スルホンアミドにより、例えば式NH
2SO
2(CF
2)
1−6SO
3Z[式中、Zは、その実施形態のいずれかにおいて上記に定義されたとおりである]によって表されるものなどにより処理して、−SO
2NHSO
2(CF
2)
1−6SO
3Z基をもたらすこともできる。式NH
2SO
2(CF
2)
1−6SO
3Zによって表される化合物は、米国特許第4,423,197号(Behr)に記載されている方法によって、環状ペルフルオロジスルホン酸無水物を、アミンと反応させることにより合成することができる。
【0054】
上記の実施形態のいずれかに記載された式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Xによって表される化合物を、上記の実施形態のいずれかに記載された式R
aCF=CR
a2によって表される化合物と共重合させることができる。重合される成分に含まれ得る好適なモノマーとしては、ペルフルオロアリルエーテル(例えば、上記の実施形態いずれかに記載されたペルフルオロアルキルアリルエーテル又はペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテル)を挙げることもできる。上記の実施形態のいずれかに記載されたアリルエーテルは、重合される成分に任意の有用な量で存在してもよく、いくつかの実施形態では、重合性成分の総量に基づいて、最大10、7.5又は5モル%の量で存在してもよい。都合の良いことに、コポリマーは、上記の実施形態のいずれかに記載された式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Fによって表される化合物を、上記の実施形態のいずれかに記載された式R
aCF=CR
a2によって表される化合物と反応させることによっても製造することができる。次いで、スルホンイミド及びポリスルホンイミドを製造するための加水分解及び反応は、上記の方法を使用して、ポリマースルホニルフルオリドを用いて実施することができる。
【0055】
式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2X及びR
aCF=CR
a2によって表される化合物から製造されたコポリマーはアイオノマーとも称され、最大1000、900、800、750、700又は600の−SO
2X当量を有することができる。いくつかの実施形態では、コポリマー又はアイオノマーは、少なくとも400の−SO
2X当量を有する。概ね、コポリマーの−SO
2X当量は、1モルの−SO
2X基を含有するコポリマーの重量を指し、Xは、上記の実施形態のいずれかに記載されたとおりである。いくつかの実施形態では、コポリマーの−SO
2X当量は、1当量の塩基を中和するコポリマーの重量を指す。いくつかの実施形態では、コポリマーの−SO
2X当量は、1モルのスルホネート基(すなわち、−SO
3−)を含有するコポリマーの重量を指す。コポリマー又はアイオノマーの−SO
2X当量を低下させると、コポリマー又はアイオノマーの電気伝導性は増加する傾向にあるが、その結晶化度は低下する傾向にあり、このことは、コポリマーの機械的特性を損なうことがある。したがって、−SO
2X当量は、コポリマー又はアイオノマーの電気的特性及び機械的特性に対する要件のバランスに基づいて選択してもよい。いくつかの実施形態では、コポリマーの−SO
2X当量は、1モルのスルホンアミド基(すなわち、−SO
2NH)を含有するコポリマーの重量を指す。下記に更に詳細に説明されるように、スルホンイミド基(例えば、Xが−NZSO
2(CF
2)
1−6SO
2X’及び−NZ[SO
2(CF
2)
aSO
2NZ]
1−10SO
2(CF
2)
aSO
2X’である場合)も、塩基を中和することができる酸性基として機能する。これらの基を含むコポリマーの有効な当量は、1000よりもはるかに低くなり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、アイオノマーは、成分の総量に基づいて、上記の実施形態にいずれかに記載された式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Xによって表される少なくとも1つの化合物を最大40モル%含む成分から調製される。いくつかの実施形態では、成分は、成分の総量に基づいて、式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2Xによって表される化合物を最大35、30、25又は20モル%含む。アイオノマーは、例えば、燃料電池又は他の電解セルで使用するためのポリマー電解質膜の製造において有用であり得る。
【0057】
本明細書に開示される方法が、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物を、式R
aCF=CR
a2によって表される少なくとも1つの部分フッ素化又はペルフルオロエチレン性不飽和モノマーと組み合わせることを含む実施形態では、反応はフリーラジカル重合によって実施することができる。都合の良いことに、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているコポリマーの製造方法には、ラジカル水性乳化重合(radical aqueous emulsion polymerization)が挙げられる。
【0058】
本開示によるコポリマーの製造方法のいくつかの実施形態では、水溶性開始剤(例えば、過マンガン酸カリウム又はペルオキシ硫酸塩)が重合プロセスを開始するために有用であり得る。過硫酸アンモニウム若しくは過硫酸カリウムなどのペルオキシ硫酸塩を単独で適用することができる、又は還元剤、例えば亜硫酸水素塩又はスルフィン酸塩(例えば、米国特許第5,285,002号及び同第5,378,782号(いずれもGrootaert)において開示されているフッ素化スルフィン酸塩)若しくはヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩(商品名「RONGALIT」で販売、BASF Chemical Company(New Jersey,USA))の存在下で適用することができる。開始剤及び還元剤(存在する場合)の選択は、コポリマーの末端基に影響を及ぼすことになる。開始剤及び還元剤の濃度範囲は、水性重合媒体に基づいて0.01重量%〜5重量%に変化し得る。亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸カリウム)の存在下でペルオキシ硫酸塩が使用される場合、SO
3−ラジカルが重合プロセス中に生成され、結果として−SO
3−末端基がもたらされる。−SO
3−ラジカルの形成を触媒又は加速するために、金属イオンを添加することが有用である場合がある。亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩の、ペルオキシ硫酸塩に対する化学量論比を変えることによって、−SO
2X末端基の量を制御することができる。
【0059】
上記の開始剤及び重合に使用することができる任意の乳化剤の大部分は、それらが最も高い効率性を示す最適なpH範囲を有する。これらの理由から、緩衝剤が有用であり得る。緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、若しくは炭酸塩(例えば、(NH
4)
2CO
3若しくはNaHCO
3)緩衝剤、又はアンモニア若しくはアルカリ金属水酸化物などの任意の他の酸若しくは塩基が挙げられる。開始剤及び緩衝剤の濃度範囲は、水性重合媒体に基づいて0.01重量%〜5重量%に変化し得る。
【0060】
H
2、低級アルカン、アルコール、エーテル、エステル及びメチレンフルオリドのような典型的な連鎖移動剤が、本開示による方法のいつかの実施形態では、コポリマーの調製に有用であり得る。主に連鎖移動によって末端化すると、約2.5以下の多分散度をもたらす。本開示による方法のいくつかの実施形態では、重合は、あらゆる連鎖移動剤を用いることなく実施される。より低い多分散度を連鎖移動剤の非存在下で達成することができる。再結合は、小さな変換の場合、典型的には約1.5の多分散度をもたらす。
【0061】
有用な重合温度は、40℃〜150℃の範囲であり得る。典型的には、重合は、40℃〜120℃、70℃〜100℃又は80℃〜90℃の温度範囲で実施される。重合圧力は、通常、0.8MPa〜2.5MPa、1MPa〜2.5MPaの範囲、いくつかの実施形態では、1.0MPa〜2.0MPaの範囲である。HFPなどのフッ素化モノマーは、例えば、Modern Fluoropolymers,ed.John Scheirs,Wiley & Sons,1997,p.241に記載されているように、反応器に事前に投入及び供給され得る。式CF
2=CFCF
2(OC
nF
2n)
zORf[式中、n、z及びRf
2は、上記の実施形態のいずれかに定義されたとおりである]によって表されるペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルは、典型的には、液体であり、反応器の中に噴霧してもよく、又は直接添加しても、蒸発若しくは霧化させてもよい。
【0062】
都合の良いことに、本開示によるコポリマー及びアイオノマーの製造方法では、重合プロセスは、乳化剤を伴わずに(例えば、フッ素化乳化剤を伴わずに)実施してもよい。驚くべきことに、本発明者たちは、液体のペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテル又はビスオレフィンを多量に組み込む場合であっても、これらのモノマーの適正な組み込みを確実にするのに、フッ素化乳化剤は必要とされないことを見出した。
【0063】
しかし、いくつかの実施形態では、ペルフルオロ乳化剤又は部分フッ素化乳化剤が有用であり得る。概ね、これらのフッ素化乳化剤は、ポリマーに対して約0.02重量%〜約3重量%の範囲で存在する。フッ素化乳化剤を用いて生成されたポリマー粒子は、典型的には、動的光散乱技術によって決定したとき、約10ナノメートル(nm)〜約300nmの範囲、いくつかの実施形態では約50nm〜約200nmの範囲の平均直径を有する。好適な乳化剤の例としては、式[R
f−O−L−COO
−]
iX
i+[式中、Lは直鎖部分若しくは完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、R
fは直鎖部分若しくは完全フッ素化脂肪族基、又は1個以上の酸素原子が介在する直鎖部分若しくは完全フッ素化脂肪族基を表し、X
i+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である]を有するペルフルオロ及び部分フッ素化乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許第7,671,112号(Hintzer et al.)を参照すること)。また、好適な乳化剤の追加の例としては、式CF
3−(OCF
2)
x−O−CF
2−X’[式中、xは1〜6の値を有し、X’はカルボン酸基又はその塩を表す]及び式CF
3−O−(CF
2)
3−(OCF(CF
3)−CF
2)
y−O−L−Y’[式中、yは0、1、2又は3の値を有し、Lは−CF(CF
3)−、−CF
2−及び−CF
2CF
2−から選択される二価結合基を表し、Y’はカルボン酸基又はその塩を表す]を有するペルフルオロポリエーテル乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許公開第2007/0015865号(Hintzer et al.)を参照すること)。他の好適な乳化剤としては、式R
f−O(CF
2CF
2O)
xCF
2COOA[式中、R
fはC
bF
(2b+1)であり、ここでbは1〜4であり、Aは水素原子、アルカリ金属又はNH
4であり、xは1〜3の整数である]を有するペルフルオロポリエーテル乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許公開第2006/0199898号(Funaki et al.)を参照すること)。また、好適な乳化剤としては、式F(CF
2)
bO(CF
2CF
2O)
xCF
2COOA[式中、Aは水素原子、アルカリ金属又はNH
4であり、bは3〜10の整数であり、xは0又は1〜3の整数である]を有するペルフルオロ乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許公開第2007/0117915号(Funaki et al.)を参照すること)。更なる好適な乳化剤としては、米国特許第6,429,258号(Morgan et al.)に記載されているようなフッ素化ポリエーテル乳化剤、及びペルフルオロアルコキシのペルフルオロアルキル構成部分が4〜12個の炭素原子又は7〜12個の炭素原子を有する、ペルフルオロ又は部分フッ素化アルコキシ酸及びその塩が挙げられる。(例えば、米国特許第4,621,116号(Morgan)を参照すること)。また、好適な乳化剤としては、式[R
f−(O)
t−CHF−(CF
2)
x−COO−]
iX
i+[式中、R
fは1個以上の酸素原子が任意に介在する部分又は完全フッ素化脂肪族基を表し、tは0又は1であり、xは0又は1であり、X
i+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である]を有する部分フッ素化ポリエーテル乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許公開第2007/0142541号(Hintzer et al.)を参照すること)。更なる好適な乳化剤としては、米国特許公開第2006/0223924号、同第2007/0060699号及び同第2007/0142513号(各々、Tsuda et al.)、並びに同第2006/0281946号(Morita et al.)に記載されているような、ペルフルオロ又は部分フッ素化エーテル含有乳化剤が挙げられる。都合の良いことに、いくつかの実施形態では、本開示によるコポリマーの製造方法は、これらの乳化剤又はその任意の組み合わせのいずれも存在することなしに、例えば、米国特許公開第2007/0149733号(Otsuka)に見出される方法を使用して実施してもよい。
【0064】
フッ素化乳化剤が使用される場合、望ましい場合、米国特許第5,442,097号(Obermeier et al.)、同第6,613,941号(Felix et al.)、同第6,794,550号(Hintzer et al.)、同第6,706,193号(Burkard et al.)及び同第7,018,541号(Hintzer et al.)に記載されているように、乳化剤は、フルオロポリマーラテックスから除去又は再利用され得る。
【0065】
重合は、ペルフルオロアルカン酸、特に、6〜14個の炭素原子、特に8個の炭素原子を有するペルフルオロアルカン酸(ペルフルオロオクタン酸(PFOA))を反応混合物に添加することなく実施することができる。式Rf−(CF
2)
n−A[式中、Rfは、F及びC原子のみを含有するペルフルオロアルキルラジカルであり、nは5〜14の整数であり、Aは酸アニオン塩であり、例えば、−COO
−X(ここで、XはH
+である)、又は別の金属塩のNH
4+若しくはNa
+などのカチオン性塩である]によって表されるペルフルオロアルカン酸は、それらの環境持続性及び生物蓄積のために、ますます厳しい監視下に置かれてきた。したがって、それらの使用は回避されている。しかし、このような乳化剤がポリマーの調製に使用されない場合であっても、特定の反応においてin situで生成されることもある。別の利点として、本開示の方法により製造されるコポリマーは、非常に低い抽出可能な量のペルフルオロアルカン酸、例えば、C
6〜C
12、好ましくは、C
6〜C
14ペルフルオロアルカン酸の重量に基づいて100ppb未満の量を有してもよく、ポリマーの重量に基づいて、50ppb未満、好ましくは30ppb未満の抽出可能な量のオクタン酸(C
8)を有してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、得られたコポリマー又はアイオノマーラテックスは、凝固又は噴霧乾燥(以下に記載)の前に、官能性コモノマー、アニオン及び/又はカチオンを除去するためのアニオン交換プロセス又はカチオン交換プロセスの少なくとも1つによって精製される。本明細書で使用されるとき、用語「精製する」は、除去が完了するかどうかに関わらず、不純物を少なくとも部分的に除去することを指す。水性乳化重合及び任意のイオン交換精製の後に得られたポリマー分散体をそのまま使用してもよい、又はより高い固形分が望ましい場合は濃縮増進(upconcentrated)させることができる。
【0067】
得られたコポリマーラテックスを凝固させるには、フルオロポリマーラテックスの凝固のために一般に使用される任意の凝固剤を使用することができ、例えば、水溶性塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム若しくは硝酸アルミニウム)、酸(例えば、硝酸、塩酸若しくは硫酸)、又は水溶性有機液体(例えば、アルコール若しくはアセトン)であってもよい。添加される凝固剤の量は、ラテックス100質量部当たり、0.001〜20質量部の範囲、例えば、0.01〜10質量部の範囲であってもよい。代替的又は追加的に、ラテックスを凝固のために凍結させてもよく、又は米国特許第5,463,021号(Beyer et al.)に記載されているように、例えばホモジナイザーを用いて機械的に凝固させてもよい。代替的又は追加的に、ポリカチオンを添加することによって、ラテックスを凝固させてもよい。また、金属汚染物質を回避するために、凝固剤としては酸及びアルカリ土類金属塩を回避することが有用であり得る。凝固を全体として回避し、かつ凝固剤に由来するあらゆる汚染物質を回避するために、重合及び任意のイオン交換精製の後にラテックスを噴霧乾燥することが、固体のコポリマーを提供するには有用であり得る。
【0068】
凝固したコポリマーは、濾過によって回収し、水を用いて洗浄してもよい。洗浄水は、例えば、イオン交換水、純水又は超純水であってもよい。洗浄水の量は、コポリマー質量の1〜5倍であってもよく、これにより、コポリマーに結合している乳化剤の量を、1回の洗浄で十分に低減することができる。
【0069】
本開示によるコポリマー又はアイオノマーの製造方法のいくつかの実施形態では、ラジカル重合を懸濁重合により実施することもできる。懸濁重合は、典型的には、最大数ミリメートルの粒径をもたらすことになる。
【0070】
無機開始剤(例えば、過硫酸塩、KMnO
4など)を用いた水性乳化重合によって得られるフルオロポリマーは、典型的には、多数の不安定な炭素系末端基(例えば、炭素原子10
6個当たり200個を超える−COOM又は−COF末端基(ここで、Mは水素、金属カチオン又はNH
2である))を有する。これらのカルボニル末端基は、過酸化物ラジカルの攻撃に対して脆弱であり、これによりフッ素化アイオノマーの酸化安定性が低減される。不安定な末端基の数は、フーリエ変換赤外分光法によって決定することができる。
【0071】
不安定な末端基及び任意の付随する劣化に対処するために、フッ素ガスを用いた後フッ素化が一般に使用される。フルオロポリマーの後フッ素化は、−COOH、アミド、ヒドリド、−COF及び他の非ペルフルオロ末端基又は−CF=CF
2を、−CF
3末端基に変換することができる。後フッ素化は、任意の都合の良い様式で実施することができる。後フッ素化は、20℃〜250℃、いくつかの実施形態では、150℃〜250℃又は70℃〜120℃の範囲の温度、及び100KPa〜1000KPaの圧力において、75〜90:25〜10の比の窒素/フッ素ガス混合物を用いて都合の良く実施することができる。反応時間は、約4時間〜約16時間の範囲であり得る。これらの条件下では、大部分の不安定な炭素系末端基が除去され、一方、あらゆる−SO
2X基は大部分が残存し、−SO
2F基へと変換される。いくつかの実施形態では、上記の非フッ素化モノマーが重合におけるモノマーとして使用される場合には、後フッ素化は実施されない。
【0072】
本開示の方法により調製されるコポリマーは、ペルフルオロアルキルビニルエーテル[例えば、ペルフルオロメチルビニルエーテル(CF
2=CFOCF
3)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(CF
2=CFOCF
2CF
3)及びペルフルオロプロピルビニルエーテル(CF
2=CFOCF
2CF
2CF
3)]、並びにペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルに由来する共重合単位を本質的に含まなくてもよい。本明細書で使用されるとき、「本質的に含まない」は、0〜0.9重量%、いくつかの実施形態では0〜0.1重量%の量が参照される。本開示の方法により調製されるコポリマーは、任意のビニルエーテルを用いることなく調製することができるが、不純物として存在する少量のビニルエーテルは許容され得る。回避され得るペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの例としては、CF
2=CFOCF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2OCF
2CF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2CF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2OCF
2CF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2CF
2OCF
2CF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2(OCF
2)
3OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2(OCF
2)
4OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2OCF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
3、CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2CF
3、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)−O−C
3F
7(PPVE−2)、CF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
2−O−C
3F
7(PPVE−3)、及びCF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
3−O−C
3F
7(PPVE−4)が挙げられる。
【0073】
ビニルエーテルは、重合の際に、特により高温で、停止反応(例えばビニルエーテルの開裂)を受け、不安定なカルボキシ末端基を生成することがある。
【0074】
本発明者らは、ペルフルオロアリルエーテルモノマーにより製造されたフッ素化コポリマーが、有利なことに、例えば、対応するペルフルオロビニルエーテルモノマーにより製造されたフッ素化コポリマーよりも高い(例えば、70℃又は80℃よりも高い)温度で、水性乳化重合によって生成され得ることを見出した。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態
第1の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物を製造する方法であって、
CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl又はCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3のうちの少なくとも1つ、
少なくとも1つのケトン、カルボン酸ハライド又はこれらの組み合わせを含むポリフルオロ化化合物、及び
フッ化物イオン
を含む第1の成分を組み合わせて、
少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物を提供することを含む方法を提供する。
【0076】
第2の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物が、式CF
2=CFCF
2(OC
nF
2n)
zORf[式中、各nは、独立して2〜6であり、zは、0、1又は2であり、Rfは、1〜8個の炭素原子を有し、かつ任意に1つ以上の−O−基が介在する、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]によって表される、第1の実施形態に記載の方法を提供する。
【0077】
第3の実施形態では、本開示は、zが0であり、Rfが、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である、第2の実施形態に記載の方法を提供する。
【0078】
第4の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物が、式CF
2=CF−CF
2−O−R
F−O−CF
2−CF=CF
2[式中、R
Fは、フッ素化されていなくてもフッ素化されていてもよい、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキレン又はペルフルオロポリオキシアルキレン又はアリーレンを表す]によって表される、第1の実施形態に記載の方法を提供する。
【0079】
第5の実施形態では、本開示は、R
Fが直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキレン又はペルフルオロポリオキシアルキレンを表す、第4の実施形態に記載の方法を提供する。
【0080】
第6の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを含むポリフルオロ化化合物が、O=CR
3R
3[式中、各R
3は、独立して、任意に−SO
2F、−OCF
2CF=CF
2、−COF、−CF(CF
3)
2、−CF
2CO
2H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN又は−CO
2−アルキルにより末端化されており、かつ任意に1つ以上の−O−基が介在する、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]である、第1の実施形態に記載の方法を提供する。
【0081】
第7の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのケトン又はカルボン酸ハライドを含むポリフルオロ化化合物が、FC(O)(R
1)又はFC(O)(R
2)[式中、R
1は、任意に−SO
2F、−OCF
2CF=CF
2、−COF、−Cl、−Br、−I又は−CO
2−アルキルによって末端化されている、2〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、R
2は、1つ以上のエーテル−O−基が介在し、かつ任意に−SO
2F、−OCF
2CF=CF
2、−COF、−Cl、−Br、−I又は−CO
2−アルキルにより末端化されている、2〜14個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]である、第1の実施形態に記載の方法を提供する。
【0082】
第8の実施形態では、本開示は、カルボン酸ハライドがカルボン酸フッ化物である、第1〜第5の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0083】
第9の実施形態では、本開示は、フッ化物イオンが、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、又は(R)
4NF[式中、各Rは、独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキルである]のうちの少なくとも1つから導入される、第1〜第8の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0084】
第10の実施形態では、本開示は、第1の成分がCF
2=CF−CF
2−OSO
2Clを含む、第1〜第9の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0085】
第11の実施形態では、本開示は、B(OSO
2Cl)
3及びヘキサフルオロプロピレンを含む第2の成分を組み合わせて、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clを提供することを更に含む、第10の実施形態に記載の方法を提供する。
【0086】
第12の実施形態では、本開示は
CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clを製造する方法であって、
B(OSO
2Cl)
3及びヘキサフルオロプロピレンを含む第2の成分を組み合わせて、CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clを提供することを含む方法を提供する。
【0087】
第13の実施形態では、本開示は、第2の成分が非芳香族溶媒を更に含む、第11又は第12の実施形態に記載の方法を提供する。
【0088】
第14の実施形態では、本開示は、
BCl
3及びClSO
3Hを含む第3の成分を組み合わせて、B(OSO
2Cl)
3を提供することを更に含む、第11〜第13の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0089】
第15の実施形態では、本開示は、式CF
2=CF−CF
2−OSO
2Clによって表される化合物を提供する。
【0090】
第16の実施形態では、本開示は、第1の成分がCF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3を含む、第1〜第9の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0091】
第17の実施形態では、本開示は、M(OSO
2CF
3)
3及びヘキサフルオロプロピレンを含む第2の成分を組み合わせて、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3[式中、MはAl又はBである]を提供することを更に含む、第16の実施形態に記載の方法を提供する。
【0092】
第18の実施形態では、本開示は、第2の成分を0℃〜90℃の温度で組み合わせる、第17の実施形態に記載の方法を提供する。
【0093】
第19の実施形態では、本開示は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3を製造する方法であって、M(OSO
2CF
3)
3及びヘキサフルオロプロピレンを含む第2の成分を、0℃を超える温度で組み合わせて、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3[式中、MはAl又はBである]を提供することを含む方法を提供する。
【0094】
第20の実施形態では、本開示は、CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3を8℃〜28℃の温度で水と組み合わせることを更に含む、第17〜第19の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0095】
第21の実施形態では、本開示は、MがBである、第17〜第20の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0096】
第22の実施形態では、本開示は、第2の成分を2℃〜10℃の温度で組み合わせる、第21の実施形態の方法を提供する。
【0097】
第23の実施形態において、本開示は、MがAlである、第17〜20の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0098】
第24の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテル基を含む化合物を、式R
aCF=CR
a2[式中、各R
aは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールである]によって表される少なくとも1つの部分フッ素化又はペルフルオロエチレン性不飽和モノマーと組み合わせることを更に含む、第1〜第14及び第16〜第23の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0099】
以下の具体的であるが非限定的な実施例は、本開示の例示に役立つであろう。
【実施例】
【0100】
全ての材料は、特に記述がない又は明らかでない限り、例えば、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から市販されている又は当業者に公知のものである。
【0101】
以下の略語がこのセクションで使用される。mL=ミリリットル、g=グラム、mmHg=水銀のミリメートル、min=分、h=時間、NMR=核磁気共鳴、ppm=百万分率、r.t.=室温、mol=モル、mmol=ミリモル、℃=摂氏度、MHz=メガヘルツ。°このセクションで使用される材料の略語、並びに材料の説明を表1に示す。
【0102】
材料
【表1】
【0103】
実施例1(EX−1):B(OSO
2Cl)
3の合成
コールドフィンガー凝縮器、滴下漏斗及び温度計を備えた100mLの三つ口フラスコに、31.9g(0.27mol)のBCl
3を凝縮させ、その後、クロロスルホン酸(68.0g、0.58mol)を、温度が6〜7℃を超えないように滴加した。その後、粘稠物質を10℃で2h撹拌し、r.t.にゆっくりと温め、この温度で2h撹拌した。次いで、全ての揮発物を減圧下で45min以内に除去した。この過程の際に、反応混合物が結晶化し、B(OSO
2Cl)
3を、白色粉末として定量的収率で得て、これを追加的に精製することなく更に使用した。
11B NMR(128MHz,CDCl
3):δ−6.71(bs,BO
3,1B)
【0104】
実施例2(EX−2):CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl(PFAClS)の合成
EX−1に記載されたように調製したB(OSO
2Cl)
3(3.13g、8.8mmol)を、100mLのシュレンクフラスコ中のCH
2Cl
2(50mL)に懸濁した。この懸濁液にHFP(4.91g、32.7mmol)を凝縮させた。反応混合物を15℃まで温め、この温度で3h、次いで、r.t.で18h撹拌した。この温度で反応混合物は色を変え、均質になった。ガス状生成物をゆっくりと除去し、冷水(60mL)を反応混合物に加え、これを60min撹拌した。下層を分離し、水(2×30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。PFAClSを56%のNMR収率(1.2g、4.9mmol)で得た。
19F NMR(376MHz,CDCl
3):δ−72.0(m,CF
2,2F),−87.7(ddt,
2J
FF=46Hz,
cisJ
FF=38Hz,
4J
FF=9Hz,CF,1F),−101.7(ddt,
2J
FF=46Hz,
transJ
FF=118Hz,
4J
FF=28Hz,CF,1F),−190.2(ddt,
cisJ
FF=38Hz,
transJ
FF=118Hz,
3J
FF=14Hz,CF,1F)。
【0105】
実施例3(EX−3):CF
2=CF−CF
2−OSO
2Cl(PFAClS)の合成
100mLのガラスアンプルの中に、EX−1に記載されたように調製したB(OSO
2Cl)
3(10.1g、28mmol)及びFreon−113(20mL)を入れた。次に、HFP(13.1g、87mmol)をガスラインの使用によって凝縮させ、次いで、反応混合物を0〜4℃に温めた。次いで、反応混合物をこの温度で2h及びr.t.で10h撹拌した。脱気した後、揮発物をシュレンクフラスコに再凝縮させた。PFAClSを35%のNMR収率(2.4g、9.7mmol)で得た。
【0106】
実施例4(EX−4):B(OSO
2CF
3)
3の合成
コールドフィンガー凝縮器、滴下漏斗及び温度計を備えた250mLの三つ口フラスコに、BCl
3(49.2g、0.42mol)を凝縮させ、その後、CF
3SO
3H(133.5g、0.89mol)を、温度が10℃を超えないように滴加した。停止させた後、粘稠反応混合物を10℃で2h撹拌し、温度をr.t.にゆっくりと温め、この温度で2h撹拌した。全ての揮発物を減圧下で除去した。この過程において反応混合物は結晶化した。B(OSO
2CF
3)
3を白色粉末として定量的収率で得た。
19F NMR(376MHz,CD
2Cl
2):δ−74.51(s,CF
3SO
2,3F)
11B NMR(128MHz,CD
2Cl
2):δ−1.26(bs,BO
3,1B)
【0107】
実施例5(EX−5):CF
2=CF−CF
2−OSO
2CF
3(PFAOTf)の合成
EX−4に記載されたように調製したB(OSO
2CF
3)
3(16.3g、36mmol)を、250mLのガラスアンプルに入れた。その後、HFP(16.7g、111mmol)を凝縮させた。アンプルを0〜4℃に温め、反応混合物を4℃で4h及び5〜8℃で1h撹拌した。全ての揮発物を脱気した。残渣を再凝縮し、粗無色液体(24.3g)を回収し、水(27mL)と25〜27℃で30min混合した。温度が27℃を超えた場合、氷を加えた。有機層を分離し、Na
2SO
4で乾燥した。粗生成物(9.7g)を、短いVigreuxカラムを使用して蒸留した。主分留は、81〜83℃/760mmHgで沸騰した。PFAOTfを75%の収率(7.5g、27mmol)で得た。
19F NMR(376MHz,CDCl
3):δ−68.4(m,CF
2,2F),−74.1(t,
5J
FF=6Hz,CF
3,3F),−88.6(ddt,
2J
FF=45Hz,
cisJ
FF=39Hz,
4J
FF=7Hz,CF,1F),−102.6(ddt,
2J
FF=45Hz,
transJ
FF=117Hz,
4J
FF=27Hz,CF,1F),−190.4(ddt,
cisJ
FF=39Hz,
transJ
FF=117Hz,
3J
FF=14Hz,CF,1F)
【0108】
実施例6(EX−6):CF
2=CF−CF
2−O−(CF
2)
4−O−CF
2−CF=CF
2の合成
KF(0.22、3.8mmol)及びジグリム(5mL)の懸濁液を、50mLのシュレンクフラスコの中においてr.t.で30min撹拌した。ペルフルオロブタン1,4−ビス(カルボニルフルオリド)(0.8g、4.1mmol)を加え、反応混合物を4℃で1h撹拌した(透明な溶液の形成)。この温度で、EX−5のように調製したPFAOTf(1.06g、3.8mmol)を滴加した。反応混合物を5℃で4h及びr.t.で12h撹拌し、黄色を帯びたエマルションの形成が観察された。反応混合物を冷水(30mL)で希釈し、有機相を分離し、水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。CF
2=CF−CF
2−O−(CF
2)
4−O−CF
2−CF=CF
2を、30%のNMR収率で得た。
19F NMR(376MHz,CDCl
3):δ−71.5(m,OCF
2,4F),−83.9(t,
3J
FF=12Hz,OCF
2,4F),−90.9(ddt,
2J
FF=54Hz,
cisJ
FF=39Hz,
4J
FF=7Hz,CF,2F),−104.2(ddt,
2J
FF=54Hz,
transJ
FF=117Hz,
4J
FF=25Hz,CF,2F),−119.6(t,
3J
FF=9Hz,CF
2,4F),−190.2(ddt,
cisJ
FF=39Hz,
transJ
FF=117Hz,
3J
FF=15Hz,CF,2F)
13CNMR(101MHz,CDCl
3):δ153.9(tdt,
1J
CF=294Hz,
2J
CF=40Hz,
3J
CF=2Hz,=CF
2,2C),121.2(dm,
1J
CF=242Hz,
2J
CF=24Hz,
3J
CF=3Hz,=CF,2C),117.0(tdt,
1J
CF=272Hz,
2J
CF=30Hz,
3J
CF=7Hz,OCF
2,2C),115.7(tt,
1J
CF=288Hz,
2J
CF=32Hz,OCF
2,2C),108.4(tsep,
1J
CF=268Hz,
2J
CF=35Hz,CF
2,2C)
【0109】
本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって本開示の様々な修正及び変更を行うことができ、本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態に不当に限定されるものではない点を理解するべきである。