(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1]第1実施形態
本発明の第1実施形態を
図1〜
図3により説明する。
図1に示すように、複数の室外機A1,A2が並列に配管接続され、これら室外機A1,A2に複数の室内機B1,B2,…Bnが配管接続されている。これら配管接続により、空気調和機の冷凍サイクル装置が構成されている。
【0011】
<室外機A1の構成>
室外機A1は、圧縮機1a、この圧縮機1aの吐出冷媒が流れる高圧側配管2a,2、この高圧側配管2のガス冷媒が流入するオイルセパレータ3、このオイルセパレータ3を経たガス冷媒が流れる四方弁4、この四方弁4を経たガス冷媒が流入する室外熱交換器5、この室外熱交換器5から室内機B1,B2,…Bnへ向かう液冷媒を減圧する電動膨張弁6、配管接続用の液側パックドバルブ7aおよびガス側パックドバルブ7b、室内機B1,B2,…Bnを経たガス冷媒が上記四方弁4を介して流れるアキュームレータ8、このアキュームレータ8から流出するガス冷媒を圧縮機1aの吸込口に導く低圧側配管9,9a、室外熱交換器5の近傍に配置された室外ファン10、上記高圧側配管2に取付けた高圧側温度センサ41および高圧側圧力センサ42、上記低圧側配管9に取付けた低圧側圧力センサ43、メインコントローラ50、およびインバータ51などを有する。
【0012】
上記圧縮機1aは、モータMおよびシリンダQなどを潤滑油Laと共に密閉ケース内に収容した密閉型圧縮機である。上記オイルセパレータ3は、高圧側配管2から流入するガス冷媒に含まれる潤滑油Lを分離し、分離した潤滑油Lを内部に保持するとともに、分離後のガス冷媒を四方弁4側に流出する。電動膨張弁6は、入力される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するパルスモータバルブである。
【0013】
さらに、室外機A1は、高圧側配管2に一端を接続したガス戻し管11、このガス戻し管11の他端から延びて低圧側配管9aに接続したガス戻し管11a、ガス戻し管11に設けられた減圧器たとえばキャピラリチューブ12、ガス戻し管11aに設けられたキャピラリチューブ13a、ガス戻し管11におけるキャピラリチューブ12より下流側位置に取付けた温度センサ44を有する。ガス戻し管11,11aは、高圧側配管2a内のガス冷媒の一部を低圧側配管9aに戻す。温度センサ44は、ガス戻し管11を通りかつキャピラリチューブ12で減圧されるガス冷媒の温度T1を検知する。
【0014】
また、室外機A1は、圧縮機1aの密閉ケースの側部とガス戻し管11の他端との間に接続した油戻し管21a、この油戻し管21aに設けた逆止弁12aおよび減圧器たとえばキャピラリチューブ23a、油戻し管21aにおけるキャピラリチューブ23aより下流側位置に取付けた温度センサ45aを有する。油戻し管21aは、圧縮機1aの密閉ケースの下部から所定の高さの位置に接続されている。この接続位置は、密閉ケース内の潤滑油Laの量が設定値以上であるか否かを判断するための基準となる。
【0015】
例えば、潤滑油Laの油面が油戻し管21aの接続位置に達している場合、油戻し管21aに潤滑油Laが流れ、ガス戻し管11にはガス冷媒が流れる。油戻し管21aに流れる潤滑油Laはキャピラリチューブ23aで減圧されても温度低下せず、ガス戻し管11に流れるガス冷媒はキャピラリチューブ12で減圧されることにより温度低下する。この場合、温度センサ44の検知温度T1と温度センサ45aの検知温度T2aとの間に差が生じるので、メインコントローラ50は、潤滑油Laの量が設定値未満の潤滑油不足の状態にはないと判定することができる。
【0016】
潤滑油Laの油面が均油管21aの接続位置に達していない場合は、油戻し管21aにガス冷媒が流れ、ガス戻し管11にもガス冷媒が流れる。油戻し管21aに流れるガス冷媒はキャピラリチューブ23aで減圧されることにより温度低下し、ガス戻し管11に流れるガス冷媒もキャピラリチューブ12で減圧されることにより温度低下する。この場合、温度センサ44の検知温度T1および温度センサ45aの検知温度T2aがほぼ同じとなるので、メインコントローラ50は、潤滑油Laの量が設定値未満の潤滑油不足の状態にあると判定することができる。
【0017】
ガス戻し管11,11a、キャピラリチューブ12,13a、油戻し管21a、逆止弁22a、キャピラリチューブ23a、温度センサ44,45a、およびメインコントローラ50により、圧縮機1aの密閉ケース内の潤滑油Laの量を検出する油量検出ユニットが構成されている。
【0018】
さらに、室外機A1は、オイルセパレータ3の側部とガス戻し管11の他端との間に接続した油戻し管14、この油戻し管14に設けた油量調整用の抵抗器たとえばキャピラリチューブ15、オイルセパレータ3の底部から油戻し管14におけるキャピラリチューブ15より下流側位置に接続した油戻し管16、この油戻し管16に設けた油量調整用の抵抗器たとえばキャピラリチューブ17、油戻し管16におけるキャピラリチューブ17より下流側位置に設けた電磁開閉弁18、メインコントローラ50、およびインバータ51を有する。
【0019】
上記油戻し管14は、オイルセパレータ3に規定量以上の潤滑油Lが溜まった場合に、その規定量を超えた分の潤滑油Lを圧縮機1aの吸込側に戻す。上記油戻し管16は、オイルセパレータ3内の潤滑油Lを圧縮機1aの吸込側に強制的に戻すためのもので、電磁開閉弁18の開放により導通する。上記メインコントローラ50は、室外機A1,A2および室内機B1,B2,…Bnを統括的に制御する。上記インバータ51は、商用交流電源の交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を所定周波数Fa(Hz)およびその所定周波数Faに応じたレベルの交流電圧に変換し、その交流電圧を圧縮機1aのモータMに対する駆動電力として出力する。所定周波数Faのことを運転周波数Faという。
【0020】
<室外機A2の構成>
室外機A2は、室外機A1の圧縮機1a、潤滑油La、高圧側配管2a、低圧側配管9a、油戻し管21a、逆止弁22a、キャピラリチューブ23a、温度センサ45a、メインコントローラ50、インバータ51に代えて、圧縮機1c、潤滑油Lc、高圧側配管2c、低圧側配管9c、油戻し管21c、逆止弁22c、キャピラリチューブ23c、温度センサ45c、コントローラ60、インバータ61などを有する。
【0021】
ガス戻し管11,11c、キャピラリチューブ12,13c、油戻し管21c、逆止弁22c、キャピラリチューブ23c、温度センサ44,45c、およびメインコントローラ50により、圧縮機1cの密閉ケース内の潤滑油Lcの量を検出する油量検出ユニットが構成されている。
【0022】
コントローラ60は、当該室外機A2の各温度センサおよび各圧力センサの検知結果をメインコントローラ50に通知するとともに、メインコントローラ50からの指令に応じて当該室外機A2の運転を制御する。インバータ61は、商用交流電源の交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を所定周波数Fc(Hz)およびその所定周波数Fcに応じたレベルの交流電圧に変換し、その交流電圧を圧縮機1cのモータMに対する駆動電力として出力する。所定周波数Fcのことを運転周波数Fcという。
【0023】
他の構成は、室外機A1と同じである。よって、その説明は省略する。
【0024】
<配管構成>
室外機A1の液側パックドバルブ7aと室外機A2の液側パックドバルブ7aとが渡り配管P1により接続され、室外機A2のガス側パックドバルブ7bと室外機A2のガス側パックドバルブ7bとが渡り配管P2により接続されている。そして、渡り配管P1に室内機B1,B2,…Bnの各電動膨張弁31を介して室内機B1,B2,…Bnの各室内熱交換器32の一端がそれぞれ配管接続され、これら室内熱交換器32の他端が渡り配管P2に配管接続されている。
【0025】
以上の配管接続により、ヒートポンプ式冷凍サイクルが構成されている。室外機A1の定格能力(圧縮機1aの容量)および室外機A2の定格能力(圧縮機1cの容量)は、互いに同じである。
【0026】
室内機B1,B2,…Bnは、それぞれコントローラ30を有する。コントローラ30は、それぞれの室内機が設置されている部屋の室内温度と予め設定される設定温度との差を要求能力としてメインコントローラ50に通知するとともに、そのメインコントローラ50からの指令に応じてそれぞれの室内機の運転を制御する。
【0027】
<メインコントローラ50の機能>
メインコントローラ50は、主要な機能として、コントロールセクション50a,50b,50cを有する。
コントロールセクション50aは、室外機A1,A2における各油量検出ユニットの構成要素であり、室外機A1,A2における各温度センサ44の検知温度T1および温度センサ45a,45cの検知温度T2a,T2cに基づく上述の検出方法により、圧縮機1a,1cにおける潤滑油La,Lcの量をそれぞれ検出する。
【0028】
コントロールセクション50bは、コントロールセクション50aで検出される圧縮機1a,1cにおける潤滑油La,Lcの量のうち、いずれかの圧縮機における潤滑油の量が設定値未満の不足状態にある場合に、その不足状態の圧縮機が存する室外機への冷媒の循環量を、他の室外機への冷媒の循環量より多くする。具体的には、圧縮機1aの潤滑油Laの量が設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1aが存する室外機A1の能力(圧縮機1aの運転周波数Fa)を増大し、その増大分だけ室外機A2の能力(圧縮機1cの運転周波数Fc)を低減する。また、圧縮機1cの潤滑油Lcの量が設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1cが存する室外機A2の能力を増大し、その増大分だけ室外機A1の能力を低減する。
【0029】
コントロールセクション50cは、コントロールセクション50aで検出される潤滑油La,Lcの量が共に設定値未満の不足状態にある場合、室外機A1への冷媒の循環量および室外機A2への冷媒の循環量を互いに同じ状態に設定する。具体的には、室外機A1の能力(圧縮機1aの運転周波数Fc)および室外機A2の能力(圧縮機1cの運転周波数Fc)を油回収用の所定能力(運転周波数Fo)に共通に設定する。
【0030】
室外機A1,A2における冷媒の循環量比と室外機A1,A2における潤滑油Lの偏り率との関係を参考として
図2に示す。室外機A1への冷媒の循環量と室外機A2への冷媒の循環量とが同じである循環量比“0.5”では、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が50%となり、室外機A2への潤滑油Lの偏り率も50%となる。室外機A1への冷媒の循環量が室外機A2への冷媒の循環量よりも多くなる循環量比“0.5”超の領域では、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が50%以上となり、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が50%未満となる。室外機A1への冷媒の循環量が室外機A2への冷媒の循環量よりも少ない循環量比“0.5”未満の領域では、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が50%未満となり、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が50%以上となる。
【0031】
<メインコントローラ50の制御>
メインコントローラ50の制御を
図3のフローチャートを参照しながら説明する。フローチャート中の符号S1〜S18は処理ステップを示す。
メインコントローラ50は、タイムカウントt1を開始し(S1)、そのタイムカウントt1と予め定められた所定定時間t1sたとえば10分間とを比較する(S2)。タイムカウントt1が所定時間t1sに達すると(S2のYES)、メインコントローラ50は、油量検出タイミングであるとの判断の下に、温度センサ44,45aの検知温度T1,T2aに基づく上記検出方法により、圧縮機1a,1c内の潤滑油La,Lcの量を検出する(S3)。検出した潤滑油La,Lcの量が設定値以上の適正状態にある場合(S4のNO)、メインコントローラ50は、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再び開始する(S1)。
【0032】
上記検出した潤滑油La,Lcの量のいずれか例えば潤滑油Lcの量が設定値未満の不足状態にある場合(S4のYES)、メインコントローラ50は、室外機A2の電磁開閉弁18を開き、室外機A2におけるオイルセパレータ3内の潤滑油Lを油戻し管16、キャピラリチューブ17、油戻し管14、油戻し管11,11c、キャピラリチューブ13c、低圧側配管9cを通して圧縮機1cに回収する(S5)。
【0033】
メインコントローラ50は、回収と同時にタイムカウントt2を開始し(S6)、そのタイムカウントt2と予め設定された所定時間t2sとを比較する(S7)。タイムカウントt2が所定時間t2sに達すると(S7のYES)、メインコントローラ50は、室外機A2の電磁開閉弁18を閉じて圧縮機1cへの潤滑油Lの回収を終了する(S8)。
【0034】
この回収の終了に伴い、メインコントローラ50は、温度センサ44,45aの検知温度T1,T2aに基づいて圧縮機1a,1c内の潤滑油La,Lcの量を再び検出する(S9)。検出した潤滑油La,Lcの量が設定値以上の適正状態にある場合(S10のYES、S11のYES)、メインコントローラ50は、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再び開始する(S1)。
【0035】
上記S9の処理で検出した潤滑油La,Lcの量のうち、潤滑油Laの量が設定値以上の適正状態にあって(S10のYES)、潤滑油Lcの量がまだ設定値未満の不足状態にある場合(S11のNO)、メインコントローラ50は、圧縮機1cの運転周波数Fcを所定値ΔFだけ上昇させ(S12)、これにより室外機A2の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大分だけ室外機A1の能力を低減するべく、圧縮機1aの運転周波数Faを所定値だけ下降させる。この下降により、室外機A2の能力増大にかかわらず、室外機A1,A2の合計能力が室内機B1,B2,…Bnの要求能力の総和に見合う値に保たれる。
【0036】
室外機A2の能力が増大すると、室内機B1,B2,…Bnから渡り配管P2を通って室外機A2に戻る冷媒の量が増える。室外機A2への冷媒の循環量が増えることにより、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減る。その結果、圧縮機1c内の潤滑油Lcの量が増えて、圧縮機1cの潤滑油不足が解消される。
【0037】
上記運転周波数Fcの上昇に際し、メインコントローラ50は、タイムカウントt3を開始し(S16)、そのタイムカウントt3と予め設定された所定時間t3sとを比較する(S17)。タイムカウントt3が所定時間t3sに達すると(S17のYES)、メインコントローラ50は、運転周波数Fcの上昇による室外機A2の能力増大および運転周波数Faの下降による室外機A1の能力低減を解除する(S18)。続いて、メインコントローラ50は、S9の処理に戻り、潤滑油La,Lcの量を再び検出する(S9)。検出した潤滑油La,Lcの量が設定値以上の適正な状態にあれば(S10のYES、S11のYES)、メインコントローラ50は、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再開する(S1)。
【0038】
検出した潤滑油La,Lcの量のうち、潤滑油Laの量が設定値未満の不足状態で(S10のNO)、潤滑油Lcの量が設定値以上の適正状態にある場合(S13のYES)、メインコントローラ50は、圧縮機1aの運転周波数Faを所定値ΔFだけ上昇させ(S14)、これにより室外機A1の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大分だけ室外機A2の能力を低減するべく、圧縮機1cの運転周波数Fcを所定値だけ下降させる。この下降により、室外機A1の能力増大にかかわらず、室外機A1,A2の合計能力が室内機B1,B2,…Bnの要求能力の総和に見合う値に保たれる。
【0039】
室外機A1の能力が増大すると、室内機B1,B2,…Bnから室外機A1に戻る冷媒の量が増える。室外機A1への冷媒の循環量が増えることにより、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減る。その結果、圧縮機1a内の潤滑油Laの量が増えて、圧縮機1aの潤滑油不足が解消される。
【0040】
上記運転周波数Faの上昇に際し、メインコントローラ50は、タイムカウントt3を開始し(S16)、そのタイムカウントt3と予め設定された所定時間t3sとを比較する(S17)。タイムカウントt3が所定時間t3sに達すると(S17のYES)、メインコントローラ50は、運転周波数Faの上昇による室外機A1の能力増大および運転周波数Fcの下降による室外機A2の能力低減を解除する(S18)。この解除に伴い、メインコントローラ50は、S9の処理に戻り、温度センサ44,45aの検知温度T1,T2aに基づいて圧縮機1a,1c内の潤滑油La,Lcの量を再び検出する(S9)。検出した潤滑油La,Lcの量が設定値以上の適正状態にあれば(S10のYES、S11のYES)、メインコントローラ50は、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再開する(S1)。
【0041】
上記S9の処理で検出した潤滑油La,Lcの量が共に設定値未満の不足状態にある場合(S10のNO、S13のNO)、メインコントローラ50は、圧縮機1aの運転周波数Faおよび圧縮機1cの運転周波数Fcを油回収用の運転周波数Foに共通に設定する(S15)。運転周波数Foは、運転周波数Fa,Fcに基づく室外機A1,A2の合計能力を室内機B1,B2,…Bnの要求能力の総和に見合う値に維持することを前提として、その要求能力の総和に合わせてメインコントローラ50が逐次的に可変設定する値である。
【0042】
こうして、運転周波数Fa,Fcを油回収用の運転周波数Foに共通に設定することにより、室外機A1の能力および室外機A2の能力が運転周波数Foに対応する所定能力となる。これにより、室外機A1への冷媒の循環量と室外機A2への冷媒の循環量とが同じになり(循環量比“0.5”)、その結果、室外機A1への潤滑油Lの偏り率および室外機A2への潤滑油Lの偏り率が共に50%に均一化される。これにより、冷凍サイクル中に流出していた潤滑油Lが圧縮機1a,1cの両方に均等的に効率よく戻るようになり、圧縮機1a,1cの潤滑油不足が解消される。
【0043】
上記運転周波数Foの設定に際し、メインコントローラ50は、タイムカウントt3を開始し(S16)、そのタイムカウントt3と予め設定された所定時間t3sとを比較する(S17)。タイムカウントt3が所定時間t3sに達すると(S17のYES)、メインコントローラ50は、運転周波数Foの設定を解除する(S18)。この解除に伴い、メインコントローラ50は、S9の処理に戻り、潤滑油La,Lcの量を再び検出する(S9)。
【0044】
以上のように、圧縮機1aの潤滑油Laが不足状態にある場合はその圧縮機1aが存する室外機A1の能力を増大して室外機A1への冷媒の循環量を増やし、圧縮機1cの潤滑油Lcが不足状態にある場合はその圧縮機1cが存する室外機A2の能力を増大して室外機A2への冷媒の循環量を増やし、圧縮機1a,1cの潤滑油La,Lcが共に不足状態にある場合は室外機A1,A2の能力を油回収用の所定能力に設定して室外機A1,A2への冷媒の循環量を互いに同じ状態に設定することにより、室外機A1,A2における潤滑油不足を適切かつ迅速に解消できる。
【0045】
[2]第2実施形態
本発明の第2実施形態を
図4および
図5により説明する。室外機A1,A2の構成については、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
図4に示すように、室外機A1は、2台の圧縮機1a,1b、この圧縮機1a,1bの吐出冷媒が流れる高圧側配管2a,2b、この高圧側配管2a,2bの冷媒が合流する高圧側配管2、低圧側配管9のガス冷媒を圧縮機1a,1bの吸込口に導く低圧側配管9a,9b、ガス戻し管11のガス冷媒を低圧側配管9a,9bに導くガス戻し管11a,11b、圧縮機1a,1bのそれぞれ密閉ケースの側部とガス戻し管11の他端との間に接続した油戻し管21a,21b、この油戻し管21a,21bに設けた逆止弁12a,12bおよび減圧器たとえばキャピラリチューブ23a,23b、油戻し管21a,12bにおけるキャピラリチューブ23a,23bより下流側位置に取付けた温度センサ45a,45b、およびインバータ51,52などを有する。インバータ52は、商用交流電源の交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を所定周波数Fb(Hz)およびその所定周波数Fbに応じたレベルの交流電圧に変換し、その交流電圧を圧縮機1bのモータMに対する駆動電力として出力する。所定周波数Fbのことを運転周波数Fbという。
【0046】
ガス戻し管11,11a、キャピラリチューブ12,13a、油戻し管21a、逆止弁22a、キャピラリチューブ23a、温度センサ44,45a、およびメインコントローラ50により、圧縮機1aの密閉ケース内の潤滑油Laの量を検出する油量検出ユニットが構成されている。さらに、ガス戻し管11,11b、キャピラリチューブ12,13b、油戻し管21b、逆止弁22b、キャピラリチューブ23b、温度センサ44,45b、およびメインコントローラ50により、圧縮機1bの密閉ケース内の潤滑油Lbの量を検出する油量検出ユニットが構成されている。
【0047】
一方、室外機A2は、2台の圧縮機1c,1d、この圧縮機1c,1dの吐出冷媒が流れる高圧側配管2c,2d、この高圧側配管2c,2dの冷媒が合流する高圧側配管2、低圧側配管9のガス冷媒を圧縮機1c,1dの吸込口に導く低圧側配管9c,9d、ガス戻し管11のガス冷媒を低圧側配管9c,9dに導くガス戻し管11c,11d、圧縮機1c,1dのそれぞれ密閉ケースの側部とガス戻し管11の他端との間に接続した油戻し管21c,21d、この油戻し管21c,21dに設けた逆止弁12c,12dおよび減圧器たとえばキャピラリチューブ23c,23d、油戻し管21c,12dにおけるキャピラリチューブ23c,23dより下流側位置に取付けた温度センサ45c,45d、およびインバータ61,62などを有する。インバータ62は、商用交流電源の交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を所定周波数Fd(Hz)およびその所定周波数Fdに応じたレベルの交流電圧に変換し、その交流電圧を圧縮機1dのモータMに対する駆動電力として出力する。所定周波数Fdのことを運転周波数Fdという。
【0048】
ガス戻し管11,11c、キャピラリチューブ12,13c、油戻し管21c、逆止弁22c、キャピラリチューブ23c、温度センサ44,45c、およびメインコントローラ50により、圧縮機1cの密閉ケース内の潤滑油Lcの量を検出する油量検出ユニットが構成されている。さらに、ガス戻し管11,11d、キャピラリチューブ12,13d、油戻し管21d、逆止弁22d、キャピラリチューブ23d、温度センサ44,45d、およびメインコントローラ50により、圧縮機1dの密閉ケース内の潤滑油Ldの量を検出する油量検出ユニットが構成されている。
【0049】
コントローラ60は、当該室外機A2の各温度センサおよび各圧力センサの検知結果をメインコントローラ50に通知するとともに、メインコントローラ50からの指令に応じて当該室外機A2の運転を制御する。
【0050】
メインコントローラ50のコントロールセクション50aは、室外機A1,A2における各油量検出ユニットの構成要素であり、室外機A1,A2における各温度センサ44の検知温度T1および温度センサ45a,45b,45c,45dの検知温度T2a,T2b,T2c,T2dに基づいて、圧縮機1a,1b,1c,1dにおける潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量をそれぞれ検出する。
【0051】
コントロールセクション50bは、コントロールセクション50aで検出される圧縮機1a,1b,1c,1dにおける潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量のうち、いずれかの圧縮機の潤滑油の量が設定値未満の不足状態にある場合に、その不足状態の圧縮機が存する室外機への冷媒の循環量を他の室外機への冷媒の循環量より多くする。具体的には、圧縮機1aの潤滑油Laの量のみが設定値未満の場合、圧縮機1aが存する室外機A1の能力(運転周波数Faと運転周波数Fbの合計運転周波数F1)を増大し、その増大分だけ室外機A2の能力(運転周波数Fcと運転周波数Fdの合計運転周波数F2)を低減する。圧縮機1cの潤滑油Lcの量のみが設定値未満の場合は、圧縮機1cが存する室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を増大し、その増大分だけ室外機A1の能力(合計運転周波数F1)を低減する。
【0052】
コントロールセクション50cは、コントロールセクション50aで検出される圧縮機1a,1b,1c,1dにおける潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量の全てが設定値未満の不足状態にある場合、室外機A1への冷媒の循環量および室外機A2への冷媒の循環量を互いに同じ状態に設定する。具体的には、潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が全て設定値未満の不足状態にある場合、室外機A1における圧縮機1a,1bの現時点の運転台数と室外機A2における圧縮機1c,1dの現時点の運転台数が同じであることを条件に、室外機A1の能力(合計運転周波数F1)および室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を油回収用の所定能力(運転周波数Fo)に共通に設定する。
【0053】
ただし、コントロールセクション50cは、補足的な制御として、潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が全て設定値未満の不足状態にある場合に、室外機A1における圧縮機1a,1bの現時点の運転台数が室外機A2における圧縮機1c,1dの現時点の運転台数より多ければ、室外機A1の能力(合計運転周波数F1)を優先的に増大し、その増大分だけ室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を低減する。また、潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が全て設定値未満の不足状態にある場合に、室外機A2における圧縮機1c,1dの現時点の運転台数が室外機A1における圧縮機1a,1bの現時点の運転台数より多ければ、室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を優先的に増大し、その増大分だけ室外機A1の能力(合計運転周波数F1)を低減する。
【0054】
他の構成は、第1実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0055】
以下、メインコントローラ50が実行する制御を
図5のフローチャートを参照しながら説明する。第1実施形態の制御と同じ制御の説明は省略し、第1実施形態の制御と異なる制御についてのみ説明する。
【0056】
タイムカウントt1が所定時間t1sに達したとき(S2のYES)、メインコントローラ50は、油量検出タイミングであるとの判断の下に、圧縮機1a,1b,1c,1d内の潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量を検出する(S3)。検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が設定値以上の適正状態にある場合(S4のNO)、メインコントローラ50は、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再び開始する(S1)。
【0057】
検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量のうち、例えば潤滑油Lcの量が設定値未満の不足状態にある場合(S4のYES)、メインコントローラ50は、室外機A2の電磁開閉弁18を開き、室外機A2におけるオイルセパレータ3内の潤滑油Lを油戻し管16、キャピラリチューブ17、油戻し管14、油戻し管11,11c,11d、キャピラリチューブ13c,13d、低圧側配管9c,9dを通して圧縮機1c,1dに回収する(S5)。
【0058】
この回収の終了後、メインコントローラ50は、潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量を再び検出する(S9)。
【0059】
検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が設定値以上の適正状態にある場合(S10のYES、S11のYES)、メインコントローラ50は、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再び開始する(S1)。
【0060】
ただし、上記検出した潤滑油Lcの量がまだ設定値未満の不足状態にある場合(S10のYES、S11のNO)、メインコントローラ50は、圧縮機1cの運転周波数Fcと圧縮機1dの運転周波数Fdの合計運転周波数F2を所定値ΔFだけ上昇させ(S12)、これにより室外機A2の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大分だけ室外機A1の能力を低減するべく、圧縮機1aの運転周波数Faと圧縮機1bの運転周波数Fbの合計運転周波数F1を所定値だけ下降させる。
【0061】
室外機A2の能力が増大すると、室内機B1,B2,…Bnから渡り配管P2を通って室外機A2に戻る冷媒の量が増える。室外機A2への冷媒の循環量が増えることにより、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減る。その結果、圧縮機1c,1d内の潤滑油Lc,Ldの量が増えて、圧縮機1cの潤滑油不足が解消される。
【0062】
上記S9の処理で検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量のうち、例えば潤滑油Laの量が不足状態にある場合(S10のNO、S13のYES)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F1を所定値ΔFだけ上昇させ(S14)、これにより室外機A1の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大分だけ室外機A2の能力を低減するべく、合計運転周波数F2を所定値だけ下降させる。
【0063】
室外機A1の能力が増大すると、室内機B1,B2,…Bnから室外機A1に戻る冷媒の量が増える。室外機A1への冷媒の循環量が増えることにより、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減る。その結果、圧縮機1a,1b内の潤滑油La,Lbの量が増えて、圧縮機1aの潤滑油不足が解消される。
【0064】
上記S9の処理で検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量の全てが設定値未満の不足状態にある場合(S10のNO、S13のNO)、メインコントローラ50は、室外機A1における圧縮機1a,1bの運転台数と室外機A2における圧縮機1c,1dの運転台数との、大小関係を判定する(S21、S23)。
【0065】
室外機A1における圧縮機1a,1bの運転台数と室外機A2における圧縮機1c,1dの運転台数が同じ場合(S21のNO、S23のNO)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F1,F2を油回収用の運転周波数Foに共通に設定する(S15)。
【0066】
こうして、合計運転周波数F1,F2を油回収用の運転周波数Foに共通に設定することにより、室外機A1の能力および室外機A2の能力が運転周波数Foに対応する所定能力となる。これにより、室外機A1への冷媒の循環量と室外機A2への冷媒の循環量とが同じになり、その結果、室外機A1への潤滑油Lの偏り率および室外機A2への潤滑油Lの偏り率が共に50%に均一化される。これにより、冷凍サイクル中に流出していた潤滑油Lが室外機A1,A2の両方に均等的に効率よく戻るようになり、圧縮機1a,1b,1c,1dの潤滑油不足が解消される。
【0067】
ただし、室外機A1における圧縮機1a,1bの運転台数が室外機A2における圧縮機1c,1dの運転台数より多い場合(S21のYES)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F1を所定値ΔFだけ上昇させ(S22)、これにより室外機A1の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大分だけ室外機A2の能力を低減するべく、合計運転周波数F2を所定値だけ下降させる。
【0068】
こうして、運転台数が多い側の室外機A1の能力を増大させ、室外機A1への冷媒の循環量を優先的に増やすことにより、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増える。その結果、圧縮機1a,1b内の潤滑油La,Lbの量が増えて、少なくとも室外機A1側の潤滑油不足が解消される。
【0069】
室外機A2における圧縮機1c,1dの運転台数が室外機A1における圧縮機1a,1bの運転台数より多い場合(S21のNO、S23のYES)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F2を所定値ΔFだけ上昇させ(S24)、これにより室外機A2の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大分だけ室外機A1の能力を低減するべく、合計運転周波数F1を所定値だけ下降させる。
【0070】
こうして、運転台数が多い側の室外機A2の能力を増大させ、室外機A2への冷媒の循環量を優先的に増やすことにより、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増える。その結果、圧縮機1c,1d内の潤滑油Lc,Ldの量が増えて、少なくとも室外機A2側の潤滑油不足が解消される。
【0071】
以上のように、室外機A1側に潤滑油不足がある場合は室外機A1の能力を増大して室外機A1への冷媒の循環量を増やし、室外機A2側に潤滑油不足がある場合は室外機A2の能力を増大して室外機A2への冷媒の循環量を増やすことにより、室外機A1,A2における潤滑油不足を適切かつ迅速に解消できる。
【0072】
潤滑油La,Lb,Lc,Ldが全て不足状態にあって、室外機A1,A2における圧縮機の運転台数が同じである場合は、室外機A1,A2の能力を油回収用の所定能力に設定して室外機A1,A2への冷媒の循環量を均等化することにより、室外機A1,A2における潤滑油不足を適切かつ迅速に解消できる。また、潤滑油La,Lb,Lc,Ldが全て不足状態にあって、室外機A1,A2における圧縮機の運転台数が異なる場合は、運転台数が多い側の室外機の能力を増大させて同室外機への冷媒の循環量を優先的に増やすことにより、少なくとも1つの室外機の冷媒量不足を適切かつ迅速に解消できる。
【0073】
[3]第3実施形態
本発明の第3実施形態を
図6および
図7により説明する。室外機A1,A2の構成については、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
図6に示すように、室外機A1は、1台の圧縮機1a、高圧側配管2aの冷媒を低圧側配管9に通じるアキュームレータ8にバイパスするバイパス管71、およびこのバイパス管71に設けた電磁開閉弁72を有する。室外機A2は、1台の圧縮機1c、高圧側配管2cの冷媒を低圧側配管9に通じるアキュームレータ8にバイパスするバイパス管71、およびこのバイパス管71に設けた電磁開閉弁72を有する。
【0074】
メインコントローラ50のコントロールセクション50aは、室外機A1,A2における各油量検出ユニットの構成要素であり、室外機A1,A2における各温度センサ44の検知温度T1および温度センサ45a,45cの検知温度T2a,T2cに基づき、圧縮機1a,1cにおける潤滑油La,Lcの量をそれぞれ検出する。
【0075】
コントロールセクション50bは、コントロールセクション50aで検出される圧縮機1a,1cにおける潤滑油La,Lcの量のうち、いずれかの圧縮機における潤滑油の量が設定値未満の不足状態にある場合に、その不足状態の圧縮機が存する室外機の能力増大が可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば同室外機の能力を増大しかつその増大分だけ他の室外機の能力を低減し、可能な状況になければ上記他の室外機における電磁開閉弁72を開いて高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。具体的には、圧縮機1aの潤滑油Laの量のみが設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1aが存する室外機A1の能力増大(運転周波数Faの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A1の能力を増大しかつその増大分だけ室外機A2の能力(運転周波数Fc)を低減し、可能な状況になければ室外機A2の電磁開閉弁72を開いて室外機A2における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。また、圧縮機1cの潤滑油Lcの量のみが設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1cが存する室外機A2の能力増大(運転周波数Fcの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A2の能力を増大しかつその増大分だけ室外機A1の能力(運転周波数Fa)を低減し、可能な状況になければ室外機A1の電磁開閉弁72を開いて室外機A1における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。
【0076】
コントロールセクション50cは、コントロールセクション50aで検出される潤滑油La,Lcの量が共に設定値未満の不足状態にある場合、室外機A1への冷媒の循環量および室外機A2への冷媒の循環量を互いに同じ状態に設定する。具体的には、室外機A1の能力(運転周波数Fc)および室外機A2の能力(運転周波数Fc)を油回収用の所定能力(運転周波数Fo)に共通に設定する。
【0077】
メインコントローラ50が実行する制御を
図7のフローチャートを参照しながら説明する。第1実施形態の制御と同じ制御の説明は省略し、第1実施形態の制御と異なる制御についてのみ説明する。
【0078】
S9の処理で検出した潤滑油La,Lcの量のうち、潤滑油Laの量が設定値以上の適正状態にあって(S10のYES)、潤滑油Lcの量が設定値未満の不足状態にある場合(S11のNO)、メインコントローラ50は、圧縮機1cが存する室外機A2の能力増大(運転周波数Fcの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定する(S12a)。例えば、冷房負荷が大きくなくて運転周波数Fcが制御上の上限値に対し十分な上昇可能幅を持つ場合、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大が可能な状況にあると判定する(S12aのYES)。外気温度の上昇などにより冷房負荷が大きくなり運転周波数Fcがすでに制御上の上限値またはその付近に達している場合には、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大が可能な状況にないと判定する(S12aのNO)。
【0079】
室外機A2の能力増大が可能な状況にある場合(S12aのYES)、メインコントローラ50は、運転周波数Fcを所定値ΔFだけ上昇させ(S12b)、これにより室外機A2の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大分だけ室外機A1の能力を低減するべく、運転周波数Faを所定値だけ下降させる。
【0080】
室外機A2の能力が増大すると、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1c内の潤滑油Lcの量が増える。圧縮機1cの潤滑油不足が解消される。
【0081】
室外機A2の能力増大が可能な状況にない場合(S12aのNO)、メインコントローラ50は、室外機A1の電磁開閉弁72を開いて室外機A1における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。このバイパスいわゆる高圧レリースにより、圧縮機A1の能力が減少する。室外機A1の能力が減少すると、相対的に室外機A2の能力が増大し、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1c内の潤滑油Lcの量が増える。圧縮機1cの潤滑油不足が解消される。
【0082】
S9の処理で検出した潤滑油La,Lcの量のうち、潤滑油Lcの量が設定値以上の適正状態にあって(S10のNO)、潤滑油Laの量が設定値未満の不足状態にある場合(S13のYES)、メインコントローラ50は、圧縮機1aが存する室外機A1の能力増大(運転周波数Faの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定する(S14a)。例えば、冷房負荷がそれほど大きくなくて圧縮機1aの運転周波数Faが制御上の上限値に対し十分な上昇可能幅を持つ場合、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大が可能な状況にあると判定する(S14aのYES)。外気温度の上昇などにより冷房負荷が大きくなり圧縮機1aの運転周波数Faがすでに制御上の上限値またはその付近に達している場合、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大が可能な状況にないと判定する(S14aのNO)。
【0083】
室外機A1の能力増大が可能な状況にある場合(S14aのYES)、メインコントローラ50は、運転周波数Faを所定値ΔFだけ上昇させ(S14b)、これにより室外機A1の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大分だけ室外機A2の能力を低減するべく、運転周波数Fcを所定値だけ下降させる。
【0084】
室外機A1の能力が増大すると、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1a内の潤滑油Laの量が増える。圧縮機1aの潤滑油不足が解消される。
【0085】
室外機A2の能力増大が可能な状況にない場合(S14aのNO)、メインコントローラ50は、室外機A2の電磁開閉弁72を開いて室外機A2における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。このバイパスいわゆる高圧レリースにより、圧縮機A2の能力が減少する。室外機A2の能力が減少すると、相対的に室外機A1の能力が増大し、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1a内の潤滑油Laの量が増える。圧縮機1aの潤滑油不足が解消される。
【0086】
[4]第4実施形態
本発明の第4実施形態を
図8〜
図10により説明する。室外機A1,A2の構成については、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
図8に示すように、室外機A1は、2台の圧縮機1a,1b、高圧側配管2aの冷媒を低圧側配管9に通じるアキュームレータ8にバイパスするバイパス管71、およびこのバイパス管71に設けた電磁開閉弁72を有する。室外機A2は、2台の圧縮機1c,1b、高圧側配管2cの冷媒を低圧側配管9に通じるアキュームレータ8にバイパスするバイパス管71、およびこのバイパス管71に設けた電磁開閉弁72を有する。
【0087】
メインコントローラ50のコントロールセクション50aは、室外機A1,A2における各油量検出ユニットの構成要素であり、室外機A1,A2における各温度センサ44の検知温度T1および温度センサ45a,45b,45c,45dの検知温度T2a,T2b,T2c,T2dに基づき、圧縮機1a,1b,1c,1dにおける潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量をそれぞれ検出する。
【0088】
コントロールセクション50bは、コントロールセクション50aで検出される圧縮機1a,1b,1c,1dにおける潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量のうち、いずれかの指揮における潤滑油の量が設定値未満の不足状態にある場合、その不足状態にある圧縮機が存する室外機の能力増大が可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば同室外機の能力を増大しかつその増大分だけ他の室外機の能力を低減し、可能な状況になければ上記他の室外機における電磁開閉弁72を開いて高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。具体的には、圧縮機1aの潤滑油Laの量のみが設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1aが存する室外機A1の能力増大(合計運転周波数F1の上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A1の能力を増大しかつその増大分だけ室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を低減し、可能な状況になければ室外機A2の電磁開閉弁72を開いて室外機A2における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。また、圧縮機1cの潤滑油Lcの量のみが設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1cが存する室外機A2の能力増大(合計運転周波数F2の上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A2の能力を増大しかつその増大分だけ室外機A1の能力(合計運転周波数F1)を低減し、可能な状況になければ室外機A1の電磁開閉弁72を開いて室外機A1における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。
【0089】
コントロールセクション50cは、コントロールセクション50aで検出される潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が全て設定値未満の不足状態にある場合、室外機A1への冷媒の循環量および室外機A2への冷媒の循環量を互いに同じ状態に設定する。具体的には、潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が全て設定値未満の不足状態にある場合、室外機A1における圧縮機1a,1bの現時点の運転台数と室外機A2における圧縮機1c,1dの現時点の運転台数が同じであることを条件に、室外機A1の能力(合計運転周波数F1)および室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を油回収用の所定能力(運転周波数Fo)に共通に設定する。
【0090】
ただし、コントロールセクション50cは、補足的な制御として、潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量が全て設定値未満の不足状態にある場合に、圧縮機1a,1bの現時点の運転台数が圧縮機1c,1dの現時点の運転台数より多ければ、室外機A1の能力増大(合計運転周波数F1の上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A1の能力(合計運転周波数F1)を優先的に増大しかつその増大分だけ室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を低減し、可能な状況になければ室外機A2の電磁開閉弁72を開いて室外機A2における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。また、圧縮機1c,1dの現時点の運転台数が圧縮機1a,1bの現時点の運転台数より多ければ、圧縮機1c,1dが存する室外機A2の能力増大(合計運転周波数F2の上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A2の能力(合計運転周波数F2)を優先的に増大しかつその増大分だけ室外機A1の能力(合計運転周波数F1)を低減し、可能な状況になければ室外機A1の電磁開閉弁72を開いて室外機A1における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。
【0091】
メインコントローラ50が実行する制御を
図9のフローチャートおよびその
図9に続く
図10のフローチャートを参照しながら説明する。第2実施形態の制御と同じ制御の説明は省略し、第2実施形態の制御と異なる制御についてのみ説明する。
【0092】
S9の処理で検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量のうち、潤滑油Lcの量のみが設定値未満の不足状態にある場合(S10のYES、S11のNO)、メインコントローラ50は、圧縮機1cが存する室外機A2の能力増大(合計運転周波数F2の上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定する(S12x)。例えば、冷房負荷がそれほど大きくなくて合計運転周波数F2が制御上の上限値に対し十分な上昇可能幅を持つ場合、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大が可能な状況にあると判定する(S12xのYES)。外気温度の上昇などにより冷房負荷が大きくなり合計運転周波数F2がすでに制御上の上限値またはその付近に達している場合、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大が可能な状況にないと判定する(S12xのNO)。
【0093】
室外機A2の能力増大が可能な状況にある場合(S12xのYES)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F2を所定値ΔFだけ上昇させ(S12y)、これにより室外機A2の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大分だけ室外機A1の能力を低減するべく、合計運転周波数F1を所定値だけ下降させる。
【0094】
室外機A2の能力が増大すると、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1c,1d内の潤滑油Lc,Ldの量が増える。圧縮機1cの潤滑油不足が解消される。
【0095】
室外機A2の能力増大が可能な状況にない場合(S12xのNO)、メインコントローラ50は、室外機A1の電磁開閉弁72を開いて室外機A1における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。このバイパスいわゆる高圧レリースにより、圧縮機A1の能力が減少する。室外機A1の能力が減少すると、相対的に室外機A2の能力が増大し、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1c,1d内の潤滑油Lc,Ldの量が増える。圧縮機1cの潤滑油不足が解消される。
【0096】
S9の処理で検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量のうち、潤滑油Laの量のみが設定値未満の不足状態にある場合(S10のNO、S13のYES)、メインコントローラ50は、圧縮機1aが存する室外機A1の能力増大(合計運転周波数F1の上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定する(S14x)。例えば、冷房負荷がそれほど大きくなくて合計運転周波数F1が制御上の上限値に対し十分な上昇可能幅を持つ場合、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大が可能な状況にあると判定する(S14xのYES)。外気温度の上昇などにより冷房負荷が大きくなり合計運転周波数F1がすでに制御上の上限値またはその付近に達している場合、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大が可能な状況にないと判定する(S14xのNO)。
【0097】
室外機A1の能力増大が可能な状況にある場合(S14xのYES)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F1を所定値ΔFだけ上昇させ(S14y)、これにより室外機A1の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大分だけ室外機A2の能力を低減するべく、合計運転周波数F2を所定値だけ下降させる。
【0098】
室外機A1の能力が増大すると、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1a,1b内の潤滑油La,Lbの量が増える。圧縮機1aの潤滑油不足が解消される。
【0099】
室外機A2の能力増大が可能な状況にない場合(S14sのNO)、メインコントローラ50は、室外機A2の電磁開閉弁72を開いて室外機A2における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。このバイパスいわゆる高圧レリースにより、圧縮機A2の能力が減少する。室外機A2の能力が減少すると、相対的に室外機A1の能力が増大し、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1a,1b内の潤滑油La,Lbの量が増える。圧縮機1aの潤滑油不足が解消される。
【0100】
上記S9の処理で検出した潤滑油La,Lb,Lc,Ldの量の全てが設定値未満の不足状態にある場合(S10のNO、S13のNO)、メインコントローラ50は、室外機A1における圧縮機1a,1bの現時点の運転台数と室外機A2における圧縮機1c,1dの現時点の運転台数との、大小関係を判定する(S21、S23)。
【0101】
圧縮機1a,1bの現時点の運転台数と圧縮機1c,1dの現時点の運転台数が同じ場合(S21のNO、S23のNO)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F1および合計運転周波数F2を油回収用の運転周波数Foに共通に設定する(S15)。
【0102】
ただし、圧縮機1a,1bの現時点の運転台数が圧縮機1c,1dの現時点の運転台数より多い場合(S21のYES)、圧縮機1a,1bの合計運転周波数F1の上昇が可能であるか否かを判定する(S22x)。合計運転周波数F1の上昇が可能な状況にある場合(S22xのYES)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F1を所定値ΔFだけ上昇させ(S22y)、これにより室外機A1の能力を優先的に増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大分だけ室外機A2の能力を低減するべく、合計運転周波数F2を所定値だけ下降させる。
【0103】
室外機A1の能力が増大すると、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1a,1b内の潤滑油La,Lbの量が増える。少なくとも室外機A1側の潤滑油不足が解消される。
【0104】
室外機A1の能力増大が可能な状況にない場合(S22xのNO)、メインコントローラ50は、室外機A2の電磁開閉弁72を開いて室外機A2における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。このバイパスいわゆる高圧レリースにより、圧縮機A2の能力が減少する。室外機A2の能力が減少すると、相対的に室外機A1の能力が増大し、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1a,1b内の潤滑油La,Lbの量が増える。少なくとも室外機A1側の潤滑油不足が解消される。
【0105】
また、圧縮機1c,1dの現時点の運転台数が圧縮機1a,1bの現時点の運転台数より多い場合(S21のNO、S23のYES)、圧縮機1c,1dの合計運転周波数F2の上昇が可能であるか否かを判定する(S24x)。合計運転周波数F2の上昇が可能な状況にある場合(S24xのYES)、メインコントローラ50は、合計運転周波数F2を所定値ΔFだけ上昇させ(S24y)、これにより室外機A2の能力を優先的に増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大分だけ室外機A1の能力を低減するべく、合計運転周波数F1を所定値だけ下降させる。
【0106】
室外機A2の能力が増大すると、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1c,1d内の潤滑油Lc,Ldの量が増える。少なくとも室外機A2側の潤滑油不足が解消される。
【0107】
合計運転周波数F2の上昇が可能な状況にない場合(S24xのNO)、メインコントローラ50は、室外機A1の電磁開閉弁72を開いて室外機A1における高圧側のガス冷媒を低圧側にバイパスする。このガス冷媒のバイパスいわゆる高圧レリースにより、圧縮機A1の能力が減少する。室外機A1の能力が減少すると、相対的に室外機A2の能力が増大し、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1c,1d内の潤滑油Lc,Ldの量が増える。少なくとも室外機A2側の潤滑油不足が解消される。
【0108】
[5]第5実施形態
本発明の第5実施形態を
図11および
図12により説明する。室外機A1,A2の構成については、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
図11に示すように、室外機A1は、1台の圧縮機1a、熱交換器81、バイパス管82、および電動膨張弁83を有する。バイパス管82は、室外熱交換器5と室内機B1,B2,…Bnとの間の液側配管から、四方弁4とアキュームレータ8との間の低圧側配管にかえて接続されている。電動膨張弁83は、開度可変のパルスモニターバルブであり、バイパス管82に設けられている。熱交換器81は、室外熱交換器5と室内機B1,B2,…Bnとの間の液側配管に配置される第1流路81a、およびバイパス管82における電動膨張弁83より下流側位置に配置される第2流路81bを含み、その第1流路81aおよび第2流路81bの相互間で冷媒の熱交換を行う。
【0109】
電動膨張弁83が開くと、液側配管の液冷媒が熱交換器81の流路81bに流入する。流入した冷媒は、流路81aの液冷媒から熱を奪って蒸発し、ガス冷媒となる。このガス冷媒がバイパス管82を通って四方弁4とアキュームレータ8との間の低圧側配管に流れる。
【0110】
室外機A2は、1台の圧縮機1cを有するとともに、室外機A1と同じ熱交換器81、バイパス管82、および電動膨張弁83を有する。
【0111】
メインコントローラ50のコントロールセクション50aは、室外機A1,A2における各油量検出ユニットの構成要素であり、室外機A1,A2における各温度センサ44の検知温度T1および温度センサ45a,45cの検知温度T2a,T2cに基づき、圧縮機1a,1cにおける潤滑油La,Lcの量をそれぞれ検出する。
【0112】
コントロールセクション50bは、コントロールセクション50aで検出される圧縮機1a,1cにおける潤滑油La,Lcの量のうち、いずれかの圧縮機における潤滑油の量が設定値未満の不足状態にある場合に、その不足状態にある圧縮機が存する室外機の能力増大が可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば同室外機の能力を増大しかつその増大分だけ他の室外機の能力を低減し、可能な状況になければ上記他の室外機における電動膨張弁83を所定開度に開いて液側配管の冷媒を低圧側にバイパスする。具体的には、圧縮機1aの潤滑油Laの量のみが設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1aが存する室外機A1の能力増大(運転周波数Faの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A1の能力を増大しかつその増大分だけ室外機A2の能力(運転周波数Fc)を低減し、可能な状況になければ室外機A2の電動膨張弁83を所定開度に開いて室外機A2における液側配管の液冷媒を低圧側にバイパスする電動膨張弁83の開度を所定量ずつ段階的に増大する。また、圧縮機1cの潤滑油Lcの量のみが設定値未満の不足状態にある場合、圧縮機1cが存する室外機A2の能力増大(運転周波数Fcの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定し、可能な状況にあれば室外機A2の能力を増大しかつその増大分だけ室外機A1の能力(運転周波数Fa)を低減し、可能な状況になければ室外機A1の電動膨張弁83を所定開度開いて室外機A1における液側配管の液冷媒を低圧側にバイパスするとともに、電動膨張弁83の開度を所定量ずつ段階的に増大する。
【0113】
コントロールセクション50cは、コントロールセクション50aで検出される潤滑油La,Lcの量が共に設定値未満の不足状態にある場合、室外機A1への冷媒の循環量および室外機A2への冷媒の循環量を互いに同じ状態に設定する。具体的には、室外機A1の能力(運転周波数Fc)および室外機A2の能力(運転周波数Fc)を油回収用の所定能力(運転周波数Fo)に共通に設定する。
【0114】
メインコントローラ50が実行する制御を
図12のフローチャートを参照しながら説明する。第1実施形態の制御と同じ制御の説明は省略し、第1実施形態の制御と異なる制御についてのみ説明する。
【0115】
S9の処理で検出した潤滑油La,Lcの量のうち、潤滑油Lcの量が設定値未満の不足状態にある場合(S10のYES、S11のNO)、メインコントローラ50は、圧縮機1cが存する室外機A2の能力増大(運転周波数Fcの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定する(S12a)。
【0116】
室外機A2の能力増大が可能な状況にある場合(S12aのYES)、メインコントローラ50は、運転周波数Fcを所定値ΔFだけ上昇させ(S12b)、これにより室外機A2の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A2の能力増大分だけ室外機A1の能力を低減するべく、運転周波数Faを所定値だけ下降させる。
【0117】
室外機A2の能力が増大すると、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1c内の潤滑油Lcの量が増える。圧縮機1cの潤滑油不足が解消される。
【0118】
室外機A2の能力増大が可能な状況にない場合(S12aのNO)、メインコントローラ50は、室外機A1の電動膨張弁83を所定開度(初期開度)に開いて室外機A1における液側配管の液冷媒を低圧側にバイパスする(S12c)。このバイパスにより、圧縮機A1の能力が減少する。室外機A1の能力が減少すると、相対的に室外機A2の能力が増大し、室外機A2への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A2への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A1への潤滑油Lの偏り率が減る。
【0119】
このバイパスに際し、メインコントローラ50は、カウント値Nを“1”アップする(S31)。そして、メインコントローラ50は、タイムカウントt3を開始し(S16)、そのタイムカウントt3と予め設定された所定時間t3sとを比較する(S17)。タイムカウントt3が所定時間t3sに達すると(S17のYES)、メインコントローラ50は、電動膨張弁83の開放によるバイパスを解除する(S18)。続いて、メインコントローラ50は、S9の処理に戻り、潤滑油La,Lcの量を再び検出する(S9)。検出した潤滑油La,Lcの量が設定値以上の適正な状態にあれば(S10のYES、S11のYES)、メインコントローラ50は、カウント値Nを“0”クリアし(S30)、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再開する(S1)。
【0120】
ここで検出した潤滑油Lcの量がまだ設定値未満の不足状態にあって(S10のYES、S11のNO)、しかも室外機A2の能力増大(運転周波数Fcの上昇)が可能な状況にない場合(S12aのNO)、メインコントローラ50は、室外機A1の電動膨張弁83を再び開いて圧縮機A1における液側配管の液冷媒を低圧側にバイパスする(S12c)。このとき、メインコントローラ50は、電動膨張弁83の開度を、最初の所定開度(初期開度)よりも、カウント値N(=“1”)に比例する所定量分だけ大きい開度に設定する。こうして、電動膨張弁83の開度を段階的に増して冷媒のバイパス量を増やすことにより、室外機A1の能力減少が促進される。これにより、圧縮機1c内の潤滑油Lcの量が確実に増えて、圧縮機1cの潤滑油不足が迅速に解消される。
【0121】
また、S9の処理で検出した潤滑油La,Lcの量のうち、潤滑油Laの量が設定値未満の不足状態にある場合(S10のNO、S13のYES)、メインコントローラ50は、圧縮機1aが存する室外機A1の能力増大(運転周波数Faの上昇)が現時点で可能な状況にあるか否かを判定する(S14a)。
【0122】
室外機A1の能力増大が可能な状況にある場合(S14aのYES)、メインコントローラ50は、運転周波数Faを所定値ΔFだけ上昇させ(S14b)、これにより室外機A2の能力を増大する。同時に、メインコントローラ50は、室外機A1の能力増大分だけ室外機A2の能力を低減するべく、運転周波数Fcを所定値だけ下降させる。
【0123】
室外機A1の能力が増大すると、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減り、結果として、圧縮機1a内の潤滑油Laの量が増える。圧縮機1aの潤滑油不足が解消される。
【0124】
室外機A1の能力増大が可能な状況にない場合(S14aのNO)、メインコントローラ50は、室外機A2の電動膨張弁83を所定開度(初期開度)に開いて室外機A2における液側配管の液冷媒を低圧側にバイパスする(S14c)。このバイパスにより、圧縮機A2の能力が減少する。室外機A2の能力が減少すると、相対的に室外機A1の能力が増大し、室外機A1への冷媒の循環量が増える。これに伴い、室外機A1への潤滑油Lの偏り率が増えて室外機A2への潤滑油Lの偏り率が減る。
【0125】
このバイパスに際し、メインコントローラ50は、カウント値Nを“1”アップする(S31)。そして、メインコントローラ50は、タイムカウントt3を開始し(S16)、そのタイムカウントt3と予め設定された所定時間t3sとを比較する(S17)。タイムカウントt3が所定時間t3sに達すると(S17のYES)、メインコントローラ50は、電動膨張弁83の開放によるバイパスを解除する(S18)。続いて、メインコントローラ50は、S9の処理に戻り、潤滑油La,Lcの量を再び検出する(S9)。検出した潤滑油La,Lcの量が設定値以上の適正な状態にあれば(S10のYES、S11のYES)、メインコントローラ50は、カウント値Nを“0”クリアし(S30)、初めのS1の処理に戻ってタイムカウントt1を再開する(S1)。
【0126】
ここで検出した潤滑油Laの量がまだ設定値未満の不足状態にあって(S10のNO、S13のYES)、しかも室外機A1の能力増大(運転周波数Faの上昇)が可能な状況にない場合(S14aのNO)、メインコントローラ50は、室外機A2の電動膨張弁83を再び開いて圧縮機A2における液側配管の液冷媒を低圧側にバイパスする(S14c)。このとき、メインコントローラ50は、電動膨張弁83の開度を、最初の所定開度(初期開度)よりも、カウント値N(=“1”)に比例する所定量分だけ大きい開度に設定する。こうして、電動膨張弁83の開度を段階的に増して冷媒のバイパス量を増やすことにより、室外機A2の能力減少が促進される。これにより、圧縮機1a内の潤滑油Laの量が確実に増えて、圧縮機1aの潤滑油不足が迅速に解消される。
【0127】
なお、この第5実施形態では、室外機A1,A2がそれぞれ1台の圧縮機を有する場合について説明したが、上記第4実施形態のように、室外機A1,A2がそれぞれ2台の圧縮機を有する場合についても、同様に実施できる。
【0128】
[6]変形例
上記各実施形態では、潤滑油不足が生じた場合にオイルセパレータ3からの潤滑油Lの回収を行い、それにもかかわらず潤滑油不足が解消されない場合に室外機への冷媒の循環量を制御する構成としたが、潤滑油不足が生じた場合には室外機への冷媒の循環量を直ちに制御する構成としてもよい。
【0129】
上記各実施形態では、潤滑油の量を冷媒温度および油温度に基づいて検出する場合を例に説明したが、圧縮機内の油面に浮かぶフロートを用いて潤滑油の量を検出したり、誘電率によって潤滑油の量を検出するなど、種々の検出方法の採用が可能である。
【0130】
上記各実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。