(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ビタミンD、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、亜鉛、銅、マンガン、およびセレンからなる群から選択される少なくとも1つの生理活性成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物、機能性食品、医薬組成物、またはプレミックス。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、25−OH D3+酸化防止剤/抗炎症剤と組み合わせた、制約なしの飼料摂取に応じたブロイラーの種畜雌鳥のグルコースクリアランスおよびインスリン分泌を示す図である。雌鳥は、3週間の給餌の後に羽の静脈を通して一用量のグルコース(0.5g/kg BW)を注入した。血液サンプルは、グルコース注入の後に示される時点で羽の静脈のカニューレ挿入を通して収集した、n=3。
【
図2】
図2は、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤と組み合わせた、制約なしの飼料摂取に応じたブロイラーの種畜雌鳥の組織インターロイキン−1β含有量および血漿IL−6レベルを示す図である。組織および血液サンプルは、10週間の給餌治験の後に収集した。上付きの文字が異なる平均値は、有意差がある(P<0.05)、n=3。
【
図3】
図3は、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤包含と組み合わせた、制約なしの飼料摂取に応じたブロイラーの種畜雌鳥の組織STAT−3活性化を示す図である。組織および血液サンプルは、10週間の給餌治験の後に収集した。上付きの文字が異なる平均値は、有意差がある(P<0.05)、n=3。
【
図4】
図4〜6は、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤包含と組み合わせた、制約なしの飼料摂取に応じたブロイラー雌鳥の検死の間に撮った写真を示す図である。雌鳥は、10週間の給餌治験の後に検死させた。
【
図5】
図4〜6は、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤包含と組み合わせた、制約なしの飼料摂取に応じたブロイラー雌鳥の検死の間に撮った写真を示す図である。雌鳥は、10週間の給餌治験の後に検死させた。
【
図6】
図4〜6は、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤包含と組み合わせた、制約なしの飼料摂取に応じたブロイラー雌鳥の検死の間に撮った写真を示す図である。雌鳥は、10週間の給餌治験の後に検死させた。
【
図7】
図7は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の卵産生に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す図である。
【
図8】
図8は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の生存率に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す図である。
【
図9】
図9は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の体重に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す図である。
【
図10】
図10は、制限されたまたは制約なしの飼料摂取下で25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤を食事により補充した死んだ雌鳥の心臓の全体の形態を示す一連の写真を示す図である。
【
図11】
図11は、制限されたまたは制約なしの飼料摂取下で25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤を食事により補充した死んだ雌鳥の心臓の全体の形態を示す一連の写真を示す図である。
【
図12】
図12は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥のEGCに対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す一連の心電図(EGC)を示す図である。矢印は、パターンの不規則性を示す。
【
図13】
図13は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の不整脈のECGパターンに対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す一連のEGCを示す図である。
【
図14】
図14は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥(35週齢)の心線維症に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す写真およびグラフを示す図である。
【
図15】
図15は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の血漿IL−6およびIL−1β濃度に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す図である。
【
図16】
図16は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥(35週齢)の心臓細胞アポトーシスに対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す写真である。
【
図17】
図16は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥(35週齢)の心臓細胞アポトーシスに対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す写真である。
【0029】
本明細書および請求項の全体にわたって使用されるように、下記の定義が適用される。「25−OH D」は、25−ヒドロキシビタミンDの任意の形態(すなわち25−OH D2もしくは25−OH D3またはそのミックスのいずれか)を指す。25−OH D3は、詳細には25−ヒドロキシビタミンD3を指し、25−OH D2は、詳細には25−ヒドロキシビタミンD2を指す。
【0030】
「ビタミンD」は、ビタミンD2、ビタミンD3、または組み合わせのいずれかを意味する。単独で使用されるビタミンD3が、好ましい。
【0031】
「摂食亢進」は、過度の摂食であり、人が摂取するカロリーが、彼らのエネルギー消費よりも大きい。
【0032】
「体重増加の寛解」は、本明細書において記載される25−OH Dおよび酸化防止剤/抗炎症剤の組み合わせを摂取しながら制約なしに食べる場合に体重増加の量が有意に低いことを意味する。カロリー栄養制限食を食べることと比較して好ましい体重増加があってもよい。
【0033】
「アスコルビン酸」および「ビタミンC」は、本明細書および請求項の全体にわたって区別なく使用される。
【0034】
「基礎食」は、家禽がビタミンおよびミネラルが十分となるように飼料により十分なビタミンおよびミネラルが家禽に補充されることを意味する。
【0035】
「25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤」は、人が本明細書において示される服用量の範囲で、ビタミンまたはミネラルの欠乏症または不足を被らないように十分なビタミンおよびミネラルを提供する食餌に加えて投与される、25−OH D3、ビタミンE、本発明のカロテノイド(次のパラグラフを参照)、およびアスコルビン酸の組み合わせを意味する。任意選択で、好ましくは、ビタミンD、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、亜鉛、銅、マンガン、セレン、およびその組み合わせからなる群から選択されるさらなる生理活性成分は、25−OHD3、ビタミンE、カンタキサンチン、およびアスコルビン酸の組み合わせに対して追加される。
【0036】
「本発明のカロテノイド」は、リコピン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、ベータ−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、およびカンタキサンチンの少なくとも1つを意味する。リコピン、アスタキサンチン、ルテイン、およびゼアキサンチンの少なくとも1つが最も好ましい。多くの場合、ルテインおよびゼアキサンチンは、一緒に投与される。
【0037】
[1.卵巣の問題]
25−OH D3、ビタミンE、本発明の1つまたは複数のカロテノイド、およびアスコルビン酸を含む機能性食品、栄養補助食品、または医薬組成物の使用は、卵巣の健康に特に寄与することができることが本発明に従って分かった。本発明の機能性食品、栄養補助食品、または医薬品の使用は、多嚢胞性卵巣症候群に関連するこれらの状態のそれぞれを和らげる、低下させる、寛解させる、または排除することができる。
【0038】
家禽、特に産卵鶏は、ヒト卵巣の健康について認識されている実験モデルである。たとえばJohnson et al 2013“The hen as a model of ovarian cancer”Nature.com/reviews/cancer 13:432−436およびWalzem et at 2014“Obesity−Induced Dysfunction in Female Reproduction:Lessons from Birds and Mammals”Adv.Nutr 5:199−206を参照されたい。したがって、家禽研究において収集されたデータは、ヒトに適用可能である。
【0039】
1.多嚢胞性卵巣症候群の症状:多嚢胞性卵巣症候群の女性は、多くの場合、肥満、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、セラミドおよび非エステル化脂肪酸(NEFA)の循環濃度の増加、ならびにIL−1βを含む全身性のインフラモゲン(inflammogen)の1つまたは複数などのような症状を経験する。25−OH D3、ビタミンC、ビタミンE、および本発明のカロテノイドの組み合わせが、これらの症状を寛解させることができることが分かった。
【0040】
したがって、本発明の別の態様は、ヒト多嚢胞性卵巣症候群の予防、ヒト多嚢胞性卵巣症候群の治療、多嚢胞性卵巣症候群の発症の遅延、および多嚢胞性卵巣症候群の症状の寛解からなる群から選択される使用の少なくとも1つのための、25−OH D3、ビタミンC、ビタミンE、ならびにリコピン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、ベータ−カロテン、およびカンタキサンチンからなる群から選択される1つまたは複数のカロテノイドの組み合わせの使用である。
【0041】
本発明の別の態様は、多嚢胞性卵巣症候群を発症する危険性のある人において、ヒト多嚢胞性卵巣症候群を治療する、多嚢胞性卵巣症候群の症状を寛解させる、または多嚢胞性卵巣症候群の発症を遅延させるための方法であって、多嚢胞性卵巣症候群を有するまたは多嚢胞性卵巣症候群を発症する危険性のある人に25−ヒドロキシビタミンD3、ビタミンC、ビタミンE、ならびにリコピン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、ベータ−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、およびカンタキサンチンからなる群から選択される1つまたは複数のカロテノイドを含む組み合わせの有効量を投与するステップを含む方法である。好ましい方法では、前述の人は、リコピン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、およびルテインからなる群から選択される1つまたは複数のカロテノイドが投与される。
【0042】
[2.代謝の問題]
摂食亢進に関連する、本発明の飼料/プレミックスの使用を通して和らげる、低下させる、または排除することができる代謝の問題は、
a)非エステル化脂肪酸のクリアランス
b)血漿異脂肪血症(トリグリセリド、スフィンゴミエリン、およびセラミド)の寛解
c)肝臓、脚、胸肉、および心臓におけるトリグリセリドおよびセラミド蓄積の寛解
d)組織炎症促進性IL−1β産生および血漿IL−6濃度の抑制
e)心臓におけるSTAT−3(シグナルトランスデューサーおよび転写活性化因子3)のリン酸化のアップレギュレーションによる心臓の保護および心機能の強化
f)心臓への免疫細胞の浸潤の抑制
g)腹水症の発生の減少を含む。
【0043】
これらの前述の観察され改善された状態は、死亡率の低下、インスリンシグナル伝達の改善、脂肪毒性の発達および全身性炎症の減少、ならびに食糧過負荷誘発性の心臓の病気の発生に対する心臓保護メカニズムの活性化をもたらす。
【0044】
[3.心血管系の問題]
群れの中の鳥は、「急死」を経験することがある。「急死」は、個々の鳥が以前にサインまたは疾病または外傷を示すことなく死んだことを意味する。鳥は、健康に見えるが、短い期間に羽を叩き、脚を動かして急に死に、その間、鳥は、しばしばひっくり返ってあおむけになる。鳥はまた、横向きまたはうつぶせになって死んでいるのが見つかるかもしれない。肉眼的病変は特にない。最近の研究は、死んだ鳥が心筋細胞および心内膜下プルキンエ細胞において病変を有し、これが診断を助け得ることを示す。
【0045】
発明者らは、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の組み合わせありまたはなしの制約なしにおよび制限食を給餌された群れにおいて、実施例3において詳述されるようにこの現象をさらに調査した。発明者らの結果のうちのいくつかを下記に示す。
【0046】
制約なしに給餌された鳥において、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤を給餌された急死した鳥は、体重がより重かったが、相対的な肝臓、腹部の脂肪、および心臓の重量がより低かったことが本発明に従って分かった。急死の鳥では、制約なしの給餌が、心臓の順応性肥大を引き起こし、肥大性増殖の中には、病理学的に心室拡大に発達し得るものもある。その結果、心臓は、末梢組織に酸素を送るための血液供給の必要性を満たすためにポンプ機能を維持するためのより高い収縮性を必要とする。この状態が、心不全を引き起こしたかもしれない。
【0047】
重要なことには、発明者らは、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤が、制約なしに給餌された鳥において心臓病を発病させる進行を弱め、その結果として、心不全の発生を減少させることが分かった。したがって、本発明の別の態様は、心不全に至ることがある心臓の問題の数を低下させる25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の使用である。
【0048】
制限されたおよび制約なしに給餌された鳥において、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤を用いた鳥は、順応性肥大性増殖をそれほど示さず、ほとんどの過度の食糧が筋肉に分配され得、その結果として、ポンプ機能の増加のための心臓の肥大性増殖が、より高い成長速度(筋肉)に対する酸素供給の必要性を満たすことができず、したがって、不整脈および機能不全を引き起こし得るという仮説を支持する。
【0049】
25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の包含は、下記の効果
・死んだ鳥の検死において観察される心臓の病的状態(拡大、心嚢液貯留、破裂)の発生の減少
・ECGパターンの不規則な発生の量の減少
・制約なしに給餌されたブロイラー雌鳥の不整脈の減少
・心臓の病的状態によって誘発される急死の改善
・制約なしに給餌された雌鳥における心線維症の寛解
・制約なしに給餌された雌鳥における慢性全身性炎症の寛解
・飼料摂取が制限されたまたは制約なしの雌鳥における心臓細胞アポトーシスの寛解
を有することが分かった。
【0050】
したがって、25OH D3+酸化防止剤は、心臓血管系を保護することができる。補足の25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の使用は、関連する有毒性の影響を寛解させ、様々な心血管系の有益性を有する。したがって、本発明は、
a)非エステル化脂肪酸のクリアランス
b)血漿異脂肪血症(トリグリセリド、スフィンゴミエリン、およびセラミド)の寛解
c)肝臓、脚、筋肉、および心臓におけるトリグリセリドおよびセラミド蓄積の寛解
d)組織炎症促進性IL−1β産生および血漿IL−6濃度の抑制
e)心臓におけるSTAT−3(シグナルトランスデューサーおよび転写活性化因子3)のリン酸化のアップレギュレーションによる心臓の保護および心機能の強化
f)心臓への免疫細胞の浸潤の抑制
g)腹水症の発生の減少
h)心血管系の問題による死亡の発生の減少
i)心臓の病的状態(拡大、心嚢液貯留、破裂)の発生の減少
j)ECGパターンの不規則な発生の量の減少
k)不整脈の発生の減少
l)心線維症の寛解
m)慢性全身性炎症の寛解、ならびに
n)心臓細胞アポトーシスの寛解
o)インスリン抵抗性および/または血中グルコース調節の改善
からなる群から選択される、少なくとも1つの心血管系の有益性のための25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の使用を含む。
【0051】
[3.用量]
本発明の一態様では、本発明の25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の組み合わせが、ビタミンが不十分な個人ではなくビタミンが十分な個人に投与される。ビタミンが十分な状態は、好ましくは、人に最低量のビタミンおよびミネラルを少なくとも供給するバランス食によるものである。本発明の組み合わせは、したがって、好ましくは、基本食に加えて使用される。
【0052】
25−OH D3:25−OH D3は、1日服用量中に存在し、1μg〜50μg、好ましくは約5μg〜25μgである。いくつかの実施形態では、10μgが、使用される。
【0053】
ビタミンE:1日服用量の量は、5〜750mg/日、好ましくは10〜600mg/日、より好ましくは1日当たり100〜500mgの範囲にわたることができる。いくつかの実施形態では、400mgが、使用される。
【0054】
アスコルビン酸:アスコルビン酸の量は、1〜1000mg/日、好ましくは100〜1000mg/日の範囲にわたることができる。より好ましくは、アスコルビン酸の量は、200〜1000mg/日の範囲にわたることができる。
【0055】
リコピン:リコピンの量は、1〜150mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは5〜35mg/日である。
【0056】
アスタキサンチン:アスタキサンチンの量は、1〜150mg/日、好ましくは2〜50mg/日、より好ましくは5〜20mg/日の範囲にわたることができる。
【0057】
β−クリプトキサンチン β−クリプトキサンチンの量は、1〜100mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは2〜30mg/日、より好ましくは5〜15mg/日である。
【0058】
ベータ−カロテン ベータ−カロテンの量は、1〜100mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは2〜20mg/日、より好ましくは5〜15mg/日である。
【0059】
ゼアキサンチン:ゼアキサンチンの量は、1〜60mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは2〜20mg/日、より好ましくは3〜10mg/日である。
【0060】
ルテイン:ルテインの量は、1〜100mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは2〜20mg/日、より好ましくは6〜12mg/日である。
【0061】
カンタキサンチン:カンタキサンチンの量は、30mg/日を超過するべきではない。
【0062】
[代表的な毎日の処方1:]
25−OH D3:5〜25μg、好ましくは10μg
ビタミンE 400mg
アスコルビン酸:100〜1000mg、好ましくは200〜1000
クリプトキサンチン:10mg
【0063】
[代表的な毎日の処方#2:]
25−OH D3:5〜25μg、好ましくは12.5μg
ビタミンE:10mg
アスコルビン酸:100〜1000mg、好ましくは200〜1000
ルテイン 6〜12mg
(任意選択)ゼアキサンチン:6mg
【0064】
[代表的な毎日の処方#3]
25−OH D3:5〜25μg、好ましくは12.5μg
ビタミンE:200〜600mg、好ましくは300〜500mg
アスコルビン酸:100〜1000mg、好ましくは200〜1000
リコピン:20mg
【0065】
[代表的な毎日の処方#4]
25−OH D3:5〜25μg、好ましくは10μg
ビタミンE:200〜600mg、好ましくは300〜500mg
アスコルビン酸:100〜1000mg、好ましくは200〜1000
アスタキサンチン:20mg
【0066】
[代表的な毎日の処方#5]
25−OH D3:5〜25μg、好ましくは12.5μg
ビタミンE:200〜600mg、好ましくは300〜500mg
アスコルビン酸:100〜1000mg、好ましくは200〜1000
ベータカロテン:10mg
【0067】
好ましい比は、以下のものを含む。
【0068】
【表1】
【0069】
[任意選択のさらなる成分]
上記に列挙される機能性食品、栄養補助食品、または医薬組成物のそれぞれに、さらなる成分の少なくとも1つが追加されてもよい。好ましくは少なくとも1つの、より好ましくは2つ以上の下記の成分が追加される。他の実施形態では、下記の成分がすべて、追加される。
ビタミンD3−ビタミンD3の量は、1〜100μg/日の範囲にわたることができ、好ましくは1〜50μg/日、より好ましくは5〜25μg/日である。
ビタミンB2:ビタミンB2の量は、0.5〜300mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは5〜100mg/日、より好ましくは10〜50mg/日である。
ナイアシン:ナイアシンの量は、1〜300mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは5〜100mg/日、より好ましくは10〜50mg/日である。
パントテン酸:パントテン酸の量は、1〜300mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは5〜100mg/日、より好ましくは10〜50mg/日である。
葉酸:葉酸の量は、50〜100μg/日の範囲にわたることができ、好ましくは400〜800μg/日、より好ましくは400〜600μg/日である。
ビオチン:ビオチンの量は、5μg〜10mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは30μg〜5mg/日、より好ましくは0.1〜1mg/日である。
亜鉛:亜鉛の量は、1〜40mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは5〜40mg/日、より好ましくは10〜20mg/日である。
銅:銅の量は、0.4〜10mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは0.7〜5mg/日、より好ましくは0.9〜3mg/日である。
マンガン:マンガンの量は、1〜10mg/日の範囲にわたることができ、好ましくは1〜5mg/日、より好ましくは1〜3mg/日である。
セレン:セレンの量は、20〜400μg/日の範囲にわたることができ、好ましくは50〜200μg/日、より好ましくは50〜100μg/日である。
【0070】
プレミックスは、前述の用量および好ましい用量を提供するように作製することができる。本発明の一部を形成する1つのプレミックスは、1グラムのプレミックスが1キログラムの機能性食品、栄養補助食品、または医薬組成物に対して追加され、結果として生じる機能性食品、栄養補助食品、または医薬組成物が上記の所与の服用量のいずれかにおいて記載される服用量を含有するように製剤される。個々の成分の量は、もちろん、1キログラムのプレミックスが1メートルトンの機能性食品、栄養補助食品、または医薬組成物に対して追加され、結果として生じる飼料が上記の所与の服用量のいずれかにおいて記載される服用量を含有するように変動させることができる。下記の実施例においてこれを詳細に例説する。
【0071】
[製剤]
本発明の別の態様は、25−OH D、ビタミンC、ビタミンE、および本発明による少なくとも1つのカロテノイドならびに機能性食品に許容され得るキャリヤの組み合わせを含む機能性食品組成物に関する。
【0072】
本明細書において使用される用語「機能性食品」は、食品産物、食料品、健康補助食品、栄養補助剤、または食品産物もしくは食料品のためのサプリメント組成物を含む。したがって、別の実施形態では、本発明が、機能性食品に関し、機能性食品が、食品産物、食料品、健康補助食品、栄養補助剤、または食品産物もしくは食料品のためのサプリメント組成物である。
【0073】
本明細書において使用されるように、用語「食品産物」は、任意の食品またはヒトが消費するのに適した食品を指す。食品産物は、調製済みのおよびパッケージされた食品(たとえばマヨネーズ、サラダドレッシング、パン、またはチーズ食品)であってもよい。本明細書において使用されるように、用語「食料品」は、ヒトの消費にふさわしい任意の物質を指す。用語「健康補助食品」は、1回のまたは複数回の用量単位でパッケージされた、ヒトの食事の補充のための少量の化合物を指す。健康補助食品は、一般に、わずかな量のカロリーしか提供しないが、他の微量栄養素(たとえばビタミンまたはミネラル)を含有してもよい。用語「栄養補助剤」は、カロリーの供給源と組み合わせて健康補助食品を含む組成物を指す。いくつかの実施形態では、栄養補助剤が、食事代替品またはサプリメント(たとえば栄養バーもしくはエネルギーバーまたは栄養飲料もしくは濃縮物)である。
【0074】
食品産物または食料品は、たとえば、アルコールを含まない飲料およびアルコール飲料などのような飲料ならびに飲料水および流動食に追加される液体調製物であり、アルコールを含まない飲料は、たとえば、ソフトドリンク、スポーツ飲料、たとえばオレンジジュース、リンゴジュース、およびグレープフルーツジュースなどのようなフルーツジュース、レモネード、茶、ニアウォーター飲料、ならびにミルクならびにたとえばヨーグルト飲料およびダイエットドリンクなどのような他の乳製品飲料である。別の実施形態では、食品産物または食料品が、本発明に従う組成物を含む固形または半固形食を指す。これらの形態は、ケーキおよびクッキーなどのような焼いた食べ物、プディング、乳製品、菓子、スナック食品、または冷凍菓子もしくは冷凍ノベルティ商品(たとえばアイスクリーム、ミルクセーキ)、調製済みの冷凍食品、キャンディー、スナック製品(たとえばチップス)、スープ、スプレッド、ソース、サラダドレッシング、調製済みの肉製品、チーズ、ヨーグルト、および任意の他の脂肪または油含有食品などのような流動食、ならびに食品成分(たとえば小麦粉)を含むことができるが、これらに限定されない。用語「食品産物」または「食料品」はまた、機能性食品および調製済みの食品産物を含み、後者は、ヒトの消費について承認された任意のあらかじめパッケージされた食品を指す。
【0075】
本発明の健康補助食品は、任意の適した方式で送達されてもよい。好ましい実施形態では、健康補助食品が、経口送達用に製剤される。本発明の健康補助食品の成分は、経口消費用の許容され得る賦形剤および/またはキャリヤ中に含有される。キャリヤ、したがって健康補助食品自体の実際の形態は、重要ではない。キャリヤは、液体、ゲル、ジェルキャップ、カプセル、粉末、固形タブレット(コーティングもしくは非コーティング)、茶、またはその他同種のものであってもよい。
【0076】
健康補助食品は、好ましくは、タブレットまたはカプセルの形態をしている。適した賦形剤および/またはキャリヤは、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、結晶セルロース、デキストロース、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、スクロース、植物ガム、ラクトース、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、およびその他同種のもの(その混合物を含む)を含む。好ましいキャリヤは、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、およびその混合物を含む。様々な成分ならびに賦形剤および/またはキャリヤは、従来の技術を使用して混合され、所望の形態に形成される。本発明のタブレットまたはカプセルは、約6.0〜7.0のpHで溶解する腸溶コーティングでコーティングされてもよい。胃ではなく小腸で溶解する、適した腸溶コーティングは、酢酸フタル酸セルロースである。製剤および投与のための技術についてのさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版において見つけられてもよい。
【0077】
他の実施形態では、健康補助食品が、食品または飲料に消費者が追加するのに適した粉末または液体として提供される。たとえば、いくつかの実施形態では、健康補助食品が、たとえば、飲料の中に混合することによってまたはたとえばプディング、トッピング、ソース、ピューレ、調理済みのシリアル、もしくはサラダドレッシングなどのような半固形食の中にかき混ぜることによってまたはその他に、たとえば、消費直前に放出されるように食品容器または飲料容器のキャップの中に密封された食品に追加することによって使用されることになる粉末の形態で個人に投与することができる。健康補助食品は、とりわけ健康補助食品によって食事に追加されるカロリーの数値を制限することが望ましい場合、1つまたは複数の不活性成分を含んでいてもよい。たとえば、本発明の健康補助食品はまた、たとえば、ハーブ、促進剤、着色剤、甘味剤、調味料、不活性成分、およびその他同種のものを含む任意選択の成分を含有してもよい。
【0078】
下記の非限定的な実施例は、本発明をよりよく例証するために提供される。
【0079】
[実施例]
[実施例1]
合計30匹の45週齢のブロイラー種畜雌鳥(ROSS 308)を研究のために商用の群れから得た。基礎ブロイラー種畜産卵飼料は、表1に示されるように製剤した。計算した栄養素組成を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
食事に、酸化防止剤/抗炎症剤(ビタミンE、アスコルビン酸、カンタキサンチン)および豊富なレベルの選択したビタミンと組み合わせた69mcg/食事1kgの25−OH D3を補ったまたは補わなかった。雌鳥は、以下のように給餌レジメン(制限および制約なし)に従って3つの治療群に無作為に振り分けた。
基礎食−制限された給餌(140g/日)
基礎食−制約なしの給餌
基礎食−制約なしの給餌+69mcg/食事1kgの25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤
【0084】
雌鳥は、14時間:10時間の明:暗周期および25±3℃の温度の制御された部屋の中に置いた金網のかごに個々に収容した。水は制約なしに飲むことができた。実験期間を10週間続けた。給餌治験の3週間後に、何羽かの鳥を関連する血漿パラメーター分析に使用した。実験の終わりに、雌鳥は、さらなる研究:
組織形態の検死
脂質およびスフィンゴ脂質プロファイルの判定−血清および組織
組織炎症促進性サイトカインの判定
インスリン抵抗性の判定
骨強度分析のための脛骨の収集
ミオパシー分析のための心臓(心筋症)ならびに骨格筋(胸および大腿)の回収
のための組織サンプル収集用に安楽死させ、屠殺した。
【0085】
[実施例2]
[結果および議論]
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は、過食したブロイラー雌鳥の体脂肪蓄積および腹部の脂肪を抑制した]
種畜雌鳥は、肝臓、脂肪組織、および発達中の卵母細胞の卵黄に大量の過剰エネルギー(トリグリセリドの形態で)を保存することができる。脂質生成(すなわちグルコースのトリグリセリドへの変換)は、主として鳥の肝臓において行われ、解糖、クエン酸回路、および脂肪酸合成を含む一連の連鎖酵素触媒反応を伴う。肝臓の脂質生成は、栄養およびホルモンの両方の制御を受けやすく、食事の変化に非常に応答性である。脂肪組織は、主として脂質の貯蔵部位として果たし、脂質生成活性がほとんどない。鳥における肝臓対脂肪組織の脂質生成能力の差異は、鍵となる転写因子、ステロール調節エレメント結合タンパク質−1(SREBP−1)の発現の作用によるものである。SREBP−1についての遺伝子は、肝臓において高度に発現されるが、脂肪組織においてずっと少ない。さらに、脂肪酸シンターゼ、リンゴ酸酵素、アセチルCoAカルボキシラーゼ、ATPクエン酸リアーゼ、およびステロイル(steroyl)CoAデサチュラーゼ1などのような多くの脂質生成酵素遺伝子の発現は、SREBP−1によって直接影響を及ぼされる。
【0086】
制約なしに給餌された種畜雌鳥は、給餌が制限された種畜雌鳥よりも多く腹部の脂肪を増大させた。25−OHD3および酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充は、体重および組織重量に対する、特に、相対的な脂肪組織重量(体脂肪蓄積)に対する制約なしの給餌の有毒性の影響を寛解させた(表4)。制約なしに給餌された雌鳥の脛骨の強度は、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤によって強化された。
【0087】
【表5】
【0088】
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は、死亡を低下させ、卵産生、卵巣の形態、および血漿17βエストラジオールレベルを改善した]
エストラジオールの分泌は、排卵に成功した卵胞の特徴である。ゴナドトロピンの排卵前の急上昇を引き起こすことにおけるその役割に加えて、エストラジオールは、重要な卵巣内の成長、分化、および生存因子である。25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の包含は、制約なしの飼料摂取下の鳥において、死亡ならびに卵巣の変性および卵巣腫瘍様の形態の発生を低下させ、卵産生を増加させ、血漿エストラジオールレベルを持続させた。
【0089】
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は障害性のグルコースクリアランスおよびインスリン感受性を寛解させた]
25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の食事への包含は、10週間過食した雌鳥における空腹時血糖値および非エステル化脂肪酸レベルの寛解によって証拠づけられるように、インスリン抵抗性を改善する(表6)。グルコースクリアランス試験において、やせた雌鳥は、グルコース注入後30〜60分間で非常に速いクリアランス速度を示し、反対に肥満の雌鳥は、30〜90分間、クリアランス速度が非常に遅かった(
図1)。インスリン分泌において、肥満の雌鳥は、やせた雌鳥と比較した場合、空腹状態でグルコース注入後に高い血漿インスリンレベルを示した(
図1)。グルコースクリアランスおよびグルコース誘発性のインスリン分泌はともに、3週間過食した雌鳥において25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の包含によって正常になった(
図1)。
【0090】
【表6】
【0091】
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は異脂肪血症を寛解した]
制約なしに給餌された雌鳥は、血漿トリグリセリド、セラミド、およびスフィンゴミエリンレベルを上昇させた。しかしながら、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の組み合わせを補充すると、制約なしに給餌された雌鳥の血漿中のこれらの脂質代謝物質のレベルが低下した(表6)。
【0092】
【表7】
【0093】
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は、組織トリグリセリドの蓄積およびセラミド含有量を低下させた]
肝臓、心臓、および脚の筋肉におけるトリグリセリドおよびセラミドの蓄積は、制約なしに給餌された雌鳥よりも、補足の25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤を給餌された雌鳥において低かった(表7)。
【0094】
【表8】
【0095】
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は過食したブロイラー雌鳥において組織炎症促進性IL−1β産生および血漿IL−6濃度を下げた]
肥満に関連する炎症は、脂肪組織、肝臓、脚の筋肉および胸肉、ならびに心臓において、循環IL−6レベルおよびIL−1β産生の抑制によって証拠づけられるように、食事による25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の補充によって寛解した(
図2)。
【0096】
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は制約なしに給餌されたブロイラー種畜雌鳥において脂肪毒性を寛解させた]
肥満の主要な合併症は、インスリン抵抗性の発症であり、これにより、インスリンがその主な標的組織、骨格筋および肝臓における食後の栄養素貯蔵を誘起することができなくなる。理論によって束縛されることを望むものではないが、2つの有望なメカニズムが、脂肪の蓄えの増加がどのように身体の全体にわたって全体的なインスリン感受性に影響を与え、末梢組織におけるインスリンシグナル伝達のダウンレギュレーションの一因となるかを説明し得るように思われる。第1に、細胞または組織への栄養素の送達は、それらの貯蔵能力を超過しており、したがって、これは、インスリン作用を阻害する代謝物質の生成に至る。特に重要なことに、トリアシルグリセロールおよびセラミドなどのような脂質誘導体は、特定のインスリンシグナル伝達中間体を阻害し、したがって、食後のグルコース取込みおよび/またはグリコーゲン合成をブロックすることが示された。制約なしに給餌されたブロイラー種畜メスの場合、末梢組織におけるこれらの代謝物質の持続的な蓄積は、おそらく、雌鳥の至る所でのインスリン抵抗性の状態の持続および脂肪毒性発症の一因となるであろう。第2に、体脂肪蓄積の増加は、脂肪細胞からまたは脂肪パッドに浸潤しているマクロファージから産生される炎症促進性サイトカインの循環レベルの上昇によって特徴付けられる慢性炎症性状態を誘発する。これらの炎症媒介物質は、インスリンシグナル伝達に直接拮抗し、また異化プロセスをも誘発し、したがって、インスリン応答性の器官への栄養素代謝物質の送達をさらに増加させることが示された。
【0097】
全体として、過剰な飽和脂肪酸の形成、そのため非脂肪組織における脂質の蓄積に至るグルコースの供給過剰は、活性化された炎症応答および脂肪毒性発症と一緒に、代謝調節に関係するシグナル伝達経路を阻害する活性脂質(スフィンゴ脂質)の細胞レベルを上昇させる。特に、セラミドは、過剰な栄養素(すなわち飽和脂肪酸)および炎症性サイトカインの両方をインスリン抵抗性の誘発に関連づける推定上の中間体である。さらに、セラミドは、様々な異なる細胞型において毒性であり、心臓、膵臓、および血管系に損傷を与えることがある。さらに、25−ヒドロキシD3および酸化防止剤/抗炎症剤は、飽和に至るまで給餌したブロイラー種畜雌鳥において起こる体脂肪蓄積の増加から結果として生じる代謝および内分泌調節異常ならびに炎症促進性応答の有毒性の影響を寛解させるのに有効であった。
【0098】
[25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は、過食したブロイラー雌鳥において心臓の病的状態、腹水症、および炎症を寛解させる]
心臓は、過剰の脂質蓄積により機能不全になり得る。その制約なしの給餌により促進された心臓におけるトリグリセリド蓄積は、心臓の脂肪酸利用率の増加によりトリグリセリドに適応的にエステル化されることを示唆した。そのうえ、心臓のセラミド含有量もまた、制約なしの給餌の結果として増加した。セラミドは、脂肪毒性心筋症において心臓毒となり、これは、免疫細胞のより多くの心臓浸潤によって証拠づけられるように炎症応答を誘起した(表9)。
【0099】
【表9】
【0100】
心肥大は、心臓に対する仕事量の増加に対する適応応答を臨床的に示す。しかしながら、神経因子およびホルモン因子への心臓の応答もまた、後負荷または血管抵抗の増加と無関係に肥大性の変化を刺激することがある。食糧過負荷誘発性心臓代償性増殖は、ブロイラー種畜雌鳥において起こった(表8)。心肥大は適応不良になり得、最終的に、病的な状態に発展し、心不全に至る。これらの結果は、心臓における脂肪毒性発症および肥大性増殖が炎症応答を誘起する傾向があるという事実を支持した。
【0101】
リン酸化STAT−3(シグナルトランスデューサーおよび転写活性化因子3)の心臓保護的な役割は、近年ますます明らかになりつつある。興味深いことに、25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤の組み合わせは、給餌制限の種畜雌鳥よりも大きな、心臓におけるSTAT−3の活性化(すなわちSTAT−3のリン酸化)を誘発し(
図3)、最も低い活性化は、制約なしに給餌されたブロイラー種畜雌鳥において観察された。心膜、心室拡大、および腹水内での濾出液の発生は、25−ヒドロキシD3および酸化防止剤/抗炎症剤の組み合わせを補った場合に制約なしに給餌された種畜雌鳥において軽減された。
【0102】
[実施例3]
[心筋症治験]
[材料および方法]
合計30匹の45週齢のブロイラー種畜雌鳥(ROSS 308)を研究のために商用の群れから得た。基本的なブロイラー種畜産卵飼料は、表12に示されるように製剤した。計算した栄養素組成を表13に示す。
【0103】
【表10】
【0104】
【表11】
【0105】
【表12】
【0106】
食事に、酸化防止剤(アスコルビン酸、カンタキサンチン)および豊富なレベルの選択したビタミンと組み合わせた69mcg 25−OH D3/食事1kgのHy・D(登録商標)を補ったまたは補わなかった。雌鳥は、以下のように給餌レジメン(制限および制約なし)に従って治療群に無作為に振り分けた。
1.基礎食−制限された給餌(140g/日)
2.基礎食−制限された給餌+Hy・D(登録商標)(69mcg/食事1kgの25−OH−D3)+酸化防止剤/抗炎症剤
3.基礎食−制約なしの給餌
4.基礎食−制約なしの給餌+Hy・D(登録商標)(69mcg/食事1kgの25−OH−D3)+酸化防止剤/抗炎症剤
【0107】
[結果:]
【0108】
【表13】
【0109】
図7は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の卵産生に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す。表15および
図7から、以下のように結論づけることができる。
1.25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、生存を促進することによって全体的な卵収量を改善した。
2.死んだ鳥では、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、制約なしに給餌された鳥において卵収量および卵産生率に効果がなかったが、制限された鳥において卵収量および卵産生率を減少させた。しかしながら、群れ全体において、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、卵収量を増加させたが、卵産生率は増加させなかった。
3.これらの結果は、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤が、急死しやすい制限された鳥において、死亡への進行を加速し、したがって、生存をより長くするために、急死しやすい鳥を除外するよう群れをえり分けるものとして作用し、それによって群れの維持費を低下させたことを示唆した。
【0110】
【表14】
【0111】
図8は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の生存率に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す。
【0112】
表16および
図8から、以下のように結論づけることができる。
1.25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、鳥生存率を改善した。
2.制約なしに給餌された鳥において、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤を用いた死んだ鳥は、体重がより重かったが、相対的な肝臓、腹部脂肪、および心臓の重量は低く、ほとんどの過剰な食糧が筋肉に分配され得、それによって、ポンプ機能の増加のための心臓の順応性肥大性増殖は、より高い成長速度(筋肉)に対する酸素供給の必要性を満たすことができず、したがって、不整脈および機能不全を引き起こし得ることを示唆した。
【0113】
【表15】
【0114】
50週齢の制約なしの鳥における低い相対的な肝臓重量は、卵巣退縮が発症し、したがってエストロゲン分泌が減少し、卵黄蓄積のための肝臓における脂質合成の減少に至ったことによるように思われる。
【0115】
図9は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の体重に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す。
【0116】
【表16】
【0117】
図10〜
図11は、制限されたまたは制約なしの飼料摂取下で25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤を食事により補充した死んだ雌鳥の心臓の全体の形態を示す。
【0118】
[表17および18ならびに
図9〜11からの結論および注釈:]
1.制約なしの給餌は、心臓の順応性肥大を引き起こし、肥大性増殖の中には、病理学的に心室拡大に発達し得るものもある。その結果、心臓は、末梢組織に酸素を送るための血液供給の必要性を満たすためにポンプ機能を維持するためにより高い収縮性を必要とし、したがって、心不全を引き起こし得る。
2.25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、死んだ鳥において心臓の病的状態(拡大、心嚢液貯留、破裂)の発生を減少させた。
3.制限されたおよび制約なしに給餌された両方の鳥において、25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の鳥は、順応性肥大性増殖をそれほど示さなかった。これは、ほとんどの過度の食糧が筋肉に分配され得、その結果として、ポンプ機能の増加のための心臓の肥大性増殖が、より高い成長速度(筋肉)に対する酸素供給の必要性を満たすことができず、したがって、不整脈および機能不全を引き起こし得るという仮説を支持する。
【0119】
【表17】
【0120】
[表19ならびに
図12および13からの結論および注釈:]
25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、制約なしに給餌されたブロイラー雌鳥のECGパターンの不規則な発生(パターンD〜G)および不整脈を減少させ、心臓の病的状態によって誘発される急死を寛解させた。
【0121】
図14は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥(35週齢)の心線維症に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す。バーの上に文字がある平均値は、有意差がある(P<0.05)。
【0122】
[
図14からの結論および注釈:]
1.25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、制約なしに給餌された雌鳥において心線維症を寛解させた。
【0123】
図15は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥の血漿IL−6(上の図)およびIL−1β濃度(下の図)に対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す。結果は、平均値±SEMで表現した(n=6)。バーの上に異なる文字がある平均値は、有意差がある(P<0.05)。
【0124】
[
図15からの結論および注釈:]
25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、制約なしに給餌された雌鳥において慢性全身性炎症を寛解させた。
【0125】
図16は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしのブロイラー雌鳥(35週齢)の心臓細胞アポトーシスに対する25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤の食事による補充の効果を示す。結果は、平均値±SEMで表現した(n=3)。バーの上に異なる文字がある平均値は、有意差がある(P<0.05)。
【0126】
[
図16からの結論および注釈:]
1.25−OH−D3+酸化防止剤/抗炎症剤は、飼料摂取が制限されたまたは制約なしの雌鳥において心臓細胞アポトーシスを寛解させた。
【0127】
[結論:]
補足の25−OH D3および酸化防止剤/抗炎症剤は、
・死亡率を低下させ、過食したブロイラー種畜雌鳥の卵巣機能、そのため生殖能を改善すること
・内分泌物(インスリン)シグナル伝達を改善すること
・脂肪毒性発症および全身性炎症を低下させること
・食糧過負荷誘発性の心臓の病気の発生に対する心臓保護メカニズムを活性化すること
によって、ブロイラー種畜メスの過食に関連する有毒性の影響を寛解させた。