特許第6859596号(P6859596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6859596デジタル印刷が施された液体用紙容器の製造方法、ならびにデジタル印刷が施された胴部材を用いる円筒型形状容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859596
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】デジタル印刷が施された液体用紙容器の製造方法、ならびにデジタル印刷が施された胴部材を用いる円筒型形状容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/59 20170101AFI20210405BHJP
   B31B 50/64 20170101ALI20210405BHJP
   B31B 50/88 20170101ALI20210405BHJP
【FI】
   B31B50/59
   B31B50/64
   B31B50/88
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-42018(P2016-42018)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-154457(P2017-154457A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大矢 真央
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−352364(JP,A)
【文献】 特開2011−056902(JP,A)
【文献】 特開2005−298018(JP,A)
【文献】 特開2013−244979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/59
B31B 50/64
B31B 50/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層包装材料で構成され、デジタル印刷が施された液体用紙容器の製造方法であって、
紙層の上に樹脂層を積層する工程と、
前記紙層の下面とガスバリア層/シーラント層が順に積層されたシートのガスバリア層面を接着樹脂で貼り合わる工程と、
前記紙層の上の前記樹脂層の上で後の容器成形時にシールされない部分全体にプライマー層をパターンコートする工程と、
前記プライマー層の上にデジタル印刷機でインキ層を形成する工程と、
前記インキ層の上に保護層を形成する工程と、
形成された積層シートで保護層/インキ層/プライマー層が順に積層された領域外で熱溶着して容器を形成する工程とを、
有することを特徴とする液体用紙容器の製造方法。
【請求項2】
積層包装材料で構成され、デジタル印刷が施された胴部材を用いる円筒型形状容器の製造方法であって、
紙層の上に樹脂層を積層する工程と、
前記紙層の下面とガスバリア層/シーラント層が順に積層されたシートのガスバリア層面を接着樹脂で貼り合わる工程と、
前記紙層の上の前記樹脂層の上で後の容器成形時にシールされない部分全体にプライマー層をパターンコートする工程と、
前記プライマー層の上にデジタル印刷機でインキ層を形成する工程と、
前記インキ層の上に保護層を形成する工程と、
形成された積層シートを胴部材とし、保護層/インキ層/プライマー層が順に積層された領域外で熱溶着して容器を形成する工程とを、
有することを特徴とする円筒型形状容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル印刷機で印刷が施された液体用紙容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や非食品の液体内容物に使用される液体用紙容器は、果汁飲料、ジュース、お茶、コーヒー、乳飲料、スープ等の液体飲料、日本酒、焼酎等の酒類に広く用いられている。この液体用紙容器は、紙層と紙層の内面に熱可塑性樹脂によるシーラント層が設けられた積層材料からなり、紙層とシーラント層の間にアルミ箔やアルミ蒸着フィルム、ないしは、無機酸化物蒸着フィルムなどのバリア性のある層(ガスバリア層)を設けたものなどがある。
【0003】
この紙層とガスバリア層を有した紙容器である複合紙容器は、主材料として図2に示される、容器の外から、表面樹脂層17/インキ層16/紙層15/接着樹脂層14/ガスバリア層12/シーラント層11が順に積層してなる材料を用いており、次に示される製造工程を経て生産される(特許文献1)。
1)グラビア印刷で紙層の上に印刷層(インキ)を形成しその上に熱可塑性樹脂をコーティングする。
2)ガスバリア層/シーラント層が順に積層されたシートを用意する。
3)1)の層と2)の層を接着樹脂で接着する。
4)巻取りで、印刷時の不良などを除去する。
5)シール部分を熱圧着して容器を形成する。
【0004】
また、特許文献2においては、従来の製造工程で印刷において、後でデジタル印刷可能なスペースを入れ、紙容器を形成した後、そのスペースにインキジェット印刷などのデジタル印刷する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−138370号公報
【特許文献2】特開2003−84698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら小ロット生産が求められると、コストが問題になっていた。従来の製造工程においてはグラビア印刷には版下作成の工程が入るので、コスト増となる。また、製造工程の初段階で印刷するため、印刷不良は後工程まで引き継がれ、印刷不良部分はさらに積層され、後工程で除去した場合積層した分のロスが発生し、コスト増となっていた。
【0007】
特許文献2における印刷工程のときに後でデジタル印刷可能なスペースを入れ、紙容器を形成した後、そのスペースにインキジェット印刷などのデジタル印刷する方法では、容器に大きな面積の印刷ができず、容器自体が従来の製造方法によっているのでコストは減らすことができなかった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決しようとするものであり、高品質な印刷が施された、多品種・小ロットの液体用紙容器の生産を可能にし、しかも大面積の印刷を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、積層包装材料で構成され、デジタル印刷が施された液
体用紙容器の製造方法であって、紙層の上に樹脂層を積層する工程と、前記紙層の下面とガスバリア層/シーラント層が順に積層されたシートのガスバリア層面を接着樹脂で貼り合わる工程と、前記紙層の上の前記樹脂層の上で後の容器成形時にシールされない部分全体にプライマー層をパターンコートする工程と、前記プライマー層の上にデジタル印刷機でインキ層を形成する工程と、前記インキ層の上に保護層を形成する工程と、形成された積層シートで保護層/インキ層/プライマー層が順に積層された領域外で熱溶着して容器を形成する工程とを、有することを特徴とする液体用紙容器の製造方法である。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、積層包装材料で構成され、デジタル印刷が施された胴部材を用いる円筒型形状容器の製造方法であって、紙層の上に樹脂層を積層する工程と、前記紙層の下面とガスバリア層/シーラント層が順に積層されたシートのガスバリア層面を接着樹脂で貼り合わる工程と、前記紙層の上の前記樹脂層の上で後の容器成形時にシールされない部分全体にプライマー層をパターンコートする工程と、前記プライマー層の上にデジタル印刷機でインキ層を形成する工程と、前記インキ層の上に保護層を形成する工程と、形成された積層シートを胴部材とし、保護層/インキ層/プライマー層が順に積層された領域外で熱溶着して容器を形成する工程とを、有することを特徴とする円筒型形状容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、高品質なデジタル印刷が施された液体用紙容器の小ロットの生産が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】は本発明の液体用紙容器の製造方法における積層包装材料の一実施形態を示す断面説明図である。
図2】は従来の液体用紙容器を構成する積層包装材料の断面説明図である。
図3】はプライマー層をパターンコートした後の積層包装材料の状態を模式的に示す斜視図である。
図4】本発明の液体用紙容器の製造方法による一例の液体用紙容器を示した斜視図である。
図5】本発明の液体用紙容器の製造方法による一例の液体用紙容器のブランクを示した平面模式図である。
図6】本発明の液体用紙容器の製造方法による一例の液体用紙容器のブランクが形成される過程を模式的に示した説明図である。(a)は積層包装材料ベースにパターンコートした後の非パターンコート部とパターンコート部がある平面模式図、(b)は非パターンコート部とパターンコート部があるものにブランクの罫線、断裁線を入れた平面模式図である。
図7】本発明の液体用紙容器の製造方法による積層包装材料の一形態を示す積層包装材料で非パターンコート部とパターンコート部を示す平面模式図。
図8】本発明の液体用紙容器の製造方法の一例の円筒形状の紙容器を示す外観模式図である。(a)は上面図、(b)は横断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の液体用紙容器の製造方法の第一の実施形態について説明する。図4は本発明の液体用紙容器の製造方法による一例の液体用紙容器70を示した斜視図であり、図5は本発明の液体用紙容器の製造方法による一例の液体用紙容器70のブランクを示した
平面模式図である。また図1は本発明の液体用紙容器の製造方法における積層包装材料22の一基本的な構成を断面説明図である。
【0014】
本発明の液体用紙容器の製造方法において液体用紙容器70は、積層包装材料22を成形してなる。
【0015】
まず、紙層5の上に熱可塑性樹脂である樹脂層6を積層する。樹脂層6はポリエチレン(PE)などであり、エクストルーダー等の熱溶融押出しやドライラミネート等公知の方法によって設けることが出来る。
【0016】
次に、ガスバリア層1/シーラント層2が順に積層されてなるシートを用意する。
【0017】
ガスバリア層1としては、ガスバリア性樹脂フィルムや、基材フィルムにガスバリア層を形成したガスバリア性積層フィルム、あるいはアルミニウム箔などの金属箔を使用することができる。
【0018】
ガスバリア性樹脂フィルムとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)、二軸延伸PETや二軸延伸ナイロンフィルムとEVOHの積層フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)ケン化物、ポリ塩化ビニリデンフィルム等がある。
【0019】
ガスバリア性積層フィルムとしては、前記ガスバリア性フィルムの2種以上を組み合わせた積層フィルムや、基材フィルムに酸化アルミニウム、酸化珪素などの無機酸化物を蒸着した無機酸化物蒸着フィルムや、アルミニウム蒸着フィルム、あるいは基材フィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工した塗工フィルム、アルミニウム箔をラミネートしたアルミ箔ラミネートフィルムなどがある。
【0020】
またシーラント層2としては、容器内面に露出して食品と接触すると共に、シーラント層同士の熱融着性、あるいはシーラント層27と熱可塑性樹脂層21との熱融着性又は熱接着性が必要である。低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が使用できる。
【0021】
ガスバリア層1とシーラント層2の積層は、溶融押し出しラミネート法、ドライラミネート法などの、公知の方法を用いて行う。
【0022】
次に、紙層5の下面とガスバリア層1/シーラント層2が順に積層されているシートのガスバリア層1面を貼り合わせる。接着樹脂を使用して溶融押し出しラミネート法、ドライラミネート法などの、公知の方法を用いて行う。紙層5の下面とガスバリア層1の間には、接着樹脂層4が存在する。
【0023】
上記の工程により、容器になったとき外層側から内層側に向かって樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層されてなる積層包装材料ベース20が形成される。
【0024】
次に、巻取りで前工程で異物が付着した等の不良部分を除去する。
【0025】
樹脂層6の上で、後で成形時のシールされない部分にプライマー層7をパターンコートする。図3はプライマー層7をパターンコートした後の積層包装材料の状態を模式的に示す斜視図である。この後で、プライマー層7の上に、液体トナー塗布などのインキ層8を印刷するデジタル印刷を行うが、このプライマー層7のプライマー剤は樹脂層6とインキ層8の密着性を向上させるためのコート剤を使用する。プライマー剤はエチレン・アクリル酸系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイミン系樹脂から選ばれる。
【0026】
プライマー層7の上に不図示のデジタル印刷機でインキ層8を形成する。デジタル印刷は粉体トナーあるいは液体トナーを使った電子複写印刷、あるいはインキジェット印刷などでインキ層8を形成すればよいが、中でも、液体トナーを使った電子複写印刷が望ましい。液体トナーは粉体トナーよりも耐熱性があり、積層包装材料で印刷層に液体トナーが使われているものは、成形加工時に、インキ層部分が溶けないからである。
【0027】
インキ層8の上に保護層9を形成する。保護層9はポリエチレン系、シリコン系、アクリル系、ニトリルセルロース系、ポリウレタン系のいずれか単独のものか二種以上を混合したオーバーコート層により形成される。例えばOPニスを使用する。インキ層8が保護層9によって保護される。
【0028】
樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層されてなる積層包装材料ベース20の上で部分的に、保護層9/インキ層8/プライマー層7が順に積層されたものが形成される。この保護層9/インキ層8/プライマー層7が順に積層されてなる層を、パターンコート層21と呼ぶことにする。またこの保護層9/インキ層8/プライマー層7が順に積層されたパターンコート層21が存在する領域をパターンコート部26と呼ぶことにする。また樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層されてなる積層包装材料ベース20の上で、上に何も積層されない領域を非パターンコート部25と呼ぶことにする。
【0029】
パターンコート部26は、樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層されてなる積層包装材料ベース20と保護層9/インキ層8/プライマー層7が順に積層されてなるパターンコート層21からなり、容器になったとき外層側から内層側に向かって保護層9/インキ層8/プライマー層7/樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層されてなる積層包装材料22から成る。
【0030】
非パターンコート部25は、樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層されてなる積層包装材料ベース20から成る。
【0031】
図6は本発明の液体用紙容器の製造方法による一例の液体用紙容器のブランクが形成される過程を模式的に示した説明図である。(a)は積層包装材料ベースにパターンコートした後の非パターンコート部25とパターンコート部26がある平面模式図、(b)は非パターンコート部25とパターンコート部26があるものにブランクの罫線、断裁線を入れた平面模式図である。
【0032】
非パターンコート部25に容器を成形するときのシール部分を持ってきて、保護層9/インキ層8/プライマー層7からなるパターンコート層21がある領域であるパターンコート部26に、容器を成形するときのシール部分がないように罫線付け、断裁線付けを行う。
【0033】
次に、周辺の断裁と、罫線に沿った折り曲げを実施し、非パターンコート部25のシール部を溶着して図4の液体用紙容器を製造する。
【0034】
図4に示した例は、容器本体71が切妻屋根型の頂部を有し、口栓43を備えたゲーブルトップ型液体用紙容器である。図5のブランク72を組み立てるには、4枚の側板53を間の罫線41を山折りして、糊代部を熱シールすることにより四角筒状に成形し、次いで底部と頂部を成形する。頂部を成形するに当たっては、切妻屋根の妻部を構成する2組の三角トップ板45と折込三角板46の上部に連設した折込トップシール部48を、屋根部を構成する2枚の矩形トップ板44の上部に連設したトップシール部47で挟んで熱シールする。口栓43は、底部を成形後に、予め口栓取付孔42に熱シールして取り付けておく。頂部の成形は、内容物を充填した後に行う。
【0035】
以下、本発明の液体用紙容器の製造方法の第二の実施形態について説明する。図8は本発明の液体用紙容器の製造方法の一例の円筒形状の紙容器を示す外観模式図である。(a)は上面図、(b)は横断断面図である。円筒型形状容器は、蓋材(トップ材)90、エッジプロテクトテープ83、胴部材(サイド材)80、底材(ボトム材)100、タブ材94の部材から構成されている。この中の胴部材(サイド材)80を本発明の請求項2に記載の製造方法により製造する。
【0036】
樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層してなる積層包装材料ベース20が形成する部分の実施形態は、実施形態1に記載されたものと同様である。
【0037】
次に、巻取りで前工程で異物が付着した等の不良部分を除去する。
【0038】
紙層5の上の樹脂層6の上で、後で成形時のシールされない部分にプライマー層7をパターンコートする。その後の保護層9/インキ層8/プライマー層7が順に積層されてなるパターンコート層21を形成する部分の実施形態も実施形態1に記載されたものと同様である。
【0039】
積層包装材料ベース20が露出する非パターンコート部25に容器を成形するときのシール部分を持ってきて、保護層9/インキ層8/プライマー層7が順に積層されてなるパターンコート層21がある領域であるパターンコート部26に、容器を成形するときのシール部分がないようにする。
【0040】
こうして製造された図7に示されるような樹脂層6/紙層5/接着樹脂層4/ガスバリア層2/シーラント層1が順に積層されてなる積層包装材料ベース20を全面に、周辺を除いた部分にさらに保護層9/インキ層8/プライマー層7が順に積層されてなるパターンコート層21を形成し、周辺に非パターンコート部25と、周辺を除いた部分にパターンコート部26が周辺にある積層包装材料22が形成される。
【0041】
上記の積層包装材料を胴部材(サイド材)80とし、エッジプロテクトテープ83を介して熱溶着させ筒状に成形して胴部とする。この際に熱溶着する積層包装材料の部分は、非パターンコート部25である。円筒形状の胴部材(サイド材)80の上に開口部を打ち抜いた円形の外周縁部が外面側に起立した蓋材(トップ材)90を、下に円形の外周縁部が外面側に起立した底材(ボトム材)100を配置する。次に、熱および圧力をかけながら、胴部材(サイド材)80の上部内面に蓋材(トップ材)90の外周縁部の内面を接合させ、また、胴部材(サイド材)80の下部内面に底材(ボトム材)100の外周縁部の内面を接合させ、さらに蓋材(トップ材)90の外周縁部を覆うように胴部材(サイド材)80の上端縁部を内方に折り曲げ、同様に底材(ボトム材)100の外周縁部を覆うように胴部材(サイド材)80の下端縁部が内方に折り曲げて、ヒートシールにより一体化した液体用紙容器200を製造する。
【0042】
本発明により、高品質なデジタル印刷が施された液体用紙容器の多品種・小ロットへの生産が可能になった。オンデマンド印刷が可能となり、印刷内容を容器一個単位で変更可能になった。
【0043】
従来の製造工程では、最初に印刷工程を行っていたため、印刷に由来する不良(印刷ミス、欠陥、異物など)を後工程でチェックして除去することによっていた。また印刷工程で発生した不良があった場合、その後の積層が加わり、材料のロスがありコストがかかっていた。本発明では、印刷工程が後工程であるので、この積層ロスがなくなり、コスト減となった。
【0044】
また、従来の液体用紙容器の製造方法で、一部に、デジタル印刷用のスペースを開け、容器成形後に、デジタル印刷方式では、小面積の印刷しかできなかったが、大きな面積の印刷ができるようになった。
【符号の説明】
【0045】
1・・・シーラント層
2・・・ガスバリア層
4・・・接着樹脂層
5・・・紙層
6・・・樹脂層
7・・・プライマー層
8・・・インキ層
9・・・保護層
11・・・シーラント層
12・・・ガスバリア層
14・・・接着樹脂層
15・・・紙層
16・・・インキ層
17・・・表面樹脂層
20・・・積層包装材料ベース
21・・・パターンコート層
22・・・積層包装材料
25・・・非パターンコート部
26・・・パターンコート部
30・・・積層包装材料
40・・・頂部
41・・・罫線
42・・・口栓取付孔
43・・・口栓
44・・・矩形トップ板
45・・・三角トップ板
46・・・折込三角板
48・・・折込トップシール部
50・・・胴部
53・・・側板
60・・・底部
70・・・液体用紙容器
71・・・容器本体
72・・・ブランク
80・・・胴部材(サイド材)
83・・・エッジプロテクトテープ
90・・・蓋材(トップ材)
94・・・タブ材
100・・・底材(ボトム材)
200・・・液体用紙容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8