特許第6859607号(P6859607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6859607-排水升用の蓋部材 図000002
  • 特許6859607-排水升用の蓋部材 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859607
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】排水升用の蓋部材
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20210405BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   E03F5/10 Z
   E03C1/12 E
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-98160(P2016-98160)
(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2017-206825(P2017-206825A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】冨士原 裕司
【審査官】 田島 拳士郎
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0127911(KR,A)
【文献】 実開平05−022665(JP,U)
【文献】 特開2004−244873(JP,A)
【文献】 特開2002−052293(JP,A)
【文献】 特開昭53−039646(JP,A)
【文献】 特開平11−165183(JP,A)
【文献】 特開2007−002526(JP,A)
【文献】 実開昭63−161989(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/10
E03F 5/042
E03C 1/00−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水升の開口部を覆う板状部材であって、上面に設けられた窪み部、前記窪み部の底部に設けられた貫通穴、及び、前記貫通穴とは異なる部分に設けられ、薬液を含む廃液が流入する配管が連結される廃液流入用穴、を有する板状部材と、
前記貫通穴における前記板状部材の下面側に連結され且つ排水トラップが設けられた配管と、を備え、
前記板状部材は透明である、排水升用の蓋部材。
【請求項2】
前記薬液は硫酸又は苛性ソーダで、
前記板状部材は、前記廃液流入用穴より前記排水升に流入される前記薬液に対して耐性を有する材料で製造されている、
請求項1に記載の排水升用の蓋部材。
【請求項3】
前記板状部材は、アクリル板である、
請求項1または2に記載の排水升用の蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復水脱塩装置の再生装置が備える薬液希釈装置の設置個所に設けられた、排水升用の蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所においては、タービンを駆動させた後の蒸気を冷却して復水を生成し、この復水を加熱して再び蒸気とし、この蒸気で再び発電タービンを駆動させるサイクルが繰り返される。復水は、各種の不純物イオンやクラツドで汚染されている可能性があるので、これら汚染物を除去するために、イオン交換樹脂を用いた復水脱塩装置が用いられている。
復水脱塩装置では、硫酸や苛性ソーダといった薬品を用いて、イオン交換樹脂の再生が行われる。硫酸や苛性ソーダは、タンクローリから貯蔵装置に一旦貯蔵された後、希釈装置で希釈されてからイオン交換樹脂の再生に用いられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
希釈装置において、時折、付属する機器の分解修理や内部点検が行われる。その際の事前準備として、希釈装置に付着した薬品のブロー(除去、洗浄)が実施される。ブローされた薬品は、希釈装置が設置されている個所の床部に設けられた排水升に流出される。排水升には、従来、グレーチングの蓋部材が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−313682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排水升の蓋部材がグレーチングの場合、ブロー時に発生する薬液を含む廃液を排水弁内に流入させたときに、ミスト状となった廃液が排水弁の外側へ飛散する可能性がある。
【0006】
本発明は、廃液の排水弁外部への飛散を防止可能な、排水升用の蓋部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、排水升の開口部を覆う板状部材であって、上面に設けられた窪み部、前記窪み部の底部に設けられた貫通穴、及び、前記貫通穴とは異なる部分に設けられ、薬液を含む廃液が流入する配管が連結される廃液流入用穴、を有する板状部材と、前記貫通穴における前記板状部材の下面側に連結され且つ排水トラップが設けられた配管と、を備える排水升用の蓋部材を提供する。
【0008】
前記板状部材は、前記廃液流入用穴より前記排水升に流入される前記薬液に対して耐性を有する材料で製造されていることが好ましい。
【0009】
前記板状部材は、透明であることが好ましい。
【0010】
前記板状部材は、アクリル板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、廃液の排水弁の外部への飛散を防止可能な、排水升用の蓋部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】復水脱塩装置100及びその再生装置101を示す図である。
図2】排水升2及び排水升2に取り付けられる蓋部材10を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、復水脱塩装置100の再生装置101が備える薬液希釈装置の設置個所に設けられた、排水升2用の蓋部材10に関するものである。
【0014】
復水脱塩装置100は、タービンを駆動し、復水器で凝縮された復水内にイオンとして溶け込んでいる不純物を、イオン交換樹脂によって除去し、発電設備で使用する純水を製造する装置である。
図1は、復水脱塩装置100及びその再生装置101を示す図である。再生装置101は、復水脱塩装置100に接続された陽イオン交換樹脂再生塔102及び陰イオン交換樹脂再生塔103を備える。
【0015】
陽イオン交換樹脂再生塔102には硫酸希釈装置104aが接続されている。硫酸希釈装置104aには、硫酸貯蔵装置105が接続され、硫酸貯蔵装置105にはタンクローリから濃硫酸が供給される。
陰イオン交換樹脂再生塔103には苛性ソーダ希釈装置104bが接続されている。苛性ソーダ希釈装置104bには、苛性ソーダ貯蔵装置107が接続され、苛性ソーダ貯蔵装置107にはタンクローリから苛性ソーダが供給される。
【0016】
復水脱塩装置100にはイオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂が混合状態で充填されている。イオン交換樹脂を再生する場合、まず、復水脱塩装置100内の混合状態のイオン交換樹脂を陽イオン交換樹脂再生塔102へ移送し、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂との比重差を利用し分離する。分離した陰イオン交換樹脂は、陰イオン交換樹脂再生塔103へ移送される。
【0017】
硫酸貯蔵装置105から移送された硫酸は、硫酸希釈装置104aにより所定値まで希釈された後、陽イオン交換樹脂再生塔102へ供給される。これにより、陽イオン交換樹脂再生塔102内の陽イオン交換樹脂の再生が行われる。
【0018】
苛性ソーダ貯蔵装置107から移送された苛性ソーダは、苛性ソーダ希釈装置104bで希釈された後、陰イオン交換樹脂再生塔103へ供給される。これにより、陰イオン交換樹脂再生塔103内の陰イオン交換樹脂の再生が行われる。
【0019】
ここで、硫酸希釈装置104aや苛性ソーダ希釈装置104bは、時折、分解修理や内部点検が行われる。その際の事前準備において、硫酸希釈装置104aや苛性ソーダ希釈装置104bに付着している薬品の除去(ブロー)が行われる。
硫酸希釈装置104aや苛性ソーダ希釈装置104bは、周囲に薬品が飛散しないように、例えば壁部で覆われている。薬品を飛ばすための水等がブローされると、薬品は、洗浄用の水とともに硫酸希釈装置104aや苛性ソーダ希釈装置104bのそれぞれから延びる排水管を通って、それぞれの排水升内に流出される。
なお、硫酸希釈装置104a及び苛性ソーダ希釈装置104bについて、それぞれから延びる排水管や排水弁の構成は同様であるので、以下、共通して希釈装置104、排水管3、排水升2として説明する。
【0020】
図2は排水升2、及びその排水升2に取り付けられる蓋部材10を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は上面図である。
【0021】
排水升2は、希釈装置104が設置されている個所の床部110に設けられた、水平断面が矩形の穴で、縁部には、床部110から一段下がった段部2bが設けられている。なお、排水升2の水平断面形状は矩形に限定されず、円形、楕円形等他の形状であってもよい。
排水升2の底部からはバルブ2aが取り付けられた排水管2Aが延びている。
【0022】
排水升2には蓋部材10が取り付けられている。
蓋部材10は、排水升2の上部の全面を覆う板状部材1と、板状部材1の裏面に取り付けられた配管7とを備える。
【0023】
板状部材1は、外周部に、段部2bの形状に対応し、段部2bに載置される平坦な載置部4を有する。板状部材1の上面であって載置部4よりも内側には、窪み部5が形成されている。
窪み部5は、4つの三角形を互いの頂点が合わさるようにして組み合わせた形状で、その頂点が窪み部5の底部となっている。底部には貫通穴6が形成され、貫通穴6の下端には、配管7が連結されている。配管7には、U字トラップ7aが設けられている。
また、窪み部5の側部の貫通穴6と異なる位置には、廃液流入用穴8が形成され、その廃液流入用穴8には、希釈装置104から延びる排水管3が挿入されている。なお、排水管3にはバルブ3aが取り付けられている。
【0024】
蓋部材10は、本実施形態では透明なアクリル板である。ただしこれに限定されず、透明であって、排水升2に流入される硫酸や苛性ソーダ等に対する耐性を有する部材であれば他の部材であっても良い。
排水升2の底部からはバルブ2aが取り付けられた排水管2Aが延びている。
【0025】
希釈装置104において薬品のブローが行われると、薬品を含む廃液は排水管3を流れる。排水管3に取り付けられたバルブ3aを開くと、廃液は排水升2に流入する。排水升2の底部に接続された排水管2Aに設けられたバルブ2aを開くと、排水升2の内部に流入した廃液は、外部へと流出される。
【0026】
(1)実施形態によると、蓋部材10は透明であるので、排水升2の内部の状態の確認が容易である。
【0027】
(2)また、蓋部材10は排水升2の開口部の全面を覆っている。したがって、排水管3を通して薬品が流入され、排水升2の内部で内壁等での跳ね返り等が生じても、蓋部材10の外部へ飛散することがない。また、気化した薬品が外部に拡散することもない。これに対して、例えば、蓋部材がグレーチングであった場合、薬品が蓋部材の外部に飛散、拡散する可能性がある。
【0028】
(3)アクリル板は、硫酸に対しては比較的良好な耐性を示し、飛散等があっても、腐食等の可能性は低い。また、苛性ソーダに対しては、より良好な耐性を有しているので、腐食等の可能性はほとんどない。したがって、排水管3を通してこれらの薬品が流入され、排水升2の内部で内壁等での跳ね返り等が生じても、蓋部材10が腐食する可能性が低い。
【0029】
(4)蓋部材の中央部に窪み部5が形成され、窪み部5の底部に貫通穴6が形成されているので、希釈装置104から延びる排水管3からの流水以外の、床部110を流れる排水も排水升2に流入することが可能である。
【0030】
(5)蓋部材の中央部に窪み部5の底部に形成されたに貫通穴6には、U字状の配管7が接続されている。したがって、上述のように、床部110を流れる排水も排水升2に流入することが可能であるが、排水升2内に流入した硫酸等より発生したガスが逆流して外部へ放出される可能性が低い。
【符号の説明】
【0031】
1 蓋部材
2 排水升
2A 排水パイプ
2a バルブ
2b 段部
3 排水管
3a バルブ
4 載置部
5 窪み部
6 貫通穴
7 配管
7a U字トラップ
8 廃液流入用穴
100 復水脱塩装置
110 床部
図1
図2