特許第6859628号(P6859628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859628
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】外観検査方法および外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20210405BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   G01N21/95 Z
   G01B11/30 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-157751(P2016-157751)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-25478(P2018-25478A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅原 二郎
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−026858(JP,A)
【文献】 特開2006−177847(JP,A)
【文献】 特開2013−096967(JP,A)
【文献】 特開2016−161401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の検査対象物の内周面に含まれる検査面を撮影装置によって撮影して得られる撮影画像を用いる、前記検査対象物の外観検査方法であって、
少なくとも一部が前記内周面に囲まれた空間内にあるように配置された、光源を含む照明装置によって拡散光を前記検査面に照射するステップと、
前記拡散光が照射されている前記検査面を、前記検査面上の前記撮影装置に一番近い位置と前記撮影装置とを結ぶ直線が当該位置における前記検査面の垂線に対して成す角度が、前記撮影装置に一番近い位置への前記拡散光の入射角よりも大きい位置から、前記撮影装置によって撮影するステップと、を備える、外観検査方法。
【請求項2】
筒状の検査対象物の内周面に含まれる第1の検査面を撮影する撮影装置と、
少なくとも一部が前記内周面に囲まれた空間内にあるように配置された、光源からの光を拡散光として前記第1の検査面に照射する照明装置と、を備え、
前記撮影装置は、前記第1の検査面上の前記撮影装置に一番近い位置と前記撮影装置とを結ぶ直線が当該位置における前記第1の検査面の垂線に対して成す角度が、前記撮影装置に一番近い位置への前記拡散光の入射角よりも大きい位置に配置される、外観検査装置。
【請求項3】
前記照明装置は、前記第1の検査面上のすべての位置において、当該位置と前記撮影装置とを結ぶ直線を遮らない位置に配置される、請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記撮影装置と前記検査対象物との少なくとも一方を前記検査対象物の中心軸を中心として回転させることによって、前記撮影装置と前記検査対象物との位置関係を相対的に変化させる移動装置をさらに備え、
前記撮影装置は、前記移動装置によって前記位置関係を変化させながら複数回、撮影することによって前記内周面全体を撮影する、請求項2または請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記検査対象物は、内輪および外輪を含む転がり軸受であって、
前記第1の検査面は前記内輪の内周面に含まれる、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記検査対象物の、前記第1の検査面とは異なる第2の検査面までの距離を測定可能な変位センサをさらに含み、
前記変位センサは、前記第1の検査面上のすべての位置に対して、当該位置と前記撮影装置とを結ぶ直線を遮らない位置に配置される、請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は外観検査方法および外観検査装置に関し、特に、内周面の外観を検査する検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受などの筒状の工業製品の内周面の外観検査の際に、小口径であって筒内にカメラや光源を差し込むことができないときには、一例として、図6に示されたように、魚眼レンズ20Aを用いて筒外から内周面を撮影する方法を用いることができる。図6に示された外観検査方法では、検査対象物である転がり軸受の一方端(たとえば下端)から内周面Kに照明を照射し、他方端(たとえば上端)から魚眼レンズを使用したカメラによって内周面Kを撮影する。図6に示されるような魚眼レンズを用いた内周面の検査はたとえば特開平8−114553号公報(特許文献1)においても、従来の技術として紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−114553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にも記載されているように、魚眼レンズを介して撮影された画像は光学的に非常に歪んだ画像となることが知られており、その画像に基づく外観検査では高精度の検査結果が得られないことが問題となっている。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、検査面が筒状の検査対象物の内周面である場合の外観検査の精度を向上させることができる外観検査方法および外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる外観検査方法は、筒状の検査対象物の内周面に含まれる検査面を撮影装置によって撮影して得られる撮影画像を用いる、検査対象物の外観検査方法であって、光源を含む照明装置によって拡散光を検査面に照射するステップと、拡散光が照射されている検査面を、検査面上の撮影装置に一番近い位置と撮影装置とを結ぶ直線が当該位置における検査面の垂線に対して成す角度が、撮影装置に一番近い位置への拡散光の入射角よりも大きい位置から、撮影装置によって撮影するステップと、を備える。
検査面上の撮影装置に一番近い点と撮影装置とを結ぶ直線が当該点における検査面の垂線に対して成す角度が、撮影装置に一番近い点への拡散光の入射角よりも大きい位置から、拡散光が照射されている、筒状の検査対象物の内周面に含まれる検査面を撮影装置によって撮影することによって、検査面で鏡面反射した反射光が撮影装置に入射することが防止される。そのため、検査面から撮影装置に入射する光のうちの拡散反射して入射する反射光の割合を高くすることができる。その結果、シューマークなどの表面粗さの違いによって拡散反射して入射する光量の領域ごとの差異についての、撮影装置に入射する光量全体に対する割合を大きくすることができる。それによって、撮影装置による撮影画像における表面粗さの違いに基づいた色の濃淡のコントラストが大きくなる。そのため、撮影画像における色の濃淡に基づいて、検査面に存在するシューマークなどの表面粗さの違いを高精度に検出することができる。
【0007】
この発明にかかる外観検査装置は、筒状の検査対象物の内周面に含まれる第1の検査面を撮影する撮影装置と、少なくとも一部が内周面に囲まれた空間内にあるように配置された、光源からの光を拡散光として第1の検査面に照射する照明装置と、を備え、撮影装置は、第1の検査面上の撮影装置に一番近い位置と撮影装置とを結ぶ直線が当該位置における第1の検査面の垂線に対して成す角度が、撮影装置に一番近い位置への拡散光の入射角よりも大きい位置に配置される。
第1の検査面上の撮影装置に一番近い位置と撮影装置とを結ぶ直線が当該位置における第1の検査面の垂線に対して成す角度が、撮影装置に一番近い位置への拡散光の入射角よりも大きい位置に撮影装置が配置されていることによって、第1の検査面で鏡面反射した反射光が撮影装置に入射することが防止される。そのため、第1の検査面から撮影装置に入射する光のうちの拡散反射して入射する反射光の割合を高くすることができる。その結果、シューマークなどの表面粗さの違いによって拡散反射して入射する光量の領域ごとの差異についての、撮影装置に入射する光量全体に対する割合を大きくすることができる。それによって、撮影装置による撮影画像における表面粗さの違いに基づいた色の濃淡のコントラストが大きくなる。そのため、撮影画像における色の濃淡に基づいて、第1の検査面に存在するシューマークなどの表面粗さの違いを高精度に検出することができる。
【0008】
好ましくは、照明装置は、第1の検査面上のすべての位置に対して、当該位置と撮影装置とを結ぶ直線を遮らない位置に配置される。
この構成によって、上記のように、内周面が円周面である検査対象物の内周面を検査面とした外観検査の精度を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、撮影装置と検査対象物との少なくとも一方を検査対象物の中心軸を中心として回転させることによって、撮影装置と検査対象物との位置関係を相対的に変化させる移動装置をさらに備え、撮影装置は、移動装置によって位置関係を変化させながら複数回、撮影することによって内周面全体を撮影する。
これにより、第1の検査面が撮影装置の撮影範囲よりも広い場合であっても、同じ条件で比較的容易に第1の検査面の外観検査を可能とする。
【0010】
好ましくは、検査対象物は、内輪および外輪を含む転がり軸受であって、第1の検査面は内輪の内周面に含まれる。
これにより、上記のように、転がり軸受の内輪の内周面に含まれる第1の検査面を検査面とした外観検査の精度を向上させることができる。
【0011】
好ましくは、外観検査装置は検査対象物の、第1の検査面とは異なる第2の検査面までの距離を測定可能な変位センサをさらに含み、変位センサは、第1の検査面上のすべての位置に対して、当該位置と撮影装置とを結ぶ直線を遮らない位置に配置される。
これにより、撮影装置によって第1の検査面を撮影する際に、変位センサが当該撮影装置の撮影範囲に入りこむことがない。そのために、第1の検査面を検査面とした外観検査の動作の際に、変位センサから第2の検査面までの距離を検査することができる。これにより、両検査をそれぞれ異なる検査動作で行うよりも検査時間を短縮することができると共に、両検査用の検査装置をそれぞれ別に用意するよりも検査装置全体を小型化することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、外観検査の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態にかかる外観検査装置の正面から見た概略図である。
図2】外観検査装置における検査原理を説明するための概略図である。
図3】外観検査装置の要部を示す概略平面図である。
図4】実施の形態にかかる検査装置によって第1の検査面を撮影して得られた撮影画像である。
図5】従来の検査装置によって第1の検査面を撮影して得られた撮影画像である。
図6】従来の検査装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ、好ましい実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0015】
[第1の実施の形態]
<全体構成>
本実施の形態にかかる外観検査装置100は、表面が高反射率である、つまり表面が光沢を有する工業製品の外観検査を行う。特に、外観検査装置100は、円筒状の工業製品の内周面の検査を行う。外観検査装置100による検査対象物は、たとえば転がり軸受である。以降の説明では、外観検査装置100が転がり軸受の内輪の内周に含まれる検査面を検査するものとする。なお、外観検査装置100による外観検査の対象物となる転がり軸受300は、外輪301、内輪302、複数の転動体303、保持器304、および軸受シール305を有している。
【0016】
図1は、本実施の形態にかかる外観検査装置100を正面から見た概略図である。図1を参照して、外観検査装置100は、LED(Light Emitting Diode)等の光源10Aを有し、検査対象物である転がり軸受300の内輪302の内周に含まれる第1の検査面K1に光源10Aからの光を照射する照明装置10と、第1の検査面K1の撮影画像を得る撮影装置の一例であるカメラ20と、を含む。撮影装置は、イメージセンサなどであってもよい。
【0017】
好ましくは、外観検査装置100は、さらに、変位センサであるセンサ40をさらに含む。なお、センサ40を含む外観検査装置100については第4の実施の形態として後に説明する。第1の実施の形態〜第3の実施の形態にかかる外観検査装置100にはセンサ40が含まれない。
【0018】
転がり軸受300は、水平な載荷面を有する回転台30に、転がり軸受300の回転軸に相当する中心軸Cが回転台30の回転中心Aに一致するように配置される。回転中心Aは鉛直方向であって、回転台30に配置された転がり軸受300は、中心軸Cの方向が鉛直方向となる。
【0019】
なお、以降の説明においては、水平方向をx方向とし、図1の右向きをx方向の正の向き(+x向きとも称する)とする。図1の左向きをx方向の負の向き(−x向きとも称する)とする。また、鉛直方向をy方向とし、図1の上向きをy方向の正の向き(+y向きとも称する)とする。図1の下向きをy方向の負の向き(−y向きとも称する)とする。
【0020】
カメラ20は、転がり軸受300の+y向きの端面よりも上方(+y向き)に該端面から離れた位置に、内輪302の内周面に向けて配置される。カメラ20は、制御装置であるコンピュータ(PC:パーソナルコンピュータ)500に接続され、撮影画像をPC500に入力する。PC500は、当該PC500を制御するためのCPU(Central Processing Unit)50を含む。
【0021】
照明装置10は、少なくとも一部が、回転台30に配置された転がり軸受300の内周面に囲まれた空間内に存在するように配置される。そして、照明装置10は、光源10Aからの光を拡散光として第1の検査面K1に照射する。一例として、光源10Aおよび照明装置10は、中心軸Cを含む直線上であって、転がり軸受300のy方向の長さ(高さ)の半分の位置よりも下方(−y向きに離れた位置)に配置される。また、照明装置10は先端部分(最上部)が転がり軸受300のy方向の最下点(底面)よりも上方(+y向き)に配置される。光源10AはLEDに限定されず、遠隔に設置されたLED等の光源から照射光を伝送する光ファイバなどの伝送路の端部であってもよい。照明装置10は、図示しない拡散板や反射板などを用いることによって、光源10Aからの光を、指向性の低い拡散光として第1の検査面K1全体に照射する。好ましくは、照明装置10による照射光は白色光である。白色光は、赤、緑、青などの色に比べて欠陥の有無の差が明確となるため、欠陥に対する検出の精度をより向上することができる。なお、以降の説明において、照明装置10は、発光する面、つまり照射面そのものを指す。
【0022】
回転台30は、PC500による制御に従って図1に矢印に示されているように回転可能である。回転台30が回転することによって、回転台30に配置された転がり軸受300は中心軸Cを回転中心として回転し、カメラ20に臨む面が変化する。
【0023】
<検査原理>
外観検査装置100は、第1の検査面K1に照明装置10によって拡散光を照射する。そして、第1の検査面K1で反射してカメラ20に入射した光量に基づいて、第1の検査面K1の欠陥の有無を検査する。外観検査装置100の検査する第1の検査面K1の欠陥は、たとえば、シューマークと呼ばれる、製造工程のうちの主に表面研磨の工程において表面に研磨屑などの異物が接触することによって生じる表面粗さの違い程度の微量の凹凸である。表面が研磨されたり、コーティングされたりすることによって光沢を有する工業製品は、表面での反射率が高い。転がり軸受300も表面が研磨されるため、反射率が高い。第1の検査面K1に上記欠陥を有する範囲と有さない範囲とがある場合、各範囲からの反射量が異なる。そこで、外観検査装置100はこの反射量の差異を利用して、第1の検査面K1からの反射量に基づいて第1の検査面K1の欠陥の有無を検査する。
【0024】
図2を用いて、外観検査装置100での検査原理を説明する。図2は、検査面Kを斜め上から見た図であって、検査面Kよりも上方に照明装置10およびカメラ20A,20Bが配置されている。検査面Kは、シューマークの存在する範囲S1と存在しない範囲S2とを有している。範囲S1は、研磨粉などの異物が表面に押し付けられた状態で研磨されるため、その表面粗さが範囲S2の表面粗さに対して小さい。そのため、範囲S1への照射光L1が検査面Kの表面で鏡面反射する光量は、範囲S2への照射光L2が検査面Kの表面で鏡面反射する光量よりも高い。これに対して、範囲S2への照射光L2が検査面Kの表面で拡散反射する光量は、範囲S1への照射光L1が検査面Kの表面で拡散反射する光量よりも高い。
【0025】
ここで、検査面K上の任意の位置とカメラの図示しないレンズの中心点(撮影軸上の点)とを結ぶ直線と、当該位置における検査面Kの垂線Mとの成す角度を角度θとする。検査面K上のある位置に対する拡散光の入射角度αと、当該位置における上記角度θとが等しい(θ=α)方向にカメラが配置されていた場合、カメラには、当該位置で鏡面反射した反射光が入射する。さらに、カメラには、他の位置で拡散反射した反射光も入射する。
【0026】
図2において、カメラ20Aは、検査面K上のいずれかの位置(たとえば図の点A)から鏡面反射した反射光が入射する位置に配置されている(θ=α)。つまり、カメラ20Aは、照明装置10の光源に対して、検査面K上のいずれかの位置についてθ=αを満たす位置関係(第2の位置関係)にある。カメラ20Aには、範囲S1で鏡面反射した反射光および拡散反射した反射光と、範囲S2で拡散反射した反射光とが入射する。検査面Kが光沢面である場合、カメラ20Aに入射する光量のうち、鏡面反射してカメラ20Aに入射する反射光の割合の方が、拡散反射してカメラ20Aに入射する反射光の割合より格段に高い。そのため、範囲S1からの拡散反射光と範囲S2からの拡散反射光との光量の差異が、カメラ20Aに入射する反射光全体の光量に対して非常に小さい。従って、この差異に基づいて範囲S1,S2、すなわち検査面Kの表面粗さの違いを検出することが困難な場合がある。
【0027】
図2において、カメラ20Bは、検査面K上のいずれの位置(たとえば図の点B,C)から鏡面反射した反射光も入射しない方向に配置されている(θ≠α)。つまり、カメラ20Bは、照明装置10の光源に対して、検査面K上のいずれの位置についてもθ≠αを満たす位置関係(第1の位置関係)にある。カメラ20Bには、範囲S1で鏡面反射した反射光も範囲S2で鏡面反射した反射光も入射しない。一方、カメラ20Bには、範囲S1で拡散反射した反射光と範囲S2で拡散反射した反射光とが入射する。そのため、範囲S1からの拡散反射光と範囲S2からの拡散反射光と光量との差異が、カメラ20Bに入射する反射光全体の光量に対して大きくなる。従って、この差異に基づいて範囲S1,S2、すなわち検査面Kの表面粗さの違いが検出しやすい。
【0028】
<カメラと光源との位置関係>
外観検査装置100におけるカメラ20と照明装置10との位置関係を、図3を用いて説明する。図3は、外観検査装置100の要部を示す概略平面図であって、中心軸Cとカメラ20とを含む面(基準面)による内輪302の断面の一部を示している。なお、図3において、光源10Aはy方向にて点e2と同じ高さに位置している。
【0029】
第1の検査面K1上の各点での拡散光の入射角度αは、光源10Aから近い位置ほど小さく、光源10Aから遠くなるほど大きくなる。上記基準面による内輪302の断面のうちの内周、つまり図3の点e1から点e2までの直線を、直線Hとする。点e1は転がり軸受300の+y向きの端面上の点、点e2は転がり軸受300の−y向きの端面上の点である。第1の検査面K1が直線Hを含む場合、照明装置10が転がり軸受300のy方向の長さ(高さ)の半分の位置よりも下方(−y向きに離れた位置)に配置されるときには、直線H上の点のうち点e1が光源10Aから最も遠い点になる。そのため、直線H上のすべての点のうちで点e1の入射角度αが最も大きい(入射角度αMAX)。従って、直線H上のすべての点について、入射角度αは0≦α≦αMAXとなる。そのため、カメラ20と光源10Aとを、第1の検査面K1のすべての位置について角度θと入射角度αとがθ≠αを満たす位置関係とするためには、上記基準面上においてθ>αMAXとなる方向にカメラ20を設置すればよい。
【0030】
第1の検査面K1上の各点での角度θは、カメラ20(すなわち、カメラ20の図示しないレンズの中心点)に近い位置ほど小さくなり、カメラ20から遠くなるほど大きくなる。図3を参照して、直線H上のすべての点のうちでカメラ20に最も近い点e1における角度θ1が最小となる。また、直線H上のカメラ20から最も遠い点e2における角度θ2が最大となる。つまり、直線H上のすべての点について、角度θはθ1≦θ≦θ2となる。従って、θ1>αMAXとすることで、すべての角度θについてθ>αMAXとなる。
【0031】
図3に示されたカメラ20の位置は、θ1>αMAXを満たす方向に位置している。図3に示される位置にカメラ20を設置することによって、第1の検査面K1上のいずれの位置で鏡面反射した反射光もカメラ20に入射しない。つまり、カメラ20には第1の検査面K1で鏡面反射した反射光が入射せず、拡散反射した反射光が入射する。従って、θ1>αMAXを満たす基準面上の位置にカメラ20を設置することによって、第1の検査面K1で拡散反射してカメラ20に入射する反射光の光量に基づいて第1の検査面K1の表面粗さの違いを検出することができる。
【0032】
図4は、外観検査装置100のカメラ20によって第1の検査面K1を撮影して得られた撮影画像である。図4は、内輪302の内周の一部が第1の検査面K1である場合の撮影画像である。図4を参照して、外観検査装置100によって得られた撮影画像では、内輪302の内周の黒色のラインPが鮮明である。ラインPは、内輪302の内周に存在するシューマークを表している。外観検査装置100ではカメラ20を図3に表された位置に設置して第1の検査面K1を撮影することで、撮影画像の色の濃淡のコントラストが大きくなる。そのため、撮影画像において、シューマークなどの第1の検査面K1の表面粗さの大きい範囲と小さい範囲との色の濃淡差が鮮明になる。
【0033】
たとえば、PC500においてCPU50が解析処理を実行し、カメラ20からの撮影画像(図4)の色の濃淡、すなわち明度を解析することによって、第1の検査面K1のシューマークの存在を検出することができる。また、撮影画像をPC500の図示しないディスプレイに表示することで、ユーザによる目視によってシューマークの存在が検出されてもよい。
【0034】
<第1の実施の形態の効果>
従来の外観検査装置による検査結果と比較して本実施の形態にかかる外観検査装置100による外観検査の効果を確認する。図5は、検査結果として従来の外観検査装置で撮影された撮影画像である。図6は、比較に用いた従来の外観検査装置の構成の概略図である。図5の撮影画像は、図4の撮影画像と同じ転がり軸受を被写体とし、内輪の内周面全体を検査面Kとして撮影されたものである。
【0035】
図6を参照して、従来の外観検査装置では、転がり軸受300Aの−y向きの端面に正対して照明装置10Bが配置されて、直接光が照射される。カメラ20Aには図示しない魚眼レンズが取り付けられて、転がり軸受300Aの+y向きの端面に正対して配置される。
【0036】
図5を参照して、従来の外観検査装置で撮影された画像は、魚眼レンズを介して撮影されたものであるため、光学的に歪んだ画像であり、特に、画像の端部に近い、+y向きの端面に近い検査面Kほど歪んで撮影されている。そのため、全体に色の濃淡のコントラストが小さく、図4のラインPに相当する色の濃い領域が目視では確認されない。
【0037】
このように、外観検査装置100では魚眼レンズを用いずにカメラ20で撮影することによって撮影画像の光学的な歪が抑えられ、色の濃淡のコントラストを大きくすることができる。さらに、外観検査装置100ではカメラ20を照明装置10に対して図3の位置関係とすることによって、カメラ20に入射する拡散反射光の光量の違いを利用して外観検査を行うことができる。これにより、第1の検査面K1の表面の粗さの差が撮影画像の鮮明な濃淡差となり、シューマークなどの表面の粗さの違いである第1の検査面K1の欠陥を高精度で検出することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
なお、図4の撮影画像は、第1の検査面K1が内輪302の内周面の一部である場合の例である。第1の検査面K1は、図4の撮影画像よりも広い範囲、たとえば、内輪302の内周面全体であってもよい。この場合、外観検査装置100ではPC500の制御に従って回転台30が回転し、その回転に伴う所定のタイミングでPC500がカメラ20に撮影を行わせる。これによって、たとえば内輪302の内周面全体である第1の検査面K1が複数回に分けて撮影される。
【0039】
[第3の実施の形態]
なお、上の例では、光源10Aおよび照明装置10は回転軸Cを含む直線上に配置されているものとしている。この位置に配置されることによって、第2の実施の形態にかかる外観検出装置100のように転がり軸受300が回転台30によって回転した場合でも、第1の検査面K1と照明装置10との位置関係が固定される。そのため、撮影画像における色の濃淡が安定する。
【0040】
しかしながら、照明装置10の位置は回転軸Cを含む直線上に限定されず、第1の検査面K1を照明可能な位置であればいずれの位置であってもよい。好ましくは、照明装置10は、第1の検査面K1上のすべての点に対して、当該点とカメラ20とを結ぶ直線を遮らない位置に配置される。詳しくは、図3を参照して、照明装置10は、カメラ20と点e2とを結ぶ直線よりも下方(−y向きに離れた位置)に配置される。また、図3のように、照明装置10の先端(+y向きの端部)を丸みを帯びた曲面とすることで、当該点とカメラ20とを結ぶ直線をより遮らないようにすることができる。これにより、カメラ20の撮影範囲に照明装置10が入り込まない。
【0041】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態にかかる外観検査装置100は、図1に表されたように、さらにセンサ40を含む。センサ40は変位センサである。センサ40は、回転台30に配置された転がり軸受300表面に含まれる第2の検査面K2までの距離を、レーザ光などを利用して非接触にて測定する。たとえば、センサ40は、回転台30に配置された転がり軸受300の+y向きの端面に設けられた密封装置までの距離を、レーザ光などを利用して非接触にて測定する。密封装置は、たとえば、図1に示されたように転がり軸受300の端面に設けられた軸受シール305である。密封装置は、他の例として、シールド板であってもよい。センサ40は、転がり軸受300の端面の軸受シール305が配置された面に含まれる面を第2の検査面K2として、第2の検査面K2までの距離を測定する。センサ40は、回転台30に配置された転がり軸受300の軸受シール305の上方(+y向きに離れた位置)であり、かつ、第1の検査面K1上のどの位置とカメラ20とを結ぶ直線も遮らない位置に設けられている。この位置に設けられることによって、カメラ20が第1の検査面K1を撮影する際に撮影範囲にセンサ40が写りこむことがなく、第1の検査面K1の外観検査と、第2の検査面K2の外観検査とを同時に行うことができる。
【0042】
第2の実施の形態にかかる外観検査装置100のように、転がり軸受300が回転台30の回転によって回転軸Cを中心として回転し、回転しながらカメラ20によって第1の検査面K1が撮影されている場合、上記のようにセンサ40が設けられることによって、同時に、第2の検査面K2までの距離を測定することができる。つまり、第4の実施の形態にかかる検査装置100では、カメラ20によって内輪302の内周面に含まれる第1の検査面K1が撮影されると共に、センサ40によって軸受シール305が配置された面に含まれる第2の検査面K2までの距離が測定される。つまり、第4の実施の形態にかかる外観検査装置100では、1回の検出動作によって、第1の検査面K1の撮影写真と共に、第2の検査面K2までの距離が得られる。
【0043】
センサ40から得られた測定値の入力を受け付けて、PC500が第2の検査面K2までの距離を予め記憶している適正な距離と比較するなどの解析を実行することによって、外観検査として、軸受シール305などの密封装置の嵌めこみ不良が検出される。それにより密封装置の嵌めこみ不良の有無を、第1の検査面K1の外観検査と共に検査することができる。
【0044】
これにより、第4の実施の形態にかかる外観検査装置100では、上記2つの検査をそれぞれ異なる検査動作で行うよりも検査時間を短縮することができる。また、両検査用の検査装置をそれぞれ別に用意するよりも検査装置を小型化することができる。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
100 外観検査装置、300 転がり軸受、301 外輪、302 内輪、305 軸受シール、10 照明装置、10A 光源、20 カメラ、30 回転台、40 センサ、50 CPU、500 PC、K1 第1の検査面、K2 第2の検査面
図1
図2
図3
図4
図5
図6