特許第6859730号(P6859730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6859730四輪駆動車の制御方法、四輪駆動車の制御装置、及び四輪駆動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859730
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】四輪駆動車の制御方法、四輪駆動車の制御装置、及び四輪駆動車
(51)【国際特許分類】
   B60K 23/08 20060101AFI20210405BHJP
   F16D 11/10 20060101ALI20210405BHJP
   F16D 13/24 20060101ALI20210405BHJP
   F16D 48/02 20060101ALI20210405BHJP
   B60K 17/348 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B60K23/08 C
   F16D11/10 C
   F16D13/24
   F16D48/02 640K
   B60K17/348 B
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-20250(P2017-20250)
(22)【出願日】2017年2月7日
(65)【公開番号】特開2018-127043(P2018-127043A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】藤井 則行
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−120501(JP,A)
【文献】 特開2014−177989(JP,A)
【文献】 特開2016−179734(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/129695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 23/08
B60K 17/348
F16D 11/10
F16D 13/24
F16D 48/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸と、前記駆動源側から前記駆動軸側へ駆動力を断続する駆動力断続装置と、前記駆動軸側から車輪側へ駆動力を断続可能かつ調整可能に伝達する駆動力伝達装置とを備え、四輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置を介して前記車輪に駆動力が伝達され、二輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置による駆動力の伝達が共に遮断される四輪駆動車の制御方法であって、
前記駆動力伝達装置は、前記駆動軸の回転に伴って回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記車輪側に駆動力を出力する出力回転部材と前記第2の回転部材との間で駆動力を伝達する摩擦クラッチと、前記第1及び第2の回転部材のうち一方の回転部材との相対回転が規制されると共に他方の回転部材に接触して摩擦力を発生させる摩擦部材と、前記第1の回転部材に噛み合う第1の噛み合い部、及び前記第2の回転部材に噛み合う第2の噛み合い部を有するクラッチ部材と、前記摩擦部材及び前記クラッチ部材を前記第1及び第2の回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、
前記クラッチ部材は、前記第1及び第2の噛み合い部の噛み合いによって前記第1及び第2の回転部材を相対回転不能に連結する連結位置と、前記第1及び第2の噛み合い部のうち少なくとも何れかが噛み合わないことにより前記第1及び第2の回転部材の相対回転を可能とする非連結位置との間を移動可能であり、
走行中に前記二輪駆動状態から前記四輪駆動状態に移行する際、前記摩擦クラッチの締結力を前記出力回転部材と前記第2の回転部材との相対回転を許容する締結力とした状態で前記摩擦部材と前記他方の回転部材との間の摩擦力によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転速度差を減少させ、その後に前記クラッチ部材を前記非連結位置から前記連結位置に移動させ、その後さらに前記摩擦クラッチの締結力を高めて前記出力回転部材から前記第1及び第2の回転部材を経て前記駆動軸に伝達されるトルクによって前記駆動軸を増速させる、
四輪駆動車の制御方法。
【請求項2】
記駆動軸を増速させた後、前記駆動力断続装置を駆動力の伝達が可能な状態とする、
請求項1に記載の四輪駆動車の制御方法。
【請求項3】
前記移動機構は、前記第1及び第2の回転部材の回転軸線に沿った軸方向に移動可能な1つの押圧部材によって前記クラッチ部材及び前記摩擦部材を押圧して移動させ、
前記押圧部材の軸方向一側への移動によって前記摩擦力を発生させて前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転速度差が減少した後、前記押圧部材の前記軸方向一側へのさらなる移動によって前記クラッチ部材を前記連結位置に移動させる、
請求項2に記載の四輪駆動車の制御方法。
【請求項4】
前記クラッチ部材を前記連結位置に移動させた後に前記摩擦クラッチによる前記出力回転部材から前記第2の回転部材へのトルク伝達を開始する、
請求項2又は3に記載の四輪駆動車の制御方法。
【請求項5】
駆動源の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸と、前記駆動源側から前記駆動軸側へ駆動力を断続する駆動力断続装置と、前記駆動軸側から車輪側へ駆動力を断続可能かつ調
整可能に伝達する駆動力伝達装置とを備え、四輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置を介して前記車輪に駆動力が伝達され、二輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置による駆動力の伝達が共に遮断される四輪駆動車の制御装置であって、
前記駆動力伝達装置は、前記駆動軸の回転に伴って回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記車輪側に駆動力を出力する出力回転部材と前記第2の回転部材との間で駆動力を伝達する摩擦クラッチと、前記第1及び第2の回転部材のうち一方の回転部材との相対回転が規制されると共に他方の回転部材に接触して摩擦力を発生させる摩擦部材と、前記第1の回転部材に噛み合う第1の噛み合い部、及び前記第2の回転部材に噛み合う第2の噛み合い部を有するクラッチ部材と、前記摩擦部材及び前記クラッチ部材を前記第1及び第2の回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、
前記クラッチ部材は、前記第1及び第2の噛み合い部の噛み合いによって前記第1及び第2の回転部材を相対回転不能に連結する連結位置と、前記第1及び第2の噛み合い部のうち少なくとも何れかが噛み合わないことにより前記第1及び第2の回転部材の相対回転を可能とする非連結位置との間を移動可能であり、
走行中に前記二輪駆動状態から前記四輪駆動状態に移行する際、前記摩擦クラッチの締結力を前記出力回転部材と前記第2の回転部材との相対回転を許容する締結力とした状態で前記摩擦部材と前記他方の回転部材との間の摩擦力によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転速度差を減少させ、その後に前記クラッチ部材を前記非連結位置から前記連結位置に移動させ、その後さらに前記摩擦クラッチの締結力を高めて前記出力回転部材から前記第1及び第2の回転部材を経て前記駆動軸に伝達されるトルクによって前記駆動軸を増速させる、
四輪駆動車の制御装置。
【請求項6】
駆動源の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸と、前記駆動源側から前記駆動軸側へ駆動力を断続する駆動力断続装置と、前記駆動軸側から車輪側へ駆動力を断続可能かつ調整可能に伝達する駆動力伝達装置とを備え、四輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置を介して前記車輪に駆動力が伝達され、二輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置による駆動力の伝達が共に遮断される四輪駆動車であって、
前記駆動力伝達装置は、前記駆動軸の回転に伴って回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記車輪側に駆動力を出力する出力回転部材と前記第2の回転部材との間で駆動力を伝達する摩擦クラッチと、前記第1及び第2の回転部材のうち一方の回転部材との相対回転が規制されると共に他方の回転部材に接触して摩擦力を発生させる摩擦部材と、前記第1の回転部材に噛み合う第1の噛み合い部、及び前記第2の回転部材に噛み合う第2の噛み合い部を有するクラッチ部材と、前記摩擦部材及び前記クラッチ部材を前記第1及び第2の回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、
前記クラッチ部材は、前記第1及び第2の噛み合い部の噛み合いによって前記第1及び第2の回転部材を相対回転不能に連結する連結位置と、前記第1及び第2の噛み合い部のうち少なくとも何れかが噛み合わないことにより前記第1及び第2の回転部材の相対回転を可能とする非連結位置との間を移動可能であり、
走行中に前記二輪駆動状態から前記四輪駆動状態に移行する際、前記摩擦クラッチの締結力を前記出力回転部材と前記第2の回転部材との相対回転を許容する締結力とした状態で前記摩擦部材と前記他方の回転部材との間の摩擦力によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転速度差を減少させ、その後に前記クラッチ部材を前記非連結位置から前記連結位置に移動させ、その後さらに前記摩擦クラッチの締結力を高めて前記出力回転部材から前記第1及び第2の回転部材を経て前記駆動軸に伝達されるトルクによって前記駆動軸を増速させる、
四輪駆動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の主駆動輪及び左右一対の補助駆動輪を有する四輪駆動車、及びその制御方法ならびに制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源の駆動力が常に伝達される左右一対の主駆動輪と、駆動源の駆動力がプロペラシャフトを介して断続可能に伝達される左右一対の補助駆動輪を有する四輪駆動車がある。このような四輪駆動車には、主駆動輪にのみ駆動源の駆動力が伝達される二輪駆動状態での走行時にプロペラシャフトの車両前方側及び車両後方側で駆動力の伝達経路を遮断し、プロペラシャフトの回転を停止させるものがある(例えば、特許文献1参照)。このような四輪駆動車は、二輪駆動時においてプロペラシャフトが回転することによる回転抵抗に起因する動力ロスを抑制することができ、燃費性能を向上させることが可能である。
【0003】
特許文献1に記載の四輪駆動車は、プロペラシャフトの車両前方側に配置されたトランスファに第1断続機構が設けられると共に、プロペラシャフトの車両後方側に配置されたリヤデフと後輪との間に第2断続機構が設けられている。第1断続機構及び第2断続機構は、それぞれドグクラッチ(噛み合いクラッチ)とドグクラッチにおける噛み合わせを行うためのシンクロ機構とを有している。この四輪駆動車の二輪駆動状態での走行時には、第1断続機構及び第2断続機構において駆動源(エンジン)の駆動力の伝達経路が遮断され、プロペラシャフトの回転が停止する。
【0004】
また、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際には、第1断続機構及び第2断続機構におけるシンクロ機構のシンクロリングが発生させる摩擦力によりプロペラシャフトが回転する。そして、ドグクラッチによって連結される回転部材同士の同期がなされるとドグクラッチが噛み合わされ、補助駆動輪としての後輪にプロペラシャフトを介して駆動力が伝達される四輪駆動状態となる。この四輪駆動状態では、プロペラシャフトと第2断続機構との間に配置された電子制御カップリングによって、後輪側に配分される駆動力が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−74370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の四輪駆動車では、シンクロリングが発生させる摩擦力によりプロペラシャフトを回転させてドグクラッチの回転同期を行うので、シンクロ機構のトルク伝達容量を大きくしなければ、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を速やかに行わせることができない。また、シンクロ機構のトルク伝達容量を大きくするためには、シンクロリングの大型化等が必要となり、装置の大型化や重量の増大を招来してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、装置の大型化や重量の増大を抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を速やかに行わせることが可能な四輪駆動車、及びその制御方法ならびに制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するため、駆動源の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸と、前記駆動源側から前記駆動軸側へ駆動力を断続する駆動力断続装置と、前記駆動軸側から車輪側へ駆動力を断続可能かつ調整可能に伝達する駆動力伝達装置とを備え、四輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置を介して前記車輪に駆動力が伝達され、二輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置による駆動力の伝達が共に遮断される四輪駆動車の制御方法であって、前記駆動力伝達装置は、前記駆動軸の回転に伴って回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記車輪側に駆動力を出力する出力回転部材と前記第2の回転部材との間で駆動力を伝達する摩擦クラッチと、前記第1及び第2の回転部材のうち一方の回転部材との相対回転が規制されると共に他方の回転部材に接触して摩擦力を発生させる摩擦部材と、前記第1の回転部材に噛み合う第1の噛み合い部、及び前記第2の回転部材に噛み合う第2の噛み合い部を有するクラッチ部材と、前記摩擦部材及び前記クラッチ部材を前記第1及び第2の回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、前記クラッチ部材は、前記第1及び第2の噛み合い部の噛み合いによって前記第1及び第2の回転部材を相対回転不能に連結する連結位置と、前記第1及び第2の噛み合い部のうち少なくとも何れかが噛み合わないことにより前記第1及び第2の回転部材の相対回転を可能とする非連結位置との間を移動可能であり、走行中に前記二輪駆動状態から前記四輪駆動状態に移行する際、前記摩擦クラッチの締結力を前記出力回転部材と前記第2の回転部材との相対回転を許容する締結力とした状態で前記摩擦部材と前記他方の回転部材との間の摩擦力によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転速度差を減少させ、その後に前記クラッチ部材を前記非連結位置から前記連結位置に移動させ、その後さらに前記摩擦クラッチの締結力を高めて前記出力回転部材から前記第1及び第2の回転部材を経て前記駆動軸に伝達されるトルクによって前記駆動軸を増速させる、四輪駆動車の制御方法を提供する。
【0009】
また本発明は、上記の目的を達成するため、駆動源の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸と、前記駆動源側から前記駆動軸側へ駆動力を断続する駆動力断続装置と、前記駆動軸側から車輪側へ駆動力を断続可能かつ調整可能に伝達する駆動力伝達装置とを備え、四輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置を介して前記車輪に駆動力が伝達され、二輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置による駆動力の伝達が共に遮断される四輪駆動車の制御装置であって、前記駆動力伝達装置は、前記駆動軸の回転に伴って回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記車輪側に駆動力を出力する出力回転部材と前記第2の回転部材との間で駆動力を伝達する摩擦クラッチと、前記第1及び第2の回転部材のうち一方の回転部材との相対回転が規制されると共に他方の回転部材に接触して摩擦力を発生させる摩擦部材と、前記第1の回転部材に噛み合う第1の噛み合い部、及び前記第2の回転部材に噛み合う第2の噛み合い部を有するクラッチ部材と、前記摩擦部材及び前記クラッチ部材を前記第1及び第2の回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、前記クラッチ部材は、前記第1及び第2の噛み合い部の噛み合いによって前記第1及び第2の回転部材を相対回転不能に連結する連結位置と、前記第1及び第2の噛み合い部のうち少なくとも何れかが噛み合わないことにより前記第1及び第2の回転部材の相対回転を可能とする非連結位置との間を移動可能であり、走行中に前記二輪駆動状態から前記四輪駆動状態に移行する際、前記摩擦クラッチの締結力を前記出力回転部材と前記第2の回転部材との相対回転を許容する締結力とした状態で前記摩擦部材と前記他方の回転部材との間の摩擦力によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転速度差を減少させ、その後に前記クラッチ部材を前記非連結位置から前記連結位置に移動させ、その後さらに前記摩擦クラッチの締結力を高めて前記出力回転部材から前記第1及び第2の回転部材を経て前記駆動軸に伝達されるトルクによって前記駆動軸を増速させる、四輪駆動車の制御装置を提供する。
【0010】
また本発明は、上記の目的を達成するため、駆動源の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸と、前記駆動源側から前記駆動軸側へ駆動力を断続する駆動力断続装置と、前記駆動軸側から車輪側へ駆動力を断続可能かつ調整可能に伝達する駆動力伝達装置とを備え、四輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置を介して前記車輪に駆動力が伝達され、二輪駆動状態では前記駆動力断続装置及び前記駆動力伝達装置による駆動力の伝達が共に遮断される四輪駆動車であって、前記駆動力伝達装置は、前記駆動軸の回転に伴って回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記車輪側に駆動力を出力する出力回転部材と前記第2の回転部材との間で駆動力を伝達する摩擦クラッチと、前記第1及び第2の回転部材のうち一方の回転部材との相対回転が規制されると共に他方の回転部材に接触して摩擦力を発生させる摩擦部材と、前記第1の回転部材に噛み合う第1の噛み合い部、及び前記第2の回転部材に噛み合う第2の噛み合い部を有するクラッチ部材と、前記摩擦部材及び前記クラッチ部材を前記第1及び第2の回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、前記クラッチ部材は、前記第1及び第2の噛み合い部の噛み合いによって前記第1及び第2の回転部材を相対回転不能に連結する連結位置と、前記第1及び第2の噛み合い部のうち少なくとも何れかが噛み合わないことにより前記第1及び第2の回転部材の相対回転を可能とする非連結位置との間を移動可能であり、走行中に前記二輪駆動状態から前記四輪駆動状態に移行する際、前記摩擦クラッチの締結力を前記出力回転部材と前記第2の回転部材との相対回転を許容する締結力とした状態で前記摩擦部材と前記他方の回転部材との間の摩擦力によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転速度差を減少させ、その後に前記クラッチ部材を前記非連結位置から前記連結位置に移動させ、その後さらに前記摩擦クラッチの締結力を高めて前記出力回転部材から前記第1及び第2の回転部材を経て前記駆動軸に伝達されるトルクによって前記駆動軸を増速させる、四輪駆動車を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、二輪駆動状態において駆動源の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸の回転を停止させる四輪駆動車において、駆動軸の前後において駆動力を断続可能に伝達する装置の大型化や重量の増大を抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を速やかに行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の構成例を模式的に示す構成図である。
図2】第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置の構成例を示す全体断面図である。
図3図2の一部を拡大して示す拡大図である。
図4図2の一部を拡大して示す拡大図である。
図5】油圧ユニットの構成例を示す油圧回路図である。
図6】(a)は、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際の油圧ポンプの吐出圧ならびに第1及び第2の電磁弁の出力油圧の変化の一例を示すグラフである。(b)は、中間回転部材及びリングギヤ部材の回転速度の変化の一例を示すグラフである。
図7】(a)は、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際の油圧ポンプの吐出圧ならびに第1及び第2の電磁弁の出力油圧の変化の別例1を示すグラフである。(b)は、中間回転部材及びリングギヤ部材の回転速度の変化の別例1を示すグラフである。
図8】油圧ユニットの構成の別例2を示す油圧回路図である。
図9】(a)は、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際の油圧ポンプの吐出圧ならびに第1及び第2の電磁弁の出力油圧の変化の別例2を示すグラフである。(b)は、中間回転部材及びリングギヤ部材の回転速度の変化の別例2を示すグラフである。
図10】本発明の第2の実施の形態に係る駆動力伝達装置の構成例を示す全体断面図である。
図11図10における第1及び第2の駆動力調整機構及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。
図12】(a)は、図10におけるリングギヤ部材とクラッチ部材との噛み合い部及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。(b)及び(c)は、リングギヤ部材とクラッチ部材との噛み合い部を模式的に示す説明図である。
図13】本発明の第3の実施の形態に係る駆動力伝達装置の構成例を示す全体断面図である。
図14図13のクラッチ部材及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の構成例を模式的に示す構成図である。
【0015】
四輪駆動車100は、走行用の駆動力を発生させる駆動源としてのエンジン102、トランスミッション103、左右一対の主駆動輪としての前輪104L,104R及び左右一対の補助駆動輪としての後輪105L,105Rと、エンジン102の駆動力を前輪104L,104R及び後輪105L,105Rに伝達可能な駆動力伝達系101と、制御装置9とを備えている。
【0016】
この四輪駆動車100は、エンジン102の駆動力を前輪104L,104R及び後輪105L,105Rに伝達する四輪駆動状態と、エンジン102の駆動力を前輪104L,104Rのみに伝達する二輪駆動状態とを切り替え可能である。なお、本実施の形態において、各符号における「L」及び「R」は、車両の前進方向に対する左側及び右側の意味で使用している。
【0017】
駆動力伝達系101は、フロントディファレンシャル11と、エンジン102の駆動力を車両前後方向に伝達する駆動軸としてのプロペラシャフト108と、エンジン102側からプロペラシャフト108側への駆動力を断続する駆動力断続装置としての噛み合いクラッチ12と、プロペラシャフト108から後輪105L,105R側へ駆動力を断続可能かつ調整可能に伝達する駆動力伝達装置1と、前輪側のドライブシャフト106L,106Rと、後輪側のドライブシャフト107L,107Rとを有する。前輪104L,104Rには、エンジン102の駆動力が常に伝達される。後輪105L,105Rには、噛み合いクラッチ12、プロペラシャフト108、及び駆動力伝達装置1を介してエンジン102の駆動力が伝達される。
【0018】
制御装置9は、噛み合いクラッチ12及び駆動力伝達装置1を制御する。四輪駆動車100は、後述する制御装置9による制御によって、四輪駆動状態では噛み合いクラッチ12及び駆動力伝達装置1を介して後輪105L,105Rに駆動力が伝達され、二輪駆動状態では噛み合いクラッチ12及び駆動力伝達装置1による駆動力の伝達が共に遮断される。
【0019】
フロントディファレンシャル11は、一対の前輪側のドライブシャフト106L,106Rにそれぞれ連結された一対のサイドギヤ111、一対のサイドギヤ111にギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ112、一対のピニオンギヤ112を支持するピニオンギヤ支持部材113、及びこれら一対のサイドギヤ111と一対のピニオンギヤ112とピニオンギヤ支持部材113を収容するフロントデフケース114を有している。フロントデフケース114には、トランスミッション103で変速されたエンジン102の駆動力が伝達される。
【0020】
噛み合いクラッチ12は、フロントデフケース114と一体に回転する第1回転部材121と、第1回転部材121と軸方向に並んで配置された第2回転部材122と、第1回転部材121と第2回転部材122とを相対回転不能に連結することが可能なスリーブ123と、制御装置9により制御されるアクチュエータ120とを有している。スリーブ123は、アクチュエータ120により、第1回転部材121及び第2回転部材122に噛み合う連結位置と、第2回転部材122にのみ噛み合う非連結位置との間を軸方向に移動する。スリーブ123が連結位置にあるとき、第1回転部材121と第2回転部材122とが相対回転不能に連結され、スリーブ123が非連結位置にあるとき、第1回転部材121と第2回転部材122とが相対回転自在となる。
【0021】
プロペラシャフト108は、エンジン102の駆動力をフロントデフケース114から噛み合いクラッチ12を介して受けて駆動力伝達装置1側に伝達する。プロペラシャフト108の両端部には、一対のユニバーサルジョイント109が取り付けられている。車両前方側のユニバーサルジョイント109は、噛み合いクラッチ12の第2回転部材122に設けられたリングギヤ部122aに噛み合うピニオンギヤシャフト124とプロペラシャフト108とを連結し、車両後方側のユニバーサルジョイント109は、プロペラシャフト108と後述する駆動力伝達装置1のピニオンギヤシャフト21とを連結している。
【0022】
エンジン102は、トランスミッション103、及びフロントディファレンシャル11を介して、一対の前輪側のドライブシャフト106L,106Rに駆動力を出力することにより、一対の前輪104L,104Rを駆動する。また、エンジン102は、トランスミッション103、噛み合いクラッチ12、プロペラシャフト108、及び駆動力伝達装置1を介して後輪側のドライブシャフト107L,107Rに駆動力を出力することにより、一対の後輪105L,105Rを駆動する。
【0023】
駆動力伝達装置1は、本体部10と、制御装置9により制御される電動モータ80と、電動モータ80の回転力により本体部10に作動油を供給する油圧ユニット81とを有して構成されている。油圧ユニット81は、電動モータ80を動力源とする油圧ポンプ、及び制御装置9により制御される複数の電磁弁を有している。油圧ユニット81の構成の詳細については後述する。
【0024】
駆動力伝達装置1は、ピニオンギヤシャフト21に入力される駆動力を後輪側のドライブシャフト107L,107Rに配分して出力する。ドライブシャフト107Lは左後輪105Lに連結され、ドライブシャフト107Rは右後輪105Rに連結されている。制御装置9は、例えば前輪104L,104Rの平均回転速度と後輪105L,105Rの平均回転速度との差である差動回転速度が高いほど、また運転者によるアクセルペダルの踏み込み操作量が大きいほど、後輪105L,105Rに大きな駆動力が伝達されるように駆動力伝達装置1を制御する。
【0025】
(駆動力伝達装置の構成)
図2は、駆動力伝達装置1の構成例を示す全体断面図である。図3及び図4は、図2の一部を拡大して示す拡大図である。
【0026】
駆動力伝達装置1の本体部10は、ピニオンギヤシャフト21及びピニオンギヤシャフト21にギヤ軸を直交させて噛み合う直交歯車部材としてのリングギヤ部材22からなる直交歯車対20と、第1乃至第4ケース部材23〜26からなるケーシング2と、リングギヤ部材22と同軸上で相対回転可能に配置された中間回転部材3と、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rと、ピニオンギヤシャフト21と中間回転部材3との間で駆動力を断続する駆動力断続機構5と、第1及び第2の出力回転部材61,62とを有している。ピニオンギヤシャフト21は、プロペラシャフト108と等速で回転し、四輪駆動状態においてプロペラシャフト108からエンジン102の駆動力が入力される入力回転部材として機能する。リングギヤ部材22は、プロペラシャフト108の回転に伴って、ピニオンギヤシャフト21に対して所定の減速比をもって回転する。リングギヤ部材22は本発明の第1の回転部材に相当し、中間回転部材3は本発明の第2の回転部材に相当する。
【0027】
駆動力伝達装置1は、ピニオンギヤシャフト21から入力される駆動力を中間回転部材3を介して第1及び第2の出力回転部材61,62から出力する。直交歯車対20において、ピニオンギヤシャフト21の回転軸線Oは車両前後方向に延び、リングギヤ部材22の回転軸線Oは車両左右方向に延びている。
【0028】
駆動力断続機構5は、油圧ユニット81から供給される作動油によって押圧力を発生する1つの押圧部材としてのピストン50と、ピストン50の押圧力によって移動するクラッチ部材51及び摩擦部材52と、ピストン50とクラッチ部材51との間に配置されたスラストころ軸受500と、後述する第1及び第2のばね部材531,532とを有している。このうち、ピストン50、スラストころ軸受500、ならびに第1及び第2のばね部材531,532は、クラッチ部材51及び摩擦部材52をリングギヤ部材22及び中間回転部材3に対して軸方向に移動させる移動機構5Aを構成する。ピストン50は、回転軸線Oに沿った軸方向に移動可能であり、リングギヤ部材22及び中間回転部材3に対してクラッチ部材51及び摩擦部材52を押圧して移動させる。図1では、ケーシング2、直交歯車対20、中間回転部材3、ピストン50、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4R、ならびにクラッチ部材51を模式的に示している。
【0029】
ケーシング2は、第1乃至第4ケース部材23〜26を図略のボルトによって締結して構成されている。第1ケース部材23には電動モータ80が収容され、第2ケース部材24には油圧ユニット81、直交歯車対20、第2の駆動力調整機構4R、及び駆動力断続機構5が収容されている。また、第3ケース部材25には第1の駆動力調整機構4Lが収容され、第4ケース部材26は第3ケース部材25の開口を閉塞している。
【0030】
ピニオンギヤシャフト21は、車両後方側のユニバーサルジョイント109(図1参照)に接続される円柱状の軸部211と、軸部211の一端部に設けられたピニオンギヤ部212とを一体に有している。ピニオンギヤシャフト21の軸部211は、一対の円錐ころ軸受711,712によって第2ケース部材24に支持されている。
【0031】
リングギヤ部材22は、ピニオンギヤシャフト21のピニオンギヤ部212とギヤ軸を直交させて噛み合うリングギヤ部221、及びリングギヤ部221の回転軸線Oと平行な中心軸を有する筒部222とを有している。リングギヤ部221には、ハイポイドギヤとして形成された複数のギヤ歯が形成されている。なお、ピニオンギヤ部212及びリングギヤ部221は、ハイポイドギヤに限らず、例えば傘歯車などの直交系歯車を適宜用いることができる。筒部222の内周面には、複数のスプライン突起からなる噛み合い部222a(図3参照)が形成されている。リングギヤ部221と筒部222とは、ピニオンギヤシャフト21から駆動力を受けて一体に回転する。本実施の形態では、リングギヤ部材22が全体として一体に形成されているが、リングギヤ部材22を複数の部分に分割してこれらを溶接等により一体化してもよい。
【0032】
リングギヤ部材22は、リングギヤ部221におけるピニオンギヤ部212との噛み合い部を回転軸線O方向に挟む2位置において、筒部222がケーシング2との間に配置された一対の軸受713,714によって回転可能に支持されている。本実施の形態では、一対の軸受713,714が円錐ころ軸受からなる。このうち一方の軸受713は、筒部222におけるギヤ背面側の端部を支持し、他方の軸受714は筒部222におけるギヤ歯面側の端部を支持している。また、本実施の形態では、中間回転部材3が、リングギヤ部材22に伝達された駆動力を第1の駆動力調整機構4Lに伝達する第1の中間軸部材31、及びリングギヤ部材22に伝達された駆動力を第2の駆動力調整機構4Rに伝達する第2の中間軸部材32からなる。
【0033】
第1の中間軸部材31は、図3に示すように、一端部がリングギヤ部材22の筒部222の内側に収容された軸状の軸部311と、筒部222から突出した軸部311の外周面から径方向外方に張り出した環状板部312と、環状板部312の径方向外側の端部から回転軸線Oと平行な軸方向に延在する円筒部313とを一体に有している。軸部311の外周面には、複数のスプライン突起からなる噛み合い部311aが設けられている。また、円筒部313の内周面には、複数のスプライン突起からなる噛み合い部313aが設けられている。
【0034】
第2の中間軸部材32も同様に、一端部がリングギヤ部材22の筒部222の内側に収容された軸状の軸部321と、筒部222から突出した軸部321の外周面から径方向外方に張り出した環状板部322と、環状板部322の径方向外側の端部から回転軸線Oと平行な軸方向に延在する円筒部323とを一体に有している。軸部321の外周面には、複数のスプライン突起からなる噛み合い部321aが設けられている。また、円筒部323の内周面には、複数のスプライン突起からなる噛み合い部323aが設けられている。第1の中間軸部材31の軸部311と第2の中間軸部材32の軸部321とは、回転軸線Oに沿って同軸上に配置され、リングギヤ部材22の筒部222の内側で軸方向に向かい合っている。
【0035】
第1の中間軸部材31の環状板部312と第3ケース部材25との間には、スラストころ軸受715が配置されている。また、第2の中間軸部材32の軸部321とリングギヤ部材22の筒部222との間には円筒ころ軸受716が配置され、第2の中間軸部材32の環状板部322と第2ケース部材24との間にはスラストころ軸受717が配置されている。
【0036】
ピストン50は、その中心部に第1の中間軸部材31の軸部311を挿通させる環状であり、リングギヤ部材22の筒部222の内側に配置されている。ケーシング2には、油圧ユニット81に連通する第1及び第2の油路2a,2bならびに第1乃至第3のシリンダ室2c〜2eが形成されている。ピストン50は、このうち第1の油路2aを介して油圧ユニット81から第1のシリンダ室2cに供給される作動油の油圧によって軸方向に移動する。
【0037】
第1及び第2のシリンダ室2c,2dは第1の油路2aに連通し、第3のシリンダ室2eは第2の油路2bに連通している。油圧ユニット81は、駆動力断続機構5ならびに第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rを動作させる作動油の圧力を発生し、第1及び第2の油路2a,2bを介して第1乃至第3のシリンダ室2c〜2eに供給する。第1及び第2の油路2a,2bは、例えばドリルによって第1乃至第4ケース部材23〜26に形成された孔によって形成されている。第1のシリンダ室2cは、第2ケース部材24に形成されている。また、第2のシリンダ室2dは第4ケース部材26に、第3のシリンダ室2eは第1のケース部材23に、それぞれ形成されている。
【0038】
クラッチ部材51は、第1の中間軸部材31の軸部311及び第2の中間軸部材32の軸部の321のそれぞれの一端部に外嵌された円筒部511と、円筒部511から径方向外側に向かって張り出した鍔部512とを一体に有している。クラッチ部材51の鍔部512の外周面には、リングギヤ部材22の筒部222の内周面に形成された噛み合い部222aに噛み合う外側噛み合い部51aが形成されている。クラッチ部材51の円筒部511の内周面には、第1及び第2の中間軸部材31,32の軸部311,321の外周面にそれぞれ形成された噛み合い部311a,321aに噛み合う内側噛み合い部51bが形成されている。また、クラッチ部材51の円筒部511の外周面には、後述する摩擦部材52に噛み合う摩擦部材噛み合い部51cが形成されている。外側噛み合い部51a、内側噛み合い部51b、及び摩擦部材噛み合い部51cは、それぞれが軸方向に延びる複数のスプライン突起からなる。
【0039】
クラッチ部材51は、リングギヤ部材22の筒部222におけるギヤ背面側及びギヤ歯面側のうち、ギヤ歯面側にあたる部分の内側に配置されている。クラッチ部材51の円筒部511の軸方向端面と、第2の中間軸部材32の軸部321の外周面に設けられた段差面との間には、第1のばね部材531が軸方向に圧縮された状態で配置されている。第1のばね部材531は、例えば平線材に波形状をつけながら螺旋状に巻き回してコイル状に形成されたコイルドウェーブスプリングからなる。
【0040】
クラッチ部材51は、外側噛み合い部51a及び内側噛み合い部51bの噛み合いによってリングギヤ部材22及び中間回転部材3(第1及び第2の中間軸部材31,32)を相対回転不能に連結する連結位置と、外側噛み合い部51a及び内側噛み合い部51bのうち少なくとも何れかが噛み合わないことによりリングギヤ部材22及び中間回転部材3の相対回転を可能とする非連結位置との間を移動可能である。内側噛み合い部51bは本発明の第1の噛み合い部に相当し、外側噛み合い部51aは本発明の第2の噛み合い部に相当する。
【0041】
本実施の形態では、クラッチ部材51の内側噛み合い部51bが第1及び第2の中間軸部材31,32の噛み合い部311a,321aに常時噛み合い、クラッチ部材51が中間回転部材3と共に回転する。また、クラッチ部材51は、ピストン50によってリングギヤ部材22及び中間回転部材3に対して回転軸線O方向に相対移動し、外側噛み合い部51aがリングギヤ部材22の噛み合い部222aに噛み合う連結位置と、外側噛み合い部51aがリングギヤ部材22の噛み合い部222aに噛み合わない非連結位置との間を進退移動する。
【0042】
本実施の形態では、第1のシリンダ室2cに作動油が供給されたとき、クラッチ部材51がピストン50に押圧されて連結位置に移動し、第1のシリンダ室2cの圧力が減圧されてピストン50による押圧力が低下したとき、クラッチ部材51が第1のばね部材531の付勢力によって非連結位置に移動する。
【0043】
クラッチ部材51が連結位置にある場合には、クラッチ部材51によってリングギヤ部材22と第1及び第2の中間軸部材31,32とが相対回転不能に連結され、第1及び第2の中間軸部材31,32がリングギヤ部材22と一体に回転する。一方、クラッチ部材51が非連結位置にある場合には、リングギヤ部材22と第1及び第2の中間軸部材31,32とが相対回転可能であり、リングギヤ部材22と第1及び第2の中間軸部材31,32との間でトルクが伝達されない。
【0044】
摩擦部材52は、リングギヤ部材22及び中間回転部材3の両回転部材のうち、一方の回転部材との相対回転が規制されると共に他方の回転部材に接触して摩擦力を発生させる。本実施の形態では、摩擦部材52が中間回転部材3に対して回転規制され、リングギヤ部材22に接触して摩擦力を発生させる。摩擦部材52は、リングギヤ部材22に対して回転軸線O方向に相対移動することによって摩擦力を発生させ、クラッチ部材51によってリングギヤ部材22と第1及び第2の中間軸部材31,32とを連結する際にリングギヤ部材22と第1及び第2の中間軸部材31,32との相対回転速度を低下させる。これにより、クラッチ部材51の外側噛み合い部51aをリングギヤ部材22の噛み合い部222aに噛み合わせやすくなる。
【0045】
摩擦部材52は、クラッチ部材51の円筒部511に外嵌された環状であり、図4に示すように、環状板部521と、環状板部521の外径側の端部から軸方向に延在する外周円筒部522とを一体に有している。環状板部521の内周面には、クラッチ部材51の摩擦部材噛み合い部51cに噛み合う複数のスプライン突起からなる噛み合い部521aが形成されている。この構成により、摩擦部材52は、クラッチ部材51に対する相対回転が規制され、かつクラッチ部材51に対して軸方向に相対移動可能である。
【0046】
クラッチ部材51の鍔部512から離間する方向への摩擦部材52の移動は、クラッチ部材51の円筒部511の外周面に嵌着された止め輪513によって規制されている。第1のばね部材531は、クラッチ部材51及び摩擦部材52をピストン50による押圧方向とは反対側に付勢している。
【0047】
摩擦部材52の環状板部521とクラッチ部材51の鍔部512との間には、第2のばね部材532が圧縮された状態で配置されている。第2のばね部材532は、例えばコイルドウェーブスプリングからなる。第2のばね部材532は、ピストン50の押圧力をクラッチ部材51を介して弾性的に摩擦部材52に伝達する。
【0048】
摩擦部材52の外周円筒部522の外周面は、リングギヤ部材22の筒部222の内周面に形成された摩擦摺動対象面221aに摩擦接触するテーパ状の摩擦面522aとして形成されている。摩擦面522aと摩擦摺動対象面221aとは、ピストン50の押圧力により互いに平行に面接触し、リングギヤ部材22と第1及び第2の中間軸部材31,32との相対回転速度を低下させる摩擦力を発生させる。第2のばね部材532は、ピストン50による押圧力により摩擦部材52の摩擦面522aをリングギヤ部材22の摩擦摺動対象面221aに弾接させる。ここで、弾接とは、弾性的に押し付けて接触させることをいう。摩擦部材52は、クラッチ部材51と共にピストン50によって押圧されて、摩擦摺動対象面221aとの間に摩擦力を発生させる。
【0049】
第1の出力回転部材61は、ドライブシャフト107Lが相対回転不能に連結されるスプライン嵌合部611aが内周面に形成された内側円筒部611と、内側円筒部611における軸方向略中央部の外周面から径方向外方に張り出した環状板部612と、環状板部612の径方向外側の端部から軸方向に延在する外側円筒部613とを一体に有している。外側円筒部613の外周面には、軸方向に延びる複数のスプライン突起からなる噛み合い部613aが設けられている。第1の出力回転部材61は、内側円筒部611の外周面と第4ケース部材26の内面との間に配置された玉軸受718により、ケーシング2に回転可能に支持されている。
【0050】
同様に、第2の出力回転部材62は、ドライブシャフト107Rが相対回転不能に連結されるスプライン嵌合部621aが内周面に形成された内側円筒部621と、内側円筒部621における軸方向略中央部の外周面から径方向外方に張り出した環状板部622と、環状板部622の径方向外側の端部から軸方向に延在する外側円筒部623とを一体に有している。外側円筒部623の外周面には、軸方向に延びる複数のスプライン突起からなる噛み合い部623aが設けられている。第2の出力回転部材62は、内側円筒部621の外周面と第1ケース部材23の内面との間に配置された玉軸受719により、ケーシング2に回転可能に支持されている。
【0051】
第1の駆動力調整機構4Lは、中間回転部材3がリングギヤ部材22と一体に回転する連結状態において、第1の中間軸部材31と第1の出力回転部材61との間で伝達される駆動力を調整可能である。同様に、第2の駆動力調整機構4Rは、中間回転部材3がリングギヤ部材22と一体に回転する連結状態において、第2の中間軸部材32と第2の出力回転部材62との間で伝達される駆動力を調整可能である。
【0052】
第1の駆動力調整機構4Lは、第1の中間軸部材31と一体に回転する複数のアウタクラッチプレート411、及び第1の出力回転部材61と一体に回転する複数のインナクラッチプレート412からなる摩擦クラッチ41と、ピストン421と、ピストン421と摩擦クラッチ41との間に配置されたスラストころ軸受422及び押圧プレート423と、ピストン421を摩擦クラッチ41から離間する方向に付勢するばね部材424とを有している。押圧プレート423の外周端部には、第1の中間軸部材31の噛み合い部313aに係合する複数の突起423aが形成されている。本実施の形態では、ばね部材424が皿ばねからなる。ばね部材424は、第4ケース部材26に嵌着された止め輪425により、ピストン421側とは反対側の端部が係止されている。
【0053】
アウタクラッチプレート411の外周端部には、第1の中間軸部材31の噛み合い部313aに係合する複数の突起411aが形成されている。また、インナクラッチプレート412の内周端部には、第1の出力回転部材61の噛み合い部613aに係合する複数の突起412aが形成されている。アウタクラッチプレート411は、第1の中間軸部材31に対して軸方向に相対移動可能であり、インナクラッチプレート412は、第1の出力回転部材61に対して軸方向に相対移動可能である。複数のインナクラッチプレート412のうち最も押圧プレート423から遠い位置にあるインナクラッチプレート412と第1の中間軸部材31の環状板部312との間には、受けプレート410が配置されている。
【0054】
摩擦クラッチ41は、ピストン421によって付与される押圧力に応じて複数のアウタクラッチプレート411及びインナクラッチプレート412の間に発生する摩擦力により、第1の中間軸部材31と第1の出力回転部材61との間で駆動力を伝達する。ピストン421は、第1の油路2aを介して油圧ユニット81から第2のシリンダ室2dに供給される作動油の油圧を受け、この油圧による軸方向の移動力がばね部材424の付勢力よりも大きくなったとき、摩擦クラッチ41側に移動する。ピストン421の押圧力は、アウタクラッチプレート411とインナクラッチプレート412との間に摩擦力を発生させる摩擦クラッチ41の締結力となる。摩擦クラッチ41は、ピストン421に押圧されていないときに開放状態となり、ピストン421に押圧されることによりアウタクラッチプレート411とインナクラッチプレート412とが摩擦係合する締結状態となる。第2のシリンダ室2dは、第4ケース部材26における第3ケース部材25側の端面に形成された環状溝からなり、ピストン421に油圧ユニット81から供給される作動油の油圧を作用させる。
【0055】
同様に、第2の駆動力調整機構4Rは、第2の中間軸部材32と一体に回転する複数のアウタクラッチプレート431、及び第2の出力回転部材62と一体に回転する複数のインナクラッチプレート432からなる摩擦クラッチ43と、ピストン441と、ピストン441と摩擦クラッチ43との間に配置されたスラストころ軸受442及び押圧プレート443と、ピストン441を摩擦クラッチ43から離間する方向に付勢するばね部材444とを有している。押圧プレート443の外周端部には、第2の中間軸部材32の噛み合い部323aに係合する複数の突起443aが形成されている。ばね部材444は、皿ばねからなり、第1ケース部材23に嵌着された止め輪445により、ピストン441側とは反対側の端部が係止されている。
【0056】
アウタクラッチプレート431の外周端部には、第2の中間軸部材32の噛み合い部323aに係合する複数の突起431aが形成されている。また、インナクラッチプレート432の内周端部には、第2の出力回転部材62の噛み合い部623aに係合する複数の突起432aが形成されている。複数のインナクラッチプレート432のうち最も押圧プレート443から遠い位置にあるインナクラッチプレート432と第2の中間軸部材32の環状板部322との間には、受けプレート430が配置されている。
【0057】
摩擦クラッチ43は、ピストン441によって付与される押圧力に応じて複数のアウタクラッチプレート431及びインナクラッチプレート432の間に発生する摩擦力により、第2の中間軸部材32と第2の出力回転部材62との間で駆動力を伝達する。ピストン441は、第2の油路2bを介して油圧ユニット81から第3のシリンダ室2eに供給される作動油の油圧を受け、この油圧による軸方向の移動力がばね部材444の付勢力よりも大きくなったとき、摩擦クラッチ43側に移動する。ピストン441の押圧力は、アウタクラッチプレート431とインナクラッチプレート432との間に摩擦力を発生させる摩擦クラッチ43の締結力となる。摩擦クラッチ43は、ピストン441に押圧されていないときに開放状態となり、ピストン441に押圧されることによりアウタクラッチプレート431とインナクラッチプレート432とが摩擦係合する締結状態となる。第3のシリンダ室2eは、第1ケース部材23における第2ケース部材24側の端面に形成された環状溝からなり、ピストン441に油圧ユニット81から供給される作動油の油圧を作用させる。
【0058】
ケーシング2の内部空間は、シール部材721〜729によって、直交歯車対20を収容する第1収容部201と、第1の駆動力調整機構4Lを収容する第2収容部202と、第2の駆動力調整機構4Rを収容する第3収容部203とに区画されている。第2収容部202及び第3収容部203には、アウタクラッチプレート411,431とインナクラッチプレート412,432との摩擦摺動を潤滑し、摩耗を抑制するための潤滑油が封入されている。第1収容部201には、リングギヤ部221とピニオンギヤ部212との噛み合いを潤滑するための比較的粘度の高い潤滑油が封入されている。摩擦クラッチ41,43は、アウタクラッチプレート411,431とインナクラッチプレート412,432との摩擦摺動が潤滑油によって潤滑される湿式多板クラッチである。
【0059】
(四輪駆動車100の動作)
四輪駆動車100は、エンジン102の駆動力を前輪104L,104Rのみに伝達する二輪駆動状態では、制御装置9が噛み合いクラッチ12における第1回転部材121と第2回転部材122との連結を解除すると共に、クラッチ部材51によるリングギヤ部材22と中間回転部材3との連結を解除する。これにより、四輪駆動車100が走行中であってもプロペラシャフト108、噛み合いクラッチ12の第2回転部材122及びピニオンギヤシャフト124、ならびに直交歯車対20の回転が停止し、これらの回転抵抗に起因する動力ロスが抑制され、燃費性能が向上する。
【0060】
なお、この二輪駆動状態での走行時には、潤滑油の粘性による摩擦クラッチ41,43の引き摺りトルクにより、第1及び第2の中間軸部材31,32が回転する。また、二輪駆動状態での走行時には、制御装置9が電動モータ80を回転させず、第1乃至第3のシリンダ室2c〜2eには油圧が供給されない。
【0061】
この二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際にはまず、制御装置9が電動モータ80及び油圧ユニット81を制御して第1の油路2aに作動油を供給し、クラッチ部材51及び摩擦部材52を軸方向に移動させる。そして、摩擦部材52の摩擦面522aとリングギヤ部材22の摩擦摺動対象面221aとの間の摩擦力によってクラッチ部材51とリングギヤ部材22との回転が同期すると、クラッチ部材51の外側噛み合い部51aがリングギヤ部材22の噛み合い部222aに噛み合い、リングギヤ部材22と第1及び第2の中間軸部材31,32とがクラッチ部材51によって相対回転不能に連結される。なお、図3では、回転軸線Oよりも上側にリングギヤ部材22と中間回転部材3とがクラッチ部材51によって連結される前の状態を示し、回転軸線Oよりも下側に連結後の状態を示している。
【0062】
その後、制御装置9は、電動モータ80及び油圧ユニット81を制御して第2及び第3のシリンダ室2d,2eに供給する作動油の油圧を高め、ドライブシャフト107L,107Rの回転力を第1及び第2の駆動力調整機構4L,4R、第1及び第2の中間軸部材31,32、クラッチ部材51、及び直交歯車対20を介してプロペラシャフト108に伝達し、プロペラシャフト108を回転させる。そして、制御装置9は、噛み合いクラッチ12における第1回転部材121と第2回転部材122との回転が同期すると、アクチュエータ120を制御して、スリーブ123によって第1回転部材121と第2回転部材122とを相対回転不能に連結する。これにより、エンジン102の駆動力を後輪105L,105Rに伝達可能な状態となる。
【0063】
(油圧ユニット81の構成)
図5は、油圧ユニット81の構成例を示す油圧回路図である。油圧ユニット81は、単一の油圧ポンプ82と、油圧ポンプ82から吐出された作動油の圧力を第1乃至第3のシリンダ室2c〜2eに分配する油圧回路83とを有する。油圧ポンプ82としては、例えばベーンポンプやギヤポンプを用いることができる。油圧回路83は、油圧ポンプ82から吐出された作動油の圧力を減圧により調節する圧力調節部830を有している。本実施の形態では、圧力調節部830が第1の電磁弁831と第2の電磁弁832とを含んでいる。また、油圧回路83は、油圧ポンプ82の吐出側とリザーバ810との間に配置されたオリフィス833を有している。
【0064】
第1の電磁弁831及び第2の電磁弁832は、制御装置9から供給される制御電流に応じて油圧ポンプ82から吐出された作動油の圧力を調節する圧力制御弁であり、より具体的には電磁比例圧力制御バルブである。第1の電磁弁831は、油圧ポンプ82から吐出された作動油の一部を排出し、作動油の圧力を減圧して第1の油路2aに作動油を出力する。同様に、第2の電磁弁832は、油圧ポンプ82から吐出された作動油の一部を排出し、作動油の圧力を減圧して第2の油路2bに作動油を出力する。制御装置9は、油圧ポンプ82の吐出圧が第1乃至第3のシリンダ室2c〜2eに供給すべき作動油の圧力よりも高くなるように電動モータ80を制御する。
【0065】
第1の電磁弁831は、第1の油路2aを介して第2のシリンダ室2dに供給する作動油の圧力を増減させることにより、第1の駆動力調整機構4Lを動作させる作動油の圧力を調節可能である。第2の電磁弁832は、第2の油路2bを介して第3のシリンダ室2eに供給する作動油の圧力を増減させることにより、第2の駆動力調整機構4Rを動作させる作動油の圧力を調節可能である。
【0066】
本実施の形態では、第1の油路2aが第1のシリンダ室2c及び第2のシリンダ室2dに連通しているため、駆動力断続機構5が第1の電磁弁831により圧力が調節された作動油によって動作する。第1の電磁弁831から第1の油路2aを介して第1のシリンダ室2cに供給される作動油の圧力をピストン50が受け、第1のばね部材531の付勢力に抗してクラッチ部材51及ぶ摩擦部材52を軸方向に押圧する。なお、駆動力断続機構5が第2の電磁弁832により圧力が調節された作動油によって動作するように油圧回路83を構成してもよい。この場合、第1のシリンダ室2cは、第1の油路2aではなく第2の油路2bに連通する。
【0067】
本実施の形態では、駆動力断続機構5のピストン50が動作を開始するときの第1のシリンダ室2cの圧力が、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rのピストン421,441が動作を開始するときの圧力よりも低くなるように、ピストン50,421,441の受圧面積ならびに第1のばね部材531及びばね部材424,444のばね定数が設定されている。換言すれば、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rのピストン421,441がばね部材424,444によって第2及び第3のシリンダ室2d,2eの奥側に押し付けられて移動を開始しない状態で、駆動力断続機構5のピストン50が第1のシリンダ室2cの作動油の圧力により移動を開始する。
【0068】
(制御装置9による四輪駆動車100の制御方法)
制御装置9は、四輪駆動車100の走行中に二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際、摩擦クラッチ41,43の締結力を第1及び第2の出力回転部材61,62と中間回転部材3との相対回転を許容する締結力とした状態で摩擦部材52とリングギヤ部材22との間の摩擦力によって中間回転部材3とリングギヤ部材22との回転速度差を減少させ、その後にクラッチ部材51を非連結位置から連結位置に移動させる。また、制御装置9は、四輪駆動車100の走行中に二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際、クラッチ部材51を連結位置に移動させた後に摩擦クラッチ41,43の締結力を高めて第1及び第2の出力回転部材61,62から中間回転部材3及びリングギヤ部材22を経てプロペラシャフト108に伝達されるトルクによってプロペラシャフト108を増速させ、さらにその後、噛み合いクラッチ12を駆動力の伝達が可能な噛み合い状態とする。以下、この制御方法についてより具体的に説明する。
【0069】
図6(a)は、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際の油圧ポンプ82の吐出圧ならびに第1及び第2の電磁弁831,832の出力油圧(第1及び第2の油路2a,2bにおける作動油の油圧)の変化の一例を示すグラフである。このグラフでは、横軸を時間軸として縦軸に油圧を示し、油圧ポンプ82の吐出圧を太線で、第1の電磁弁831の出力油圧を細線で、第2の電磁弁832の出力油圧を破線で、それぞれ示している。縦軸における圧力Pは、駆動力断続機構5のピストン50は動作を開始するが、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rのピストン421,441は動作しない作動油の圧力である。また、縦軸における圧力Pは、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rのピストン421,441が動作を開始する作動油の圧力である。
【0070】
図6(b)は、横軸(時間軸)を図6(a)のグラフと共通とし、縦軸を回転速度として、中間回転部材3(第1及び第2の中間軸部材31,32)の回転速度を太線で、リングギヤ部材22の回転速度を細線で、それぞれ示している。縦軸における回転速度Rは、四輪駆動車100が四輪駆動状態で走行しているとしたときの車速に対応する中間回転部材3及びリングギヤ部材22の回転速度である。
【0071】
制御装置9は、例えば四輪駆動車100の運転者のスイッチ操作によって四輪駆動車100を二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際、第1の電磁弁831の出力油圧を圧力P以上かつ圧力P未満に、また第2の電磁弁831の出力油圧を圧力P未満に調節する。これにより、摩擦部材52の摩擦力によってリングギヤ部材22と中間回転部材3及びクラッチ部材51とが回転同期し、クラッチ部材51が連結位置に移動してその外側噛み合い部51aがリングギヤ部材22の噛み合い部222aに噛み合う。この間、第1及び第2の電磁弁831,832の出力油圧が圧力P未満であることにより、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rの摩擦クラッチ41,43が開放状態にある。このため、第1及び第2の出力回転部材61,62と中間回転部材3との相対回転が許容される。図6(a)及び(b)のグラフでは、電動モータ80及び第1の電磁弁831の制御を開始する時刻をtで示し、クラッチ部材51とリングギヤ部材22が噛み合う時刻をtで示している。
【0072】
時刻t以前には、摩擦クラッチ41,43の引き摺りトルクによって中間回転部材3がドライブシャフト107L,107Rよりもやや遅い速度で回転し、リングギヤ部材22は回転停止状態にある。時刻tからtの間には、摩擦部材52が発生する摩擦力により、中間回転部材3の回転速度が低下すると共にリングギヤ部材22の回転速度が上昇し、中間回転部材3とリングギヤ部材22との回転速度差が減少する。制御装置9は、ピストン50の軸方向一側への移動によって摩擦部材52により摩擦力を発生させ、この摩擦力によって中間回転部材3とリングギヤ部材22との回転速度差が減少した後、ピストン50の軸方向一側へのさらなる移動によってクラッチ部材51を連結位置に移動させる。そして、時刻tにおいてクラッチ部材51とリングギヤ部材22とが噛み合うと、中間回転部材3の回転速度とリングギヤ部材22の回転速度が一致する。
【0073】
その後の時刻tにおいて、制御装置9は、電動モータ80ならびに第1及び第2の電磁弁831,832を制御し、第1及び第2の電磁弁831,832の出力油圧を圧力P以上に調節する。つまり、クラッチ部材51を連結位置に移動させた後に、摩擦クラッチ41,43による第1及び第2の出力回転部材61,62から中間回転部材3へのトルク伝達を開始する。換言すれば、制御装置9は、クラッチ部材51を連結位置に移動させた後に摩擦クラッチ41,43の締結力を高めて第1及び第2の出力回転部材61,62から中間回転部材3及び直交歯車対20を経てプロペラシャフト108に伝達されるトルクを大きくし、このトルクによってプロペラシャフト108を増速させる。
【0074】
そして、制御装置9は、噛み合いクラッチ12における第1回転部材121と第2回転部材122との回転が同期すると、時刻tにおいてアクチュエータ120を制御し、スリーブ123によって第1回転部材121と第2回転部材122とを相対回転不能に連結する。時刻tからtの間には、中間回転部材3及びリングギヤ部材22の回転速度が車速に対応する回転速度に向かって徐々に上昇する。
【0075】
その後、制御装置9は、時刻t以降、電動モータ80及び油圧ユニット81の制御によって第2及び第3のシリンダ室2d,2eに供給する作動油の圧力を調節し、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rを介して後輪105L,105Rに伝達される駆動力を調整する。
【0076】
(制御装置9による駆動力伝達装置1の制御方法の別例1)
図7(a)は、制御装置9による制御方法の別例に係る二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時の油圧ポンプ82の吐出圧ならびに第1及び第2の電磁弁831,832の出力油圧の変化を示すグラフである。図7(b)は、図7(a)に示すように油圧が変化した場合の中間回転部材3及びリングギヤ部材22の回転速度をそれぞれ太線及び細線で示している。
【0077】
この別例では、摩擦部材52がリングギヤ部材22との間に摩擦力を発生させるとき、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rのうち少なくとも何れかを介して中間回転部材3に回転力が伝達される。なお、この制御装置9による制御は、図1乃至図5に示す構成の駆動力伝達装置1の本体部10及び油圧ユニット81を対象としている。
【0078】
図6(a)に示した例では、時刻tからtにおいて摩擦部材52がリングギヤ部材22との間に摩擦力を発生させているとき、第1及び第2の電磁弁831,832の出力油圧が圧力P未満である場合について説明したが、図7(a)に示す例では、時刻tからtにおいて摩擦部材52がリングギヤ部材22との間に摩擦力を発生させているとき、第1の電磁弁831の出力油圧が圧力P以上である。なお、図7(a)のグラフに示す例では、時刻tからtの間における第2の電磁弁832の出力油圧が圧力P未満であるが、この間の第2の電磁弁832の出力油圧を圧力P以上としてもよい。
【0079】
この制御方法によれば、摩擦部材52がリングギヤ部材22との間に摩擦力を発生させているときに第1の駆動力調整機構4Lから中間回転部材3に回転力が伝達される。つまり、クラッチ部材51を連結位置に移動させる前に第1の駆動力調整機構4Lの摩擦クラッチ41による第1の出力回転部材61から中間回転部材3へのトルク伝達が開始されるので、第1の出力回転部材61の回転力が中間回転部材3及び摩擦部材52を介してリングギヤ部材22に伝達され、さらにリングギヤ部材22からピニオンギヤシャフト21を経てプロペラシャフト108に伝達されて、プロペラシャフト108がより速やかに増速される。また、制御装置9は、クラッチ部材51を連結位置に移動させた後には、摩擦クラッチ41,43の締結力を高めて第1及び第2の出力回転部材61,62から中間回転部材3及び直交歯車対20を経てプロペラシャフト108に伝達されるトルクによってプロペラシャフト108をさらに増速させる。
【0080】
なお、摩擦部材52がリングギヤ部材22との間に摩擦力を発生させているとき、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rの両摩擦クラッチ41,43によって第1及び第2の出力回転部材61,62から中間回転部材3へのトルク伝達を開始してもよい。
【0081】
(油圧ユニット81の構成及び制御装置9による駆動力伝達装置1の制御方法の別例2)
図8は、油圧ユニット81の構成の別例を示す油圧回路図である。この別例に係る油圧ユニット81は、上記と同様に、単一の油圧ポンプ82と、油圧ポンプ82から吐出された作動油の圧力を第1乃至第3のシリンダ室2c〜2eに分配する油圧回路83とを有し、油圧回路83の圧力調節部830が第1及び第2の電磁弁831,832を含んでいるが、第1のシリンダ室2cには、油圧ポンプ82の吐出圧がそのまま供給される。これにより、駆動力断続機構5は、圧力調節部830により減圧されない油圧ポンプ82の吐出圧によって動作する。ケーシング2には、油圧ポンプ82から吐出された作動油を直接的に第1のシリンダ室2cに導く油路2fと、第1の電磁弁831から出力された作動油を第2のシリンダ室2dに導く油路2gとが別個に形成される。
【0082】
図9(a)は、この油圧ユニット81を用いた場合において、四輪駆動車100が二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行する際の油圧ポンプ82の吐出圧ならびに第1及び第2の電磁弁831,832の出力油圧の変化の一例を示すグラフである。図9(b)は、図9(a)に示すように各部の油圧が変化した場合の中間回転部材3の回転速度をそれぞれ太線及び細線で示している。
【0083】
この場合の制御装置9による駆動力伝達装置1の制御方法では、時刻tよりも前の段階において第1及び第2の電磁弁831,832から作動油を出力する必要がない。図9(a)では、時刻tよりも前の段階において第1及び第2の電磁弁831,832から作動油を出力しない場合について図示しているが、時刻tよりも前に第1及び第2の電磁弁831,832から第2及び第2のシリンダ室2d,2eに作動油を出力してもよい。
【0084】
このように構成された油圧ユニット81及びその制御方法によれば、油圧ポンプ82から吐出された作動油が直接的に第1のシリンダ室2cに供給されるので、リングギヤ部材22と中間回転部材3とを回転同期させるための摩擦部材52の摩擦力をより高めることが可能となる。
【0085】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、四輪駆動車100の走行中に二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際、摩擦部材52とリングギヤ部材22との間の摩擦力によって中間回転部材3とリングギヤ部材22との回転速度差を減少させ、その後にクラッチ部材51を非連結位置から連結位置に移動させる。この際の摩擦クラッチ41,43の締結力は、第1及び第2の出力回転部材61,62と中間回転部材3との相対回転を許容する締結力であるので、摩擦部材52が発生し得る摩擦力が小さくとも、中間回転部材3の回転速度を容易に変化させることができ、中間回転部材3とリングギヤ部材22との回転速度差を速やかに減少させることが可能である。このため、摩擦部材52を小型化することができ、装置サイズの大型化や重量の増大を抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を速やかに行わせることが可能となる。
【0086】
また、制御装置9は、クラッチ部材51を連結位置に移動させた後に摩擦クラッチ41,43の締結力を高めて第1及び第2の出力回転部材61,62から中間回転部材3及び直交歯車対20を経てプロペラシャフト108に伝達されるトルクによってプロペラシャフト108を増速させるので、噛み合いクラッチ12の回転同期を速やかに行わせることが可能となる。
【0087】
また、クラッチ部材51を連結位置に移動させた後に第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rの摩擦クラッチ41,43による第1及び第2の出力回転部材61,62から中間回転部材3へのトルク伝達を開始すれば、摩擦クラッチ41,43が開放状態にあるときに中間回転部材3とリングギヤ部材22との間に摩擦部材52の摩擦力が発生するので、中間回転部材3とリングギヤ部材22との回転同期を速やかに行わせることが可能となる。
【0088】
また、クラッチ部材51を連結位置に移動させる前に第1の駆動力調整機構4Lの摩擦クラッチ41による第1の出力回転部材61から中間回転部材3へのトルク伝達を開始すれば、第1の出力回転部材61の回転力が早い段階からプロペラシャフト108に伝達され、噛み合いクラッチ12の回転同期を速やかに行わせることが可能となる。
【0089】
また、移動機構5Aは、単一のピストン50によってクラッチ部材51及び摩擦部材52を移動させるので、駆動力断続機構5の構成が簡素化される。
【0090】
なお、駆動力伝達装置1の本体部10の構成は、図2乃至図4を参照して説明したものに限らず、適宜変形することが可能である。以下、この本体部10の構成を変形した駆動力伝達装置1A,1Bを第2及び第3の実施の形態として説明する。
【0091】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る駆動力伝達装置1Aについて、図10乃至図12を参照して説明する。この駆動力伝達装置1Aは、第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置1と同様に、四輪駆動車の左右一対の補助駆動輪に駆動力を配分するために用いられる。
【0092】
図10は、駆動力伝達装置1Aの構成例を示す全体断面図である。図11は、図10における第1及び第2の駆動力調整機構4L,4R及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。図12(a)は、図10におけるリングギヤ部材22とクラッチ部材51との噛み合い部及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。図12(b),(c)は、リングギヤ部材22とクラッチ部材51との噛み合い部を模式的に示す説明図である。
【0093】
図10乃至図12において、第1の実施の形態において説明したものと同様の機能を有する部材等については、図2乃至図4に付したものと同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。以下、第2の実施の形態に係る駆動力伝達装置1Aについて、第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置1と異なる部分を重点的に説明する。
【0094】
駆動力伝達装置1Aのケーシング2は、第1乃至3ケース部材23A,24A,25Aからなる。第1ケース部材23Aには電動モータ80が収容され、第2ケース部材24Aには油圧ユニット81、直交歯車対20、ならびに第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rが収容されている。第3ケース部材25Aには、ピストン50に油圧を供給する第1のシリンダ室2cが形成されている。
【0095】
本実施の形態では、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rが、回転軸線O方向において、共にリングギヤ部材22の一側に配置されている。より具体的には、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rが、回転軸線O方向においてリングギヤ部材22を支持する一対の軸受713,714のうちリングギヤ部221から遠い側の軸受714よりもさらにリングギヤ部221から離間した位置に配置されている。
【0096】
また、第1の実施の形態では、中間回転部材3が第1の中間軸部材31及び第2の中間軸部材32の2部材からなる場合について説明したが、本実施の形態では、中間回転部材3が単一の部材として構成されている。このため、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rは、中間回転部材3がリングギヤ部材22と一体に回転する連結状態において、単一の中間回転部材3から第1及び第2の出力回転部材61,62に伝達される駆動力をそれぞれ調整する。
【0097】
本実施の形態において、クラッチ部材51は、図11に示すように、リングギヤ部材22の筒部222の内側に挿通された中空軸状の軸部514と、リングギヤ部材22の筒部222から突出した軸部514の一端部の外周面から径方向外方に張り出した環状板部515と、環状板部515の径方向外側の端部から回転軸線Oと平行な軸方向に延在する円筒部516とを一体に有している。リングギヤ部材22の筒部222の内側におけるクラッチ部材51の軸部514の外周面には、複数のランド状(島状)突起514aからなる噛み合い部514bが形成されている。また、クラッチ部材51の円筒部516の外周面には、軸方向に延びる複数のスプライン突起からなる噛み合い部516aが形成されている。噛み合い部514bは本発明の第1の噛み合い部に相当し、噛み合い部516aは本発明の第2の噛み合い部に相当する。
【0098】
リングギヤ部材22の筒部222の内周面には、クラッチ部材51の軸部514における噛み合い部514bに噛み合う噛み合い部222bが形成されている。本実施の形態では、この噛み合い部222bが複数のランド状突起222cからなる。
【0099】
第1の駆動力調整機構4Lは、第1の実施の形態と同様に、中間回転部材3と一体に回転する複数のアウタクラッチプレート411、及び第1の出力回転部材61と一体に回転する複数のインナクラッチプレート412からなる摩擦クラッチ41と、ピストン421と、ピストン421と摩擦クラッチ41との間に配置されたスラストころ軸受422及び押圧プレート423と、ピストン421を摩擦クラッチ41から離間する方向に付勢するばね部材424とを有している。
【0100】
また、本実施の形態では、第1の駆動力調整機構4Lが、ピストン421の押圧力をスラストころ軸受422から押圧プレート423に伝達する押圧力伝達部材45を有している。押圧力伝達部材45は、リング状の環状部451と、環状部451の周方向における複数箇所から軸方向に突出した複数の突起部452とを一体に有している。
【0101】
第2の駆動力調整機構4Rは、第1の実施の形態と同様に、中間回転部材3と一体に回転する複数のアウタクラッチプレート431、及び第2の出力回転部材62と一体に回転する複数のインナクラッチプレート432からなる摩擦クラッチ43と、ピストン441と、ピストン441と摩擦クラッチ43との間に配置されたスラストころ軸受442及び押圧プレート443と、ピストン441を摩擦クラッチ43から離間する方向に付勢するばね部材444とを有している。
【0102】
また、本実施の形態では、第2の駆動力調整機構4Rが、ピストン441の押圧力をスラストころ軸受442から押圧プレート443に伝達する押圧力伝達部材46を有している。押圧力伝達部材46は、リング状の環状部461と、環状部461の周方向における複数箇所から軸方向に突出した複数の突起部462とを一体に有している。
【0103】
中間回転部材3は、第1の駆動力調整機構4Lの複数のアウタクラッチプレート411が係合する複数のスプライン突起からなる噛み合い部33aならびに第2の駆動力調整機構4Rの複数のアウタクラッチプレート431が係合する複数のスプライン突起からなる噛み合い部33bが内周面に形成された外側円筒部33と、クラッチ部材51の噛み合い部516aに噛み合う複数のスプライン突起からなる噛み合い部34aが内周面に形成された内側円筒部34と、外側円筒部33及び内側円筒部34のそれぞれの軸方向一端部間の間に設けられた壁部35とを一体に有している。
【0104】
外側円筒部33には、第1の駆動力調整機構4L側の受けプレート410及び第2の駆動力調整機構4R側の受けプレート430の軸方向移動を規制する止め輪361,362が嵌着されている。また、外側円筒部33における壁部35側とは反対側の端部には、円環板状のカバープレート36が例えば溶接により固定されている。カバープレート36は、壁部35との間に、摩擦クラッチ41,43を挟んでいる。
【0105】
外側円筒部33の壁部35には、押圧力伝達部材45の複数の突起部452をそれぞれ挿通させる軸方向の貫通孔350が形成されている。ばね部材424は、皿ばねからなり、軸方向の一端部が壁部35に当接すると共に他端部が押圧力伝達部材45の環状部451に当接し、押圧力伝達部材45を介してピストン421を摩擦クラッチ41から離間する方向に付勢している。また、カバープレート36には、押圧力伝達部材46の複数の突起部462をそれぞれ挿通させる軸方向の貫通孔360が形成されている。ばね部材444は、皿ばねからなり、軸方向の一端部がカバープレート36に当接すると共に他端部が押圧力伝達部材46の環状部461に当接し、押圧力伝達部材46を介してピストン421を摩擦クラッチ43から離間する方向に付勢している。
【0106】
外側円筒部33の壁部35と第2ケース部材24Aとの間には、スラストころ軸受731が配置されている。また、カバープレート36と第1ケース部材23Aとの間には、スラストころ軸受732が配置されている。外側円筒部33及びカバープレート36の軸方向移動は、スラストころ軸受731,732によって規制されている。
【0107】
本実施の形態では、第1の出力回転部材61が、連結部61aで互いに相対回転不能に連結された筒状部材63及び軸状部材64からなる。筒状部材63の内周面には、軸状部材64との連結のためのスプライン嵌合部63aが形成されている。筒状部材63の外周面には、インナクラッチプレート412の複数の突起412aに噛み合う複数のスプライン突起からなる噛み合い部63bが形成されている。軸状部材64は、外周面にスプライン嵌合部64aが形成されたフランジ部641と、クラッチ部材51の軸部514の内側に挿通された円柱状のシャフト部642とを一体に有している。シャフト部642には、フランジ部641とは反対側の端部に、ドライブシャフト107Lが相対回転不能に連結されるスプライン嵌合部642aが形成されている。筒状部材63と軸状部材64とは、スプライン嵌合部63a,64aにおいて連結されている。
【0108】
クラッチ部材51は、シリンダ室2cに作動油が供給されたとき、ピストン50に押圧されて軸方向に移動する。ピストン50は、リングギヤ部221の筒部222の内側に配置されたスラストころ軸受500を介して、クラッチ部材51の軸部514における環状板部515とは反対側の端部を押圧する。クラッチ部材51の円筒部516の先端部と中間回転部材3の内側円筒部34に嵌着された止め輪37との間には、第1のばね部材531が軸方向に圧縮された状態で配置されている。本実施の形態では、第1のばね部材531が軸方向に並列配置された複数の皿ばねからなる。
【0109】
図12に示すように、クラッチ部材51の軸部514には、円筒状の摩擦部材52が外嵌されている。摩擦部材52は、その内周面に形成された噛み合い部52aがクラッチ部材51の軸部514の外周面に形成された噛み合い部514bに噛み合うことで、クラッチ部材51に対して相対回転不能である。また、摩擦部材52は、クラッチ部材51の軸部514に嵌着された止め輪517により、クラッチ部材51に対する軸方向移動が規制されている。このように、本実施の形態では、摩擦部材52がクラッチ部材51に固定されている。
【0110】
摩擦部材52の外周面は、テーパ状の摩擦面52bとして形成されている。この摩擦面52bは、リングギヤ部材22の筒部222に相対回転不能かつ軸方向移動可能に連結された摩擦対象部材223の摩擦摺動対象面223aに摩擦接触する。摩擦対象部材223の外周面には軸方向に延びる複数のスプライン突起からなる噛み合い部223bが形成されている。リングギヤ部材22の筒部222の内周面には、摩擦対象部材223の噛み合い部223bに噛み合う複数のスプライン突起からなる噛み合い部222dが形成されている。摩擦対象部材223の摩擦摺動対象面223aは、摩擦部材52の摩擦面52bに面接触するテーパ状である。
【0111】
摩擦対象部材223は、その軸方向一端面とリングギヤ部材22の筒部222に形成された段差面との間に配置された第2のばね部材532により、軸方向に沿ってピストン50側に付勢されている。この付勢方向への摩擦対象部材223の軸方向移動は、リングギヤ部材22の筒部222に嵌着された止め輪224によって規制されている。
【0112】
図10では、シリンダ室2cの油圧が低いときの状態を回転軸線Oよりも上側に示し、シリンダ室2cに油圧が供給されてピストン50が移動したときの状態を回転軸線Oよりも下側に示している。シリンダ室2cの油圧が低いときには、第1のばね部材531によって、ピストン50が第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rから離間する方向に押し付けられた初期位置にある。そして、シリンダ室2cに油圧ユニット81から作動油が供給されると、ピストン50が第1のばね部材531の付勢力に抗してクラッチ部材51を第1及び第2の駆動力調整機構4L,4R側に移動させる。
【0113】
クラッチ部材51が第1及び第2の駆動力調整機構4L,4R側に移動することにより、まず摩擦部材52の摩擦面52bが摩擦対象部材223の摩擦摺動対象面223aに接触する。この際、第2のばね部材532は、摩擦部材52の摩擦面52bを摩擦対象部材223の摩擦摺動対象面223aに弾接させる。そしてさらにクラッチ部材51が第1及び第2の駆動力調整機構4L,4R側に移動すると、クラッチ部材51の複数のランド状突起514aからなる噛み合い部514bが、リングギヤ部材22の複数のランド状突起222cからなる噛み合い部222bに噛み合う。
【0114】
図12(b),(c)に示すように、クラッチ部材51の噛み合い部514bは、周方向に沿って並ぶ複数のランド状突起514aからなる列が軸方向に離間して複列に構成されている。同様に、リングギヤ部材22の噛み合い部222bは、複数のランド状突起222cからなる列が軸方向に離間して複列に構成されている。ピストン50が初期位置にあるときには、図12(b)に示すようにクラッチ部材51のランド状突起514aとリングギヤ部材22のランド状突起222cとが噛み合わず、クラッチ部材51がリングギヤ部材22に対して相対回転可能である。一方、クラッチ部材51がピストン50の押圧力を受けて移動すると、図12(c)に示すようにクラッチ部材51のランド状突起514aとリングギヤ部材22のランド状突起222cとが噛み合い、クラッチ部材51及び中間回転部材3がリングギヤ部材22と一体に回転する連結状態となる。
【0115】
クラッチ部材51のランド状突起514aは、リングギヤ部材22のランド状突起222cと軸方向(図12の左右方向)に向かい合う対向面514aが周方向に対して傾斜した傾斜面である。同様に、リングギヤ部材22のランド状突起222cは、クラッチ部材51のランド状突起514aと軸方向に向かい合う対向面222cが周方向に対して傾斜した傾斜面である。クラッチ部材51のランド状突起514a及びリングギヤ部材22のランド状突起222cは、対向面514a,222c同士が互いに平行に向かい合う台形状であり、クラッチ部材51のランド状突起514aの長辺側及び短辺側の側面514a,514aならびにリングギヤ部材22のランド状突起222cの長辺側及び短辺側の側面222c,222cはそれぞれ軸方向に平行である。
【0116】
クラッチ部材51がピストン50の押圧力を受けて軸方向に移動すると、クラッチ部材51のランド状突起514aの対向面514aがリングギヤ部材22のランド状突起222cの対向面222cに当接し、対向面514a,222c同士の摺動によってクラッチ部材51のランド状突起514aが周方向に隣り合うリングギヤ部材22の2つのランド状突起222cの間に入り込む。これにより、クラッチ部材51の噛み合い部514bとリングギヤ部材22の噛み合い部222bとが噛み合わされる。
【0117】
図10において、クラッチ部材51が回転軸線Oよりも上側に示す非連結位置にあるときには、クラッチ部材51の噛み合い部514bがリングギヤ部材22の噛み合い部222bに噛み合わず、クラッチ部材51が回転軸線Oよりも下側に示す連結位置にあるときには、クラッチ部材51の噛み合い部514bがリングギヤ部材22の噛み合い部222bに噛み合う。クラッチ部材51の噛み合い部516aは、中間回転部材3の内側円筒部34の噛み合い部34aに常に噛み合っている。
【0118】
本実施の形態に係る駆動力伝達装置1Aも、第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置1と同様に動作する。すなわち、中間回転部材3がリングギヤ部材22と相対回転可能な非連結状態からクラッチ部材51及び中間回転部材3がリングギヤ部材22と一体に回転する連結状態に切り替える際には、制御装置9が電動モータ80及び油圧ユニット81を制御して第1の油路2aに作動油を供給し、クラッチ部材51及び摩擦部材52を軸方向に移動させる。そして、摩擦部材52の摩擦面522aと摩擦対象部材223の摩擦摺動対象面223aとの間の摩擦力によってリングギヤ部材22と中間回転部材3とが回転同期すると、クラッチ部材51の噛み合い部514bがリングギヤ部材22の噛み合い部222bに噛み合い、リングギヤ部材22と中間回転部材3とがクラッチ部材51によって相対回転不能に連結される。
【0119】
その後、制御装置9は、電動モータ80及び油圧ユニット81を制御してシリンダ室2d,2eに供給する作動油の油圧を高め、ドライブシャフト107L,107Rの回転力を第1及び第2の駆動力調整機構4L,4R、中間回転部材3、クラッチ部材51、及び直交歯車対20を介してプロペラシャフト108に伝達し、プロペラシャフト108を回転させる。そして、制御装置9は、噛み合いクラッチ12における第1回転部材121と第2回転部材122との回転が同期すると、アクチュエータ120を制御して、スリーブ123によって第1回転部材121と第2回転部材122とを相対回転不能に連結する。
【0120】
駆動力伝達装置1Aは、第1の実施の形態について説明したものと同様に構成された油圧ユニット81を有し、同様の制御方法によって制御装置9によって制御される。この第2の実施の形態に係る駆動力伝達装置1Aによっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0121】
また、第1及び第2の駆動力調整機構4L,4Rは、リングギヤ部材22と中間回転部材3とがクラッチ部材51によって一体に回転するように連結された連結状態において単一の中間回転部材3から第1及び第2の出力回転部材61,62に伝達される駆動力をそれぞれ調整するので、部品点数を削減することが可能となる。
【0122】
[第3の実施の形態]
次に、図13及び図14を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態に係る駆動力伝達装置1Bは、第2の実施の形態に係る駆動力伝達装置1Aに対し、クラッチ部材51によるリングギヤ部材22と中間回転部材3との連結構造が異なり、その他の構成については共通である。
【0123】
図13は、駆動力伝達装置1Bの構成例を示す全体断面図である。図14は、図13におけるクラッチ部材51及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。図13及び図14において、第2の実施の形態において説明したものと同様の機能を有する部材等については、図10乃至図12に付したものと同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0124】
第2の実施の形態では、クラッチ部材51の噛み合い部516aが中間回転部材3の内側円筒部34の噛み合い部34aに常に噛み合い、クラッチ部材51の噛み合い部514bとリングギヤ部材22の噛み合い部222bとはクラッチ部材51が連結位置にあるときに噛み合うように構成された場合について説明したが、第3の実施の形態では、これとは逆に、クラッチ部材51の噛み合い部514bとリングギヤ部材22の噛み合い部222bとが常に噛み合う。また、クラッチ部材51の噛み合い部516aと中間回転部材3の内側円筒部34の噛み合い部34aとは、クラッチ部材51が連結位置にあるときに噛み合い、クラッチ部材51が非連結位置にあるときには噛み合わない。
【0125】
本実施の形態では、クラッチ部材51の噛み合い部514bとリングギヤ部材22の噛み合い部222bが、それぞれ軸方向に延びる複数のスプライン突起からなる。クラッチ部材51は、噛み合い部514bがリングギヤ部材22の噛み合い部222bに噛み合った状態を保ちながらリングギヤ部材22に対して軸方向移動可能である。また、クラッチ部材51は、噛み合い部514b,222bの噛み合いによりリングギヤ部材22に対して相対回転不能であり、リングギヤ部材22と一体に回転する。
【0126】
クラッチ部材51は、第2の実施の形態と同様に、リングギヤ部材22の筒部222の内側に挿通された中空軸状の軸部514と、リングギヤ部材22の筒部222から突出した軸部514の一端部の外周面から径方向外方に張り出した環状板部515と、環状板部515の径方向外側の端部から回転軸線Oと平行な軸方向に延在する円筒部516とを一体に有している。円筒部516は、環状の円環部516bと、円環部516bから軸方向に突出した複数の突部516cからなる。複数の突部516cは、中間回転部材3に噛み合い可能な噛み合い部516aを構成する。
【0127】
中間回転部材3の内側円筒部34には、クラッチ部材51の円筒部516の噛み合い部516aが噛み合う複数の突起34bからなる噛み合い部34aが形成されている。複数の突起34bは、内側円筒部34の軸方向一端部から径方向内方に向かって突出して形成されている。クラッチ部材51は、リングギヤ部材22の筒部222から回転軸線O方向に突出した部分に噛み合い部516aが設けられている。
【0128】
また、本実施の形態では、環状の摩擦部材52がクラッチ部材51の複数の突部516cに軸方向移動可能に支持されている。摩擦部材52は、複数の突部516cを挿通させる複数の貫通孔520が形成された環状板部523と、環状板部523の径方向外側の端部から軸方向に延びる円筒部524とを一体に有している。摩擦部材52は、リングギヤ部材22及び中間回転部材3に対して回転軸線O方向に相対移動可能である。クラッチ部材51の円筒部516における環状の円環部516bから離間する方向への摩擦部材52の軸方向移動は、複数の突部516cに嵌着された止め輪518によって規制されている。
【0129】
摩擦部材52の円筒部524の外周面は、中間回転部材3の内側円筒部34の内周面に形成された摩擦摺動対象面34cに摩擦接触するテーパ状の摩擦面524aとして形成されている。中間回転部材3の摩擦摺動対象面34cは、摩擦部材52の摩擦面524aに面接触するテーパ状である。
【0130】
摩擦部材52は、クラッチ部材51の円筒部516の外周側に配置された第2のばね部材532によって、円筒部516の円環部516bから離間する方向へ付勢されている。第2のばね部材532は、例えばコイルドウェーブスプリングからなり、クラッチ部材51の段差面と摩擦部材52の円筒部524の軸方向端面との間に軸方向に圧縮された状態で配置されている。
【0131】
クラッチ部材51の軸部514には、噛み合い部514bよりもピストン50側の外周面に止め輪519が嵌着されている。この止め輪519とリングギヤ部材22の筒部222の内周に形成された段差面222eとの間には、第1のばね部材531が軸方向に圧縮された状態で配置されている。第1のばね部材531は、例えばコイルドウェーブスプリングからなり、クラッチ部材51及び摩擦部材52をピストン50による押圧方向とは反対側に付勢している。
【0132】
クラッチ部材51は、噛み合い部514bがリングギヤ部材22の噛み合い部222bに噛み合うと共に噛み合い部516aが中間回転部材3の噛み合い部34aに噛み合う連結位置と、噛み合い部514bがリングギヤ部材22の噛み合い部222bに噛み合うが、噛み合い部516aが中間回転部材3の噛み合い部34aに噛み合わない非連結位置との間を軸方向に移動する。
【0133】
本実施の形態に係る駆動力伝達装置1Bは、第1の実施の形態について説明したものと同様に構成された油圧ユニット81を有し、同様の制御方法によって制御装置9によって制御され、第1及び第2の実施の形態に係る駆動力伝達装置1,1Aと同様に動作する。すなわち、中間回転部材3がリングギヤ部材22と相対回転可能な非連結状態からクラッチ部材51及び中間回転部材3がリングギヤ部材22と一体に回転する連結状態に切り替える際には、制御装置9が電動モータ80及び油圧ユニット81を制御して第1の油路2aに作動油を供給し、クラッチ部材51及び摩擦部材52を軸方向に移動させる。そして、摩擦部材52の摩擦面524aと中間回転部材3の摩擦摺動対象面34cとの間の摩擦力によってリングギヤ部材22と中間回転部材3とが回転同期すると、クラッチ部材51の噛み合い部516aが中間回転部材3の噛み合い部34aに噛み合い、リングギヤ部材22と中間回転部材3とがクラッチ部材51によって相対回転不能に連結される。
【0134】
駆動力伝達装置1Bも、第1の実施の形態について説明したものと同様に構成された油圧ユニット81を有し、同様の制御方法によって制御装置9によって制御される。したがって、この第3の実施の形態に係る駆動力伝達装置1Bによっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0135】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0136】
1,1A,1B…駆動力伝達装置
102…エンジン(駆動源)
108…プロペラシャフト(駆動軸)
12…噛み合いクラッチ(駆動力断続装置)
22…リングギヤ部材(第1の回転部材)
3…中間回転部材(第2の回転部材)
41,43…摩擦クラッチ
5A…移動機構
50…ピストン(押圧部材)
51…クラッチ部材
514b…噛み合い部(第1の噛み合い部)
516a…噛み合い部(第2の噛み合い部)
51a…外側噛み合い部(第2の噛み合い部)
51b…内側噛み合い部(第1の噛み合い部)
52…摩擦部材
9…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14