特許第6859866号(P6859866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859866
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】内燃機関システム
(51)【国際特許分類】
   F02D 17/00 20060101AFI20210405BHJP
   F01L 13/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   F02D17/00 H
   F01L13/00 301N
   F01L13/00 301Y
   F01L13/00 302E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-120704(P2017-120704)
(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-7357(P2019-7357A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 武志
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−023019(JP,A)
【文献】 特開2001−221080(JP,A)
【文献】 特開2008−151147(JP,A)
【文献】 特開2009−228485(JP,A)
【文献】 特開2010−001751(JP,A)
【文献】 特開2018−159295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 13/00
F02D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、前記内燃機関に吸排気を実行させる動弁装置と、前記動弁装置の動作を制御する制御装置と、排気の一部を前記内燃機関へ供給するEGR装置と、を備えた内燃機関システムであって、
前記動弁装置が、
前記内燃機関の吸排気口を開放または閉止させるように移動可能に設けられた吸排気バルブと、
前記吸排気口を閉止させる方向へ前記吸排気バルブを付勢するバルブスプリングと、
作動油を導入または排出可能な油圧室が内部に形成されて、回転可能に支持されたロッカーアームと、
作動油の油圧に応じて前記油圧室から外部へ突出可能にまたは前記油圧室の内部へ没入可能に設けられ、突出時に前記バルブスプリングの付勢力に抗して、前記吸排気口を開放させる方向へ前記吸排気バルブを押圧するピストン部材と、
を有し、
前記制御装置が、
前記内燃機関の停止命令を検知した時に、前記油圧室から作動油を排出させる
ことを特徴とする内燃機関システム。
【請求項2】
前記動弁装置が、
前記油圧室に接続されて作動油が流通する油流通路と、
前記油流通路の前記油圧室とは逆側の端部に接続された三方電磁弁と、
前記三方電磁弁に接続されて作動油が供給される油供給路と、
前記三方電磁弁に接続されて作動油が排出される油排出路と、
を更に備え、
前記制御装置が、前記三方電磁弁の動作を制御して前記油流通路を前記油排出路に連通させることにより、前記油圧室から作動油を排出させる
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記油圧室における作動油の油圧が所定の排出閾値まで降下したことを検知した時に、前記油圧室からの作動油の排出を停止させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記内燃機関の始動命令を検知した時に、前記三方電磁弁の動作を制御して前記油流通路を前記油供給路に連通させることにより、前記油圧室に作動油を導入する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の内燃機関システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記油圧室における作動油の油圧が所定の始動閾値まで上昇したことを検知した時に、前記内燃機関を始動させる
ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関システム。
【請求項6】
前記動弁装置が、
前記油圧室に接続されて作動油が流通する油流通路と、
前記油流通路の前記油圧室とは逆側の端部に接続された二方電磁弁と、
前記二方電磁弁に接続されて作動油が排出される油排出路と、
前記油流通路から分岐して設けられた油供給路と、
前記油供給路に設けられて前記油圧室へ作動油を圧送するオイルポンプと、
前記油供給路の前記オイルポンプより下流側に設けられ、前記油供給路における作動油の逆流を防止する逆止弁と、
を更に備え、
前記制御装置は、前記二方電磁弁の動作を制御して前記油排出路における作動油の流通を許容することにより、前記油圧室から作動油を排出させる
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と、内燃機関に吸排気を実行させる動弁装置と、動弁装置の動作を制御する制御装置と、排気の一部を内燃機関へ供給するEGR装置と、を備えた内燃機関システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を含んだ内燃機関システムでは、内燃機関に吸排気を実行させるための動弁装置を備えている。この動弁装置は、内燃機関の気筒に設けられた吸排気口を開放または閉止させるように移動可能に設けられた吸排気バルブと、回転可能に支持されて吸排気バルブを押圧するロッカーアームと、ロッカーアームを押圧して回転させるカムと、を有している(例えば、特許文献1を参照)。このような動弁装置は、内燃機関の停止時におけるカムの回転位置は特に制御されておらず、カムは任意の位置で停止する。従って、内燃機関が停止した時に、吸排気バルブが吸排気口を開放させた状態となる場合がある。
【0003】
ところで、内燃機関を含んだ内燃機関システムの多くは、内燃機関から排気通路に排出された排気の一部を、EGRガスとして吸気通路に供給するEGR装置(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)を備えている。このEGR装置によれば、EGRガスの供給によって吸気中の酸素濃度が低下し、内燃機関の気筒内での燃焼温度が低下することにより、排気中における窒素酸化物が低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−000337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の内燃機関システムでは、内燃機関が停止した時に気筒の吸排気口が開放状態になっていると、その後にEGR装置の内部に残留したEGRガスが吸排気口を介して気筒の内部に侵入する。このようなEGRガスは強い酸化力を有するため、気筒の内部に設けられた燃料噴射装置等がこのEGRガスに触れると、燃料噴射装置等に腐食が生じる恐れがある。特に、排気の規制が厳格化している近年では、吸気量に占めるEGRガスの割合を示すEGR率が高まりつつあるため、このような問題が顕著となってきている。従って、内燃機関の停止時に、全ての気筒において吸排気口が閉止状態になっていることが必要とされる。
【0006】
そこで本発明は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、内燃機関の停止後に、気筒の内部に設けられた燃料噴射装置等の各部に腐食が生じるのを未然に防止することを可能にする内燃機関システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様によれば、
内燃機関と、前記内燃機関に吸排気を実行させる動弁装置と、前記動弁装置の動作を制御する制御装置と、排気の一部を前記内燃機関へ供給するEGR装置と、を備えた内燃機関システムであって、
前記動弁装置が、
前記内燃機関の吸排気口を開放または閉止させるように移動可能に設けられた吸排気バルブと、
前記吸排気口を閉止させる方向へ前記吸排気バルブを付勢するバルブスプリングと、
作動油を導入または排出可能な油圧室が内部に形成されて、回転可能に支持されたロッカーアームと、
作動油の油圧に応じて前記油圧室から外部へ突出可能にまたは前記油圧室の内部へ没入可能に設けられ、突出時に前記バルブスプリングの付勢力に抗して、前記吸排気口を開放させる方向へ前記吸排気バルブを押圧するピストン部材と、
を有し、
前記制御装置が、
前記内燃機関の停止命令を検知した時に、前記油圧室から作動油を排出させる
ことを特徴とする内燃機関システムが提供される。
【0008】
なお、本発明に係る「吸排気」とは吸気または排気を意味し、「吸排気口」とは吸気口または排気口を意味し、「吸排気バルブ」とは、吸気バルブまたは排気バルブを意味している。
【0009】
なお、本発明の一の態様に係る内燃機関システムにおいては、前記動弁装置が、前記油圧室に接続されて作動油が流通する油流通路と、前記油流通路の前記油圧室とは逆側の端部に接続された三方電磁弁と、前記三方電磁弁に接続されて作動油が供給される油供給路と、前記三方電磁弁に接続されて作動油が排出される油排出路と、を更に備え、前記制御装置が、前記三方電磁弁の動作を制御して前記油流通路を前記油排出路に連通させることにより、前記油圧室から作動油を排出させてもよい。
【0010】
また、本発明の一の態様に係る内燃機関システムにおいては、前記制御装置は、前記油圧室における作動油の油圧が所定の閾値まで降下したことを検知した時に、前記油圧室からの作動油の排出を停止させてもよい。
【0011】
また、本発明の一の態様に係る内燃機関システムにおいては、前記制御装置は、前記内燃機関の始動命令を検知した時に、前記三方電磁弁の動作を制御して前記油流通路を前記油供給路に連通させることにより、前記油圧室に作動油を導入してもよい。
【0012】
また、本発明の一の態様に係る内燃機関システムにおいては、前記制御装置は、前記油圧室における作動油の油圧が所定の閾値まで上昇したことを検知した時に、前記内燃機関を始動させてもよい。
【0013】
また、本発明の一の態様に係る内燃機関システムにおいては、前記動弁装置が、前記油圧室に接続されて作動油が流通する油流通路と、前記油流通路の前記油圧室とは逆側の端部に接続された二方電磁弁と、前記二方電磁弁に接続されて作動油が排出される油排出路と、前記油流通路から分岐して設けられた油供給路と、前記油供給路に設けられて前記油圧室へ作動油を圧送するオイルポンプと、前記油供給路の前記オイルポンプより下流側に設けられ、前記油供給路における作動油の逆流を防止する逆止弁と、を更に備え、前記制御装置は、前記二方電磁弁の動作を制御して前記油排出路における作動油の流通を許容することにより、前記油圧室から作動油を排出させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一の態様に係る内燃機関システムによれば、内燃機関の停止後に、気筒の内部に設けられた燃料噴射装置等の各部に腐食が生じるのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態に係る内燃機関システム1を示す模式図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る吸気側の動弁装置7を示す概略断面図である。
図3】内燃機関2の始動時における吸気側の動弁装置7を示す概略断面図である。
図4】三方電磁弁55の通電状態と各ポートの開閉状態との関係を示す説明図である。
図5】内燃機関2の始動時における動弁処理の流れを示すフローチャートである。
図6】内燃機関2の停止時における動弁処理の流れを示すフローチャートである。
図7】内燃機関2の停止時における吸気側の動弁装置7を示す概略断面図である。
図8】本発明の第二実施形態の動弁装置71を示す概略断面図である。
図9】変形例に係る三方電磁弁55の通電状態と各ポートの開閉状態との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
【0017】
(第一実施形態に係る内燃機関システムの構成)
図1は、本発明の第一実施形態に係る内燃機関システム1を示す模式図である。内燃機関システム1は、内燃機関2と、外部から吸引した吸気を内燃機関2に供給する吸気通路3と、内燃機関2から排出された排気を外部へ排出する排気通路4と、排気通路4と吸気通路3を接続するように設けられたEGR装置5と、排気通路4に設けられた排気浄化装置6と、内燃機関2の内部に設けられた動弁装置7,61と、各種センサ等から取得した検出結果に基づいて各部の動作を制御する制御装置8と、を備えている。
【0018】
内燃機関2は、車両に搭載された四気筒の圧縮着火式内燃機関、すなわちディーゼルエンジンである。この内燃機関2は、図1に示すように、内燃機関本体9と、この内燃機関本体の内部に設けられた四つの気筒10と、気筒10の内部に向かって燃料を噴射する燃料噴射装置11と、気筒10に形成されて吸気通路3に連通する吸気口12と、気筒10に形成されて排気通路4に連通する排気口13と、を有している。なお、図示例は直列四気筒の内燃機関2を示すが、内燃機関2のシリンダ配置形式、気筒数等は任意である。
【0019】
EGR装置5は、排気通路4を流れる排気の一部(「EGRガス」という)を吸気通路3に供給する役割を果たす。このEGR装置5は、図1に示すように、一端が排気通路4に接続されて他端が吸気通路3に接続されたEGR通路14と、EGR通路14を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラ15と、このEGRクーラ15の下流側に設けられてEGRガスの流量を調節するEGRバルブ16と、を備える。このようなEGR装置5によれば、EGRガスを供給して吸気中の酸素濃度を低下させることにより、排気中の窒素酸化物の低減等を図ることができる。
【0020】
排気浄化装置6は、排気通路4を流通する排気を浄化する役割を果たす。この排気浄化装置6は、排気中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を酸化する酸化触媒ユニット17と、排気中に含まれる煤等の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタユニット18と、排気中に含まれるNOxをアンモニアによって還元するNOx触媒ユニット19と、NOx触媒ユニット19から排出された余剰のアンモニアを酸化するアンモニア酸化触媒20と、を備える。
【0021】
動弁装置7,61は、内燃機関2に吸排気を実行させる役割を果たす。本発明に係る「動弁装置」には、吸気側の動弁装置7と排気側の動弁装置61とがあり、ここではまず吸気側の動弁装置7を説明する。図2は、吸気側の動弁装置7を示す概略断面図である。動弁装置7は、一対の吸気口12の周辺にそれぞれ設けられた一対の吸気バルブユニット21と、一対の吸気バルブユニット21に当接して設けられた押圧部材23と、押圧部材23に当接して設けられたロッカーアームユニット24と、ロッカーアームユニット24に当接して設けられたカムユニット25と、ロッカーアームユニット24に接続して設けられた作動油供給排出ユニット26と、を有している。なお、動弁装置7を構成する吸気バルブユニット21の数は、本実施形態のように気筒10当たり2つに限られず、吸気口12の数に応じて適宜設計変更が可能である。
【0022】
吸気バルブユニット21は、図2に示すように、吸気口12に配置された吸気バルブ27と、この吸気バルブ27を包囲して配置されたバルブスプリング28と、を有している。
【0023】
吸気バルブ27は、気筒10の吸気口12を開放させまたは閉止させる役割を果たす。この吸気バルブ27は、図2に示すように、棒状のバルブステム29と、このバルブステム29の一端部に設けられて吸気口12より大径の漏斗形状に形成されたバルブヘッド30と、バルブステム29の他端部に設けられた被押圧部31と、を有する。このように構成される吸気バルブ27は、バルブヘッド30が気筒10の内部に収容された状態で、且つ、バルブステム29が吸気口12を挿通して気筒10の外部へ突出された状態で配置されている。
【0024】
バルブスプリング28は、吸気バルブ27を上方すなわち閉止側へ付勢する役割を果たす。このバルブスプリング28は、いわゆる圧縮バネであって、図2に示すように、吸気バルブ27の被押圧部31と内燃機関本体9との間に介在されている。
【0025】
押圧部材23は、一対のバルブスプリング28の付勢力に抗して、一対の吸気バルブ27を下方すなわち開放側へ押圧する役割を果たす。この押圧部材23は、図2に示すように、横向きに延びる横部材231と、縦向きに延びる縦部材232とを有する略T字形の部材である。このように構成される押圧部材23は、その縦部材232が一対の吸気バルブ27の間に配置され、その横部材231の一端部を一方の吸気バルブ27の被押圧部31に当接させ、且つ、他端部を他方の吸気バルブ27の被押圧部36に当接させるようにして配置される。
【0026】
ロッカーアームユニット24は、押圧部材23を下方へ押圧する役割を果たす。このロッカーアームユニット24は、図2に示すように、長手形状を有するロッカーアーム37と、ロッカーアーム37の中央部を貫通して設けられたロッカーアームシャフト38と、ロッカーアーム37の先端部に設けられた押圧力切替部39と、を有している。
【0027】
ロッカーアーム37は、図2に示すように、その基端部に固定して設けられたローラ40と、中央部に形成されたシャフト挿通穴41と、先端部に形成された雌ネジ孔42と、シャフト挿通穴41と雌ネジ孔42とを連通して形成された油路43と、を有している。このように構成されるロッカーアーム37は、その先端部を押圧部材23の上方に位置させるようにして設けられている。
【0028】
ロッカーアームシャフト38は、ロッカーアーム37を回転可能に支持する役割を果たす。このロッカーアームシャフト38は、図2に示すように、その内部を貫通して形成された空洞であるオイルギャラリー44と、このオイルギャラリー44とロッカーアーム37の油路43とを連通して形成された連通路45と、を有している。このように構成されるロッカーアームシャフト38は、ロッカーアーム37のシャフト挿通穴41に挿通されると共に、図に詳細は示さないが、その軸方向両端部が内燃機関本体9にそれぞれ固定されている。これにより、このロッカーアームシャフト38によってロッカーアーム37が回転可能に支持されている。
【0029】
押圧力切替部39は、押圧部材23に対する押圧力の付与または解除を切り替える役割を果たす。この押圧力切替部39は、図2に示すように、頭部46a及び軸部46bを貫通して油圧室47が形成されたネジ部材46と、油圧室47の一端開口を封止するようにねじ込まれた蓋部材48と、油圧室47の他端部に収容されて他端開口から出没自在に設けられたピストン部材49と、を有している。このように構成される押圧力切替部39は、そのネジ部材46の軸部46bが雌ネジ孔42に螺合されることにより、ロッカーアーム37の先端部に取り付けられる。このように構成される押圧力切替部39によれば、油圧室47に作動油Sが充填されている時は、作動油Sの油圧を受けたピストン部材49は、油圧室47の他端開口から外部へ突出した状態となる。一方、油圧室47から作動油Sが排出されると、作動油Sの油圧から解放されたピストン部材49は、油圧室47の内部に没入可能な状態となる。
【0030】
カムユニット25は、ロッカーアーム37を押圧して回転させる役割を果たす。このカムユニット25は、図2に示すように、所定のプロフィールを有する断面略卵形のカム本体51と、このカム本体51と一体的に形成されて回転駆動されるカムシャフト52と、を有している。このように構成されるカムユニット25は、そのカム本体51の外周面をロッカーアーム37のローラ40に当接させた状態で、ロッカーアーム37の基端部に配置されている。このように構成されるカムユニット25によれば、図2に示すように、カム本体51の外周面のうちで中心からの離間距離が最も小さいベース円部がローラ40に当接している時は、ロッカーアーム37は、その先端部が基端部よりも上方に位置することにより、傾斜した状態となる。一方、図3に示すように、カム本体51の回転に伴って、カム本体51の外周面のうちで中心からの離間距離が最も大きいカムノーズ部がローラ40に当接している時は、ロッカーアーム37は、その先端部と基端部とが略等しい高さに位置することにより、略水平な状態となる。
【0031】
作動油供給排出ユニット26は、押圧力切替部39の油圧室47に作動油Sを供給し、または油圧室47から作動油Sを排出する役割を果たす。この作動油供給排出ユニット26は、図2に示すように、ロッカーアームシャフト38のオイルギャラリー44に一端が接続して設けられた油流通路53と、この油流通路53における作動油Sの油圧を検出する油圧センサ54と、油流通路53の他端に接続された三方電磁弁55と、この三方電磁弁55に一端が接続された油供給路56と、この油供給路56に設けられて作動油Sの逆流を防止する逆止弁57と、油供給路56における逆止弁57より上流側に設けられて作動油Sを圧送するオイルポンプ58と、油供給路56の他端に設けられて作動油Sを格納可能なオイルパン59と、三方電磁弁55に一端が接続されて他端がオイルパン59に開放された油排出路60と、を有している。
【0032】
三方電磁弁55は、押圧力切替部39の油圧室47に対する作動油Sの供給または排出を切り替える役割を果たす。この三方電磁弁55は、図2に示すように、第一ポート551、第二ポート552、及び第三ポート553という三つのポートを有し、第一ポート551に対して油供給路56の一端が、第二ポート552に対して油流通路53の他端が、第三ポート553に対して油排出路60の一端が、それぞれ接続されている。ここで、図4は、第一実施形態の三方電磁弁55の通電状態と各ポートの開閉状態との関係を示す説明図である。三方電磁弁55が通電状態(ON)になると、第一ポート551が閉止されると共に、第二ポート552と第三ポート553とが開放される。これにより、第二ポート552に接続された油流通路53が、第三ポート553に接続された油排出路60に連通した状態となる。一方、三方電磁弁55が非通電状態(OFF)になると、第一ポート551と第二ポート552とが開放されると共に、第三ポート553が閉止される。これにより、第二ポート552に接続された油流通路53が、第一ポート551に接続された油供給路56に連通した状態となる。
【0033】
以上が吸気側の動弁装置7の構成である。一対の吸気口12、一対の吸気バルブユニット2、押圧部材23およびロッカーアームユニット24が気筒10毎に個々に設けられる一方、作動油供給排出ユニット26は全気筒10に対し共通とされる。従って作動油供給排出ユニット26による作動油Sの供給または排出は、全気筒10のロッカーアームユニット24のピストン部材49に対し一斉且つ同時に作用することになる。
【0034】
排気側の動弁装置61も吸気側の動弁装置7と同様に構成される。従って、排気側の動弁装置61についての詳細な説明は割愛する。前述の作動油供給排出ユニット26は、排気側の動弁装置61についても共通とされる。従って、作動油供給排出ユニット26による作動油Sの供給または排出は、吸気側の全気筒10のピストン部材49のみならず、排気側の全気筒10のピストン部材49に対しても、一斉且つ同時に作用することになる。
【0035】
本実施形態の内燃機関2はOHCエンジンであるが、これに限らず、例えばDOHCエンジンであってもよい。この場合も、作動油供給排出ユニット26を吸気側と排気側で共通とすることができる。
【0036】
本実施形態では、吸気側の動弁装置7と排気側の動弁装置61の両方に油圧作動式のピストン部材49を設けたが、吸気側の動弁装置7と排気側の動弁装置61の一方にピストン部材49を設けてもよい。すなわち両者のうちの一方は通常の構成の動弁装置とすることが可能である。
【0037】
図1に戻って、制御装置8は、各種センサ等から検出結果を取得し、それに基づいて各部の動作を制御する役割を果たす。この制御装置8は、動弁装置7,61や、内燃機関2の燃料噴射装置11や、EGR装置5のEGRバルブ16や、各所に設置された不図示のセンサ等に対して電気的に接続されている。
【0038】
(第一実施形態に係る内燃機関システムによる動弁処理の流れ、及び作用効果)
次に、第一実施形態に係る内燃機関システム1による動弁処理の流れ、及びその作用効果について説明する。なお、以下では主に吸気側についてのみ述べるが、排気側でも同様である。
【0039】
まず、内燃機関2の始動時における動弁処理の流れについて説明する。図5は、内燃機関2の始動時における動弁処理の流れを示すフローチャートである。内燃機関2の始動時における動弁処理が開始されると、制御装置8は、まず内燃機関システム1の使用者すなわち車両の搭乗者が車両のキースイッチをON状態にしたか否か、すなわち搭乗者が内燃機関2の始動命令を発したか否かを判定する(S1)。その結果、搭乗者が内燃機関2の始動命令を未だ発していないと判断した場合(S1:No)、制御装置8は、ステップS1へ戻り、搭乗者が内燃機関2の始動命令を発するまで待機する。
【0040】
一方、ステップS1における判定の結果、搭乗者が内燃機関2の始動命令を発したと判断した場合(S1:Yes)、制御装置8は、図2に示す三方電磁弁55を初期状態すなわち非通電状態(OFF)に維持する(S2)。これにより、三方電磁弁55では、上述のように、第二ポート552に接続された油流通路53が、第一ポート551に接続された油供給路56に連通した状態となる。
【0041】
次に、制御装置8は、図2に示す油供給路56に設けられたオイルポンプ58を駆動する(S3)。本実施形態のオイルポンプ58は、電動式である。これにより、オイルパン59に格納された作動油Sが、オイルポンプ58によって油供給路56を下流側へ圧送される。そして、この作動油Sは、油供給路56の逆止弁57と三方電磁弁55を通過し、ロッカーアームシャフト38のオイルギャラリー44に送り込まれる。更に、この作動油Sは、ロッカーアームシャフト38の連通路45及びロッカーアーム37の油路43を経て、押圧力切替部39の油圧室47に充填される。これにより、油圧室47における作動油Sの油圧が徐々に上昇し、油圧室47の内部に収納されていたピストン部材49が、油圧の上昇に伴って油圧室47の開口から外部へ徐々に突出していく。
【0042】
次に、制御装置8は、図2に示す油流通路53に設けられた油圧センサ54から作動油Sの油圧を取得する(S4)。そして、取得した作動油Sの油圧が所定の始動閾値P1以上であるか否かを判定する(S5)。その結果、作動油Sの油圧が始動閾値P1に達していない、すなわちピストン部材49が未だ十分に油圧室47の外部へ突出していないと判断した場合(S5:No)、制御装置8は、ステップS4へ戻り、油圧の取得を繰り返し行う。なお、始動閾値P1としては、バルブスプリング28の付勢力に打ち勝って押圧部材23を押圧し、吸気バルブ27をカム位相に応じたリフト位置に位置させ得る程度にピストン部材49が油圧室47の外部へ突出した時における、油圧室47の油圧値を設定すればよい。
【0043】
一方、ステップS4における判定の結果、作動油Sの油圧が始動閾値P1に達した、すなわちピストン部材49が油圧室47の外部へ十分に突出したと判断した場合(S5:Yes)、制御装置8は、不図示のスターターモータを駆動する(S6)。これにより、図2に示すカムシャフト52及びそれに一体形成されたカム本体51が、スターターモータによって回転駆動される。そうすると、カム本体51に押圧されたロッカーアーム37が、ロッカーアームシャフト38の周りに回転する。そして、ロッカーアーム37が図2に示す傾斜した状態から図3に示す略水平な状態まで回転することに伴って、その先端部から既に突出しているピストン部材49が、押圧部材23を下方へ押圧する。これにより、この押圧部材23が、バルブスプリング28の付勢力に抗して、吸気バルブ27を下方へ押圧する。これにより、吸気バルブ27が降下し、その先端部に設けられたバルブヘッド30が吸気口12から離間することにより、吸気口12は開放された状態となる。
【0044】
そして、このように吸気口12がカム位相に応じて通常通り開閉する状態において、制御装置8は、図1に示す燃料噴射装置11による気筒10の内部への燃料噴射を開始させる。これにより、内燃機関2が始動される。以上により、内燃機関2の始動時における動弁処理が終了する。
【0045】
次に、内燃機関2の停止時における動弁処理の流れについて説明する。図6は、内燃機関2の停止時における動弁処理の流れを示すフローチャートである。内燃機関2の停止時における動弁処理が開始されると、制御装置8は、まず車両の搭乗者が車両のキースイッチをOFF状態にしたか否か、すなわち搭乗者が内燃機関2の停止命令を発したか否かを判定する(S8)。その結果、搭乗者が内燃機関2の停止命令を未だ発していないと判断した場合(S8:No)、制御装置8は、ステップS8へ戻り、搭乗者が内燃機関2の停止命令を発するまで待機する。
【0046】
一方、ステップS8における判定の結果、搭乗者が内燃機関2の停止命令を発したと判断した場合(S8:Yes)、制御装置8は、燃料噴射装置11から気筒10への燃料噴射を停止させる(S9)。これにより、内燃機関2が停止する。そして、制御装置8は、図2に示す三方電磁弁55を通電状態(ON)にする(S10)。これにより、三方電磁弁55では、上述のように、第二ポート552に接続された油流通路53が、第三ポート553に接続された油排出路60に連通した状態となる。そして、制御装置8は、ステップS3において駆動したオイルポンプ58を停止させる(S11)。
【0047】
そうすると、油流通路53が油排出路60に連通することにより、図7に示すように、油流通路53を流れる作動油Sが、三方電磁弁55を通って油排出路60からオイルパン59へ排出される。これに伴い、押圧力切替部39の油圧室47に充填されていた作動油Sが、ロッカーアーム37の油路43へ流出し、この作動油Sはロッカーアームシャフト38の連通路45を経て、オイルギャラリー44に流入する。更に、この作動油Sは、オイルギャラリー44から油流通路53へ流出し、三方電磁弁55を通って油排出路60へ流入した後、油排出路60の他端開口から排出されてオイルパン59に格納される。
【0048】
このように、押圧力切替部39の油圧室47から作動油Sが流出することにより、油圧室47では作動油Sの油圧が低下し始める。これにより、図3に示すように油圧室47の開口から突出していたピストン部材49は、油圧室47の油圧低下に伴って、バルブスプリング28に付勢されることにより、図7に示すように油圧室47の内部へ徐々に没入する。
【0049】
そうすると、吸気バルブ27は、押圧部材23を介してピストン部材49から受けていた下向きの押圧力から解放されるため、バルブスプリング28から受ける上向きの付勢力を受けることにより、それぞれ上昇を開始する。
【0050】
その後、制御装置8は、油流通路53に設けられた油圧センサ54から作動油Sの油圧を取得する(S12)。そして、取得した作動油Sの油圧が所定の排出閾値P2以下まで降下したか否かを判定する(S13)。その結果、作動油Sの油圧が排出閾値P2以下まで降下していない、すなわちピストン部材49が未だ十分に油圧室47の内部へ没入していないと判断した場合(S13:No)、制御装置8は、ステップS12へ戻り、油圧の取得を繰り返し行う。なお、排出閾値P2としては、バルブヘッド30が吸気口12に密着してこれを閉止させる位置まで吸気バルブ27が上昇した時における、油圧室47の油圧値を設定すればよい。
【0051】
一方、ステップS13における判定の結果、作動油Sの油圧が排出閾値P2以下まで降下したと判断した場合(S13:Yes)、制御装置8は、ピストン部材49が油圧室47の内部へ十分に没入し、吸気バルブ27が吸気口12を完全に閉止させたと判断し、油圧室47からの作動油Sの排出を停止させる。具体的には、制御装置8は、ステップS10で通電状態とした三方電磁弁55を非通電状態(OFF)にする(S14)。これにより、三方電磁弁55の第2ポートに接続された油流通路53が、その第一ポート551に接続された油供給路56に連通した状態に切り替わり、逆止弁57の存在により、油圧室47からの作動油Sの排出が停止する。
【0052】
このように、本実施形態では、内燃機関2の停止時に、全ての気筒10において吸気口12が常に閉止した状態となっているため、図1に示すEGR装置5の内部に残留した強い酸化力を有するEGRガスが内燃機関2の停止後にEGR通路14から吸気通路3へ流入しても、このEGRガスが吸気口12を通って気筒10の内部へ流入することがない。従って、気筒10の内部に設けられた燃料噴射装置11等がEGRガスに酸化されることで腐食することを、未然に防止することができる。
【0053】
また、本実施形態では、内燃機関2の停止時に、油圧室47における作動油Sの油圧が排出閾値P2以下まで降下したことを検知した時に、油圧室47からの作動油Sの排出を停止する。これにより、内燃機関2の始動命令が次回発せられた時に、図2に示す制御装置8がオイルポンプ58を再起動させることにより、オイルパン59に格納された作動油Sがオイルポンプ58によって油圧室47へ向けて圧送されるが、油圧室47の内部には上記の油圧が残留しているので、油圧室47の油圧が所定の始動閾値P1(>排出閾値P2)に到達するまでの時間を短縮することができるという利点がある。
【0054】
このような三方電磁弁55の制御によれば、内燃機関2の駆動中は三方電磁弁55が非通電状態で維持され、油圧室47に作動油Sが充填されることにより、油圧室47からピストン部材49が突出した状態で保持される。一方、内燃機関2の停止命令が発せられると、三方電磁弁55が短時間だけ通電状態とされ、油圧室47から作動油Sが流出することにより、ピストン部材49が油圧室47の内部に没入する。従って、内燃機関2の駆動中は三方電磁弁55が通電状態で維持され且つ内燃機関2の停止時に三方電磁弁55が非通電状態とされる別の三方電磁弁55の制御と比較して、その通電時間を短縮することができる。これにより、内燃機関システム1の省電力化を図ることができるという利点がある。
【0055】
(第二実施形態に係る内燃機関システムの構成)
次に、本発明の第二実施形態に係る内燃機関システム70について説明する。図8は、第二実施形態の動弁装置71を示す概略断面図である。本実施形態に係る内燃機関システム70は、第一実施形態に係る内燃機関システム1と比較して、動弁装置71の構成、より詳細には動弁装置71の作動油供給排出ユニット72の構成だけが異なっている。なお、それ以外の内燃機関システム70の構成は、第一実施形態に係る内燃機関システム1と同じであるため、図1と同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0056】
本実施形態の作動油供給排出ユニット72は、第一実施形態の作動油供給排出ユニット26と比較すると、第一実施形態の三方電磁弁55に代えて、油排出路60を開放または閉止させる二方電磁弁73を有する点で異なっている。なお、それ以外の作動油供給排出ユニット72の構成は、第一実施形態の作動油供給排出ユニット26と同じであるため、図2と同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0057】
二方電磁弁73は、図8に示すように、第一ポート731及び第二ポート732という二つのポートを有し、第一ポート731に対して油流通路53が接続されると共に、第二ポート732に対して油排出路60が接続されている。また、油流通路53から分岐して、油供給路56が設けられている。そして、二方電磁弁73が通電状態(ON)になると、第一ポート731と第二ポート732が共に開放されることにより、油流通路53が油排出路60に連通した状態となる。なおこの時、油流通路53から油供給路56に向かう作動油Sの流れは、油供給路56に設けられた逆止弁57によって禁止されている。
【0058】
一方、二方電磁弁73が非通電状態(OFF)になると、第一ポート731と第二ポート732が共に閉止されることにより、油排出路60が閉止される。これにより、油流通路53が油供給路56に連通した状態となる。
【0059】
このような二方電磁弁73によれば、内燃機関2の駆動中は二方電磁弁73が非通電状態で維持され、油圧室47に作動油Sが充填されることにより、油圧室47からピストン部材49が突出した状態で保持される。一方、内燃機関2の停止命令が発せられると、二方電磁弁73が通電状態とされ、油圧室47から作動油Sが流出することにより、第一実施形態の図7と同様に、ピストン部材49が油圧室47の内部に没入する。
【0060】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る内燃機関システム1によれば、内燃機関2の停止命令が発せられると、内燃機関2の停止時に、全ての気筒10において吸気口12及び排気口13が閉止した状態となる。従って、その後にEGR装置5の内部に残留した強い酸化力を有するEGRガスが内燃機関2の停止後にEGR通路14から吸気通路3及び排気通路4へ流入しても、このEGRガスが吸気口12や排気口13を通って気筒10の内部へ流入することがない。これにより、気筒10の内部に設けられた燃料噴射装置11等がEGRガスに酸化されることで腐食することを、未然に防止することができる。
【0061】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態としては以下に示すような変形例も考えられる。
【0062】
(1) 本実施形態では、ロッカーアーム37に取り付けた押圧力切替部39の内部に油圧室47を形成したが、ロッカーアーム37自体の先端部に油圧室47を形成してもよい。
【0063】
(2) 本実施形態では、油圧室47に作動油Sを供給しまたは油圧室47から作動油Sを排出させる手段として、三方電磁弁55または二方電磁弁73を備えた作動油供給排出ユニット26または作動油供給排出ユニット72を用いたが、これに代えて、従来公知の任意の手段を用いることにより、油圧室47に作動油Sを供給しまたは油圧室47から作動油Sを排出させることも可能である。
【0064】
(3) 本実施形態では、油圧室47における作動油Sの油圧が所定の排出閾値P2以下まで降下したことを検知した時に、油圧室47からの作動油Sの排出を停止させた。しかし、油圧が0になるまで油圧室47から作動油Sを排出する、すなわち油圧室47に充填された作動油Sの全てを外部に排出させてもよい。
【0065】
(4) 第一実施形態では、三方電磁弁55が非通電状態(OFF)になった時に、油流通路53を油供給路56に連通させる一方、三方電磁弁55が通電状態(ON)になった時に、油流通路53を油排出路60に連通させた。しかし、これとは逆に、三方電磁弁55が非通電状態(OFF)になった時に、油流通路53を油排出路60に連通させる一方、三方電磁弁55が通電状態(ON)になった時に、油流通路53を油供給路56に連通させてもよい。詳細には、図9に示すように、三方電磁弁55が通電状態(ON)になった時に、第一ポート551と第二ポート552を開放させ、第三ポート553を閉止させる。一方、三方電磁弁55が非通電状態(OFF)になった時に、第一ポート551を閉止させ、第二ポート552と第三ポート553を開放させる。
【符号の説明】
【0066】
1、70 内燃機関システム
2 内燃機関
5 EGR装置
7、61、71 動弁装置
8 制御装置
12 吸気口(吸排気口)
13 排気口(吸排気口)
27 吸気バルブ(吸排気バルブ)
28 バルブスプリング
32 排気バルブ(吸排気バルブ)
37 ロッカーアーム
47 油圧室
49 ピストン部材
53 油流通路
55 三方電磁弁
56 油供給路
57 逆止弁
58 オイルポンプ
60 油排出路
73 二方電磁弁
P1 始動閾値
P2 排出閾値
S 作動油
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9