(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859891
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】巡視点検システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20210405BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20210405BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20210405BHJP
G08B 29/00 20060101ALI20210405BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20210405BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/00 300
G08B21/00 A
G08B29/00 A
G08B25/10 A
H02J13/00 301A
H02J13/00 301K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-153017(P2017-153017)
(22)【出願日】2017年8月8日
(65)【公開番号】特開2019-32684(P2019-32684A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 徹
(72)【発明者】
【氏名】三谷 健太
【審査官】
大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−170400(JP,A)
【文献】
特開2001−034615(JP,A)
【文献】
特開2012−088907(JP,A)
【文献】
特開2012−123759(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0157746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G08B 21/00
G08B 25/10
G08B 29/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末が通信網を介して管理サーバに接続され、前記情報端末と前記管理サーバとの間で通信を行うことにより、前記情報端末で取集したデータを前記管理サーバへ送信し格納する巡視点検システムであって、
前記情報端末は、表示部と、GPS機能と、前記表示部に表示されている画像を解析する画像解析手段と、電柱の位置情報及び電柱番号を含む電柱用マスタデータを格納する記憶部と、を有すると共に、360度カメラ、及び、異常感知センサに接続可能であり、
前記情報端末は、さらに、
前記GPS機能により取得した情報に基づいて検出された前記情報端末の位置情報と、前記360度カメラによって撮影された画像データから前記画像解析手段により解析された画像中の電柱に関する情報とに基づき、通過しようとする電柱の位置を特定し、前記電柱用マスタデータとの照合により、前記通過しようとする電柱の電柱番号を特定する電柱番号特定手段と、
前記通過しようとする電柱に設置されている点検対象設備を前記画像解析手段により自動判別する設備自動判別手段と、
前記設備自動判別手段によって自動判別された前記点検対象設備に対して、前記異常感知センサの検出結果に基づき異常の有無を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段によって前記電柱の点検対象設備に異常があると判定された場合に、その電柱の点検対象設備に対して収集入力された点検データをその電柱の電柱番号及び前記点検対象設備の種別と関連付けて点検結果として前記記憶部に格納し、前記異常判定手段によって前記電柱の点検対象設備に異常がないと判定された場合に、その電柱を通過した時点で異常がないことをその電柱の電柱番号と関連付けて点検結果として前記記憶部に自動的に格納する点検結果格納処理手段と、
前記360度カメラで撮影された画像データを撮影時の位置情報と関連付けて前記記憶部に格納する画像格納処理手段と、
巡視終了の指示を受けて、前記記憶部に格納されている前記点検結果と、撮影時の位置情報と関連付けられた前記画像データとを前記管理サーバに送信して該管理サーバに格納させる巡視結果送信手段と、
を具備することを特徴とする巡視点検システム。
【請求項2】
前記異常感知センサは、サーモカメラ、及び、指向性マイクを含み、前記異常判定手段は、前記サーモカメラによる検出結果が異常値である場合、及び、前記指向性マイクによる検出結果が異常値である場合の少なくとも一方を満たした場合に異常と判定するものであることを特徴とする請求項1記載の巡視点検システム。
【請求項3】
前記異常判定手段により異常があると判定された場合に、前記情報端末のアラーム発生源を駆動させると共に前記表示部に表示される異常がある前記点検対象設備を強調表示する異常通知手段を更に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の巡視点検システム。
【請求項4】
前記設備自動判別手段は、前記画像解析手段により前記電柱に前記点検対象設備以外の異物があるか否かをも判別し、前記異常通知手段は、前記設備自動判別手段によって前記電柱に前記点検対象設備以外の異物があることを判別した場合に、前記情報端末のアラーム発生源を駆動させると共に前記表示部に表示される前記異物を強調表示することを特徴とする請求項3に記載の巡視点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、巡視経路上の複数の電柱や配電設備の巡視点検を効率良く行うと共に、巡視点検作業をより確実に行うことが可能な巡視点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送配電設備においては,点検・巡視を定期的に実施しながら設備の状態を把握するようにしており、従来においては、電柱単位で、異常の有無や、異常個所の情報を収集し、タブレット端末等の情報端末から手入力でシステム登録するとともに,巡視終了後にまとめて電柱毎に巡視完了のシステム登録を行っている。
【0003】
このため、巡視点検後のシステム登録作業に手間がかかるものであり、また、巡視結果の登録作業は、担当者任せとなるため、経験のすくない担当者が単独で巡視点検を行う機会もあることから、異常個所の見落としや、誤登録された場合でも責任者による事後のチェックができ難いものであった。
【0004】
そこで、従来においては、PDAを使って必要な情報を参照しながら、現場で電柱、電線の点検を行った結果を入力し、点検業務の効率化と精度向上を図るようにした巡視システムも提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
"配電ITシステム 九州電力株式会社"、[online]、SOAプラットフォーム Cosminexus、[平成 29年 7 月 3 日検索]、インターネット〈URL:http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/casestudy/contents/kyuden/kyuden.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、定期的に行う巡視点検作業においては、多数の電柱や配電設備を点検する作業が必要となるが、従来の巡視システムにおいては、異常がない電柱に対しても電柱単位で作業者が点検結果を逐一入力する必要があり、依然として手間がかかるものであり、必ずしも効率的な作業が行えるものではなかった。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、多数の電柱や配電設備の巡視点検作業を効率的に行うことができ、また、巡視点検結果を事後においてもチェックすることができ、経験の少ない作業者においても各種センサーや画像の診断技術を活用し、巡視点検作業をより確実に行うことが可能な巡視点検システムを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係る巡視点検システムは、情報端末が通信網を介して管理サーバに接続され、前記情報端末と前記管理サーバとの間で通信を行うことにより、前記情報端末で取集したデータを前記管理サーバへ送信し格納するシステムであって、前記情報端末は、表示部と、GPS機能と、前記表示部に表示されている画像を解析する画像解析手段と、電柱の位置情報及び電柱番号を含む電柱用マスタデータを格納する記憶部と、を有すると共に、360度カメラ、及び、異常感知センサに接続可能であり、前記情報端末は、さらに、前記GPS機能により取得した情報に基づいて検出された前記情報端末の位置情報と、前記360度カメラによって撮影された画像データから前記画像解析手段により解析された画像中の電柱に関する情報とに基づき、通過しようとする電柱の位置を特定し、前記電柱用マスタデータとの照合により、前記通過しようとする電柱の電柱番号を特定する電柱番号特定手段と、前記通過しようとする電柱に設置されている点検対象設備を前記画像解析手段により自動判別する設備自動判別手段と、前記設備自動判別手段によって自動判別された前記点検対象設備に対して、前記異常感知センサの検出結果に基づき異常の有無を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段によって前記電柱の点検対象設備に異常があると判定された場合に、その電柱の点検対象設備に対して収集入力された点検データをその電柱の電柱番号及び前記点検対象設備の種別と関連付けて点検結果として前記記憶部に格納し、前記異常判定手段によって前記電柱の点検対象設備に異常がないと判定された場合に、その電柱を通過した時点で異常がないことをその電柱の電柱番号と関連付けて点検結果として前記記憶部に自動的に格納する点検結果格納処理手段と、前記360度カメラで撮影された画像データを撮影時の位置情報と関連付けて前記記憶部に格納する画像格納処理手段と、
巡視終了の指示を受けて、前記記憶部に格納されている前記点検結果と、撮影時の位置情報と関連付けられた前記画像データとを前記管理サーバに送信して該管理サーバに格納させる巡視結果送信手段と、を具備することを特徴としている。
【0009】
ここで、情報端末としては、車両に搭載されているカーナビゲーションや、スマートフォン、タブレット端末などの携帯情報端末など、GPS機能や、前記表示部に表示されている画像を解析する画像解析機能、電柱の位置情報及び電柱番号を含む電柱用マスタデータを格納する記憶部、を有するものであれば、特にこだわるものではない。
また、360度カメラと異常感知センサは一体化したものであっても、別体のものであってもよい。
【0010】
したがって、このようなシステムにおいては、車両に搭載された情報端末、又は、作業者が所有する情報端末に360度カメラや異常感知センサを接続して、巡視ルートを走行又は歩行すると、電柱番号特定手段によって、通過しようとする電柱に対して、その位置が特定されて電柱番号が特定され、設備自動判別手段によってその電柱に設置されている点検対象設備が自動判別され、異常判定手段によって、自動判別された点検対象設備の異常の有無が判定され、点検結果格納処理手段によって、点検結果が記憶部に格納される。そして、巡視ルートの各電柱に対して点検結果を収集した後に、巡視終了の指示を受けると、巡視結果送信手段によって、記憶部に格納されていた点検結果が管理サーバに送信されて格納されると共に、360度カメラによって撮影された画像が撮影時の位置情報と関連付けられた状態で管理サーバに送信される。このため、巡視点検作業者は、多くの作業を要せずに巡視点検作業を終えることが可能となり、作業者の能力に依存する作業を少なくできるため、経験の少ない作業者においても各種センサーや画像の診断技術を活用し、巡視点検作業をより確実に行うことが可能となる。また、事後において、巡視ルートの各位置での画像を参照しながら点検結果を確認することが可能となるので、事後の責任者による確認も容易となる。
【0011】
なお、前記異常感知センサは、サーモカメラ、及び、指向性マイクを含み、前記異常判定手段は、前記サーモカメラによる検出結果が異常値である場合、及び、前記指向性マイクによる検出結果が異常値である場合の少なくとも一方を満たした場合に異常と判定するものであってもよい。
【0012】
また、前記異常判定手段により異常があると判定された場合に、異常が存在することや異常箇所を確実に把握させるために、記情報端末のアラーム発生源を駆動させると共に前記表示部に表示される異常がある前記点検対象設備を強調表示する異常通知手段を更に設けるようにしてもよい。
【0013】
さらに、前記設備自動判別手段は、前記画像解析手段により前記電柱に前記点検対象設備以外の異物があるか否かをも判別し、前記異常通知手段は、前記設備自動判別手段によって前記電柱に前記点検対象設備以外の異物があることを判別した場合に、前記情報端末のアラーム発生源を駆動させると共に前記表示部に表示される前記異物を強調表示するようにしてもよい。このような構成によれば、配電設備の異常の有無を点検するだけでなく、鳥類の栄巣やその材料となる枝や金属物の存在を作業者に把握させて対応させることも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、巡視ルートを走行又は歩行すれば、通過しようとする電柱に対して、その位置が特定されると共に電柱番号が特定され、その電柱の設備を自動判別して異常の有無が判定され、巡視が終了した時点においては、点検結果と巡視ルート上の位置情報が関連付けられた360度カメラによって撮影された画像とが管理サーバに送信されるので、巡視点検作業者は、多くの作業を要せずに巡視点検作業を終えることが可能となる。
特に、電柱の点検対象設備に異常がないと判定された場合には、電柱を通過した時点で異常がないことをその電柱の電柱番号と関連付けて自動的に記憶部に格納されるので、異常がない電柱に対しても、点検結果を逐一入力する手間が不要となり、作業者の作業労力を大幅に低減することが可能となる。
また、上述の巡視点検システムによれば、作業者の能力に依存する作業を少なくできるため、点検結果の信頼性を確保することが可能となる。さらに、巡視ルートの各位置での画像も管理サーバに格納されるので、事後においてそれを参照しながら点検結果を確認することが可能となり、責任者による確認も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係る巡視点検システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、情報端末での処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、巡視点検を行うイメージを説明する図であり、(a)は、車両で走行しながら、又は、歩行しながら、順次移動している際に、車両に搭載された360度カメラ、又は、点検者が所持する360度カメラで撮影された電柱がカーナビゲーションのモニタやタブレット端末の表示部に表示されている状態を示す図であり、(b)は、車両の走行させながら、道路の両脇にある電柱を点検するイメージを説明する図である。
【
図4】
図4は、記憶部に格納される点検結果の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0017】
図1において、本発明に係る巡視点検システムの全体構成が示されている。
巡視点検システムは、VPN(仮想プライベートネットワーク)1を介して、会社内の管理サーバ2に接続された情報端末3を備えて構成されている。
【0018】
管理サーバ2は、巡視点検の点検結果情報を格納する巡視点検データベース10や、電柱の位置情報を電柱番号などと関連付けて格納する電柱データベース11、各電柱に設置されている配電設備を電柱番号などと関連付けて格納する配電設備データベース12等を具備する。
【0019】
情報端末3としては、車両に搭載されたカーナビゲーション3aや点検者が所有するスマートフォンやタブレット、巡視点検用モバイル(PDA)等のモバイル端末3bである。この情報端末3は、表示部31と、GPS信号を受信して現在位置を検出するGPS機能32と、表示部31に表示されている画像を解析する画像解析部33と、電柱の位置情報及び電柱番号を含む電柱用マスタデータ等を格納する記憶部34と、を有する。
【0020】
また、情報端末3は、360度カメラ35、及び、サーモカメラ36aや指向性マイク36bなどの異常感知センサ36と接続されている(例えば、情報端末3としてタブレットを用いる場合であれば、異常感知センサ36のタブレット挿入端子をタブレットに挿入接続する)。異常感知センサ36は、360度カメラ35に一体化されたものであっても、別々のものであってもよい。
【0021】
このような情報端末3は、表示部31に表示される通過しようとする電柱の電柱番号を特定する電柱番号特定部37と、表示部に表示されている電柱に設置された点検対象設備を自動判別する設備自動判別部38と、その点検対象設備の異常の有無を判定する異常判定部39と、アラーム発生源40と、異常がある場合にアラーム発生源を駆動させると共に表示部31に異常箇所が分かるように表示する異常通知部41と、点検対象設備の異常の有無に応じて点検結果を記憶部34に格納する点検結果格納処理部42と、360度カメラで撮影された画像データを記憶部34に格納する画像格納処理部43と、記憶部34に格納された点検結果や360度カメラ35で撮影された画像データを管理サーバ2へ送信する巡視結果送信部44とを備えている。
【0022】
電柱番号特定部37は、GPS機能によって把握される情報端末3の位置情報と、360度カメラ35によって撮影された画像データから画像解析部33により解析された画像中の電柱に関する情報(方位、距離など)とに基づき、通過しようとする電柱の位置を特定し、記憶部34に格納されている電柱用マスタデータとの照合により、通過しようとする電柱の電柱番号を特定する。
【0023】
設備自動判別部38は、通過しようとする電柱に設置されている点検対象設備を画像解析部33により自動判別する。この際、管理サーバ2の配電設備データベース12に格納されている対象電柱の設備データと照合して、点検対象となる設備を特定するようにしてもよい。また、設備自動判別部38は、画像解析部33によって電柱に点検対象設備以外の異物があるか否かをも判別する。
【0024】
前記異常判定部39は、自動判別された点検対象設備に対して、異常感知センサ36の検出結果に基づき異常があるか否かを判定するもので、例えば、サーモカメラ36aによる検出結果が異常値である場合、及び、指向性マイク36bによる検出結果が異常値である場合の少なくとも一方を満たした場合に異常と判定する。
【0025】
アラーム発生源40は、機械式音源、電子音源、発光源、及び振動源の何れか、又は、組み合わせで構成されるものであってもよい
【0026】
異常通知部41は、異常判定部39により異常があると判定された場合に、アラーム発生源40を駆動させると共に表示部31に表示される異常がある点検対象設備の部分に赤枠を表示させる等の強調表示を行う。また、異常通知部41は、設備自動判別部38によって電柱に点検対象設備以外の異物があることを判別した場合にも、アラーム発生源40を駆動させると共に表示部31に表示される異物の部分に赤枠を表示させる等の強調表示を行う。
【0027】
点検結果格納処理部42は、異常判定部39によって電柱の点検対象設備に異常があると判定された場合に、その電柱の点検対象設備に対して収集入力された点検データをその電柱の電柱番号、及び、設備の種別と関連付けて点検結果として記憶部34に格納する。また、異常判定部39によって電柱の点検対象設備に異常がないと判定された場合に、その電柱を通過した時点で異常がないことをその電柱の電柱番号と関連付けて点検結果として記憶部34に自動的に格納する。
【0028】
画像格納処理部43は、360度カメラ35で撮影された画像データを巡視ルート上での撮影時の位置情報と関連付けて記憶部34に格納する。
【0029】
巡視結果送信部44は、情報端末3が作業者からの音声又は操作により巡視終了の指示を受けると、記憶部34に格納されている点検結果と位置情報と関連付けられた画像データとを管理サーバ2に送信して該管理サーバ2に格納させる。
【0030】
このような構成において、情報端末3は、
図2に示すような処理を行う。
先ず、巡視経路上の点検対象電柱を情報端末3の画面を操作する等によりセットし、巡視開始を音声又は情報端末上の画面で巡視開始の指示を行う(ステップ50)。
【0031】
これを受けて情報端末3は、GPS機能により取得した情報に基づいて検出された情報端末3の位置情報と、360度カメラ35によって撮影された画像データから画像解析部33により解析された画像中の電柱に関する情報(方位、距離など)とに基づき、通過しようとする電柱の位置を特定し(ステップ52)、前記電柱用マスタデータとの照合により、通過しようとする電柱の電柱番号を特定する(ステップ54)。
【0032】
また、通過しようとする画面に表示された電柱に設置されている点検対象設備を画像解析部33によって自動判別し、この認識された点検対象設備を枠で囲んで画面表示する(ステップ56)。このステップにおいては、画像解析部33によって電柱に点検対象設備以外の異物があるか否かをも判別し、異物が認識された場合には、その異物を枠で囲んで画面表示する処理も行う。
【0033】
その後、自動判別された点検対象設備に対して、異常感知センサ36(サーモカメラ36a、指向性マイク36b)によって得られた検出結果に基づき異常があるか否かを判定する(ステップ58)。この異常判定は、サーモカメラ36aによる検出結果が異常値である場合、及び、指向性マイク36bによる検出結果が異常値である場合の少なくとも一方を満たした場合に異常と判定する。
【0034】
そして、ステップ58において、点検対象設備に異常があると判定された場合には、情報端末3のアラーム発生源40を駆動させて警報音を鳴動させると共に、異常がある点検対象設備を赤枠で囲んで強調表示し(ステップ60)、巡視点検を中断させ、その電柱の点検対象設備を点検する点検フェーズに入る(ステップ62)。
また、ステップ58において、電柱に点検対象設備以外の異物があると判別した場合においても、情報端末3のアラーム発生源40を駆動させて警報音を鳴動させると共に、異物を赤枠で囲んで強調表示し(ステップ60)、巡視点検を中断させて、点検フェーズに入る(ステップ62)。
【0035】
さらに、異常感知センサ36により異常がないと判定された場合には、作業員の目視での異常発見による巡視の中断要請があるか否かが判定され(ステップ64)、巡視の中断要請が音声又は画面上の操作でなされると、同様に巡視点検を一旦中断し、その電柱の点検対象設備を点検する点検フェーズに入る(ステップ62)。
【0036】
点検対象設備の点検フェーズは、点検対象設備をセットし、夫々の点検対象設備に対して異常の有無を確認し、異常や異物がある設備に対しては、その設備の写真を撮影すると共に、サーモカメラによるサーモ画像を撮影し、点検者のコメントと共に設備の種別と電柱番号とを関連付けて記憶部に点検結果として格納し、異常がない設備に対しては、異常なしの情報を設備の種別と電柱番号とを関連付けて記憶部34に点検結果として格納する(ステップ66)。
そして、夫々の点検対象設備の点検作業が終わり、設備の点検終了の指示が音声又は画面上の操作でなされると(ステップ68)、警報音を停止してその電柱を点検済とするために電柱の消し込みを行い、巡視を再開する(ステップ70)。
【0037】
また、ステップ58により、異常感知センサ36による検出結果に異常がないと判定され、且つ、ステップ64により、点検者による目視での異常発見による中断要請もない場合には、通過した電柱(両側に電柱がある場合には、通過した両側の電柱)に対して、異常なしの電柱として消し込みを行い、異常なしとする点検結果を電柱番号と関連づけて記憶部34に自動的に格納する(ステップ72)。
【0038】
以上の処理は、
図3に示されるように、巡視点検ルートを車両を走行させながら、又は、点検者自身が歩行しながら、順次電柱100を認識させて行われ(道路の両側に電柱がある場合には、通過しようとする両側の電柱100を認識させて行われ)、異常がなければ、異常なしの点検結果が電柱単位で自動的に順次収集され、異常が発見されれば、その電柱の箇所で一旦停止して点検対象設備の点検結果を設備単位で収集する。
したがって、記憶部34に格納された点検結果は、例えば、
図4に示されるようなデータ構造として格納される。
【0039】
そして、以上の操作を巡視点検ルート上の脇に設置されている全ての電柱に対して行い、巡視ルートを走行又は歩行し終えて巡視終了指示を音声又は画面上の操作で行うと(ステップ74)、記憶部34に格納されている
図4に示す点検結果が管理サーバ2へ送信され、また、記憶部34に格納されている360度カメラの撮影画像が巡視ルート上での撮影時の位置情報と関連づけられた状態で管理サーバ2へ送信される。そして、管理サーバ2は、これを受けて点検結果や撮影画像を、巡視点検データベース10に格納し、いつでも閲覧できる状態とする(ステップ76)。
【0040】
したがって、以上の巡視点検システムによれば、車両に搭載された情報端末3(カーナビゲーション3a)、又は、作業者が所有する情報端末3(モバイル端末3b)に360度カメラ35や異常感知センサ36を接続して、巡視ルートを走行又は歩行すると、通過しようとする電柱に対して、その位置が特定されて電柱番号が特定される。また、その電柱に設置されている点検対象設備が自動判別され、異常感知センサ36による検出結果に基づき、電柱の点検対象設備の異常の有無が判定され、判定結果に応じて点検結果が記憶部34に格納される。
【0041】
すなわち、異常があると判定された場合には、その電柱の点検対象設備に対して収集入力された点検データがその電柱の電柱番号及び点検対象設備の種別と関連付けて点検結果として記憶部34に格納され、異常がないと判定された場合には、その電柱を通過した時点で異常がないことをその電柱の電柱番号と関連付けて点検結果として記憶部34に自動的に格納される。
【0042】
そして、巡視ルートの各電柱に対して点検結果を収集した後に、巡視終了の指示を受けると、記憶部34に格納されていた点検結果が管理サーバ2に送信されて格納されると共に、360度カメラ35によって撮影された画像が撮影された位置情報と関連付けられた状態で管理サーバ2に送信格納される。
【0043】
したがって、巡視点検作業者は、多くの作業を要せずに巡視点検作業を終えることが可能となり、特に、異常がないと判定された電柱に対しては、自動的に消込みがなされるので、作業労力を大幅に低減することが可能になると共に、作業者の能力に依存する作業を少なくすることができ、経験の少ない作業者においても各種センサーや画像の診断技術を活用し、巡視点検作業をより確実に行うことが可能となる。また、管理サーバ2に格納された点検結果や360度カメラで撮影された画像を利用することで、事後において、巡視ルートの各位置での画像を参照しつつ点検結果を確認することが可能となるので、責任者による事後の確認も容易となる。
【符号の説明】
【0044】
1 VPN
2 管理サーバ
3 情報端末
10 巡視点検データベース
35 360度カメラ
36 異常感知センサ
36a サーモカメラ
36b 指向性マイク