特許第6859920号(P6859920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859920
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂硬化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 228/04 20060101AFI20210405BHJP
   C08F 218/18 20060101ALI20210405BHJP
   C08G 75/045 20160101ALI20210405BHJP
【FI】
   C08F228/04
   C08F218/18
   C08G75/045
【請求項の数】3
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-202120(P2017-202120)
(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公開番号】特開2019-73658(P2019-73658A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 篤
(72)【発明者】
【氏名】池下 真二
【審査官】 工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−108158(JP,A)
【文献】 特開昭58−016232(JP,A)
【文献】 特開2016−074902(JP,A)
【文献】 特開平01−319514(JP,A)
【文献】 特開2011−213821(JP,A)
【文献】 特表2016−536399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 228/00−228/06
C08F 218/00−218/18
C08G 75/045
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に少なくとも2個以上のアリル基を有するアリル化合物(A)と、1分子中に少なくとも2個以上のマレイミド基を有するマレイミド化合物(B)と、1分子中に少なくとも2個以上のチオール基を有するチオール化合物(C)を少なくとも用いて熱硬化性樹脂硬化物を製造する方法であって、
該製造方法は、チオール化合物(C)中のチオール基当量1に対してマレイミド化合物(B)中のマレイミド基当量が1.15〜6の割合になる様にチオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)を混合した後、反応させてオリゴマーを合成する第一工程と、
第一工程で得られたオリゴマーとアリル化合物(A)を含む原料を混合して組成物とする第二工程と、
第二工程で得られた組成物を150℃以上で5時間以上加熱することにより硬化させる第三工程とを含むことを特徴とする熱硬化性樹脂硬化物の製造方法。
【請求項2】
前記マレイミド化合物(B)は、下記式(1)で表されるN−フェニルマレイミド構造を有し、かつ該化合物の分子量が1,000未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法。
【化1】
[式(1)中、R、Rは、それぞれ独立しており、水素原子又は1価の炭化水素基である。Xは末端にマレイミド基を含む有機基であり、炭化水素基、芳香環を含んでいてもよい。Xを構成する芳香環の数は複数であっても良く、複数の芳香環同士はエーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基、アザメチレン基又はアルキレン基を介して結合していてもよく、直接結合していてもよい。]
【請求項3】
前記硬化物は、繊維強化複合材料用硬化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂硬化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和結合及びイミド結合を有するビスマレイミド基を含有する熱硬化性樹脂は、電気的物性や熱的物性(耐熱性とも称する)において優れているので、種々の電子・電気部品材料、構造材料などとして産業上広く使用されている。しかしながら、ビスマレイミド化合物を単独で重合して得られた樹脂硬化物は、熱的性質においてはかなり優れているものの、非常に脆く、機械的な性質に劣っていた。
このようなビスマレイミド化合物のみからなる樹脂硬化物の特性を改良するものとして、芳香族ビスマレイミド化合物とジアミン化合物を反応させて得られた熱硬化性樹脂組成物(特許文献1参照)や、アミノ末端イミドオリゴマーとビスマレイミド化合物からなる熱硬化性樹脂組成物(特許文献2参照)、及び、ビスマレイミド化合物とアリル化合物とチオール化合物からなる熱硬化性樹脂組成物(特許文献3参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭46−23250号公報
【特許文献2】特開平5−51455号公報
【特許文献3】特開2016−74902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ビスマレイミド化合物と他の化合物とを組み合わせた樹脂組成物が提案されているが、特許文献1の樹脂組成物から得られる硬化物は靱性が不十分である。特許文献2、3の樹脂組成物から得られる硬化物は靱性改良に一定の効果は見られるものの、曲げ強さの点で十分とはいえない。
このように、従来のビスマレイミド化合物を含む樹脂組成物から得られる硬化物はいずれも特性の点で十分とはいえず、靱性及び曲げ強度の両立の点に課題を有していた。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、靱性及び曲げ強度にともに優れた樹脂硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、靱性及び曲げ強度にともに優れた樹脂硬化物について鋭意検討を重ね、1分子中に少なくとも2個以上のアリル基を有するアリル化合物(A)と、1分子中に少なくとも2個以上のマレイミド基を有するマレイミド化合物(B)と、1分子中に少なくとも2個以上のチオール基を有するチオール化合物(C)とを原料として用いる樹脂硬化物に着目した。そして、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)とを所定の割合で混合した後に反応させてオリゴマーを合成した後、得られたオリゴマーとアリル化合物(A)を含む原料を混合し、得られた混合物を所定の条件で硬化させて樹脂硬化物を製造すると、得られる樹脂硬化物が靱性及び曲げ強度にともに優れたものとなることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、1分子中に少なくとも2個以上のアリル基を有するアリル化合物(A)と、1分子中に少なくとも2個以上のマレイミド基を有するマレイミド化合物(B)と、1分子中に少なくとも2個以上のチオール基を有するチオール化合物(C)を少なくとも用いて熱硬化性樹脂硬化物を製造する方法であって、上記製造方法は、チオール化合物(C)中のチオール基当量1に対してマレイミド化合物(B)中のマレイミド基当量が1.15〜6の割合になる様にチオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)を混合した後、反応させてオリゴマーを合成する第一工程と、第一工程で得られたオリゴマーとアリル化合物(A)を含む原料を混合して組成物とする第二工程と、第二工程で得られた組成物を150℃以上で5時間以上加熱することにより硬化させる第三工程とを含む熱硬化性樹脂硬化物の製造方法である。
【0008】
上記マレイミド化合物(B)は、下記式(1)で表されるN−フェニルマレイミド構造を有し、かつ該化合物の分子量が1,000未満であることが好ましい。
【0009】
【化1】
[式(1)中、R、Rは、それぞれ独立しており、水素原子又は1価の炭化水素基である。Xは末端にマレイミド基を含む有機基であり、炭化水素基、芳香環を含んでいてもよい。Xを構成する芳香環の数は複数であっても良く、複数の芳香環同士はエーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基、アザメチレン基又はアルキレン基を介して結合していてもよく、直接結合していてもよい。]
【0010】
上記硬化物は、繊維強化複合材料用の硬化物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法は、上述の構成よりなり、靱性及び曲げ強度にともに優れた熱硬化性樹脂の硬化物を製造することができる製造方法である。本発明の製造方法で製造された熱硬化性樹脂の硬化物は、靱性及び曲げ強度に優れることから、硬化前の組成物を強化繊維に含浸させたプリプレグにすることで繊維強化複合材料等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一例について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0013】
1.熱硬化性樹脂硬化物の製造方法
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法は、1分子中に少なくとも2個以上のアリル基を有するアリル化合物(A)と、1分子中に少なくとも2個以上のマレイミド基を有するマレイミド化合物(B)と、1分子中に少なくとも2個以上のチオール基を有するチオール化合物(C)を少なくとも用い、上述した第一工程〜第三工程を含むことを特徴とする。
このような工程を含む製造方法で熱硬化性樹脂硬化物を製造することで得られる硬化物が靱性及び曲げ強度にともに優れたものとなる理由は明らかではないが、アリル化合物(A)とマレイミド化合物(B)との反応と、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)との反応との反応性の違いが影響しているものと推察される。
以下においては、まず本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法が含む各工程について説明し、その後に、本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法に用いる材料について説明する。
【0014】
<第一工程>
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法における第一工程は、チオール化合物(C)中のチオール基当量1に対してマレイミド化合物(B)中のマレイミド基当量が1.15〜6の割合になる様にチオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)を混合した後、反応させてオリゴマーを合成する工程である。
このように第一工程では、マレイミド化合物(B)中のマレイミド基当量がチオール化合物(C)中のチオール基当量よりも多く、かつ、所定の範囲にあるような割合でこれらを用いてオリゴマーを合成する。チオール化合物(C)中のチオール基当量1に対するマレイミド化合物(B)中のマレイミド基当量の割合は1.15〜6であれば効果を発揮する。マレイミド基当量が6を超える場合、曲げ強度や靱性の向上に若干の効果は見られるものの、実用的には不十分である。一方、マレイミド基当量が1.15を下回る場合、得られるオリゴマーの分子量が大きくなり過ぎ、樹脂中での相溶性が低下するため、曲げ強度向上の効果が得られない。
【0015】
なお、上記オリゴマーは、重量平均分子量が600〜200000のポリマーである。
オリゴマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0016】
第一工程において、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)を混合する方法は特に制限されず、タンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどの混合機や、撹拌装置を備え、加熱することが出来る反応槽等を用いることができる。
【0017】
第一工程において、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)とを反応させる際の反応温度は、40〜120℃であることが好ましい。このような温度で反応させることで、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)とを十分に反応させることができる。反応温度はより好ましくは、60〜100℃である。
【0018】
第一工程において、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)とを反応させる時間は、30分〜6時間であることが好ましい。このような反応時間で反応させることで、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)とを十分に反応させることができる。反応時間はより好ましくは、1〜5時間であり、更に好ましくは、2〜4時間である。
【0019】
第一工程の反応は、必要に応じて溶媒中で行っても良いし、触媒を用いて行ってもよい。
【0020】
溶媒としてはマレイミド化合物(B)に対する溶解性が高ければ特に制限されないが、例えば、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジクロロメタン等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
触媒としては、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン化合物や2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシ)バレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
上記触媒の配合割合は、第一工程に用いるチオール化合物(C)100質量%に対して、0.1〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜3質量%である。
【0023】
第一工程において、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)との混合物にはアリル化合物(A)が含まれていてもよいが、アリル化合物(A)の含有量が少ないほうが好ましく、チオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)との合計100重量部に対して、アリル化合物(A)の含有量は1重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5重量部以下であり、更に好ましくは、0.1重量部以下であり、最も好ましくは実質的に含まない領域である0.01重量部以下である。
【0024】
<第二工程>
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法における第二工程は、第一工程で得られたオリゴマーとアリル化合物(A)を含む原料を混合して組成物とする工程である。このように予めチオール化合物(C)とマレイミド化合物(B)とを反応させてオリゴマーを製造した後にアリル化合物(A)を混合して組成物とする点が本発明の製造方法の特徴の1つである。
【0025】
第二工程では、第一工程で得られたオリゴマーとアリル化合物(A)のみを混合してもよく、第一工程で得られたオリゴマー、アリル化合物(A)以外の成分を更に混合してもよい。第一工程で得られたオリゴマー、アリル化合物(A)以外の成分として、例えばマレイミド化合物(B)を更に混合してもよく、また、硬化触媒や溶媒、無機充填剤、難燃剤及びその他の添加剤を混合してもよい。なお、硬化触媒とは、上述した第一工程で用いてもよい触媒とは異なるものである。
【0026】
第二工程でマレイミド化合物(B)を更に混合する場合、第一工程で用いたチオール化合物(C)中のチオール基当量1に対して第一工程及び第二工程で用いたマレイミド化合物(B)の合計中のマレイミド基当量が2〜40となるように差分を添加することが好ましい。このような割合にすることで、マレイミド樹脂が有する高い耐熱性を維持しながら、靱性及び曲げ強さに優れた硬化物を得ることが可能となる。より好ましくは、3〜20となるように差分を添加することであり、更に好ましくは、4〜15となるように差分を添加することである。
【0027】
第二工程において用いるアリル化合物(A)の割合は、第一工程及び第二工程で用いられるマレイミド化合物(B)の合計中のマレイミド基当量1に対して、アリル化合物(A)中のアリル基当量が0.1〜1となる割合であることが好ましい。このような割合でアリル化合物(A)を用いることで、耐熱性と曲げ強度や靱性といった機械特性のバランスが良い硬化物を得ることができる。
第二工程において用いるアリル化合物(A)の割合はより好ましくは、第一工程及び第二工程で用いられるマレイミド化合物(B)のマレイミド基当量1に対して、アリル化合物(A)中のアリル基当量が0.15〜0.7であり、更に好ましくは、アリル化合物(A)中のアリル基当量が0.2〜0.5となる割合である。
【0028】
第二工程で得られる組成物の好ましい組成を、該組成物を調製するために第一工程及び第二工程で用いられたアリル化合物(A)のアリル基、マレイミド化合物(B)のマレイミド基、及び、チオール化合物(C)のチオール基の数の割合を用いて、チオール化合物(C)のチオール基を基準として表すと、アリル化合物(A)のアリル基/マレイミド化合物(B)のマレイミド基/チオール化合物(C)のチオール基=(0.23/1.15/1)〜(10/10/1)であることが好ましい。より好ましくは、(0.23/1.15/1)〜(3/6/1)である。
【0029】
硬化触媒としては、イミダゾール化合物である2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール等や有機過酸化物であるジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等やアゾ化合物である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシ)バレロニトリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
硬化触媒の配合割合は、第二工程で得られる組成物が含むアリル化合物(A)、マレイミド化合物(B)及びチオール化合物(C)の合計100重量%に対して、0.1〜10重量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5重量%であり、更に好ましくは、0.1〜3重量%である。
【0031】
溶媒は特に制限されないが、例えば、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエン等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0032】
無機充填剤としては、天然シリカ、焼成シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、ホワイトカーボン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化珪素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、銅、銀、金、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、天然マイカ、合成マイカ、アエロジル、カオリン、クレー、タルク、焼成カオリン、焼成クレー、焼成タルク、ウオラストナイト、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス及びチタン酸カリウム繊維等が挙げられる。
【0033】
無機充填剤の配合量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体の固形分重量100重量部に対して、200重量部以下であることが好ましい。
【0034】
難燃剤としては、塩素化パラフィン、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、リン酸アミド、リン酸アミドエステル、ホスフィネート、ホスフィネート塩、リン酸アンモニウム及び赤リン等のリン系難燃剤、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロン及びサクシノグアナミン等の窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、臭素系難燃剤等の難燃剤並びに三酸化アンチモン等の難燃助剤等が挙げられ、本発明の熱硬化性樹脂組成物の特性を妨げない限り、その配合量は特に限定されない。
【0035】
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤及び帯電防止剤、導電剤等が挙げられ、2種以上を混合してもよい。
【0036】
第二工程において、第一工程で得られたオリゴマーとアリル化合物(A)を含む原料を混合する方法は特に制限されず、タンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなど等を用いることができる。
【0037】
<第三工程>
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法における第三工程は、第二工程で得られた組成物を150℃以上で5時間以上加熱することにより硬化させる工程である。
第二工程で得られた組成物をこのような温度及び時間で加熱して硬化させることで、得られる硬化物が靱性及び曲げ強度にともに優れたものとなる。
【0038】
硬化物の成型方法は特に限定されないが、熱で溶融した樹脂組成物を加圧して型内に注入含浸する、あるいは型内の減圧により注入含浸する工程を経た後、150℃以上で5時間以上加熱することにより所望の成型品を得ることできる。
【0039】
第三工程における加熱温度は150℃以上であればよいが、靱性及び曲げ強度により優れた硬化物を得るためには160℃以上であることが好ましい。より好ましくは、200℃以上であり、更に好ましくは、220℃以上である。また、加熱温度の上限は特に制限されないが、製造のコストや効率等を考慮すると、250℃以下であることが好ましい。
【0040】
第三工程における加熱時間は5時間以上であればよいが、靱性及び曲げ強度により優れた硬化物を得るためには10時間以上であることが好ましい。より好ましくは、20時間以上であり、最も好ましくは30時間以上である。また、加熱時間の上限は特に制限されないが、製造のコストや効率等を考慮すると、48時間以下であることが好ましい。
【0041】
第三工程は、一定の温度で行ってもよく、段階的に温度を変化させて行ってもよい。また温度を変化させる回数は1回であってもよく、2回以上であってもよい。
例えば、一定の時間毎に段階的に昇温させながら第三工程を行うこともでき、本発明における第三工程の好ましい実施形態の1つである。
一定の割合で昇温させる場合、昇温させる温度の幅は、10〜40℃であることが好ましい。より好ましくは、20〜30℃である。
また、昇温速度は0.1℃/分〜100℃/分であることが好ましく、より好ましくは1℃/分〜40℃/分である。
また、各温度での保持時間は0.5〜5時間であることが好ましい。より好ましくは、2〜4時間である。
また、昇温させる回数は、1〜10回であることがより好ましい。更に好ましくは、2〜6回である。
【0042】
<その他の工程>
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法は、上述した第一工程から第三工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。
その他の工程としては、第三工程の前に第二工程で得られた組成物を溶融する工程、溶融する工程の後に行う脱泡工程、不活性ガスに置換する工程等が挙げられる。
【0043】
上記第二工程で得られた組成物を溶融する工程を行うと、脱泡工程で容易に組成物に含まれる気泡を抜くことができる。
組成物を溶融する温度は、組成物中に含まれる各成分が溶融する温度が好ましく、140〜180℃であることが好ましい。より好ましくは、150〜160℃である。
組成物を溶融する工程において、加熱する時間は特に制限されず、組成物中に含まれる各成分が完全に溶融するまで行うことが好ましい。
【0044】
上記第二工程で得られた組成物を溶融する工程を行った後、溶融液に含まれる空気を除く脱泡工程を行うことが好ましい。溶融液から空気を除くことで、該溶融液を硬化して得られる硬化物に気泡が含まれることを抑制することができる。
溶融液から空気を除く方法は、空気が除かれる限り特に制限されないが、溶融液を減圧することが好ましい。
溶融液を減圧する工程において、減圧する時間は特に制限されないが、溶融液から気泡が出なくなるまで行うことが好ましい。
【0045】
上記第二工程で得られた組成物を溶融し、脱泡する工程を行った後、不活性ガスに置換する工程を経て硬化させることが好ましい。不活性ガスに置換することで、硬化物表面の劣化を抑制することができる。
不活性ガスは樹脂組成物の各成分と反応しない気体であれば特に制限されないが、窒素やアルゴンなどが好ましい。
【0046】
2.原料化合物
以下においては、本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法に原料として用いる化合物について記載する。
<アリル化合物(A)>
1分子中に少なくとも2個以上のアリル基を有するアリル化合物(A)としては、1分子中に少なくとも2個以上のアリル基を有するものであれば特に制限されないが、1分子中に少なくとも2個以上のアリル基と1個以上の芳香環とを有する化合物であることが好ましい。より好ましくは、1分子中に少なくとも2個以上のアリル基と1個以上のベンゼン環とを有する化合物である。
1分子中に少なくとも2個以上のアリル基と1個以上のベンゼン環とを有する化合物類としては、ジアリル化ビスフェノールA、ジアリル化ビスフェノールAP、ジアリル化ビスフェノールAF、ジアリル化ビスフェノールB、ジアリル化ビスフェノールBP、ジアリル化ビスフェノールC、ジアリル化ビスフェノールE及びジアリル化ビスフェノールF等のジアリル化ビスフェノール化合物、ベンゼンポリ(2〜6)カルボン酸ポリ(2〜6)アリルエステル並びにアリル化ノボラックが好ましく用いられる。
その他に、ビスフェノールG、ビスフェノールM、ビスフェノールS、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールTM、ビスフェノールZをジアリル化したジアリル化ビスフェノール等が挙げられる。
アリル化合物(A)としては、1種の化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を用いてもよい。
【0047】
ジアリル化ビスフェノールAとしては、下記式(2)に示される2,2−ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン及び2−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、並びに、下記式(3)に示される2,2−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
【0048】
【化2】
【0049】
【化3】
【0050】
ジアリル化ビスフェノールAPとしては、1,1−ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−フェニルエタン、1,1−ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−フェニルエタン、1−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン及び1,1−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]−1−フェニルエタン等が挙げられる。
【0051】
ジアリル化ビスフェノールAFとしては、2,2−ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン及び2,2−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0052】
ジアリル化ビスフェノールBとしては、2,2−ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ブタン、2−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ブタン及び2,2−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]ブタン等が挙げられる。
【0053】
ジアリル化ビスフェノールBPとしては、ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ジフェニルメタン、ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ジフェニルメタン、[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル][3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]ジフェニルメタン及びビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]ジフェニルメタン等が挙げられる。
【0054】
ジアリル化ビスフェノールCとしては、2,2−ビス[2−(2−プロペニル)−3−メチル−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]プロパン、2−[2−(2−プロペニル)−3−メチル−4−ヒドロキシフェニル]−2−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]プロパン、2−[2−(2−プロペニル)−3−メチル−4−ヒドロキシフェニル]−2−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]プロパン及び2−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]−2−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]プロパン等が挙げられる。
【0055】
ジアリル化ビスフェノールEとしては、1,1−ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]エタン、1,1−ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]エタン、1−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]エタン及び1,1−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]エタン等が挙げられる。
【0056】
ジアリル化ビスフェノールFとしては、ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル][3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン及びビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]メタン等が挙げられる。
【0057】
ベンゼンポリ(2〜6)カルボン酸ポリ(2〜6)アリルエステルにおけるカルボン酸基の数は2〜6であり、上記カルボン酸基と結合しているアリル基の数は2〜6であり、アリル基の数はカルボン酸基の数以下である。
ベンゼンポリ(6)カルボン酸ポリ(6)アリルエステルとしては、メリット酸ヘキサアリルエステル等が挙げられ、ベンゼンポリ(5)カルボン酸ポリ(5)アリルエステルとしては、ベンゼンペンタカルボン酸ペンタアリルエステル等が挙げられ、ベンゼンポリ(4)カルボン酸ポリ(4)アリルエステルとしては、ピロメリット酸テトラアリルエステル等が挙げられ、ベンゼンポリ(3)カルボン酸ポリ(3)アリルエステルとしては、トリメリット酸トリアリルエステル、トリメシン酸トリアリルエステル等が挙げられ、ベンゼンポリ(2)カルボン酸ポリ(2)アリルエステルとしては、ジアリルオルソフタレート(下記式(4)に示す構造)、ジアリルイソフタレート(下記式(5)に示す構造)、ジアリルテレフタレート(下記式(6)に示す構造)等が挙げられる。
これらの中では、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等のベンゼンポリ(2)カルボン酸ポリ(2)アリルエステル[フタル酸ジアリルともいう]が好ましい。
【0058】
【化4】
【0059】
【化5】
【0060】
【化6】
【0061】
アリル化ノボラックは下記式(7)に示す構造である。
【化7】
【0062】
上記式(7)におけるqの値は1〜1000の整数である。
【0063】
これらのうちでは、2,2−ビス[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2−[2−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[3−(2−プロペニル)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン及び2,2−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]プロパン等のジアリル化ビスフェノールA;ジアリルオルソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート等のフタル酸ジアリル;アリル化ノボラック;等が好ましい。
【0064】
<マレイミド化合物(B)>
本発明におけるマレイミド化合物(B)は、1分子中に少なくとも2個以上のマレイミド基を有するものであればよいが、下記式(1)で表されるN−フェニルマレイミド構造を有し、かつ該化合物の分子量が1,000未満であることが好ましい。
【0065】
【化8】
【0066】
式(1)中、R、Rは、それぞれ独立しており、水素原子又は1価の炭化水素基である。Xは末端にマレイミド基を含む有機基であり、炭化水素基、芳香環を含んでいてもよい。Xを構成する芳香環の数は複数であっても良く、複数の芳香環同士はエーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基、アザメチレン基又はアルキレン基を介して結合していてもよく、直接結合していてもよい。
【0067】
上記式(1)においてXで表される、末端にマレイミド基を含む有機基は構造中に芳香環を有していてもよく、有していなくてもよい。
芳香環を有する場合、芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられ、炭素以外の原子(例えば窒素原子、硫黄原子)を含む複素芳香環であってもよい。
【0068】
Xの構造は特に限定されないが、下記式(8)に示すようなN−フェニルマレイミド基にアルキレン基(メチレン基)が結合した構造や、下記式(9)に示すようなN−フェニルマレイミド基に複数のベンゼン環がエーテル基及びアルキレン基(ジメチルメチレン基:−C(CH−)を介して結合した構造が挙げられる。
【化9】
上記式(8)〜(9)において、R、Rはそれぞれ異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基からなる群から選択される1種である。
【0069】
上記式(1)で表されるN−フェニルマレイミド構造を有するマレイミド化合物は、分子量が1,000未満であることが好ましいが、より好ましくは、800以下であり、更に好ましくは、600以下である。
【0070】
これらの中では、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(構造式から算出した分子量358)が、硬化後の樹脂の耐熱性を向上させる観点から好ましい。
【0071】
<チオール化合物(C)>
本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成するチオール化合物(C)は、1分子中に2個以上のチオール基(メルカプト基ともいう)を有している。
【0072】
上記チオール化合物(C)としては、1分子中に2個以上のチオール基を有していれば、その構造は特に限定されないが、下記式(10)で示される構造を有していることが好ましい。
【0073】
【化10】
【0074】
円形の破線で表されるZは環状構造を有する有機基であって、芳香族、複素環式又は多環のいずれであってもよい。mは2〜10の整数であり、nは0〜8の整数である。mは2〜5であることが好ましい。
m個のRはそれぞれ独立しており、鎖状脂肪族基、環状構造を含む脂肪族基及び芳香族基からなる群から選択される1種の有機基、又は、これらの群から選ばれる複数の有機基の組み合わせからなる有機基である。Rは複数の環状構造を有する有機基が、エステル結合、エーテル結合、アミド結合及びウレタン結合からなる群から選択される結合によって結合されたものであってもよい。n個のRはそれぞれ独立しており、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群から選択される1種である。
【0075】
上記式(10)で示されるチオール化合物(C)は、環状構造を有する有機基Zと、上記有機基Zとチオール基とを接続するRと、上記有機基Zに結合するRからなる。
【0076】
まず、チオール化合物(C)を構成する有機基Zについて説明する。
【0077】
環状構造を有する有機基Zとしては、芳香族、複素環式又は多環のいずれであってもよい。
【0078】
有機基Zが芳香族基である場合、例えば、下記式(11)〜(14)に示す構造から、任意の数の水素原子を取り除いた構造等が挙げられる。
【0079】
【化11】
【0080】
有機基Zが複素環式である場合、例えば、下記式(15)〜(16)に示すものが挙げられる。
【0081】
【化12】
【0082】
有機基Zが上記式(15)〜(16)で示される構造を有する場合、環を構成している窒素原子全てに(−R−SH)が結合していることが好ましい。
【0083】
上述した構造以外にも、有機基Zが多環である場合、例えば下記式(17)〜(20)に記載された構造が挙げられる。また、Zとしては、スピロ化合物から2〜10個の水素原子を任意に取り除いたものも含まれる。
【0084】
【化13】
【0085】
続いて、チオール化合物(C)を構成するRについて説明する。
【0086】
としては、エステル結合、エーテル結合、アミド結合及びウレタン結合からなる群から選択される結合を含んでも良い炭素数2〜12の直鎖アルキレン基であることが好ましい。なお、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、およびウレタン結合は、イソシアヌル環上の窒素原子およびチオール基を構成する硫黄原子と直接結合していないことが好ましい。
炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基等が挙げられ、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基又はオクチレン基がより好ましく、製造原料の入手のし易さから、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基又はヘキシレン基がさらに好ましい。
なお、エステル結合、エーテル結合、アミド結合およびウレタン結合等の結合がRに含まれる場合、エステル結合、アミド結合およびウレタン結合を形成する炭素原子は、直鎖アルキレン基の炭素数に含まない。例えば、Rがエステル結合を1つ含む炭素数12の直鎖アルキレン基であった場合、Rの炭素数は13となる。
【0087】
エステル結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、
2−オキソ−3−オキサブチレン基(−CH−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソブチレン基(−CH−O−CO−CH−)、2−オキソ−3−オキサペンチレン基(−CH−CO−O−C−)、3−オキソ−4−オキサペンチレン基(−C−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソペンチレン基(−CH−O−CO−C−)、3−オキサ−4−オキソペンチレン基(−C−O−CO−CH−)、
2−オキソ−3−オキサヘキシレン基(−CH−CO−O−n−C−)、3−オキソ−4−オキサヘキシレン基(−C−CO−O−C−)、4−オキソ−5−オキサヘキシレン基(−n−C−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソヘキシレン基(−CH−O−CO−n−C−)、3−オキサ−4−オキソヘキシレン基(−C−O−CO−C−)、4−オキサ−5−オキソヘキシレン基(−n−C−O−CO−CH−)、2−オキソ−3−オキサヘプチレン基(−CH−CO−O−n−C−)、3−オキソ−4−オキサヘプチレン基(−C−CO−O−n−C−)、4−オキソ−5−オキサヘプチレン基(−n−C−CO−O−C−)、5−オキソ−6−オキサヘプチレン基(−n−C−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソヘプチレン基(−CH−O−CO−n−C−)、3−オキサ−4−オキソヘプチレン基(−C−O−CO−n−C−)、4−オキサ−5−オキソヘプチレン基(−n−C−O−CO−C−)、5−オキサ−6−オキソヘプチレン基(−n−C−O−CO−CH−)、2−オキソ−3−オキサオクチレン基(−CH−CO−O−n−C10−)、3−オキソ−4−オキサオクチレン基(−C−CO−O−n−C−)、4−オキソ−5−オキサオクチレン基(−n−C−CO−O−n−C−)、5−オキソ−6−オキサオクチレン基(−n−C−CO−O−C−)、6−オキソ−7−オキサオクチレン基(−n−C10−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソオクチレン基(−CH−O−CO−n−C10−)、3−オキサ−4−オキソオクチレン基(−C−O−CO−n−C−)、4−オキサ−5−オキソオクチレン基(−n−C−O−CO−n−C−)、5−オキサ−6−オキソオクチレン基(−n−C−O−CO−C−)、6−オキサ−7−オキソオクチレン基(−n−C10−O−CO−CH−)、
2−オキソ−3−オキサノニレン基(−CH−CO−O−n−C12−)、3−オキソ−4−オキサノニレン基(−C−CO−O−n−C10−)、4−オキソ−5−オキサノニレン基(−n−C−CO−O−n−C−)、5−オキソ−6−オキサノニレン基(−n−C−CO−O−n−C−)、6−オキソ−7−オキサノニレン基(−n−C10−CO−O−C−)、7−オキソ−8−オキサノニレン基(−n−C12−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソノニレン基(−CH−O−CO−n−C12−)、3−オキサ−4−オキソノニレン基(−C−O−CO−n−C10−)、4−オキサ−5−オキソノニレン基(−n−C−O−CO−n−C−)、5−オキサ−6−オキソノニレン基(−n−C−O−CO−n−C−)、6−オキサ−7−オキソノニレン基(−n−C10−O−CO−C−)、7−オキサ−8−オキソノニレン基(−n−C12−O−CO−CH−)、
2−オキソ−3−オキサデシレン基(−CH−CO−O−n−C14−)、3−オキソ−4−オキサデシレン基(−C−CO−O−n−C12−)、4−オキソ−5−オキサデシレン基(−n−C−CO−O−n−C10−)、5−オキソ−6−オキサデシレン基(−n−C−CO−O−n−C−)、6−オキソ−7−オキサデシレン基(−n−C10−CO−O−n−C−)、7−オキソ−8−オキサデシレン基(−n−C12−CO−O−C−)、8−オキソ−9−オキサデシレン基(−n−C14−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソデシレン基(−CH−O−CO−n−C14−)、3−オキサ−4−オキソデシレン基(−C−O−CO−n−C10−)、4−オキサ−5−オキソデシレン基(−n−C−O−CO−n−C10−)、5−オキサ−6−オキソデシレン基(−n−C−O−CO−n−C−)、6−オキサ−7−オキソデシレン基(−n−C10−O−CO−n−C−)、7−オキサ−8−オキソデシレン基(−n−C12−O−CO−C−)、8−オキサ−9−オキソデシレン基(−n−C12−O−CO−CH−)、2−オキソ−3−オキサウンデシレン基(−CH−CO−O−n−C16−)、3−オキソ−4−オキサウンデシレン基(−C−CO−O−n−C14−)、4−オキソ−5−オキサウンデシレン基(−n−C−CO−O−n−C12−)、5−オキソ−6−オキサウンデシレン基(−n−C−CO−O−n−C10−)、6−オキソ−7−オキサウンデシレン基(−n−C10−CO−O−n−C−)、7−オキソ−8−オキサウンデシレン基(−n−C12−CO−O−n−C−)、8−オキソ−9−オキサウンデシレン基(−n−C14−CO−O−C−)、9−オキソ−10−オキサウンデシレン基(−n−C16−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソウンデシレン基(−CH−O−CO−n−C16−)、3−オキサ−4−オキソウンデシレン基(−C−O−CO−n−C14−)、4−オキサ−5−オキソウンデシレン基(−n−C−O−CO−n−CH12−)、5−オキサ−6−オキソウンデシレン基(−n−C−O−CO−n−C10−)、6−オキサ−7−オキソウンデシレン基(−n−C10−O−CO−n−C−)、7−オキサ−8−オキソウンデシレン基(−n−C12−O−CO−n−C−)、8−オキサ−9−オキソウンデシレン基(−n−C14−O−CO−C−)、9−オキサ−10−オキソウンデシレン基(−n−C16−O−CO−CH−)、2−オキソ−3−オキサドデシレン基(−CH−CO−O−n−C18−)、3−オキソ−4−オキサドデシレン基(−C−CO−O−n−C16−)、4−オキソ−5−オキサドデシレン基(−n−C−CO−O−n−C14−)、5−オキソ−6−オキサドデシレン基(−n−C−CO−O−n−C12−)、6−オキソ−7−オキサドデシレン基(−n−C10−CO−O−n−C10−)、7−オキソ−8−オキサドデシレン基(−n−C12−CO−O−n−C−)、8−オキソ−9−オキサドデシレン基(−n−C14−CO−O−n−C−)、9−オキソ−10−オキサドデシレン基(−n−C16−CO−O−C−)、10−オキソ−11−オキサドデシレン基(−n−C18−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソドデシレン基(−CH−O−CO−n−C18−)、3−オキサ−4−オキソドデシレン基(−C−O−CO−n−C16−)、4−オキサ−5−オキソドデシレン基(−n−C−O−CO−n−C14−)、5−オキサ−6−オキソドデシレン基(−n−C−O−CO−n−C12−)、6−オキサ−7−オキソドデシレン基(−n−C10−O−CO−n−C10−)、7−オキサ−8−オキソドデシレン基(−n−C12−O−CO−n−C−)、8−オキサ−9−オキソドデシレン基(−n−C14−O−CO−n−C−)、9−オキサ−10−オキソドデシレン基(−n−C16−O−CO−C−)及び10−オキサ−11−オキソドデシレン基(−n−C18−O−CO−CH−)等が挙げられる。
【0088】
エステル結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、2−オキサ−3−オキソペンチレン基、3−オキサ−4−オキソペンチレン基、2−オキサ−3−オキソヘキシレン基、3−オキサ−4−オキソヘキシレン基、2−オキサ−3−オキソヘプチレン基、3−オキサ−4−オキソヘプチレン基、2−オキサ−3−オキソオクチレン基又は3−オキサ−4−オキソオクチレン基であることが好ましく、製造原料の入手のし易さから、3−オキサ−4−オキソヘキシレン基又は3−オキサ−4−オキソヘプチレン基であることがより好ましい。
【0089】
エーテル結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、上記エステル結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基におけるカルボニル基をメチレン基に変更したものに相当し、
2−オキサプロピレン基、2−オキサブチレン基、3−オキサブチレン基、2−オキサペンチレン基、3−オキサペンチレン基、4−オキサペンチレン基、
2−オキサヘキシレン基、3−オキサヘキシレン基、4−オキサヘキシレン基、5−オキサヘキシレン基、2−オキサヘプチレン基、3−オキサヘプチレン基、4−オキサヘプチレン基、5−オキサヘプチレン基、6−オキサヘプチレン基、2−オキサオクチレン基、3−オキサオクチレン基、4−オキサオクチレン基、5−オキサオクチレン基、6−オキサオクチレン基、7−オキサオクチレン基、2−オキサノニレン基、3−オキサノニレン基、4−オキサノニレン基、5−オキサノニレン基、6−オキサノニレン基、7−オキサノニレン基、8−オキサノニレン基、2−オキサデシレン基、3−オキサデシレン基、4−オキサデシレン基、5−オキサデシレン基、6−オキサデシレン基、7−オキサデシレン基、8−オキサデシレン基、9−オキサデシレン基、2−オキサウンデシレン基、3−オキサウンデシレン基、4−オキサウンデシレン基、5−オキサウンデシレン基、6−オキサウンデシレン基、7−オキサウンデシレン基、8−オキサウンデシレン基、9−オキサウンデシレン基、10−オキサウンデシレン基、2−オキサドデシレン基、3−オキサドデシレン基、4−オキサドデシレン基、5−オキサドデシレン基、6−オキサドデシレン基、7−オキサドデシレン基、8−オキサドデシレン基、9−オキサドデシレン基、10−オキサドデシレン基及び11−オキサドデシレン基等が挙げられる。
【0090】
エーテル結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、2−オキサプロピレン基、2−オキサブチレン基、2−オキサペンチレン基が好ましく、製造原料の入手のし易さから、2−オキサブチレン基がより好ましい。
【0091】
アミド結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、上記エステル結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基におけるエーテル基(上記置換基名における[オキサ]部分)をアザメチレン基に変更したものに相当し、2−オキソ−3−アザブチレン基(−CH−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソブチレン基(−CH−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザペンチレン基(−CH−CO−NH−C−)、3−オキソ−4−アザペンチレン基(−C−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソペンチレン基(−CH−NH−CO−C−)、3−アザ−4−オキソペンチレン基(−C−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザヘキシレン基(−CH−CO−NH−n−C−)、3−オキソ−4−アザヘキシレン基(−C−CO−NH−C−)、4−オキソ−5−アザヘキシレン基(−n−C−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソヘキシレン基(−CH−NH−CO−n−C−)、3−アザ−4−オキソヘキシレン基(−C−NH−CO−C−)、4−アザ−5−オキソヘキシレン基(−n−C−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザヘプチレン基(−CH−CO−NH−n−C−)、3−オキソ−4−アザヘプチレン基(−C−CO−NH−n−C−)、4−オキソ−5−アザヘプチレン基(−n−C−CO−NH−C−)、5−オキソ−6−アザヘプチレン基(−n−C−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソヘプチレン基(−CH−NH−CO−n−C−)、3−アザ−4−オキソヘプチレン基(−C−NH−CO−n−C−)、4−アザ−5−オキソヘプチレン基(−n−C−NH−CO−C−)、5−アザ−6−オキソヘプチレン基(−n−C−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザオクチレン基(−CH−CO−NH−n−C10−)、3−オキソ−4−アザオクチレン基(−C−CO−NH−n−C−)、4−オキソ−5−アザオクチレン基(−n−C−CO−NH−n−C−)、5−オキソ−6−アザオクチレン基(−n−C−CO−NH−C−)、6−オキソ−7−アザオクチレン基(−n−C10−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソオクチレン基(−CH−NH−CO−n−C10−)、3−アザ−4−オキソオクチレン基(−C−NH−CO−n−C−)、4−アザ−5−オキソオクチレン基(−n−C−NH−CO−n−C−)、5−アザ−6−オキソオクチレン基(−n−C−NH−CO−C−)、6−アザ−7−オキソオクチレン基(−n−C10−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザノニレン基(−CH−CO−NH−n−C12−)、3−オキソ−4−アザノニレン基(−C−CO−NH−n−C10−)、4−オキソ−5−アザノニレン基(−n−C−CO−NH−n−C−)、5−オキソ−6−アザノニレン基(−n−C−CO−NH−n−C−)、6−オキソ−7−アザノニレン基(−n−C10−CO−NH−C−)、7−オキソ−8−アザノニレン基(−n−C12−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソノニレン基(−CH−NH−CO−n−C12−)、3−アザ−4−オキソノニレン基(−C−NH−CO−n−C10−)、4−アザ−5−オキソノニレン基(−n−C−NH−CO−n−C−)、5−アザ−6−オキソノニレン基(−n−C−NH−CO−n−C−)、6−アザ−7−オキソノニレン基(−n−C10−NH−CO−C−)、7−アザ−8−オキソノニレン基(−n−C12−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザデシレン基(−CH−CO−NH−n−C14−)、3−オキソ−4−アザデシレン基(−C−CO−NH−n−C12−)、4−オキソ−5−アザデシレン基(−n−C−CO−NH−n−C10−)、5−オキソ−6−アザデシレン基(−n−C−CO−NH−n−C−)、6−オキソ−7−アザデシレン基(−n−C10−CO−NH−n−C−)、7−オキソ−8−アザデシレン基(−n−C12−CO−NH−C−)、8−オキソ−9−アザデシレン基(−n−C14−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソデシレン基(−CH−NH−CO−n−C14−)、3−アザ−4−オキソデシレン基(−C−NH−CO−n−C12−)、4−アザ−5−オキソデシレン基(−n−C−NH−CO−n−C10−)、5−アザ−6−オキソデシレン基(−n−C−NH−CO−n−C−)、6−アザ−7−オキソデシレン基(−n−C10−NH−CO−n−C−)、7−アザ−8−オキソデシレン基(−n−C12−NH−CO−C−)、8−アザ−9−オキソデシレン基(−n−C14−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザウンデシレン基(−CH−CO−NH−n−C16−)、3−オキソ−4−アザウンデシレン基(−C−CO−NH−n−C14−)、4−オキソ−5−アザウンデシレン基(−n−C−CO−NH−n−C12−)、5−オキソ−6−アザウンデシレン基(−n−C−CO−NH−n−C10−)、6−オキソ−7−アザウンデシレン基(−n−C10−CO−NH−n−C−)、7−オキソ−8−アザウンデシレン基(−n−C12−CO−NH−n−C−)、8−オキソ−9−アザウンデシレン基(−n−C14−CO−NH−C−)、9−オキソ−10−アザウンデシレン基(−n−C16−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソウンデシレン基(−CH−NH−CO−n−C16−)、3−アザ−4−オキソウンデシレン基(−C−NH−CO−n−C14−)、4−アザ−5−オキソウンデシレン基(−n−C−NH−CO−n−C12−)、5−アザ−6−オキソウンデシレン基(−n−C−NH−CO−n−C10−)、6−アザ−7−オキソウンデシレン基(−n−C10−NH−CO−n−C−)、7−アザ−8−オキソウンデシレン基(−n−C12−NH−CO−n−C−)、8−アザ−9−オキソウンデシレン基(−n−C14−NH−CO−C−)、9−アザ−10−オキソウンデシレン基(−n−C16−NH−CO−CH−)、2−オキソ−3−アザドデシレン基(−CH−CO−NH−n−C18−)、3−オキソ−4−アザドデシレン基(−C−CO−NH−n−C16−)、4−オキソ−5−アザドデシレン基(−n−C−CO−NH−n−C14−)、5−オキソ−6−アザドデシレン基(−n−C−CO−NH−n−C12−)、6−オキソ−7−アザドデシレン基(−n−C10−CO−NH−n−C10−)、7−オキソ−8−アザドデシレン基(−n−C12−CO−NH−n−C−)、8−オキソ−9−アザドデシレン基(−n−C14−CO−NH−n−C−)、9−オキソ−10−アザドデシレン基(−n−C16−CO−NH−C−)、10−オキソ−11−アザドデシレン基(−n−C18−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソドデシレン基(−CH−NH−CO−n−C18−)、3−アザ−4−オキソドデシレン基(−C−NH−CO−n−C16−)、4−アザ−5−オキソドデシレン基(−n−C−NH−CO−n−C14−)、5−アザ−6−オキソドデシレン基(−n−C−NH−CO−n−C12−)、6−アザ−7−オキソドデシレン基(−n−C10−NH−CO−n−C10
−)、7−アザ−8−オキソドデシレン基(−n−C12−NH−CO−n−C−)、8−アザ−9−オキソドデシレン基(−n−C14−NH−CO−n−C−)、9−アザ−10−オキソドデシレン基(−n−C16−NH−CO−C−)及び10−アザ−11−オキソドデシレン基(−n−C18−NH−CO−CH−)等が挙げられる。
【0092】
アミド結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、2−アザ−3−オキソブチレン基、2−アザ−3−オキソペンチレン基、3−アザ−4−オキソペンチレン基、3−アザ−4−オキソヘキシレン基が好ましく、製造原料の入手のし易さから、3−アザ−4−オキソヘキシレン基がより好ましい。
【0093】
ウレタン結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基としては、上記エステル結合を含む炭素数2〜12の直鎖アルキレン基に対して、カルボニル基(上記置換基名における[オキソ]部分)に隣接するメチレン基をアザメチレン基に変更したものに相当し、
2−オキサ−3−オキソ−4−アザペンチレン基(−CH−O−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサペンチレン基(−CH−NH−CO−O−CH−)、
2−オキサ−3−オキソ−4−アザヘキシレン基(−CH−O−CO−NH−C−)、3−オキサ−4−オキソ−5−アザヘキシレン基(−C−O−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサヘキシレン基(−CH−NH−CO−O−C−)、3−アザ−4−オキソ−5−オキサヘキシレン基(−C−NH−CO−O−CH−)、
2−オキサ−3−オキソ−4−アザヘプチレン基(−CH−O−CO−NH−n−C−)、3−オキサ−4−オキソ−5−アザヘプチレン基(−C−O−CO−NH−C−)、4−オキサ−5−オキソ−6−アザヘプチレン基(−n−C−O−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサヘプチレン基(−CH−NH−CO−O−n−C−)、3−アザ−4−オキソ−5−オキサヘプチレン基(−C−NH−CO−O−C−)、4−アザ−5−オキソ−6−オキサヘプチレン基(−n−C−NH−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソ−4−アザオクチレン基(−CH−O−CO−NH−n−C−)、3−オキサ−4−オキソ−5−アザオクチレン基(−C−O−CO−NH−n−C−)、4−オキサ−5−オキソ−6−アザオクチレン基(−n−C−O−CO−NH−C−)、5−オキサ−6−オキソ−7−アザオクチレン基(−n−C−O−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサオクチレン基(−CH−NH−CO−O−n−C−)、3−アザ−4−オキソ−5−オキサオクチレン基(−C−NH−CO−O−n−C−)、4−アザ−5−オキソ−6−オキサオクチレン基(−n−C−NH−CO−O−C−)、5−アザ−6−オキソ−7−オキサオクチレン基(−n−C−NH−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソ−4−アザノニレン基(−CH−O−CO−NH−n−C10−)、3−オキサ−4−オキソ−5−アザノニレン基(−C−O−CO−NH−n−C−)、4−オキサ−5−オキソ−6−アザノニレン基(−n−C−O−CO−NH−n−C−)、5−オキサ−6−オキソ−7−アザノニレン基(−n−C−O−CO−NH−C−)、6−オキサ−7−オキソ−8−アザノニレン基(−n−C10−O−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサノニレン基(−CH−NH−CO−O−n−C10−)、3−アザ−4−オキソ−5−オキサノニレン基(−C−NH−CO−O−n−C−)、4−アザ−5−オキソ−6−オキサノニレン基(−n−C−NH−CO−O−n−C−)、5−アザ−6−オキソ−7−オキサノニレン基(−n−C−NH−CO−O−C−)、6−アザ−7−オキソ−8−オキサノニレン基(−n−C10−NH−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソ−4−アザデシレン基(−CH−O−CO−NH−n−C12−)、3−オキサ−4−オキソ−5−アザデシレン基(−C−O−CO−NH−n−C10−)、4−オキサ−5−オキソ−6−アザデシレン基(−n−C−O−CO−NH−n−C−)、5−オキサ−6−オキソ−7−アザデシレン基(−n−C−O−CO−NH−n−C−)、6−オキサ−7−オキソ−8−アザデシレン基(−n−C10−O−CO−NH−C−)、7−オキサ−8−オキソ−9−アザデシレン基(−n−C12−O−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサデシレン基(−CH−NH−CO−O−n−C12−)、3−アザ−4−オキソ−5−オキサデシレン基(−C−NH−CO−O−n−C10−)、4−アザ−5−オキソ−6−オキサデシレン基(−n−C−NH−CO−O−n−C−)、5−アザ−6−オキソ−7−オキサデシレン基(−n−C−NH−CO−O−n−C−)、6−アザ−7−オキソ−8−オキサデシレン基(−n−C10−NH−CO−O−C−)、7−アザ−8−オキソ−9−オキサデシレン基(−n−C12−NH−CO−O−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサウンデシレン基(−CH−NH−CO−O−n−C14−)、3−アザ−4−オキソ−5−オキサウンデシレン基(−C−NH−CO−O−n−C12−)、4−アザ−5−オキソ−6−オキサウンデシレン基(−n−C−NH−CO−O−n−C10−)、5−アザ−6−オキソ−7−オキサウンデシレン基(−n−C−NH−CO−O−n−C−)、6−アザ−7−オキソ−8−オキサウンデシレン基(−n−C10−NH−CO−O−n−C−)、7−アザ−8−オキソ−9−オキサウンデシレン基(−n−C12−NH−CO−O−C−)、8−アザ−9−オキソ−10−オキサウンデシレン基(−n−C14−NH−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソ−4−アザウンデシレン基(−CH−O−CO−NH−n−C14−)、3−オキサ−4−オキソ−5−アザウンデシレン基(−C−O−CO−NH−n−C12−)、4−オキサ−5−オキソ−6−アザウンデシレン基(−n−C−O−CO−NH−n−C10−)、5−オキサ−6−オキソ−7−アザウンデシレン基(−n−C−O−CO−NH−n−C−)、6−オキサ−7−オキソ−8−アザウンデシレン基(−n−C10−O−CO−NH−n−C−)、7−オキサ−8−オキソ−9−アザウンデシレン基(−n−C12−O−CO−NH−C−)、8−オキサ−9−オキソ−10−アザウンデシレン基(−n−C14−O−CO−NH−CH−)、2−アザ−3−オキソ−4−オキサドデシレン基(−CH−NH−CO−O−n−C16−)、3−アザ−4−オキソ−5−オキサドデシレン基(−C−NH−CO−O−n−C14−)、4−アザ−5−オキソ−6−オキサドデシレン基(−n−C−NH−CO−O−n−C12−)、5−アザ−6−オキソ−7−オキサドデシレン基(−n−C−NH−CO−O−n−C10−)、6−アザ−7−オキソ−8−オキサドデシレン基(−n−C10−NH−CO−O−n−C−)、7−アザ−8−オキソ−9−オキサドデシレン基(−n−C12−NH−CO−O−n−C−)、8−アザ−9−オキソ−10−オキサドデシレン基(−n−C14−NH−CO−O−C−)、9−アザ−10−オキソ−11−オキサドデシレン基(−n−C16−NH−CO−O−CH−)、2−オキサ−3−オキソ−4−アザドデシレン基(−CH−O−CO−NH−n−C16−)、3−オキサ−4−オキソ−5−アザドデシレン基(−C−O−CO−NH−n−C14−)、4−オキサ−5−オキソ−6−アザドデシレン基(−n−C−O−CO−NH−n−C12−)、5−オキサ−6−オキソ−7−アザドデシレン基(−n−C−O−CO−NH−n−C10−)、6−オキサ−7−オキソ−8−アザドデシレン基(−n−C10−O−CO−NH−n−C−)、7−オキサ−8−オキソ−9−アザドデシレン基(−n−C12−O−CO−NH−n−C−)、8−オキサ−9−オキソ−10−アザドデシレン基(−n−C14−O−CO−NH−C−)及び9−オキサ−10−オキソ−11−アザドデシレン基(−n−C16−O−CO−NH−CH−)等が挙げられる。
【0094】
なお、RはZと結合する側の炭素を1番としてカウントし、上記置換基の記載では、左側の端部でZと結合するように記載している。
【0095】
上記式(10)で示される構造を有する化合物としては、例えば、トリス−[(3−メルカプトピロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,4,6−テトラキス(メルカプトエチル)グリコールウリル等が挙げられる。
【0096】
上記チオール化合物(C)としては、上記式(10)で示される構造を有する化合物のほかに、下記式(21)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
【0097】
【化14】
【0098】
oは2〜6の整数であり、pは0〜4の整数であり、o+pは2〜6の整数である。Zは炭素数1〜6の有機基であって、エステル結合、エーテル結合、アミド結合及びウレタン結合からなる群から選択される結合を含んでいてもよい。o個のRはそれぞれ独立しており、鎖状脂肪族基、環状構造を含む脂肪族基及び芳香族基からなる群から選択される1種の有機基、又は、これらの群から選ばれる複数の有機基の組み合わせからなる有機基であり、カルボニル基、エーテル結合、アミド結合及びウレタン結合からなる群から選択される基又は結合を1つ以上含んでいてもよい。p個のRは、それぞれ独立しており、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群から選択される1種である。
【0099】
oは2〜6の整数である。チオール基の含有量が多いほど、硬化後の樹脂の耐熱性の向上が期待できるが、耐熱性と曲げ強度や靱性といった機械特性のバランスを考慮すると、oは2〜4であることが好ましい。
またRとしては、既に説明したRと同様の置換基を好適に用いることができる。
なお、RはZと結合する側の炭素を1番としてカウントする。
【0100】
としては、炭素数1〜4の直鎖アルキレン基であることが好ましい。また、Zはエステル結合、エーテル結合、アミド結合およびウレタン結合からなる群から選択される結合を含んでいてもよいが、製造原料の入手のし易さから、これらのなかではエーテル結合を含むことが好ましい。
【0101】
は2−オキサ−3−オキソペンチレン基、2−オキサ−3−オキソヘキシレン基、2−オキサ−3−オキソヘプチレン基、2−オキサ−3−オキソオクチレン基、3−オキサ−4−オキソヘキシレン基、3−オキサ−4−オキソヘプチレン基又は3−オキサ−4−オキソオクチレン基の他、−O−(CH−O−CO−(CH−で表される基であることが好ましく、製造原料の入手のし易さから、2−オキサ−3−オキソペンチレン基又は2−オキサ−3−オキソヘキシレン基、−O−(CH−O−CO−(CH−で表される基であることがより好ましい。
【0102】
がエーテル結合を含む場合には、ジペンタエリスリトールから6つのヒドロキシメチル基(−CH−OH)を取り除いた構造(下記式(22)で示される構造)であることがより好ましい。
【0103】
【化15】
【0104】
上記式(22)で示される構造を有する化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
【0105】
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の製造方法で得られる熱硬化性樹脂硬化物は、靱性及び曲げ強度にともに優れ、硬化前の組成物を強化繊維に含浸させたプリプレグにすることで繊維強化複合材料に好適に用いることができる。
【0106】
強化繊維とマトリクス樹脂から構成される繊維強化複合材料はスポーツ用品用途、レジャー用品用途、航空宇宙用途、一般産業用途などに広く用いられている。スポーツ用品用途、レジャー用品用途において高い機械特性を有する製品を実現するためには負荷される圧縮応力や曲げ応力に対して強い材料が求められている。
一方、航空宇宙用途や一般産業用途においては上記の機械特性に加え、高い耐衝撃性が必要であり、高靱性材料が求められている。
本発明の硬化物は靱性及び曲げ強度ともに優れることから、硬化前の組成物を強化繊維に含浸させたプリプレグにすることで繊維強化複合材料に好適に用いることができる。
【0107】
また、繊維強化複合材料を製造する他の方法としては、例えば、レジン・トランスファー・モールディング法の様に、型内に織物形態、編み物形態など強化繊維でできたプリフォームを配置し、本発明の硬化前組成物を強化繊維に含浸させた後、硬化させ、繊維強化複合材料を製造する方法を用いることもできる。
【実施例】
【0108】
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0109】
[実施例で用いた材料]
(アリル化合物)
(A)2,2’−ジアリルビスフェノールA(大和化成工業社製:DABPA、構造式から算出した分子量308)
(マレイミド化合物)
(B)4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業社製:BMI−1100H、構造式から算出した分子量358)
(チオール化合物)
(C−1)テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート(SC有機化学社製:EGMP−4、構造式から算出した分子量372)
(C−2)トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアネート(SC有機化学社製:TEMPIC、構造式から算出した分子量525)
【0110】
実施例、比較例で得られたオリゴマーの重量平均分子量は、以下の方法で測定した。
[オリゴマーの重量平均分子量測定]
オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリエチレングリコール及び標準ポリエチレンオキシドを用いた検量線から換算した。
装置:Alliance2695(Waters社製)
カラム:KD−806M、KD−802(Shodex社製)
ガードカラム:KD−G(Shodex社製)
【0111】
実施例1
撹拌羽根のついたオイルジャケット付容器にBMI−1100H:75.0g、EGMP−4:13.0gを添加し、混練した。内容物を混練しながら80℃まで昇温し、3時間反応させることでオリゴマーを得た。得られたオリゴマーに対してDABPA:21.5gを添加し、再び混練した。得られた混練物をアルミニウム製のカップに移し、160℃のオーブンで加熱した。内容物が完全に溶融した後、溶融液から気泡が出なくなるまで減圧を行った。大気圧に戻した後、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間、220℃で2時間、240℃で2時間加熱して硬化物1を得た。
【0112】
実施例2
撹拌羽根のついたオイルジャケット付容器にBMI−1100H:25.0g、EGMP−4:13.0gを添加し、混練した。内容物を混練しながら80℃まで昇温し、3時間反応させることでオリゴマーを得た。得られたオリゴマーに対してDABPA:21.5gとBMI−1100H:50.0gを添加し、再び混練した。得られた混練物をアルミニウム製のカップに移し、160℃のオーブンで加熱した。内容物が完全に溶融した後、溶融液から気泡が出なくなるまで減圧を行った。大気圧に戻した後、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間、220℃で2時間、240℃で2時間加熱して硬化物2を得た。
【0113】
実施例3〜5
使用する原料の配合を表1に記載のように変更したこと以外は実施例2と同様にして実施例3〜5を行い、硬化物3〜5を得た。
【0114】
比較例1
撹拌羽根のついたオイルジャケット付容器にDABPA:21.5g、BMI−1100H:75.0g、EGMP−4:13.0gを添加し、混練した。得られた混練物をアルミニウム製のカップに移し、160℃のオーブンで加熱した。内容物が完全に溶融した後、溶融液から気泡が出なくなるまで減圧を行った。大気圧に戻した後、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間、220℃で2時間、240℃で2時間加熱して比較硬化物1を得た。
【0115】
比較例2
撹拌羽根のついたオイルジャケット付容器にDABPA:21.5g、EGMP−4:13.0gを添加し、混練した。内容物を混練しながら80℃まで昇温し、3時間反応させることでオリゴマーを得た。得られたオリゴマーに対してBMI−1100H:75.0gを添加し、再び混練した。得られた混練物をアルミニウム製のカップに移し、160℃のオーブンで加熱した。内容物が完全に溶融した後、溶融液から気泡が出なくなるまで減圧を行った。大気圧に戻した後、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間、220℃で2時間、240℃で2時間加熱して比較硬化物2を得た。
【0116】
比較例3
撹拌羽根のついたオイルジャケット付容器にBMI−1100H:13.8g、EGMP−4:13.0gを添加し、混練した。内容物を混練しながら80℃まで昇温し、3時間反応させることでオリゴマーを得た。得られたオリゴマーに対してDABPA:21.5gとBMI−1100H:61.2gを添加し、再び混練した。得られた混練物をアルミニウム製のカップに移し、160℃のオーブンで加熱した。内容物が完全に溶融した後、溶融液から気泡が出なくなるまで減圧を行った。大気圧に戻した後、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間、220℃で2時間、240℃で2時間加熱して比較硬化物3を得た。
【0117】
特性評価
実施例1〜5、比較例1〜3で得られた硬化物1〜5、比較硬化物1〜3について、以下の方法により、各種特性の評価を行った。結果を表1に示した。
[熱分解温度]
各実施例及び比較例に係る熱硬化性樹脂を、示差熱熱重量同時測定装置((株)日立ハイテクサイエンス製 STA7300)を用いて、JIS K−7120(1987年)に準拠する方法によって、昇温速度を10℃/minとし窒素雰囲気下での熱重量減少を測定した。重量が5%減少したときの温度を熱分解温度とした。
[ガラス転移温度]
各実施例及び比較例に係る熱硬化性樹脂から15mm×3mm×3mmの試験片を切り出し、熱機械特性測定装置((株)リガク製 TMA8310)を用いて、JIS K−7197(2012年)に準拠する方法によって、昇温速度を2℃/min、荷重を50mNとし、圧縮荷重モードで測定した。得られた曲線の変曲点を外挿法で算出し、ガラス転移温度とした。
[曲げ強度、曲げ弾性率、破断点伸び]
各実施例及び比較例に係る熱硬化性樹脂から70mm×10mm×3mmの試験片を切り出し、材料万能試験機((株)島津製作所製 AGS−X)を用いて、JIS K−6911(2006年)に準拠する方法によって、支点間距離を48mm、荷重速度を1.5mm/minとし、3点曲げ試験を行うことによって、曲げ強さ及び曲げ弾性率、破断点伸びを算出した。
[破壊靱性]
各実施例及び比較例に係る熱硬化性樹脂から60mm×10mm×3mmの試験片を切り出し、材料万能試験機((株)島津製作所製 AGS−X)を用いて、ASTM D5043−93に準拠する方法によって、支点間距離を40mm、荷重速度を1mm/minとし、3点曲げ法によって破壊靭性試験を行って臨界応力拡大係数(KIC)を算出し、これを破壊靭性値とした。
【0118】
【表1】
【0119】
実施例6〜8、比較例4、5
使用するチオール化合物をEGMP−4からTEMPICに変更し、原料の配合を表2に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例6〜8を行い、硬化物6〜8を得た。
また、使用するチオール化合物をEGMP−4からTEMPICに変更し、原料の配合を表2に記載のように変更したこと以外は比較例1と同様にして比較例4を行い、比較硬化物4を得た。また、原料の配合を表2に記載のように変更したこと以外は比較例2と同様にして比較例5を行い、比較硬化物5を得た。
硬化物6〜8、比較硬化物4、5についても上記と同様の各種特性の評価を行った。結果を表2に示した。
【0120】
【表2】
【0121】
表1の実施例1〜5と比較例1との比較から、本発明の製造方法を用いると、原料3成分を配合して樹脂硬化物を製造した場合に比べて、曲げ強度や破壊靱性を向上させることができることが確認された。特に、硬化前の組成物中におけるマレイミド化合物に対するチオール化合物の割合を所定の範囲にすることで(実施例1〜4)、耐熱性や曲げ弾性率を低下させることなく、曲げ強度や破壊靱性を向上させることができることが確認された。
また実施例1〜5と比較例2との比較から、予めマレイミド化合物とチオール化合物とを所定の割合で混合して反応させた後にアリル化合物を混合し、硬化させることで、靱性及び曲げ強度にともに優れた樹脂硬化物が得られることが確認された。
表2の結果から、チオール化合物として3官能の化合物を用いた場合にも、本発明の製造方法を用いることで靱性及び曲げ強度にともに優れた樹脂硬化物が得られることが確認された。