(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
複合機に代表される画像形成装置においては、画像読み取り部で原稿の画像を読み取った後、画像形成部に備えられる感光体に対して読み取った画像を基に光を照射し、感光体上に静電潜像を形成する。その後、形成した静電潜像の上に帯電したトナーを供給して可視画像とした後、用紙にトナーを転写して定着させ、装置外に出力する。
【0003】
ここで、画像形成装置に含まれ、用紙にトナーを定着させる定着装置に関する技術が、特開2015−197670号公報(特許文献1)、および特開2017−111253号公報(特許文献2)に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示の定着装置は、用紙に画像を定着させるローラーと、前記ローラーの内部に設けられ、当該ローラーの長手方向において供給熱量の分布が異なるように構成された複数のヒーターと、前記ローラーの温度を検知する温度検知部と、前記温度検知部により検知された検知結果に基づいて交流電源の半波周期のパターンにより前記ヒーターの点灯制御を行う制御部と、を備える。前記制御部は、前記温度検知部により前記ローラーの長手方向における端部の温度が設定された目標温度よりも低いと検知された場合、前記複数のヒーターのうち端部における供給熱量が最も多いヒーターを全点灯制御すると共に、前記複数のヒーターのうちの端部における供給熱量が次に多いヒーターを所定のデューティー比のパターンにより点灯制御するか、又は、前記複数のヒーターのうち端部における供給熱量が最も多いヒーターを所定のデューティー比のパターンにより点灯制御すると共に、前記複数のヒーターのうち端部における供給熱量が次に多いヒーターをオフにするように点灯制御することを特徴としている。
【0005】
特許文献2に開示の画像形成装置は、用紙上のトナー像を加熱して定着させる定着ローラーと、前記定着ローラーを加熱するために設けられていて、前記定着ローラーの軸方向の一端部の発熱量が他端部より大きな第1ヒーターと、前記他端部の発熱量が前記一端部より大きな第2ヒーターと、前記定着ローラーの温度を検出する温度センサーと、前記温度センサーが検出した温度が目標温度となるように前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの点灯比率を決定して、当該点灯比率により前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの点灯、消灯を制御するとともに、前記第1ヒーターの点灯および/または前記第2ヒーターの点灯、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの両方の消灯によって生じる前記定着ローラーの軸方向の温度傾き値を求め、前記温度傾き値を小さくさせる方のヒーターを優先的に点灯させる制御部と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0013】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置を複合機に適用した場合の複合機の構成を示すブロック図である。
図1を参照して、複合機11は、画像処理に関し、コピー機能、プリンター機能、ファクシミリ機能等、複数の機能を有する。
【0014】
複合機11は、制御部12と、操作部13と、画像読み取り部14と、画像形成部15と、給紙カセット16と、記憶部としてのハードディスク17と、ネットワーク23と接続するためのネットワークインターフェース部18とを備える。制御部12は、一時的にデータを記憶する主記憶メモリ19を含み、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等から構成される。主記憶メモリ19は、記憶部としても機能する。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC、MCU等である。制御部12は、上記のROMまたは主記憶メモリ19に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、後述する第一制御部36等として機能し、複合機11全体の制御を行う。なお、制御部12の上記の各構成要素は、前述の制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されていてもよい。
【0015】
操作部13は、画像形成の部数、すなわち、印刷部数や用紙のサイズ、用紙の種類、用紙の搬送速度、画像形成の開始の命令、階調等の画像形成の条件といった画像形成に関するユーザーからの入力を受け付ける。操作部13は、複合機11側から発信される情報やユーザーの入力内容を表示する表示部としての表示画面21を含む。画像読み取り部14は、セット位置にセットされた原稿を読み取り位置に搬送する原稿搬送装置としてのADF(Auto Document Feeder)22を含む。画像読み取り部14は、ADF22または原稿を載置する載置台上にセットされた原稿の画像を読み取る。給紙カセット16は、複数枚の用紙をその内部に収納することができる。画像形成部15は、搬送されてきた用紙上にトナー像を形成する現像部24と、現像部24によりトナー像が形成された用紙にトナー像を定着させる定着装置25とを含む。画像形成部15は、画像読み取り部14により読み取られた原稿の画像データやネットワーク23を介して送信された画像データを基に、給紙カセット16から搬送されてきた用紙に画像を形成して印刷する。ハードディスク17は、ネットワーク23を介して受信した画像データや入力された画像形成条件等、画像形成に関するデータを記憶する。
【0016】
次に、定着装置25の構成について簡単に説明する。
図2は、定着装置25の一部の構成を概略的に示す図である。なお、理解の容易の観点から、
図2において、熱ローラー26の外形形状は、破線で図示している。併せて
図2を参照して、定着装置25は、熱ローラー26と、圧ローラー27と、第一ヒーター28aと、第二ヒーター28bと、端部温度検知部29とを備える。熱ローラー26は、中空の円筒状であって、回転可能に設けられている。圧ローラー27は、中実の円柱状であって、回転可能に設けられている。熱ローラー26と圧ローラー27とはそれぞれ接触して設けられており、熱ローラー26と圧ローラー27との間に、トナー像が未定着の用紙が搬送される。そして、回転する熱ローラー26および圧ローラー27の加熱および加圧によりトナー像が用紙に定着される。
【0017】
熱ローラー26の内部には、第一ヒーター28aおよび第二ヒーター28bが配置される。第一ヒーター28aは、いわゆる棒状であり、長手方向の中央部31に抵抗体等から構成される加熱部32が設けられている。第一ヒーター28aは、この加熱部32により、熱ローラー26の長手方向の中央部31を内側から加熱するよう設けられている。第二ヒーター28bについてもいわゆる棒状であり、熱ローラー26内に配置された際に熱ローラー26の長手方向の端部、具体的には両端部33a、33bに抵抗体等から構成される加熱部34a、34bが設けられている。第二ヒーター28bは、この加熱部34a、34bにより、熱ローラー26の長手方向の両端部33a、33bを内側から加熱するよう設けられている。なお、第二ヒーター28bは、熱ローラー26の長手方向の両端部33a、33bを加熱する、端部温度検知部29は、熱ローラー26の長手方向の端部、この場合、長手方向の一方側の端部33aの温度を検知する。端部温度検知部29としては、例えば、サーミスタ等が用いられる。
【0018】
また、複合機11に備えられる制御部12は、第一制御部36と、第二制御部37とを備える。第一制御部36は、第一ヒーター28aに供給する電力のデューティー比である第一デューティー比で第一ヒーター28aに供給する電力を制御する。第二制御部37は、後述する抽出部48により抽出された第二デューティー比のデータで第二ヒーター28bに供給する電力を制御する。
【0019】
ここで、デューティー比について簡単に説明すると、以下の通りである。
図3は、第一ヒーター28aに供給される電圧を示すグラフである。
図3を参照して、線38に示す信号によって表される第一ヒーター28aに供給する電圧は、オン状態とオフ状態とを繰り返している。ここで、一つのオン状態および一つのオフ状態の組み合わせのうち、全体に対するオン状態に要する時間の割合をデューティー比としている。すなわち、
図3に示す場合、一組のオン状態とオフ状態との総和の時間を時間T
1、オン状態の時間を時間T
2とすると、デューティー比は、T
2/T
1×100で算出される百分率で示される。例えば、デューティー比が35(%)とすると、時間T
1に対する時間T
2の割合が35%であることを意味する。このデューティー比が高くなると、電力を多く供給していることになる。
【0020】
複合機11は、用紙の幅の情報を取得する幅情報取得部39を備える。幅情報取得部39は、画像を形成する際に用いられる用紙の幅の情報を取得する。幅情報取得部39は、例えば、操作部13を介して入力される用紙のサイズ等に基づいて用紙の幅の情報を取得する。
【0021】
ハードディスク17には、幅情報取得部39により検知された用紙の幅の情報に基づく用紙幅条件、端部温度検知部29により検知された端部の温度と予め定められた目標温度との差分に対応する温度条件、および第一デューティー比に基づいて導出される、第二ヒーター28bに供給する電力のデューティー比である第二デューティー比のデータが記憶されている。具体的には、用紙幅が200mm、差分が0、第一デューティー比が50である場合、用紙幅が185mm以上215mm未満という用紙幅条件であり、温度条件が−5以上5未満であるため、第一デューティー比50に対応する第二デューティー比は35であるといったデータが記憶されている。なお、これらのデータは、各用紙幅条件、温度条件毎にテーブル形式で記憶されている。具体的には、第一デューティー比は5刻みで分割されている。なお、温度条件の算出に用いる端部の目標温度のデータについても、ハードディスク17に記憶されている。
【0022】
複合機11は、用紙への画像形成時の環境条件を検知する環境条件検知部41を備える。環境条件検知部41は、さらに複数の検知部等を備える。具体的には、環境条件検知部41は、速度検知部42と、サイズ検知部43と、重さ検知部44と、環境温度検知部45と、二次給紙判断部46とを備える。速度検知部42は、画像形成時の用紙の搬送速度、例えば、全速であるとか半速であるといったことを検知する。サイズ検知部43は、用紙のサイズ、具体的には、例えば、A3サイズとかA4サイズといった用紙のサイズを検知する。重さ検知部44は、用紙の重さ、例えば、坪量等を検知する。環境温度検知部45は、複合機11が設置された環境条件、具体的には、例えば、複合機11が設置された箇所の温度を検知する。二次給紙判断部46は、給紙される用紙が二次給紙開始移行であるか否かを判断する。
【0023】
ハードディスク17には、環境条件検知部41により検知された環境条件に基づいた温度情報の補正値のデータが記憶されている。具体的には、検知された画像形成時の用紙の搬送速度、用紙のサイズ、用紙の重さ、複合機11が設置された箇所の温度、二次給紙か否かに基づいて対応する温度条件の補正値が記憶されている。例えば、環境条件について、全速、8段階で区別された中の重い順からの重さレベル5、5段階で区別された中の真ん中のサイズであるサイズ3、複合機11が設置された箇所の温度として常温、二次給紙開始移行である場合、温度条件の補正値は25となる。なお、これらのデータは、重さレベルやサイズレベル毎にテーブル形式で記憶されている。
【0024】
また、複合機11に備えられる制御部12は、補正値導出部47と、抽出部48とを備える。補正値導出部47は、環境条件検知部41により検知された環境条件に基づいて温度条件の補正値を導出する。抽出部48は、補正値導出部47により導出された温度条件の補正値を反映させて、ハードディスク17に記憶された第二デューティー比のデータの中から第二デューティー比のデータを抽出する。これらの構成については、後述する。
【0025】
次に、この複合機11において、用紙に画像を形成する場合の処理の流れについて説明する。
図4は、
図1に示す複合機において、用紙に画像を形成する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0026】
併せて
図4を参照して、複合機11は、例えば、コピーの要求等、画像形成の要求を受け付ける(
図4において、ステップS11においてYES、以下、「ステップ」を省略する)。この場合、複数枚の用紙への画像形成の要求を受け付けるとする。
【0027】
そうすると、用紙の幅の情報等を取得する(S12)。この場合、幅情報取得部39は、操作部13を介して入力された指定する用紙のサイズのデータから用紙の幅の情報を取得してもよい。また、併せて熱ローラー26の端部33aの温度を端部温度検知部29により取得する。なお、端部温度検知部29により検知された熱ローラー26の端部33aの温度は、予め定められた目標温度との差分を算出する際に利用される。さらに、第一デューティー比の情報も取得する。なお、これらの情報については、例えば、主記憶メモリ19等に記憶しておく。
【0028】
次に、環境条件検知部41により環境条件を検知する(S13)。具体的には、速度検知部42により、用紙の搬送の速度、例えば、用紙の線速が全速であるとか半速であるといったことを検知する。この場合、操作部13による入力により検知することにしてもよい。また、サイズ検知部43により、用紙のサイズを検知する。また、重さ検知部44により、用紙の重さを検知する。これらの場合も、例えば、操作部13を介して入力された指定する用紙のサイズ、用紙の種類等から検知する。また、環境温度検知部45により、複合機11が設置された環境の温度を検知する。さらに、二次給紙判断部46により、給紙される用紙が二次給紙開始移行であるか否かを判断する。
【0029】
そして、これらの検知された環境条件から、補正値導出部47は、温度条件の補正値を導出する(S14)。すなわち、補正値導出部47は、速度検知部42により検知された用紙の速度、サイズ検知部43により検知された用紙のサイズ、重さ検知部44により検知された用紙の重さ、環境温度検知部45により検知された複合機11が設置された箇所の温度、二次給紙判断部46により判断された、給紙された用紙が二次給紙開始移行であるか否かの判断に基づいて温度条件の補正値を導出する。この場合、ハードディスク17に記憶されたテーブルの情報に基づいて導出する。例えば、この補正値を25とする。
【0030】
その後、導出された補正値で温度条件を補正する(S15)。すなわち、温度条件の各値について、それぞれ補正値である25を足し合わせる。
【0031】
図5は、補正前のテーブルの一部を示す概念図である。
図6は、温度条件の各値に補正値を足し合わせた補正後のテーブルの一部を示す概念図である。まず
図5を参照して、補正前のテーブル51は、例えば、1つの用紙幅条件に対して7つの温度条件52a、52b、52c、52d、52e、52f、52gが規定されている。そして、補正前のテーブル51について、それぞれの温度条件52a〜52fのうちの一点鎖線で囲む下限値53は、大きいものから順に15、10、5、−15、−23、−25となっている。また、温度条件52b〜52gのうちの二点鎖線で囲む上限値54は、大きいものから順に15、10、5、−15、−23、−25となっている。これらの下限値53および上限値54に対して、補正値「25」を足し合わせる。すなわち、下限値53および上限値54をシフトするようにする。
【0032】
図6を参照して、補正後のテーブル56は、1つの用紙幅条件に対して補正値を反映させた7つの温度条件57a、57b、57c、57d、57e、57f、57gが規定されることとなる。温度条件57a〜57fのうちの一点鎖線で囲む下限値58は、大きいものから順に40、35、30、10、2、0となっている。また、温度条件57b〜57gのうちの二点鎖線で囲む上限値59は、大きいものから順に40、35、30、10、2、0となっている。
【0033】
抽出部48は、補正値導出部47により導出された温度条件の補正値を反映させて、ハードディスク17に記憶された第二デューティー比のデータの中から第二デューティー比のデータを抽出する(S16)。
【0034】
そして、第二制御部37は、抽出部48により抽出された第二デューティー比のデータで第二ヒーター28bに供給する電力を制御する(S17)。すなわち、熱ローラー26の両端部33a、33bは、第二デューティー比に基づく第二ヒーター28bのオン状態、またはオフ状態に基づいて加熱される。これを画像形成が終了するまで行う(S18)。
【0035】
このような複合機11によると、環境条件を考慮して熱ローラー26の温度を制御しているため、より適切に用紙にトナー像を定着させることができる。すなわち、温度が高い場合でも低い場合でも、より適切に熱ローラー26の温度を制御して用紙にトナー像を定着させることができる。したがって、このような複合機11は、より適切に用紙に画像を形成することができる。
【0036】
すなわち、以下のような弊害を防ぐことができる。具体的には、例えば、用紙の速度が全速に対して半速に設定されていると、補正値として全速の場合の「35%」が設定されていたとすると、端部33a、33bの温度が上がり過ぎてしまうこととなる。逆に用紙が封筒のような厚紙であった場合、一律にデューティー比に対して厚紙の場合は10%アップと規定すると、現状測定した温度について端部33a、33bの温度が高かったとしても、さらに温度を上げる制御となってしまい、不適切なデューティー比となってしまう。しかし、上記した複合機11によれば、このような弊害を防ぐことができる。
【0037】
この場合、環境条件検知部41は、画像形成時の用紙の搬送速度、用紙のサイズ、用紙の重さ、複合機11の設置された温度、および用紙が二次給紙開始移行か否かの情報を環境条件として検知するため、より厳密に環状条件に沿った第二デューティー比の制御を行うことができる。
【0038】
また、この場合、ハードディスク17には、所定の環境条件に対応した温度条件の補正値が複数記憶されており、補正値導出部47は、ハードディスク17に記憶されている複数の温度条件の補正値の中から導出するため、温度条件の補正値を導出する際に複雑な計算を行う必要がなくなり、処理負担の軽減を図ることができる。
【0039】
なお、上記の実施の形態においては、環境条件検知部41は、画像形成時の用紙の搬送速度、用紙のサイズ、用紙の重さ、画像形成装置の設置された温度、および用紙が二次給紙開始移行か否かの情報を環境条件として検知することとしたが、これに限らず、環境条件検知部41は、画像形成時の用紙の搬送速度、用紙のサイズ、用紙の重さ、画像形成装置の設置された温度、および用紙が二次給紙開始移行か否かの情報のうちの少なくともいずれか一つを環境条件として検知するようにしてもよい。こうすることによっても、環状条件に沿った第二デューティー比の制御を行うことができる。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。