(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動機構による前記嵌合部の前記軸方向に沿う移動範囲における、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合する嵌合位置を含む前記被嵌合部に近い側の領域を第一領域とし、前記第一領域よりも前記被嵌合部から遠い側の領域を第二領域として、
前記嵌合部が前記第一領域にある状態では、前記支持機構による前記引渡側軸部の動きを許容し、前記嵌合部が前記第二領域にある状態では、前記支持機構による前記引渡側軸部の動きを規制する規制機構をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のロール体移載装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ロール体移載装置の実施形態について、図面を参照して説明する。ロール体移載装置2は、ロール体支持装置8(
図3を参照)にロール体9を引き渡すための装置である。本実施形態では、ロール体搬送車1に備えられたロール体移載装置2を例として説明する。
【0011】
図1に示すように、ロール体9は、コア9Aと、当該コア9Aに巻回されたシート材9Bとを有する。コア9Aは、その軸方向に沿う円形の貫通孔を有する円筒状に形成されている。シート材9Bは、例えば紙や樹脂フィルム等を薄く長尺状に形成したものである。シート材9Bは、例えば印刷原紙やフィルム原反、発泡シート等であって良い。シート材9Bの幅は、コア9Aの長さと同程度(図示の例では、コア9Aよりも若干短い程度)とされている。
【0012】
図3及び
図4に示すように、ロール体支持装置8は、ロール体搬送車1(ロール体移載装置2)からロール体9を受け取って当該ロール体9を支持するための装置である。ロール体支持装置8は、床面Fに設置された装置本体81と、この装置本体81に固定された受取側軸部82とを備えている。装置本体81は、床面Fにおける予め定められた定位置に移動不能に設置されている。本実施形態では、床面Fが「ロール体支持装置の設置面」に相当する。受取側軸部82は、棒状に形成されているとともに、一方の端部である基端部だけが装置本体81に固定され、他方の端部である先端部は固定されていない。すなわち、棒状の受取側軸部82は、片持ち状態で装置本体81に固定されている。
【0013】
受取側軸部82は、ロール体9のコア9Aの内径よりも小径に形成されている。このため、受取側軸部82は、円筒状のコア9Aに挿入可能となっている。そして、ロール体支持装置8は、コア9Aに挿入される受取側軸部82でロール体9を支持する。ロール体支持装置8は、固定側の受取側軸部82に対して円筒状のコア9Aが外挿された状態で、ロール体9を支持する。なお、以下の説明において、ロール体支持装置8の受取側軸部82の軸方向を「第一方向X」と言う。
【0014】
受取側軸部82の非固定側の端部である先端部には、被嵌合部83が形成されている。被嵌合部83は、嵌合凹部として形成されている。被嵌合部83(嵌合凹部)は、第一方向Xに沿って円錐状に窪むように形成されている。この被嵌合部83には、ロール体移載装置2の引渡側軸部10の先端部に形成された嵌合部11が嵌合可能となっている。
【0015】
図1に示すように、ロール体搬送車1は、ロール体移載装置2と、当該ロール体移載装置2を支持するとともに床面Fに沿って走行する走行台車3とを備えている。走行台車3は、床面Fに沿う方向(水平方向)において第一方向Xに直交する第二方向Yに沿って走行する。走行台車3は、矩形状(長方形状)の台車本体3Aと、台車本体3Aの下面に固定された走行車輪3B(
図3を参照)とを有する。走行台車3は、第一駆動部71(
図5を参照)により駆動される走行車輪3Bが転動することにより、床面F上を走行する。走行台車3は、本実施形態において長方形状の台車本体3Aの長手方向に沿って走行するように構成されている。走行台車3は、有人走行するように構成されても良いし、無人走行するように構成されても良い。好ましくは後者であり、本実施形態のロール体搬送車1は、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle;AGV)として構成されている。
【0016】
ロール体移載装置2は、その幅方向を本実施形態において長方形状の台車本体3Aの長手方向に沿わせる状態で、台車本体3Aに載置されている。走行台車3に載置されたロール体移載装置2は、走行台車3の走行に伴って幅方向に沿って移動する。そして、ロール体移載装置2は、ロール体支持装置8に対向する位置まで移動して当該位置に停止している状態で、ロール体支持装置8にロール体9を引き渡す。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ロール体移載装置2は、引渡側軸部10と、移動機構20と、支持機構Sと、規制機構60とを備えている。また、ロール体移載装置2は、昇降機構50をさらに備えている。
【0018】
引渡側軸部10は、移動機構20及び支持機構Sを介して走行台車3に支持されている。引渡側軸部10は、棒状に形成されているとともに、片持ち状態で支持機構S側に固定されている。引渡側軸部10は、第一方向Xに沿う姿勢を基準姿勢として、ロール体支持装置8の受取側軸部82とは反対向きの片持ち状態で固定されている(
図3を参照)。
【0019】
引渡側軸部10は、ロール体9のコア9Aの内径よりも小径に形成されている。このため、引渡側軸部10は、円筒状のコア9Aに挿入可能となっている。そして、ロール体移載装置2は、コア9Aに挿入される引渡側軸部10でロール体9を支持する。ロール体移載装置2は、引渡側軸部10に対して円筒状のコア9Aが外挿された状態で、ロール体9を支持する。
【0020】
引渡側軸部10の非固定側の端部である先端部には、嵌合部11が形成されている。嵌合部11は、嵌合凸部として形成されている。嵌合部11(嵌合凸部)は、引渡側軸部10の軸方向に沿って円錐状に突出するように形成されている。この嵌合部11は、ロール体支持装置8の受取側軸部82の先端部に形成された被嵌合部83に嵌合可能となっている。
【0021】
ロール体移載装置2には、引渡側軸部10の嵌合部11と受取側軸部82の被嵌合部83とが嵌合していることを検出する嵌合検出センサ12が設けられている。嵌合検出センサ12は、嵌合部11と被嵌合部83との嵌合が完了していることを検出する。嵌合検出センサ12の検出方式は特に限定されない。本実施形態の嵌合検出センサ12は、光反射式の距離センサで構成されている。嵌合検出センサ12を構成する距離センサは、その光軸が被嵌合部83の表面に直交するように、引渡側軸部10の嵌合部11に内蔵されている。この場合において、複数の距離センサで嵌合検出センサ12を構成することができ、本実施形態では3つの距離センサで嵌合検出センサ12が構成されている。これら複数の距離センサは、好ましくは、同じ径方向の位置において周方向に均等となる位置関係で嵌合部11に内蔵されている。このようにすれば、嵌合部11と被嵌合部83とが嵌合する際の荷重の伝達状態にほとんど影響を与えることなく、嵌合部11と被嵌合部83との嵌合の有無を高精度に検出することができる。例えば嵌合検出センサ12は、全ての距離センサで検知される被嵌合部83の表面までの距離が予め定められた当接判定距離以下となったことに基づいて、嵌合が完了したことを検出する。
【0022】
引渡側軸部10には、当該引渡側軸部10に外挿された環状のプッシャー15が備えられている(
図3を参照)。プッシャー15は、第四駆動部74により駆動されて、引渡側軸部10の軸方向(概ね、第一方向X)に沿って往復移動可能となっている。プッシャー15は、引渡側軸部10にロール体9が支持されており、かつ、その側面がロール体9の側面に当接している状態で、ロール体支持装置8側に移動することで、ロール体9をロール体支持装置8に引き渡す。
【0023】
移動機構20は、第一方向Xに沿って引渡側軸部10を受取側軸部82側に近接移動させる。移動機構20は、第一方向Xに沿って引渡側軸部10を移動させることで、嵌合部11を被嵌合部83に接近させ、或いは、被嵌合部83から嵌合部11を離間させる。このような移動機構20は、第一ガイド体21と、第一スライド基台24と、ブロック体25とを含んで構成されている。第一ガイド体21は、設置台22を介して走行台車3の台車本体3Aに固定されている。一対の直線状の第一ガイド体21が、第二方向Y(本実施形態において長方形状の台車本体3Aの長手方向)の異なる位置に分かれて、第一方向X(台車本体3Aの短手方向)に沿う状態で設置されている。第一ガイド体21は、例えば案内レールである。
【0024】
図2に示すように、第一スライド基台24は、板状部材で構成されている。第一スライド基台24は、中央部24Aと、当該中央部24Aに対して第二方向Yの両側に設けられた両端部24Bとを有する。中央部24A及び両端部24Bは、それぞれ平板状(平坦な板状)に形成されている。第一スライド基台24は、両端部24Bが中央部24Aよりも上側に位置するように、第二方向Yの両側をそれぞれクランク状に屈曲させて形成されている。両端部24Bの下面に、ブロック体25が固定されている。ブロック体25は、第一ガイド体21に係合する係合溝を備えており、この係合溝が第一ガイド体21に係合した状態で第一ガイド体21に沿って滑動する。第一スライド基台24は、第三駆動部73(
図5を参照)により駆動されて、第一ガイド体21に沿って(第一方向Xに沿って)スライド移動するように構成されている。
【0025】
第一スライド基台24には支持機構Sを介して引渡側軸部10が支持されているので、可動範囲内での第一スライド基台24のスライド移動に伴い、引渡側軸部10は、受取側軸部82側に近接移動し、或いは、受取側軸部82側から離間移動する。移動機構20の作用により、引渡側軸部10は、嵌合部11が被嵌合部83に嵌合する嵌合位置Pfと、可動範囲Rm内で嵌合位置Pfとは反対側の離間位置Psとの間でスライド移動可能となっている(
図3を参照)。
【0026】
引渡側軸部10を支持する支持機構Sは、第一スライド基台24に設置されている。この支持機構Sは、第一スライド基台24に対して引渡側軸部10を完全に動かない状態で支持するのではなく、引渡側軸部10のある程度の動きを許容した状態で当該引渡側軸部10を支持するように構成されている。すなわち、本実施形態の支持機構Sは、フローティング支持機構として構成されている。より具体的には、支持機構Sは、第一方向Xに対する引渡側軸部10の揺動、及び、第一方向Xに直交する方向の引渡側軸部10の移動、の少なくとも一方を許容した状態で、当該引渡側軸部10を支持するように構成されている。本実施形態の支持機構Sは、これら両方の移動を許容した状態で引渡側軸部10を支持するように構成されており、スライド支持機構30及び揺動支持機構40の両方を含んでいる。
【0027】
スライド支持機構30は、引渡側軸部10の全体が第一方向Xに直交する方向に沿ってスライド移動することを許容した状態で、当該引渡側軸部10を支持する。本実施形態のスライド支持機構30は、引渡側軸部10の全体が、第一方向Xに直交するとともに床面F(水平面)に沿った方向である第二方向Yに沿ってスライド移動することを許容した状態で、当該引渡側軸部10を支持する。このようなスライド支持機構30は、第二ガイド体31と、第二スライド基台32と、ブロック体33とを含んで構成されている。
【0028】
第二ガイド体31は、第一スライド基台24の中央部24Aの上面に固定されている。一対の直線状の第二ガイド体31が、第一方向Xの異なる位置に分かれて、第二方向Yに沿う状態で設置されている。第二ガイド体31は、例えば案内レールである。
【0029】
第二スライド基台32は、板状部材で構成されている。第二スライド基台32は、平板状に形成されている。第二スライド基台32は、第一スライド基台24の中央部24Aよりも小さく(ここでは特に、第二方向Yの長さが短く)形成されている。第二スライド基台32の下面に、ブロック体33が固定されている。ブロック体33は、第二ガイド体31に係合する係合溝を備えており、この係合溝が第二ガイド体31に係合した状態で第二ガイド体31に沿って滑動する。こうして、第二スライド基台32は、第二ガイド体31に沿って(第二方向Yに沿って)スライド移動するように構成されている。第二スライド基台32は、第一スライド基台24における中央部24Aと両端部24Bとの境界の2箇所の段差部間で、スライド移動可能である。
【0030】
揺動支持機構40は、引渡側軸部10の揺動を許容した状態で引渡側軸部10を支持する。本実施形態の揺動支持機構40は、第一方向Xに対する床面F(水平面)に沿った引渡側軸部10の揺動を許容した状態で、当該引渡側軸部10を支持する。このとき、揺動支持機構40は、引渡側軸部10における先端部側(嵌合部11側)とは反対側の基端部側が、先端部側(嵌合部11側)よりも大きく揺動するように、引渡側軸部10を支持する。このような揺動支持機構40は、第三ガイド体41と、第三スライド基台42と、ブロック体43と、軸支持部44とを含んで構成されている。
【0031】
図2に示すように、第三ガイド体41は、第二スライド基台32の上面に固定されている。第三ガイド体41は、第一ガイド体21や第二ガイド体31とは異なり、円弧状に形成されている。第三ガイド体41は、引渡側軸部10の長さ相当の曲率半径を有する円弧状に形成されている。一対の円弧状の第三ガイド体41が、第一方向Xの異なる位置に分かれて設置されている。第三ガイド体41は、例えば案内レールである。
【0032】
第三スライド基台42は、支持台42Aと、この支持台42Aから立設された枠体42Bとを有する。支持台42Aは、矩形状の枠体とその下面に固定された平板状の板材とからなり、第二スライド基台32と平行に配置されている。支持台42Aに軸支持部44が固定されており、この軸支持部44に引渡側軸部10が基端部側で固定されて、引渡側軸部10が片持ち状態で支持されている。なお、軸支持部44は、昇降機構50を構成する第四スライド基台52と同期して、昇降自在に構成されている。枠体42Bは、支持台42Aにおける第一方向Xの一方の端部(ロール体支持装置8側の端部)から上方に向けて立設されている。枠体42Bは、矩形枠状に形成されている。
【0033】
また、支持台42Aの下面に、ブロック体43が固定されている。ブロック体43は、円弧状の第三ガイド体41の接線方向に沿うように配列されている。ブロック体43は、第三ガイド体41に係合する係合溝を備えており、この係合溝が第三ガイド体41に係合した状態で第三ガイド体41に沿って滑動する。こうして、第三スライド基台42は、第三ガイド体41に沿ってスライド移動するように構成されている。ここで、第三ガイド体41は引渡側軸部10の長さ相当の曲率半径を有する円弧状に形成されているため、第三スライド基台42は、引渡側軸部10の先端部である嵌合部11の位置を中心として水平面に沿って揺動することになる。すなわち、揺動支持機構40は、引渡側軸部10の嵌合部11の位置を中心とする、当該引渡側軸部10における嵌合部11とは反対側の基端部の水平面に沿う揺動を許容した状態で、当該引渡側軸部10を支持する。
【0034】
昇降機構50は、第一方向X及び第二方向Yの両方に直交する第三方向Z(本例では上下方向)に沿って、軸支持部44に支持された状態の引渡側軸部10を昇降させる。昇降機構50は、第四ガイド体51と、第四スライド基台52と、ブロック体53(
図1を参照)とを含んで構成されている。第四ガイド体51は、第三スライド基台42を構成する枠体42Bに固定されている。一対の直線状の第四ガイド体51が、枠体42Bの第二方向Yの両側の辺部に、第三方向Zに沿う状態で固定されている。第四ガイド体51は、例えば案内レールである。
【0035】
第四スライド基台52は、板状部材で構成されている。第四スライド基台52は、中央部52Aと、当該中央部52Aに対して第二方向Yの両側に設けられた両端部52Bとを有する。中央部52A及び両端部52Bは、それぞれ平板状に形成されている。第四スライド基台52は、第二方向Yの両側をそれぞれクランク状に屈曲させて形成されている。中央部52Aには貫通孔が形成されており、この貫通孔を貫通する状態で、引渡側軸部10が配設されている。
【0036】
また、両端部24Bにおける枠体42Bに対向する面に、ブロック体53が固定されている。ブロック体53は、第四ガイド体51に係合する係合溝を備えており、この係合溝が第四ガイド体51に係合した状態で第四ガイド体51に沿って滑動する。第四スライド基台52は、例えばボールネジ機構を含む第二駆動部72により駆動されて、第四ガイド体51に沿って(第三方向Zに沿って)昇降するように構成されている。昇降機構50の作用により、ロール体支持装置8の受取側軸部82に対する引渡側軸部10の高さ調整(第三方向Zの位置合わせ)を行うことができる。
【0037】
ロール体搬送車1には、ロール体移載装置2及び走行台車3を制御するための制御部70(
図5を参照)が備えられている。制御部70は、第一駆動部71と、第二駆動部72と、第三駆動部73と、第四駆動部74とを制御する。第一駆動部71は、例えば電動モータと変速機構とを含んで構成され、走行台車3を第二方向Yに沿って走行させる。第二駆動部72は、例えば電動モータとボールネジ機構とを含んで構成され、昇降機構50に働きかけて、第四スライド基台52及び引渡側軸部10を第三方向Zに沿って昇降させる。第三駆動部73は、例えば電動モータとボールネジ機構とを含んで構成され、移動機構20に働きかけて、第二スライド基台32及び引渡側軸部10を第一方向Xに沿ってスライド移動させる。
【0038】
第四駆動部74は、例えば電動モータを含む噛み合いチェーン式アクチュエータで構成され、引渡側軸部10に外挿されたプッシャー15を第一方向Xに沿ってスライド移動させる。噛み合いチェーン式アクチュエータは、一対のチェーンが互いに噛み合った状態で1本の棒状となり、一対のチェーンが分離した状態でそれぞれを巻取可能に構成されたチェーン部と、チェーン部の巻き取り及び繰り出しを行う駆動部とを備えている。第四駆動部74をこのような噛み合いチェーン式アクチュエータを用いて構成することで、第四駆動部74を小スペースにコンパクトに収納しつつ、ロール体9の移載のために必要なプッシャー15のストローク量を確保することができる。もちろん、第四駆動部74の具体的構成はこれに限定されず、例えばラックアンドピニオン機構を有するギヤ機構や、流体圧シリンダを有するシリンダ機構等を用いても良い。
【0039】
なお、第一駆動部71で駆動される走行台車3、第三駆動部73で駆動される移動機構20、及び第二駆動部72で駆動される昇降機構50とは異なり、支持機構S(スライド支持機構30及び揺動支持機構40)には、これを積極的に駆動するための駆動部は設けられていない。
【0040】
上述したように、引渡側軸部10は、移動機構20の作用により、嵌合位置Pfと離間位置Psとの間で第一方向Xに沿ってスライド移動可能となっている。また、支持機構S(スライド支持機構30及び揺動支持機構40)は、引渡側軸部10の揺動、及び、引渡側軸部10のスライド移動の両方を許容した状態で、当該引渡側軸部10を支持するように構成されている。この支持機構Sによる引渡側軸部10のフローティング支持は、可動範囲Rmの全域ではなく、嵌合位置Pfを含む第一領域R1でのみ機能発現するように構成されている。
図3に示すように、第一領域R1は、移動機構20による嵌合部11の第一方向Xに沿う可動範囲Rmにおける、嵌合位置Pfを含む被嵌合部83に近い側の領域である。当該可動範囲Rmにおいて、第一領域R1よりも被嵌合部83から遠い側の領域を第二領域R2とすると、支持機構Sによる引渡側軸部10のフローティング支持は、第一領域R1でのみ機能発現し、第二領域R2ではその機能が阻害されるように構成されている。
【0041】
なお、本実施形態では、第一領域R1は、嵌合部11と被嵌合部83とが、第一方向Xに直交する方向から見て少なくとも一部が重複する位置関係となる領域に設定されている。このため、嵌合凸部(本例では嵌合部11)の先端が嵌合凹部(本例では被嵌合部83)に挿入された状態となってからフローティング支持機能が発現し、それ以前の嵌合凸部が嵌合凹部から離れている状態ではフローティング支持機能が阻害される。これにより、嵌合部11と被嵌合部83との嵌合開始を円滑に行うことができる。
【0042】
かかる目的のために、ロール体移載装置2には規制機構60が具備されている。
図1及び
図2に示すように、規制機構60は、規制ブロック61と、第一ローラ66と、第二ローラ68とを含んで構成されている。規制ブロック61は、支持機構Sに対して第二方向Yの一方側に隣接して配置されている。規制ブロック61は、扁平な直方体状に形成されている。規制ブロック61の一方の面である下面に、上側に向かって窪む第一溝部62が形成されている。また、規制ブロック61の他方の面である上面に、下側に向かって窪む第二溝部63が形成されている。
図6に示すように、第一溝部62は、第一方向Xに沿う直線状の幅狭部62aと、幅狭部62aよりも被嵌合部83に近い側に設けられて幅狭部62aよりも幅広の幅広部62bとを含む。第二溝部63は、第一方向Xに沿う直線状の幅狭部63aと、幅狭部63aよりも被嵌合部83に近い側に設けられて幅狭部63aよりも幅広の幅広部63bとを含む。
【0043】
第一溝部62の幅狭部62a及び第二溝部63の幅狭部63aは、規制ブロック61における、上述した第二領域R2に対応する第二対応領域R2’に形成されている。幅狭部62a,63aは、平面視で(第三方向Zに見て)完全に重なるように配置されている。幅狭部62a,63aの溝幅は、第一ローラ66及び第二ローラ68の外径と同程度に設定されている。
【0044】
第一溝部62の幅広部62b及び第二溝部63の幅広部63bは、規制ブロック61における、上述した第一領域R1に対応する第一対応領域R1’に形成されている。幅広部62b,63bは、平面視で部分的に重なるように配置されている。第二溝部63の幅広部63bは、概ね、第一溝部62の幅広部62bよりも幅広に形成されており、平面視で第一溝部62の幅広部62bを包含するように配置されている。また、第一溝部62の幅広部62bは、幅狭部62a,63aの中心線に対して線対称に形成されているのに対して、第二溝部63の幅広部63bは、幅狭部62a,63aの中心線に対して非対称に形成されている。第二溝部63の幅広部63bは、幅狭部62a,63aの中心線に対して、支持機構Sに遠い側に比べて近い側でより急激に溝幅が広がるように形成されている。幅広部63bの平面視形状は、揺動支持機構40の揺動に伴う第二ローラ68の移動軌跡に基づいて設計されている。
【0045】
図2に示すように、規制ブロック61は、支持部材64を介して走行台車3の台車本体3Aに固定されている。第一溝部62に係入する第一ローラ66は、回転自在に第一連結部材67に軸支されているとともに、当該第一連結部材67を介して第二スライド基台32に連結されている。第二溝部63に係入する第二ローラ68は、回転自在に第二連結部材69に軸支されているとともに、当該第二連結部材69を介して第三スライド基台42に連結されている。
【0046】
例えば第一スライド基台24がロール体支持装置8とは反対側に位置しており(
図3を参照)、第一ローラ66及び第二ローラ68が第二対応領域R2’にある状態では、ローラ66,68が幅狭部62a,63aの側壁に当接し又は微小隙間を隔てて対向する。ローラ66,68の位置が幅狭部62a,63aの側壁によって拘束されるので、第二スライド基台32の第二方向Yに沿うスライド移動が規制されるとともに、第三スライド基台42の揺動が規制される。すなわち、規制機構60は、嵌合部11が第二領域R2にある状態で、支持機構S(スライド支持機構30及び揺動支持機構40)による引渡側軸部10の動き(スライド移動及び揺動)を規制する。
【0047】
一方、例えば移動機構20によって第一スライド基台24がロール体支持装置8側に押し出され(
図4を参照)、第一ローラ66及び第二ローラ68が第一対応領域R1’にある状態では、ローラ66,68が幅広部62b,63bの側壁から離れて配置される。ローラ66,68の位置は、幅広部62b,63bの側壁によっては拘束されないので、第二スライド基台32の第二方向Yに沿うスライド移動が許容されるとともに、第三スライド基台42の揺動が許容される。すなわち、規制機構60は、嵌合部11が第一領域R1にある状態では、支持機構S(スライド支持機構30及び揺動支持機構40)による引渡側軸部10の動き(スライド移動及び揺動)を許容する。
【0048】
ここで、引渡側軸部10は、走行台車3の停止誤差や床面Fの凹凸等に起因して、ロール体支持装置8の受取側軸部82と完全には同一直線上に並ばないこともあり得る。すなわち、引渡側軸部10は、受取側軸部82に対して、僅かに傾いたり第二方向Yに位置ずれしたりする場合があり得る(
図7の上段を参照)。このような場合には、引渡側軸部10の円錐状の嵌合部11が受取側軸部82の同じく円錐状の被嵌合部83に嵌合する際に、嵌合部11は被嵌合部83から偏荷重を受ける。
【0049】
この点について補足すると、引渡側軸部10と受取側軸部82とが同一直線上にあれば、嵌合部11は被嵌合部83から第一方向Xに平行な荷重だけを受ける。これに対して、引渡側軸部10と受取側軸部82とが傾いたり位置ずれしたりしていれば、嵌合部11は被嵌合部83から第一方向Xに交差する方向に荷重を受ける。上記の「偏荷重」とは、引渡側軸部10と受取側軸部82とが傾いたり位置ずれしたりしている場合に嵌合部11が被嵌合部83から受ける、第一方向Xに交差する方向の荷重である。
【0050】
この状態で、ロール体搬送車1(ロール体移載装置2)は、第三駆動部73を駆動して、移動機構20の第一スライド基台24をさらにロール体支持装置8側に押し出す力を作用させる。すると、嵌合部11が第一領域R1にある状態では支持機構Sはフローティングの状態となっているので、嵌合部11が被嵌合部83から受ける偏荷重が低減されるように、スライド支持機構30及び揺動支持機構40が従動的に動く。そして、嵌合部11と被嵌合部83との嵌合が完了するタイミングで、自動的に、嵌合部11が被嵌合部83から受ける偏荷重が最小となる、引渡側軸部10と受取側軸部82とが同一直線上に並ぶ状態に収束する(
図7の中段〜下段を参照)。
【0051】
すなわち、嵌合部11が被嵌合部83に嵌合することに伴って嵌合部11が被嵌合部83から受ける偏荷重が低減される方向への引渡側軸部10の動きを許容する支持機構Sを備えていることで、受取側軸部82に対して引渡側軸部10が傾いたり位置ずれしていたりしても、それらを自動的に矯正することができる。引渡側軸部10の傾きが揺動支持機構40の作用によって自動的に矯正され、引渡側軸部10の位置ずれがスライド支持機構30の作用によって自動的に矯正される。なお、上述したように、第三ガイド体41は引渡側軸部10の長さ相当の曲率半径を有する円弧状に形成されており、引渡側軸部10をその基端部側で支持する第三スライド基台42は引渡側軸部10の嵌合部11の位置を中心として揺動する。このため、揺動支持機構40による引渡側軸部10の傾きの矯正に際しては、引渡側軸部10の基端部側が円弧状軌跡に沿って揺動し、嵌合部11の位置はほぼ不変である(
図8を参照)。スライド支持機構30による引渡側軸部10の位置ずれの矯正に際しては、引渡側軸部10の全体が第二方向Yに沿って水平移動する。そして、これらの各動きが合成されて、引渡側軸部10と受取側軸部82とが完全に同一直線上に並んだ状態となる。よって、ロール体支持装置8に対するロール体9の引き渡しを円滑に行うことができる。
【0052】
引渡側軸部10の先端部(嵌合部11)は、樹脂材料で構成されることが好ましい。嵌合部11の構成材料は、例えばポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリフェニレンサルファイド等の、摩擦係数が比較的低い樹脂(低摩擦樹脂)であることが好ましい。このような構成であれば、円錐状の被嵌合部83の内面に沿って嵌合部11の先端が滑りやすく、受取側軸部82に対して引渡側軸部10が傾いたり第二方向Yに位置ずれしたりしていても、引渡側軸部10の自動調心を容易に行うことができる。上述した中では、耐摩耗性の観点から、例えばポリアミド樹脂を好ましく用いることができ、より具体的には、6ナイロンや66ナイロン、MCナイロン(monomer cast nylon)等を好ましく用いることができる。
【0053】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、支持機構Sがスライド支持機構30及び揺動支持機構40の両方を含んでいる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、支持機構Sがスライド支持機構30及び揺動支持機構40のうちのいずれか一方だけを含んで構成されても良い。例えば受取側軸部82に対する引渡側軸部10の位置ずれがほとんど生じないような場合には、支持機構Sが、揺動支持機構40だけを含んで構成されても良い。或いは、例えば受取側軸部82に対する引渡側軸部10の傾きがほとんど生じないような場合には、支持機構Sが、スライド支持機構30だけを含んで構成されても良い。
【0054】
(2)上記の実施形態では、支持機構Sが、床面F(水平面)に沿った方向の引渡側軸部10の動きを許容した状態で当該引渡側軸部10を支持する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、支持機構Sは、例えば鉛直面に沿った方向の引渡側軸部10の動きを許容した状態で当該引渡側軸部10を支持しても良い。或いは、支持機構Sは、例えば水平面及び鉛直面の両方に対して傾斜する平面に沿った方向の引渡側軸部10の動きを許容した状態で当該引渡側軸部10を支持しても良い。さらに、支持機構Sは、例えば水平面及び鉛直面の両方に沿った方向の引渡側軸部10の三次元的な動きを許容した状態で当該引渡側軸部10を支持しても良い。
【0055】
(3)上記の実施形態では、揺動支持機構40が、引渡側軸部10の先端部の位置を中心とする基端部の揺動を許容した状態で当該引渡側軸部10を支持する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、揺動支持機構40による揺動支持の揺動中心は、例えば引渡側軸部10の基端部の位置であっても良いし、引渡側軸部10の中間位置であっても良い。前者の場合には、揺動支持機構40は、引渡側軸部10の基端部の位置を中心とする先端部の揺動を許容した状態で当該引渡側軸部10を支持する。後者の場合には、揺動支持機構40は、引渡側軸部10の中間位置を中心とする先端部及び基端部の両方の揺動を許容した状態で当該引渡側軸部10を支持する。
【0056】
(4)上記の実施形態では、引渡側軸部10の嵌合部11及び受取側軸部82の被嵌合部83が円錐状に形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば嵌合部11及び被嵌合部83が円錐台状に形成されても良い。或いは、例えば嵌合部11及び被嵌合部83が、球面状、角錘状、及び角錘台状等の、他の形状に形成されても良い。
【0057】
(5)上記の実施形態では、引渡側軸部10の嵌合部11が嵌合凸部として形成され、受取側軸部82の被嵌合部83が嵌合凹部として形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば引渡側軸部10の嵌合部11が嵌合凹部として形成され、受取側軸部82の被嵌合部83が嵌合凸部として形成されても良い。
【0058】
(6)上記の実施形態では、嵌合検出センサ12が複数(具体的には3つ)の距離センサで構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、嵌合検出センサ12が1つの距離センサで構成されても良いし、複数の場合において嵌合検出センサ12が2つ又は4つ以上の距離センサで構成されても良い。或いは、例えば嵌合検出センサ12が、カメラ等の撮像手段や荷重センサ等で構成されても良い。
【0059】
(7)上記の実施形態では、規制機構60を構成する単一の規制ブロック61の上下両面に分かれて第一溝部62と第二溝部63とが形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば規制機構60が、第一溝部62が形成された第一規制ブロックと、第二溝部63が形成された第二規制ブロックとの組み合わせによって構成されても良い。
【0060】
(8)上記の実施形態では、規制機構60が溝部62,63を有する規制ブロック61と、溝部62,63に係入するローラ66,68とを含んで構成される例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば規制機構60が、ブレーキ機構を含んで構成されても良い。この場合、ブレーキ機構を含む規制機構60は、例えば嵌合部11が第二領域R2にある場合にのみ支持機構Sに対して制動力を加え、嵌合部11が第一領域R1にある場合にその制動を解除するように構成されると良い。或いは、必ずしも規制機構60が設けられなくても良い。
【0061】
(9)上記の実施形態では、第二駆動部72及び第三駆動部73が電動モータとボールネジ機構とを含んで構成される例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第二駆動部72及び第三駆動部73が、例えばラックアンドピニオン機構を有するギヤ機構や、流体圧シリンダを有するシリンダ機構等を含んで構成されても良い。
【0062】
(10)上記の実施形態では、ロール体搬送車1に備えられたロール体移載装置2を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ロール体移載装置2は、例えばロール体支持装置8に対向する状態で床面Fに設置された定置型の装置であっても良い。
【0063】
(11)上記の実施形態では、ロール体搬送車1が無人搬送車として構成され、走行台車3及びロール体移載装置2の動作が自動化されている構成を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばロール体移載装置2は自動化されていない手動式の装置であっても良い。或いは、走行台車3を含むロール体搬送車1の全体が、自動化されていない手動式の装置であっても良い。
【0064】
(12)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0065】
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係るロール体移載装置は、好適には、以下の各構成を備える。
【0066】
円筒状のコアにシート材が巻回されたロール体を前記コアに挿入される受取側軸部で支持するロール体支持装置に、前記ロール体を引き渡すロール体移載装置であって、
前記受取側軸部の先端部に設けられた被嵌合部に嵌合する嵌合部を先端部に有し、前記コアに挿入された状態で前記ロール体を支持する引渡側軸部と、
前記受取側軸部の軸方向に沿って前記引渡側軸部を移動させ、前記嵌合部を前記被嵌合部に接近させる移動機構と、
前記軸方向に対する揺動及び前記軸方向に直交する方向の移動の少なくとも一方についての前記引渡側軸部の動きを
案内すると共に前記引渡側軸部を支持する支持機構と、を備え、
前記支持機構は、前記引渡側軸部の先端部側に設けられた前記嵌合部の位置を中心として、前記引渡側軸部の長さ相当の曲率半径を有する円弧状軌跡に沿う前記引渡側軸部の基端部側の揺動を案内すると共に前記引渡側軸部を支持する揺動支持機構を含み、
前記支持機構は、
前記引渡側軸部が前記揺動支持機構に案内されて揺動することにより、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合することに伴って前記嵌合部が前記被嵌合部から受ける偏荷重が低減される方向への前記引渡側軸部の動きを許容する。
【0067】
この構成によれば、支持機構は引渡側軸部の動きを許容した状態で当該引渡側軸部を支持するので、嵌合部が被嵌合部に嵌合する際に、受取側軸部に対する引渡側軸部の相対位置及び相対姿勢の少なくとも一方を可変とすることができる
。
【0068】
そして、嵌合部と被嵌合部との嵌合に伴って嵌合部が被嵌合部から受ける偏荷重が低減される方向への引渡側軸部の動きを許容することで、そのような偏荷重が最小となる、受取側軸部と引渡側軸部とが同一直線上に並ぶ状態に近づけることができる。
【0069】
また、嵌合部と被嵌合部とを嵌合させる際に、引渡側軸部の細かい位置制御や姿勢制御を行わなくても、自動的に、受取側軸部と引渡側軸部とが同一直線上に並ぶ状態に近づけることができる。
【0070】
更に、引渡側軸部の基端部側だけが揺動して先端部側の嵌合部の位置がずれないので、当該嵌合部を受取側軸部の被嵌合部に嵌合させる際の嵌合動作を容易に行うことができる。
【0071】
従って、ロール体支持装置に対するロール体の引き渡しを円滑に行うことができるロール体移載装置を実現することができる。
【0072】
一態様として、
前記支持機構は
、前記軸方向に直交する方向に沿
う前記引渡側軸部の全体のスライド移動
を案内すると共に前記引渡側軸部を支持するスライド支持機構を含むことが好ましい。
【0073】
この構成によれば、スライド支持機構は軸方向に直交する方向に沿う引渡側軸部のスライド移動を許容した状態で当該引渡側軸部を支持するので、嵌合部が被嵌合部に嵌合する際に、受取側軸部に対する引渡側軸部の相対位置を可変とすることができる。そして、仮に受取側軸部に対して引渡側軸部が位置ずれした状態で嵌合部と被嵌合部とが嵌合し始めたとしても、その嵌合が完了するまでの間に、受取側軸部に対する引渡側軸部の位置ずれを矯正することができる。よって、受取側軸部と引渡側軸部とが同一直線上に並ぶ状態に近づけることができ、ロール体の引き渡しを円滑に行うことができる。
【0074】
一態様として、
前記支持機構は、前記ロール体支持装置の設置面に沿った方向の前記引渡側軸部の動きを
案内することが好ましい。
【0075】
この構成によれば、ロール体移載装置が例えばロール体支持装置の設置面に沿って走行する走行台車に載置される場合に、走行台車の停止位置の精度があまり高くなくても、その停止位置の誤差を吸収しやすい。また、一般にロール体支持装置の設置面は水平面であることが多いため、ロール体支持装置の設置面(典型的には水平面)に沿った方向の引渡側軸部の動きを支持機構が許容する構成とすることで、各動きに対する重力の作用を均等化することができる。よって、例えば鉛直面に沿った方向の引渡側軸部の動きを支持機構が許容するような構成に比べて、受取側軸部に対する引渡側軸部の相対位置及び相対姿勢の少なくとも一方の調整が容易である。
【0076】
一態様として、
前記移動機構による前記嵌合部の前記軸方向に沿う移動範囲における、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合する嵌合位置を含む前記被嵌合部に近い側の領域を第一領域とし、前記第一領域よりも前記被嵌合部から遠い側の領域を第二領域として、
前記嵌合部が前記第一領域にある状態では、前記支持機構による前記引渡側軸部の動きを許容し、前記嵌合部が前記第二領域にある状態では、前記支持機構による前記引渡側軸部の動きを規制する規制機構をさらに備えることが好ましい。
【0077】
この構成によれば、移動機構により軸方向に沿って引渡側軸部を移動させる場合に、嵌合部が第一領域に到達するまでは、引渡側軸部の動きが規制される。このため、例えば嵌合部が第二領域にある状態で被嵌合部に対向させてから軸方向に沿って引渡側軸部を移動させて嵌合部を被嵌合部に接近させる場合に、嵌合部のふらつきを抑制することができる。そこからさらに嵌合部が被嵌合部に接近して、嵌合部が第一領域に到達した後は、引渡側軸部の動きが許容されるため、上述したようにして受取側軸部と引渡側軸部とが同一直線上に並ぶ状態に近づけることができる。よって、ロール体の引き渡しを円滑に行うことができる。
【0078】
一態様として、
前記嵌合部と前記被嵌合部とが嵌合していることを検出する嵌合検出センサを備えていることが好ましい。
【0079】
この構成によれば、嵌合検出センサによる検出結果に基づいて、嵌合部と被嵌合部とが実際に嵌合しているか否かを判定することができる。よって、例えば嵌合部と被嵌合部とが嵌合していない状態でロール体の移載を開始してしまうような不具合の発生を未然に防止することができる。
【0080】
一態様として、
前記嵌合検出センサは、光反射式の距離センサであり、その光軸が前記被嵌合部の表面に直交するように前記嵌合部に内蔵されていることが好ましい。
【0081】
この構成によれば、比較的簡素な構成で、嵌合部と被嵌合部とが嵌合する際の荷重の伝達状態にほとんど影響を与えることなく、嵌合部と被嵌合部とが実際に嵌合しているか否かを適切に判定することができる。
【0082】
一態様として、
前記嵌合部と前記被嵌合部とが、円錐状又は円錐台状の嵌合凸部と嵌合凹部との組み合わせで構成されていることが好ましい。
【0083】
この構成によれば、仮に引渡側軸部が受取側軸部に対して傾いたり位置ずれしたりしていたとしても、少なくとも嵌合凸部の突出端が嵌合凹部の開口の範囲内に収まっていれば嵌合部と被嵌合部とが嵌合し始める。嵌合部と被嵌合部とが嵌合し始めた後は、引渡側軸部の動きが許容されるため、上述したようにして受取側軸部と引渡側軸部とが同一直線上に並ぶ状態に近づけることができる。よって、ロール体の引き渡しを円滑に行うことができる。
【0084】
本開示に係るロール体搬送車は、好適には、以下の構成を備える。
【0085】
ロール体搬送車であって、
上述した各構成のロール体移載装置と、
前記ロール体移載装置を支持するとともに前記ロール体支持装置の設置面に沿って走行する走行台車と、
を備える。
【0086】
この構成によれば、ロール体支持装置に対するロール体の引き渡しを自動化することが容易となる。よって、ロール体の搬送効率を高めることが容易となる。
【0087】
本開示に係るロール体移載装置及びロール体搬送車は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。