(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記コンデンサに並列に接続したスイッチと、該スイッチのオンオフ動作を制御する制御部とをさらに備え、上記粒子状物質検出センサは、上記堆積面に堆積した上記粒子状物質を燃焼して除去するヒータを有し、上記制御部は、上記ヒータを用いて上記粒子状物質を除去した後に、上記コンデンサの電圧の時間上昇率(ΔV/Δt)を測定し、その測定値が予め定められた閾値(ΔTH)より低い場合は、一定の時間間隔をおいて上記スイッチをオンし、上記コンデンサに蓄えられた電荷を定期的に放電するよう構成されている、請求項1、2、6又は8のいずれか1項に記載の粒子状物質検出システム。
抵抗(15)と、該抵抗に直列接続したスイッチとからなり、上記コンデンサに並列接続した直列接続体(16)を備えると共に、上記スイッチの動作制御をする制御部をさらに備え、該制御部は、上記スイッチのオンオフを周期的に切り替え、該スイッチをオンしたときに、上記電圧測定部を用いて上記抵抗の電圧降下を測定し、該電圧降下の時間変化率(ΔIR/Δt)が予め定められた値(ΔIRTH)よりも大きい場合は、粒径が2.5μmよりも大きい上記粒子状物質である粗大PM(8’)が上記堆積面に堆積したと判定する、請求項1、2、6又は8のいずれか1項に記載の粒子状物質検出システム。
上記堆積面に上記粒子状物質が堆積したか否かを判定する制御部をさらに備え、該制御部は、上記コンデンサの電圧の時間上昇率(ΔV/Δt)を測定し、その測定値を用いて上記電極間の抵抗(R)を算出すると共に、算出した抵抗値が所定の閾値(RTH)よりも小さくなった場合に、上記堆積面に予め定められた量の上記粒子状物質が堆積したと判断するよう構成されている、請求項1、2、6又は8のいずれか1項に記載の粒子状物質検出システム。
上記堆積面に上記粒子状物質が堆積したか否かを判定する制御部をさらに備え、該制御部は、上記コンデンサの電圧の時間上昇率(ΔV/Δt)を測定し、その測定値を用いて上記電極間の抵抗(R)を算出すると共に、該抵抗の算出値が所定の回数(NTH)以上変化した場合は、上記堆積面に予め定められた量の上記粒子状物質が堆積したと判断するよう構成されている、請求項1、2、6又は8のいずれか1項に記載の粒子状物質検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
上記粒子状物質検出システムに係る実施形態について、
図1〜
図6を参照して説明する。本形態の粒子状物質検出システム1(PM検出システム1)は、排ガスg(
図5参照)に含まれるPM8を検出するために用いられる。
図1に示すごとく、PM検出システム1は、粒子状物質検出センサ20(PMセンサ20)と、コンデンサ3と、電源4と、電圧測定部5とを備える。
【0015】
PMセンサ20には、検出部21を形成してある。検出部21は、一対の電極2と、該一対の電極2の間に介在しPM8が堆積する堆積面22とを備える。
コンデンサ3は、検出部21に直列に接続されている。
【0016】
電源4は、互いに直列に接続された、検出部21とコンデンサ3とからなる直列体10(
図2、
図3参照)に直流電圧を加える。
電圧測定部5は、コンデンサ3の電圧を測定するよう構成されている。
【0017】
本形態のPM検出システム1は、車両に搭載される。
図5に示すごとく、車両のエンジン12には排管13が接続している。排管13には、フィルタ14とPMセンサ20が取り付けられている。フィルタ14は、排ガスg中のPM8を捕集する。PMセンサ20は、フィルタ14よりも排ガスgの下流側に設けられている。PMセンサ20には、上記コンデンサ3等が接続している。また、本形態のPM検出システム1は、制御部7を備える。制御部7は、電圧測定部5によって測定した電圧を用いて、排ガスg中のPM8の量を算出する。この算出値が、予め定められた上限値を超えた場合は、フィルタ14が故障していると判断する。
【0018】
より詳しくは、PMセンサ20は、図示しないヒータを備える。制御部7は、PM8の検出を行う際、まず、上記ヒータを発熱させる。これにより、堆積面22に堆積したPM8を燃焼し、除去する。その後、ヒータの発熱を停止し、PM8の測定を開始する。測定を開始してから所定時間以内に、コンデンサ3の電圧が所定値を超えた場合は、フィルタ14が故障したと判断する。
【0019】
図1に示すごとく、PMセンサ20は、絶縁材料からなる本体部29と、該本体部29に埋設された一対の電極2と、配線28と、接続端子27とを備える。本体部29は四辺形板状に形成されている。この本体部29の端面S1から、上記電極2が露出している。また、電極2は、配線28、接続端子27を介して、電源4及びコンデンサ3に電気接続されている。
【0020】
排ガスgに含まれるPM8は、僅かに帯電している。そのため、
図2に示すごとく、一対の電極2間に電圧を加えると、電界が生じ、PM8が電極2に捕集される。多くのPM8が集まると、
図3に示すごとく、PM8による電流経路80が形成され、一対の電極2がPM8によって電気接続される。
【0021】
本形態では、一対の電極2間の静電容量と、コンデンサ3の静電容量とを等しくしてある。そのため、
図2に示すごとく、電極2間にPM8の電流経路80が形成されていない場合、コンデンサ3に加わる電圧は、電源4の電圧Vの1/2になる。また、
図3に示すごとく、電極2間にPM8の電流経路80が形成された場合、一対の電極2間に電流Iが流れ、これら一対の電極2間の電位差は略0になる。そのため、コンデンサ3の電圧は、電源4の電圧Vと略等しくなる。
【0022】
図4に、PM8の堆積量と、コンデンサ3の電圧との関係を示す。同図に示すごとく、一対の電極2間にPM8の電流経路80が形成される前は、コンデンサ3の電圧は1/2Vであり、一対の電極2間にPM8の電流経路80が形成されると、コンデンサ3の電圧は急に上昇し、Vになる。本形態では、PM8の検出を開始してから所定時間内に、コンデンサ3の電圧が1/2VからVに変化した場合は、排ガスg中のPM8の濃度が高いため、フィルタ14(
図5参照)が故障していると判断する。
【0023】
本形態の作用効果について説明する。本形態では、
図2、
図3に示すごとく、検出部21にコンデンサ3を直列接続してある。そして、電圧測定部5を用いて、コンデンサ3の電圧を測定している。
このようにすると、PM8を短時間で検出でき、かつPM8の検出精度を高くすることができる。すなわち、上記構成にすると、一対の電極2間に、PM8による電流経路80が1本形成され、僅かに電流Iが流れた場合でも、コンデンサ3に電荷が蓄えられ、コンデンサ3の電圧が急に上昇する。そのため、一対の電極2がPM8によって導通したことを、短時間で検出することができる。また、PM8の抵抗率がばらついても、一対の電極2間に電流Iが流れさえすれば、コンデンサ3の電圧は大きく上昇する。そのため、PM8の抵抗率の影響を大きく受けることなく、一対の電極2がPM8によって導通したことを、高い精度で検出できる。
【0024】
従来のPM検出システム1では、
図56に示すごとく、検出部21に電流センサ9を接続し、この電流センサ9を用いて、検出部21を流れる電流Iを測定していた。この場合、PM8の堆積量と測定電流との関係は、
図57のグラフのようになる。すなわち、PM8が堆積すると、まず、一対の電極2間にPM8の電流経路80(
図3参照)が1本形成され、電流Iが僅かに流れ始める。そして、PM8の堆積量が増え、電流経路80の数が増えると、電流Iが次第に増加する。そのため、
図57に示すごとく、電流値は急に上昇せず、徐々に上昇する。したがって、電流センサ9によって測定できる値まで電流値が上昇するのに、長時間を要する。そのため、フィルタ14(
図5参照)が故障したことを短時間で検出できない。
これに対して、本形態のように、コンデンサ3の電圧を測定すれば、一対の電極2間にPM8の電流経路80が僅かに形成されただけで、コンデンサ3の電圧が急に上昇するため(
図4参照)、一対の電極2間がPM8によって導通したことを短時間で検出できる。したがって、フィルタ14が故障したことを短時間で検出できる。
【0025】
また、従来のように電流Iを測定する場合は、PM8の検出精度を高くしにくい。すなわち、エンジン12(
図5参照)の状態やPM8の温度等によって、PM8の抵抗率は大きく変化する。そのため、排出されるPM8の量は同じでも、抵抗率が異なると、電流Iの値が変わってしまう。したがって
図58に示すごとく、PM8の抵抗率によって、電流値が大きく変化してしまい、排ガスg中のPM8の量を正確に測定しにくい。
これに対して、本形態のようにコンデンサ3を用いた場合は、PM8の抵抗率が異なっても、一対の電極2間がPM8によって導通しさえすれば、コンデンサ3の電圧が急に上昇する。そのため、PM8の抵抗率の影響を大きく受けることなく、排ガスg中のPM8の量を正確に測定することができる。
【0026】
また、本形態では
図1に示すごとく、PMセンサ20とコンデンサ3とを別体に形成してある。後述するように、PMセンサ20にコンデンサ3を形成することも可能であるが(
図10参照)、この場合、コンデンサ3の静電容量を調整しにくい等の問題が生じ得る。しかしながら、本形態のようにPMセンサ20とコンデンサ3を別体に形成すれば、所望の静電容量を有するコンデンサ3を用いることが可能になる。
【0027】
以上のごとく、本形態によれば、PMを短時間で検出でき、かつPMの検出精度を高くすることが可能な粒子状物質検出システムを提供することができる。
【0028】
なお、本形態では、
図1に示すごとく、電極2を、PMセンサ20の本体部29の端面S1に設けたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、
図6に示すごとく、電極2を、本体部29の主表面S2に形成してもよい。
【0029】
以下の実施形態においては、図面に用いた符号のうち、実施形態1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施形態1と同様の構成要素等を表す。
【0030】
(
参考実施形態2)
本形態は、直列体10の構成を変更した例である。
図7に示すごとく、本形態では、検出部21に直列に、抵抗6を接続してある。この抵抗6の電圧降下を、電圧測定部5によって測定するよう構成してある。抵抗6は、一対の電極2がPM8によって導通したときに生じる電圧降下が、電源4の直流電圧Vの1/1000以上となるように、その抵抗値が定められている。
【0031】
図7に示すごとく、一対の電極2間に電流経路80が形成されていない場合は、電流Iが流れないため、抵抗6の電圧降下は0になる。また、
図8に示すごとく、一対の電極2間に1本の電流経路80が形成されると、電流Iが流れ、抵抗6に電圧降下が発生する。抵抗6は比較的大きな抵抗値を有するため、電流Iが僅かであっても、大きな電圧降下が生じる。例えば抵抗6を、1本の電流経路80と略同じ抵抗値にしておけば、抵抗6の電圧降下はV/2になる。
【0032】
図9に示すごとく、電極2間に電流経路80が形成されていない場合は、抵抗6の電圧降下は0であるが、時刻t
1において電流経路80が1本形成されると、V/2の電圧降下が発生する。本形態では、PM8の測定を開始してから、所定時間内に電圧降下が閾値V
thを超えた場合には、フィルタ14(
図5参照)が故障していると判断する。
【0033】
なお、実施形態1のようにコンデンサ3を用いた場合は、コンデンサ3の電圧は1回だけ大きく上昇する(
図4参照)。これは、検出部21に1本でも電流経路80が形成されると、コンデンサ3に電荷が蓄えられ、コンデンサ3の電圧が電源電圧Vと均衡するからである。これに対して、本形態のように抵抗6を用いた場合は、
図9に示すごとく、電圧は複数回、階段状に変化する。すなわち、時刻t
1において1本目の電流経路80が形成され、電圧降下がV/2になった後、時刻t
2において2本目の電流経路80が形成される。このとき、検出部21を流れる電流Iが増加し、抵抗6の電圧降下が増加する。また、時刻t
3において3本目の電流経路80が形成されると、検出部21の電流Iが更に増加し、抵抗6の電圧降下がさらに増加する。このように、検出部21に形成された電流経路80の数が増えるほど、電流Iが増加し、抵抗6の電圧降下は、電源4の電圧Vに近づくように階段状に増加する。
【0034】
なお、本形態では、検出部21がPM8によって導通したときの電圧降下が電源4の電圧Vの1/1000以上になるように、抵抗6の抵抗値を定めている。より詳しくは、本形態では、検出部21が1本の電流経路80によって導通したときの電圧降下が、電源4の電圧Vの1/1000以上となるように、抵抗6の抵抗値を定めている。電源4の電圧Vは、例えば、40(V)以上とすることが好ましい。抵抗6の電圧降下が電源電圧Vの1/1000以上であれば、電圧測定部5によって確実に検出することが可能である。電圧降下がV/1000未満のときは、電圧測定部5によって検出できない可能性が考えられる。
【0035】
本形態の作用効果について説明する。上記構成にすると、PM8を短時間で検出でき、かつPM8の検出精度を高くすることができる。すなわち、上記構成にすると、一対の電極2間に、PM8の電流経路80が1本形成され、僅かに電流Iが流れたときでも、大きな抵抗6を接続しているため、抵抗6に大きな電圧降下(=RI)を発生させることができる。そのため、一対の電極2がPM8によって導通したことを、短時間で検出できる。また、PM8の抵抗率がばらついても、一対の電極2間に電流Iが流れさえすれば、抵抗6に大きな電圧降下を発生させることができる。そのため、PM8の抵抗率の影響を大きく受けることなく、一対の電極2がPM8によって導通したことを、高い精度で検出できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0036】
(実施形態3)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図10に示すごとく、本形態では、PMセンサ20に複数の電極2を、所定間隔をおいて配列するように形成してある。そして、これら複数の電極2を用いて、検出部21とコンデンサ3とを両方とも形成してある。
【0037】
図10に示すごとく、電極2には、正電極2
pと、負電極2
nと、測定電極2
mとがある。これら3個の電極2は、PMセンサ20の本体部29の端面S1から露出している。正電極2
pは、電源4の正端子41に接続しており、負電極2
nは、電源4の負端子42に接続している。正電極2
pと測定電極2
mとを用いて、検出部21を形成してある。また、測定電極2
mと負電極2
nとを用いて、コンデンサ3を形成してある。このコンデンサ3の電圧を、電圧測定部5によって測定している。
【0038】
本形態では、コンデンサ3を構成する一対の電極2(2
m,2
n)の間、及び該電極2の表面に、PM8が堆積するよう構成してある。また、検出部21の静電容量と、コンデンサ3の静電容量とを、略等しくしてある。そのため、
図11(a)に示すごとく、検出部21及びコンデンサ3にPM8が堆積していない状態では、検出部21とコンデンサ3の電圧は略等しくなり、それぞれ、電源4の電圧Vの1/2になる。したがって、PM8が検出部21及びコンデンサ3に堆積していない期間は、コンデンサ3の電圧はV/2になる。
【0039】
また、
図11(b)に示すごとく、検出部21を構成する一対の電極2(2
p,2
m)の間が、PM8によって導通した場合、検出部21の電位差は0になる。そのため、コンデンサ3の電圧は急に上昇し、Vになる。この電圧の変化を検出することにより、検出部21にPM8が堆積したことを検出できる。
【0040】
その後、暫く経過すると、
図11(c)に示すごとく、コンデンサ3を構成する一対の電極2(2
m,2
n)の間が、PM8によって導通する。このとき、検出部21とコンデンサ3にそれぞれ形成された、PM8の電流経路80の抵抗値は略等しいため、これらの電流経路80の電圧降下は互いに等しくなる。したがって、コンデンサ3の電圧は、V/2に低下する。
【0041】
本形態の制御部7(
図5参照)は、所定時間内にコンデンサ3の電圧が2回、大きく変化した場合、すなわち、例えば
図11(b)に示すごとく、コンデンサ3の電圧がV/2からVに上昇し、その後、
図11(c)に示すごとく、V/2に低下した場合は、排ガスg中に多くのPM8が含まれており、フィルタ14が故障していると判断する。
【0042】
なお、
図11では、検出部21が先に導通し、その後、コンデンサ3が導通しているが、逆になる場合も有り得る。この場合、電圧の変化が逆になる。すなわち、先にコンデンサ3が導通すると、コンデンサ3の電圧がV/2から0に低下する。その後、検出部21が導通すると、コンデンサ3の電圧が0からV/2に上昇する。
【0043】
本形態の作用効果について説明する。本形態では
図10に示すごとく、PMセンサ20に設けた電極2を用いて、検出部21とコンデンサ3とを両方とも形成している。そのため、部品点数を低減することができ、PM検出システム1の製造コストを低減できる。
【0044】
また、本形態では、コンデンサ3を構成する一対の電極2(2
m,2
n)の間、及び該電極2の表面に、PM8が堆積するよう構成してある。すなわち、コンデンサ3にPM8が堆積したときに、PM8によって一対の電極2間に電流が流れるように構成してある。そのため、検出部21がPM8によって導通したときと、コンデンサ3がPM8によって導通したときとの、それぞれにおいて、コンデンサ3の電圧を大きく変化させることができる。したがって、電圧の変化を複数回、発生させることができ、排ガスg中のPM8の量が高いことを、より確実に検出することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0045】
なお、本形態では、
図10に示すごとく、PMセンサ20の本体部29の端面S1に電極2を形成したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、
図12に示すごとく、本体部29の主表面S2に複数の電極2を形成し、これら複数の電極2を用いて、検出部21とコンデンサ3とを構成してもよい。
【0046】
(実施形態4)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図13に示すごとく、本形態では、PMセンサ20に複数の電極2を形成してある。そして、これら複数の電極2を用いて、第1検出部21
aと、第2検出部21
bと、第3検出部21
cとの、3個の検出部21を形成してある。また、上記複数の検出部21に直列に、コンデンサ3を接続してある。このコンデンサ3の電圧を、電圧測定部5によって測定している。
【0047】
本形態では、3個の検出部21とコンデンサ3の静電容量を、それぞれ等しくしてある。したがって
図14(a)に示すごとく、検出部21とコンデンサ3にPM8が堆積していない状態では、コンデンサ3の電圧は、電源4の電圧Vの1/4になる。
【0048】
この後、
図14(b)に示すごとく、3個の検出部21のうちいずれか一つの検出部21が、PM8によって導通した場合、電源4の電圧Vは、導通していない2個の検出部21と、1個のコンデンサ3とに均等に加わることになる。そのため、コンデンサ3の電圧は上昇し、V/3になる。
【0049】
その後、
図14(c)に示すごとく、3個の検出部21のうち2個の検出部21が、PM8によって導通する。このとき、電源4の電圧Vは、導通していない1個の検出部21と、1個のコンデンサ3とに均等に加わることになる。そのため、コンデンサ3の電圧はさらに上昇し、V/2になる。
【0050】
本形態の制御部7(
図5参照)は、所定時間内に、コンデンサ3の電圧が複数回上昇した場合は、排ガスg中のPM8の濃度が高く、フィルタ14が故障していると判断する。
【0051】
本形態の作用効果について説明する。本形態ではPMセンサ20に、互いに直列に接続された複数の検出部21を形成してある。そのため、検出部21がPM8によって導通したことを、複数回検出できる。したがって、排ガスg中のPM8の濃度が高いことを、より確実に検出することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0052】
(実施形態5)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図15、
図16に示すごとく、本形態では、PMセンサ20に1個の検出部21と、2個のコンデンサ3とを形成してある。これら検出部21と2個のコンデンサ3とは、直列に接続されている。個々のコンデンサ3は、PM8が堆積したとき、一対の電極2間がPM8によって導通するよう構成されている。電圧測定部5は、2個のコンデンサ3の電圧を測定する。
【0053】
図15に示すごとく、PMセンサ20には、複数の電極2(2
p,2
ma,2
mb,2
n)を、所定間隔をおいて配列するように形成してある。これらの電極2を用いて、1個の検出部21と、2個のコンデンサ3とを形成してある。また、電極2は、PMセンサ20の本体部29の端面S1から露出している。
【0054】
本形態の作用効果について説明する。本形態では実施形態3と同様に、PMセンサ20に、検出部21とコンデンサ3とを両方とも形成してある。そのため、部品点数を低減することができる。また、本形態では、コンデンサ3を複数個形成してある。そのため、コンデンサ3がPM8によって導通し、電圧が変化したことを、複数回、測定することができる。したがって、排ガスg中のPM8の濃度が高いことを、確実に検出できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0055】
なお、本形態では、PMセンサ20の本体部29の端面S1に電極2を形成したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、
図17に示すごとく、本体部29の主表面S2に電極2を形成してもよい。
【0056】
(実施形態6)
本形態は、PMセンサ20の構成等を変更した例である。
図18に示すごとく、本形態ではPMセンサ20に、第1検出部21
aと第2検出部21
bとの、2個の検出部21を形成してある。個々の検出部21に、それぞれ別のコンデンサ3を接続している。また、2個の検出部21
a,21
bは、それぞれ別の電源4に接続している。
【0057】
PMセンサ20には、複数の電極2を、配列するように形成してある。これら複数の電極2によって、上記2個の検出部21
a,21
bを形成してある。電極2は、PMセンサ20の本体部29の端面S1に形成されている。
【0058】
本形態の作用効果について説明する。本形態ではPMセンサ20に、互いに独立した2個の検出部21
a,21
bを形成してある。そのため、PM8の検出の信頼性をより高めることができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0059】
なお、本形態では
図18に示すごとく、PMセンサ20の本体部29の端面S1に電極2を形成したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、
図19に示すごとく、本体部29の主表面S2に電極2を形成しても良い。
【0060】
(実施形態7)
本形態は、PMセンサ20の構造を変更した例である。
図20に示すごとく、本形態のPMセンサ20は、正電極2
pと負電極2
nとをそれぞれ複数個、備える。これら正電極2
pと負電極2
nとを、交互に配置してある。互いに隣り合う正電極2
pと負電極2
nとによって、検出部21が形成されている。
【0061】
また、検出部21に直列に、コンデンサ3を接続してある。このコンデンサ3の電圧を、電圧測定部5によって測定している。
【0062】
本形態の作用効果について説明する。上記構成にすると、PMセンサ20に複数の検出部21を形成することができる。そのため、PM8が堆積する面積を多くすることができ、PMセンサ20の感度をより高めることができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0063】
なお、本形態では、PMセンサ20の本体部29の端面S1に電極2(2
p,2
n)を形成したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、
図21に示すごとく、本体部29の主表面S2に電極2を形成してもよい。
【0064】
(実施形態8)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図22に示すごとく、本形態のPMセンサ20は、1本の正電極2
pと、1本の負電極2
nと、2本の測定電極2
ma,2
mbとを備える。正電極2
pと第1測定電極2
maとによって第1検出部21
aを形成してある。また、2本の測定電極2
ma,2
mbによってコンデンサ3を形成してある。さらに、第2測定電極2
mbと負電極2
nとによって第2検出部21
bを形成してある。これら第1検出部21
aと、コンデンサ3と、第2検出部21
bとは直列に接続されている。コンデンサ3の電圧を、電圧測定部5によって測定している。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0065】
(実施形態9)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図23に示すごとく、本形態のPMセンサ20は、正電極2
pと負電極2
nと測定電極2
mとを、それぞれ複数本備える。正電極2
pと測定電極2
mとによって、検出部21を形成してある。また、負電極2
nと測定電極2
mとによって、コンデンサ3を形成してある。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0066】
(実施形態10)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図24に示すごとく、本形態ではPMセンサ20に、複数の電極2を、所定間隔をおいて配列するように形成してある。これら複数の電極2によって、検出部21とコンデンサ3とを形成してある。個々の電極2は、PMセンサ20の本体部29の端面S1に形成されている。また、本形態では、コンデンサ3を構成する一対の電極2(2
m,2
n)のうち、少なくとも一方の電極2(本形態では負電極2
n)を、絶縁層23によって被覆してある。この絶縁層23によって、PM8が堆積しても、コンデンサ3を構成する一対の電極2(2
m,2
n)の間に電流が流れないようにしている。
【0067】
本形態の作用効果について説明する。上記構成にすると、コンデンサ3がPM8によって導通することを抑制できる。そのため、排ガスgに多くのPM8が含まれていることを、より確実に検出できる。すなわち、実施形態3(
図11(c)参照)のように、PM8が堆積したときにコンデンサ3が導通するように構成することも可能であるが、この場合、検出部21とコンデンサ3とが、PM8によって同時に導通すると、測定電圧の変化がほとんど生じないため、これらが導通したことを検出できない可能性が考えられる。これに対して、本形態の構成を採用すれば、コンデンサ3がPM8によって導通することを抑制でき、検出部21のみ導通させることができる。そのため、検出部21がPM8によって導通し、電圧の大きな変化が生じたこと、すなわち排ガスgに多くのPM8が含まれていることを、確実に検出することができる。
【0068】
また、本形態では、PMセンサ20に検出部21とコンデンサ3とを両方とも形成しているため、コンデンサ3を別部品にした場合と比べて、部品点数を低減できる。そのため、PM検出システム1の製造コストを低減できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0069】
なお、本形態では、
図24に示すごとく、PMセンサ20の本体部29の端面S1に電極2を形成したが、本発明はこれに限るものではなく、
図25に示すごとく、本体部29の主表面S2に電極2を形成してもよい。
【0070】
また、
図26に示すごとく、コンデンサ3を構成する一部の電極2
nを、PMセンサ20の本体部29内に埋設してもよい。この場合、本体部29の一部が、上記絶縁層23を兼ねることになる。
【0071】
(実施形態11)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図27に示すごとく、本形態では、PMセンサ20に複数の電極2を形成してある。隣り合う一対の電極2により、電極対24が構成されている。本形態では、第1電極対24
aと第2電極対24
bとの、2個の電極対24を形成してある。第1電極対24
aによって、コンデンサ3が構成されている。また、第2電極対24
bによって、検出部21が構成されている。
【0072】
コンデンサ3は、PM8が堆積したときに、一対の電極2間に電流が流れるよう構成されている。また、本体部29の長手方向(以下、X方向とも記す)における、接続端子27を設けた側(以下、基端側とも記す)に、コンデンサ3(すなわち第1電極対24
a)を設けてある。さらに、X方向における、接続端子27を設けた側とは反対側(以下、先端側とも記す)に、検出部21(すなわち第2電極対24
b)を設けてある。
【0073】
先端側は、基端側よりもPM8が堆積しやすい。そのため、複数の電極対24(24
a,24
b)のうち、一部の電極対24(本形態では第1電極対24
a)は、他の電極対24(本形態では第2電極対24
b)よりも、PM8の堆積量が少なくなっている。
【0074】
本形態の作用効果について説明する。本形態では、複数の電極対24(24
a,24
b)のうち、一部の電極対24
aは、他の電極対24
bよりも、PM8の堆積量が少なくされている。そのため、検出部21又はコンデンサ3を構成する複数の電極対24が、PM8によって同時に導通することを抑制できる。したがって、排ガスg中にPM8が多く含まれていることを確実に検出できる。すなわち、複数の電極対24がPM8によって同時に導通すると、上述したように、電圧測定部5による測定電圧が殆ど変化しなくなる可能性がある。しかしながら、本形態のように、一部の電極対24
aを、他の電極対24
bよりもPM8の堆積量が少なくなるように構成すれば、複数の電極対24が同時にPM8によって導通する可能性が低減する。そのため、測定電圧を大きく変動させることができ、排ガスgに多くのPM8が含まれていることを確実に検出できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0075】
なお、本形態では、PMセンサ20に2個の電極対24を形成したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、PMセンサ20に3個以上の電極対24を形成してもよい。また、これらの電極対24を用いて、検出部21やコンデンサ3をそれぞれ複数個、形成してもよい。さらに、複数の電極対24のうち、検出部21を構成する電極対24を、他の電極対24よりも、PM8の堆積量が少なくするように構成してもよい。
【0076】
(実施形態12)
本形態は、PMセンサ20の構成を変更した例である。
図28に示すごとく、本形態では、PMセンサ20に複数の電極2を形成してある。これにより、複数の電極対24(24
a〜24
d)を形成してある。また、一部の電極2の長さは短くなっている。これにより、個々の電極対24の静電容量を、互いに異ならせている。
【0077】
本形態の作用効果について説明する。本形態では、PMセンサ20に形成された個々の電極対24は、一対の電極2間の静電容量が互いに異なっている。このようにすると、個々の電極対24に加わる電圧を、互いに異ならせることができる。したがって、個々の電極対24に捕集されるPM8の量を互いに異ならせることができ、複数の電極対24が同時にPM8によって導通することを抑制できる。そのため、一部の電極対24のみをPM8によって導通させることができ、測定電圧を大きく変化させることができる。したがって、排ガスg中に多くのPM8が含まれていることを確実に検出できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0078】
なお、本形態では、
図28に示すごとく、電極2の長さを調整することにより、個々の電極対24の静電容量を互いに異ならせたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、
図29に示すごとく、一対の電極2のX方向間隔を調整することにより、個々の電極対24の静電容量を互いに異ならせても良い。
【0079】
(実施形態13)
本形態は、制御部7(
図5参照)、及び電源4の構成を変更した例である。本形態では、複数の検出部21のうちいずれかが、PM8によって導通した場合でも、残りの検出部21に加わる電圧が一定になるように、制御部7によって制御している。
【0080】
図30に示すごとく、本形態では、電源4として、可変電圧源を用いている。この電源4は、例えばDC−DCコンバータ等によって構成することができる。また、本形態では、3個の検出部21を互いに直列に接続してある。これら3個の検出部21に直列に、コンデンサ3を接続してある。個々の検出部21とコンデンサ3とは、静電容量が互いに等しい。
【0081】
図30(a)に示すごとく、PM8の検出を開始した直後は、3個の検出部21のいずれも、PM8によって導通していない。このとき、制御部7(
図5参照)によって、電源4の電圧はVに制御される。コンデンサ3の電圧は、V/4になる。
【0082】
また、3個の検出部21のいずれか一つがPM8によって導通した場合、残りの2個の検出部21とコンデンサ3とに電源4の電圧Vが加わる。そのため、コンデンサ3の電圧はV/3に上昇する。この後、制御部7は、
図30(b)に示すごとく、電源4の電圧を下げ、3/4Vにする。このようにすると、個々の検出部21とコンデンサ3に加わる電圧は、それぞれ1/4Vに維持される。
【0083】
また、さらに別の検出部21がPM8によって導通した場合、残りの1個の検出部21とコンデンサ3とに電源4の電圧が加わる。そのた、コンデンサ3の電圧は急に上昇する。この後、制御部7は、
図30(c)に示すごとく、電源4の電圧をさらに下げ、2/4Vにする。このようにすると、残りの1個の検出部21とコンデンサ3に加わる電圧は、それぞれ1/4Vに維持される。
【0084】
本形態の作用効果について説明する。本形態の制御部7は、複数の検出部21のいずれかがPM8により導通した場合でも、残りの検出部21に加わる電圧が一定になるように、電源4の電圧を制御している。このようにすると、導通していない検出部21に加わる電圧を一定にすることができる。そのため、個々の検出部21がPM8を捕集する速度を一定にすることができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0085】
(実施形態14)
本形態は、制御部7(
図5参照)の制御方法を変更した例である。
図31に示すごとく、本形態のPM検出システム1は、コンデンサ3に並列に接続したスイッチ11を備える。また、電源4には電源投入部89が接続している。そして、制御部7によって、これらスイッチ11及び電源投入部89のオンオフ動作を制御している。
【0086】
制御部7は、印加行程と、放電行程と、測定行程とを行う。印加行程では、スイッチ11をオフにした状態で、電源投入部89をオンする。これにより、検出部21とコンデンサ3との直列体10に、電源4の電圧Vを加える。本形態では、検出部21とコンデンサ3の静電容量を、互いに等しくしてある。そのため、電源投入部89をオンすると、検出部21とコンデンサ3とに、それぞれV/2の電圧が加わる。
【0087】
その後、制御部7は、上記放電行程を行う。放電行程では、スイッチ11をオンする。これにより、コンデンサ3に蓄えられた電荷を放電する。また、スイッチ11をオンすると、電源4の電圧Vが全て検出部21に加わる。そのため、
図32に示すごとく、スイッチ11をオンした瞬間(時刻t
1)、検出部21の電圧はV/2からVに上昇する。また、検出部21はコンデンサと同じ構造になっているため、電圧Vが加わると、検出部21に電荷Qが蓄えられる。
【0088】
放電行程の後、制御部7は、上記測定行程を行う。測定行程では、スイッチ11を再びオフする。上述したように、検出部21には電荷が蓄えられているため、検出部21に電圧V(=Q/C)が発生し続ける。これにより、検出部21に高い電界を発生させ、PM8を捕集しやすくしている。測定行程では、スイッチ11をオフにした状態、すなわち検出部21に電圧Vを発生させた状態で、電圧測定部5を用いて、コンデンサ3の電圧を測定する。検出部21がPM8によって導通すると、コンデンサ3の電圧が0からVに上昇する。制御部7は、所定時間内にコンデンサ3の電圧が0からVに上昇した場合は、排ガスg中のPM8の濃度が高く、フィルタ14(
図5参照)が故障していると判断する。
【0089】
次に、
図33を用いて、制御部7のフローチャートの説明をする。同図に示すごとく、制御部7は、まずステップS1を行う。ここでは、電源投入部89をオンし、直列体10に電源4の電圧Vを加える(印加行程)。その後、ステップS2に移る。ここでは、スイッチ11をオンし、コンデンサ3に蓄えられた電荷を放電する(放電行程)。これにより、検出部21の電圧をV/2からVに上昇させる。
【0090】
次いで、ステップS3に移り、スイッチ11をオフする。その後、ステップS4を行う。ここでは、スイッチ11をオフした状態で、コンデンサの電圧を測定する(測定行程)。
【0091】
次いで、ステップS5を行う。ステップS5では、所定時間内に測定電圧が閾値を超えたか否かを判断する。ここでYesと判断したときは、ステップS6に移り、フィルタ14が故障していると判断する。また、ステップS5でNoと判断したときは、終了する。
【0092】
本形態の作用効果について説明する。本形態では、上記印加行程と、放電行程と、測定行程とを行う。このようにすると、検出部21に高い電圧を発生させることができる。そのため、PM8の捕集効率を高めることができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0093】
(実施形態15)
本形態は、制御部7の制御方法を変更した例である。
図34に示すごとく、本形態のPM検出システム1は、コンデンサ3に並列に接続したスイッチ11と、該スイッチ11のオンオフ動作を制御する制御部7とを備える。また、PMセンサ20は、堆積面22に堆積したPM8を燃焼して除去するヒータ(図示しない)を備える。
【0094】
堆積面22には、導電性の被毒物質18が堆積することがある。例えば、排管13(
図5参照)から鉄粉が発生し、これが堆積面22に堆積することがある。また、エンジン12のオイルに含まれる硫黄が堆積することもある。これらの被毒物質18は、上記ヒータを通常のPM除去温度まで加熱しても、除去できない。また、被毒物質18が堆積すると、一対の電極2間に僅かに電流が流れる。そのため、
図35に示すごとく、PM8の測定を開始した後、被毒物質18を流れた電流によってコンデンサ3の電圧が上昇する。したがって、制御部7が、PM8が堆積したと誤って判断する可能性がある。本形態では、上記スイッチ11等を用いて、この問題を解決している。
【0095】
図36に示すごとく、本形態の制御部7は、ヒータを用いてPM8を除去した後、コンデンサ3の電圧Vの時間上昇率ΔV/Δtを測定する。より詳しくは、制御部7は、PM8を除去した後、所定時間Δt待機し、電圧Vの上昇量ΔVを測定する。この上昇量ΔVをΔtで除して、時間上昇率ΔV/Δtを算出する。そして、時間上昇率ΔV/Δtが予め定められた閾値Δ
THより低か否かを判断する。閾値Δ
THは、例えば、一対の電極2間にPM8の電流経路80が1本だけ形成されたときにおける、コンデンサ電圧の時間上昇率(すなわち、時間上昇率の最低値)を設定することができる。
【0096】
時間上昇率ΔV/Δtが閾値Δ
THより低い場合は、PMセンサ20が正常だと判定し、PM8の測定を開始する。しかし、この場合でも、被毒物質18が僅かに付着し、一対の電極2間に僅かに電流Iが流れている可能性がある。この場合、コンデンサ3の電圧が徐々に増加する。そのため、制御部7は、一定の時間間隔をおいてスイッチ11をオンし(
図38、
図39参照)、コンデンサ3に蓄えられた電荷Qを定期的に放電させる。これにより、被毒物質18を流れた電流Iによってコンデンサ3の電圧が上昇し、PM8の電流経路80が形成されたと誤って判断することを抑制する。
【0097】
図36に示すごとく、PM8の電流経路80が形成された場合、コンデンサ3の電圧が急に上昇する。制御部7は、PM8の測定を開始してから所定期間T
1以内に、コンデンサ3の電圧の時間上昇率ΔV/Δtが閾値Δ
THを超えた場合は、フィルタ14が故障していると判定する。
【0098】
また、本形態の制御部7は、
図37に示すごとく、ヒータを用いてPM8を除去した後に上記電圧の時間上昇率ΔV/Δtを測定し、その測定値が上記閾値Δ
THを超えた場合は、PMセンサ20が故障している(すなわち、被毒している)と判断する。
【0099】
次に、
図40を用いて、制御部7のフローチャートの説明をする。同図に示すごとく、制御部7は、まずステップS11を行う。ここでは、ヒータを発熱させ、PM8を除去する。その後、ステップS12に移る。ここでは、PM8の除去が完了したか否かを判断する。例えば、ヒータの発熱が所定時間以上続いたか否かを判断する。ここでYesと判断した場合は、ステップS13に移り、PM8の測定を開始する。
【0100】
その後、ステップS14に移る。ここでは、PM8を除去した直後に測定した、コンデンサ3の電圧の時間上昇率ΔV/Δtが、閾値Δ
TH以下であるか否かを判断する。ここでNo(閾値Δ
THを超えている:
図37参照)と判断した場合は、ステップS18に移り、PMセンサ20が故障していると判断する。そして、ステップS19に移り、被毒再生制御を行う。例えば、ヒータを通常のPM除去温度よりも高い温度まで加熱し、被毒物質18を除去する。
【0101】
また、ステップS14でYes(電圧上昇率ΔV/Δtが閾値Δ
TH以下である:
図36参照)と判断した場合は、ステップS15に移る。ここでは、スイッチ11をオンし、コンデンサ3に蓄えられた電荷Qを放電させる。その後、ステップS16に移る。ここでは、PM8の測定を開始してから所定期間T
1以内に、コンデンサ3の電圧の時間上昇率ΔV/Δtが閾値Δ
TH以上になったか否かを判断する。ここでYesと判断した場合は、ステップS17に移り、フィルタ14が故障したと判定する。また、Noと判定した場合は、ステップS15に戻る。
【0102】
本形態の作用効果について説明する。本形態では
図36、
図40に示すごとく、PM8を除去した後に電圧の時間上昇率ΔV/Δtを測定し、その測定値が閾値Δ
THより低い場合は、一定期間ごとにスイッチ11をオンする。これにより、コンデンサ3に蓄えられた電荷を定期的に放電させる。
このようにすると、PMセンサ20に被毒物質18が僅かに付着しており、電流Iが僅かに流れる場合でも、コンデンサ3の電圧を定期的にリセットできるため、PM8が付着したと誤って判断することを抑制できる。
【0103】
また、本形態では
図37、
図40に示すごとく、上記時間上昇率ΔV/Δtが閾値Δ
THより高い場合は、PMセンサ20が故障していると判断する。
そのため、PMセンサ20が被毒し、故障していることを検出できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0104】
(実施形態16)
本形態は、制御部7による制御方法を変更した例である。
図41に示すごとく、本形態のPM検出システム1は、実施形態15と同様に、スイッチ11を備える。このスイッチ11に抵抗15を直列に接続し、直列接続体16を構成してある。直列接続体16は、コンデンサ3に並列接続されている。
【0105】
図41、
図42に示すごとく、制御部7は、スイッチ11のオンオフを周期的に切り替える。堆積面22に通常のPM8(例えば粒径0.1μm程度)が堆積した場合は、一対の電極2間に電流Iが流れる。そのため、スイッチ11をオフしている間に、コンデンサ3の電圧が上昇した場合は、堆積面22に通常のPM8が堆積したと判定できる。
【0106】
また、
図43、
図44に示すごとく、堆積面22には、通常のPM8よりも粒径が大きい粗大PM8’が堆積することがある。粗大PM8’は、例えば、排管13(
図15参照)の内面にPM8が堆積し、これが何らかの原因で剥離した場合に生じ得る。粗大PM8’は、一対の電極2の間隔よりも大きい。粗大PM8’は、粒径が2.5μmよりも大きいPM8であると定義することができる。
【0107】
粗大PM8’は粒径が大きいため、粗大PM8’が付着すると、電極2間に大きな電流が流れる。したがって、コンデンサ3の電圧が急に上昇し、制御部7が、堆積面22にPM8が堆積したと誤って判断する可能性がある。この問題を解決するため、本形態では、上記スイッチ11、抵抗15等を用いて、粗大PM8’が付着したことを検出する。
【0108】
すなわち、上述したように、制御部7は、スイッチ11のオンオフを周期的に切り替えている。
図44に示すごとく、堆積面22に粗大PM8’が堆積した場合は大きな電流Iが流れる。このときスイッチ11がオンになっていると、電流Iは抵抗15へ流れ、電圧降下(=IR)が生じる。この電圧降下を電圧測定部5によって測定する。電圧降下の時間変化率ΔIR/Δtが予め定められた値Δ
IRTHよりも大きい場合は、堆積面22に粗大PM8’が堆積したと判定する。
【0109】
図45に示すごとく、本形態では、スイッチ11を予め定められたオン時間t
1オンし、その後、予め定められたオフ時間t
2オフする。このオンオフ動作を繰り返す。通常のPM8が堆積した場合は、電流Iが僅かであるため、スイッチ11をオンしたときに抵抗15に生じる電圧降下は小さい。そのため、スイッチ11をオンしたときには、通常のPM8が堆積したか否かは検出できない。しかし、スイッチ11をオフすると、PM8を流れた僅かな電流Iによってコンデンサ3が充電され、コンデンサ3の電圧Vが急に上昇する。そのため、通常のPM8が堆積したことを検出できる。本形態では、スイッチ11をオフした期間にコンデンサ3の電圧VがPM検出閾値V
PMを超えた場合は、通常のPM8が堆積したと判定する。
【0110】
また、上述したように、粗大PM8’が堆積すると大きな電流Iが流れ、スイッチ11をオンしたときにこの電流Iが抵抗15へ流れて電圧降下が発生する。制御部7は、この電圧降下の時間変化率ΔIR/Δtが予め定められた値Δ
IRTHよりも高い場合は、粗大PM8’が堆積したと判定する。
【0111】
次に、
図46を用いて、制御部7のフローチャートの説明を行う。同図に示すごとく、制御部7は、まずステップS21を行う。ここでは、スイッチ11をオンする。その後、ステップS22に移り、抵抗15に生じた電圧降下の時間変化率ΔIR/Δtが、閾値Δ
IRTHより高いか否かを判断する。ここでYesと判断した場合は、ステップS27に移り、粗大PM8’が付着したと判定する。その後、例えば、ヒータを発熱させ、粗大PM8’を除去する処理を行う。また、ステップS22でNoと判断した場合は、ステップS23に移る。そして、オンしている時間tが上記オン時間t
1より長いか否かを判断する。ここでNoと判断した場合はステップS22に戻り、Yesと判断した場合はステップS24に移る。
【0112】
ステップS24では、スイッチ11を上記オフ時間t
2だけオフする。その後、ステップS25に移り、測定した電圧Vが閾値V
PMを超えたか否かを判断する。ここでNoと判断した場合はステップS21に戻り、Yesと判断した場合はステップS26に移る。ステップS26では、通常のPM8が堆積面22に堆積した(すなわち、PM8による電流経路80が形成された)と判定する。そして、PM8の測定を開始してから所定時間以内に、PM8の電流経路80が形成されたと判断した場合は、フィルタ14が故障していると判断する。
【0113】
本形態の作用効果について説明する。
図45に示すごとく、本形態の制御部7は、スイッチ11のオンオフを周期的に切り替える。そして、スイッチ11をオンしたときに、電圧測定部5を用いて抵抗15の電圧降下を測定し、電圧降下の時間変化率ΔIR/Δtが予め定められた値Δ
IRTHより大きい場合は、粗大PM8’が堆積面22に堆積したと判定する。
このようにすると、粗大PM8’が付着した場合に、通常のPM8が堆積したと誤って判断することを抑制できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0114】
(実施形態17)
本形態は、制御部7の制御方法を変更した例である。
図47に示すごとく、本形態では、静電容量が比較的大きいコンデンサ3を用いている。このように静電容量が大きいコンデンサ3を用いると、一対の電極2間にPM8の電流経路80が形成されても、コンデンサ3はすぐに充電されず、電圧Vが徐々に高くなる。また、電流経路80の数が少ない場合は、流れる電流Iが少ないため、コンデンサ3の電圧Vの時間上昇率ΔV/Δtは小さい。電流経路80の数が増えると、電流Iが増加するため、電圧の時間上昇率ΔV/Δtは大きくなる。本形態の制御部7は、コンデンサ3の電圧Vの時間上昇率ΔV/Δtを測定し、その測定値を用いて、一対の電極2間の抵抗R(すなわち、PM8の抵抗)を算出する。
【0115】
例えば、コンデンサ3に蓄えられた電荷をQ、静電容量をC、電源4の電圧をV
B、コンデンサ3の電圧をV、コンデンサ3に流れる電流をI、PM8の抵抗をR、コンデンサ3の電圧Vの微小変化量をΔV、微小時間をΔtとした場合、
I=dQ/dt≒ΔQ/Δt=CΔV/Δt
=(V
B−V)/R
したがって、
R=(V
B−V)Δt/(CΔV)
上記式を用いて、抵抗Rを算出することができる。
【0116】
制御部7は、抵抗Rの算出値が所定の閾値R
THより小さくなった場合は、堆積面22に予め定められた量のPM8が堆積したと判断する。また、PM8の測定を開始してから所定時間内に、抵抗Rが閾値R
THより小さくなった場合(すなわち、所定時間内に、堆積面22に予め定められた量のPM8が堆積したと判断した場合)は、フィルタ14が故障したと判断する。
【0117】
本形態の作用効果について説明する。上記構成にすると、一対の電極2間に堆積したPM8の抵抗Rを算出できる。そのため、堆積面22にPM8が堆積したことを、正確に検出することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0118】
(実施形態18)
本形態は、制御部7の制御方法を変更した例である。本形態では、実施形態17と同様に、静電容量が充分に大きいコンデンサ3(
図47参照)を用いている。コンデンサ3の静電容量が大きい場合の、コンデンサ3の電圧の変化を
図48に示す。同図に示すごとく、一対の電極2間にPM8の電流経路80が1本形成されると、電流Iが僅かに流れる。本形態ではコンデンサ3の静電容量を大きくしてあるため、電圧Vの時間上昇率ΔV/Δtは小さい。この後、2本目の電流経路80が形成されると、電流Iが増加し、電圧の時間上昇率ΔV/Δtが若干高くなる。さらに、3本目の電流経路80が形成されると、電流Iがさらに増加し、時間上昇率ΔV/Δtがさらに高くなる。
【0119】
本形態の制御部7は、実施形態17と同様に、電圧Vの時間上昇率ΔV/Δtを用いて、一対の電極2間の抵抗R(すなわち、PM8の抵抗)を算出する。そして、この抵抗Rの算出値が所定の回数N
TH(本形態では3回)以上変化した場合は、堆積面22に、予め定められた量のPM8が堆積したと判断する。また、PM8の測定を開始してから所定時間内に、抵抗Rの算出値がN
TH以上変化した場合(すなわち、所定時間内に、堆積面22に予め定められた量のPM8が堆積したと判断した場合)は、フィルタ14が故障したと判断する。
【0120】
本形態の作用効果について説明する。このようにすると、電流経路80が複数本形成された場合に、PM8が堆積したと判定することができる。そのため、PM8の誤検出を抑制できる。
また、1本目の電流経路80が形成されるタイミングはPM8の付着の仕方によってばらつくが、複数本分の電流経路80の形成時間を平均することで、バラツキを抑えることが可能になる。そのため、電流経路80が形成される時間を精度よく検出することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0121】
(実験例1)
本発明の効果を確認するための実験を行った。まず、
図49に示すとごく、比較例としてのPM検出システム1を構成した。このPM検出システム1では、検出部21の電流Iを電流センサ9によって測定する。また、このPM検出システム1に用いられるPMセンサ20として、新品のものと、アッシュ17が付着したものとを用意した。
図49に示すごとく、アッシュ17が付着したPMセンサ20は、電流経路80が形成されにくいため、電流が流れにくい。
【0122】
なお、上記PMセンサ20としては、端面S1(
図20参照)から電極2が露出したものを用いた。
【0123】
上記2つのPMセンサ20を用いて、排ガス中のPM8を測定した。排ガス中のPM8の濃度は7mg/m
3であり、排ガスの温度は200℃であった。
図50に測定結果を示す。同図において、縦軸は、電流センサ9内のシャント抵抗に発生する電圧降下を意味する。
図50に示すごとく、アッシュ17が付着したPMセンサ20は、電流Iが少ないため、新品のPMセンサ20と比較して、検出値が低い。そのため、従来のように電流センサ9を用いるPM検出システム1では、PMセンサ20を長期間使用し、アッシュ17が付着した場合、PM8を正確に検出しにくくなる可能性があることが分かる。
【0124】
次に、
図51に示すごとく、コンデンサ3を用いた、本発明に係るPM検出システム1を用意した。また、新品のPMセンサ20と、アッシュ17が付着したPMセンサ20とを用意し、
図51のPM検出システム1を用いてPM8の測定を行った。PMセンサ20は、比較例と同一のものを用いた。また、コンデンサ3は、PMセンサ20とは別体のもの(
図20参照)を用いた。より詳しくは、コンデンサ3として、静電容量が0.1(μF)のセラミックコンデンサを用いた。
【0125】
PM8の測定結果を
図52に示す。アッシュ17が付着したPMセンサ20は、上述したように電流Iが流れにくくなるが、コンデンサ3を用いれば、電流Iが僅かであっても電圧が急に上昇することが分かる。また、アッシュ17が付着したPMセンサ20と新品のPMセンサ20とで、電圧の測定値が殆ど同じであることが分かる。これから、本発明を用いると、アッシュ17が付着して劣化したPMセンサ20であっても、PM8を正確に測定できることが分かる。また、
図52から、コンデンサ3を用いる場合は、電流センサ9を用いる場合(
図50参照)と比較して、測定値の立ち上がりが急峻であることが分かる。これから、コンデンサ3を用いた方が、PM8の検出感度が高いことが分かる。
【0126】
(実験例2)
本発明の効果を確認するための、別の実験を行った。まず、新品のPMセンサ20を用意した。さらに、ヒータを長時間発熱させ、電極2を劣化させたPMセンサ20を用意した。
【0127】
これらのPMセンサ20を、電流センサ9を用いた従来のPM検出システム1(
図56参照)に取り付け、PM8の検出を行った。測定をする際の条件は、実験例1と同一であった。すなわち、排ガスのPM濃度を7mg/m
3にし、排ガスの温度を200℃にした。測定結果を
図53に示す。
【0128】
同図から、新品のPMセンサ20は、PM8の測定を開始してから暫く経過すると、電流が流れることが分かる。これに対して、熱によって劣化したPMセンサ20は、PM8の測定を開始してから時間が経過しても、電流が殆ど流れないことが分かる。これは、
図55に示すごとく、新品のPMセンサ20は、電極2が蒸発していないため、多くの電流経路80が形成され、多くの電流Iが流れるが、熱によって劣化したPMセンサ20は、電極2を構成する導電性物質(例えばPt等)が蒸発してスポンジ状になっているため、電流経路80の数が少なく(すなわち、電流Iが少なく)、電流センサ9によって電流Iを検出できないからだと考えられる。
【0129】
次に、同様の実験を、本発明に係るPM検出システム1を用いて行った。すなわち、PMセンサ20にコンデンサ3を直列接続し(
図20参照)、このコンデンサ3の電圧を測定した。コンデンサ3は、PMセンサ20とは別体に設けた。コンデンサ3には、静電容量が0.1(μF)のセラミックコンデンサを用いた。測定結果を
図54に示す。
【0130】
同図から、新品のPMセンサ20と熱劣化したPMセンサ20は、コンデンサ3の電圧が略同時に立ち上がることが分かる。これは、熱劣化したPMセンサ20は電極2が蒸発してスポンジ状になっているため、電流Iが流れにくいが、コンデンサ3を用いた場合は、僅かな電流Iでもコンデンサ3の電圧が急に上昇するからだと考えられる。
【0131】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。