特許第6860091号(P6860091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6860091蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860091
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/183 20210101AFI20210405BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20210405BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20210405BHJP
   H01M 10/30 20060101ALI20210405BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20210405BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20210405BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20210405BHJP
【FI】
   H01M2/08 K
   H01M10/04 Z
   H01M10/0585
   H01M10/30 Z
   H01G11/10
   H01G11/82
   H01G11/84
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-569100(P2019-569100)
(86)(22)【出願日】2019年1月28日
(86)【国際出願番号】JP2019002790
(87)【国際公開番号】WO2019151193
(87)【国際公開日】20190808
【審査請求日】2020年6月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-13315(P2018-13315)
(32)【優先日】2018年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2018-62090(P2018-62090)
(32)【優先日】2018年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100190470
【弁理士】
【氏名又は名称】谷澤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】田丸 耕二郎
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴文
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】真里谷 毅
(72)【発明者】
【氏名】山田 正博
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−073374(JP,A)
【文献】 特開2005−259379(JP,A)
【文献】 特開2009−252629(JP,A)
【文献】 特開2005−183073(JP,A)
【文献】 特開平11−274004(JP,A)
【文献】 特開平07−094374(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0004461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/183
H01G 11/10
H01G 11/82
H01G 11/84
H01M 10/04
H01M 10/0585
H01M 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のバイポーラ電極を有する電極積層体と、
前記電極積層体において、前記複数のバイポーラ電極のうち積層方向で隣り合う一対のバイポーラ電極間を封止する封止体と、を備え、
前記複数のバイポーラ電極は、それぞれ電極板を有し、
前記封止体は、前記電極板の縁部にそれぞれ設けられた一次封止体の群と、二次封止体と、を有し、
前記二次封止体は、
前記電極積層体の前記積層方向に延びる側面に沿って設けられ、前記一次封止体の群を結合する第一樹脂部と、
前記第一樹脂部を覆う第二樹脂部と、を有している、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記第一樹脂部は、
前記側面に沿って設けられ、前記一次封止体の群を結合する第一側面部分と、
前記第一側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における一端面上に張り出した第一張出部分と、を有し、
前記第二樹脂部は、
前記第一側面部分に沿って設けられた第二側面部分と、
前記第二側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における他端面上に張り出した第二張出部分と、を有している、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記第一張出部分の前記積層方向における長さは、前記第二張出部分の前記積層方向における長さよりも長い、請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記第二樹脂部は、
前記第一樹脂部に沿って設けられた側面部分と、
前記側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における一端面上に張り出した第一張出部分と、
前記側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における他端面上に張り出した第二張出部分と、を有している、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記第一樹脂部を構成する樹脂は、前記第二樹脂部を構成する樹脂と同じである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
縁部に一次封止体が設けられたバイポーラ電極を積層して電極積層体を形成する電極積層体形成工程と、
前記一次封止体の群を結合する二次封止体を樹脂の射出成形によって形成する二次封止体形成工程と、を含み、
前記二次封止体形成工程は、
前記一次封止体の群を結合する第一樹脂部を前記電極積層体の積層方向に延びる側面に沿って形成する第一樹脂部形成工程と、
前記第一樹脂部を覆う第二樹脂部を形成する第二樹脂部形成工程と、を含む、蓄電モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第一樹脂部形成工程では、前記側面に沿って第一側面部分を形成すると共に、前記第一側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における一端面に張り出す第一張出部分を形成し、
前記第二樹脂部形成工程では、前記第一側面部分に沿って第二側面部分を形成すると共に、前記第二側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における他端面に張り出す第二張出部分を形成する、請求項6に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第二樹脂部形成工程では、前記第一樹脂部に沿って側面部分を形成すると共に、前記側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における一端面に張り出す第一張出部分と、前記側面部分から前記電極積層体の前記積層方向における他端面に張り出す第二張出部分と、を形成する、請求項6に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えた、いわゆるバイポーラ型の蓄電モジュールが知られている(特許文献1参照)。かかる蓄電モジュールは、複数のバイポーラ電極を積層してなる電極積層体を備えている。電極積層体の周囲には、積層方向で隣り合うバイポーラ電極間を封止する封止体が設けられている。封止体によってバイポーラ電極間に形成された内部空間には電解液が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−204386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した封止体の形成にあたっては、例えばバイポーラ電極を構成する電極板の縁部に一次封止体を配置し、当該一次封止体付きのバイポーラ電極を積層して電極積層体を形成する。その後、各バイポーラ電極の一次封止体同士を二次封止体によって結合することにより、封止体が形成される。二次封止体は、例えば樹脂の射出成形によって形成される。二次封止体は、蓄電モジュールの外壁を構成しているので、強度向上のために肉厚に形成される。このため、射出成形後の樹脂の冷却速度にばらつきが生じる。樹脂は冷却により収縮するので、冷却され難い一次封止体と二次封止体との界面にボイド(空洞)が形成される場合がある。この場合、一次封止体同士が二次封止体によって結合されず、封止体によるバイポーラ電極間の封止性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の一側面は、上記課題の解決のためになされたものであり、封止性を向上することができる蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る蓄電モジュールは、積層された複数のバイポーラ電極を有する電極積層体と、電極積層体において、複数のバイポーラ電極のうち積層方向で隣り合う一対のバイポーラ電極間を封止する封止体と、を備える。複数のバイポーラ電極は、それぞれ電極板を有する。封止体は、電極板の縁部にそれぞれ設けられた一次封止体の群と、二次封止体と、を有する。二次封止体は、電極積層体の積層方向に延びる側面に沿って設けられ、一次封止体の群を結合する第一樹脂部と、第一樹脂部を覆う第二樹脂部と、を有している。
【0007】
この蓄電モジュールでは、二次封止体が、一次封止体の群を結合する第一樹脂部だけでなく、第二樹脂部を有している。これにより、二次封止体の強度を確保しながら、第一樹脂部の厚さを薄くすることができる。したがって、第一樹脂部を構成する樹脂の射出成形後の冷却速度のばらつきが抑制される。その結果、一次封止体と第一樹脂部との界面にボイドが形成されることが抑制されるので、第一樹脂部により一次封止体同士を結合することができる。よって、封止性を向上することができる。
【0008】
第一樹脂部は、側面に沿って設けられ、一次封止体の群を結合する第一側面部分と、第一側面部分から電極積層体の積層方向における一端面上に張り出した第一張出部分と、を有してもよい。第二樹脂部は、第一側面部分に沿って設けられた第二側面部分と、第二側面部分から電極積層体の積層方向における他端面上に張り出した第二張出部分と、を有してもよい。この場合、例えば射出成形により第一樹脂部を形成する際、電極積層体の他端面の全体と、一端面の縁部以外とに金型を押し付ける。更に、一端面側から金型内に樹脂を射出し、樹脂流を一端面の縁部に押し付ける。これにより、電極積層体の縁部に対し、積層方向における圧縮力を付与することができる。したがって、バイポーラ電極が樹脂流によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0009】
第一張出部分の積層方向における長さは、第二張出部分の積層方向における長さよりも長くてもよい。この場合、例えば、射出成形の金型内において、第一張出部分を形成するための空間の積層方向の長さを、第二張出部分を形成するための空間の積層方向の長さよりも長くすることができる。第一樹脂部の射出成形の際、電極積層体には、金型により積層方向に圧縮力を付与することができる。しかしながら、第一樹脂部が設けられる電極積層体の縁部には、圧縮力を付与することができない。これにより、電極積層体の縁部が、圧縮されず、第一張出部分を形成するための空間に浸入し、当該空間が狭められるおそれがある。当該空間が狭められると、樹脂が金型内に行き渡らずに、第一樹脂部の形成不良が生じるおそれがある。本発明の一側面に係る蓄電モジュールでは、当該空間の積層方向における長さを長くすることができるので、第一樹脂部の形成不良を抑制することができる。
【0010】
第二樹脂部は、第一樹脂部に沿って設けられた側面部分と、側面部分から電極積層体の積層方向における一端面上に張り出した第一張出部分と、側面部分から電極積層体の積層方向における他端面上に張り出した第二張出部分と、を有していてもよい。この場合、第一樹脂部を形成する際に、例えば一端面及び他端面に金型を押し付け、電極積層体の縁部に対し、積層方向における圧縮力を付与した状態で、樹脂の射出成形をすることができる。したがって、バイポーラ電極が樹脂流によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0011】
第一樹脂部を構成する樹脂は、第二樹脂部を構成する樹脂と同じであってもよい。この場合、第一樹脂部と第二樹脂部とが互いに結合され易いので、封止体の強度を向上させることができる。
【0012】
本発明の一側面に係る蓄電モジュールの製造方法は、縁部に一次封止体が設けられたバイポーラ電極を積層して電極積層体を形成する電極積層体形成工程と、一次封止体の群を結合する二次封止体を樹脂の射出成形によって形成する二次封止体形成工程と、を含む。二次封止体形成工程は、一次封止体の群を結合する第一樹脂部を電極積層体の積層方向に延びる側面に沿って形成する第一樹脂部形成工程と、第一樹脂部を覆う第二樹脂部を形成する第二樹脂部形成工程と、を含む。
【0013】
この蓄電モジュールの製造方法では、二次封止体形成工程において、一次封止体の群を結合する第一樹脂部が電極積層体の側面に沿って形成されるだけでなく、第二樹脂部が形成される。これにより、二次封止体の強度を確保しながら、第一樹脂部の厚さを薄くすることができる。したがって、第一樹脂部を構成する樹脂の射出成形後の冷却速度のばらつきが抑制される。その結果、一次封止体と第一樹脂部との界面にボイドが形成されることが抑制され、第一樹脂部により一次封止体同士を結合することができる。よって、封止性を向上することができる。
【0014】
第一樹脂部形成工程では、側面に沿って第一側面部分を形成すると共に、第一側面部分から電極積層体の積層方向における一端面に張り出す第一張出部分を形成してもよい。第二樹脂部形成工程では、第一側面部分に沿って第二側面部分を形成すると共に、第二側面部分から電極積層体の積層方向における他端面に張り出す第二張出部分を形成してもよい。この場合、第一樹脂部形成工程では、例えば他端面の全体と、一端面の縁部以外とに金型を押し付ける。更に、一端面側から金型内に樹脂を射出し、樹脂流を一端面の縁部に押し付ける。これにより、電極積層体の縁部に対し、積層方向における圧縮力を付与することができる。したがって、バイポーラ電極が樹脂流によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0015】
第二樹脂部形成工程では、第一樹脂部に沿って側面部分を形成すると共に、側面部分から電極積層体の積層方向における一端面に張り出す第一張出部分と、側面部分から電極積層体の積層方向における他端面に張り出す第二張出部分と、を形成してもよい。この場合、第樹脂部形成工程では、例えば一端面及び他端面の全体に金型を押し付け、電極積層体の縁部に対し、積層方向における圧縮力を付与した状態で、樹脂の射出成形をすることができる。したがって、バイポーラ電極が樹脂流によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、封止性を向上することができる蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る蓄電装置を示す概略断面図である。
図2図1に示された蓄電モジュールの概略断面図である。
図3】実施形態に係る第一樹脂部形成工程について説明するための図である。
図4】実施形態に係る第二樹脂部形成工程について説明するための図である。
図5】参考例に係る蓄電モジュールの概略断面図である。
図6】実施形態に係る第一樹脂部形成工程について説明するための図である。
図7】第一変形例に係る蓄電モジュールの概略断面図である。
図8】第一変形例に係る第一樹脂部形成工程について説明するための図である。
図9】第一変形例に係る第二樹脂部形成工程について説明するための図である。
図10】第二変形例に係る蓄電モジュールの概略断面図である。
図11】第二変形例に係る第一部分形成工程について説明するための図である。
図12】第二変形例に係る第二部分形成工程について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、実施形態に係る蓄電装置を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を有する蓄電モジュール積層体2と、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えて構成されている。
【0020】
蓄電モジュール積層体2は、複数(本実施形態では3体)の蓄電モジュール4と、複数(本実施形態では4枚)の導電板5とによって構成されている。蓄電モジュール4は、例えば後述するバイポーラ電極14を備えたバイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状である。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0021】
積層方向に隣り合う蓄電モジュール4,4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に隣り合う蓄電モジュール4,4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
【0022】
各導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。各流路5aは、例えば積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向とにそれぞれ直交する方向に互いに平行に延在している。これらの流路5aに冷媒を流通させることで、導電板5は、蓄電モジュール4,4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
【0023】
拘束部材3は、蓄電モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8,8と、エンドプレート8,8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形状の金属板である。エンドプレート8の内側面(蓄電モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
【0024】
エンドプレート8の縁部には、蓄電モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8,8によって挟持されて蓄電モジュール積層体2としてユニット化されると共に、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
【0025】
次に、蓄電モジュール4の構成について更に詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、封止体12とを備えている。
【0026】
電極積層体11は、セパレータ13を介して複数のバイポーラ電極14が積層されることによって構成されている。すなわち、電極積層体11は、積層された複数のバイポーラ電極14を有している。本実施形態では、電極積層体11の積層方向Dは蓄電モジュール積層体2(図1参照)の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aと、積層方向Dにおける端面11b,11cと、を有している。バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の一方面15aに設けられた正極16、及び電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。
【0027】
正極16は、正極活物質が塗工されてなる正極活物質層である。負極17は、負極活物質が塗工されてなる負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0028】
電極積層体11において、積層方向Dの一端には負極終端電極18が配置され、積層方向Dの他端には正極終端電極19が配置されている。負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介してバイポーラ電極14の正極16と対向している。負極終端電極18の電極板15の一方面15aには、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5が接触している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の一方面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19の電極板15の他方面15bには、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5が接触している。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介してバイポーラ電極14の負極17と対向している。
【0029】
電極板15は、例えばニッケルからなる金属箔、又はニッケルメッキ鋼板からなる。積層方向Dから見て、電極板15は、例えば矩形状である。本実施形態では、積層方向Dから見て、電極板15は長方形状である。縁部15cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域である。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0030】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0031】
封止体12は、電極積層体11を取り囲む。封止体12は、電極積層体11において、複数のバイポーラ電極14のうち積層方向Dで隣り合うバイポーラ電極14,14間を封止している。封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって矩形の筒状に形成されている。封止体12は、バイポーラ電極14、負極終端電極18及び正極終端電極19を構成する電極板15の縁部15cにそれぞれ設けられた一次封止体21の群Hと、二次封止体22と、を有している。一次封止体21を構成する樹脂は、二次封止体22を構成する樹脂に対して相溶性を有する樹脂であり、例えば、二次封止体22を構成する樹脂と同じである。一次封止体21及び二次封止体を構成する樹脂としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
【0032】
一次封止体21は、縁部15cに設けられている。一次封止体21は、電極板15の一方面15a側の縁部15c(未塗工領域)において、電極板15の全ての辺にわたって連続的に設けられている。一次封止体21は、積層方向Dから見て、正極16及び負極17から離間して設けられている。積層方向Dで隣り合う一次封止体21,21同士は、互いに当接している。一次封止体21は、積層方向Dで隣り合うバイポーラ電極14,14の電極板15,15間のスペーサとしての機能を有している。
【0033】
一次封止体21は、積層方向Dから見て、電極板15の縁部15cに重なった第一部分21aと、電極板15の縁よりも外側に張り出した第二部分21bとを有している。第二部分21bの積層方向Dの長さは、第一部分21aの積層方向Dの長さよりも長い。このため、一次封止体21は、第一部分21aと第二部分21bとの間に段差面21cを有している。段差面21cは、電極板15の端面、つまり側面11aの一部を覆っている。
【0034】
第一部分21aの少なくとも一部は、例えば超音波又は熱を用いた溶着により、縁部15cに対して強固に結合している。一次封止体21と電極板15との結合にあたって、電極板15における一次封止体21との結合面は、複数の微細突起が設けられた粗化メッキ面となっている。本実施形態では、正極16が設けられている電極板15の一方面15aの全面が粗化メッキ面となっている。微細突起は、例えば電極板15に対する電解メッキによって形成された突起状の析出金属(付与物を含む)である。粗化メッキ面においては、一次封止体21を構成する樹脂材料が微細突起間の隙間に入り込むことでアンカー効果が生じ、電極板15と一次封止体21との間の結合強度及び液密性(封止性)の向上が図られる。
【0035】
二次封止体22は、一次封止体21の群Hを外側から取り囲み、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。二次封止体22は、側面11aに沿って設けられ、一次封止体21の群Hを結合する第一樹脂部23と、第一樹脂部23を覆う第二樹脂部24と、を有している。第一樹脂部23を構成する樹脂は、第二樹脂部24を構成する樹脂に対して相溶性を有する樹脂であり、例えば、第二樹脂部24を構成する樹脂と同じである。
【0036】
第一樹脂部23は、側面部分23a(第一側面部分)と、張出部分23b(第一張出部分)と、を有している。側面部分23aは、電極積層体11の側面11aに沿って設けられ、一次封止体21の群Hを結合している。張出部分23bは、側面部分23aの積層方向Dの端部23cから、端面11b上に張り出している。張出部分23bは、電極板15の全ての辺にわたって連続的に設けられている。
【0037】
第二樹脂部24は、側面部分24a(第二側面部分)と、張出部分24b(第二張出部分)と、を有している。側面部分24aは、側面部分23aに沿って設けられ、側面部分23aを覆っている。側面部分24aの厚さt2は、例えば、側面部分23aの厚さt1と同等である。厚さt1は、例えば3mm以下である。張出部分24bは、側面部分24aの積層方向Dの端部24cから、端面11c上に張り出している。張出部分24bは、電極板15の全ての辺にわたって連続的に設けられている。
【0038】
張出部分23bの積層方向Dにおける長さL1は、例えば、張出部分24bの積層方向Dにおける長さL2よりも長い。長さL1は、例えば1.2mmである。長さL2は、例えば0.9mmである。長さL1,L2を短くすると、蓄電モジュール4の小型化を図ることができる。しかしながら、二次封止体22の強度を確保できないおそれがある。後述するような二次封止体22の形成不良が生じるおそれもある。したがって、長さL1,L2は、これらの点を考慮して設定され得る。長さL1は、長さL2と同等であってもよい。二次封止体22の積層方向Dの長さは、例えば12mmである。張出部分23b,24bの外縁と内縁との間の長さは、例えば5mmである。張出部分23b,24bの外縁は、積層方向Dから見て、一次封止体21と側面部分23aとの界面Sと重なっている。
【0039】
電極板15,15間には、積層方向Dにおける一次封止体21,21の間隔によって規定される内部空間Vが形成されている。当該内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液Eが収容されている。電解液Eは、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。封止体12には、各内部空間Vに連通する複数の連通孔(不図示)が設けられている。この連通孔は、各内部空間Vに電解液Eを注入するための注液口として機能する。連通孔は、電解液Eが注入された後は、圧力調整弁(不図示)の接続口として機能する。
【0040】
次に、上述した蓄電モジュール4の製造方法について説明する。蓄電モジュール4の製造方法では、まず、バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19の電極板15の縁部15cに一次封止体21を形成する。一次封止体21は、各電極板15の一方面15a側の縁部15cに形成される。一次封止体21は、例えば、予め射出成形により矩形枠状に形成された後、超音波又は熱を用いた溶着により縁部15cに取り付けられる。
【0041】
続いて、縁部15cに一次封止体21が設けられた複数のバイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19を、セパレータ13を介して積層して電極積層体11を形成する(電極積層体形成工程)。この工程では、まず、一次封止体21付き正極終端電極19が積層冶具(不図示)上に載置される。次に、正極終端電極19上に、一次封止体21付きバイポーラ電極14がセパレータ13を介して複数積層される。最後に、バイポーラ電極14上に、一次封止体21付き負極終端電極18がセパレータ13を介して積層される。これにより、電極積層体11が形成される。
【0042】
続いて、一次封止体21の群Hを結合する二次封止体22を樹脂の射出成形によって形成する(二次封止体形成工程)。この工程では、まず、第一樹脂部23を側面11aに沿って形成する(第一樹脂部形成工程)。続いて、第一樹脂部23を覆う第二樹脂部24を形成する(第二樹脂部形成工程)。
【0043】
図3は、実施形態に係る第一樹脂部形成工程について説明するための図である。図3に示されるように、第一樹脂部形成工程では、積層方向Dにおいて互いに接離可能に構成された一対の金型51,52を用い、側面11aに沿って側面部分23a(図2参照)を形成すると共に、側面部分23aから端面11b上に張り出す張出部分23b(図2参照)を形成する。互いに接した状態(型閉状態)において、一対の金型51,52の内部には、一次封止体21(図3では図示省略。図2参照)が設けられた状態の電極積層体11を配置するための空間と、第一樹脂部23を形成するための空間と、が設けられている。
【0044】
電極積層体11は、端面11bの縁部以外が金型51に押し付けられると共に、端面11cの全体が金型52に押し付けられるように配置されている。電極積層体11には、一対の金型51,52によって積層方向Dの圧縮力が付与されている。この状態において、第一樹脂部23を構成する樹脂が、端面11bの縁部と対向するように設けられた射出口60から、溶融状態で一対の金型51,52内に射出される。これにより、第一樹脂部23を構成する樹脂の樹脂流F1が端面11bの縁部に押し付けられる。したがって、樹脂流F1による電極板15(図2参照)のまくれ上がりが抑制された状態で、第一樹脂部23が形成され、一次封止体21の群H(図2参照)が第一樹脂部23により結合される。
【0045】
図4は、実施形態に係る第二樹脂部形成工程について説明するための図である。図4に示されるように、第二樹脂部形成工程では、積層方向Dにおいて互いに接離可能に構成された一対の金型53,54を用い、側面部分23aに沿って側面部分24aを形成すると共に、側面部分24aから端面11c上に張り出す張出部分24bを形成する。互いに接した状態(型閉状態)において、一対の金型53,54の内部には、一次封止体21(図4では図示省略。図2参照)及び第一樹脂部23が設けられた状態の電極積層体11を配置するための空間と、第二樹脂部24を形成するための空間と、が設けられている。第二樹脂部24を構成する樹脂は、例えば、側面11aと対向するように設けられた射出口60から溶融状態で一対の金型53,54内に射出される。これにより、第一樹脂部23が第二樹脂部24により覆われる。ここでは、一次封止体21の群H(図2参照)は第一樹脂部23により結合されているため、射出口60が設けられる位置によらず、第二樹脂部24を構成する樹脂の樹脂流F2による電極板15(図2参照)のまくれ上がりが抑制される。
【0046】
第一樹脂部23を形成するための一対の金型51,52の内部において、張出部分23bを形成するための空間の積層方向Dの長さL3は、長さL1に合わせて設定されている。第二樹脂部24を形成するための一対の金型53,54の内部において、張出部分24bを形成するための空間の積層方向Dの長さL4は、長さL2に合わせて設定されている。したがって、長さL3は、長さL4よりも長い。
【0047】
続いて、封止体12に設けられた注液口を通じて電解液Eを内部空間Vに注入する工程が行われる。以上により、蓄電モジュール4が製造される。
【0048】
図5は、参考例に係る蓄電モジュール4の概略断面図である。図5に示されるように、参考例に係る蓄電モジュール100は、第一樹脂部23及び第二樹脂部24に分かれて形成されている二次封止体22の代わりに、このような樹脂部に分かれて形成されていない二次封止体122を有している点で、図2に示される蓄電モジュール4と相違している。蓄電モジュール100の二次封止体122は、肉厚に形成された側面部分122aと、一対の張出部分122b,122bと、を有している。一対の張出部分122b,122bは、側面部分23aの積層方向Dの一対の端部122c,122cから端面11b,11c上に張り出している。
【0049】
蓄電モジュール100の側面部分122aは肉厚であるため、射出成形により形成される場合、射出成形後の冷却速度にばらつきが生じる。樹脂は熱伝導率の高い金型の近傍では冷却され易く、熱伝導率の低い一次封止体21の近傍では冷却され難い。樹脂は溶融状態から冷却されて凝固状態に移行する際に収縮する。したがって、金型の近傍において先に凝固状態に移行した樹脂は、収縮により、一次封止体21の近傍における溶融状態の樹脂を引っ張る。この結果、一次封止体21と側面部分122aとの界面Sにボイドが形成される場合がある。この場合、二次封止体122により一次封止体21同士を結合することができず、封止性が低下するおそれがある。
【0050】
これに対し、蓄電モジュール4では、二次封止体22が、電極積層体11の側面11aに沿って設けられ、一次封止体21の群Hを結合する第一樹脂部23だけでなく、第二樹脂部24を有している。これにより、二次封止体22の強度を確保しながら、第一樹脂部23の厚さt1を薄くすることができる。したがって、第一樹脂部23を構成する樹脂の射出成形後の冷却速度のばらつきが抑制される。その結果、一次封止体21と側面部分23aとの界面Sにボイドが形成されることが抑制され、二次封止体22により一次封止体21同士を結合することができる。よって、封止性を向上することができる。厚さt1は、界面Sにボイドが形成されない程度に設定され得る。
【0051】
第一樹脂部23は、側面部分23aと、電極積層体11の端面11b上に張り出した張出部分23bと、を有し、第二樹脂部24は、側面部分24aと、電極積層体11の端面11c上に張り出した張出部分24bと、を有している。このため、例えば射出成形により第一樹脂部23を形成する際、端面11cの全体と、端面11bの縁部以外とに金型51,52を押し付ける。更に、端面11b側から金型51,52内に溶融樹脂を射出し、樹脂流F1を端面11bの縁部に押し付ける。これにより、電極積層体11の縁部に対し、積層方向Dにおける圧縮力を付与することができる。したがって、バイポーラ電極14が樹脂流F1によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0052】
第一樹脂部23の形成工程では、一対の金型51,52によって電極積層体11に積層方向Dの圧縮力を付与することができる。しかしながら、電極積層体11の縁部には圧縮力を付与することができない。このため、電極積層体11の縁部は圧縮されず、図6に示されるように、一対の金型51,52の内部の張出部分23bを形成するための空間内に浸入する場合がある。この場合、張出部分23bを形成するための空間が狭められる結果、樹脂が一対の金型51,52の内部に行き渡らずに、第一樹脂部23の形成不良が生じるおそれがある。
【0053】
特に、射出口60から離間した位置では、張出部分23bを形成するための空間が狭められ易い。これは、射出口60の近傍では、図3に示されるように、電極積層体11の縁部が樹脂流F1により押し付けられて圧縮されるのに対し、射出口60から離間した位置では、図6に示されるように、電極積層体11の縁部が圧縮されず、張出部分23bを形成するための空間に浸入し易いためである。
【0054】
第二樹脂部24の形成工程では、一次封止体21の群Hは、第一樹脂部23により既に結合されている。このため、一対の金型53,54の内部の張出部分24bを形成するための空間に、電極積層体11の縁部が侵入することが抑制される。したがって、第二樹脂部24の形成不良が抑制される。
【0055】
本実施形態では、長さL1は、長さL2よりも長い。このため、張出部分23bを形成するための空間の長さL3を、張出部分24bを形成するための空間の長さL4よりも長くすることができる。これにより、張出部分23bを形成するための空間が狭められることが抑制されるので、樹脂が一対の金型51,52の内部に行き渡る。したがって、第一樹脂部23の形成不良を抑制することができる。
【0056】
第一樹脂部23を構成する樹脂は、第二樹脂部24を構成する樹脂と同じである。このため、第一樹脂部23と第二樹脂部24とが互いに結合され易い。よって、封止体12の強度を向上させることができる。
【0057】
蓄電モジュール100の製造方法では、二次封止体形成工程は、端面11b,11cの縁部がいずれも押圧されていない状態で行われる。したがって、二次封止体122を構成する樹脂の樹脂流によって電極板15がまくれ上がるおそれがある。特に、樹脂流が、金型内おける側面部分122aを形成するための空間から、張出部分122bを形成するための空間に向かう際に、電極板15の縁部がまくれ上がり易い。
【0058】
これに対し、蓄電モジュール4の製造方法では、二次封止体形成工程において、一次封止体21の群Hを結合する第一樹脂部23が電極積層体11の側面11aに沿って形成されるだけでなく、第二樹脂部24が形成される。これにより、二次封止体22の強度を確保しながら、第一樹脂部23の厚さt1を薄くすることができる。したがって、第一樹脂部23を構成する樹脂の射出成形後の冷却速度のばらつきが抑制される。その結果、一次封止体21と第一樹脂部23との界面Sにボイドが形成されることが抑制され、第一樹脂部23により一次封止体21同士を結合することができる。よって、封止性を向上することができる。
【0059】
第一樹脂部形成工程では、側面部分23aを形成すると共に、電極積層体11の端面11b上に張り出す張出部分23bを形成する。第二樹脂部形成工程では、側面部分24aを形成すると共に、電極積層体11の端面11c上に張り出す張出部分24bを形成する。このため、第一樹脂部形成工程では、例えば端面11cの全体と、端面11bの縁部以外とに金型52を押し付ける。更に、端面11b側から金型51,52内に溶融樹脂を射出し、樹脂流F1を端面11bの縁部に押し付ける。これにより、電極積層体11の縁部に対し、積層方向Dにおける圧縮力を付与することができる。したがって、バイポーラ電極14が樹脂流F1によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0060】
本発明は上述した実施形態に限らず、様々な変形が可能である。
【0061】
図7は、第一変形例に係る蓄電モジュールの概略断面図である。図7に示されるように、第一変形例に係る蓄電モジュール4Aは、第一樹脂部23が張出部分23b(図2参照)を有さず、第二樹脂部24が一対の張出部分24b,24bを有する点で、図2に示される蓄電モジュール4と相違している。つまり、蓄電モジュール4Aでは、実質的に第一樹脂部23の全体が側面部分23a(図2参照)に対応している。第二樹脂部24は、第一樹脂部23に沿って設けられた側面部分24aと、一対の張出部分24b,24bと、を有している。一対の張出部分24b,24bは、側面部分24aの積層方向Dの一対の端部24c,24cから端面11b,11c上に張り出している。
【0062】
このような蓄電モジュール4Aにおいても、二次封止体22が、電極積層体11の側面11aに沿って設けられ、一次封止体21の群Hを結合する第一樹脂部23だけでなく、第二樹脂部24を有している。このため、蓄電モジュール4と同様に、二次封止体22の強度を確保しながら、封止性を向上することができる。
【0063】
蓄電モジュール4Aでは、第二樹脂部24が、側面部分24aと、一対の張出部分24b,24bと、を有している。このため、第一樹脂部23を形成する際には、例えば端面11b,11cに金型を押し付け、電極積層体11に対し、積層方向Dにおける圧縮力を付与した状態で、樹脂の射出成形をすることができる。したがって、バイポーラ電極14が樹脂流F1によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0064】
図8は、第一変形例に係る第一樹脂部形成工程について説明するための図である。図8に示されるように、蓄電モジュール4Aの製造方法の第一樹脂部形成工程では、積層方向Dにおいて互いに接離可能に構成された一対の金型55,56を用い、側面11aに沿って第一樹脂部23(図7参照)を形成する。互いに接した状態(型閉状態)において、一対の金型55,56の内部には、一次封止体21(図8では図示省略。図7参照)が設けられた状態の電極積層体11を配置するための空間と、第一樹脂部23を形成するための空間と、が設けられている。
【0065】
電極積層体11は、端面11b,11cの全体が金型55,56に押し付けられるように配置されている。電極積層体11には、一対の金型55,56によって積層方向Dの圧縮力が付与されている。この状態において、第一樹脂部23を構成する樹脂が、例えば、側面11aと対向するように設けられた射出口60から溶融状態で一対の金型55,56内に射出される。これにより、電極板15のまくれ上がりが抑制された状態で、第一樹脂部23が形成され、一次封止体21の群H(図2参照)が第一樹脂部23により結合される。
【0066】
図9は、第一変形例に係る第二樹脂部形成工程について説明するための図である。図9に示されるように、蓄電モジュール4Aの製造方法の第二樹脂部形成工程では、積層方向Dにおいて互いに接離可能に構成された一対の金型57,58を用い、第一樹脂部23に沿って側面部分24aを形成すると共に、側面部分24aから端面11b,11c上に張り出す張出部分24b,24bを形成する。互いに接した状態(型閉状態)において、一対の金型57,58の内部には、一次封止体21(図9では図示省略。図7参照)及び第一樹脂部23が設けられた状態の電極積層体11を配置するための空間と、第二樹脂部24(図7参照)を形成するための空間と、が設けられている。第二樹脂部24を構成する樹脂は、例えば、側面11aと対向するように設けられた射出口60から溶融状態で一対の金型57,58内に射出される。これにより、第一樹脂部23が第二樹脂部24により覆われる。第一変形例に係る第二樹脂部形成工程でも、一次封止体21の群H(図7参照)は第一樹脂部23により結合されているため、第二樹脂部24を構成する樹脂の樹脂流F2により電極板15がまくれ上がるおそれがない。
【0067】
続いて、封止体12に設けられた注液口を通じて電解液Eを内部空間Vに注入する工程が行われる。以上により、蓄電モジュール4Aが製造される。
【0068】
このような蓄電モジュール4Aの製造方法でも、二次封止体形成工程において、第一樹脂部23が形成されるだけでなく、第二樹脂部24が形成される。このため、蓄電モジュール4と同様に、二次封止体22の強度を確保しながら、封止性を向上することができる。
【0069】
第二樹脂部形成工程では、側面部分24aが形成されると共に、一対の張出部分24b,24bが形成される。このため、第一樹脂部形成工程では、例えば端面11b,11cの全体に金型55,56を押し付けた状態で、樹脂の射出成形を行うことができる。したがって、電極板15が樹脂流F1によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0070】
図10は、第二変形例に係る蓄電モジュールの概略断面図である。図10に示されるように、第二変形例に係る蓄電モジュール4Bは、第二樹脂部24が第一部分25及び第二部分26を含む点で、図7に示される蓄電モジュール4Aと相違している。図10では、電極積層体11の図示が簡略化されていると共に、一次封止体21の図示が省略されている。第一部分25は、第一樹脂部23を覆っている。第一部分25は、側面部分25a及び張出部分25bを有している。側面部分25aは、第一樹脂部23に沿って設けられ、第一樹脂部23を覆っている。張出部分25bは、側面部分25aの積層方向Dの端部25cから、端面11b上に張り出している。張出部分25bは、電極板15(図7参照)の全ての辺にわたって連続的に設けられている。第一部分25を構成する樹脂は、第一樹脂部23及び第二部分26を構成する樹脂に対して相溶性を有する樹脂であり、例えば、第一樹脂部23及び第二部分26を構成する樹脂と同じである。
【0071】
第二部分26は、第一部分25を覆っている。第二部分26は、側面部分26a及び張出部分26bを有している。側面部分26aは、側面部分25aに沿って設けられ、側面部分25aを覆っている。張出部分26bは、側面部分26aの積層方向Dの端部26cから、端面11c上に張り出している。張出部分26bは、電極板15(図7参照)の全ての辺にわたって連続的に設けられている。側面部分25a,26aは、側面部分24aを構成している。張出部分25b,26bは、張出部分24bを構成している。側面部分25aの厚さt3及び側面部分26aの厚さt4の和は、厚さt2である。例えば、厚さt3及び厚さt4は、互いに同等であり、厚さt3及び厚さt4は1.5mm以下であってもよい。
【0072】
このような蓄電モジュール4Bにおいても、二次封止体22が第一樹脂部23だけでなく、第二樹脂部24を有している。このため、蓄電モジュール4,4Aと同様に、二次封止体22の強度を確保しながら、封止性を向上することができる。第二樹脂部24が、側面部分24aと、一対の張出部分24bと、を有している。このため、第一樹脂部23を形成する際には、例えば端面11b,11cに金型を押し付け、電極積層体11に対し、積層方向Dにおける圧縮力を付与した状態で、樹脂の射出成形をすることができる。したがって、バイポーラ電極14が樹脂流F1(図8参照)によってまくれ上がることが抑制される。この結果、封止性を更に向上することができる。
【0073】
第二変形例に係る蓄電モジュール4Bの製造方法は、第二樹脂部形成工程が第一部分25を形成する第一部分形成工程、及び第二部分26を形成する第二部分形成工程を含む点で、蓄電モジュール4Aの製造方法と相違している。
【0074】
図11は、第二変形例に係る第一部分形成工程について説明するための図である。図11に示されるように、蓄電モジュール4Bの第一部分形成工程では、積層方向Dにおいて互いに接離可能に構成された一対の金型61,62を用い、第一樹脂部23に沿って側面部分25a(図10参照)を形成すると共に、側面部分25aから端面11b上に張り出す張出部分25b(図10参照)を形成する。互いに接した状態(型閉状態)において、一対の金型61,62の内部には、一次封止体21(図11では図示省略。図7参照)及び第一樹脂部23が設けられた状態の電極積層体11を配置するための空間と、第二樹脂部24の第一部分25(図10参照)を形成するための空間と、が設けられている。
【0075】
電極積層体11は、端面11bの縁部以外が金型61に押し付けられると共に、端面11cの全体が金型62に押し付けられるように配置されている。この状態において、第一部分25(図10参照)を構成する樹脂が、金型61に設けられた射出口60から、溶融状態で一対の金型61,62内に射出される。射出口60は、第一部分25の側面部分25a(図10参照)を形成するための空間を介して金型62と対向するように設けられている。ここでは、一次封止体21の群H(図7参照)は第一樹脂部23により結合されているため、射出口60が設けられる位置によらず、第一部分25を構成する樹脂の樹脂流F21による電極板15(図7参照)のまくれ上がりが抑制される。
【0076】
図12は、第二変形例に係る第二部分形成工程について説明するための図である。図12に示されるように、蓄電モジュール4Bの第二部分形成工程では、積層方向Dにおいて互いに接離可能に構成された一対の金型63,64を用い、側面部分25aに沿って側面部分26a(図10参照)を形成すると共に、側面部分26aから端面11c上に張り出す張出部分26b(図10参照)を形成する。互いに接した状態(型閉状態)において、一対の金型63,64の内部には、一次封止体21(図11では図示省略。図7参照)、第一樹脂部23及び第一部分25が設けられた状態の電極積層体11を配置するための空間と、第二樹脂部24の第二部分26(図10参照)を形成するための空間と、が設けられている。
【0077】
電極積層体11は、端面11bの全体が金型63に押し付けられると共に、端面11cの端部以外が金型64に押し付けられるように配置されている。端面11bの端部は、第一部分25の張出部分25bを介して金型63に押し付けられている。この状態において、第二部分26(図10参照)を構成する樹脂が、金型63に設けられた射出口60から、溶融状態で一対の金型63,64内に射出される。射出口60は、第二部分26の側面部分26a(図10参照)を形成するための空間を介して金型64と対向するように設けられている。上述のように、一次封止体21の群H(図7参照)は第一樹脂部23により結合されているため、射出口60が設けられる位置によらず、第二部分26を構成する樹脂の樹脂流F22による電極板15(図7参照)のまくれ上がりが抑制される。
【0078】
このような蓄電モジュール4Bの製造方法でも、二次封止体形成工程において、第一樹脂部23が形成されるだけでなく、第二樹脂部24が形成される。このため、蓄電モジュール4,4Aの製造方法と同様に、二次封止体22の強度を確保しながら、封止性を向上することができる。第二樹脂部形成工程では、側面部分24aが形成されると共に、一対の張出部分24b,24bが形成される。このため、蓄電モジュール4Bの製造方法と同様に、第一樹脂部形成工程では、例えば端面11b,11cの全体に一対の金型を押し付けた状態で、樹脂の射出成形を行うことができる。したがって、封止性を更に向上することができる。
【0079】
実施形態に係る蓄電モジュール4では、第一樹脂部23の張出部分23bが端面11b上に延在し、第二樹脂部24の張出部分24bが端面11c上に延在しているが、第一樹脂部23の張出部分23bが端面11c上に延在し、第二樹脂部24の張出部分24bが端面11b上に延在していてもよい。
【0080】
蓄電モジュール4,4A,4Bでは、厚さt2は、例えば、厚さt1と同等であるが、厚さt2は厚さt1よりも厚くてもよい。第二樹脂部24が射出成形によって肉厚に形成される場合、射出成形後の冷却速度にばらつきが生じ、第一樹脂部23と第二樹脂部24との界面にボイドが形成される可能性があるが、バイポーラ電極14間の封止は、第一樹脂部23により図られているため、封止性に影響はない。
【0081】
二次封止体22は、第二樹脂部24を覆う一又は複数の樹脂部を更に備えていてもよい。この場合、各樹脂部の厚さを薄くすることができるので、樹脂部同士の界面にボイドが形成されることが抑制される。これにより、樹脂部同士の結合強度が向上する結果、封止体12の強度が向上する。蓄電モジュール4Bは、第二樹脂部24として第一部分25を備え、第三樹脂部として第二部分26を備えた変形例でもある。
【0082】
蓄電モジュール4Bでは、第一部分25の張出部分25bが端面11b上に延在し、第二部分26の張出部分26bが端面11c上に延在しているが、第一部分25の張出部分25bが端面11c上に延在し、第二部分26の張出部分26bが端面11b上に延在していてもよい。第一部分25が側面部分25aを有さず、実質的に第一部分25の全体が張出部分25bに対応していてもよい。この場合、側面部分26aが側面部分24aの全体を構成する。第二樹脂部24が3つ以上の部分を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0083】
4,4A,4B…蓄電モジュール、11…電極積層体、11a…側面、11b,11c…端面、12…封止体、14…バイポーラ電極、15…電極板、15c…縁部、21…一次封止体、22…二次封止体、23…第一樹脂部、23a…側面部分、23b…張出部分、24…第二樹脂部、24a…側面部分、24b…張出部分、D…積層方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12