(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
利用側熱交換器(11)を有する熱交換器ユニット(10)を備え、前記利用側熱交換器での熱交換によって調和空気を生成し、前記調和空気を前記熱交換器ユニットに連通する複数の分配流路を介して空調対象空間に供給する空気調和システム(1)であって、
前記各分配流路は、前記熱交換器ユニットに接続され、前記調和空気を分配するためのダクト(20,20a〜20d)と、前記ダクトに対応して設けられ、前記熱交換器ユニットから前記ダクトを介して前記空調対象空間に供給するファンユニット(30,30a〜30d)と、から構成されると共に、前記空調対象空間に前記調和空気を供給する供給空気量を個別に変更できるように構成されているアクチュエータ(33,39,75)を含み、
前記利用側熱交換器を通過する風量が所定条件を満たすように前記アクチュエータを制御するメインコントローラ(40)と、
前記利用側熱交換器に接続され、圧縮機(51)を有し、前記利用側熱交換器とともに蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(200)を構成する熱源装置(50)と
を備え、
前記所定条件が、前記利用側熱交換器を通過する風量を、所定値以上にすることであり、
前記所定値が、前記冷媒回路を循環する冷媒の状態または循環量に影響を与える熱源装置のパラメータに応じて変わるように設定されていることを特徴とする、空気調和システム(1)。
前記パラメータが、前記冷媒回路の凝縮温度、前記冷媒回路の蒸発温度、前記利用側熱交換器の熱交換器温度、前記圧縮機の運転周波数、前記冷媒回路の過熱度、前記冷媒回路の過冷却度、前記利用側熱交換器の入口温度と出口温度の組み合わせ、及び前記利用側熱交換器の出口圧力と出口温度の組合せのうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の空気調和システム(1)。
前記メインコントローラは、前記ファンユニットの風量を減少させる指示によって前記利用側熱交換器を通過する風量が前記所定値未満になるとき、前記ファンユニットが停止している場合、前記ファンユニットを起動させる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空気調和システム(1)。
前記メインコントローラは、前記ファンユニットの風量を減少させる指示によって前記利用側熱交換器を通過する風量が前記所定値未満になるときには、前記ファンユニットの風量を増加させる、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の空気調和システム(1)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1に示されている空気調和システム1は、空調対象空間SAに調和空気を供給するシステムである。空調対象空間SAには、建物BLの中の部屋RA1,RA2などがある。ここでは、空調対象空間SAが2つの部屋RA1,RA2である場合について説明するが、空気調和システム1は、種々の大きさ、種々の形状、及び様々な個数の部屋に対応させることができる。空気調和システム1が調和空気を供給する空調対象空間SAは、部屋RA1,RA2のように周囲(前後・上下・左右)が壁面で囲まれていることが好ましい。なお、空調対象空間SAは、部屋RA1,RA2に限られず、例えば、廊下、階段及びエントランスであってもよい。
【0029】
空気調和システム1は、
図1に示されているように、利用側熱交換器11を有する熱交換器ユニット10と、メインコントローラ40とを備えている。空気調和システム1は、利用側熱交換器11での熱交換によって調和空気を生成し、調和空気を熱交換器ユニット10に連通する複数の分配流路を介して空調対象空間SAに供給する。各分配流路は、熱交換器ユニット10に接続され、調和空気を分配するためのダクト20と、ダクト20に対応して設けられ、熱交換器ユニット10からダクト20を介して空調対象空間SAに供給するファンユニット30と、から構成される。また、各分配流路は、空調対象空間SAに調和空気を供給する供給空気量を個別に変更できるように構成されているアクチュエータを含む。
【0030】
なお、複数のダクト20を区別する場合には、ダクト20aのようにアルファベットの添え字を付して表す。ここでは、ダクト20として、4つのダクト20a〜20dが示されている。また、ファンユニット30として、4台のファンユニット30a〜30dが示されている。また、吹出口ユニット70、リモートコントローラ60として、それぞれ4つの吹出口ユニット70a〜70d、リモートコントローラ60a〜60dが示されている。
【0031】
熱交換器ユニット10は、利用側熱交換器11での熱交換によって調和空気を生成する機能を有している。複数のダクト20は、一端21が熱交換器ユニット10に接続されている。複数のダクト20は、熱交換器ユニット10が生成した調和空気を送る複数の管であって、調和空気を分配する機能を有する。
【0032】
複数のファンユニット30は、複数のダクト20の他端22に接続されている。ここでは、例えば熱交換器ユニット10に接続されている1つのダクト20aに、対応する1つのファンユニット30aが接続されている。同様に、ファンユニット30b〜30dも、それぞれ、対応するダクト20b〜20dに接続されている。ここでは、各ダクト20が1つの一端21と1つの他端22を持つ場合について説明するが、1つのダクト20が、1つの一端21と複数の他端22を持つように分岐していてもよく、そのように分岐した複数の他端22にそれぞれファンユニット30が接続されていてもよい。また、ファンユニット30a〜30dは、吹出口ユニット70a〜70dおよびリモートコントローラ60a〜60dに接続されている。
【0033】
空気調和システム1は、空調対象空間SAに配置された複数の吹出口71を有している。各ファンユニット30は、対応する各吹出口71に調和空気を供給する。各吹出口71に調和空気を供給するため、各ファンユニット30は、熱交換器ユニット10から各ダクト20を介して、調和空気を吸引する。各ファンユニット30は、調和空気を吸引するため、各ファンユニット30の各ケーシング31の中に、送風ファン32を有している。各送風ファン32は、各ダクト20の他端22から各吹出口71に向って送風する。各ファンユニット30が有する送風ファン32の台数は、1台でもよく、複数台であってもよい。ここでは、ファンユニット30a〜30dのケーシング31の中に、それぞれ送風ファン32a〜32dが1台ずつ設けられている。
【0034】
空気調和システム1は、アクチュエータによって、各吹出口71に供給する調和空気の個別の供給空気量を変更できるように構成されている。ここでは、回転数を変更可能なファンモータ33が、アクチュエータである。ここでは、4台のファンモータ33a〜33dが個別に回転数を変更できるように構成されており、ファンモータ33a〜33dがそれぞれ個別に回転数を変更することによって、ファンユニット30a〜30dが個別に供給空気量を変更することができる。
【0035】
空気調和システム1は、メインコントローラ40から複数のアクチュエータに供給空気量の増減に関する指示を出す。メインコントローラ40を含む空気調和システム1の制御系統については後述する。
【0036】
空気調和システム1は、上記の構成に加えて、熱源ユニット50と、リモートコントローラ60と、吹出口ユニット70と、吸込口ユニット80と、種々のセンサとを備えている。空気調和システム1が備えるセンサについては後述する。
【0037】
(2)詳細構成
(2−1)熱交換器ユニット10
熱交換器ユニット10は、利用側熱交換器11と、利用側熱交換器11を収納する中空のハウジング12と、メインコントローラ40とを備えている。ハウジング12は、吸込口81に接続される1つの空気入口12aと、複数のダクト20に接続される複数の空気出口12bとを有している。ここでは、空気入口12aが1つの場合を示しているが、空気入口12aは複数設けられてもよい。利用側熱交換器11は、例えば、フィンアンドチューブ式の熱交換器であり、伝熱フィンの間を通過する空気と、伝熱管の中を流れる冷媒の間で熱交換が行なわれる。空気入口12aから吸い込まれる空気が利用側熱交換器11を通過するときに、利用側熱交換器11を通過する冷媒と空気との間で熱交換が行なわれ、調和空気が生成される。利用側熱交換器11で生成された調和空気は、空気出口12bから各ダクト20a〜20bに吸い込まれる。
【0038】
熱交換器ユニット10には、ファンが設けられていない。空気入口12aから熱交換器ユニット10が空気を吸い込むことができるのは、複数のダクト20が全て複数の空気出口12bから空気を吸い込むことにより熱交換器ユニット10の中が負圧になるからである。
【0039】
(2−2)ダクト20
調和空気を分配する機能を有する複数のダクト20は、熱交換器ユニット10の複数の空気出口12bと複数のファンユニット30とを接続している。ここでは、各ファンユニット30と各吹出口ユニット70が直接接続されている場合について説明するが、ファンユニット30と吹出口ユニット70との間にもダクト20が配置され、ファンユニット30と吹出口ユニット70がダクト20で接続されてもよい。
【0040】
ダクト20には、金属製の形状が固定された管が用いられてもよく、自在に曲げられる素材からなる管が用いられてもよい。このようなダクト20をつなぎ合せることで、熱交換器ユニット10、複数のファンユニット30及び複数の吹出口ユニット70の様々な配置が可能になる。
【0041】
図2には、天井裏室ATで接続されている熱交換器ユニット10と、4つのファンユニット30と、4つの吹出口ユニット70が概念的に示されている。このように構成されている熱交換器ユニット10とファンユニット30と吹出口ユニット70は、薄く形成することが容易であるので、部屋RM1,RM2の床下の空間に配置してもよい。
【0042】
(2−3)ファンユニット30
各ファンユニット30が備える送風ファン32には、例えば遠心ファンを用いることができる。送風ファン32として用いられる遠心ファンには、例えばシロッコファンがある。各ファンユニット30が備えるケーシング31には、吸気口36と排出口37を有している。各ケーシング31の吸気口36には、各ダクト20の他端22が接続されている。各ケーシング31の排出口37には、各送風ファン32の吹出口が接続されるとともに、対応する吹出口ユニット70が接続される。送風ファン32から吹出された調和空気は、吹出口ユニット70の中を通って、吹出口71から吹出される。
【0043】
ケーシング31には、ファンコントローラ34が取り付けられている。ここでは、全てのファンコントローラ34が、メインコントローラ40に接続されている。
【0044】
図3には、送風ファン32の一例として、シロッコファンが示されている。この送風ファン32のファンロータ35を回転させるファンモータ33は、回転数を変更することができる。従って、送風ファン32は、ファンモータ33の回転数を変えることによって供給空気量を変更することができる。ファンコントローラ34は、ファンモータ33に接続されており、ファンモータ33の回転数を制御することができる。
【0045】
各ファンユニット30は、後述する風量検知部として機能する差圧センサ121を備えており、ダクト長さによって各ファンユニット30までのダクト20で生じる空気抵抗が異なっても、必要な供給空気量を出すために必要なファンモータ33の回転数を各ファンコントローラ34が自動的に補正できるように構成されている。ただし、このような補正機能をファンユニット30に搭載しなくてもよい場合もある。
【0046】
(2−4)熱源ユニット50
熱源ユニット50は、熱交換器ユニット10の利用側熱交換器11の熱交換に要する熱エネルギーを供給する。
図1に示されている空気調和システム1では、熱源ユニット50と熱交換器ユニット10との間で冷媒が循環し、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行なわれる。熱源ユニット50と熱交換器ユニット10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷凍サイクル装置を構成している。
図1に示された例では、熱源ユニット50が建物BLの外に置かれ、外気を熱源としているが、熱源ユニット50の配置箇所は建物BLの外には限られない。
【0047】
熱源ユニット50は、圧縮機51と、熱源側熱交換器52と、膨張弁53と、四方弁54と、熱源側ファン55と、熱源コントローラ56と、ユニット内冷媒配管57,58とを備えている。圧縮機51の吐出口が四方弁54の第1ポートに接続され、圧縮機51の吸入口が四方弁54の第3ポートに接続されている。圧縮機51は、吸入口から吸入したガス状態の冷媒(以下、ガス冷媒ともいう)または気液二相状態の冷媒を圧縮して吐出口から吐出する。圧縮機51は、例えばインバータ制御により回転数(または運転周波数)を変更することのできる圧縮機モータを内蔵している。圧縮機51は、運転周波数を変更することにより吐出する冷媒の単位時間当たりの吐出量を変更することができる。
【0048】
四方弁54は、第2ポートに熱源側熱交換器52の一方の出入口を接続し、第4ポートにユニット内冷媒配管58を接続している。四方弁54は、冷房運転時には、実線で示されているように、第1ポートから第2ポートに冷媒が流れて圧縮機51から吐出された冷媒が熱源側熱交換器52に送られ、利用側熱交換器11からユニット内冷媒配管132と冷媒連絡配管92とユニット内冷媒配管58とを介して第4ポートから第3ポートに冷媒が流れて圧縮機51の吸入口に冷媒が送られる。四方弁54は、暖房運転時には、破線で示されているように、第1ポートから第4ポートに冷媒が流れて圧縮機51から吐出された冷媒がユニット内冷媒配管58と冷媒連絡配管92とユニット内冷媒配管132とを介して利用側熱交換器11に送られ、第2ポートから第3ポートに冷媒が流れて熱源側熱交換器52から圧縮機51の吸入口に冷媒が送られる。熱源側熱交換器52は、例えば、フィンアンドチューブ式の熱交換器であり、伝熱フィンの間を通過する空気と、伝熱管の中を流れる冷媒の間で熱交換が行なわれる。
【0049】
熱源側熱交換器52の他方の出入口は膨張弁53の一方端に接続され、膨張弁53の他方端はユニット内冷媒配管57と冷媒連絡配管91とユニット内冷媒配管131とを介して利用側熱交換器11の一方の出入口に接続されている。利用側熱交換器11の他方の出入口は、ユニット内冷媒配管132に接続されている。
【0050】
このような熱源ユニット50と熱交換器ユニット10が接続されることで冷媒回路200が構成されている。冷媒回路200では、冷房運転時に、圧縮機51、四方弁54、熱源側熱交換器52、膨張弁53、利用側熱交換器11、四方弁54、圧縮機51の順に冷媒が流れる。また、暖房運転時に、冷媒回路200では、圧縮機51、四方弁54、利用側熱交換器11、膨張弁53、熱源側熱交換器52、四方弁54、圧縮機51の順に冷媒が流れる。
【0051】
(2−4−1)冷房運転時の冷媒の循環
冷房運転時には、圧縮機51で圧縮されたガス冷媒が、四方弁54を通って熱源側熱交換器52に送られる。この冷媒は、熱源側ファン55によって流れる空気に熱源側熱交換器52で放熱し、膨張弁53で膨張して減圧され、ユニット内冷媒配管57と冷媒連絡配管91とユニット内冷媒配管131とを通って利用側熱交換器11に送られる。膨張弁53から送られてきた低温低圧の冷媒は、利用側熱交換器11で熱交換を行って吸込口81から送られてきた空気から熱を奪う。利用側熱交換器11で熱交換を終えたガス冷媒または気液二相の冷媒は、ユニット内冷媒配管132と冷媒連絡配管92とユニット内冷媒配管58及び四方弁54を通って圧縮機51に吸入される。利用側熱交換器11で熱を奪われた調和空気が、複数のダクト20、複数のファンユニット30及び複数の吹出口71を通って部屋RA1,RA2に吹出されることにより、部屋RA1,RA2の冷房が行われる。
【0052】
冷房運転では、圧縮機51で液圧縮が起きないように、例えば、圧縮機51の吸入口に吸入される冷媒の過熱度を過熱度目標値に一致させるような膨張弁53の開度調節の制御が行なわれる。また、このような膨張弁53の開度調節が行なわれつつ、冷房負荷を処理できるように、圧縮機51の運転周波数を変更する制御が行われる。過熱度は、例えば、利用側熱交換器11から送り出されるガス冷媒の温度から利用側熱交換器の中の冷媒の蒸発温度を差し引いて算出される。
【0053】
(2−4−2)暖房運転時の冷媒の循環
暖房運転時には、圧縮機51で圧縮されたガス冷媒が、四方弁54及びユニット内冷媒配管58と冷媒連絡配管92とユニット内冷媒配管132を通って利用側熱交換器11に送られる。この冷媒は、利用側熱交換器11で熱交換を行って吸込口81から送られてきた空気に熱を与える。利用側熱交換器11で熱交換を行った冷媒は、ユニット内冷媒配管131と冷媒連絡配管91とユニット内冷媒配管57を通って膨張弁53に送られる。膨張弁53で膨張して減圧された低温低圧の冷媒は、熱源側熱交換器52に送られ、熱源側熱交換器52で熱交換を行い、熱源側ファン55によって流れる空気から熱を得る。熱源側熱交換器52で熱交換を終えたガス冷媒または気液二相の冷媒は、四方弁54を通って圧縮機51に吸入される。利用側熱交換器11で熱を与えられた調和空気が、複数のダクト20、複数のファンユニット30及び複数の吹出口71を通って部屋RA1,RA2に吹出されることにより、部屋RA1,RA2の暖房が行われる。
【0054】
暖房運転では、例えば、利用側熱交換器11の出口(ユニット内冷媒配管131)における冷媒の過冷却度を過熱度目標値に一致させるように膨張弁53の開度を調節する制御が行われる。また、このような膨張弁53の開度調節が行なわれつつ、暖房負荷を処理できるように、圧縮機51の運転周波数を変更する制御が行われる。利用側熱交換器11の過冷却度は、例えば、利用側熱交換器11の中の冷媒の凝縮温度から利用側熱交換器11から出る液冷媒の温度を差し引くことにより算出される。
【0055】
吹出口ユニット70は、例えば、吹出口71を下方に向けて天井CEに取り付けられる。ここでは、吹出口ユニット70が天井CEに取り付けられる場合を例に示しているが、例えば吹出口ユニット70が壁に取り付けられてもよく、吹出口ユニット70の取り付け箇所は天井CEには限られない。
【0056】
(2−5)吹出口ユニット70
吹出口ユニット70は、中空のケーシング72の中に、エアフィルタ73を備えている。吹出口ユニット70a〜70dは、それぞれファンユニット30a〜30dに接続している。ファンユニット30から送られてきた調和空気は、エアフィルタ73を通って吹出口71から吹出される。ここでは、吹出口ユニット70がエアフィルタ73を備えている場合について説明しているが、吹出口ユニット70はエアフィルタ73を備えない構成であってもよい。
【0057】
また、吹出口ユニット70は、中空のケーシング72の中に、風向板74を備えている。吹出口ユニット70は、風向板74を駆動するための風向板用モータ75を備えている。ここでは、風向板74を駆動するための風向板用モータ75が、アクチュエータである。風向板74は、風向板用モータ75によって移動することができ、風向を調節することができる。さらに、風向板74は、吹出口71を締め切れる位置に移動することもできる。風向板用モータ75は、例えばファンユニット30のファンコントローラ34に接続される。従って、ファンコントローラ34は、風向及び吹出口71の開閉を制御することができる。ここでは、吹出口ユニット70が風向板74及び風向板用モータ75を備えている場合について説明しているが、吹出口ユニット70は風向板74及び風向板用モータ75を備えない構成であってもよい。
【0058】
吸込口ユニット80は、例えば、吸込口81を空調対象空間SAに向けて天井CEに取り付けられる。ここでは、吸込口ユニット80が天井CEに取り付けられる場合を例に示しているが、例えば吸込口ユニット80が建物BLの壁に取り付けられてもよく、吸込口ユニット80の取り付け箇所は天井CEには限られない。
【0059】
吸込口ユニット80は、中空のケーシング82の中に、エアフィルタ83を備えている。熱交換器ユニット10に送られる空気は、エアフィルタ83を通って吸込口81から取り入れられる。ここでは、吸込口ユニット80がエアフィルタ83を備えている場合について説明しているが、吸込口ユニット80がエアフィルタ83を備えない構成であってもよい。
【0060】
(2−6)制御系統
図4に示されているように、メインコントローラ40は、複数のファンコントローラ34及び熱源コントローラ56に接続されている。熱源コントローラ56は、例えば熱源ユニット50の中の各種の機器に接続されたプリント配線基板上に設けられている各種の回路により構成されており、圧縮機51、膨張弁53、四方弁54及び熱源側ファン55などの熱源ユニット50の中の各種の機器を制御する。また、メインコントローラ40は、各ファンコントローラ34を介して各リモートコントローラ60に接続されている。リモートコントローラ60a〜60dは、吹出口ユニット70a〜70dに対応しており、ファンユニット30a〜30dに接続されている。ここでは、リモートコントローラ60がファンコントローラ34を介してメインコントローラ40に接続される場合について説明しているが、リモートコントローラ60を直接メインコントローラ40に接続してもよい。ここでは、メインコントローラ40と複数のファンコントローラ34と熱源コントローラ56と複数のリモートコントローラ60が、有線で接続されている場合を示しているが、これらの全てまたは一部が無線通信によって接続されてもよい。
【0061】
メインコントローラ40と複数のファンコントローラ34と熱源コントローラ56と複数のリモートコントローラ60は、例えばコンピュータにより実現されるものである。メインコントローラ40と複数のファンコントローラ34と熱源コントローラ56と複数のリモートコントローラ60を構成するコンピュータは、制御演算装置と記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。しかし、メインコントローラ40と複数のファンコントローラ34と熱源コントローラ56と複数のリモートコントローラ60は、CPUとメモリを用いて行うのと同様の制御を行うことができる集積回路(IC)を用いて構成されてもよい。ここでいうICには、LSI(large-scale integrated circuit)、ASIC(application-specific integrated circuit)、ゲートアレイ、FPGA(field programmable gate array)等が含まれる。
【0062】
熱交換器ユニット10には、吸込温度センサ101、ガス側温度センサ102、液側温度センサ103及び利用側熱交換器温度センサ104が配置されている。なお、これらの温度センサあるいは後述する温度センサには例えばサーミスタを用いることができる。また、利用側熱交換器11を通過した直後の空気温度を検出する空気出口温度センサ105を有してもよい。吸込温度センサ101、ガス側温度センサ102、液側温度センサ103及び利用側熱交換器温度センサ104は、メインコントローラ40に接続され、これらの検出結果がメインコントローラ40に送信される。吸込温度センサ101は、空気入口12aから吸い込まれる空気の温度を検出する。ガス側温度センサ102は、ユニット内冷媒配管58に接続された利用側熱交換器11の一方の出入口の冷媒の温度を検出する。液側温度センサ103は、ユニット内冷媒配管57に接続された利用側熱交換器11の他方の出入口の冷媒の温度を検出する。利用側熱交換器温度センサ104は、利用側熱交換器11の中を流れる気液二相状態の熱交換器温度を検出する。
【0063】
熱源ユニット50には、熱源側空気温度センサ111、吐出管温度センサ112及び熱源側熱交換器温度センサ113が配置されている。熱源側空気温度センサ111、吐出管温度センサ112及び熱源側熱交換器温度センサ113は、熱源コントローラ56に接続されている。熱源側空気温度センサ111、吐出管温度センサ112及び熱源側熱交換器温度センサ113の検出結果は、熱源コントローラ56を介してメインコントローラ40に送信される。熱源側空気温度センサ111は、熱源側ファン55によって生じる熱源側熱交換器52を通過する前の気流の温度を検出する。吐出管温度センサ112は、圧縮機51から吐出される冷媒の温度を検出する。熱源側熱交換器温度センサ113は、熱源側熱交換器52内の冷媒流路の中途付近に取り付けられ、熱源側熱交換器52の中を流れる気液二相状態の熱交換器温度を検出する。
【0064】
ファンユニット30には、差圧センサ121及び吹出温度センサ122が配置されている。差圧センサ121では、例えば、ファンユニット30の設置箇所の風上側と風下側の気流の差圧を検出する。差圧センサ121は、ファンコントローラ34に接続されており、ファンコントローラ34に検出した差圧のデータを送信する。例えば、差圧センサ121が取り付けられる箇所の流路の断面積が予め決められており、ファンコントローラ34は、差圧センサ121の検出値から供給空気量を算出することができる。また、差圧センサ121の圧力差から風向を検出することができる。吹出温度センサ122は、例えば各ファンユニット30のケーシング31の中に設置され、各ファンユニット30から吹出される調和空気の温度を検出する。ここでは、吹出温度センサ122が、ファンユニット30のケーシング31の中に設置される場合について説明するが、吹出温度センサ122の設置場所は、他の場所であってもよく、例えば吹出口ユニット70の中を設置場所としてもよい。
【0065】
複数のリモートコントローラ60は、それぞれ、室内温度センサ61を内蔵しており、空気調和システム1及び/またはファンユニット30の運転のオン・オフの指示、冷暖房の切替、設定温度及び設定風量を入力できるように構成されている。設定温度は例えば、数値で入力できるように構成され、設定風量は微風、弱風、中風、強風の中から選択することで入力できるように構成されている。例えば、ユーザは、リモートコントローラ60の入力ボタンを使って、冷房運転を選択し、設定温度を28℃に設定し、設定風量として中風を選択する。
【0066】
メインコントローラ40は、各吹出温度センサ122で検出される吹出温度と設定温度から各ファンユニット30から吹出させる必要な供給空気量を算出し、ファンモータ33の回転数を制御して、室内温度センサ61の検出値を設定温度に近づける制御を行う。
【0067】
例えば、初期には、3台のファンユニット30が熱交換器ユニット10に接続され、熱交換器ユニット10の空気出口12bの1つが塞がれている場合を想定する。このような場合に、さらに1台のファンユニット30を追加するときには、塞がれていた空気出口12bにダクト20を接続し、そのダクト20に追加するファンユニット30を接続し、追加されたファンユニット30に吹出口ユニット70を接続する。このようにして追加されたファンユニット30のファンコントローラ34をメインコントローラ40に接続すれば、メインコントローラ40と4つのファンコントローラ34のネットワークが完成し、メインコントローラ40の指示を伝えるネットワークを簡単に構築することができる。
【0068】
(3)空気調和システム1の動作
空気調和システム1では、複数のリモートコントローラ60から入力される設定風量が、複数のファンユニット30の供給空気量を決める基本的な供給空気量になる。しかしながら、設定風量を変えないとすると、設定温度に達した後に冷房運転では設定温度を下回り、暖房運転では設定温度を上回ってしまう。そこで、メインコントローラ40からの指令によって、室内空気温度を設定温度に収束させるために、各ファンユニット30の供給空気量を設定風量から変更する。メインコントローラ40は、室内空気温度と設定温度の温度差から空調負荷を算出し、各ファンユニット30の空調負荷と送風温度から必要な供給空気量を決める。例えば、室内空気温度が設定温度に一致して温度差がない場合には空調負荷が0になるので、メインコントローラ40は、室内空気温度が設定温度に一致しているファンユニット30については、設定風量が0でなくても送風を停止させる。ただし、吹出口71から熱交換器ユニット10に向けて空気を逆流させないために、空調負荷で判断すれば停止させるファンユニット30であっても逆流を抑制するために供給空気量を0にしないように制御されてもよい。
【0069】
(3−1)起動時
ファンユニット30a〜30dのファンコントローラ34は、それぞれ、4つのリモートコントローラ60の設定風量から各ファンユニット30a〜30dが供給する供給空気量を、メインコントローラ40に送信する。なお、停止しているファンユニット30も、吹出口71から熱交換器ユニット10に向けて空気を逆流させないために極めて僅かに送風する運転しているときには、その微少供給空気量を総風量に含めるように空気調和システム1を構成してもよい。あるいは、その微少供給空気量を総風量に含めないように空気調和システム1を構成してもよい。
【0070】
メインコントローラ40は、全てのファンユニット30から送信されてきた供給空気量を合計して、利用側熱交換器11を通過する総風量を算出する。メインコントローラ40は、熱交換器ユニット10の吸込温度センサ101から、熱交換器ユニット10に吸い込まれた空気温度を算出する。そして、メインコントローラ40は、利用側熱交換器11を通過する空気の総風量と空気温度から算出した必要な冷媒循環量を熱源ユニット50の熱源コントローラ56に要求する。熱源ユニット50の熱源コントローラ56は、メインコントローラ40からの要求に応じて、圧縮機51の運転周波数を変更して冷媒循環量を変更する。
【0071】
(3−2)通常運転時
空気調和システム1は、通常運転において、総風量が下限値以上の場合と、下限値より小さい場合で制御を変えている。
【0072】
なお、ここでは、下限値により制御を変える場合について説明するが、空気調和システム1が制御を変えるために用いる値は下限値には限られない。空気調和システム1は、総風量が所定値以上の場合と、所定値より小さい場合で制御を変えるように構成することができる。重ねて説明すると、この所定値に、下限値を用いる場合もあるが、下限値以外の値の場合もある。
【0073】
(3−2−1)総風量が下限値以上のとき
起動時から所定時間が経過して通常運転状態になったときに、メインコントローラ40は、総風量が下限値以上になっているか否かを判断する。下限値の設定については後述する。総風量が下限値以上になっていれば、メインコントローラ40は、次の手順で空気調和システム1の制御を行う。
【0074】
起動時から所定時間が経過して通常運転状態になったときには、所定のインターバルで各ファンコントローラ34が個々の供給空気量を再計算するように構成されている。この再計算においては、例えばリモートコントローラ60が検知した室内空気温度を使って、各吹出口ユニット70の近傍の室内空気温度が、設定温度に対して「近づいている」「離れている」等の状況に基づいて空調負荷を算出し、各ファンコントローラ34が設定風量を補正する。そして、各ファンユニット30が補正した補正供給空気量をメインコントローラ40に送信する。なお、設定風量の補正に関する計算は、メインコントローラ40で行うように構成してもよい。メインコントローラ40は、インターバルごとに複数のファンコントローラ34から送られてくる供給空気量を再計算して総風量を算出し、総風量が下限値以上であれば、インターバルごとの利用側熱交換器11を通過する空気の総風量と空気温度から算出した必要な冷媒循環量を熱源ユニット50の熱源コントローラ56に要求する。熱源ユニット50の熱源コントローラ56は、メインコントローラ40からの要求に応じて、圧縮機51の運転周波数を変更して冷媒循環量を変更する。
【0075】
(3−2−2)総風量が下限値より小さいとき
メインコントローラ40は、総風量が下限値より小さいときには、算出した総風量と下限値との差である不足分を計算する。メインコントローラ40は、予め決められている風量分配規則に従って不足分を複数のファンユニット30に割り振る。複数のファンユニット30に不足分を割り振る際には、総風量が下限値以上であればよいので、不足分に一致する供給空気量を割り振る場合と、不足分以上の供給空気量を割り振る場合とがある。
【0076】
例えば、下限値が30m
3/分であり、ファンユニット30aのファンコントローラ34が16m
3/分、ファンユニット30bのファンコントローラ34が0m
3/分、ファンユニット30cのファンコントローラ34が10m
3/分、ファンユニット30dのファンコントローラ34が6m
3/分をメインコントローラ40に要求している場合を考える。このとき、メインコントローラ40が算出した総風量が32m
3/分>30m
3/分となり、メインコントローラ40は、総風量が下限値よりも大きいと判断する。
【0077】
次に、ファンユニット30cのファンコントローラ34にリモートコントローラ60から送風停止の指示が入ると、ファンユニット30cのファンコントローラ34の要求が10m
3/分から0m
3/分に変更される。そうすると、総風量が32m
3/分から22m
3/分に低下するため、メインコントローラ40は、総風量が下限値以下となる変更が指示された判断する。
【0078】
一つの例としては、下限値以下となる変更が指示された判断をしたとき、メインコントローラ40は、不足分を、例えば、運転しているファンユニット30に均等に割り振る。上述の場合、8(=30−22)m
3/分をファンユニット30aに4m
3/分とファンユニット30bに4m
3/分とに割り振り、ファンユニット30aが20m
3/分、ファンユニット30dが10m
3/分に変更される。
【0079】
他の例としては、下限値以下となる変更が指示された判断をしたとき、メインコントローラ40は、不足分を、例えば、全てのファンユニット30に均等に割り振る。上述の場合、8(=30−22)m
3/分をファンユニット30a〜30dに2m
3/分ずつ割り振り、ファンユニット30aが18m
3/分、ファンユニット30bが2m
3/分、ファンユニット30bが2m
3/分、ファンユニット30dが8m
3/分に変更される。
【0080】
(3−2−3)下限値の設定
空気調和システム1の総風量の下限値は、メインコントローラ40が、例えば熱交換器温度に基づいて判断する。例えば、冷房運転において、熱交換器温度が高い場合には、熱源ユニット50の熱エネルギーの供給能力が足りていないと判断して、総風量の下限値を高く設定する。そのような場合と比較して、冷房運転において、熱交換器温度が低い場合には、熱源ユニット50の熱エネルギーの供給能力に余裕があると判断して、総風量の下限値を前述の場合に比べて低く設定する。下限値の具体的な値については、例えば、空気調和システム1の実機の試験および/またはシミュレーションによって決定する。
【0081】
(3−2−4)空気逆流の検出
例えば、ダクト20aとファンユニット30aと吹出口ユニット70aからなる分配流路において、熱交換器ユニット10から吹出口71に向う気流が正常な気流であり、逆に、吹出口71から熱交換器ユニット10に向う気流が、異常な気流であって、空気逆流である。ダクト20b〜20dとファンユニット30b〜30dと吹出口ユニット70b〜70dからなる分配流路においても同様に、吹出口71から熱交換器ユニット10に向う気流が空気逆流である。ファンユニット30a〜30dのそれぞれに1つずつ設けられている差圧センサ121は、その検出結果を、ファンコントローラ34を介してメインコントローラ40に送信する。
【0082】
メインコントローラ40は、ファンユニット30a〜30dの吸気口36の空気圧に比べて排出口37の空気圧が低いかまたは同じときには正常な気流であると判断し、逆に、ファンユニット30a〜30dの吸気口36の空気圧に比べて排出口37の空気圧が高いときには空気逆流が発生していると判断する。
【0083】
(3−2−5)空気逆流が発生したときの動作
メインコントローラ40は、ファンユニット30の連動により空気逆流を解消する。具体的には、メインコントローラ40は、空気逆流が発生している分配流路に繋がっているファンユニット30を検知する。空気逆流の発生している分配流路のファンユニット30のファンコントローラ34に対して、メインコントローラ40からファンモータ33の回転数を増加させる指令を送信する。例えば、ファンモータ33が停止していた場合には、予め決まっている回転数で駆動を始める指令が送信される。また、例えば、ファンモータ33が低速で回転している場合には、さらにファンモータ33の回転数を上げる指令が送信される。
【0084】
なお、風向板74で空気抵抗を変更できるときには、空気逆流を解消するために風向板74を使ってもよい。例えば、ファンモータ33が停止していた場合には、空気逆流が発生している吹出口ユニット70の風向板74を全閉にするように構成してもよい。ファンモータ33が低速で回転している場合には、さらにファンモータ33の回転数を上げるとともに風向板74の空気抵抗を増加させる指令が送信されるように構成してもよい。
【0085】
また、空気逆流の気流の力だけで全閉する逆流防止ダンパを分配流路の中に設ける構成を採用してもよい。その場合には、メインコントローラ40からの指令がなくても逆流を防止することができる。
【0086】
(4)変形例
(4−1)変形例1A
上記第1実施形態では、熱交換器ユニット10にダクト20を直接接続する場合について説明したが、ダクト20を熱交換器ユニット10に間接的に接続してもよい。例えば、ダクト20と熱交換器ユニット10の間に、ダクト20を熱交換器ユニット10に接続するための複数の空気出口を持つアタッチメントを取り付けるように構成してもよい。接続可能なダクト20の本数が異なる複数種類のアタッチメントを準備することで、同じ機種の熱交換器ユニット10に接続できるダクト20の本数を変更することができる。
【0087】
(4−2)変形例1B
上記第1実施形態では、1台のファンユニット30に1つの吹出口ユニット70を接続する場合について説明したが、1台のファンユニット30に複数の吹出口ユニット70を接続するように構成してもよい。1台のファンユニット30に対して複数の吹出口71を設けてもよいということである。この場合、各吹出口ユニット70に対して、1つのリモートコントローラ60を設けるなど、各ファンユニット30に複数のリモートコントローラ60を接続してもよい。
【0088】
(4−3)変形例1C
上記第1実施形態では、部屋RA1,RA2の間の壁に、通風口79を設けて、吸込口81を1つだけ設ける場合について説明した。しかし、吸込口81を設ける数は、1つに限られず、複数であってもよい。また、吸込口81は、例えば、同じ部屋RA1に複数設けてもよく、異なる部屋RA1,RA2の両方に設けてもよい。吸込口81を各部屋RA1,RA2に設ける場合には、通風口79を設けなくてもよい。
【0089】
(4−4)変形例1D
熱交換器ユニット10に一端21が接続されたダクト20の他端22に接続されたファンユニット30に、さらに他のダクト20と他のファンユニット30が接続されてもよい。
【0090】
例えば、1つの分配流路に対して、複数のファンユニット30を直列に接続してもよい。このような接続態様の一例として、熱交換器ユニット10からダクト20、ファンユニット30、ダクト20、ファンユニット30、吹出口ユニット70の順に、2つのダクト20と2つのファンユニット30と1つの吹出口ユニット70を直列に接続する態様がある。1つの分配流路に複数の動力源を設けることで、熱交換器ユニット10から吹出口71までの距離を、同じ動力源を一つだけ設ける場合に比べて長く設定することが可能になる。
【0091】
(4−5)変形例1E
上記第1実施形態では、1台の熱源ユニット50に1台の熱交換器ユニット10が接続される場合について説明したが、熱源ユニット50と熱交換器ユニット10の接続態様は、このような態様には限られない。例えば、1台の熱源ユニット50に複数台の熱交換器ユニット10を接続してもよい。また、複数台の熱交換器ユニット10に対して複数の熱源ユニット50を接続するように構成してもよい。これらの接続態様では、熱交換器ユニット10に、利用側熱交換器11を流れる冷媒の流量を調節する流量調整装置を設けてもよい。このような流量調整装置としては、弁開度を変更可能な流量調整弁がある。また、一つの冷媒回路200の中に複数の熱交換器ユニット10が設けられている場合に、複数の熱交換器ユニット10の中の特定の熱交換器ユニット10に冷媒を循環させる冷媒系統が冷媒回路200の中に形成されているときに、特定の熱交換器ユニット10の利用側熱交換器11を通過する風量の下限値が当該冷媒系統を循環する冷媒の状態または循環量に影響を与えるパラメータに応じて変わるように設定されていてもよい。
【0092】
(4−6)変形例1F
上記第1実施形態では、熱源ユニット50の圧縮機51が回転数を変更できるタイプである場合について説明した。しかし、熱源ユニット50には、圧縮機51として、回転数を変更できないタイプのものを用いてもよい。
【0093】
(4−7)変形例1G
上記第1実施形態では、空気調和システム1が冷房運転と暖房運転を切り換えられるように構成されている場合について説明した。しかし、上記第1実施形態の技術コンセプトは、冷房専用または暖房専用の空気調和システムに適用することができる。
【0094】
(4−8)変形例1H
上記第1実施形態では、熱源ユニット50と熱交換器ユニット10が接続されて、利用側熱交換器11に冷媒を流す冷凍サイクル装置を構成する場合について説明したが、熱源ユニット50は熱交換器ユニット10が接続されて冷凍サイクル装置を構成する場合に限らない。利用側熱交換器11に熱エネルギーを供給する熱源ユニットは、例えば、温水及び/または冷水などの熱媒体を供給するように構成してもよい。
【0095】
このように利用側熱交換器11に熱媒体を流すように構成する場合、利用側熱交換器11に流れる熱媒体の流量を調節するための流量調整装置を熱交換器ユニット10に設けてもよい。
【0096】
また、このような熱媒体を供給する熱源ユニットに熱交換器ユニット10を接続する場合、1台の熱源ユニットに複数台の熱交換器ユニット10を接続するように構成してもよい。
【0097】
(4−9)変形例1I
上記第1実施形態では、起動時において、メインコントローラ40が、算出した利用側熱交換器11を通過する空気の総風量と、算出した熱交換器ユニット10に吸い込まれた空気温度から計算した冷媒回路200の必要な冷媒循環量を要求する場合について説明した。しかし、メインコントローラ40が要求する必要な冷媒循環量の決定方法は前述の方法には限られない。
【0098】
例えば、空気調和システム1を次のように構成してもよい。起動時に、メインコントローラ40は、全てのファンユニット30から送信されてきた供給空気量を合計して、利用側熱交換器11を通過する総風量を算出する。メインコントローラ40は、例えば内部のメモリに総風量と必要な冷媒循環量との関係を示す風量テーブルを記憶している。メインコントローラ40は、算出した総風量に最も近い風量を風量テーブルに記述されている風量の中から選択する。風量テーブルの中の選択された総風量に対応する冷媒循環量を、メインコントローラ40が熱源コントローラ56に要求する。そして、風量テーブルの中の選択された風量と総風量との差分については、メインコントローラ40からファンコントローラ34に指令を出して、差分に相当する供給空気量を複数のファンユニット30に変更させるように空気調和システム1を構成してもよい。
【0099】
また、例えば、空気調和システム1を次のように構成してもよい。起動時において、メインコントローラ40は、ファンコントローラ34を介してリモートコントローラ60の設定温度を受信する。また、メインコントローラ40は、リモートコントローラ60で検出される室内空気温度、吸込温度センサ101の検出値から算出される室内空気温度、またはメインコントローラ40に室内空気温度を送信可能な室内温度センサから室内空気温度を受信する。メインコントローラ40は、受信した設定温度と室内空気温度から空気調和システム1の全体の空調負荷を算出する。メインコントローラ40は、算出した空調負荷から総風量と必要な冷媒循環量を算出する。メインコントローラ40は、各ファンユニット30の個々の供給空気量を、総風量と各ファンユニット30の空調負荷の比率との積によって算出して複数のファンコントローラ34に指令を出す。メインコントローラ40から指示された個々の供給空気量に合わせて各ファンコントローラ34が各自で調整を行うように空気調和システム1を構成してもよい。
【0100】
(4−10)変形例1J
上記第1実施形態の空気調和システム1では、総風量を主に決定して、それに熱源ユニット50の冷媒に係る条件を従わせるような制御をメインコントローラ40が行う場合について説明した。しかし、逆に熱源ユニット50の冷媒に係わる条件を主に決定し、その条件に従わせるように総風量を決定するように、空気調和システム1を構成してもよい。
【0101】
例えば、熱源コントローラ56が、圧縮機51の運転周波数及び/または膨張弁53の弁開度の制御を行うように、空気調和システム1が構成される。このように構成された空気調和システム1では、熱源コントローラ56が、現在の利用側熱交換器11を通過する空気の総風量に関する情報を把握する。熱源コントローラ56は、圧縮機51の運転周波数及び/または膨張弁53の開度に関する情報から、現在の総風量に対して、風量を増減させる必要があることをメインコントローラ40に送信する。メインコントローラ40は、熱源コントローラ56からの風量の増減の指示を受けて、複数のファンユニット30に対し、どのような割合で各ファンユニット30の風量を増減させるのがシステム全体のエネルギーを抑制するのに適しているかを計算して指示を出す。
【0102】
(4−11)変形例1K
上記第1実施形態の空気調和システム1では、圧縮機51の運転周波数を変更することで、冷媒回路200の冷媒循環量を調節している。しかし、空気調和システム1における冷媒循環量の制御は、圧縮機51の運転周波数の制御に限られない。例えば、圧縮機51の運転周波数とともに膨張弁53の弁開度を調節することによって冷媒回路200の冷媒循環量を調節するように制御してもよく、膨張弁53の弁開度を調節することによって冷媒回路200の冷媒循環量を調節するように制御してもよい。
【0103】
(4−12)変形例1L
上記第1実施形態では、利用側熱交換器11の熱交換器温度で総風量の下限値を決めたが、凝縮温度(TC)、蒸発温度(TE)、過熱度(SH)及び過冷却度(SC)を用いてもよい。過熱度は、例えば、利用側熱交換器11の入口温度と出口温度、あるいは利用側熱交換器11の入口圧力と出口温度を用いて算出することができる。過冷却度は、例えば、利用側熱交換器11の入口温度と出口温度、あるいは利用側熱交換器11の入口圧力と出口温度を用いて算出することができる。
【0104】
総風量の下限値は、例えば、予め決めていた固定された値であってもよく、予め下限値が8m
3/分と決められていれば、その下限値8m
3/分を常に下回らないように、メインコントローラ40が制御を行う。
【0105】
また、総風量の下限値は、例えば、冷房運転では、過熱度と現在の総風量と熱交換器ユニット10に吸い込まれる空気の吸込温度に応じて決められるように空気調和システム1を構成してもよい。また、暖房運転では、過冷却度と現在の総風量と熱交換器ユニット10に吸い込まれる空気の吸込温度に応じて総風量の下限値が決められるように、空気調和システム1を構成してもよい。また、冷媒循環量(例えば、圧縮機51の運転周波数)と蒸発温度(TE)と熱交換器ユニット10に吸い込まれる吸込空気温度及び吸込風量に応じて総風量の下限値が決められるように、空気調和システム1を構成してもよい。また、利用側熱交換器11の通過後の冷媒の渇き度または湿り度から算出される風量過不足風量と現在風量に応じて総風量の下限値が決められるように、空気調和システム1を構成してもよい。さらには、利用側熱交換器11の出口の冷媒圧力と冷媒の温度に応じて総風量の下限値が決められるように、空気調和システム1を構成してもよい。
【0106】
(4−13)変形例1M
(4−13−1)
第1実施形態では、熱交換器ユニット10から複数のダクト20を介して吸引して空調対象空間SAの複数の吹出口71に供給する調和空気の個別の供給空気量を変更できるように構成されている複数のアクチュエータとして、回転数を変更できるファンモータ33を例に挙げて説明した。しかし、アクチュエータはファンモータ33に限られず、例えば、複数のアクチュエータとして、
図5に示されているダンパ38の駆動モータ39を用いてもよい。
図5に示されている送風ファン32のファンモータ33は、第1実施形態と同様の回転数を変更できるタイプのモータであってもよいが、回転数を変更できないタイプのモータであってもよい。ファンモータ33が回転数を変更できないタイプであるときには、ダンパ38だけでファンユニット30から吹出口ユニット70への供給空気量(風量)を変更することになる。それに対して、ファンモータ33が回転数を変更できるタイプであるときには、ダンパ38の開度の変更だけでなく、ファンモータ33の回転数の変更も合わせてファンユニット30から吹出口ユニット70への供給空気量(風量)を変更することになる。
【0107】
(4−13−2)逆流が発生したときの動作
メインコントローラ40は、ファンユニット30の連動により空気逆流を解消する。空気逆流解消のために先ず、メインコントローラ40は、空気逆流が発生している分配流路に繋がっているファンユニット30を検知する。ファンユニット30がダンパ38のみで供給空気量を調整する構成の場合には、空気逆流の発生している分配流路のファンユニット30のファンコントローラ34に対して、メインコントローラ40からダンパ38の開度を変更させる指令を送信する。例えば、空気逆流が発生しているファンユニット30が運転していない場合には、ダンパ38を全閉にする指令が送信される。ファンモータ33を一定の回転で送風しながらダンパ38の開度によって送風しているときには通常は空気逆流が発生することは無いので、メインコントローラ40は、そのような場合に空気逆流が発生した場合には、例えばリモートコントローラ60を使って異常の発生をユーザに報知する。
【0108】
ファンユニット30がファンモータ33の回転数とダンパ38の開度の両方で供給空気量を調整できる構成の場合には、空気逆流の発生している分配流路のファンユニット30のファンコントローラ34に対して、メインコントローラ40からファンモータ33の回転数および/またはダンパ38の開度を変更させる指令を送信する。例えば、空気逆流が発生しているファンユニット30が運転していない場合には、ダンパ38を全閉にする指令が送信される。また、例えば、ファンモータ33が低速で回転している場合には、さらに回転数を上げる指令が送信される。あるいは、例えば、ファンモータ33が低速で回転している場合には、ダンパ38の開度を小さくするとともにファンモータ33の回転数を上げる指令が送信されるように構成されてもよい。
【0109】
(4−14)変形例1N
上記第1実施形態では、空気逆流を検出する検出装置として、差圧センサ121が用いられる場合について説明したが、空気逆流を検出する検出装置は差圧センサ121を用いるものには限られない。このような検出装置として、指向性のある風速センサを用いてもよい。差圧センサ121に変えて指向性のある風向センサを用いる場合には、風向センサを例えばファンユニット30に配置してファンコントローラ34に接続する。指向性のある風向センサを用いる場合には、例えば、正の方向の風速を示すときには正常な方向に空気が流れ、その逆の負の方向の風速を示すときには空気逆流が発生していることを、メインコントローラ40が検知することができる。また、検出装置を複数の無指向性の風速センサを用いて構成することもできる。複数の無指向性の風速センサで風速の分布を検出し、風速の分布が逆流の際に生じる分布であれば、メインコントローラ40で、逆流が発生していると判断することができる。
【0110】
(4−15)変形例1O
上記第1実施形態では、差圧センサ121(風量検知部)を用いて決められた区間内の差圧を検出する構成について説明したが、風量を検知する構成はこのような構成には限られない。風量を検知する構成は、例えば、差圧センサを用いてファンユニット30の送風ファン32の前後の差圧を検知し、送風ファン32の前後の差圧特性からメインコントローラ40またはファンコントローラ34が風量を算出するように構成することもできる。この場合も差圧センサが風量検知部になる。例えば、風速センサを用いて特定の位置の風速を検知し、特定の位置の風速特性からメインコントローラ40またはファンコントローラ34が風量を算出するように構成することもできる。この場合には風速センサが風量検知部になる。例えば、圧力センサを用いて内部圧力変位を検知し、既定の風量が流れた際の内部圧力変位と、検知された圧力変位とを比較してメインコントローラ40またはファンコントローラ34が風量を算出するように構成することもできる。この場合には、圧力センサが風量検知部になる。また、例えば、送風ファン32の運転電流を用いて、ファンモータ33の仕事量からメインコントローラ40またはファンコントローラ34が風量を算出するように構成することもできる。この場合には運転電流を検知する機器が風量検知部になる。
【0111】
(4−16)変形例1P
上記第1実施形態では、メインコントローラ40が冷媒循環量を算出し、熱源コントローラ56に圧縮機51の運転周波数の変更の要求を送信し、熱源コントローラ56が圧縮機51の運転周波数を制御する場合を例に挙げて説明した。しかし、メインコントローラ40が、圧縮機51の運転周波数の制御及び/または膨張弁53の弁開度の制御を行うように、空気調和システム1が構成されてもよい。
【0112】
(4−17)変形例1Q
上記第1実施形態では、メインコントローラ40が熱交換器ユニット10に設けられる場合を例に挙げて説明した。しかし、メインコントローラ40が設けられる場所は、熱交換器ユニット10に限られるものではない。例えば、メインコントローラ40は、ファンユニット30に設けられてもよい。
【0113】
(5)特徴
(5−1)
上記の空気調和システム1のメインコントローラ40が、利用側熱交換器11を通過する風量が所定条件を満たすように、複数のファンユニット30の複数のアクチュエータであるファンモータ33もしくはダンパ38の駆動モータ39または風向板74の風向板用モータ75を制御する。その結果、利用側熱交換器11を通過する風量によって空気調和システム1の不具合を抑制することができる。
【0114】
(5−2)
上記の空気調和システム1では、ダクト20aとファンユニット30aと吹出口ユニット70aの吹出口71によって構成される分配流路と、同様にダクト20b〜20dとファンユニット30b〜30dと吹出口ユニット70b〜70dの吹出口71によって構成される3つの分配流路の合計4つの分配流路において、それぞれの風量が検出される。メインコントローラ40が、検出された風量を合計した総風量により、アクチュエータであるファンモータ33、駆動モータ39または風向板用モータ75を制御する。
【0115】
(5−3)
さらに具体的には、メインコントローラ40は、複数の風量検知部である差圧センサ1121または風速センサにより検出される複数の分配流路の複数の風量を使って、複数のファンモータ33の回転数を制御する。これにより、利用側熱交換器11を通過する所定条件を満たすように制御し易くなる。
【0116】
(5−4)
変形例で説明したように、メインコントローラ40は、複数の差圧センサ121または風速センサにより検出される複数の分配流路の複数の風量の検出値を使って、複数の開閉装置である駆動モータ39により複数のダンパ38の開度を変えて複数の風量を変更する制御する。これにより、メインコントローラ40による利用側熱交換器11を通過する所定条件を満たすように制御し易くなる。
【0117】
(5−5)
上述の空気調和システム1では、上述の所定条件は、利用側熱交換器11を通過する風量を下限値以上とすることである。これにより、利用側熱交換器11を通過する風量が下限値未満となることによって生じる利用側熱交換器11での熱交換不足により発生する空気調和システム1の不具合を抑制することができる。
【0118】
(5−6)
熱源ユニット50は、圧縮機51を有し、利用側熱交換器11とともに冷媒回路200を構成する熱源装置である。冷媒回路200では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。メインコントローラ40は、熱源コントローラ56と接続され、ファンモータ33、ダンパ38の駆動モータ39または風向板74の風向板用モータ75の制御を冷媒回路200の制御と連動させている。その結果、空気調和システム1は、冷媒回路200の状態に合わせて複数のアクチュエータであるファンモータ33、駆動モータ39または風向板用モータ75により利用側熱交換器11を通過する風量を適正化でき、効率の良い運転を行うことができる。
【0119】
(5−7)
上述の空気調和システム1では、利用側熱交換器11を通過する風量の下限値が、冷媒回路200を循環する冷媒の状態または循環量に影響を与える熱源ユニット50のパラメータに応じて変わるように設定されている。従って、空気調和システム1は、冷媒回路200を循環する冷媒の状態または循環量に適した熱交換を利用側熱交換器11に行なわせることにより、利用側熱交換器11を通過する冷媒の状態を適切にして、熱源装置である熱源ユニット50の不具合を抑制することができる。
【0120】
(5−8)
利用側熱交換器11を通過する風量の下限値が、冷媒回路200の冷媒の循環量に関係する値に応じて変わるように設定されている場合には、利用側熱交換器11において冷媒回路200を循環する冷媒の循環量に合った適切な風量の下限値で熱交換させられ、熱源装置である熱源ユニット50の不具合を抑制することができる。
【0121】
(5−9)
風量の下限値が、冷媒回路200を循環する冷媒の状態または循環量に影響を与える熱源装置である熱源ユニット50のパラメータに応じて変わるように設定されている。冷媒回路200を循環する冷媒の状態または循環量に適した熱交換を利用側熱交換器11に行なわせることにより、空気調和システム1の消費エネルギーは、抑制される。利用側熱交換器11を通過する風量の下限値を変えることにより空気調和システム1の消費エネルギーを抑制することができる熱源ユニット50のパラメータとしては、冷媒回路200の凝縮温度、冷媒回路200の蒸発温度、利用側熱交換器11の熱交換器温度、圧縮機51の運転周波数、利用側熱交換器11の入口温度と出口温度の組み合わせ、及び利用側熱交換器11の入口圧力と出口温度の組合せがある。
【0122】
(5−10)
空気調和システム1は、複数のファンユニット30のうちの少なくとも1台について、例えば送風を停止または更に小さな風量に変更する指示がリモートコントローラ60から送信され、利用側熱交換器11を通過する風量が下限値未満になると算出されるときには、メインコントローラ40は、複数のファンユニット30のうちの送風の停止が指示されているファンユニット30にも風量を振り分ける制御をするように構成されてもよい。このような制御をするときには、ファンユニット1台当たりの風量の増加を抑えることができ、空調対象空間SAにおいて部分的に室内空気温度が設定温度からの乖離するのを抑制することができる。
【0123】
(5−11)
空気調和システム1は、メインコントローラ40が複数のファンユニット30のうちの運転されているファンユニット30に風量を振り分ける制御を行うように構成されてもよい。メインコントローラ40がこのような制御をするときには、複数のファンユニット30のうちの停止が指示されているファンユニット30を動かさなくて済むことから、複数のファンユニット30の空気調和を停止させたいところを確実に停止させることができ、空気調和システム1の動作がユーザの要求から外れて動き出さないようにすることができる。
【0124】
<第2実施形態>
(6)全体構成
第1実施形態の空気調和システム1では、複数のファンユニット30の供給空気量に関する複数の指示により複数のアクチュエータをメインコントローラ40が制御する。このような形態は、第1実施形態の空気調和システム1の形態には限られない。複数のファンユニット30の供給空気量に関する複数の指示により複数のアクチュエータをメインコントローラ40が制御する空気調和システム1は、第2実施形態のように構成されてもよい。
【0125】
第2実施形態の空気調和システムでは、メインコントローラが送信した複数の指示を複数のサブコントローラである複数のファンコントローラが受信する。第2実施形態の空気調和システムでは、複数のファンコントローラの各々が、複数の指示のうちの少なくとも一つに基づき、複数のアクチュエータのうちの少なくとも一つを制御する。
【0126】
具体的には、第2実施形態の空気調和システム1が、第1実施形態の空気調和システム1と同様に、
図1に示されている構成を有している場合を例に挙げて説明する。第2実施形態では、
図1に示されている空気調和システム1が、ファンモータ33により供給空気量を変更し、ダンパ38及び風向板74が供給空気量の変更に関与しない場合について説明する。
【0127】
第2実施形態のメインコントローラ40が、第1実施形態のメインコントローラ40と同様に、各吹出温度センサ122で検出される吹出温度と設定温度から各ファンユニット30から吹出させる必要な供給空気量を算出する。具体的には、例えば、メインコントローラ40は、複数のファンユニット30a〜30dの各々の調整する室内空気温度と設定温度との温度差及び送風温度から各ファンユニット30a〜30dの供給空気量を算出する。メインコントローラ40は、算出した各ファンユニット30a〜30dの供給空気量(目標供給空気量)を、各ファンユニット30a〜30dに与える指示として決定する。
【0128】
メインコントローラ40は、算出した複数の供給空気量を目標供給空気量として、複数のファンコントローラ34に送信する。言い換えると、メインコントローラ40は、ファンユニット30a〜30dを制御する複数のファンコントローラ34に、複数の指示を送信する。メインコントローラ40は、例えば、ファンユニット30aに取り付けられているファンコントローラ34に、ファンユニット30aの目標供給空気量を送信する。このファンユニット30aの目標供給空気量が、ファンユニット30の供給空気量に関する指示である。ファンユニット30aのファンコントローラ34は、供給空気量を目標供給空気量に近づけるようにファンモータ33aの回転数を制御する。同様に、メインコントローラ40は、ファンユニット30b〜30dに取り付けられているファンコントローラ34に、ファンユニット30b〜30dの目標供給空気量を送信する。ファンユニット30b〜30dのファンコントローラ34は、供給空気量を目標供給空気量に近づけるようにファンモータ33b〜33dを制御する。
【0129】
さらに詳細に説明すると、第2実施形態のファンユニット30a〜30dは、それぞれ、ユニット内を通過する風量を検知する風量検知部として差圧センサ121の代わりに、差圧センサ121が配置されていた位置に風速センサを有する。なお、風量検知部は、風速センサには限られない。例えば、風量検知部は、差圧センサ121であってもよい。例えば、ファンユニット30aのファンコントローラ34は、ファンユニット30aの風速と目標風量(目標供給空気量)とを比較する。ファンユニット30aのファンコントローラ34は、ファンユニット30aの中を通過する風量が目標風量よりも小さければ、ファンモータ33aの回転数を増加させて、ファンユニット30aの風量(供給空気量)を増加させて目標風量に近づける。逆に、ファンユニット30aの中を通過する風量が目標風量よりも大きければ、ファンモータ33aの回転数を減少させて、ファンユニット30aの風量(供給空気量)を減少させて目標風量に近づける。
【0130】
ここでは、ファンコントローラ34がファンユニット30に取り付けられている場合について説明している。しかし、ファンコントローラ34はファンユニット30に取り付けられていなくてもよい。
【0131】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。